自作のお話
9月30日
今日は自作の物語で皆さんに訴えかけてみようかなって思ってます
どう思ったか皆さんのありのままの意見を掲示板に書き込んでもらえれば幸いです。
「大きな玉葱」
〜ファーストコンタクト〜
僕は考えることが好きだ。
どんな小さな疑問でも納得がいくまで考えないと気がすまない。
僕は小さい頃からずぅ〜っとそうだ!
いろんな生き物の生態やあらゆる理論の追求
文学・芸術・歴史・政治、とにかくすべてのことを考えないと気がすまない。
どうしてこんな人間になってしまったのだろう?
そんなことを考えるだけでも数時間は考え込んでしまう。
周りの人間は僕にすばらしい環境をくれた。
それは僕の頭脳が物凄いかららしい、
それを象徴させたのは、小学校2年生の頃だった。
「彼は有能な人材です。一般人とはずば抜けた資質を持っています。国からも資金を出しますので特別な教育を受けさせる許可をもらいに来たのですがどうでしょうか?」
とスーツ姿の官僚が土下座までして両親の前で嘆願してた。
両親はそれが息子と離れた生活を強いられることぐらい知っていた。
しかし、自分の息子が未来の国の姿さえも変えかねないそんな逸材であることとそれを生み出したという一般の家庭にはあり得ない強運に酔いしれてしまい
二つ返事でOKしていたのを僕は覚えている。
小さい僕にとって「両親と離れた生活が重荷になったんじゃ?」とか「お家が恋しくなりはしないの?」というそんな君たちの不安はなかった
だって、行った先にはあらゆることを調べられる途方もなく大きい書庫と24時間僕のサポートをしてくれる執事のメンバー考えるだけでは体がなまってしまうので専属のトレーナーとジムも完備していたんだ
食事だって一流ホテル顔負けの味だし、幼い僕の成長をうながすための栄養も考慮に入れられてるんだ。
もしも寂しいと感じるならばTV電話で両親と連絡も取れるし、それでも寂しい場合は係員が両親を連れて来てくれるんだ。
まあ、僕はたくさん考えることができる環境があるから逆に両親との連絡をする暇も無くって逆に両親が心配になって来るくらいなんだよ。
どう?これで君たちが思っていた不安はとんだ気苦労だったって事が分かったでしょ?
そんなすばらしい僕にとって桃源郷のような環境は僕に物凄い変化を与えた。
この一年で数ヶ国語をマスターし、物理学と化学の博士号をとることができた。
ピアノは国際コンクールで金賞をとることもできた。
この前なんて海外のサッカーのビッククラブの会長さんとかその他大勢の首脳陣が僕の才能を買って是非ともユースチームに入団してほしいと頼み込んできたほどなんだ。
でも、僕を管理してる上の人間がこの国から出したくないらしく物凄い剣幕で追い出してしまった。
せっかくの機会だから外の世界も見ておきたかったんだけどね。
このような外面的な変化だけが生じたわけじゃないんだ。
僕の肉体も変わり始めてきたんだ。
通常の人間にはありえないほどのスピードでの成長をしたんだ。
この一年で50センチも身長が伸びて体はもう大人と変わらない程になってしまったんだ。
これってすごいよね!僕もこんな成長ができるなんてどんな本を探して読んでみても答えが見つからないほどなんだよ。
〜一年後〜
みんなお久しぶり!元気にしてたかな?
あれから僕は以前にもまして勉強してるし運動もしてる。
もう、この成長がどこまで伸び続けるのか僕にさえも予想できなくなってる。
とりあえず、今まで君たちが知ってる英雄や天才を全部一人の人間に詰め込んだ存在が僕なんだと思ってくれればこの成長に納得がいくと思う。
そういえば、この前僕は引っ越したんだ地下の施設で多分地下1万メートル位かな?
まあみんな知ってるシェルターなんだ4w
でもね、今までの施設のウン十倍の充実ぶりなんだ。
もう、毎日が楽しすぎちゃって困っちゃうくらいなんだよ。
「体が二人分あったらいいのに…」そう思うほどなんだ!
ごめん、もう僕次のことやらなきゃいけないから君たちとの会話もこれにて終了〜
とりあえず元気でね。それじゃ
〜さらに一年後〜
ふぅ〜やっと今論文を書き上げたところ、みんなはどうしてる?
この前話したのはちょうど一年前か、そうかそうか
僕の体が少し変わりだしてきたんだ。
今まで大人のすばらしいがっしりとした体だったんだけど衰えだしてきたんだ。
多分ここ一ヶ月で筋肉は数キロ落ちている。
どんなにトレーニングを積んでみても落ちるんだ。
これを僕なりに分析してみたんだけど答えは全然出てこないんだ。
でも、計算したんだけど後数年で僕は生活を支える主要な筋肉以外は全部削げ落ちてしまうって事が分かったんだ
いったいどんな外観になるか分からないけど、とりあえず考えることはできるし、死ぬことはないみたいだから一安心ってとこさ
国の連中達は完全に僕を閉ざされた世界に幽閉しやがった。
どうやら僕の人権は無いらしい
論文を書いたってそれを利用していろんな兵器や新技術として海外に売り出して国益を上げているんだ
まあ、僕は考えることができるのとこの環境さえ変わらなければどうだっていいのだが…
とりあえず君たちに一つだけ言っておくね
この国はこの僕を自由にはしてくれない、いや天才という人種を外で遊ばせることを許さない世界なんだ
だから、君たちにそんな世界にしない努力をしてほしいんだ。
もしそれができるならば、僕はすぐにでも君たちにとって有益なものやアイディアをもっともっと与えるよ
だからお願い…
〜数年後〜
やばい、完全にほとんどの肉体が消えうせてしまった。
僕は今完璧な植物のような存在といっても過言ではない。
君たちとおしゃべりした最後の日からこうなることを予測して様々な器具を作ったんだ。
とりあえず僕をサポートするロボット(介護用)
僕の脳波を読み取っていろんなことをやってくれる優秀なロボットだ。
次に、僕の残った一部に直接取り付けて神経からの電気信号で動く手足と胴体パーツを作ったんだ。
実は残念なことに君たちにこの前言った以上にこの衰えはひどくて必要な臓器と脳あと五感を司る機能しか残らなかったんだ
だから、自分の作ったロボットに新しい体に中身を移し変えるようにお願いしたんだ。
そのおかげで前のように動けるようにはなったんだけどね。
この体のせいか国の連中は恐れだしたようだ。
まあ見た感じがこんなにも恐ろしいことになっているなんて予想だに出来まい
こうして僕と国の連中はデータ転送と物を運ぶだけのエレベーターによるやり取りになった
逆にこっちもやりやすい環境になったのは言うまでも無い
君たちは今何をしてるんだい?半年前に言った事を忘れたのかい?
こっちは何も変わらないよ!
せっかく君たちに有益な理論とそれに基づいた製品を作って用意してるのに何で何もしてくれないんだ!
もう少しだけ待つから、早急にこの世界から僕を出してくれ。
〜一年後〜
おい!いったい何がおきたんだ?
国の連中がデータのやり取りも物品の搬入も何もしてくれなくなったぞ!
外の世界はどうなったんだ?
もう一週間は何も無い。
このままだと俺は1ヶ月と23日で飢え死にしてしまう。
だから国との約束を破って新しいロボットを作った。
それはこの暗い世界から外の世界を探査、必要な資材・食料調達をするロボットだ。
それともう一つバッテリーと太陽発電の2電源からなる情報収集ロボットだ。
この2台によって僕は外界を知ることとなるだろう。
さて、久しぶりの世界はどうなったか眺めてやるか…
〜一ヵ月後〜
なんてことだ…
今何人の人間が生きているんだ?
そもそもこれほどの戦争が起きた理由は一体何なんだ?
こうも人間がいないのでは原因が分からないじゃないか?
ロボットが資材・食料を絶えず運んでくれるから生きていくには問題無いが
情報収集ロボは一向に人っ子一人発見しない。
これで主要な国は探しつくしたが、どこにいるんだ?人間は?
〜半年後〜
ここもだめか…未開の地ならもしかしているかもと思ったんだが
まさか宇宙に移住したのか?いや、そのようなことならば僕に連絡の一つも来るはずだ。
なぜなら私を養うのは国家的プロジェクトなのだから
う〜む、こうなったら探索機を早急に作って調査しなくちゃいけないな
〜半年後〜
だめだ火星にも月にもステーションにもいない
やはり人間は死滅したのか?
とりあえず地上・海中をくまなく探すしかないな…
〜二年後〜
ん?レーダーに生物反応が出たぞ!
これは集団でいるようだ。もしかしたら人間かもしれない。
とりあえず数週間は遠巻きに様子を見るとするか
〜三週間後〜
30人の人間が一つのムラを形成しているのか…
自給自足も出来ているし、どうやら戦争の生き残りと見るべきだろう。
早くこの原因を聞かなくては!
明日ロボットにコンタクトをとらせよう。
〜次の日〜
戦争は貴様のせいだ?ハッ!何を言っている!
外界に接することの無いこの俺がどうして戦争の原因になるんだよ、野蛮人が!
ったく、国家機密のはずの存在の俺がどうして外国に…待てよ
まさか…
〜次の日〜
なんてことだ一人の地底人の所有権を争って地上に存在する人間が殺しあうとは…
今まで知らない君たちに話しかけていたのにその君たちもこの世にはいないんだね…
今まで僕は考えるだけで楽しかった。
でも、その結果を有効に利用してその感想を述べてくれる人間はもういない…
ごくわずかに残った人間達は僕の存在を頑なに否定してるからもうコンタクトを取ることも出来ないだろう
じゃあ、この僕はどうやって生きていくんだ!
このあふれ出る知識はどのようにして生かせばいいんだよ。
栄養源さえあればもう永遠に生きながらえるようになったのに…
このアイディアさえも誰とも共有できないじゃないか!
こうして宇宙が収縮して僕が消滅するまでこんな事を続けなきゃいけないのか!
生まれてこなければ良かった…
何故あの時僕は国の誘いを受けたんだ…
何故なんだ…
〜数ヵ月後(ラストコンタクト)〜
僕は君たちの元に逝こうと思う。
もう、考えることをやめることにした。
だって、誰もいないんだもん。
でも、僕は残った30人を救うために補助用ロボットと僕の分身のロボットを数台作った。
これであの人たちは大きな発展を遂げ、いずれは僕が生まれた頃の文明を取り戻せるに違いない
でも僕は死のうと思う。
だって、またすばらしい文明が消えては困るから
そう思ってこのロボット達には自分達の役目を終えたら自己解体し自爆するシステムを導入した。
それともう一つ、これが僕の最期の発明
未来の僕を殺すロボット
後の未来に生まれてくる可能性のある第二の僕を殺すロボット
もう二度とこの世界がこんな目に会わなくても良いようにする為の…
これで僕は旅支度が出来たよ。
やっと、やっと君たちに逢えるんだね。
今までありがとう介護用ロボ
さあ、僕のこの大きな玉葱を一思いに砕いておくれ
さあ…
