第二章
公民権運動
〜キング牧師とマルコムX〜

黒人運動に大きな役割を果たし、今日の黒人社会に光を残したキング牧師とマルコムX。彼らの痕跡は偉大なるものだった。今日でもマルコムXのシャツを着ている若者が街を歩いている。そして、キングの誕生日の1月15日は祝日になっている。これらを見ればわかるだろう。
しかし、二人の思想、運動は異なったものだった。キングがガンジーを見本とする反暴力運動だとすれば、マルコムは白人とはいっさい共にしない「分離主義」だった。
分かりやすく言うとキングの思想は「今まで我々に対して行った白人達の行いを許そう。そして、お互い歩み寄ろうではないか」というもの。それに対してマルコムの思想は「白人とは邪悪なものである。われわれ黒人こそがもっとも誇り高き人種である。よって白人と共存する必要はまったくない。それを達成するためにはいかなる手段をも惜しまないだろう」
一見過激な暴力遂行な発言であるがキングの反暴力運動に痺れを切らした若者にうけた理由もうなずける。しかし、本質的な意味は違っていたのである。マルコムは決して暴力を賞賛しているのではなく、いかなる手段をとってもというのは宗教的、政治的、宗教的な手段をとってしてもということである。
この背景には二人の家庭環境、宗教の違い、人種観の違いがあった。
家庭環境からいくと、キングは金持ちとは言わないまでも不自由ない生活をしていたのに対しマルコムは生活保護を受けていた。それだけでなく、父親を失った事により家庭が離散するという悲劇にあっている。これによりマルコムは盗みや強盗に走ってしまう。
宗教の面では、キングは父親がそうであるようにキリスト教に従事していた。キングはここから、黒人差別をなくすには敵を愛す事であると悟るのである。これに対しマルコムは獄中で知ったイスラム教を信仰していた。イスラム教は「汝敵を愛せよ」という文句はないという。ここかもキングとの違いが表れているのである。
両者の白人観の違いであるが、キングは白人を恨むようなことはしていなかった。そこにはキリスト教の教えが根底にあった。さまざまな運動でも、積極的に白人の参加を認めた。だからこそキングは「ノーベル平和賞」まで受賞したのであろう。
このように、キングとマルコムははそれぞれ違った思想をもって人種差別と戦ったのである。二人の思想を見ていきたい。