看護形態機能学IV試験問題 山田幸宏 平成9年(1997年)12月1日
正解を一つ選び,その番号を看護形態機能学IV答案用紙に記入して下さい.
(問題1.)糖質について正しいのはどれですか.
1.ピルビン酸は酸素の供給が不十分であるとミトコンドリアのマトリックス(基質)へ移行し,アセチル補酵素A(アセチルCoA)に変化したあと,クエン酸回路(tricarboxylic acid cycle, TCA)へはいる.
2.グルコースを利用する経路としてアデノシン三リン酸(adenosine triphosphate,
ATP)を産生する解糖系,還元型ニコチンアミドジヌクレオチドリン酸(reduced NADP, nicotinamide
adenine dinucleotide phosphate, NADPH)を供給し, DNAやRNA合成系にペントースを供給するペントース(pentose五炭糖)リン酸回路,グリコーゲンの合成と貯蔵の3つがある.
3.肝臓でのグリコーゲンの合成はグルコースがグルコキナーゼにより,グルコース-6-リン酸(G6P)になり,細胞内のATPの濃度が高いときには解糖反応は亢進し,グリコーゲン合成の方向へ進む.
4.糖質は大部分がエネルギー源として利用されるが,一部胆嚢でアセチールCoA,マロニールCoAから脂肪に変換される.
5.オリゴ糖oligosaccharideは単糖がペプチド結合peptide bondしたものである.
(問題2.)蛋白質について正しいのはどれですか.
1.グルタミン酸はグルタミン酸脱水素酵素によりαケトグルタミン酸になり,アミノ基はアンモニアとなり,アンモニアは肝にて尿素回路により処理され尿素になる.
2.アミノ酸がそのカルボキシル基を失って,エピネフリンなどのアミンとなる反応をカルボキシル基(炭酸)反応という.
3.蛋白質は蛋白質分解酵素や,蛋白質キナーゼprotein kinaseにより分解される.
4.糖原性アミノ酸はクエン酸回路に入り,ATPを産生し,糖分解が行われる.
5.1つのアミノ酸のアミノ基がαケト酸に移され,新しいアミノ酸をつくり,もとのアミノ酸の炭素骨格がケト酸になるのがアミノ酸転移transamination反応である.
(問題3.)脂質について正しいのはどれですか.
1.脂肪酸のβ酸化によって生じたアセチルCoAはクエン酸回路へ入り,エネルギー消費を行う.
2.糖脂質であるアラキドン酸からプロスタグランジン,トロンボキサン,ロイコトリエンなどがつくられる.
3.トリグリセリドtriglycerideが分解すると脂肪とグリセロールを生じる.
4.高比重リポタンパク質(high-density lipoprotein, HDL)は動脈硬化促進因子である.
5.カイロミクロン(chylomicron)は小腸粘膜上皮から吸収されてリンパ管を通り,さらに血中へ移行し,肝臓,脂肪組織などに取り込まれる.
(問題4.)血色素(ヘモグロビンhemoglobin)について正しいのはどれですか.
l.ヘムの鉄に酸素が結合しているヘモグロビンを酸化ヘモグロビン(メトヘモグロビンmethemoglobin)という.
2.ヘムの鉄に水素が結合しているヘモグロビンを還元ヘモグロビン(デオキシヘモグロビンdeoxyhemoglobin)という.
3.成人ヘモグロビン(ヘモグロビンA,HbA)のほうが胎児ヘモグロビン(ヘモグロビンF,HbF)よりも酸素に対する親和性が強い.
4.ヘモグロビンが分解されると胆汁色素bile pigmentがつくられる.
5.成人ではヘモグロビンは肝でつくられる.
(問題5.)ホルモンについて正しいのはどれですか.
1.副甲状腺ホルモンparathyroid hormoneは血中のリンの濃度を高め,カルシウムの濃度を低下させる作用がある.
2.血中に副腎皮質ホルモン(コルチコステロイドcorticosteroid,コルチコイドcorticoid)が減少すると副腎皮質刺激ホルモン(adrenocorticotropic
hormone,ACTH)産生は減少する.
3.子宮内膜はエストロゲンの作用により増殖期となる.
4.甲状腺ホルモンは脂質代謝を亢進させる作用があるので,甲状腺ホルモンが過剰になると血中コレステロール値は上昇する.
5. 鉱質コルチコイドmineralocorticoidであるアルドステロンaldosteroneは腎尿細管においてナトリウムの再吸収を抑制し,カリウムの排泄を低下させる作用がある.
看護形態機能学IV答案用紙(解答例) 山田幸宏 平成9年(1997年)12月1日
問題1. 2 問題2. 1 問題3. 5 問題4. 4 問題5. 3
問題6. DNAの転写transcriptionと翻訳translationの機序(mechanism)について記述(describe)して下さい.DNA(deoxyribonucleic acid)の遺伝情報はまず核内で伝令RNA messenger ribonucleic acid (mRNA)の塩基配列として写し取られて,細胞質に運ばれ,それに基づいて細胞質で蛋白質が合成される. mRNAはDNAの暗号鎖と同一塩基配列であり,鋳型鎖の相補的complementary な写しとなっている. mRNAではDNAでT(チミン)で会った部分はU(ウラシル)におきかわっている.この mRNA合成過程を転写transcriptionという.転写はDNAの塩基配列にある,転写の開始部位と終結信号に従って行われる.転写の開始信号より上流には転写を促進するプロモーターpromoterと呼ばれる塩基配列がある. mRNAはキャップ構造の形成およびイントロンintronが切り落とされ, エキソンexonがつなぎあうスプライシングsplicingなどの処理processingを受けて,蛋白質の遺伝情報をもった分子としての機能を有することができる. mRNAが運んできた情報はリボゾーム上でアミノ酸配列に読みかえられ,ポリペプチドがつくられる.この過程を翻訳translationという.
問題7. 免疫担当細胞(immunocompetent
cell)の機能(function)について記述(describe)して下さい.(1)マクロファージは大型の細胞で貪食能,食作用があり, 異物などを処理してT細胞に抗原を提示する,抗原提示細胞(antigen presenting
cell, APC) として働きがある.組織に存在するマクロファージとして,結合組織には組織球histiocyte, 肝では,クッパー細胞Kupffer cell, 肺では肺胞マクロファージ(塵埃細胞),骨では破骨細胞osteoclast,脳では小膠細胞microgliaなどが存在する.マクロファージは インターリュウキン1(interleukin 1)などのサイトカイン cytokineを産生し,T細胞などに情報を与える.抗原提示細胞として皮膚にはランゲルハンス細胞Langerhans cell,胸腺thymus, リンパ節lymph nodesでは相互連結細胞interdigitating cellなどの樹状細胞dendritic cellが存在する.(2)リンパ球にはT細胞,B細胞およびnatural killer(NK)細胞の3種類がある.T細胞は胸腺由来の細胞であり,細胞性免疫cellular immunityを担う.T細胞はCD(cluster of
differentiation)2, CD3, T細胞抗原レセプター T cell antigen
receptor(TCR)などを保有し,TCRによって,APCにより提示された抗原を認識する.抗原と反応すると芽球化しblastogenesis,活性物質を放出して反応局所にマクロファージなどの細胞浸潤をもたらし,遅延型過敏反応delayed type
hypersensitivityを引き起こす.T細胞にはCD4陽性のhelper/inducer T細胞とCD8陽性のcytotoxic/suppressor T細胞が存在する.CD4陽性 T細胞は B細胞の免疫グロブリン産生immunoglobulin productionを助け,CD8陽性T細胞はCD4陽性 T細胞に抑制的に働き B細胞の免疫グロブリン産生を抑制する.CD4陽性 T細胞にはinterleukin 2,
interleukin 12, interferon γなどにより活性化されるhelper 1型(Th1)細胞と,interleukin 4,
interleukin 6, interleukin 10などにより活性化されるhelper 2型(Th2)細胞がある.また,CD4陽性T細胞には,抗原の感作を受けていないnaive T細胞と,抗原の感作を受けているmemory T細胞とが存在する.B細胞は免疫グロブリン産生細胞immunoglobulin
secreting cells(形質細胞plasma cell)に分化differentiationし,免疫グロブリンを産生する.NK細胞は感作されることなしにウイルス感染細胞,腫瘍細胞を障害する.NK細胞は大顆粒リンパ球large granular lymphocyte, LGLの形態をしている.NK細胞はT細胞が保有するTCRあるいはB細胞が保有する表面免疫グロブリンは保有していない.
看護形態機能学IV追試験解答例 山田幸宏 平成9年(1997年)12月8日
問題1.細胞小器官(cell organella or
organelles)について記述(describe)して下さい.細胞は細胞質cytoplasmと核から構成されており,細胞膜 plasma membrane(形質膜あるいは原形質膜)で囲まれている.細胞質に特定の形態と機能を持つ構造物が存在している.これらを細胞小器官 cell organella あるいは細胞内小器官とよぶ.細胞小器官には(1)小胞体endoplasmic reticulum(2)リボソームribosome(3)ゴルジ装置Golgi body or apparatusあるいは ゴルジ複合体Golgi complex(4)中心体 あるいは中心小体centrosome or cell center(5)ミトコンドリアmitochondria あるいは糸粒体(6)リソソームあるいは水解小体lysosome(7)核nucleusなどが存在する.通常細胞膜は細胞小器官には含めないが,細胞を構成する成分としては,情報伝達などにおいてもきわめて重要である.(1)小胞体は細胞質内に張りめぐらされたトンネル状の小腔であり,細胞膜とよく似た構造をもっている.多くの リボソームが付着したものを粗面小胞体rough endoplasmic reticulum , 付着していないものを滑面小胞体Smooth endoplasmic reticulum とよぶ.粗面小胞体では多くの分泌蛋白質が合成され, ゴルジ装置に集められて修飾を受けた後,分泌顆粒となって細胞外へ分泌される.(2)リボソームはリボ核蛋白粒子(RNAと リボソーム蛋白質から構成されている)であり,蛋白質を合成する.細胞内には 小胞体に結合した リボソームと遊離 リボソームがあるが,これらは異なる種類の蛋白質を合成していると考えられている.(3)ゴルジ装置は偏平な嚢の積み重ねとまわりの小胞集団とからなり,細胞から分泌される物質などに対して,糖鎖を結合させ, ゴルジ装置を出た蛋白質は,細胞膜,分泌顆粒あるいは リソソームなどの固有の行き先に向けて分かれて行く.(4)中心体は細胞質における運動を担当し,微小管microtubuleから構成され,微小管形成 中心Microtubule
organizing centerとも呼ばれる.核分裂の時には, 中心体から伸びるチューブリンと呼ばれる細胞骨格蛋白質により,染色体が両極へ引き寄せられる.(5)ミトコンドリアは二重膜に囲まれており,内胞は隔壁cristaeによって仕切られている.多くの呼吸酵素をもっており,細胞内の主なエネルギー,Adenosine
triphosphate, ATPの供給源として働いている.(6)リソソームは球形の小体で,多くの加水分解酵素を含む.細胞が外から取り込んだものを消化したり,自分自信が死んだときに,自己消化を起こすために使われる.貪色細胞では,それ自体が,異物を取り込んだ食胞Food vacuoleと融合する.(7)核はDNAを含み,その中で,DNAの複製replicationや転写Transcription, RNAのプロセシング, リボソームの組み立てなどの機能を営む.核は二重層から成る核膜nuclear membrane or nuclear envelopeによって囲まれているが,その内側の膜にはクロマチンや核小体の一部が結合しており,外側の膜は,小胞体に続いている.核膜には核膜孔があいており,核内外の出入り口と考えられている.RNAは核膜孔を通って細胞質へ運ばれ,規定のアミノ酸配列を持つ蛋白質が合成される(翻訳translation).核内には核小体nucleolusと呼ばれる,小体が存在し,リボソームを組み立てている.
問題2. 腸肝循環(enterohepatic
circulation)について記述(describe)して下さい.
腸肝循環は生体に存在する重要な生理機構であり,肝から胆汁に排泄された物質が腸管に達した後,腸から吸収され,門脈を経て肝にもどり,ふたたび肝から排泄を繰り返す流れのことをいう.胆汁酸(bile acid), 胆汁色素(bile pigment)などが 腸肝循環を行っている.胆汁酸は界面活性作用により脂肪の消化と吸収を促進するが,生体は胆汁酸を 腸肝循環にとじこめ効率良く利用し,また門脈から肝にもどる胆汁酸量によって肝での胆汁酸合成をネガティブフィードバック機構により調節し,さらにコレステロール合成の律速酵素であるヒドロキシメチルグルタリルCoA(HMG-CoA)還元酵素に影響を与え,コレステロール代謝を調節する.血色素(ヘモグロビンhemoglobin)は胆汁色素により分解される.グロビンと鉄を離してビリベルジンbiliverdinとなり,腸内細菌により還元されてビリルビンbilirubinとなる.
問題3. サイトカイン(cytokine)について記述(describe)して下さい.
活性化されたリンパ球が産生し,他の細胞に作用する物質をリンホカインlymphokineといい,単球,マクロファージの産生する物質をモノカインmonokineといい, それらをあわせたものをサイトカインという.サイトカインの遺伝子が単離同定されて物質として確立されたものを,とくにインターリュウキンinterleukinという.サイトカインの多くは糖蛋白質で,それに対する受容体(レセプターreceptor)をもつ細胞にのみ作用し,その細胞の増殖,機能の発現,分化などを誘導する.きわめて微量で作用を示す.ホルモンは遠隔部の細胞に作用するが, サイトカインは産生細胞自身や,近くの細胞に作用する. サイトカインのうち,好中球を遊走させるinterleukin 8などを特にケモカインchemokineと呼ぶ.Interleukin 1はnatural killer細胞,マクロファージから分泌され,T細胞,B細胞,natural killer細胞の増殖,機能発現を助け,また内因性発熱物質としても働く.Interleukin 2は活性化されたnatural killer細胞 ,T細胞から産生され,natural killer細胞 ,T細胞の増殖を誘導する.
看護形態機能学IV試験問題 山田幸宏 平成11年(1999年)2月8日
正解を一つ選び,その番号を看護形態機能学IV答案用紙に記入して下さい.
(問題1.)糖質saccharideについて正しいのはどれですか.
1.ピルビン酸pyruvateは酸素の供給が十分であるとミトコンドリアの内膜inner
membraneへ移行し,アセチル補酵素A(acetyl coenzyme A, acetyl CoA)に変化したあと,クエン酸回路(tricarboxylic acid cycle, TCA)へはいる.
2.ショ糖(スクロースsucrose)を利用する経路としてアデノシン三リン酸(adenosine
triphosphate, ATP)を産生する解糖系,還元型ニコチンアミドジヌクレオチドリン酸(reduced NADP, nicotinamide
adenine dinucleotide phosphate, NADPH)を供給し,DNAやRNA合成系にペントースを供給するペントース(pentose五炭糖)リン酸回路,糖原(グリコーゲンglycogen)の合成と貯蔵の3つがある.
3.肝liverでのグリコーゲンの分解はグルコーゲンホスホリラーゼglycogen
phosphorylaseにはじまり,グルコース-1-リン酸(G1P), グルコース-6-リン酸(G6P)を生じ,G6Pはグルコース-6-フォスファターゼ(G6Pase)によりグルコースとなる.
4.脂肪酸はミトコンドリア内でアセチルCoA,マロニールCoAから合成され,脂肪酸のβ酸化は細胞質でおこる.
5.オリゴペプチドoligopeptideは単糖がペプチド結合peptide bondしたものである.
(問題2.)蛋白質proteinについて正しいのはどれですか.
1.グルタミン酸glutamateはグルタミン酸脱水素酵素glutamate
dehydrogenaseによりαケトグルタル酸になり,アミノ基はアンモニアとなり,アンモニアは腎にて尿素回路urea cycle,
ornithine cycle, Krebs-Henseleit cycleにより処理され尿素ureaになる.
2.1つのアミノ酸のアミノ基がαケト酸に移され,新しいアミノ酸をつくり,もとのアミノ酸の炭素骨格がケト酸になるのがアミノ基転移transamination反応である.
3.蛋白質は胃底腺の壁細胞から分泌される塩酸により変性することから胃における消化がはじまるが,塩酸の分泌は,ヒスタミンhistamine,セロトニンserotonin,アセチルコリンacetylcholine,ガストリンgastrinにより抑制される.
4.アミノ酸から離脱したアミノ基は,再利用されるときは肝のミトコンドリアmitochondria内で尿素回路によりアンモニアを尿素に変換して解毒する.
5.アミノ酸がそのαアミノ基を失って,ヒスタミン,セロトニン,γアミノ酪酸,エピネフリンなどのアミンとなる反応を脱カルボキシル基(炭酸)decarboxylation反応という.
(問題3.)脂質lipidについて正しいのはどれですか.
1.ミトコンドリアmitochondriaの内膜が囲むマトリックスmatrixには,脂肪酸のβ酸化をおこなう酵素が存在し,エネルギー消費を行う.
2.リン脂質であるアラキドン酸からプロスタグランジンprostaglandin,トロンボキサンthromboxane,ロイコトリエンleukotriene, アスピリンaspirinなどがつくられる.
3.遊離コレステロールの濃度が高くなると,HMG-CoA還元酵素hydroxy-methylglutaryl
coenzyme Aの働きを活発にしてコレステロールの新たな合成を抑える.
4.高密度リポタンパク質(high-density lipoprotein, HDL)はコレステロールを分子内にとりこみ,肝で血色素に代謝して胆汁へ排泄するので抗動脈硬化作用がある.
5.血液型blood
typeの糖脂質glycolipid分子の糖鎖は,脂質二重層の外表面に出ており,抗原性を持っている.
(問題4.)血色素(ヘモグロビンhemoglobin)について正しいのはどれですか.
l.ヘムhemeの鉄に酸素が結合しているヘモグロビンを酸化ヘモグロビンoxidized
hemoglobin(メトヘモグロビンmethemoglobin)という.
2.ヘムの鉄に水素が結合しているヘモグロビンを還元ヘモグロビン(デオキシヘモグロビンdeoxyhemoglobin)という.
3.ヘモグロビンが分解されると胆汁色素bile pigmentがつくられ,肝でアルブミンと抱合し,間接ビリルビンとなり,水溶性となる.
4.成人ヘモグロビン(ヘモグロビンA,HbA)のほうが,胎児ヘモグロビン(ヘモグロビンF,HbF)よりも酸素に対する親和性が弱い.
5.糖尿病Diabetes
Mellitus では成人ヘモグロビンA(HbA)と胎児ヘモグロビンA(HbF)が増加する.
(問題5.)ホルモン hormoneについて正しいのはどれですか.
1.副甲状腺ホルモンparathyroid hormoneは血中のカルシウムの濃度を高め,リンの濃度を低下させる作用がある.
2.血中に副腎皮質ホルモン(コルチコステロイドcorticosteroid,コルチコイドcorticoid)が減少すると副腎皮質刺激ホルモン(adrenocorticotropic
hormone,ACTH)産生は減少する.
3.子宮内膜は黄体ホルモンprogesteroneの作用により増殖期となる.
4.甲状腺ホルモンthyroid hormoneは脂質代謝を亢進させる作用があるので,甲状腺ホルモンが過剰になると血中コレステロール値は上昇する.
5. 鉱質コルチコイドmineralocorticoidであるアルドステロンaldosteroneは腎尿細管renal tubuleにおいてナトリウムの再吸収reabsorptionを抑制し,カリウムの排泄を低下させる作用がある.
看護形態機能学IV答案用紙(解答例) 山田幸宏 平成11年(1999年)2月8日
問題1. 3 問題2. 2 問題3. 5 問題4. 4 問題5. 1
(問題6.) DNA(deoxyribonucleic acid)の複製(replication)はどのように行われるのか記述(describe)して下さい.細胞の分裂に先だってまずDNAが合成されるが,それまでのDNAと完全に同一であるのでこのDNA生合成反応を複製という.複製の過程ではあらかじめ存在していたDNAの2本鎖chainがほどけ,それぞれに相補的complementary な鎖がつくられる.これは新しくできたDNAは,あらかじめ存在していた鎖と完全に相補的であるので,半保存的複製semidiscontinuous
DNA replicationである.新しくつくられる鎖の素材は,塩基と3個のリン酸を持つATPなどに相当する, デオキシリボヌクレオシド三リン酸deoxyribonucleoside
5'-triphosphate, dXTP(2'-deoxyadenosine triphosphate:dATP, 2'-deoxyguanosine
triphosphate:dGTP, 2'-deoxycytidine triphosphate: dCTP, 2'-deoxythymidine
triphosphate:dTTP )である.DNAポリメラーゼDNA polymerase により,すでに存在する鎖に相補的な塩基を持ったものが,順に5’から3’の方向にホスホジエステル結合phophodiester bondをつくっていく.複製反応のおきているフォーク部分replication forkでは,連続的に合成されるリーディング鎖leading strandと,不連続的に合成されるラギング鎖lagging strandが存在する.ラギング鎖の複製中につくられる短いDNAの断片を岡崎フラグメントOkazaki fragmentといい,これをつなぎあわせる酵素をDNAリガーゼという.複製単位はレプリコンrepliconという.体細胞であってもT細胞やB細胞では,遺伝子の再編成,組換えrecombination, 体細胞変異somatic mutationが起こり,免疫システムimmune systemの多様性heterogeneityが生じている.
(問題7.)サイトカイン(cytokine)について記述して下さい.活性化activationされたリンパ球が産生productionし,他の細胞に作用する物質をリンホカインlymphokineといい,単球monocyte,マクロファージmacrophageの産生する物質をモノカインmonokineといい, それらを合わせたものをサイトカイン cytokine という.サイトカインの遺伝子geneが単離同定されて物質として確立されたものを,とくにインターリュウキンinterleukinという.サイトカインの多くは糖蛋白質glycolipidで,それに対する受容体(レセプターreceptor)を持つ細胞にのみ作用し,その細胞の増殖proliferation,機能functionの発現,分化differentiationなどを誘導inductionする.きわめて微量で作用を示す.ホルモンは遠隔部の細胞に作用するが, サイトカインは産生細胞自身や,近くの細胞に作用する. サイトカインのうち,好中球neutrophilを遊走させるinterleukin 8などを特にケモカインchemokineと呼ぶ.Interleukin 1はnatural killer細胞,マクロファージから分泌され,T細胞,B細胞,natural killer細胞の増殖,機能発現を助け,また視床下部前部,視索前野領域に内因性発熱物質endogenous pyrogenとして作用し,プロスタグランジンprostaglandinの産生を促進する.Interleukin 2は活性化されたnatural killer細胞 ,T細胞から産生され,natural killer細胞 ,T細胞の増殖を誘導する.Interleukin 3は造血幹細胞hematopoietic stem
cell, 多能性幹細胞pluripotent stem cellを分化differentiationさせる.Interleukin 12
(IL-12)はヘルパーT細胞helper
T cell(CD4 T細胞)1型,Th1を,Interleukin 4 (IL-4)はヘルパーT細胞helper T cell(CD4 T細胞)2型,Th2をそれぞれ誘導する.Th1細胞はIL-2, TNF, インターフェロンγ(interferonγ, IFNγ)を産生して細胞性免疫を担い,Th2細胞はIL-4, IL-5, IL-6を産生して細胞性免疫を担う.IFNγは活性化されたヘルパーT細胞helper T cell(CD4 T細胞)から産生され, マクロファージに作用して貪食phagocytosis, 殺菌killing作用を発現させる.腫瘍壊死因子tumor necrosis
factor, TNFは腫瘍細胞tumor cellに対して,細胞障害性cytotoxicityを発揮する.またTNFは TNF receptorを発現している細胞のアポトーシスapoptosis(プログラムさせた細胞死programmed cell death)を誘導する.
看護形態機能学IV試験問題 山田幸宏 平成11年(1999年)11月29日
正解を一つ選び,その番号を看護形態機能学IV答案用紙に記入して下さい.
(問題1.)糖質について正しいのはどれですか.
1.ピルビン酸は酸素の供給が不十分であるとミトコンドリアのマトリックス(基質)へ移行し,アセチル補酵素A(acetyl coenzyme A, acetyl CoA)に変化したあと,クエン酸回路(tricarboxylic acid cycle, TCA)へはいる.
2.グルコースを利用する経路としてアデノシン三リン酸(adenosine triphosphate,
ATP)を産生する解糖系,還元型ニコチンアミドジヌクレオチドリン酸(reduced NADP, nicotinamide
adenine dinucleotide phosphate, NADPH)を供給し,DNAやRNA合成系にペントースを供給するペントース(pentose五炭糖)リン酸回路,グリコーゲンの合成と貯蔵の3つがある.
3.肝臓でのグリコーゲンの合成はグルコースがグルコキナーゼにより,グルコース-6-リン酸(G6P)になり,細胞内のATPの濃度が高いときには解糖反応は亢進し,グリコーゲン合成の方向へ進む.
4.糖質は大部分がエネルギー源として利用されるが,一部胆嚢でアセチールCoA,マロニールCoAから脂肪に変換される.
5.オリゴ糖oligosaccharideは単糖がペプチド結合peptide bondしたものである.
(問題2.)蛋白質について正しいのはどれですか.
1.グルタミン酸はグルタミン酸脱水素酵素によりαケトグルタミン酸になり,アミノ基はアンモニアとなり,アンモニアは肝にて尿素回路により処理され尿素になる.
2.アミノ酸がそのカルボキシル基を失って,エピネフリンなどのアミンとなる反応をカルボキシル基(炭酸)反応という.
3.蛋白質は蛋白質分解酵素や,蛋白質キナーゼprotein kinaseにより分解される.
4.糖原性アミノ酸はクエン酸回路に入り,ATPを産生し,糖分解が行われる.
5.1つのアミノ酸のアミノ基がαケト酸に移され,新しいアミノ酸をつくり,もとのアミノ酸の炭素骨格がケト酸になるのがアミノ酸転移transamination反応である.
(問題3.)脂質について正しいのはどれですか.
1.脂肪酸のβ酸化によって生じたアセチルCoAはクエン酸回路へ入り,エネルギー消費を行う.
2.リン脂質phopholipidを構成するアラキドン酸arachidonic acidからシクロオキシゲナーゼcyclooxygenaseによりプロスタグランジンprostaglandin,トロンボキサンthromboxaneが,リポキシゲナーゼlipoxygenaseによりロイコトリエンleukotrieneがつくられる.
3.トリグリセリドtriglycerideが分解すると脂肪とグリセロールを生じる.
4.高密度リポタンパク質(high-density lipoprotein, HDL)は動脈硬化促進因子である.
5.カイロミクロン(chylomicron)は小腸粘膜上皮から吸収されてリンパ管を通り,胸管を経て右鎖骨下静脈へ移行し,肝臓,脂肪組織などに取り込まれる.
(問題4.)血液bloodについて正しいのはどれですか.
l.ヘムhemeの鉄に酸素が結合している 血色素(ヘモグロビンhemoglobin)を酸化ヘモグロビン(メトヘモグロビンmethemoglobin)という.
2.ヘムの鉄に水素が結合しているヘモグロビンを還元ヘモグロビン(デオキシヘモグロビンdeoxyhemoglobin)という.
3.成人ヘモグロビン(ヘモグロビンA,HbA)のほうが,胎児ヘモグロビン(ヘモグロビンF,HbF)よりも酸素に対する親和性が強い.
4.ヘモグロビンが分解されると胆汁色素bile pigment(ビリルビンbilirubin)がつくられ, 血清アルブミンと結合して直接directビリルビンとなり,さらに肝でグルクロン酸抱合glucuronidationされ 間接indirectビリルビンとなり胆汁中に分泌される.
5.成人ではヘモグロビンは骨髄でつくられる.
(問題5.)ホルモンについて正しいのはどれですか.
1.副甲状腺ホルモンparathyroid hormoneは血中のリンの濃度を高め,カルシウムの濃度を低下させる作用がある.
2.血中に副腎皮質ホルモン(コルチコステロイドcorticosteroid,コルチコイドcorticoid)が減少すると副腎皮質刺激ホルモン(adrenocorticotropic
hormone,ACTH)産生は減少する.
3.子宮内膜はエストロゲンの作用により増殖期となる.
4.甲状腺ホルモンは脂質代謝を亢進させる作用があるので,甲状腺ホルモンが過剰になると血中コレステロール値は上昇する.
5. 鉱質コルチコイドmineralocorticoidであるアルドステロンaldosteroneは腎尿細管においてナトリウムの再吸収を抑制し,カリウムの排泄を低下させる作用がある.
看護形態機能学IV験解答例 山田幸宏 平成11年(1999年)11月29日
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(問題6.) 免疫担当細胞(immunocompetent
cell)の機能(function)について記述(describe)して下さい.(1)マクロファージは大型の細胞で貪食能,食作用があり, 異物などを処理してT細胞に抗原を提示する,抗原提示細胞(antigen presenting
cell, APC) として働きがある.組織に存在するマクロファージとして,結合組織には組織球histiocyte, 肝では,クッパー細胞Kupffer cell, 肺では肺胞マクロファージ(塵埃細胞),骨では破骨細胞osteoclast,脳では小膠細胞microgliaなどが存在する.マクロファージは インターリュウキン1(interleukin 1)などのサイトカイン cytokineを産生し,T細胞などに情報を与える.抗原提示細胞として皮膚にはランゲルハンス細胞Langerhans cell,胸腺thymus, リンパ節lymph nodesでは相互連結細胞interdigitating cellなどの樹状細胞dendritic cellが存在する.(2)リンパ球にはT細胞,B細胞およびnatural killer(NK)細胞の3種類がある.T細胞は胸腺由来の細胞であり,細胞性免疫cellular immunityを担う.T細胞はCD(cluster of differentiation)2,
CD3,T細胞抗原レセプター T cell antigen receptor(TCR)などを保有し,TCRによって,APCにより提示された抗原を認識する.抗原と反応すると芽球化しblastogenesis,活性物質を放出して反応局所にマクロファージなどの細胞浸潤をもたらし,遅延型過敏反応delayed type
hypersensitivityを引き起こす.T細胞にはCD4陽性のhelper/inducer T細胞とCD8陽性のcytotoxic/suppressor T細胞が存在する.CD4陽性 T細胞は B細胞の免疫グロブリン産生immunoglobulin productionを助け,CD8陽性T細胞はCD4陽性 T細胞に抑制的に働き B細胞の免疫グロブリン産生を抑制する.CD4陽性 T細胞にはinterleukin 2,
interleukin 12, interferon γなどにより活性化されるhelper 1型(Th1)細胞と,interleukin 4,
interleukin 6, interleukin 10などにより活性化されるhelper 2型(Th2)細胞がある.また,CD4陽性T細胞には,抗原の感作を受けていないnaive T細胞と,抗原の感作を受けているmemory T細胞とが存在する.B細胞は免疫グロブリン産生細胞immunoglobulin
secreting cells(形質細胞plasma cell)に分化differentiationし,免疫グロブリンを産生する.NK細胞は感作されることなしにウイルス感染細胞,腫瘍細胞を障害する.NK細胞は大顆粒リンパ球large granular lymphocyte, LGLの形態をしている.NK細胞はT細胞が保有するTCRあるいはB細胞が保有する表面免疫グロブリンは保有していない.
問題7. 腸肝循環(enterohepatic
circulation)について記述(describe)して下さい.腸肝循環は生体に存在する重要な生理機構であり,肝liverから胆汁bileに排泄された物質が腸管に達した後,腸から吸収され,門脈portal veinを経て肝にもどり,ふたたび肝から排泄を繰り返す流れのことをいう.胆汁酸bile acid, 胆汁色素bile pigment(ビリルビンbilirubin)などが 腸肝循環を行っている.胆汁酸はコレステロールcholesterolの側鎖の切断によってできてくるが,肝で合成された胆汁酸はグリシンglycineあるいはタウリンtaurineと抱合して胆汁のなかに排泄される.腸管に排泄された抱合型の胆汁酸の大部分は再び吸収され,肝へ戻る.胆汁酸は界面活性作用surfactant,
detergentにより脂肪の消化と吸収を促進するが,生体は胆汁酸を 腸肝循環にとじこめ効率良く利用し,また門脈から肝にもどる胆汁酸量によって肝での胆汁酸合成をネガティブフィードバックnegative feedback機構により調節し,さらにコレステロール合成の律速酵素であるヒドロキシメチルグルタリルhydroxy-methylglutaryl
coenzyme A reductase(HMG-CoA)還元酵素に影響を与え,コレステロール代謝を調節する.血色素(ヘモグロビンhemoglobin)は胆汁により分解される.グロビンglobinと鉄を離してビリベルジンbiliverdinとなり,腸内細菌により還元されてビリルビンbilirubinとなる.
看護形態機能学IV試験問題 山田幸宏 平成12年(2000年)11月27日
正解を一つ選び,その番号を看護形態機能学IV答案用紙に記入して下さい.
(問題1.)糖質saccharideについて正しいのはどれですか.
1.ピルビン酸pyruvateは酸素の供給が十分であるとミトコンドリアのマトリックスmatrixへ移行し,アセチル補酵素A(acetyl coenzyme A, acetyl CoA)に変化したあと,クエン酸回路(tricarboxylic acid cycle, TCA)へはいる.
2.ショ糖(スクロースsucrose)を利用する経路としてアデノシン三リン酸(adenosine
triphosphate, ATP)を産生する解糖系,還元型ニコチンアミドジヌクレオチドリン酸(reduced NADP, nicotinamide
adenine dinucleotide phosphate, NADPH)を供給し,DNAやRNA合成系にペントースを供給するペントース(pentose五炭糖)リン酸回路,糖原(グリコーゲンglycogen)の合成と貯蔵の3つがある.
3.肝臓でのグリコーゲンの分解はグルコーゲンホスホリラーゼglycogen
phosphorylaseにはじまり,グルコース-6-リン酸(G6P), グルコース-1-リン酸(G1P)を生じ,G1Pはグルコース-1-フォスファターゼ(G1Pase)によりグルコースとなる.
4.脂肪酸はミトコンドリア内でアセチルCoA,マロニールCoAから合成され,脂肪酸のβ酸化は細胞質でおこる.
5.オリゴペプチドoligopeptideは単糖がペプチド結合peptide bondしたものである.
(問題2.)蛋白質proteinについて正しいのはどれですか.
1.グルタミン酸glutamateはグルタミン酸脱水素酵素glutamate
dehydrogenaseによりαケトグルタル酸になり,アミノ基はアンモニアとなり,アンモニアは腎にて尿素回路urea cycle, ornithine
cycle, Krebs-Henseleit cycleにより処理され尿素ureaになる.
2.1つのアミノ酸のアミノ基がαケト酸に移され,新しいアミノ酸をつくり,もとのアミノ酸の炭素骨格がケト酸になるのがアミノ基転移transamination反応である.
3.蛋白質は胃底腺の壁細胞から分泌される塩酸により変性することから胃における消化がはじまるが,塩酸の分泌は,ヒスタミンhistamine,セロトニンserotonin,アセチルコリンacetylcholine,ガストリンgastrinにより抑制される.
4.アミノ酸から離脱したアミノ基は,再利用されるときは肝のミトコンドリアmitochondria内で尿素回路によりアンモニアを尿素に変換して解毒する.
5.アミノ酸がそのαアミノ基を失って,ヒスタミン,セロトニン,γアミノ酪酸,エピネフリンなどのアミンとなる反応を脱カルボキシル基(炭酸)decarboxylation反応という.
(問題3.)脂質lipidについて正しいのはどれですか.
1.ミトコンドリアmitochondriaの内膜が囲むマトリックスmatrixには,脂肪酸のβ酸化をおこなう酵素が存在し,エネルギー消費を行う.
2.リン脂質であるアラキドン酸からプロスタグランジンprostaglandin,トロンボキサンthromboxane,ロイコトリエンleukotriene, アスピリンaspirinなどがつくられる.
3.遊離コレステロールの濃度が高くなると,HMG-CoA還元酵素hydroxy-methylglutaryl
coenzyme Aの働きを活発にしてコレステロールの新たな合成を抑える.
4.高密度リポタンパク質(high-density lipoprotein, HDL)はコレステロールを分子内にとりこみ,肝で血色素に代謝して胆汁へ排泄するので抗動脈硬化作用がある.
5.血液型blood
typeの糖脂質glycolipid分子の糖鎖は,脂質二重層の外表面に出ており,抗原性を持っている.
(問題4.)
血色素(ヘモグロビンhemoglobin)について正しいのはどれですか.
l.ヘムhemeの鉄に酸素が結合しているヘモグロビンを酸化ヘモグロビンoxidized
hemoglobin(メトヘモグロビンmethemoglobin)という.
2.ヘムの鉄に水素が結合しているヘモグロビンを還元ヘモグロビン(デオキシヘモグロビンdeoxyhemoglobin)という.
4.ヘモグロビンが分解されると胆汁色素bile pigment(ビリルビンbilirubin)がつくられ, 血清アルブミンと結合して直接directビリルビンとなり,さらに肝でグルクロン酸抱合glucuronidationされ 間接indirectビリルビンとなり胆汁中に分泌される.
4.成人ヘモグロビン(ヘモグロビンA,HbA)のほうが,胎児ヘモグロビン(ヘモグロビンF,HbF)よりも酸素に対する親和性が弱い.
5.糖尿病Diabetes
Mellitus では成人ヘモグロビンA(HbA)と胎児ヘモグロビンA(HbF)が増加する.
(問題5.)ホルモン hormoneについて正しいのはどれですか.
1.甲状腺ホルモンthyroid hormoneは血中のカルシウムの濃度を高め,リンの濃度を低下させる作用がある.
2.血中に副腎皮質ホルモン(コルチコステロイドcorticosteroid,コルチコイドcorticoid)が減少すると副腎皮質刺激ホルモン(adrenocorticotropic
hormone,ACTH)産生は減少する.
3.膵のランゲルハンス島のβ細胞のゴルジ体Golgi bodyでプロインスリンproinsulinはインスリンinsulinとCペプチド(C-peptide, 結合ペプチドconnecting peptide)になり分泌される.
4.甲状腺ホルモンthyroid hormoneは脂質代謝を亢進させる作用があるので,甲状腺ホルモンが過剰になると血中コレステロール値は上昇する.
5. 鉱質コルチコイドmineralocorticoidであるアルドステロンaldosteroneは腎尿細管renal tubuleにおいてナトリウムの再吸収reabsorptionを抑制し,カリウムの排泄を低下させる作用がある.
看護形態機能学IV答案用紙(解答例) 山田幸宏 平成12年(2000年)11月27日
問題1. 1 問題2. 2 問題3. 5 問題4. 4 問題5. 3
(問題6.)
DNAの転写transcriptionと翻訳translationの機序(mechanism)について記述(describe)して下さい. DNA(deoxyribonucleic
acid)の遺伝情報はまず核内で伝令RNA messenger ribonucleic acid (mRNA)の塩基配列として写し取られて,
細胞質に運ばれ, それに基づいて細胞質で蛋白質が合成される. mRNAはDNAの暗号鎖と同一塩基配列であり,鋳型鎖の相補的complementary な写しとなっている. mRNAではDNAでT(チミン)で会った部分はU(ウラシル)におきかわっている.この mRNA合成過程を転写transcriptionという.転写はDNAの塩基配列にある,転写の開始部位と終結信号に従って行われる.転写の開始信号より上流には転写を促進するプロモーターpromoterと呼ばれる塩基配列がある. mRNAはキャップ構造の形成およびイントロンintronが切り落とされ, エキソンexonがつなぎあうスプライシングsplicingなどの処理processingを受けて,蛋白質の遺伝情報をもった分子としての機能を有することができる. mRNAが運んできた情報はリボゾーム上でアミノ酸配列に読みかえられ, ポリペプチドがつくられる.この過程を翻訳translationという.
(問題7.)サイトカイン(cytokine)について記述して下さい.活性化activationされたリンパ球が産生productionし,他の細胞に作用する物質をリンホカインlymphokineといい,単球monocyte,マクロファージmacrophageの産生する物質をモノカインmonokineといい, それらを合わせたものをサイトカイン cytokine という.サイトカインの遺伝子geneが単離同定されて物質として確立されたものを,とくにインターリュウキンinterleukinという.サイトカインの多くは糖蛋白質glycolipidで,それに対する受容体(レセプターreceptor)を持つ細胞にのみ作用し,その細胞の増殖proliferation,機能functionの発現,分化differentiationなどを誘導inductionする.きわめて微量で作用を示す.ホルモンは遠隔部の細胞に作用するが, サイトカインは産生細胞自身や,近くの細胞に作用する. サイトカインのうち,好中球neutrophilを遊走させるinterleukin 8などを特にケモカインchemokineと呼ぶ.Interleukin 1はnatural killer細胞,マクロファージから分泌され,T細胞,B細胞,natural killer細胞の増殖,機能発現を助け,また視床下部前部,視索前野領域に内因性発熱物質endogenous pyrogenとして作用し,プロスタグランジンprostaglandinの産生を促進する.Interleukin 2は活性化されたnatural killer細胞 ,T細胞から産生され,natural killer細胞 ,T細胞の増殖を誘導する.Interleukin 3は造血幹細胞hematopoietic stem cell, 多能性幹細胞pluripotent stem
cellを分化differentiationさせる.Interleukin 12 (IL-12)はヘルパーT細胞helper T cell(CD4 T細胞)1型,Th1を,Interleukin 4 (IL-4)はヘルパーT細胞helper T cell(CD4 T細胞)2型,Th2をそれぞれ誘導する.Th1細胞はIL-2, TNF, インターフェロンγ(interferonγ, IFNγ)を産生して細胞性免疫を担い,Th2細胞はIL-4, IL-5, IL-6を産生して細胞性免疫を担う.IFNγは活性化されたヘルパーT細胞helper T cell(CD4 T細胞)から産生され, マクロファージに作用して貪食phagocytosis, 殺菌killing作用を発現させる.腫瘍壊死因子tumor necrosis factor, TNFは腫瘍細胞tumor cellに対して,細胞障害性cytotoxicityを発揮する.またTNFは TNF receptorを発現している細胞のアポトーシスapoptosis(プログラムさせた細胞死programmed cell death)を誘導する.
看護形態機能学IV試験問題 山田幸宏 平成13年(2001年)11月19日
正解を一つ選び,その番号を看護形態機能学IV答案用紙に記入して下さい.
(問題1.)糖質saccharideについて正しいのはどれですか.
1.ピルビン酸pyruvateは酸素の供給が不十分であるとミトコンドリアのマトリックスmatrix(基質)へ移行し,アセチル補酵素A(acetyl coenzyme A,
acetyl CoA)に変化したあと,クエン酸回路(tricarboxylic acid
cycle, TCA)へはいる.
2.グルコースを利用する経路としてアデノシン三リン酸(adenosine triphosphate,
ATP)を産生する解糖系,還元型ニコチンアミドジヌクレオチドリン酸(reduced NADP, nicotinamide
adenine dinucleotide phosphate, NADPH)を供給し,DNAやRNA合成系にペントースを供給するペントース(pentose五炭糖)リン酸回路,グリコーゲンの合成と貯蔵の3つがある.
3.肝でのグリコーゲンの合成はグルコースがグルコキナーゼにより,グルコース-6-リン酸(G6P)になり,細胞内のATPの濃度が高いときには解糖反応は亢進し,グリコーゲン合成の方向へ進む.
4.糖質は大部分がエネルギー源として利用されるが,一部胆嚢でアセチールCoA,マロニールCoAから脂肪に変換される.
5.オリゴ糖oligosaccharideは単糖がペプチド結合peptide bondしたものである.
(問題2.)蛋白質proteinについて正しいのはどれですか.
1.グルタミン酸glutamateはグルタミン酸脱水素酵素glutamate dehydrogenaseによりαケトグルタミン酸になり,アミノ基はアンモニアとなり,アンモニアは肝にて尿素回路urea cycle,
ornithine cycle, Krebs-Henseleit cycleにより処理され尿素になる.
2.アミノ酸がそのカルボキシル基を失って,エピネフリンなどのアミンとなる反応をカルボキシル基(炭酸)carboxylation反応という.
3.蛋白質は蛋白質分解酵素や,蛋白質キナーゼprotein kinaseにより分解される.
4.糖原性アミノ酸はクエン酸回路に入り,ATPを産生し,糖分解が行われる.
5.1つのアミノ酸のアミノ基がαケト酸に移され,新しいアミノ酸をつくり,もとのアミノ酸の炭素骨格がケト酸になるのがアミノ酸転移transamination反応である.
(問題3.)脂質lipidについて正しいのはどれですか.
1.脂肪酸のβ酸化によって生じたアセチルCoAはクエン酸回路へ入り,エネルギー消費を行う.
2.リン脂質phopholipidを構成するアラキドン酸arachidonic acidからシクロオキシゲナーゼcyclooxygenaseによりプロスタグランジンprostaglandin,トロンボキサンthromboxaneが,リポキシゲナーゼlipoxygenaseによりロイコトリエンleukotrieneがつくられる.
3.トリグリセリドtriglycerideが分解すると脂肪とグリセロールを生じる.
4.高密度リポタンパク質(high-density lipoprotein, HDL)は動脈硬化促進因子である.
5.カイロミクロン(chylomicron)は小腸粘膜上皮から吸収されてリンパ管を通り,胸管を経て右鎖骨下静脈へ移行し,肝臓,脂肪組織などに取り込まれる.
(問題4.)血液bloodについて正しいのはどれですか.
l.ヘムhemeの鉄に酸素が結合している 血色素(ヘモグロビンhemoglobin)を酸化ヘモグロビン(メトヘモグロビンmethemoglobin)という.
2.ヘムの鉄に水素が結合しているヘモグロビンを還元ヘモグロビン(デオキシヘモグロビンdeoxyhemoglobin)という.
3.成人ヘモグロビン(ヘモグロビンA,HbA)のほうが,胎児ヘモグロビン(ヘモグロビンF,HbF)よりも酸素に対する親和性が強い.
4.ヘモグロビンが分解されると胆汁色素bile pigment(ビリルビンbilirubin)がつくられ, 血清アルブミンと結合して直接directビリルビンとなり,さらに肝でグルクロン酸抱合glucuronidationされ 間接indirectビリルビンとなり胆汁中に分泌される.
5.成人ではヘモグロビンは骨髄でつくられる.
(問題5.)
ホルモンについて正しいのはどれですか.
1.副甲状腺ホルモンparathyroid hormoneは血中のリンの濃度を高め,カルシウムの濃度を低下させる作用がある.
2.血中に副腎皮質ホルモン(コルチコステロイドcorticosteroid,コルチコイドcorticoid)が減少すると副腎皮質刺激ホルモン(adrenocorticotropic
hormone,ACTH)産生は減少する.
3.子宮内膜はエストロゲンの作用により増殖期となる.
4.甲状腺ホルモンは脂質代謝を亢進させる作用があるので,甲状腺ホルモンが過剰になると血中コレステロール値は上昇する.
5. 鉱質コルチコイドmineralocorticoidであるアルドステロンaldosteroneは腎尿細管においてナトリウムの再吸収を抑制し,カリウムの排泄を低下させる作用がある.
看護形態機能学IV験解答例 山田幸宏 平成13年(2001年)11月19日
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問題1. 2 |
問題2. 1 |
問題3. 2 |
問題4. 5 |
問題5. 3 |
(問題6.)細胞小器官(cell organella or organelles)について記述(describe)して下さい.細胞は細胞質cytoplasmと核から構成されており,細胞膜 plasma membrane(形質膜あるいは原形質膜)で囲まれている.細胞質に特定の形態と機能を持つ構造物が存在している.これらを細胞小器官 cell organella あるいは細胞内小器官とよぶ.細胞小器官には(1)小胞体endoplasmic reticulum(2)リボソームribosome(3)ゴルジ装置Golgi body or apparatusあるいは ゴルジ複合体Golgi complex(4)中心体 あるいは中心小体centrosome or cell center(5)ミトコンドリアmitochondria あるいは糸粒体(6)リソソームあるいは水解小体lysosome(7)核nucleusなどが存在する.通常細胞膜は細胞小器官には含めないが,細胞を構成する成分としては,情報伝達などにおいてもきわめて重要である.(1)小胞体は細胞質内に張りめぐらされたトンネル状の小腔であり,細胞膜とよく似た構造をもっている.多くの リボソームが付着したものを粗面小胞体rough endoplasmic reticulum , 付着していないものを滑面小胞体Smooth endoplasmic reticulum とよぶ.粗面小胞体では多くの分泌蛋白質が合成され, ゴルジ装置に集められて修飾を受けた後,分泌顆粒となって細胞外へ分泌される.(2)リボソームはリボ核蛋白粒子(RNAと リボソーム蛋白質から構成されている)であり,蛋白質を合成する.細胞内には 小胞体に結合した リボソームと遊離 リボソームがあるが,これらは異なる種類の蛋白質を合成していると考えられている.(3)ゴルジ装置は偏平な嚢の積み重ねとまわりの小胞集団とからなり,細胞から分泌される物質などに対して,糖鎖を結合させ, ゴルジ装置を出た蛋白質は,細胞膜,分泌顆粒あるいは リソソームなどの固有の行き先に向けて分かれて行く.(4)中心体は細胞質における運動を担当し,微小管microtubuleから構成され,微小管形成 中心Microtubule
organizing centerとも呼ばれる.核分裂の時には, 中心体から伸びるチューブリンと呼ばれる細胞骨格蛋白質により,染色体が両極へ引き寄せられる.(5)ミトコンドリアは二重膜に囲まれており,内胞は隔壁cristaeによって仕切られている.多くの呼吸酵素をもっており,細胞内の主なエネルギー,Adenosine
triphosphate, ATPの供給源として働いている.(6)リソソームは球形の小体で,多くの加水分解酵素を含む.細胞が外から取り込んだものを消化したり,自分自信が死んだときに,自己消化を起こすために使われる.貪色細胞では,それ自体が,異物を取り込んだ食胞Food vacuoleと融合する.(7)核はDNAを含み,その中で,DNAの複製replicationや転写Transcription, RNAのプロセシング, リボソームの組み立てなどの機能を営む.核は二重層から成る核膜
nuclear membrane or nuclear
envelopeによって囲まれているが,その内側の膜にはクロマチンや核小体の一部が結合しており,外側の膜は,小胞体に続いている.核膜には核膜孔があいており,核内外の出入り口と考えられている.RNAは核膜孔を通って細胞質へ運ばれ,規定のアミノ酸配列を持つ蛋白質が合成される(翻訳translation).核内には核小体nucleolusと呼ばれる,小体が存在し,リボソームを組み立てている.
(問題7.)
免疫担当細胞(immunocompetent cell)の機能(function)について記述(describe)して下さい.(1)マクロファージは大型の細胞で貪食能,食作用があり, 異物などを処理してT細胞に抗原を提示する,抗原提示細胞(antigen presenting
cell, APC) として働きがある.組織に存在するマクロファージとして,結合組織には組織球histiocyte, 肝では,クッパー細胞Kupffer cell, 肺では肺胞マクロファージ(塵埃細胞),骨では破骨細胞osteoclast,脳では小膠細胞microgliaなどが存在する.マクロファージは インターリュウキン1(interleukin 1)などのサイトカイン cytokineを産生し,T細胞などに情報を与える.抗原提示細胞として皮膚にはランゲルハンス細胞Langerhans cell,胸腺thymus, リンパ節lymphnodesでは相互連結細胞interdigitating cellなどの樹状細胞dendritic cellが存在する.(2)リンパ球にはT細胞,B細胞およびnatural killer(NK)細胞の3種類がある.T細胞は胸腺由来の細胞であり,細胞性免疫cellular immunityを担う.T細胞はCD(cluster of differentiation)2,
CD3,T細胞抗原レセプター T cell antigen receptor(TCR)などを保有し,TCRによって,APCにより提示された抗原を認識する.抗原と反応すると芽球化しblastogenesis,活性物質を放出して反応局所にマクロファージなどの細胞浸潤をもたらし,遅延型過敏反応delayed type
hypersensitivityを引き起こす.T細胞にはCD4陽性のhelper/inducer T細胞とCD8陽性のcytotoxic/suppressor T細胞が存在する.CD4陽性 T細胞は B細胞の免疫グロブリン産生immunoglobulin productionを助け,CD8陽性T細胞はCD4陽性 T細胞に抑制的に働き B細胞の免疫グロブリン産生を抑制する.CD4陽性 T細胞にはinterleukin 2,
interleukin 12, interferon γなどにより活性化されるhelper 1型(Th1)細胞と,interleukin 4,
interleukin 6,interleukin 10などにより活性化されるhelper 2型(Th2)細胞がある.また,CD4陽性T細胞には,抗原の感作を受けていないnaive T細胞と,抗原の感作を受けているmemory T細胞とが存在する.B細胞は免疫グロブリン産生細胞immunoglobulin
secreting cells(形質細胞plasma cell)に分化differentiationし,免疫グロブリンを産生する.NK細胞は感作されることなしにウイルス感染細胞,腫瘍細胞を障害する.NK細胞は大顆粒リンパ球large granular lymphocyte, LGLの形態をしている.NK細胞はT細胞が保有するTCRあるいはB細胞が保有する表面免疫グロブリンは保有していない.
看護形態機能学IV試験問題 山田幸宏 平成14年(2002年)12月2日
正解を一つ選び,その番号を看護形態機能学IV答案用紙に記入して下さい.
(問題1.)糖質について正しいのはどれですか.
1.ピルビン酸は酸素の供給が不十分であるとミトコンドリアのマトリックス(基質)へ移行し,アセチル補酵素A(acetyl coenzyme A, acetyl CoA)に変化したあと,クエン酸回路(tricarboxylic acid cycle, TCA)へはいる.
2.グルコースを利用する経路としてアデノシン三リン酸(adenosine triphosphate,
ATP)を産生する解糖系,還元型ニコチンアミドジヌクレオチドリン酸(reduced NADP, nicotinamide
adenine dinucleotide phosphate, NADPH)を供給し,DNAやRNA合成系にペントースを供給するペントース(pentose五炭糖)リン酸回路,グリコーゲンの合成と貯蔵の3つがある.
3.肝臓でのグリコーゲンの合成はグルコースがグルコキナーゼにより,グルコース-6-リン酸(G6P)になり,細胞内のATPの濃度が高いときには解糖反応は亢進し,グリコーゲン合成の方向へ進む.
4.糖質は大部分がエネルギー源として利用されるが,一部胆嚢でアセチールCoA,マロニールCoAから脂肪に変換される.
5.オリゴ糖oligosaccharideは単糖がペプチド結合peptide bondしたものである.
(問題2.)蛋白質について正しいのはどれですか.
1.グルタミン酸はグルタミン酸脱水素酵素によりαケトグルタミン酸になり,アミノ基はアンモニアとなり,アンモニアは肝にて尿素回路により処理され尿素になる.
2.アミノ酸がそのカルボキシル基を失って,エピネフリンなどのアミンとなる反応をカルボキシル基(炭酸)反応という.
3.蛋白質は蛋白質分解酵素や,蛋白質キナーゼprotein kinaseにより分解される.
4.糖原性アミノ酸はクエン酸回路に入り,ATPを産生し,糖分解が行われる.
5.1つのアミノ酸のアミノ基がαケト酸に移され,新しいアミノ酸をつくり,もとのアミノ酸の炭素骨格がケト酸になるのがアミノ酸転移transamination反応である.
(問題3.)脂質について正しいのはどれですか.
1.脂肪酸のβ酸化によって生じたアセチルCoAはクエン酸回路へ入り,エネルギー消費を行う.
2.リン脂質phopholipidを構成するアラキドン酸arachidonic acidからシクロオキシゲナーゼcyclooxygenaseによりプロスタグランジンprostaglandin,トロンボキサンthromboxaneが,リポキシゲナーゼlipoxygenaseによりロイコトリエンleukotrieneがつくられる.
3.トリグリセリドtriglycerideが分解すると脂肪とグリセロールを生じる.
4.高密度リポタンパク質(high-density lipoprotein, HDL)は動脈硬化促進因子である.
5.カイロミクロン(chylomicron)は小腸粘膜上皮から吸収されてリンパ管を通り,胸管を経て右鎖骨下静脈へ移行し,肝臓,脂肪組織などに取り込まれる.
(問題4.)血液bloodについて正しいのはどれですか.
l.ヘムhemeの鉄に酸素が結合している 血色素(ヘモグロビンhemoglobin)を酸化ヘモグロビン(メトヘモグロビンmethemoglobin)という.
2.ヘムの鉄に水素が結合しているヘモグロビンを還元ヘモグロビン(デオキシヘモグロビンdeoxyhemoglobin)という.
3.成人ヘモグロビン(ヘモグロビンA,HbA)のほうが,胎児ヘモグロビン(ヘモグロビンF,HbF)よりも酸素に対する親和性が強い.
4.ヘモグロビンが分解されると胆汁色素bile pigment(ビリルビンbilirubin)がつくられ, 血清アルブミンと結合して直接directビリルビンとなり,さらに肝でグルクロン酸抱合glucuronidationされ 間接indirectビリルビンとなり胆汁中に分泌される.
5.成人ではヘモグロビンは骨髄でつくられる.
(問題5.) 腎kidneyの機能について正しいのはどれですか.
1.アルブミンalbuminはグロブリンglobulinよりも分子量が小さいので,糸球体glomerulusで濾過filtrationされる.
2.腎における1分間当たりの濾過量filtration rateを尿細管濾過量 tubular filtration rateという
3.糸球体濾過量glomerular filtration rateはクレアチン・クリアランスcreatine clearanceで測定する.
4.尿中クレアチニンcleatinineは体内の筋組織の量を反映しているので,食事の種類や尿量とは無関係に同一のヒトでは毎日ほぼ一定である.
5. 鉱質コルチコイドmineralocorticoidであるアルドステロンaldosteroneは腎尿細管においてナトリウムの再吸収reabsorptionを抑制し,カリウムの排泄を低下させる作用がある.
看護形態機能学IV験解答例 山田幸宏 平成14年(2002年)12月2日
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問題1. 2 |
問題2. 1 |
問題3. 2 |
問題4. 5 |
問題5. 4 |
(問題6.)
DNAの転写transcriptionと翻訳translationの機序(mechanism)について記述(describe)して下さい.DNA(deoxyribonucleic
acid)の遺伝情報はまず核内で伝令RNA messenger ribonucleic acid (mRNA)の塩基配列として写し取られて,
細胞質に運ばれ, それに基づいて細胞質で蛋白質が合成される. mRNAはDNAの暗号鎖と同一塩基配列であり, 鋳型鎖の相補的complementary な写しとなっている. mRNAではDNAでT(チミン)で会った部分はU(ウラシル)におきかわっている.この mRNA合成過程を転写transcriptionという.転写はDNAの塩基配列にある,転写の開始部位と終結信号に従って行われる.転写の開始信号より上流には転写を促進するプロモーターpromoterと呼ばれる塩基配列がある. mRNAはキャップ構造の形成およびイントロンintronが切り落とされ, エキソンexonがつなぎあうスプライシングsplicingなどの処理processingを受けて,蛋白質の遺伝情報をもった分子としての機能を有することができる. mRNAが運んできた情報はリボゾーム上でアミノ酸配列に読みかえられ, ポリペプチドがつくられる.この過程を翻訳translationという.
(問題7.)
腸肝循環(enterohepatic circulation)について記述(describe)して下さい.腸肝循環は生体に存在する重要な生理機構であり,肝liverから胆汁bileに排泄された物質が腸管に達した後,腸から吸収され,門脈portal veinを経て肝にもどり,ふたたび肝から排泄を繰り返す流れのことをいう.胆汁酸bile acid, 胆汁色素bile pigment(ビリルビンbilirubin)などが 腸肝循環を行っている.胆汁酸はコレステロールcholesterolの側鎖の切断によってできてくるが,肝で合成された胆汁酸はグリシンglycineあるいはタウリンtaurineと抱合して胆汁のなかに排泄される.腸管に排泄された抱合型の胆汁酸の大部分は再び吸収され,肝へ戻る.胆汁酸は界面活性作用surfactant,
detergentにより脂肪の消化と吸収を促進するが,生体は胆汁酸を 腸肝循環にとじこめ効率良く利用し,また門脈から肝にもどる胆汁酸量によって肝での胆汁酸合成をネガティブフィードバックnegative feedback機構により調節し,さらにコレステロール合成の律速酵素であるヒドロキシメチルグルタリルhydroxy-methylglutaryl
coenzyme A reductase(HMG-CoA)還元酵素に影響を与え,コレステロール代謝を調節する.血色素(ヘモグロビンhemoglobin)は胆汁により分解される.グロビンglobinと鉄を離してビリベルジンbiliverdinとなり,腸内細菌により還元されてビリルビンbilirubinとなる.
看護形態機能学IV試験問題 山田幸宏 平成15年(2003年)12月1日
正解を一つ選び,その番号を看護形態機能学IV答案用紙に記入して下さい.
(問題1.)糖質 saccharide(炭水化物carbohydrate)について正しいのはどれですか.
1.ピルビン酸は酸素の供給が不十分であるとミトコンドリアのマトリックス(基質)へ移行し,アセチル補酵素A(acetyl coenzyme A, acetyl CoA)に変化したあと,クエン酸回路(tricarboxylic acid cycle, TCA)へはいる.
2.グルコースを利用する経路としてアデノシン三リン酸(adenosine triphosphate,
ATP)を産生する解糖系,還元型ニコチンアミドジヌクレオチドリン酸(reduced NADP, nicotinamide
adenine dinucleotide phosphate, NADPH)を供給し,DNAやRNA合成系にペントースを供給するペントース(pentose五炭糖)リン酸回路,グリコーゲンの合成と貯蔵の3つがある.
3.肝臓でのグリコーゲンの合成はグルコースがグルコキナーゼにより,グルコース-6-リン酸(G6P)になり,細胞内のATPの濃度が高いときには解糖反応は亢進し,グリコーゲン合成の方向へ進む.
4.糖質は大部分がエネルギー源として利用されるが,一部胆嚢でアセチールCoA,マロニールCoAから脂肪に変換される.
5.オリゴ糖oligosaccharideは単糖がペプチド結合peptide bondしたものである.
(問題2.)蛋白質proteinについて正しいのはどれですか.
1.グルタミン酸はグルタミン酸脱水素酵素によりαケトグルタミン酸になり,アミノ基はアンモニアとなり,アンモニアは肝にて尿素回路により処理され尿素になる.
2.アミノ酸がそのカルボキシル基を失って,エピネフリンなどのアミンとなる反応をカルボキシル基(炭酸)反応という.
3.蛋白質は蛋白質分解酵素や,蛋白質キナーゼprotein kinaseにより分解される.
4.糖原性アミノ酸はクエン酸回路に入り,ATPを産生し,糖分解が行われる.
5.1つのアミノ酸のアミノ基がαケト酸に移され,新しいアミノ酸をつくり,もとのアミノ酸の炭素骨格がケト酸になるのがアミノ酸転移transamination反応である.
(問題3.)脂質lipidについて正しいのはどれですか.
1.脂肪酸のβ酸化によって生じたアセチルCoAはクエン酸回路へ入り,エネルギー消費を行う.
2.リン脂質phopholipidを構成するアラキドン酸arachidonic acidからシクロオキシゲナーゼcyclooxygenaseによりプロスタグランジンprostaglandin,トロンボキサンthromboxaneが,リポキシゲナーゼlipoxygenaseによりロイコトリエンleukotrieneがつくられる.
3.トリグリセリドtriglycerideが分解すると脂肪とグリセロールを生じる.
4.高密度リポタンパク質(high-density lipoprotein, HDL)は動脈硬化促進因子である.
5.カイロミクロン(chylomicron)は小腸粘膜上皮から吸収されてリンパ管を通り,胸管を経て右鎖骨下静脈へ移行し,肝臓,脂肪組織などに取り込まれる.
(問題4.)血液bloodについて正しいのはどれですか.
l.ヘムhemeの鉄に酸素が結合している 血色素(ヘモグロビンhemoglobin)を酸化ヘモグロビン(メトヘモグロビンmethemoglobin)という.
2.ヘムの鉄に水素が結合しているヘモグロビンを還元ヘモグロビン(デオキシヘモグロビンdeoxyhemoglobin)という.
3.成人ヘモグロビン(ヘモグロビンA,HbA)のほうが,胎児ヘモグロビン(ヘモグロビンF,HbF)よりも酸素に対する親和性が強い.
4.ヘモグロビンが分解されると胆汁色素bile pigment(ビリルビンbilirubin)がつくられ, 血清アルブミンと結合して直接directビリルビンとなり,さらに肝でグルクロン酸抱合glucuronidationされ 間接indirectビリルビンとなり胆汁中に分泌される.
5.赤血球が破壊されると鉄はヘモグロビンから離れ,トランスフェリンと結合して貯蔵され,再利用され,またポリフィリン部分は肝に運ばれて,胆汁色素となり排出される.
(問題5.) 腎kidneyの機能について正しいのはどれですか.
1.アルブミンalbuminはグロブリンglobulinよりも分子量が小さいので,糸球体glomerulusで濾過filtrationされる.
2.腎における1分間当たりの濾過量filtration rateを尿細管濾過量 tubular filtration rateという
3.糸球体濾過量glomerular filtration rateはクレアチン・クリアランスcreatine clearanceで測定する.
4.尿中クレアチニンcleatinineは体内の筋組織の量を反映しているので,食事の種類や尿量とは無関係に同一のヒトでは毎日ほぼ一定である.
5. 鉱質コルチコイドmineralocorticoidであるアルドステロンaldosteroneは腎尿細管においてナトリウムの再吸収reabsorptionを抑制し,カリウムの排泄を低下させる作用がある.
(問題6.)炎症inflammationについて正しいのはどれですか.
1. 炎症刺激があると,血管は収縮し,透過性permeabilityは亢進する.
2.好中球の殺菌作用はリソソームlysosomeという酵素により行なわれる.
3.好中球のスーパーオキシドアニオンsuperoxide anion(O2-)は貪食作用を示す.
4. 好中球のスーパーオキシドディスムターゼsuperoxide dismutaseはスーパーオキシドアニオン(O2-)から過酸化水素(H2O2)を生成し,過酸化水素は殺菌作用を示す.
5.急性炎症はリンパ球の浸潤infiltrationが中心であり,慢性炎症は好中球やマクロファージの浸潤が中心となる.
(問題7.)遺伝子geneについて正しいのはどれですか.
1.逆転写酵素reverse transcriptaseはRNAを鋳型templateにしてDNAを合成する酵素で,ヒト免疫不全ウイルス(Human Immunodeficiency Virus,
HIV), 癌ウイルスなどレトロウイルスretrovirusに存在する.
2.伝令RNA(messenger RNA, mRNA)は末端に長いポリA配列poly A sequenceを持つので,それに相補的なオリゴデオキシチミジル酸(オリゴdT)をプライマーprimerとして転写酵素を用いて相補的DNA(complementary
DNA, cDNA)を合成する.
3. サザンブロットSouthern blotting法はRNA断片を電気泳動し,そのRNAに相補的なDNA あるいはRNAプローブprobeのハイブリッド形成hybridization(相補的結合)を検出する方法である.
4. ノーザンブロットNorthern blotting法はDNA断片を電気泳動し,そのDNAに相補的なDNA あるいはRNAプローブのハイブリッド形成を検出する方法である.
5.ウエスターンブロットWestern blotting法は蛋白質を検出する方法であり,抗原を用いて検出する.
(問題8.)移植transplantationについて正しいのはどれですか.
1.ヒトからヒトへの移植を異種移植xenogenic transplantationという.
2.一卵性双生児monozygotic twinsでも組織適合抗原histocompatibility
antigenは一致しないことがある.
3. 抗体antibodyにより移植片graftは拒絶rejectionされる.
4.移植片対宿主反応graft-versus-host reactionは移植片の中に含まれるドナーリンパ球donor lymphocyteが拒絶されずに生着し,レシピアントrecipientに対して起こす免疫応答をいう.
5.拒絶反応rejection reactionを押さえる薬剤を免疫増強剤immunopotentiaterという.
看護形態機能学IV験解答例 山田幸宏 平成15年(2003年)12月1日
問題1. 2 問題2. 1問題3. 2 問題4. 5 問題5. 4 問題6. 4 問題7. 1問題8. 4
(問題9.)
ヌクレオチドnucleotideの代謝について記述(describe)して下さい.
アデノシン三リン酸(adenosine triphosphate, ATP)やグアノシン三リン酸(guanosine triphosphate, GTP)などのプリンヌクレオチドpurine nucleotideはグルコースglucoseを素材としてつくられる5-ホスホリボシル1-ピロリン酸5-phosphorybosyl 1-pyrophsphate(PRPP)由来である.塩基baseと糖carbohydrateが結合したものをヌクレオシドnucleosideといい,ヌクレオシドにさらにリン酸phosphateが結合したものをヌクレオチドnucleotideといい,核酸nucleic acidの構成単位である.ピリミジン塩基pyrimidine baseが分解されると,水溶性の代謝産物が産生される.プリン塩基purine baseを持つプリンヌクレオチドはヒポキサンチンhypoxanthine, キサンチンxanthineをへて, 尿酸uric acidへと代謝される.食物や体内由来のヌクレオチドの異化catabolism過程で生じたプリン塩基にPRPPを結合してヌクレオチドを再生する再利用経路,サルベージ経路salvage pathwayが存在する.尿酸は水に溶けにくいため血中濃度が高いと関節などに結晶が析出する.これが痛風goutである.腎における尿酸結石uric acid calculus,は重篤な腎機能障害を引き起こす.治療としては,プリン体合成抑制剤や腎からの尿酸の排出促進剤などが用いられる.キサンチからキサンチンオキシダーゼxanthine oxidaseにより尿酸が生成されるが,アロプリノールallopurinolはキサンチンオキシダーゼ活性を阻害する.
(問題10.)
発癌carcinogenesisの機構mechanismについて記述して下さい.
ヒトの細胞には細胞増殖に関係のある遺伝子である細胞癌遺伝子(cellular oncogene, c-onc)が存在している. c-oncは通常では制御されているが,種々の発癌物質carcinogenや,ウイルス感染,放射線,紫外線などにより,c-oncが制御を解かれ,c-oncが活性化されて癌が生ずると考えられている.ウイルス感染の場合には,ウイルスのもつ癌遺伝子(viral oncogene,
v-onc)が細胞の遺伝子であるDNAに組み込まれることにより発癌するものと考えられている.正常細胞が癌化することをトランスフォーメイションtransformationという.また,癌抑制遺伝子tumor suppressor geneが発癌物質などにより,癌抑制機能を失い,発癌にいたる機序も存在する.癌遺伝子の場合は一つの遺伝子の異常(1 st hit)により,発癌にいたるが,癌抑制遺伝子の場合には二つの遺伝子の異常(2 nd hit)により発癌にいたると考えられている.発癌はいくつかの癌遺伝子や癌抑制遺伝子がつぎつぎと変異を起こして,癌遺伝子は活性化し,癌抑制遺伝子が消失する多くの段階を経て,癌ができるという多段階発癌説が提唱されている.発癌には少な
くとも2段階以上の過程があり,イニシエーションinitiation,プロモーションpromotionと呼ばれ,それらを引き起こす因子をイニシエーターinitiator,プロモーターpromoterと呼ばれる.癌抑制遺伝子としては大腸癌colon cancerのp53遺伝子,DCC(deleted in
colorectal carcinoma), 網膜芽細胞腫retinoblastomaのRb遺伝子,腎芽腫Wilms tumor(腎芽細胞腫nephroblastoma)のWT1,家族性大腸ポリポーシスfamiliar adenomatosisの遺伝子(adenomatous polyposis coli, APC), などが存在する.発癌物質carcinogenとしてはダイオキシン,ニトロソアミン,ベンツピレンなどがあり,発癌ウイルスとしては,成人T細胞白血病ウイルス(human T lymphocytotropic virus type 1, HTLV1),伝染性単核症infections mononucleosisや,バーキットリンパ腫Burkitt lymphomaを引き起こす,Epstein-Barr virus,
EBV, 肝癌hepatomaを引き起こすB型肝炎ウイルス(Hepatitis B virus,
HB virus)などが知られている.