うちゅうじんを見てみよう

南極宇宙塵の場合
南極宇宙塵の試料は日本隊が南極から持ち帰ったものを使用しています。持ち帰られたものは国立極地研究所に冷凍保存されています。

1、南極宇宙塵は南極の青氷中にあります。青氷を溶かした水をフィルタリングして引っかかっているものを蒸留水で洗浄・乾燥して得られる試料中には宇宙塵候補のほか、金属の溶接球・破片、モレーン起源の石英・長石・雲母・岩石片の粒子、火山灰、繊維の欠片などが入っています。そのためできるだけ宇宙塵候補以外のものから宇宙塵らしきものを選び出していかなければなりません。

 宇宙塵の選別
・双眼実体顕微鏡での選別
極細の油彩筆に蒸留水を適度に含ませ,筆先に宇宙塵候補を付着させることで試料の拾い出しを実体顕微鏡下で行った。まず、宇宙塵ではない粒子を排除した。宇宙塵ではない粒子は金属片やビニール片、繊維などである。金属片は光沢があるものはすべて、変質したものでも薄い板状であるもの、細長い削りかす状のものがそれに相当する。特に光沢のある細長い削りかす状のものは試料を処理する際に混入したステンレスフィルタの欠片である。不透明の青やオレンジなどで発色の鮮やかなものはビニール片やプラスチックである。プラスチックの破片は多くの場合、平らに割れた面が見える。細長い白いものは衣類や試料を処理する際に使用したキムワイプなどの繊維が作業中に混入したものである。但し、衣類から出る繊維は染料の色によるので白のみではない。
次に宇宙塵である可能性が低い粒子から排除していく。宇宙塵には大きく分けて、非溶融の不定形のものと溶融したスフェルールがある。スフェルールはほぼ球状の粒子であるので球状に近い粒子は拾った。しかし、顕著な金属光沢のあるものは殆どがステンレス・真鋳などの合金の溶接球であるためスフェルールである可能性は低いので排除した。黒い球状の粒子はスフェルールである可能性が無視できないため拾った。また、溶接球は金属が急冷却されているため一箇所(もしくは数箇所)が平らになっていたり、いくつかの粒子が接着していたりするので実体顕微鏡下で確認できる限りは排除した。透明な球状の粒子がいくつかあったが定性分析から可能性が低いことがわかった。スフェルールは比較的大きい粒子である可能性が高いが、今回はかなり小さな球状粒子まで拾った。一方、不定形の宇宙塵に決まった形はないので、可能性の低い粒子を除いたものを中心に拾った。粒子が赤褐色のものは赤錆である可能性が高いので排除した。黒っぽい粒子であっても筆でつついてすぐに崩れるものは錆である可能性が高いので排除した。岩石・鉱物の破片は表面が平ら(ガラス破片の表面の状態)になっているので、実体顕微鏡でわかる範囲で排除し、シャーレによっては褐色半透明の粒子が多く入っており、その粒子をランダムに分析したところ殆どが火山灰であったため、そのシャーレ中においては同様の粒子は排除した。
回収した試料はシャーレからカーボンで作ったフォルダーの上に並べていく。

2、宇宙塵候補を拾い出したら定性分析でどのような組成なのかを調べます。
・走査電子顕微鏡(SEM)での観察及びEDS分析
反射電子像の最小倍率(X50)で観察すると、ビニール片、煤、カーボンの台から出た炭素の塊は周りの粒子よりもかなり暗く見えるため宇宙塵ではないことがわかる。
また、白く見えるものは金属で構成される粒子であるので球状でなければ宇宙塵の可能性はほぼない。球状でも一箇所(もしくは数箇所)が平らになっているようであれば急速冷却された溶接球である。
白く見えて球状であればI-typeスフェルールの可能性があるので表面観察を行い樹枝状結晶(dendrite)が出ているかを観る。出ていないものは急速冷却した金属で溶接球である。出ていれば定性分析を行って、Fe・Niのみが出ていればISの候補である。今回はFeのみの場合でも宇宙塵候補とした。Fe・Niの他にCrやCu・Znがでているならそれぞれステンレス、真鋳、トタンである。
白くない球状の粒子でも、S-typeスフェルールの可能性がある。不定形や球状の粒子で、定性分析を行って、スペクトルのピークがMg・Si・Feに特に大きく出るような場合は宇宙塵である可能性が大きい。但し、MgのピークよりもAlやCaのピークが大きく出ていたりNaやKのピークが出ていたりする場合は火山灰である可能性が大きい。不定形の宇宙塵はスコリア質の表面がみられることがある。
3、選別基準
まず,粒子の形をみて不定形な粒子である場合は,スペクトルのピークにFe,Si,Mgが特に大きく出ているかをどうかみる。すなわち,コンドライト的な化学組成かどうかの判断をした。不定形の微隕石は,Fe,Si,Mgの大きなピークを持ち,おおまかにはコンドライト的な組成であると推定される。その他Al,S,Caのピークがみられることもある。出ていない場合は不定形な金属屑や煤などである。これらのピークが大きく出ている場合はその他のピークをみる。AlやCaのピークがMgより大きく出ている場合で,Feのピークも小さなものは火山灰とみなした。そうでない粒子を不定形の宇宙塵候補として分類した。表面の状態によって更に分けることができる。  粒子の形状が球状である場合も同様に,まず,スペクトルのピークにFe,Si,Mgが特に大きく出ているかどうかをみた。これらの出ている場合はSタイプスフェルールとした。これらのピークが出ていない場合はFeのみのピークか,FeとNi以外のピークが出ていないかどうかをみる。これらの元素以外のピークが出ていない場合で,かつ,表面におそらくマグネタイトと思われる結晶が認められたものについてはIタイプスフェルールと分類した。表面に結晶がない場合は溶接球とした。また,FeとNi以外のピークが出ている場合で,MgとSiの大きいピークが出ているかどうかをみる。すなわち,SタイプスフェルールににているがFeのピークが非常に小さなものかどうかをみる。そのような粒子はGタイプスフェルールとした。Gタイプスフェルールは実体顕微鏡かでは非常に滑らかな表面を持ち透明である。

こうして拾い出された宇宙塵は更にいろいろな分析にかけられます。


不定形
不定形上のものよりも粗粒な結晶でできている。
Iタイプスフェルール
Sタイプスフェルール組成は不定形に近い。
Sタイプスフェルール
Gタイプスフェルール肉眼で見ると透明。色付もある。

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