2000年の馬鹿

遠い空の向こうに 鮫肌男と桃尻女

太陽の少年    シュウシュウの季節

地雷を踏んだらさようなら 双生児

ゴーストドッグ 無問題(モウマンタイ)

 ロリータ  キッズリターン

ブレアウィッチプロジェクト  サイモンセッズ

 

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「遠い空の向こうに」

 監督:ジョージョンストン

 主演:目の垂れたガキ(名前わかんない。無学だから)


 ほんとの自分を見せてくどうけいすけー 
 違う映画でした。
 ごめんなさい。わざとです。
 と言うわけで、久しぶりのこのコーナーです。新作は「遠い空の向こうに」です。ロケットボーイズの活躍を描いた作品です。バービーボーイズのぱちもんじゃないですよ。そういえばコンタはどこに行ったんでしょうね?生きていたら、ぜひ「せくしーわーどこーなー」に募集していただきたいものです。皆さんは、もう足を運ばれましたか?え、いってないし、書きこむつもりもない?死ねよ!!
 …失礼しました。
 ちょうど時代は冷戦時代です。ウエストバージニア州の炭坑町、コールウッドが舞台です。映画の幕は、ソビエトのスプートニクが打ち上げに成功した日に上げられます。
 ホーマー君という、ホームランをばんばん打ちそうな野球選手の名前をした少年が主人公です。ですが、あのホーマーとは違って、彼は目の垂れたやる気のなさそうなガキです。
 彼はスプートニクが空を飛んでいくのを見て、

 「おれもろけっとをつくりてえ」

 と考えます。素敵ですね。夢があるって。ぜひ、その考えを皇居の近くで実行してもらいたいものです。ヘルメットを被って、マスクをして、反体制と書いたプラカードを掲げていたら、なおよろしいと思います。
 今日はアナクロな話で盛り上がってますね。ついてこれませんね。はい。もう脱線はしません。
 ホーマー君は、ロケットを作りたくって、クラスでも嫌われ者のクウェンティン君に話を持ちかけます。彼もはじめは渋っていたのですが、ロケット作りに参加します。ホーマー君の友達の、オデル君とロイリー君は、嫌われ者のクウェン君が参加するのがいやだったのですが、いつのまにか一緒にロケット作りをするようになります。
 ですが、子供の素人仕事ですから、バカバカ失敗します。挙句の果てに、炭坑にロケット打ちこんで人殺そうとするわ、それでしかられて、だだっ広い所で実験をする事になり、小屋が欲しいからって、勝手に会社から木をかっぱらってくるわ、やんちゃって良いですね。
 ですが、日を追うごとに試作品のロケットはその性能をましていきます。はじめは絵空事だった、全米科学大会への出展も、夢ではなくなってきました。この大会で優勝する事は、すなわち有名大学への奨学金付き入学という、パスポートを手に入れたことになります。
 ホーマー君はコールウッドから脱出する事を望んでいます。なぜなら、このままコールウッドにいたら、父親のように、炭坑労働者となるしかないからです。常に危険と健康を害する事から逃れられないまま、小さな町で一生を終えなければいけない、ホーマー君は、それがいやなんですよ。俺は、ロケット飛ばしたいんじゃ!こんな小さな町で一生終えとうないんじゃ!と…
 けれども、父親は面白くありません。
 当時はまだ、ロケットの認知度など全然ありませんでしたから、そんなわけのわからんことやってる暇があったら、もっと堅実な仕事につけ、というわけです。加えて、これまで自分が誇りを持ってやって来た仕事なので、ぜひとも子供にも継いでもらいたいと考えるのが親心。
 ここで、父親と、息子の心の葛藤が生まれます。
 さてさて、いったいどうなるのでしょうか?
 この映画のテーマは、子離れや、親離れといった、どの家庭でも一度は経験するであろうことです。それはすなわち、ある一定の年齢以上の息子さんや娘さん、おとうさんやお母さんは、作品を自分のものとして楽しめる可能性があるという事。うまいっすね。
 夢を追いかける子供、その夢は往々にして親の世代には理解できないもの。未知数な将来に自分の子供が身を任せるのを、親心は決して許しません。この作品は、そういった葛藤がうまく出ていたように思います。
 僕は楽しんで見れました。親離れしてるのかな?
 あなたは、どうお感じになりましたか?
 

 

 

 「鮫肌男と桃尻女」

  監督:石井克人
  主演:浅野忠信

 鮫肌男と、桃尻女です。
 鮫のような肌をした男と、桃のような尻をした女のお話です。
 嘘です。
 単なる苗字です。鮫肌君は、やくざやさんのお金をかっぱらって逃げてます。桃尻さんは山の中のホテルで働いている娘さんです。鮫肌君がやくざやさんから逃げる途中で道路に飛び出します。その時に、桃尻さんの車がたまたま突っ込んできて、鮫肌君を追っかけて来たやくざやさんのくるまに激突します。
 気絶する桃尻さん。
 鮫肌君は桃尻さんの車に乗って逃げます。
 桃尻さんは、実は家出をして来た最中でしたので、そのまま鮫肌君と一緒に逃げました。何故、桃尻さんは家出をしたのでしょう。
 それは、桃尻さんの親戚で彼女が働くホテルのオーナーが変態だからです。オーナーは、桃尻さんマニアです。桃尻さんが小さいころからの写真をいっぱい集めたり、ブルマだのセーラー服だのをビニール袋に入れて、ご丁寧に隠し持っている人です。とても頭が素敵にノイズだらけですね。ちなみに、この人はそねざきさんといいます。
 いつまでもホテルに出てこないとしこ(桃尻さん)を心配して携帯に電話をしたら、鮫肌君が出ます。当然ですよね。桃尻さんは気絶してますから。鮫肌の声を聞いたそねざきさんは切れます。
 「としこがおとことにげたー」
という事で切れたんですね。
 あたりまえやんけ。
 で、そねざきさんは友達の山田君に、鮫肌の殺害を依頼します。山田君は我執院さんがやってます。旧若人あきらです。じゃぱーんとかっていって、郷ひろみの物まねをしていた人だそうです。しりませんでした。ごめんなさい。
 この人がまた、いい味出してます。
 彼は、無線を使って、鮫肌がやくざに追っかけまわされている事を知ります。
 うでがなりますね。
 しかしたまたま、立ち寄ったおトイレで彼は鮫肌に出くわし、殺害しようとしますが、鮫肌に惚れてしまいました。
 おやおや、うでじゃないところがなりはじめましたね。
 そのほかにも、鮫肌を追っかけまわすやくざやさんもいいキャラクターがたくさんいます。
 組長の馬鹿息子を鶴見辰吾が、鮫肌の兄貴分を寺島進が演じています。それだけじゃないです。岸部一徳は、ナイフ使いのヤーさんを演じていて、ホーローの看板(オロナミンCとかのやつ)を集めている変な人です。
 よくいわれる事ですが、この作品は、スタイリッシュな演出であるとか、使われている衣装がとてもカッコよかったりして、これまでのやくざ映画とは一線を画しています。
 非常におもしろい作品でした。
 まだまだ、日本映画も捨てたものじゃありませんよ。
 よく、日本映画というと、面白くなかったり、ハリウッドに負けているような印象が強いですけど、そんなことないです。一休のエンターティメントはこういうところに転がっているっていうことを、この映画は私達に教えてくれます。ぜひ、見てください。そしてたくさん笑ってくださいね。この映画は、
 「日本映画は、死んだね」
 とかって訳知りがおで言う、すかした映画ずきな人ののど笛に、突きつけてやりたくなる映画でした。
 ちなみに、小日向しえさんが桃尻なんですけど、
 この人の下着姿も見れるので、男性陣は、こうご期待!!

 

 

 

 

 「太陽の少年」

 監督:チアンウェン
 主演:シアユイ


 この映画は、中国の悪い子さんのお話です。シャオチュン君は仲間とつるんで喧嘩ばっかりしてます。すごい喧嘩の仕方をします。石で頭殴りつけたり、棍棒でブッたたいたり、こらこら、そういう事に使うものじゃないですよ。とでもいってやりたくなりました。
 そんな彼は、暇を見つけては人の家に忍び込んで、ベットで眠ったり、お菓子を盗み食いしたりしてましたが、ある日はいった家でとても綺麗な女の子の写真を発見し、それを食い入るように眺めています。そう、彼は恋に落ちてしまうのですね。
 どこの国でも、青春時代はこういうものなのかな、って思って少し嬉しくなりました。
 その彼が人目ぼれをした相手が、ミーランさんです。
 彼女は、シャオチュン君よりも年上です。
 年上に対する恋。
 やっぱ、どの国でも同じなんだなって思って、少し嬉しくなりました。
 で、シャオチュン君と、ミーランさんは次第に仲良くなり、若い二人が一つの部屋にいれば、それはねえ・・
 やっぱ、どの国でも同じなんだなって思って、少し恐ろしくなりました。
 ぼくのあたまのでんぱがいつもぼくに世界は一つといっているけど、やっぱり本当なんだ・・
 というのは冗談ですけど、そういった青春の1ページをかざるにふさわしい話だったと思います。
 映画にしろ、小説にしろ、テーマになるものの金字塔として「青春」があげられます。
 甘酸っぱくって、理想に燃えていて、毎日が楽しかった青春時代。その時期を生きていると、こういった大人の見方はかなり歯がゆいもので、
 「おっさん、そんな甘いもんやないで。人生は」
 とでも、口上たれたくなりますけど、
 実際大人になってみると、あの頃が懐かしいと感じるものなのですね。
 たとえそれがフィクションで、自分の子供時代がそんな綺麗なものではなく、自由も記憶の中以上に限定されていたとしても、そういったフィクションを懐かしいと感じてしまうのが、大人の悲しいさがであり、かつ可愛い所なのかな、とこの映画を見ていて感じました。
 人生に疲れたおとうさんに見ていただきたい映画です。
 若い人向けではないです。
 何故なら長いですから。
 この映画の対象になっている世代の人達は、このような長い映画で郷愁を味わうよりは、自分たちが将来大人になってから、この気持ちを味わえるように精一杯生きてほしいものだと思いました。
 おっとっと、俺もまだ大学生やんか。まだ若いやんか。
 誰か、飲み行くぞー!!

 

 

 

「シュウシュウの季節」

 監督:ジョアンチェン
 主演:ルールー

 

 これは凄かった。掛け値なしに凄かったです。
 パッケージに坂本龍一が
 「なみだがとまらなかった」
 ってかいてたから、
 「そりゃ、お前の娘売れてへんもんなあ。泣きたくもなるわ」
 ってボケてましたけど、見てみて冗談抜きに素晴らしく、悲しい映画だと知り自分を恥じました。
 時代は、文化大革命の頃の中国です。下放政策という都会のガキにも労働を教えちゃる系の、いかにも共産党チックな政策がありました。シュウシュウはその政策の一環としてモンゴルまで送られます。遊びたい盛りの娘さんなんですけど、労働をする事になりました。
 うーん時代ですねえ。
 で、送られたのは良いけど、いつまでたっても帰ってこいと言われないんです。帰れるケースは、お金持ちのご子息さんが、党の人に金を包むような場合のみ。
 でも、そんな余裕もないですもん。
 彼女は半ば忘れられた状態で、故郷に思いをはせます。
 彼女にはおもりの人がついてます。名前はちょっと忘れちゃったんですけど、このおじさんは去勢してます。昔なんかやっちゃったみたいです。そのバツ。
 このおっさんはとても物静かな人で、わがまま言い放題のシュウシュウにも黙って従っています。
 ある日、シュウシュウは行商の青年と仲良くなり、少女から大人へと第1歩です。へいへい。
 でも、後日いくら待っても彼は現れません。彼は
 「自分は党の人を知ってるので実家に戻してあげられるから」
 という甘言でシュウシュウを騙して、エッチしちゃったんですけど、その時になってシュウシュウは自分が騙されていた事を知りました。
 それからは、その行商の青年に話を聞いた町の男たちが、シュウシュウとやりに来ます。(下品で失礼)
 シュウシュウはもう自暴自棄になっていて、いろいろな男の相手をします。
 ある日、シュウシュウは妊娠している事を知り、里に降りるのですが…
 これから先は、あなたの目で確かめてください。
 シュウシュウのおもりをしてる男性が、何故助けなかったのか?
 はじめは「ざけんな男らしくしろや、このたこ!」とかって思いましたが、
 彼の最後に取った対応が、時代に逆らえなかった二人の哀れな人間の運命の悲哀さを表していて、一層泣けました。
 「ライフイズビューティフル」や、「タイタニック」で泣いたあなたは、この作品はハンカチなしでは見れないことと思います。
 ぜひ見ていただきたい映画でした。商業性を抜きにして、もう少しプロモーションしてもらいたかった映画だったと思います。
 この作品がタイタニックのように、ロードショーされなかった事が、いまは心残りです。

 

 

 

「地雷を踏んだらさようなら」

 

 監督:五十嵐匠

 主演:浅野忠信

 最近人気急上昇中の、浅野忠信の出てる映画です。
 みんな、浅野すきかーい??僕は好きだよー!!つーか、てめえらも好きになれよ。あいつはばたあし金魚で終わる男じゃねえんだぞ!!牛若丸とかいってよー。畜生、ナチュラル系だぜ…

 失礼しました。
 ただ、浅野忠信って俳優は、すごくナチュラルで、ナチュラル過ぎるので、演技してんだか、地でやってんだかわかんなくなることが時々ありますが、そういうところがまた、この人なんだろうなって思って、その意味で貴重な人材だと思います。演技演技してないところが、逆にね。
 さて、この映画なんですけど、これは一之瀬泰造という、実在のカメラマンのお話です。
 彼は、70年代初頭の、ベトナム戦争だの、クメールルージュだのがごったにみたいになってるインドシナ半島で、その当時、クメールルージュの拠点になっていて入ることができなかったアンコールワットを写すことに情熱をかけ、その結果として命を落とした一之瀬さんという人がいました。
 僕はその人は知らないのだけど、浅野の演技を見てると、「ああ、こういう人だったんだろうな」って思うことができました。すごいはまり役です。本当に、戦場カメラマンやってそうです。浅野くん(笑い)
 関係ないけど、おれの母校に浅野くんていう頭の切れる人がいて、彼は20キロぐらい離れたところから自転車で毎日学校まで通っていました。浅野という人は、みんな頭が良いだけじゃなくアスリート系なんですね。ということは、浅野匠の守も、アスリート系だったんでしょうか?
 …・・誰か突っ込んでください。
 さて、話を映画に戻しますけど、これは最近の邦画には珍しく芸術色があるくせに、あほらしくて途中で見るのをやめることの
ない映画でした。
 「最近の邦画は死んでいる」とかって評論家の人がよく言いますけど、そういう決め付けはあんま好きじゃない僕としても、私小説的だったり(「落下する夕方」とか)、あるいは芸術色にこりすぎてなんかよくわかんなくなったり(たとえば「白痴」とか。最後のほう、アベルガンスのパクリじゃん)そういうの多いなってちょっと思ってましたけど、これは映像が素直にきれいだなって思えたと同時に、音楽の使い方も非常に心地よく、「戦争」と、そのなかで命を落とした一之瀬さんの伝記という、重いテーマを最後まで見切ることができた点で、僕はすばらしい映画だったと感じました。
 (ちなみに、うちの中学生の妹も、この映画を面白いといっていたので、幅広い年齢層にも、受け入れられるものなのでは、と思います)
 ただ、一つだけ僕自身考えさせられたのは、戦争っていう非日常があったからこそ、この映画を面白く見てしまったのではないかっていう事です。つまり、エンターティメント映画としてです。最近の日本はいろいろありますけど、まだまだ平和で、そういうぬるっこい中でいいかげん日常に飽きたから、こういった刺激を求めてしまっているような…それが悪いことだとは思いませんけど、感動であるとか、面白さを感じている裏では、一之瀬さんや、カンボジア、ベトナム、の国の人たちの血が流されているわけで、僕自身の態度にちょっと複雑な気分になりました。
 次、この映画を見るときは、ドキュメンタリーとしてみることにします。

 

 

 

「双生児」

監督:塚本晋也

主演:本木雅弘 りょう

 

 いやあ、これはすごかったっすよ。
 つーか、もっくん演技うますぎ。
 僕は演技がどうとか、やってるわけじゃないのでえらそうなことは言いませんけど、見ている人が素直にその世界に引き込まれることが、うまさの基準の一つとしてあるのならば、この人はものすごい才能がある人なんだなって、改めてびっくりさせられました。そう、薬丸が若奥様の心をいとめたはなまるカフェのように…・ちなみに、薬丸さんの出身高校は、うちの近くです。
 明治初期の設定ですが、出てくる人はみんな眉毛ないです。それがまた、カルトな世界を作り出しているのですが、それに加えて、この原作は江戸川乱歩なので、ストーリー自体も、練りこまれた恐ろしさが漂っていてものすげえって思いました。江戸川乱歩ってすごいですよね。「屋根裏の散歩者」も映画化しましたし、これは三上博史がカッコよかったですけど、この作品も、
 「人間の本質」
 を、包み隠すことなく僕たちの目の前にたたきつけてくるので、ある種の怖いもの見たさからついつい引き込まれていってしまうという…小説家目指していたこともあるので、軽い嫉妬を覚えました。
 さて、映画に話戻しますけど、主人公の雪雄(もっくん)は、病院の先生さまです。戦争で勲章もらったこともあります。地元の名家です。すごくえらい人です。
 彼には奥さんがいます。りん(りょう)です。気持ち悪いです。髪形がきのこみたいです。食べたらおなか壊しそうです。暗黒舞踏はいってます。
 彼女は記憶喪失です。(という設定です。その後、順を追って彼女の出自が明らかになりますが、それはつまびらかにすると面白くないので…)雪雄の親父とかあちゃん、おっと失礼、お父様とお母様は、それが気に入りません。しかし、両方とも早くにくたばります。そこらへんから話は面白くなってきます。だって、あの人ら、すげえ名誉にこだわりすぎてて、なんかむかつくんだもん。
 この話、もっともっと続けて教えてあげたいんですけど、見てもらったほうが面白いんで詳しくはここでは話しません。ただ、この映画を見た感想としては、人間の本質という点で言うのなら、善と悪が混ざり合ったところが本来の人間の姿なのだということでしょうか。ということは、デビ婦人とか、化膿姉妹とかは、人間じゃないってことですね。ああ、頭の中の知恵の輪が解けたぞ。やっぱりそうだったんだね!!
 恐らく、軍部からぶーぶー言われていた乱歩としては、善や名誉のみを強制する当時の上流階級の考えに鼻持ちならなかったのでしょう。汚れたところがあってこそ、人間であり、それが真実の姿なのだという点を、この作品を通してぶちまけたのです。塚本監督は、そのメッセージを非常にわかりやすい形で映像化に成功したと思います。もっくんの怪演がそれを支えていたことはいうまでもないでしょうけど。
 後は、この映画を見た感想として、同和問題の映画を子供のころ見せられたことを思い出しました。あれは、「同和地区の人たちも人間なんだよ」というメッセージ性のあるものが多かったですけど、文部省はこの映画もそのテキストに加えたらどうかと思いました。つまり、見栄だとか、伝統的名誉にこだわってる人がいかにもろく弱いものなのかということを突きつけることで、「差別するおまえらこそ、人間じゃねえんだよ。ほら、乱歩先生もそうおっしゃっているじゃないか」と、わかりやすく、かつインパクトのある形でたたきつけることができるからです。といっても、子供だとただ、奇異な表現に目をとられるばかりだろうから、むしろ大人に、それも旧家とか、そういうことにこだわってる人に見せれば面白いかもしれませんよ。

 

 

 

 

「ゴーストドッグ」

 監督:ジムジャームッシュ

 主演:フォレストウィテカー

 

 ジムジャームッシュ。すげえー!!
 というわけで、とりあえず誉めておきました。
 黒人ギャングものは、よく見たんですけど、その中でも異色ですよ、これは。だって、ゴーストドッグ、日本すきなんだもん(笑い)
 彼は、武士道に傾倒する黒人ヒットマンです。普段から武士道の本を読んでます。好きな言葉は、「すべて熟知」です。葉隠れです。侍、芸者、富士山です。あとの二つはうそです。
 ただ、日本ネタを扱ったものとして、表層的なものだけでなく、哲学的なものに踏み込んで映画化したものはあんまりなかったので、その点では、時代が変わったもんだと思いました。
 ゴーストドッグは武士道に傾倒しているので、彼の命を救ってくれたマフィアを主人と決めてその人の殺しの依頼を受けてきました。ちなみに、ゴーストドッグにメッセージを送るときは、伝書鳩でしなければなりません。あほやなーと思ったんですけど、でも、電話は盗聴されるし、イーメールは見られるしって世の中だから、逆にこういうやり方のほうが足つかねえんじゃねえかと気づいて、「座布団10枚」と、叫んでしまいました。
 さて、そのドッグくんは、いつものように殺しの依頼を受け、ぶっ殺したんですけど、たまたま、そこにマフィアのドンの娘さんがいて、そのために、ドンのほうは、ゴーストドッグをぶっ殺せという指令を、ドッグ君の主人に出します。まるでぺディグリーチャムのCMみたくなってきましたね。犬と主人。(トップブリーダーは推奨しませんけどね、殺しは)

 でも、本当なんだもん。
 というわけでマフィアの人たちもいろいろ動くんですけど、高齢化進んでるみたいで、ボケて別の人ぶっ殺す人がいたりします。若い人は入ってこないみたいですよ、マフィアには。やっぱり、今の裏社会の主流はギャングにとって変わられちゃったんだろうなって思いました。少しそこらへんは笑ってあげてください。そういうやさしい目を持つことが、笑点のこんぺいさんの暴れ芸を面白いと感じることにつながります。あるいはちゃんばらトリオのハリセンを、笑顔で迎えることができたりとか…
 ともかく、日本人が面白いって思える映画だと僕は感じました。少なくとも、ブラックレインよか面白かったよ。やっぱり、心の世界まで入り込んでくると、伝わるもんなんですね。

 

 

 

「無問題(モウマンタイ)」

 

 監督:アルフレッドチョン

 主演:岡村隆史

 これは、面白かったですよー。
 なんか、最近誉めてばっかですけど、面白かったです。バブルのころの、「就職戦線異状なし」とか、あのころのエンターティメント系日本映画の面白さがありました。流れも入り込みやすかったですしね。私小説系に傾いたり、芸術はいったりしていた日本映画を見慣れていたとしたら、逆にこれは新鮮に感じたはずです。
 ちなみに、こっぱずかしいこと言わせてもらいますと、岡村さんの演技、結構よかったです。最後のほうは素直に感動しました。なんか、良いキャラしてるんですよ。あの人。哀愁漂うっていうか、だめ男の代表みたいな感じが良いんですよね。実際はだめ男じゃないんでしょうけど、イメージ的に、そういう感じが…
 川口大二郎(岡村さん)は、彼女が香港に行っちゃったんで、それを追っかけて香港に行きます。彼は友達のつてでスタントマンになって滞在するんですけど、そのとき教えられた言葉が「モウマンタイ」、つまり、大丈夫ってことです。だから、殴られてもけられても、これしか言わないから、当然現場では使ってくれます。
 でも、数こなすうちに、結構はまり役だって事に回りも自分も気づいてくるんですけど、ちょうどそのころに彼と同じように中国から、彼氏を追ってやってきた女の子がうちに上がりこんできて、男と女が乱れての饗宴…というのは冗談ですけど、話が複雑になり、見てるほうは楽しくってきます。
 しつこいようですけど、岡村隆史、いいっすよ!!ほんと。うそだと思うなら見てください。なんか、あの人って、言っちゃ悪いけどピグミーマーモセットみたいなところあるでしょ?あるいはチンパンジー。そういう小動物一生懸命やってます系の、感動ありますよ。
 気軽に心のぬくもりほしい方は、ぜひどうぞ。
 もっと配収あがってもよかったと思いますけどね。だって1.5億円だもん。だって、あの「ホ−ンティング」が5億も稼いでんだよ??あんなくそ映画より面白かったんだけどなあ…単館の宿命なのかなあ…・

 

 

 

 

「ロリータ」

監督:エイドリアンライン

主演:ジェレミーアイアンズ

 

 やべえ、児童福祉法違反だ!!明日あたり、手入れだな。

 って言うのは冗談ですけど、とりあえず笑いとっておきたかったんで。
 病的な意味でのロリコン、つまり、小学校2年生ぐらいのちっこい子供を見て、「うへへへへ、おじちゃんとあしょぼう」つーのはばかやろうの極地だと思うし、理解できないですけど、たとえば、「レオン」のナタリーポートマンの怪演を、素直に色っぽいと思うっていうのはあると思うんですよね。
 この主人公のハンバートさんも、そういった、早熟な娘さんにひかれてしまった男です。
で、ちょうどはまっていっちゃったら、ちょうど都合よくその娘さんのかあちゃんがくたばったので、「いっちょ、手だしちまうか」って出してしまったという…
 今の日本の風潮に逆行しちゃうとあれなんで、これはちょっとあれってことで、そういう風によろしくって感じで代名詞使いまくりたくなる時代ですけど、はっきりいうと、やっぱ若い子でも色っぽい子いますよ。なにも知らない純粋無垢な子って、色っぽくないし、手を出すよりは保護するべきだって思いますけど、どっか陰のある子で、大人のようなしぐさをする子って、やっぱ色っぽいですもん。
 だから、「レオン」でナタリーが色っぽい演技をしているときはすごくレオンも困っちゃうんだけど、寝顔見ると、我に返るっていう感じになるんでしょう。ある意味、当然のことだと思います。それは自分のパートナーのことを考えてみればよくわかりますよ。誰も、遊園地行ってぬいぐるみかわいがってる彼女に欲情はしないでしょ?むしろそれは二人で車の中にいたりするときに起こったりしますしね。年齢なんて関係ないですよ。
 ナボコフは、そういうことが言いたかったから、最後に子供の体だけ求めている真性ロリコンやろうを、ハンバートに殺させたんだと思います。つまり、子供を「子供」としてみるのではなく、「人間」としてみた結果、そういう行動にいたったということです。
 まあ、マイノリティーの差別って感じもしますけどね、つまり、ゲイカルチャーは理解できないから排除しようっていうのと同じように、ペドフェリアも理解できないから殺しちまえ、みたいな…・
 ただ、ペドフェリアの場合は、相手の女の子(もしくは男の子)が、大人という立場の人に全幅の信頼をおいているのを裏切り、それによってトラウマを与えてしまうという加害者的色合いが強いから、強く禁止する必要があると思います。なおかつ、相手の子がそれを望んでないんですもんね。これはレイプと同様に、非常に由々しき問題です。それは僕も全面的にサポートしますけど、相手の子が、もし、「子供という立場」に置かれることを嫌悪していたとしたら、そういった「性の常識」を押し付けてしまうことは、逆に大人の横暴なんじゃないか、と考えました。
 つまり、「子供は清くあってほしい」っていう、あほらしい幻想です。
最近の、高校生や中学生に頭の硬い大人たちが道徳を押し付けていたり、そういった主張を法制化するにいたって、なんかそういう空気ってやだなって思うようになりました。だって、それって理屈で考えて望ましいこと(つまり、高校生は、エッチをすると3日で死んでしまうとか)というよりは、むしろ、「大人がそうあってほしい」から子供を圧迫しているようなものでしょ?たとえば、何で高校生がホテル行っちゃいけないのってことです。それよりは、むしろ
 「避妊をしないセックスは罪悪、責任のとれないセックスは最悪」
 って言った方が良いんじゃないっすかね?そういう道徳なら、大歓迎ですよ。理屈もわかるしね。そこらへんあいまいにしてるから、生でやっちゃおうっていうのが出てくるし、それによって苦しむ人が出てくるんですよ。(自分の知り合いにいるので、これは切実だと思っています)
 よく、大人は「子供は体は大人でも、頭は子供なんだから」って言いますけど、それは大人の願望だと思います。つまり、子供であってほしいっていう気持ちから、頭はがきだといいたいのではないか、と言うことです。でも、大人だってがきみたいなやついるじゃないですか?善悪の区別ができるのが大人だとしたら、成人の犯罪者はすべて善悪の区別ができないんだから少年法の範疇で扱うべきですよね。でも、そうじゃない。つまり、論点は善悪の区別にはないということが、これで明らかになりました。
 それに、そういう大人の方々(わかりやすく言えば、じじいやばばあっつーことです)のほうが、初婚年齢は今より低かったわけですし、それは裏を返せば、「社会的に認められた」エッチ許容年齢があったっていうだけで、そういうルールがもう少し汎用化されるようになったのが現代だとするならば、何でいまさらそういうの押し付けて昔に戻そうとするのか?第一、昔のそういう保守的な考えがいやだったから、ロックだの、なんだのそういう文化が生まれたわけですよね?つまり、それは裏を返せば、そういう保守的な考え方は、時代に「拒絶」されたんですよ。
 それをいまさら蒸し返そうとするっていうのは、結局は、そういう大人たちが、社会システムの中でイニシチアブをとりたいから主張しているようにしか、聞こえないんですね。つまり、そういう考え方の中で生きてきた彼らがそう主張することによって、彼らの文化が社会的に優位に立てるということです。要は、威張りたいだけにしか聞こえないというか…そういう感じです。
 なんか、階級闘争の次は、世代間闘争になりそうな感じを受けます。
 もう少し、変なプライド捨てれば良いのに…・
 ということが言いたかったので、敢えてこの映画を取り上げてみました。

 

 

 

 

「キッズリターン」

 監督:北野武

 主演:金子賢 安藤政信

 

 ビートたけしって人は、天才だと思います。げんちゃりの事故があってからは、笑いの方面には毒が消えてしまって、以前のビートたけしとしての面白さはなくなってしまい、むしろタモリ的な「まとめやく」の立場に徹しているように見えます。しかし、映画監督、北野武としてはまだ死んでいないようです。花火もよかったですけど、僕はこの作品が彼の作品の中では一番好きです。
 どういう話かというと、不良少年が2人います。落ちこぼれです。落ちてこぼれてます。リーダー格の金子は、喧嘩が強いんですけど、あるひ喧嘩に負けてしまいます。相手はプロボクサーです。それが悔しくてボクシングをはじめます。腰ぎんちゃくのような安藤も、いつのまにか始めることになってしまいました。ある日、スパーリングを二人がするのですが、安藤は、金子を一撃で倒してしまいます。
 これまでの力関係が、逆転した瞬間です。とはいえ、安藤はあくまで腰ぎんちゃくの立場を貫こうとします。しかし、金子はそれが許せません。いつしかボクシングジムにもこなくなった金子は、やくざに転身していました。安藤はボクシングの才能を認められ、金子はやくざが肌に合っていたのか、ある程度出世します。
 しかし、そうは問屋がおろしません。
 金子は兄貴分の死をきっかけに、親分格の組長に啖呵を切ってしまい、命を狙われます。また、安藤のほうは安藤のほうで、だめな先輩ボクサーの言うことを聞いてしまい、結果としてボクサー生命をたたれることになります。ちなみに、この先輩ボクサーをモロ師岡が演じています。お笑いやめてどうしてんのかとおもったら、俳優やってました。結構はまり役だと思います。
 この映画は、デジカンという新作ビデオが紹介されているペーパーを見て書いてますけど、そこには「北野武が厳しい視線で駄目なやつはいつも駄目と言い放つ問題作」とかいてあります。確かにそういう視点で描かれたものだろうと思いますが、僕としては、「すごくなりきれない、当たり前の人間を、面白く書いた作品」だと考えています。
 金子は、兄貴分でいたいがために自分の我を通して駄目になり、安藤は、腰ぎんちゃくとして誰かの後についていたかったがために、もろ師岡の言うことを聞いて駄目になってしまう。これまでのやり方を、簡単に変えることができないから、駄目なままだとしたら、そう簡単に生き方変えられないのは、人間の常であって、それはすなわち、駄目な人間ということではなく、ほとんどの人間に言える事なのではないかということです。逆にいうなら、駄目だからこそ人間だということです。だからこそ、この映画は、「ああ、こういうやついたねえ」という温かい目で見ることができると同時に、素直に入り込むことができるのではないでしょうか?
 あと、特筆すべきこととしては、久石譲の音楽は最高です。これは北野作品のほとんどを通して言えることだと思います。その音楽にはまるだけでも、見る価値あると思いました。
 

 

 

「ブレアウィッチプロジェクト」

 監督:ダニエルマイリック&エヅアルドサンチェス

 主演:ヘザードナヒュー

 このお話は、低予算の癖にものすごく集客した映画として皆さんご存知だと思います。日本で公開された当初は、そういった前評判が合ったために、完璧フィクションだってわかった時点で見たわけですし、そこまで面白いとは思えませんでした。むしろ、ブレアウィッチの呪いと買っていう、裏話のビデオもいっしょに見ると、やっと話に入り込めるので良いですけどね。
 映画は、ドキュメンタリー映画を撮るために森に入った映画学科の学生たちが、行方不明になり、後には遺品とフィルムのみが残され、それを現像したものがこれだという設定になってます。
だから、臨場感あふれるものだというのは確かですが、もともとの売りが「この作品は実話なのではないか、否か」という点だったので、ただこの作品を見ただけではそこまで面白いとは思えませんでした。
 ただ、それは作品を不出来だといっているわけではなくって、売り出し方がそういうやり方だったために、楽しめなかったというだけです。結局ブレアウィッチが何かも示されなかったですしね。もし、僕がアメリカにいて、ネットでこの映画の情報を知ってその後見たのだとすればまた違った反応だったんですけど、フィクションだということが明確にされてしまった今では、この作品はむしろエヴァンゲリオン最終話みたいな感じを受けてしまって、
 「じゃあ、結局秘密って何だったの?」
 という反応しかできないんですよ。そこに残るのは、監督たちのリアリティーを追及したという哲学だけであり、僕はその書き方はいまいち好きではないので、「また、哲学の押し付けかあ…」という感想だけが最後に残りました。
 やっぱ、稚拙だとしてもドラマはほしいですよ。こっちは玄人じゃないんだから、ねえ。

 

 

 

サイモンセッズ」

 監督:しらない。

 主演:デニスロドマン

 

 いやー、久しぶりにぼろくそ言える映画が見つかってほんとよかったっすよ(笑い)
 最近、毒を売り物にしてるくせにまともなことばっかかいてたせいで、背中が痒くって痒くって、もう…
 でも、この映画はぼろでしたよ。いやあ、まじめにぼろぼろ。だって、売り物がデニスロドマンが出てるって言うだけだったんだもん(笑い)ちなみに、でにおさんを知らないあなたに説明しますと、この人はNBA(アメリカのバスケットボールのリーグ)において、ブルズの黄金時代を築いた立役者の一人です。同時期には、マイケルジョーダンや、デミオのコマーシャルにでいていたピッペンがいます。
 彼は飛びぬけた問題児で、前の前のチームはデトロイトだったんですけど、そこではバッドボーイズとして、反則?やってやろうじゃねえか系の人たちの仲間でした。そのあと、スパーズにいったんですけど、あんまりやる気なかったみたいで、すぐ放出されてしまって、拾ってくれたのがブルズでした。その当時のバスケ選手には珍しかった、全身タトゥー(ちなみに、今は当たり前っぽくなってますけど)や、ピアス、ヘアカラーリング、などなど、ばんばんビジュアル面に訴えかける格好をするわ、ゲーム中にぶーたれまくって退場食らうわ、ものすごく「面白い」キャラクターでした。
 けれど、きちんと仕事はする人で、自分の仕事はリバウンドと決めているので、リバウンドだけはきっちりとってます。シュートはあんまりしないですけど、その代わり、在籍中は、ずっとリバウンド王に輝いていました。一試合平均20本以上リバウンドとってるんですから、それが全部得点に結びついていたとしたら、彼は40点の働きをしたことになりますし、その意味からも、ブルズには欠かせない人材だったと思います。
 そのあと、ジョーダン、ピッペン、そして、名将ジャクソンがブルズを去るとともに、彼もブルズを去り、その後あのチームの衰退はひどいもんですけど、彼は何やってたかっていうと、しばらくいろんなチームを転々としたのちに、俳優になってたんですね。
 この人、他にも「ダブルチーム」とか、そういう映画に出てますけど、殴ったり蹴られたりがほんとすきなんだなって、この映画、「サイモンセッズ」を見ていて改めて思い知らされました。
 ただ、それだけなんですね…この映画。
 だって、変なんだもん、ロドマンがインターポールの職員だっていうの。だって、あのインターポールですよ!?銭形警部がいるところですよ。それなのに、ハナピにタトゥーは変だって(笑い)やっぱり、彼のキャラクターはコートの上だったからこそなのかなと思いました。真面目映画やろうとしたら、どうしてもキャラが立っちゃって、面白くなかったです。むしろ、ああいう善人役よりは、ギャングとか、麻薬ディーラーとか、ウェズリースナイプスがやってそうな役のほうが、リアリティーあって面白かったのになって、ちょっと残念でした。
 というわけで、彼の名声におんぶに抱っこだった監督の名前は、ばつとして出しません(笑い)