アリランの誕生
私が〃アリラン〃に初めて出会ったのは一九七三年の夏のことである。留学した韓国の慶煕大
学の夏季農村奉仕活動の学生たちと訪れた江原道原城郡貴来面雲南里であった。吉くから軍都と
して知られた原州市からバスで二時問ほど行ったところにある雲南里は、山を越えると忠清北道
という道境の山間の村で、当時村にはまだ電気がなかった。一日の勤労奉仕を終えて、洋を流す
ために近くを流れる小川に風呂代わりに入ると、メダカが無数に吸い付くようにまとわりついて
きた。
二週間の滞在中、昼は勤労奉仕で道路の補修や消毒活動などにはげみ、夜は児垂、婦女子、青
年班などに分かれ啓豪清動が行われた。学生たちは昼の疲れも見せず村人と夜遅くまで語り合っ
ていたが、いつも間こえてくるのは陽気な笑い声と歌であった。韓固に来てニカ月にしかならな
い私は言葉もおぼつかなく、温かく迎えてくれた村人たちとは片言の会話と笑顔で接するのみで
あった。