平成9(1997)年度Physical Assessment試験問題 山田幸宏
正解を一つ選び,その番号を答案用紙に記入して下さい.
(問題1.) 視診で正しいのはどれですか.
1.紫斑には凝固因子の欠乏時にみられる点状出血と血小板減少時にみられる斑状出血斑とがある.
2.貧血の観察は眼瞼結膜で行い,黄疸の観察は眼球結膜で行う.
3.紅斑は炎症などにより皮膚表層の血管が拡張,充血したもので,圧迫により減弱したり,消失したりすることはない.
4.蕁麻疹は限局性の浮腫(膨疹)を生ずるが,紅斑を伴うことはない.
5.カロチン症(柑皮症)では主に手掌,足底が黄色くなるが,眼球結膜も黄色くなることがある.
(問題2.) 触診で正しいのはどれですか.
1.腹膜炎があると腹壁が緊張して硬く触れる.これを内臓防御という.
2.甲状腺は嚥下運動に伴い上下しないが,頚部リンパ節は嚥下運動に伴い上下する.
3.心尖拍動の部位は心臓の中央部を示している.
4.下肢に炎症があると鼠径部リンパ節が腫脹する.
5.脾は右側臥位で左手で前方から脾を後方へ押しやりながら右手で触れるようにすると良く触れる.
(問題3.) 腹部所見で正しいのはどれですか.
1.腹部を圧迫したときに局所に強い痛みが出現する現象をブルンベルグ徴候という.
2.鼠径ヘルニアは左に多い.
3.腸蠕動音は胃腸炎で亢進し,腹膜炎で減弱し,腸閉塞で消失する.
4.右前腸骨棘と臍を結ぶ線上の臍から2/3の位置で虫垂炎のとき圧痛点をLanz点という.
5.乳幼児で肝を鎖骨中線上で肋骨弓下に3cm程度触れれば病的な肝腫大である.
(問題4.) 四肢の運動機能の評価で正しいのはどれですか.
1.錐体路が障害されると筋痙直がおこり,錐体外路が障害されると筋固縮(強剛)がおこる.
2.上腕二頭筋反射の検査は肘関節の屈側で上腕二頭筋の腱を打腱器で直接たたく.
3.上腕三頭筋反射の検査は肘関節の伸側で上腕三頭筋の腱の上に指をおいて打腱器でたたく.
4.錐体路が障害されると膝蓋腱反射,アキレス腱反射はそれぞれ減弱する.
5.錐体外路が障害されるとバビンスキー反射が陽性となる.
平成9(1997)年度Physical Assessment答案用紙(解答例です) 山田幸宏
問題1 2 問題2 4 問題3
3 問題4 1
問題5.健康人の胸部の聴診ではどのような音が聞こえるか記述してください.
正常心音には心室収縮期の始まりに聞かれる第I心音と心室収縮期の終わりに聞かれる第II心音とがある.また小児,若年者に聞こえやすい第III心音がある.第III心音は拡張期に心室に流入する血液で心室筋および房室弁が振動するための音である.心尖部では第I心音は第II心音より強く,心基部では第II心音は第I心音より強い.第I心音から第II心音までは短く,第II心音から第I心音までは長い.心尖拍動と同時に第I心音が聞こえる.心音の聴診部位として心尖部には僧帽弁領域が,第5肋間胸骨右縁から胸骨下端部には三尖弁領域が,第2肋間胸骨右縁には大動脈弁領域が,第2肋間胸骨左縁には肺動脈弁領域がそれぞれ存在する.第II心音は呼吸性に分裂する.呼吸性分裂は吸気で増大し,呼気で減少する.吸気時に静脈還流が増大し,右室の駆出時間が延長するためである.
呼吸音は吸気時に肺胞呼吸音が,呼気時に気管支肺胞呼吸音がよく聞かれる.肺胞呼吸音は空気が肺胞に入ってくるときの共鳴音であり,120ヘルツほどの比較的低音な音である.肺胞呼吸音は肺野で良く聞かれる.肺胞呼吸音の吸気と呼気の長さの比率は3:1程度である.気管支肺胞呼吸音は肺胞呼吸音と,気管,気管支を出入りする空気の発する管性の音との混合した音であり,肺尖,第1と第2肋間の胸骨縁,背部では肩甲間部で聞かれる.1000ヘルツほどの比較的高音な音である.気管支肺胞呼吸音の吸気と呼気の長さの比率は1:1から1:3程度である.
平成9(1997)年度Physical Assessment問題(追試験)(解答例です)山田幸宏
問題1.リンパ節が触診できる部位およびリンパ節腫脹のみられる病態について記述してください.触診されやすいリンパ節は頚部リンパ節,腋窩リンパ節,鼠径部リンパ節などである.頚部リンパ節腫脹は扁桃炎,腋窩リンパ節腫脹は上肢,鼠径部リンパ節腫脹は下肢の細菌感染症などがある場合にそれぞれみられる.これらのリンパ節が所属リンパ節となっているためである.リンパ節は全身からのリンパ液の流れにのった異物などが抗原提示細胞によってリンパ球に提示され,異物などの処理,抗体産生などが行われる末梢リンパ組織である.ウイルス感染症などでリンパ節腫脹がみられることがある.風疹のときには, 耳後部リンパ節腫脹などが,伝染性単核症のときには頚部リンパ節腫脹などがそれぞれみられる.癌,白血病などの場合にもリンパ節腫脹がみられることがある.胃癌は左鎖骨下リンパ節に転移することがある.この場合,この左鎖骨下リンパ節をVirchowの見張りリンパ節sentinel node of Virchowという.
問題2. 乾性ラ音,湿性ラ音とはどのような音なのか記述してください.肺から聴こえる肺音lung soundには呼吸音breath soundと病気のときに聴かれる副雑音adventitious soundとがある.副雑音のうちラ音ralesは肺から聴こえる肺性副雑音pulmonary
adventitious soundである.乾性ラ音dry rales(連続性ラ音continuous rales), 湿性ラ音moist rales, bubbling rales, crackles(断続性ラ音discontinuous rales)は肺性副雑音であり,健康人では聴かれないが, それぞれ気管支喘息asthma bronchialeあるいは気管支肺炎bronchopneumoniaなどの病気のときに聴かれる音である. 乾性ラ音は 気管支の収縮あるいは気管支壁に分泌液が付着するなどして気管支が狭窄し,そこを空気が通過するときに聴かれる音である. 乾性ラ音は 喘鳴wheezingのみられる気管支喘息の患者などにおいて聴かれ,呼気延長とともに,呼気時に聴かれる.高調性のものを笛声音(てきせいおん)piping rales, 低調性のものをいびき音,類鼾音(るいびおん)snoring rales, rhonchusという.笛声音はmusical ralesともいわれ,持続性のある高温で笛(ふえ)の音のようなヒューヒュー,ピューピューという音である.類鼾音は鼾(いびき)のようなガーガーという音である.きしむような音はきしみ音squeakingという.湿性ラ音は比較的細い気管支や末梢気管支に分泌液などの液体があり,そこを空気が通過するときに発する破裂性の音である.湿性ラ音は吸気時に聴こえる.喉頭,気管の狭窄による場合には 喘鳴stridorとして,気管支肺炎, 肺うっ血pulmonary
congestion, 肺結核pulmonary tuberculosisの場合には水泡性ラ音 bubbling rales, course crackles(肺結核の場合には空洞の存在のため有響性crashあるいは金属性metallicな響きを持つ)として,肺線維症pulmonary fibrosisの場合には稔髪音 crepitant rales,
crepitation, ベルクロラ音Velcro ralesなどとしてそれぞれ聴こえる.最近では喘鳴(ぜんめい,ぜいめい,ゼーゼーする音が聴こえること)を,下気道の狭窄によっておこる気管支喘息のときなど主として呼気時に聴かれる場合にwheezingを,喉頭,気管など上気道の狭窄による,主として吸気時に聴こえる場合にstridorをそれぞれ用いることがある.喉頭ラ音 (死前喉音)gurgling ralesは吸気時にも呼気時にもゴロゴロgurgleという音が聴こえる(腹鳴のこともgurgleと言います).
問題2. 乾性ラ音,湿性ラ音とはどのような音なのか記述してください. 乾性ラ音dry rales(連続性ラ音),湿性ラ音moist rales,
bubbling rales, crackles(断続性ラ音)は肺性副雑音であり,健康人では聴かれないが, それぞれ気管支喘息あるいは気管支肺炎などの病気のときに聴かれる音である. 乾性ラ音は 気管支の収縮あるいは気管支壁に分泌液が付着するなどして気管支が狭窄し,そこを空気が通過するときに聴かれ音である. 乾性ラ音は 喘鳴wheezingのみられる気管支喘息の患者などにおいて聴かれ,呼気延長とともに,呼気時に聴かれる.高調性のものを笛声音piping rales, 低調性のものを類鼾音snoring rales, rhonchusという.湿性ラ音は気管支に分泌液などの液体があり,そこを空気が通過するときに発する破裂性の音である.湿性ラ音は吸気時に聴こえる.喉頭,気管の狭窄による場合には 喘鳴stridorとして,気管支肺炎の場合には水泡性ラ音bubbling rales, course craklesとして,肺線維症の場合には稔髪音 crepitant rales, crepitation, ベルクロラ音Velcro ralesなどとしてそれぞれ聴こえる.
平成10(1998)年度Physical Assessment試験問題 山田幸宏
正解を一つ選び,その番号を答案用紙に記入して下さい.
(問題1.) 視診inspectionで正しいのはどれですか.
1.紫斑purpuraには凝固因子の欠乏時にみられる点状出血petechiaと血小板減少時にみられる斑状出血斑ecchymosisとがある.
2.貧血anemiaの観察は眼瞼結膜palpebral conjunctivaで行い,黄疸jaundiceの観察は眼球結膜 bulbar conjunctivaで行う.
3.紅斑erythemaは炎症などにより皮膚表層の血管が拡張,充血したもので,圧迫により減弱したり,消失したりすることはない.
4.蕁麻疹urticariaは限局性の浮腫(膨疹wheal)を生ずるが,紅斑erythemaあるいは紫斑purpuraを伴うことはない.
5.カロチン症(柑皮症)carotenemiaでは主に手掌,足底が黄色くなるが,眼瞼結膜も黄色くなることがある.
(問題2.) 触診palpationで正しいのはどれですか.
1.腹膜炎peritonitisがあると腹壁が緊張して硬く触れる.これを筋性防御muscular
defenseという.
2.甲状腺thyroid
glandは嚥下swallowing運動に伴い上下しないが,頚部リンパ節cervical lymph nodeは嚥下運動に伴い上下する.
3.心尖apex拍動の部位は心臓の中央部を示している.
4.下肢に炎症inflammationがあると鼠径部リンパ節inguinal lymph nodeが腫脹enlargementするが,これを炎症の転移metastasisという.
5.脾腫splenomegalyがある場合には脾は右側臥位で左手で前方から脾を後方へ押しやりながら右手で触れるようにすると 脾切痕incisureなどを良く触れる.
(問題3.) 腹部所見abdominal findingsで正しいのはどれですか.
1.腹膜刺激症状peritoneal irritation signとして腹部を圧迫したとき局所に強い痛みが出現する現象をブルンベルグ徴候Blumberg signという.
2.鼠径ヘルニアinguinal herniaは左に多い.
3.乳幼児で吸気時に肝liverを鎖骨中線上で肋骨弓下に3cm程度触れれば病的な肝腫大hepatomegalyである.
4.急性虫垂炎acute
appendicitisのとき左側臥位でMcBurney点を圧迫すると仰臥位dorsal positionよりも疼痛が減弱する徴候をRosenstein徴候という.
5.腸蠕動音(グル音gurgling)は健康な時に聞こえるが,胃腸炎gastroenteritisの時には亢進し,腹膜炎peritonitisの時には減弱し,また腸閉塞(イレウスileus)の時には消失する.
(問題4.) 神経症状neurologic symptom,四肢extremitiesの運動機能motor functionの評価で正しいのはどれですか.
1.髄膜刺激症状meningeal irritation symptomとして項部硬直nuchal rigidityは認められるが,ケールニッヒ徴候Kernig signは認められない.
2.錐体路pyramidal
tractが障害されると筋固縮(強剛)muscle
rigidityがおこり,錐体外路extrapyramidal tractが障害されると筋痙直muscle spasticityがおこる.
3.上腕二頭筋反射biceps brachii reflex の検査は肘関節の屈側で上腕二頭筋の腱を打腱器で直接たたく.
4.錐体路pyramidal
tractが障害されると膝蓋腱反射Patellar tendon reflex,アキレス腱反射Achilles tendon reflexはそれぞれ亢進する.
5.錐体外路extrapyramidal
tractが障害されるとバビンスキー反射Babinski reflexが陽性となる.
(問題5.)心音heart sound, 心雑音heart murmurで正しいのはどれですか.
1.正常心音には心房収縮期の始まりに聞かれる第I心音first heart soundと心室収縮期の始まりに聞かれる第II心音second heart soundとがある.
2.心尖部cardiac
apexでは第II心音は第I心音より強く, 心基部basis of heartでは第I心音は第II心音より強い.
3.心音の聴診部位として心尖部には僧帽弁mitral valve領域が,第5肋間胸骨右縁から胸骨下端部には三尖弁tricuspid valve領域が,第2肋間胸骨右縁には大動脈弁aortic valve領域が,第2肋間胸骨左縁には肺動脈弁pulmonary valve領域がそれぞれ存在する.
4.第II心音は呼吸性に分裂respiratory splittingする.呼吸性分裂は呼気で増大し,吸気で減少する.呼気時に静脈還流venous returnが増大し,右室の駆出時間が延長するためである.
5.心房中隔欠損atrial septal defectのとき聞こえる第II心音の固定性分裂fixed splitting心雑音heart murmurは右室の圧負荷pressure overload(収縮期負荷systolic overload)のための相対的肺動脈弁狭窄relative pulmonary valve stenosisの音である.
平成10(1998)年度Physical Assessment答案用紙(解答例です) 山田幸宏
問題1 2 問題2 1 問題3
5 問題4 4 問題5 3
問題6. 乾性ラ音dry rales ,湿性ラ音moist rales とはどのような音なのか記述してください. 肺から聴こえる肺音lung soundには呼吸音breath soundと病気のときに聴かれる副雑音adventitious soundとがある.副雑音のうちラ音ralesは肺から聴こえる肺性副雑音pulmonary
adventitious soundである.乾性ラ音dry rales(連続性ラ音continuous rales), 湿性ラ音moist rales, bubbling rales, crackles(断続性ラ音discontinuous rales)は肺性副雑音であり,健康人では聴かれないが, それぞれ気管支喘息asthma bronchialeあるいは気管支肺炎bronchopneumoniaなどの病気のときに聴かれる音である. 乾性ラ音は 気管支の収縮あるいは気管支壁に分泌液が付着するなどして気管支が狭窄し,そこを空気が通過するときに聴かれる音である. 乾性ラ音は 喘鳴wheezingのみられる気管支喘息の患者などにおいて聴かれ,呼気延長とともに,呼気時に聴かれる.高調性のものを笛声音(てきせいおん)piping rales, 低調性のものをいびき音,類鼾音(るいびおん)snoring rales, rhonchusという.笛声音はmusical ralesともいわれ,持続性のある高温で笛(ふえ)の音のようなヒューヒュー,ピューピューという音である.類鼾音は鼾(いびき)のようなガーガーという音である.きしむような音はきしみ音squeakingという.
湿性ラ音は比較的細い気管支や末梢気管支に分泌液などの液体があり,そこを空気が通過するときに発する破裂性の音である.湿性ラ音は吸気時に聴こえる.喉頭,気管の狭窄による場合には 喘鳴stridorとして,気管支肺炎, 肺うっ血pulmonary congestion,
肺結核pulmonary tuberculosisの場合には水泡性ラ音 bubbling rales, course crackles(肺結核の場合には空洞の存在のため有響性crashあるいは金属性metallicな響きを持つ)として,肺線維症pulmonary fibrosisの場合には稔髪音 crepitant rales,
crepitation, ベルクロラ音Velcro ralesなどとしてそれぞれ聴こえる.最近では喘鳴(ぜんめい,ぜいめい,ゼーゼーする音が聴こえること)を,下気道の狭窄によっておこる気管支喘息のときなど主として呼気時に聴かれる場合にwheezingを,喉頭,気管など上気道の狭窄による,主として吸気時に聴こえる場合にstridorをそれぞれ用いることがある.喉頭ラ音 (死前喉音)gurgling ralesは吸気時にも呼気時にもゴロゴロgurgleという音が聴こえる(腹鳴のこともgurgleと言います).
平成11(1999)年度Physical Assessment試験問題 山田幸宏
正解を一つ選び,その番号をPhysical Assessment答案用紙に記入して下さい.
(問題1.) 視診inspectionで正しいのはどれですか.
1.紫斑purpuraには凝固因子の欠乏時にみられる点状出血petechiaと血小板減少時にみられる斑状出血斑ecchymosisとがある.
2. 黄疸jaundiceの観察は眼瞼結膜palpebral
conjunctivaで行い,貧血anemiaの観察は眼球結膜 bulbar conjunctivaで行う.
3.紅斑erythemaは炎症などにより皮膚表層の血管が拡張,充血したもので,圧迫により減弱したり,消失したりすることはない.
4.蕁麻疹urticariaは限局性の浮腫(膨疹wheal)を生ずるが,紅斑erythemaあるいは紫斑purpuraを伴うことはない.
5.カロチン症(柑皮症)carotenemiaでは主に手掌,足底が黄色くなるが,眼球結膜は黄色くならない.
(問題2.) 触診palpationで正しいのはどれですか.
1.腹膜炎peritonitisがあると腹壁が緊張して硬く触れる.これを腹性防御abdominal
defenseという.
2.甲状腺thyroid
glandは嚥下swallowing運動に伴い上下するが,頚部リンパ節cervical lymph nodeは嚥下運動に伴い上下しない.
3.心尖apex拍動の部位は心臓の中央部を示している.
4.下肢に炎症inflammationがあると鼠径部リンパ節inguinal lymph nodeが腫脹enlargementするが,これを炎症の転移metastasisという.
5.脾腫splenomegalyがある場合には脾は右側臥位で左手で前方から脾を後方へ押しやりながら右手で触れるようにすると 脾切痕incisureなどを良く触れる.
(問題3.) 腹部所見abdominal findingsで正しいのはどれですか.
1.腹膜刺激症状peritoneal irritation signとして腹部を圧迫したとき局所に強い痛みが出現する現象をブルンベルグ徴候Blumberg signという.
2.鼠径ヘルニアinguinal herniaは右に多い.
3.乳幼児で吸気時に肝liverを鎖骨中線上で肋骨弓下に3cm程度触れれば病的な肝腫大hepatomegalyである.
4.急性虫垂炎acute
appendicitisのとき左側臥位でMcBurney点を圧迫すると仰臥位dorsal positionよりも疼痛が減弱する徴候をRosenstein徴候という.
5.腸蠕動音(グル音gurgling)は健康な時に聞こえるが,胃腸炎gastroenteritis ,
腸閉塞(イレウスileus)の時には亢進し,腹膜炎peritonitisの時には減弱する.
(問題4.) 神経症状neurologic symptom,四肢extremitiesの運動機能motor functionの評価で正しいのはどれですか.
1.髄膜刺激症状meningeal irritation symptomとして項部硬直nuchal rigidityは認められるが,ケールニッヒ徴候Kernig signは認められない.
2.錐体路pyramidal
tractが障害されると筋固縮(強剛)muscle
rigidityがおこり,錐体外路extrapyramidal tractが障害されると筋痙直muscle spasticityがおこる.
3.上腕二頭筋反射biceps brachii reflex の検査は肘関節の屈側で上腕二頭筋の腱を打腱器で直接たたく.
4.錐体路pyramidal
tractが障害されると膝蓋腱反射Patellar tendon reflex,アキレス腱反射Achilles tendon reflexはそれぞれ減弱する.
5.錐体路pyramidal
tractが障害されるとバビンスキー反射Babinski reflexが陽性となる.
(問題5.)心音heart sound, 心雑音heart murmurで正しいのはどれですか.
1.正常心音には心房収縮期の始まりに聞かれる第I心音first heart soundと心室収縮期の始まりに聞かれる第II心音second heart soundとがある.
2.心尖部cardiac
apexでは第II心音は第I心音より強く, 心基部basis of heartでは第I心音は第II心音より強い.
3.心音の聴診部位として心尖部には僧帽弁mitral valve領域が,第5肋間胸骨右縁から胸骨下端部には三尖弁tricuspid valve領域が,第2肋間胸骨右縁には大動脈弁aortic valve領域が,第2肋間胸骨左縁には肺動脈弁pulmonary valve領域がそれぞれ存在する.
4.第II心音は呼吸性に分裂respiratory splittingする.呼吸性分裂は呼気で増大し,吸気で減少する.呼気時に静脈還流venous returnが増大し,右室の駆出時間が延長するためである.
5.心房中隔欠損atrial septal defectのとき聞こえる第II心音の固定性分裂fixed splittingは右室の圧負荷pressure overload(収縮期負荷systolic overload)のための相対的肺動脈弁狭窄relative pulmonary
valve stenosisの音である.
平成11(1999)年度Physical Assessment問題の解答例です. 山田幸宏
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問題1. 5 |
問題2. 2 |
問題3. 2 |
問題4. 5 |
問題5. 3 |
問題6.健康人の胸部の聴診ではどのような音が聞こえるか記述してください.
正常心音には心室収縮期の始まりに聞かれる第I心音と心室収縮期の終わりに聞かれる第II心音とがある.また小児,若年者に聞こえやすい第III心音がある.第III心音は拡張期に心室に流入する血液で心室筋および房室弁が振動するための音である.心尖部では第I心音は第II心音より強く,心基部では第II心音は第I心音より強い.第I心音から第II心音までは短く,第II心音から第I心音までは長い.心尖拍動と同時に第I心音が聞こえる.心音の聴診部位として心尖部には僧帽弁領域が,第5肋間胸骨右縁から胸骨下端部には三尖弁領域が,第2肋間胸骨右縁には大動脈弁領域が,第2肋間胸骨左縁には肺動脈弁領域がそれぞれ存在する.第II心音は呼吸性に分裂する.呼吸性分裂は吸気で増大し,呼気で減少する.吸気時に静脈還流が増大し,右室の駆出時間が延長するためである.
呼吸音は吸気時に肺胞呼吸音が,呼気時に気管支肺胞呼吸音がよく聞かれる.肺胞呼吸音は空気が肺胞に入ってくるときの共鳴音であり,120ヘルツほどの比較的低音な音である.肺胞呼吸音は肺野で良く聞かれる.肺胞呼吸音の吸気と呼気の長さの比率は3:1程度である.気管支肺胞呼吸音は肺胞呼吸音と,気管,気管支を出入りする空気の発する管性の音との混合した音であり,肺尖,第1と第2肋間の胸骨縁,背部では肩甲間部で聞かれる.1000ヘルツほどの比較的高音な音である.気管支肺胞呼吸音の吸気と呼気の長さの比率は1:1から1:3程度である.
平成12(2000)年度Physical Assessment試験問題 山田幸宏 正解を一つ選び,その番号を答案用紙に記入して下さい.
(問題1.) 視診inspectionで正しいのはどれですか.
1.紫斑purpuraには凝固因子の欠乏時にみられる点状出血petechiaと血小板減少時にみられる斑状出血斑ecchymosisとがある.
2.貧血anemiaの観察は眼瞼結膜palpebral conjunctivaで行い,黄疸jaundiceの観察は眼球結膜 bulbar conjunctivaで行う.
3.紅斑erythemaは炎症などにより皮膚表層の血管が拡張,充血したもので,圧迫により減弱したり,消失したりすることはない.
4.蕁麻疹urticariaは限局性の浮腫(膨疹wheal)を生ずるが,紅斑erythemaあるいは紫斑purpuraを伴うことはない.
5.カロチン症(柑皮症)carotenemiaでは主に手掌,足底が黄色くなるが,眼瞼結膜も黄色くなることがある.
(問題2.) 触診palpationで正しいのはどれですか.
1.腹膜炎peritonitisがあると腹壁が緊張して硬く触れる.これを筋性防御muscular
defenseという.
2.甲状腺thyroid
glandは嚥下swallowing運動に伴い上下しないが,頚部リンパ節cervical lymph nodeは嚥下運動に伴い上下する.
3.心尖apex拍動の部位は心臓の中央部を示している.
4.下肢に炎症inflammationがあると鼠径部リンパ節inguinal lymph nodeが腫脹enlargementするが,これを炎症の転移metastasisという.
5.脾腫splenomegalyがある場合には脾は右側臥位で左手で前方から脾を後方へ押しやりながら右手で触れるようにすると 脾切痕incisureなどを良く触れる.
(問題3.) 腹部所見abdominal findingsで正しいのはどれですか.
1.腹膜刺激症状peritoneal irritation signとして腹部を圧迫したとき局所に強い痛みが出現する現象をブルンベルグ徴候Blumberg signという.
2.鼠径ヘルニアinguinal herniaは左に多い.
3.乳幼児で吸気時に肝liverを鎖骨中線上で肋骨弓下に3cm程度触れれば病的な肝腫大hepatomegalyである.
4.急性虫垂炎acute
appendicitisのとき左側臥位でMcBurney点を圧迫すると仰臥位dorsal positionよりも疼痛が減弱する徴候をRosenstein徴候という.
5.腸蠕動音(グル音gurgling)は健康な時に聞こえるが,胃腸炎gastroenteritisの時には亢進し,腹膜炎peritonitisの時には減弱し,また腸閉塞(イレウスileus)の時には消失する.
(問題4.) 神経症状neurologic symptom,四肢extremitiesの運動機能motor functionの評価で正しいのはどれですか.
1.髄膜刺激症状meningeal irritation symptomとして項部硬直nuchal rigidityは認められるが,ケールニッヒ徴候Kernig signは認められない.
2.錐体路pyramidal
tractが障害されると筋固縮(強剛)muscle
rigidityがおこり,錐体外路extrapyramidal tractが障害されると筋痙直muscle spasticityがおこる.
3.上腕二頭筋反射biceps brachii reflex の検査は肘関節の屈側で上腕二頭筋の腱を打腱器で直接たたく.
4.錐体路pyramidal
tractが障害されると膝蓋腱反射Patellar tendon reflex,アキレス腱反射Achilles tendon reflexはそれぞれ亢進する.
5.錐体外路extrapyramidal
tractが障害されるとバビンスキー反射Babinski reflexが陽性となる.
(問題5.)心音heart sound, 心雑音heart murmurで正しいのはどれですか.
1.正常心音には心房収縮期の始まりに聞かれる第I心音first heart soundと心室収縮期の始まりに聞かれる第II心音second heart soundとがある.
2.心尖部cardiac
apexでは第II心音は第I心音より強く, 心基部basis of heartでは第I心音は第II心音より強い.
3.心音の聴診部位として心尖部には僧帽弁mitral valve領域が,第5肋間胸骨右縁から胸骨下端部には三尖弁tricuspid valve領域が,第2肋間胸骨右縁には大動脈弁aortic valve領域が,第2肋間胸骨左縁には肺動脈弁pulmonary valve領域がそれぞれ存在する.
4.第II心音は呼吸性に分裂respiratory splittingする.呼吸性分裂は呼気で増大し,吸気で減少する.呼気時に静脈還流venous returnが増大し,右室の駆出時間が延長するためである.
5.心房中隔欠損atrial septal defectのとき聞こえる第II心音の固定性分裂fixed splittingは右室の圧負荷pressure overload(収縮期負荷systolic overload)のための相対的肺動脈弁狭窄relative pulmonary
valve stenosisの音である.
平成12(2000)年度Physical Assessment答案用紙(解答例です) 山田幸宏
問題1 2 問題2 1 問題3
5 問題4 4
問題5 3
問題6.リンパ節lymph nodeが触診できる部位およびリンパ節腫脹のみられる病態について記述してください.触診されやすいリンパ節は頚部cervicalリンパ節 ,腋窩axillaryリンパ節,鼠径部inguinalリンパ節などである.頚部リンパ節腫脹は扁桃炎tonsillitis,腋窩リンパ節腫脹は上肢,鼠径部リンパ節腫脹は下肢の細菌感染症bacterial infectionなどがある場合にそれぞれみられる.これらのリンパ節が所属リンパ節(領域リンパ節)regional lymph nodeとなっているためである.リンパ節は全身からのリンパ液lymphの流れにのった異物などが抗原提示細胞antigen presenting cellによってリンパ球lymphocyteに提示され,異物などの処理,抗体産生antibody productionなどが行われる末梢リンパ組織である.ウイルス感染症viral infectionなどでリンパ節腫脹enlargement of lymph nodeがみられることがある.風疹rubellaのときには, 耳介後部retroauricularリンパ節腫脹などが,伝染性単核症infectious
mononucleosisのときには頚部リンパ節腫脹などがそれぞれみられる.癌cancer,白血病leukemia,ホジキン病Hodgkin diseaseなどの場合にもリンパ節腫脹がみられることがある.胃癌stomach carcinomaは左鎖骨下subaxillarリンパ節に転移metastasisすることがある.この場合,この左鎖骨下リンパ節をVirchowの見張りリンパ節sentinel node of Virchowという.
平成13(2001)年度Physical Assessment試験問題 山田幸宏
(問題1.) 視診inspectionで正しいのはどれですか.
1.紫斑purpuraには凝固因子の欠乏時にみられる斑状出血斑ecchymosisと血小板減少時にみられる点状出血petechiaとがある.
2.貧血anemiaの観察は眼球結膜 bulbar conjunctivaで行い,黄疸jaundiceの観察は眼瞼結膜palpebral conjunctivaで行う.
3.紅斑erythemaは炎症などにより皮膚表層の血管が拡張,充血したもので,圧迫により減弱したり,消失したりすることはない.
4.蕁麻疹urticariaは限局性の浮腫(膨疹wheal)を生ずるが,紅斑erythemaあるいは紫斑purpuraを伴うことはない.
5.カロチン症(柑皮症)carotenemiaでは主に手掌,足底が黄色くなるが,眼瞼結膜も黄色くなることがある.
(問題2.) 触診palpationで正しいのはどれですか.
1.腹膜炎peritonitisがあると腹壁が緊張して硬く触れる.これを神経性萎縮neural atrophyという.
2.甲状腺thyroid
glandは嚥下swallowing運動に伴い上下しないが,頚部リンパ節cervical lymph nodeは嚥下運動に伴い上下する.
3.心尖apex拍動の部位は心臓の中央部を示している.
4.下肢に炎症inflammationがあると鼠径部リンパ節inguinal lymph nodeが腫脹en-
largementするが,これを炎症の転移metastasisという.
5.脾腫splenomegalyがある場合には脾は右側臥位で左手で後方から脾を前方へ押しやりながら右手で触れるようにすると 脾切痕incisureなどを良く触れる.
(問題3.) 腹部所見abdominal findingsで正しいのはどれですか.
1.腹膜刺激症状peritoneal irritation signとして腹部を圧迫し,その圧迫を急に解くと,局所に強い痛みが出現する現象をブルンベルグ徴候Blumberg signという.
2.鼠径ヘルニアinguinal herniaは左に多い.
3.乳幼児で吸気時に肝liverを鎖骨中線上で肋骨弓下に3cm程度触れれば病的な肝腫大hepatomegalyである.
4.急性虫垂炎acute
appendicitisのとき左側臥位でMcBurney点を圧迫すると仰臥位dorsal positionよりも疼痛が減弱する徴候をRosenstein徴候という.
5.腸蠕動音(グル音gurgling)は健康な時に聞こえるが,胃腸炎gastroenteritisの時には減弱し,腹膜炎peritonitis,腸閉塞(イレウスileus)の時には亢進する.
(問題4.) 神経症状neurologic symptom,四肢extremitiesの運動機能motor functionの評価で正しいのはどれですか.
1.髄膜刺激症状meningeal irritation symptomとして項部硬直nuchal rigidityは認められるが,ケールニッヒ徴候Kernig signは認められない.
2.錐体路pyramidal
tractが障害されると筋痙直muscle spasticityがおこり,錐体外路extra pyramidal tractが障害されると筋固縮(強剛)muscle rigidityがおこる.
3.上腕二頭筋反射biceps brachii reflex の検査は肘関節の屈側で上腕二頭筋の腱を打腱器で直接たたく.
4.錐体路pyramidal
tractが障害されると膝蓋腱反射Patellar tendon reflex,アキレス腱反射Achilles tendon reflexはそれぞれ減弱する.
5.錐体外路extra
pyramidal tractが障害されるとバビンスキー反射Babinski reflexが陽性となる.
(問題5.)心音heart sound, 心雑音heart murmurで正しいのはどれですか.
1.正常心音には心房収縮期の始まりに聞かれる第I心音first heart soundと心室収縮期の始まりに聞かれる第II心音second heart soundとがある.
2.心尖部cardiac
apexでは第II心音は第I心音より強く, 心基部basis of heartでは第I心音は第II心音より強い.
3.心音の聴診部位として心尖部には僧帽弁mitral valve領域が,第5肋間胸骨右縁から胸骨下端部には三尖弁tricuspid valve領域が,第2肋間胸骨左縁には大動脈弁aortic valve領域が,第2肋間胸骨右縁には肺動脈弁pulmonary valve領域がそれぞれ存在する.
4.第II心音は呼吸性に分裂respiratory splittingする.呼吸性分裂は呼気で増大し,吸気で減少する.呼気時に静脈還流venous returnが増大し,右室の駆出時間が延長するためである.
5.心房中隔欠損atrial septal defectのとき聞こえる第II心音の固定性分裂fixed splittingは右室の容量負荷volume load(拡張期負荷diastolic overload)のための相対的肺動脈弁狭窄relative pulmonary
valve stenosisの音である.
平成13(2001)年度Physical Assessment問題,(解答例です) 山田幸宏
問題1 1 問題2 5 問題3 1 問題4 2 問題5 5
問題6. 乾性ラ音dry rales ,湿性ラ音moist rales とはどのような音なのか記述してください.
肺から聴こえる肺音lung soundには呼吸音breath soundと病気のときに聴かれる副雑音adventitious soundとがある.副雑音のうちラ音ralesは肺から聴こえる肺性副雑音pulmonary
adventitious soundである.乾性ラ音dry rales(連続性ラ音continuous rales), 湿性ラ音moist rales, bubbling
rales, crackles(断続性ラ音discontinuous rales)は肺性副雑音であり,健康人では聴かれないが, それぞれ気管支喘息asthma bronchialeあるいは気管支肺炎bronchopneumoniaなどの病気のときに聴かれる音である.
乾性ラ音は 気管支の収縮あるいは気管支壁に分泌液が付着するなどして気管支が狭窄し,そこを空気が通過するときに聴かれる音である. 乾性ラ音は 喘鳴wheezingのみられる気管支喘息の患者などにおいて聴かれ,呼気延長とともに,呼気時に聴かれる.高調性のものを笛声音(てきせいおん)piping rales, 低調性のものをいびき音,類鼾音(るいびおん)snoring rales, rhonchusという.笛声音はmusical ralesともいわれ,持続性のある高温で笛(ふえ)の音のようなヒューヒュー,ピューピューという音である.類鼾音は鼾(いびき)のようなガーガーという音である.きしむような音はきしみ音squeakingという.
湿性ラ音は比較的細い気管支や末梢気管支に分泌液などの液体があり,そこを空気が通過するときに発する破裂性の音である.湿性ラ音は吸気時に聴こえる.喉頭,気管の狭窄による場合には 喘鳴stridorとして,気管支肺炎, 肺うっ血pulmonary
congestion, 肺結核pulmonary tuberculosisの場合には水泡性ラ音 bubbling rales, course crackles(肺結核の場合には空洞の存在のため有響性crashあるいは金属性metallicな響きを持つ)として,肺線維症pulmonary fibrosisの場合には稔髪音 crepitant rales,
crepitation, ベルクロラ音Velcro ralesなどとしてそれぞれ聴こえる.
最近では喘鳴(ぜんめい,ぜいめい,ゼーゼーする音が聴こえること)を,下気道の狭窄によっておこる気管支喘息のときなど主として呼気時に聴かれる場合にwheezingを,喉頭,気管など上気道の狭窄による,主として吸気時に聴こえる場合にstridorをそれぞれ用いることがある.喉頭ラ音 (死前喉音)gurgling ralesは吸気時にも呼気時にもゴロゴロgurgleという音が聴こえる(腹鳴のこともgurgleと言います).
平成14(2002)年6月5日 Physical Assessment試験問題 山田幸宏
正解を一つ選び,その番号を答案用紙に記入して下さい.
(問題1.) 視診inspectionで正しいのはどれですか.
1.紫斑purpuraには凝固因子の欠乏時にみられる点状出血petechiaと血小板減少時にみられる斑状出血斑ecchymosisとがある.
2.貧血anemiaの観察は眼瞼結膜palpebral conjunctivaで行い,黄疸jaundiceの観察は眼球結膜 bulbar conjunctivaで行う.
3.紅斑erythemaは炎症などにより皮膚表層の血管が拡張,充血したもので,圧迫により減弱したり,消失したりすることはない.
4.蕁麻疹urticariaは限局性の浮腫(膨疹wheal)を生ずるが,紅斑erythemaあるいは紫斑purpuraを伴うことはない.
5.カロチン症(柑皮症)carotenemiaでは主に手掌,足底が黄色くなるが,眼瞼結膜も黄色くなることがある.
(問題2.) 触診palpationで正しいのはどれですか.
1.腹膜炎peritonitisがあると腹壁が緊張して硬く触れる.これを筋性防御muscular
defenseという.
2.甲状腺thyroid
glandは嚥下swallowing運動に伴い上下しないが,頚部リンパ節cervical lymph nodeは嚥下運動に伴い上下する.
3.心尖apex拍動の部位は心臓の中央部を示している.
4.下肢に炎症inflammationがあると鼠径部リンパ節inguinal lymph nodeが腫脹enlargementするが,これを炎症の転移metastasisという.
5.脾腫splenomegalyがある場合には脾は右側臥位で左手で前方から脾を後方へ押しやりながら右手で触れるようにすると 脾切痕incisureなどを良く触れる.
(問題3.) 腹部所見abdominal findingsで正しいのはどれですか.
1.腹膜刺激症状peritoneal irritation signとして腹部を圧迫したとき局所に強い痛みが出現する現象をブルンベルグ徴候Blumberg signという.
2.鼠径ヘルニアinguinal herniaは左に多い.
3.乳幼児で吸気時に肝liverを鎖骨中線上で肋骨弓下に3cm程度触れれば病的な肝腫大hepatomegalyである.
4.急性虫垂炎acute
appendicitisのとき左側臥位でMcBurney点を圧迫すると仰臥位dorsal positionよりも疼痛が減弱する徴候をRosenstein徴候という.
5.腸蠕動音(グル音gurgling)は健康な時に聞こえるが,胃腸炎gastroenteritisの時には亢進し,腹膜炎peritonitisの時には減弱し,また腸閉塞(イレウスileus)の時には消失する.
(問題4.) 神経症状neurologic symptom,四肢extremitiesの運動機能motor functionの評価で正しいのはどれですか.
1.髄膜刺激症状meningeal irritation symptomとして項部硬直nuchal rigidityは認められるが,ケールニッヒ徴候Kernig signは認められない.
2.錐体路pyramidal
tractが障害されると筋固縮(強剛)muscle
rigidityがおこり,錐体外路extrapyramidal tractが障害されると筋痙直muscle spasticityがおこる.
3.上腕二頭筋反射biceps brachii reflex の検査は肘関節の屈側で上腕二頭筋の腱を打腱器で直接たたく.
4.錐体路pyramidal
tractが障害されると膝蓋腱反射Patellar tendon reflex,アキレス腱反射Achilles tendon reflexはそれぞれ亢進する.
5.錐体外路extrapyramidal
tractが障害されるとバビンスキー反射Babinski reflexが陽性となる.
(問題5.) 呼吸音breath soundで正しいのはどれですか.
1.呼気expiration時に肺胞呼吸音vesicular soundが、吸気inspiration時に気管支肺胞呼吸音bronchovesicular
soundがよく聞かれる.
2.肺胞呼吸音は空気が肺胞に入ってくるときの共鳴音であり、120ヘルツほどの比較的低い音である.
3.肺胞呼吸音は肺野では聴取されない.
4.肺胞呼吸音は肺胞呼吸音と, 気管, 気管支を出入りする空気の発する管性の音との混合した音であり, 肺尖, 第1と第2肋間の胸骨縁, 背部では肩甲間部で聞かれる. 1000ヘルツほどの比較的高い音である.
5.肺胞呼吸音の吸気と呼気の長さの比率は1:3程度である.
平成14(2002)年6月5日 Physical Assessment問題 (解答例です)山田幸宏
問題1 2 問題2 1 問題3
5 問題4 4
問題5 2
問題6.正常心音normal heart soundはどのような音なのか記述してください.
最も基本的な心音は,第I心音first soundと第II心音second soundである.第I心音は心室収縮期の開始時に聴取され,主として房室弁atrioventricular
valve(僧帽弁mitral valveと三尖弁tricuspid valve),とくに僧帽弁の閉鎖によって生じる音であるが,その他,心室壁の収縮時における緊張,半月弁semilunar valve(大動脈弁aortic valveと肺動脈弁pulmonary valve)の開放,心室から動脈への血液駆出による動脈壁の伸展,ならびに血液の振動によって発生する.僧帽弁mitral valveは二尖弁bicuspid valveとも呼ばれることがある.第I心音は第II心音より低く持続の長い音である.
第II心音は心室収縮期の終了時に聴取され(拡張期の開始時),半月弁の閉鎖によって生じる音であるが,動脈壁が逆流しようとする血液により急に伸展され,ついで振動すること,ならびに血液の振動によって生じる音も混じている.第II心音は第I心音より高く持続の短い音である.次ぎの第I心音との間にやや長い休止期がある.第II心音には大動脈成分IIAと肺動脈成分IIPとがあり,第II心音はIIA,IIPの順に分裂している.これは右室の駆出時間が左室の駆出時間よりも長いためである.若年者ではIIPはIIAより強く,中年ではIIPとIIAはほぼ等しく,高齢者ではIIAはIIPより強く聴取される.第II心音は吸気時に分裂し,呼気時に単一となる.吸気時には胸腔内圧低下により静脈還流の増加,右室駆出時間の延長によって第II心音の吸気時分裂が起こる.
過剰心音として,幼少児,若年者では,しばしば第III心音third sound(拡張早期の急速流入期に発生する低調音)が聴取される.臥位で心尖部に聴取されやすい.これは拡張期に心室へ流入する血液で心室筋および房室弁が振動するためとされている.各心音の強さや性質は聴診部位によって異なり,心尖部では第I心音は第II心音より明らかに強く,心基部では第I心音が弱く,第II心音が強い.心尖拍動と同時に聴取されるのは第I心音である.第IV心音fourth sound(心房収縮期に聴取される低調音)が聴取されることがある.
平成15(2003)年6月 Physical Assessment試験問題 山田幸宏
正解を一つ選び,その番号を答案用紙に記入して下さい.
(問題1.) 視診inspectionで正しいのはどれですか.
1.紫斑purpuraには凝固因子の欠乏時にみられる点状出血petechiaと血小板減少時にみられる斑状出血斑ecchymosisとがある.
2.貧血anemiaの観察は眼瞼結膜palpebral conjunctivaで行い,黄疸jaundiceの観察は眼球結膜 bulbar conjunctivaで行う.
3.紅斑erythemaは炎症などにより皮膚表層の血管が拡張,充血したもので,圧迫により減弱したり,消失したりすることはない.
4.蕁麻疹urticariaは限局性の浮腫(膨疹wheal)を生ずるが,紅斑erythemaあるいは紫斑purpuraを伴うことはない.
5.カロチン症(柑皮症)carotenemiaでは主に手掌,足底が黄色くなるが,眼瞼結膜も黄色くなることがある.
(問題2.) 触診palpationで正しいのはどれですか.
1.腹膜炎peritonitisがあると腹壁が緊張して硬く触れる.これを筋性防御muscular
defenseという.
2.甲状腺thyroid
glandは嚥下swallowing運動に伴い上下しないが,頚部リンパ節cervical lymph nodeは嚥下運動に伴い上下する.
3.心尖apex拍動の部位は心臓の中央部を示している.
4.下肢に炎症inflammationがあると鼠径部リンパ節inguinal lymph nodeが腫脹enlargementするが,これを炎症の転移metastasisという.
5.脾腫splenomegalyがある場合には,脾は右側臥位で左手で前方から脾を後方へ押しやりながら右手で触れるようにすると 脾切痕incisureなどを良く触れる.
(問題3.) 腹部所見abdominal findingsで正しいのはどれですか.
1.腹膜刺激症状peritoneal irritation signとして腹部を圧迫したとき局所に強い痛みが出現する現象をブルンベルグ徴候Blumberg signという.
2.鼠径ヘルニアinguinal herniaは左に多い.
3.乳幼児で吸気時に肝liverを鎖骨中線上で肋骨弓下に3cm程度触れれば病的な肝腫大hepatomegalyである.
4.急性虫垂炎acute
appendicitisのとき左側臥位でMcBurney点を圧迫すると仰臥位dorsal positionよりも疼痛が減弱する徴候をRosenstein徴候という.
5.腸蠕動音(グル音gurgling)は健康な時に聞こえるが,胃腸炎gastroenteritisの時には亢進し,腹膜炎peritonitisの時には減弱し,また腸閉塞(イレウスileus)の時には消失する.
(問題4.) 神経症状neurological symptom,四肢extremitiesの運動機能motor functionの評価で正しいのはどれですか.
1.髄膜刺激症状meningeal irritation symptomとして項部硬直nuchal rigidityは認められるが,ケールニッヒ徴候Kernig signは認められない.
2.錐体路pyramidal
tractが障害されると筋固縮(強剛)muscle
rigidityが起こり,錐体外路extrapyramidal tractが障害されると筋痙直muscle spasticityが起こる.
3.上腕二頭筋反射biceps brachii reflex の検査は肘関節の屈側で上腕二頭筋の腱を打腱器で直接たたく.
4.錐体路pyramidal
tractが障害されると膝蓋腱反射Patellar tendon reflex,アキレス腱反射Achilles tendon reflexはそれぞれ亢進する.
5.錐体外路extrapyramidal
tractが障害されるとバビンスキー反射Babinski reflexが陽性となる.
(問題5.) 呼吸音breath soundで正しいのはどれですか.
1.呼気expiration時に肺胞呼吸音vesicular soundが、吸気inspiration時に気管支肺胞呼吸音bronchovesicular
soundがよく聞かれる.
2.肺胞呼吸音は空気が肺胞に入ってくるときの共鳴音であり、120ヘルツほどの比較的低い音である.
3.肺胞呼吸音は肺野では聴取されない.
4.肺胞呼吸音は肺胞呼吸音と, 気管, 気管支を出入りする空気の発する管性の音との混合した音であり, 肺尖, 第1と第2肋間の胸骨縁, 背部では肩甲間部で聞かれる. 1000ヘルツほどの比較的高い音である.
5.肺胞呼吸音の吸気と呼気の長さの比率は1:3程度である.
(問題6.)対光反射light reflexで正しいのはどれですか.
1.脳幹brain stemの橋ponsに中枢のある反射である.
2.直接性瞳孔反応direct pupillary reactionは,片眼に光を照射したとき,その眼の瞳孔縮小miosisが起こる反応であり,共感性瞳孔反応consensual pupillary
reactionは片眼を光照射したとき,対側の瞳孔も縮小する反応である.
3. 縮瞳は瞳孔括約筋iris sphincterの収縮によって起こり,交感神経系sympathetic nervous
systemの支配である.
4.散瞳mydriasisは瞳孔散大筋の収縮によって起こり,副交感神経系parasympathetic
nervous systemの支配である.
5. 対光反射は刺激光が黄斑部maculaに近いほど強く起こるが,網膜retinaの周辺刺激でも起こる.
(問題7.)脳神経cranial nervesで正しいのはどれですか.
1. 脳神経は中枢神経系central nervous systemである.
2.顔面の知覚は顔面神経facial nerveによって担われている.
3.三叉神経trigeminal nerveは眼神経ophthalmic nerve,上顎神経maxillary nerve,下顎神経mandibular nerveの三つの枝から構成されており,眼神経は視覚vision, sense of sightを担っている.
4.味覚sensation of taste, gustationは舌の前2/3は顔面神経により,舌の後1/3は舌咽神経glossopharyngeal nerveにより支配されている.
5.迷走神経vagus nerveは運動,感覚,交感神経の神経線維を含んでいる.
(問題8.)関節jointに関するフィジカルアセスメントに関して正しいのはどれですか.
1.右肘関節の場合,上肢の近位から遠位方向からみて右回転することを回外supinationという.
2. 右股関節の場合,下肢の近位から遠位方向からみて右回転することを内旋internal rotationという.
3.足関節の場合,足背側に曲げることを底屈flexor plantar responseという.
4.拳(こぶしfist)を握っている場合,中手指節関節は伸展している.
5.手の指節骨は母指thumbも含め,近位proximalのものを基節骨proximal phalanx,つぎを中節骨medial phalanx,遠位のものを末節骨distal phalanxという.
平成15(2003)年6月 Physical Assessment問題 (解答例です) 山田幸宏
問題1. 2 問題2. 1 問題3. 5 問題4. 4 問題5. 2 問題6. 2問題7. 4問題8. 1
問題9.健康人の胸部の聴診ではどのような音が聞こえるか記述してください.
正常心音には心室収縮期の始まりに聞かれる第I心音と心室収縮期の終わりに聞かれる第II心音とがある.また小児,若年者に聞こえやすい第III心音がある.第III心音は拡張期に心室に流入する血液で心室筋および房室弁が振動するための音である.心尖部では第I心音は第II心音より強く,心基部では第II心音は第I心音より強い.第I心音から第II心音までは短く,第II心音から第I心音までは長い.心尖拍動と同時に第I心音が聞こえる.心音の聴診部位として心尖部には僧帽弁領域が,第5肋間胸骨右縁から胸骨下端部には三尖弁領域が,第2肋間胸骨右縁には大動脈弁領域が,第2肋間胸骨左縁には肺動脈弁領域がそれぞれ存在する.第II心音は呼吸性に分裂する.呼吸性分裂は吸気で増大し,呼気で減少する.吸気時に静脈還流が増大し,右室の駆出時間が延長するためである.
呼吸音は吸気時に肺胞呼吸音が,呼気時に気管支肺胞呼吸音がよく聞かれる.肺胞呼吸音は空気が肺胞に入ってくるときの共鳴音であり,120ヘルツほどの比較的低音な音である.肺胞呼吸音は肺野で良く聞かれる.肺胞呼吸音の吸気と呼気の長さの比率は3:1程度である.気管支肺胞呼吸音は肺胞呼吸音と,気管,気管支を出入りする空気の発する管性の音との混合した音であり,肺尖,第1と第2肋間の胸骨縁,背部では肩甲間部で聞かれる.1000ヘルツほどの比較的高音な音である.気管支肺胞呼吸音の吸気と呼気の長さの比率は1:1から1:3程度である.