平成16(2004)64日 Physical Assessment試験問題           山田幸宏      

正解を一つ選び,その番号を答案用紙に記入して下さい.

 

(問題1) 視診inspectionで正しいのはどれですか.    

1.紫斑purpuraには凝固因子の欠乏時にみられる点状出血petechiaと血小板減少時にみられる斑状出血斑ecchymosisとがある.

2.貧血anemiaの観察は眼瞼結膜palpebral conjunctivaで行い,黄疸jaundiceの観察は眼球結膜 bulbar conjunctivaで行う.

3.紅斑erythemaは炎症などにより皮膚表層の血管が拡張,充血したもので,圧迫により減弱したり,消失したりすることはない.

4.蕁麻疹urticariaは限局性の浮腫(膨疹wheal)を生ずるが,紅斑erythemaあるいは紫斑purpuraを伴うことはない.

5.カロチン症(柑皮症)carotenemiaでは主に手掌,足底が黄色くなるが,眼瞼結膜も黄色くなることがある.

 

(問題2) 触診palpationで正しいのはどれですか.    

1.腹膜炎peritonitisがあると腹壁が緊張して硬く触れる.これを筋性防御muscular

defenseという.

2.甲状腺thyroid glandは嚥下swallowing運動に伴い上下しないが,頚部リンパ節cervical lymph nodeは嚥下運動に伴い上下する.

3.心尖apex拍動の部位は心臓の中央部を示している.

4.下肢に炎症inflammationがあると鼠径部リンパ節inguinal lymph nodeが腫脹enlargementするが,これを炎症の転移metastasisという.

5.脾腫splenomegalyがある場合には,脾は右側臥位で左手で前方から脾を後方へ押しやりながら右手で触れるようにすると 脾切痕incisureなどを良く触れる.

 

(問題3) 腹部所見abdominal findingsで正しいのはどれですか.   

1.腹膜刺激症状peritoneal irritation signとして腹部を圧迫したとき局所に強い痛みが出現する現象をブルンベルグ徴候Blumberg signという.

2.鼠径ヘルニアinguinal herniaは左に多い.

3.乳幼児で吸気時に肝liverを鎖骨中線上で肋骨弓下に3cm程度触れれば病的な肝腫大hepatomegalyである.

4.急性虫垂炎acute appendicitisのとき左側臥位でMcBurney点を圧迫すると仰臥位dorsal positionよりも疼痛が減弱する徴候をRosenstein徴候という.

5.腸蠕動音(グル音gurgling)は健康な時に聞こえるが,胃腸炎gastroenteritisの時には亢進し,腹膜炎peritonitisの時には減弱し,また腸閉塞(イレウスileus)の時には消失する.

 

 (問題4) 神経症状neurological symptom,四肢extremitiesの運動機能motor functionの評価で正しいのはどれですか.

1.髄膜刺激症状meningeal irritation symptomとして項部硬直nuchal rigidityは認められるが,ケールニッヒ徴候Kernig signは認められない.

2.錐体路pyramidal tractが障害されると筋固縮(強剛)muscle rigidityが起こり,錐体外路extrapyramidal tractが障害されると筋痙直muscle spasticityが起こる.

3.上腕二頭筋反射biceps brachii reflex の検査は肘関節の屈側で上腕二頭筋の腱を打腱器で直接たたく.

4.錐体路pyramidal tractが障害されると膝蓋腱反射Patellar tendon reflex,アキレス腱反射Achilles tendon reflexはそれぞれ亢進する.

5.錐体外路extrapyramidal tractが障害されるとバビンスキー反射Babinski reflexが陽性となる.

 

 (問題5) 呼吸音breath soundで正しいのはどれですか.

1.呼気expiration時に肺胞呼吸音vesicular soundが、吸気inspiration時に気管支肺胞呼吸音bronchovesicular soundがよく聞かれる.

2.肺胞呼吸音は空気が肺胞に入ってくるときの共鳴音であり、120ヘルツほどの比較的低い音である.

3.肺胞呼吸音は肺野では聴取されない.

4.肺胞呼吸音は肺胞呼吸音と, 気管, 気管支を出入りする空気の発する管性の音との混合した音であり, 肺尖, 第1と第2肋間の胸骨縁, 背部では肩甲間部で聞かれる. 1000ヘルツほどの比較的高い音である.

5.肺胞呼吸音の吸気と呼気の長さの比率は13程度である.

 

(問題6)対光反射light reflexで正しいのはどれですか.

1.脳幹brain stemの橋ponsに中枢のある反射である.

2.直接性瞳孔反応direct pupillary reactionは,片眼に光を照射したとき,その眼の瞳孔縮小miosisが起こる反応であり,共感性瞳孔反応consensual pupillary reactionは片眼を光照射したとき,対側の瞳孔も縮小する反応である.

3. 縮瞳は瞳孔括約筋iris sphincterの収縮によって起こり,交感神経系sympathetic nervous systemの支配である.

4.散瞳mydriasisは瞳孔散大筋の収縮によって起こり,副交感神経系parasympathetic nervous systemの支配である.

5. 対光反射は刺激光が黄斑部maculaに近いほど強く起こるが,網膜retinaの周辺刺激でも起こる.

 

(問題7)脳神経cranial nervesで正しいのはどれですか.

1. 脳神経は中枢神経系central nervous systemである.

2.顔面の知覚は顔面神経facial nerveによって担われている.

3.三叉神経trigeminal nerveは眼神経ophthalmic nerve,上顎神経maxillary nerve,下顎神経mandibular nerveの三つの枝から構成されており,眼神経は視覚vision, sense of sightを担っている.

4.味覚sensation of taste, gustationは舌の前2/3は顔面神経により,舌の後1/3は舌咽神経glossopharyngeal nerveにより支配されている.

5.迷走神経vagus nerveは運動,感覚,交感神経の神経線維を含んでいる.

 

(問題8)関節jointに関するフィジカルアセスメントに関して正しいのはどれですか.

1.右肘関節の場合,上肢の近位から遠位方向からみて右回転することを回外supinationという.

2. 右股関節の場合,下肢の近位から遠位方向からみて右回転することを内旋internal rotationという.

3.足関節の場合,足背側に曲げることを底屈flexor plantar responseという.

4.(こぶしfist)を握っている場合,中手指節関節は伸展している.

5.手の指節骨は母指thumbも含め,近位proximalのものを基節骨proximal phalanx,つぎを中節骨medial phalanx,遠位のものを末節骨distal phalanxという.

 

(問題9)心音heart sound, 心雑音heart murmurで正しいのはどれですか.

1.正常心音には心房収縮期の始まりに聞かれる第I心音first heart soundと心室収縮期の始まりに聞かれる第II心音second heart soundとがある.

2.心尖部cardiac apexでは第II心音は第I心音より強く, 心基部basis of heartでは第I心音は第II心音より強い.

3.心音の聴診部位として心尖部には僧帽弁mitral valve領域が,第5肋間胸骨右縁から胸骨下端部には三尖弁tricuspid valve領域が,第2肋間胸骨左縁には大動脈弁aortic valve領域が,第2肋間胸骨右縁には肺動脈弁pulmonary valve領域がそれぞれ存在する.

4.第II心音は呼吸性に分裂respiratory splittingする.呼吸性分裂は呼気で増大し,吸気で減少する.呼気時に静脈還流venous returnが増大し,右室の駆出時間が延長するためである.

5.心房中隔欠損atrial septal defectのとき聞こえる第II心音の固定性分裂fixed splittingは右室の容量負荷volume load(拡張期負荷diastolic overload)のための相対的肺動脈弁狭窄relative pulmonary valve stenosisの音である.

 

 (問題10.)肺性副雑音pulmonary adventitious soundで正しいのはどれですか.

 

1.肺性副雑音のことをラ音とはいわない.

2. 肺性副雑音のことを肺雑音ともいう.

3. 肺性副雑音には乾性ラ音dry rales と湿性ラ音moist ralesがあり,乾性ラ音dry ralesは断続性ラ音discontinuous rales, 湿性ラ音moist rales, bubbling rales, cracklesは連続性ラ音continuous ralesともそれぞれいう.

4. 乾性ラ音は 気管支の収縮あるいは気管支壁に分泌液が付着するなどして気管支が狭窄し,そこを空気が通過するときに聴かれる音であり, 気管支喘息などにおいて聴かれ,呼気延長とともに,呼気時に聴かれ, 低調性のものを笛声音 (てきせいおん) piping rales, 高調性のものをいびき音,類鼾音 (るいかんおん) snoring rales, rhonchusという.

5.湿性ラ音は比較的細い気管支や末梢気管支に分泌液などの液体があり,そこを空気が通過するときに発する破裂性の音で,吸気時に聴こえ,  気管支肺炎, 肺うっ血pulmonary congestion, 肺結核pulmonary tuberculosisの場合には水泡性ラ音 bubbling rales, course cracklesとして,肺線維症pulmonary fibrosisの場合には稔髪音 crepitant rales, crepitation,  ベルクロラ音Velcro ralesなどとしてそれぞれ聴こえる.

                                                                                                             

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問題6.  2  問題7.  4  問題8. 1   問題9  5  問題10 5  

 

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