沖縄は「日本」屈指の観光地である。「本土」とは異なる亜熱帯気候に属しているため、さんご礁に代表されるような、「本土」では見ることの出来ない自然に触れることが出来る。また、風土やルーツの違いから創りり出された「本土」とは異なる独特の文化も魅力的である。みなさんの中にも、行ったことがあるという人もいるのではないだろうか。
だが、沖縄には「観光地沖縄」のほかに、もう一つの顔がある。それはたとえば、今なお残る沖縄戦の戦跡であったり、沖縄「県土」の約11%を占める広大な米軍基地であったりする。沖縄は、「日本」で唯一、アジア・太平洋戦争において地j上戦の戦場となった。そこでは、老若男女を問わず多くの人々が命を奪われた。みなさんはこの沖縄戦で起こった「集団自決」というものをご存じだろうか。
例えば、読谷村にあるチビチリガマと呼ばれる避難壕では、141人の避難民のうち85人もの人が、米軍に包囲された混乱と動揺の中で互いに包丁などで首を切ったり、毒薬を注射するなどして命を絶った。
このような「集団自決」は何故起こったのであろうか。
戦時中沖縄の人々は「軍民一体の戦闘協力」を謳う日本軍により、基地作りや弾薬運搬などに動員されていた。日本軍は、米軍に捕虜にされた沖縄の人々より、軍に関する情報が漏れることをおそれ、「捕虜になるものはスパイとみなして処刑する」という警告を発したりした。これらのことを通じて、日本軍により沖縄の人々は「自決」へと追い込まれていったのである。だから、「集団自決」は、人々が自ら進んで「日本」のために命を絶ったというものでは決してない。沖縄戦における「集団自決」とは、沖縄の人々を捨て石にし、「国体」=天皇の護持をもくろんだ日本軍の虐殺行為ほかならないのである。
このような「日本」と沖縄との関係は、在日米軍基地の約75%が沖縄に集中しているというかたちで戦が50年以上経った今でも残っている。
本書では、こうした沖縄の情況とその戦跡についてはもちろんのこと、基地問題や沖縄の産業・文化について、多くの写真とともに説明がなされている。
沖縄に行ったことがあるという人も行ったことがないという人も、ぜひ一度本書片手に、紹介されているコースを巡ってみてはどうだろうか。