いまどきパソコン使えない人なんて方を見つけるのは難しいし、大体パソコン使えないで仕事は出来ない。出来た方がいいのではなく、出来ないと困るのである。ではどの程度まで出来たらいいのでしょうか? これは一概には言えませんが、出来るならどんどん出来るに越したことはありません。ただ我々は栄養士を目指すのであるので、それに必要な知識に特化して考えてもいいかもしれません。それはどんな知識だ?と思うでしょうが、ここにいくつかの大学事例を報告します。あえて大学名は伏せてますが、こういう大学が決して特殊な学校ではないことは認識しておいてください。これからはこういう環境で育たないと社会では通用しないかもしれません。いつまでも貧しい環境で黒板と教科書の棒読みでは役立つ栄養士にはなれませんな。まあ私なんてこういう設備があれば出来るかぎり駆使して使いますな。だって字が下手だから・・・・お粗末でした・・・
 

IT教育が重要になった!
 新聞などでITという言葉が盛んに使われています。これはInformation Technology(情報工学)の頭文字で、パソコンの活用ぐらいに考えてもよいでしょう。ペンシルバニア大学経営学大学院のJames Emery 教授が1987年に「Management Information Systems」という本で使ったのが最初と言われています。
 あらゆる分野においてITの重要性が叫ばれています。栄養学および栄養士養成教育においてもITが重要なことは当然です。しかし、栄養学は、経済とか工学とか医学などの分野にくらべて、ITの活用に遅れをとってきた感があります。ここに遅ればせながら、管理栄養士養成施設においてIT教育が重視されるようになりました。
 すなわち、2002年の改正栄養士法の施行に向けて、改正カリキュラムが発表され、その中でITの重要性が強調されるようになりました。専門基礎分野の「社会・環境と健康」、専門分野の「栄養教育論」「公衆栄養学」で情報の収集・分析が述べられ、臨床栄養実習室にコンピュータの設置が義務づけられ、情報処理室を有するのが望ましいと、されています。
 S女学院大学はこれまでもIT教育が熱心な大学と言うことができます。さらに、今回の保健福祉学部への栄養学科の設置および人文学部の設置に伴って、IT設備、IT教育の充実が計られています。ここで本学における、1)情報処理設備の充実、2)総合人間科学におけるコンピュータ演習、3)専門基礎分野における情報処理教育、4)専門分野におけるIT教育、について説明しましょう。
 
1)情報処理設備の充実
 講義室や演習室に、ビデオやパソコン画面を映写することのできる液晶プロジェクターがあることに気づくでしょう。教員は市販や自分の作った教材を利用して、講義を能率よく進めることができますし、学生も宿題や演習の結果をクラス全員に見せることができるでしょう。統計学、解剖学、調理学などの理解に役立つでしょう。自習や卒業研究のために、インターネットのどのサイトを利用すると良いかを教員が教えてくれるでしょう。
 学生のコンピュータ演習(実習)や自習のために設備の整った情報処理演習室が準備されています。復習、予習に使えるでしょうし、液晶プロジェクタ、OHP、スライド発表のためのファイルを作ることもできるでしょう。インターネットに自由にアクセスできます。
 情報処理室は主として総合人間科学および専門基礎分野において使うものですが、これとは別に専門分野における教育においても、パソコンを活用する必要があります。このために、栄養教育実習室および臨床栄養実習室にノート型パソコンを置くことにしています。これはパソコンについての実習ではなく、臨床栄養学、栄養教育論、給食経営管理論などの実習や演習で使うためのものです。栄養教育実習室および臨床栄養実習室の台には情報コンセントを設置して、インターネットに接続することになっています。
 
2)総合人間科学におけるコンピュータ演習
 総合人間科学の環境と情報には、必修のコンピュータ演習(基礎)の他に、選択科目としてコンピュータ演習(応用)およびコンピュータとマルチメディア の3科目があります。
 「コンピュータ演習(基礎)」は入力と出力の方法、ソフトの使い方など、その後の演習や実習、卒業後のコンピュータ活用の基礎となるものです。これまで高校などで使ってきていて慣れているつもりでも、自己流で正しく理解していないことも稀ではありません。ファイルの転換法などを知らないと、作ったファイルを専門分野の実習で使うのに困りますし、共同作業ができません。
 専門分野の実習や卒業後の実務において、ワープロソフト(デスクトップ・パブリッシング)、表計算ソフト(スプレドシーツ)を使う能力が要求されます。栄養計算や統計処理に使うことになるでしょう。計算だけではありません。データの保存や整理(並び替え)などにも使うことができます。発表や栄養教育のために、プレゼンテーション・ソフトの使い方を習う必要があるでしょう。
 もう一つ、将来すぐに必要となるので、ホームページとくに英語のページを気軽に読む(browsing:拾い読み)のに慣れることは重要です。栄養や公衆衛生などについてのホームページはかなりの数にのぼり、とくに欧米のサイトには優れたものが少なくありません。英語の勉強も兼ねて、ブラウズする習慣を身につけてください。 「コンピュータ演習(応用)」の内容はそれぞれの学生の知識や「基礎演習」における進度によって異なるでしょう。
 表計算ソフトについては、自分自身および同級生や後輩のためになる入力やプログラミングをして欲しいと思います。食品成分表(政府が公表しているので版権は無い)を入力し、計算するプログラム(マクロ)を作ると、皆で使うことができるでしょう。マクロを作るのはそれほど難しくはないでしょうし、その知識は将来とも役に立つでしょう。
 基礎演習では、他の人が作ったホームページを利用(受信)することを述べましたが、できたら他の人に貢献(発信)することも考えましょう。このページは特別なプログラムを使わずに、文章を書いた後で簡単なタグ(荷札)をつけたものです。カリキュラム表も簡単な書式で作ることができます。このようなHTMLファイルは、ほとんどすべてのパソコンで読むことができます。HTMLファイルの作り方に慣れると、将来も役に立つでしょう。
 入力した食品成分表を自分および学内で利用するだけでなく、誰でも利用できるようにしましょう。アメリカなどの食品成分表を利用することはできますが、私の知る限り、日本の食品成分表はホームページに公開されていません。残念に思っています。N女学院大学で食品成分表を発信して欲しいと思っています。
 食品名と量を入力すれば栄養計算ができるプログラムをJava Script で作ることも考えてください。これは表計算ソフトのプログラムを作るよりは手がかかりますが、インターネットで公表すると、どのパソコンでも使うことができます。このプログラム製作の知識はさらに一般的に役に立ちます。体重と身長から肥満度を計算するプログラムを作って、ホームページで提供しましょう。
 「コンピュータとマルチメディア」は4年次の選択科目であり、そのときのマルチメディア技術の進歩を今から予測することはできません。栄養教育などで役に立つマルチメディア技術の実習になることでしょう。スライドやオーバーヘッドプロジェクタ用のフィルム製作はコンピューターによるのが常識になるでしょうし、ノートパソコンから直接に投影するようになるでしょう。
 
3)専門基礎分野における情報処理教育
 ここでは、健康情報処理論と健康情報処理実習があります。栄養学で重要な統計学とその実習が重点となります。ここに幾つかの希望があります。1)学生の多くは数学が好きではないでしょう。しかし、標準偏差などの意味を理解して欲しいと思います。2)社会や経済的現象は、数学でいう正規分布に必ずしも従わないことを理解して欲しいことです。したがって、ソフトにある計算を機械的に利用して欲しくありません。分布をチェックして下さい。2峰性かも知れません。対数正規分布のことも少なくありません。3)栄養など社会現象で変量はふつう一つではありません。多変量解析を理解してください。
 「コンピュータ演習(応用)」を選択していなかった学生は、専門分野で使うことができるように、表入力、表計算やホームページ(HTMLファイル)を作ることができるように自習してください。入力やプログラミングを栄養学と無関係に勉強しても、あまり面白くないでしょう。栄養計算、エネルギー計算、公衆栄養のデータの整理を実際に行ってみましょう。
 
4)専門分野におけるIT教育
 第二次世界大戦が終わった頃は、栄養計算や統計計算に、対数表やソロバンなどを使っていたそうです。しばらくして手回し計算機を使うようになり、その次は電卓、次は関数電卓、現在はパソコンを使っています。
 設備のところで述べたように、いろいろな専門分野における実習や演習にノートパソコンを使うように計画しています。これはパソコン使用が目的ではなく、実習、演習、講義などで必要なときにパソコンを使うためのものです。今まで栄養計算にかけていた時間を、より本質的な実習に使うことができるようになります。これによってIT教育の成果が得られます。
 
 

2001年からSインターネット大学を開講
インターネットに取り組む大学は数多い。しかし、教育プロセスと教材そのものをインターネット技術によって構築しようという例は他には見かけられない。S学園女子大学は、インターネット標準技術を全面的に採用し、Webアプリケーションシステム、電子メールを活用することによって、新しいスキームの「基礎的情報教育カリキュラム」のためのシステムを稼動させた最初の大学の1つに数えられるだろう。また、それに留まらず、S学園女子大学は、「情報教育センター」を中心に、また、大学の業務システムにあたる教務システム、事務系システムもインターネット技術を活用し、学内でのシステム開発を実現している。さらに、2000年1月からは、「Sインターネット大学」を開講する準備が着々と進行している。
 
インターネット経由で利用できる自己学習システム  
 S学園女子大学で開発された自己学習支援システムは、学生だけでなく、一般社会人向けにも開放され、また、教員や学生はインターネット経由したリモートアクセスによって、距離的制限、時間的制限を受けることなく活用できるシステムである。
さらに、同大学では2000年1月からインターネット大学を実験的に開講する。
 このようにインターネットを積極的に活用しているS学園女子大学は、基礎情報教育に力を入れており、自己学習支援システムで提供されている「基礎的情報教育カリキュラム」は、コンピューターとネットワークをコミュニケーションの道具、問題解決の道具、そしてプレゼンテーションの道具として捉え、目的を持って活用できるところまでを学ぶための講座である。
「基本的には、全部で60近いユニットで構成された自己学習システムになっています。ユニットには必修、選択という区別はありますが、基本的に自分で選んで自分で学んでいきます。S学園女子大学の基礎的情報教育カリキュラムは、自己学習支援システムに搭載された数多くのユニットを選択し、個別に学習していくものなのです」
 同大学では、基礎的情報教育の目的を、「情報を扱うということを自分で学びつづけることを教える」とし、学生の多様なニーズを満たし、学生のコンピューターやネットワークの習熟度レベルの差に対応するために考案された「システム」として構築している。S学園女子大学 情報教育センターで開発された「基礎的情報教育カリキュラム」はオリジナルのWebアプリケーションとデータベースシステムの連携によるもので、教育用ソリューションとして前例のない最新技術を活用している。
 
 
S学園式教育分野向けソリューションとして広く認知された
 基礎的情報教育が、「システム」化されているという意味のもう一つは、課題の提出、評価などがオンライン化されていることも指す。教務システムが最初から組み込まれており、学生が選択し、履修し、課題提出を行った経緯や結果は、担当の教員に即座に伝えられ、評価依頼があれば、評価コメントをつけ、学生に返信する、という一連の作業をシステムがフォローする。また、教員が担当するクラスの一覧表を出し、修了した単位を学生毎にチェックすることや、このシステムの学生毎の利用時間、印刷記録などもすべて集計され、管理できるようになっている。
 
 「このシステムは、ネットワークを利用した自己・個別学習支援システムとして、S学園式のような形で、広く認知されつつあり、学外からも評価を受けています。S学園という文科系の大学で例えばコンピューターの専門家が生まれることも利用者の立場としてあるのではないか、また、学生の能力の違いやその後の学科専攻を考えると基礎的情報教育を一律に行うことはあまり意味がないのではないか、そして、これは一生学びつづけるべきものである、というような希望、疑問、そして姿勢という要素を『システム化』したものなのです」
 インターネット技術を活用した教育分野向けソリューションとして、学生に情報とコンテンツを提供するために開発されたWebアプリケーションシステム、システムに搭載されるコンテンツとしての各「ユニット」、それらを管理するための教務システム、これらがすべてオリジナルで開発され、既に運用されている点は、特筆される。
 
 
すべての学生に電子メールアドレスを提供し、「履修登録Webサイト」も稼働
 S学園女子大学「情報教育センター」は、基礎情報教育のために必要なインフラストラクチャーをすべて収容している。高速なネットワーク設備、数百台のパソコン、全学生の電子メールアカウントを運用するための電子メールサーバー、学生のホームページを収容するためのファイルサーバーなどのために、コンパックコンピューターのパソコンおよびサーバーシステムが導入されている。さらに、学習支援システム、教育研究システム、教務システム、事務系システムとして、クライアント・サーバーシステムが運用されている。
 情報教育センターには、情報コミュニケーション演習室、マルチメディア演習室、基礎情報教育演習室、情報講義室などの役割に合わせて、最適なパソコンとネットワークが完備されている。これらの各室は、講義がない時間は、学生に開放されており、また講義をしていても、後部の座席はオープンにし、利用できるようになっている。
 こうした環境をスムースに活用できるように、S学園女子大学では、入学時にすべての学生に電子メールアドレス、ホームページのためのディスクスペースを提供し、早い段階の授業で、電子メールの利用方法、情報倫理を教え、その後は学生の自主性に任せている。
「現在、学生の約半数が非常に積極的に活用をしています。電子メールを積極的に利用し始めると、このセンターが連絡の拠点になってしまいますので、早朝や午後7時ぐらいでも非常に多くの学生がつめかけています。また、自宅にパソコンを持っている学生には、リモートアクセスの環境を用意しており、自宅から電子メールを確認したり、ユニットを選択し学習したり、できるようにしています。これは教員にとっても便利で、自宅や出張先での課題評価などに役立っています」
自己学習支援システムは、95年から開発されつづけてきたもので、途中から、新たに登場したインターネット技術に合わせて、学内向けに完全にイントラネットとして構築された。また、このイントラネット化は、学内で、学生が閲覧するものを基本的にイントラネットとして、学内で開発する契機となった。
 その1つの成果が、「履修登録Webサイト」の稼動だ。
「1999年4月に入学した新入学生を対象に、履修登録をWeb上で行いました。まさにリアルタイムでどの講義に何人申し込んだということがわかるシステムとなりました。2000年には、1年生、2年生がこのシステムで履修登録する予定です。また、行事予定、教授の出張予定や休講のお知らせなどをイントラネットで展開しています。これは思いのほか好評で、学生が教授の活動内容を知るための良い機会となっています。今後は、学内情報公開のスキームの多くが、このイントラネット上に展開されることになると思います」
 
変化の激しい情報教育の教材ユニット提供にWebアプリケーションは最適
 「基礎的情報教育カリキュラム」は、Webアプリケーションとして構築された、自己学習支援システム上にユニットというコンテンツを搭載することで、学生が個別に学習することを可能としている。現在、S学園女子大学では、教員、助手を合わせて、6人でこのシステムを運用している。
 「この6人が、通常の講座の形で、現在ユニットとなっている講義を行おうとすると、その内容の是非が議論となり、難しい面があります。また、基礎的情報教育では、何を教えるべきなのか、ということがはっきりと決めにくく、また、変化していくので、その対応はたいへんです。しかし、このユニットというのは、ある教員が教えるべきだと考える内容があれば、ユニットを作成し、追加すればよいのです。それが必要とされるかどうかは、学生が選択するかどうかで判断すればよいということになります。このシステムのよい点は、ユニットが追加されるだけで教える内容が増えるので、変化の激しい情報教育にはぴったりだということです。今では約60ユニットにまで広がりました」
 現在、ユニットの作成は、教員とアシスタントで行われている。こうした教材作りは、すべて内部でできるまでに、この数年でスキルアップした。
「将来は、こうして作成されたユニットを他の大学と交換するようなことが可能になっていくといいと考えています。基礎的情報教育の範疇は広いと考えていますので、専門分野の違う教員の方に専門的なユニットを作っていただいて、交換ができるようになるという夢を持っています」
 基礎的情報教育では、世の中の動き、自分の興味などを元に、教員はさまざまな教材を作り、また、学生はそれを選択していくセンスが要求される。
 
 
自己学習支援システムは、一般社会人に向けにも有効に機能することを実証
 S学園女子大学では、一般社会人の聴講生を広く受け入れている。カリキュラムは1年、現在300人の規模となっている。聴講生は、学生とまったく同じ「基礎的情報教育カリキュラム」を選択できる。
この聴講制度は、公開講座と異なり、ユニットに分かれた「基礎的情報教育カリキュラム」をそのまま受講できるもので、コンピュータの活用技術を学びたい、他の大学の学生、会社員、教師、主婦、定年後のシニア世代という個人や、また、企業研修の場として、人気を博している。
「聴講制度は社会人の方への講座ということで1997年に始めました。大学の取組みとしては、社会人向けに公開講座として、専門の講座を設けるという方法もありますが、S学園女子大学では、通常行っている講義を充実させ、その講座そのものを社会に公開するという方法を選択しました。始めてみて、改めて社会人の意欲の高さを実感し、また、自己学習支援システムの有効性も確信しました」
 
 
そして、2000年1月、Sインターネット大学(遠隔学習講座)の実験スタート
 S学園女子大学で開発された自己学習支援システムは、約5年の開発を経て、聴講制度での評価の高さや、校内での利用だけでなく教員や学生がリモートアクセスして、自宅からシステムを活用できているという実績を築いた。
この実績のできたシステムをもっと外部にも開放し、活用の幅を広げていこうという活動が始まっている。
 それが、2000年1月から始まる「Sインターネット大学(遠隔学習講座)」である。実験的に開講することが決定しており、1999年12月18日まで実験協力受講者を受け付けている。Sインターネット大学では、6コースが用意され、2000年1月から3ヶ月を単位とし、各コース20名でのスタートを目指している。
 インターネット大学は、自己学習支援システムをインターネット上に展開することで実現される講座である。講座内容は、基礎的情報教育だけではなく、さまざまな内容に利用できるということで、日本の歴史なども入っている。
「今回、Sインターネット大学では、インターネット向けに自己学習支援システムを活用して、遠隔学習に取り組みます。これまで培った自己学習支援システムを利用した講義をより自由な時間、場所で活用していただくということが目的です。しかし、ただ単に、自己学習支援システムでユニットを利用していただくだけでは、通信教育と同じになってしまいます。教員と学生だけの関係では大学で学ぶということにはなりません。しがって、インターネット大学では、個別に学習できる自己学習支援システムを基盤としながらも、受講している方同士が教室と同じようにお互いを励ましあい、協調しながら学習できる場としていく必要があります。また、ある程度、歩調を合わせて活動していただくということも必要だと考えます。そのために、3ヶ月という期間を設定しました。あまり長くても都合がつかなくなり、参加しにくくなることを避けたかったのです。インターネット大学では、講座の進め方や展開の仕方にアイデアを盛り込みながら、電子掲示板などを上手に活用していくことになると思います」
 インターネット大学という、まったく新しい学ぶためのシステムとその運用のための実験としてスタートする「Sインターネット大学」は、生涯学習と言われる時代の新しい取組みとして、注目される。
 

事例紹介 (1)
コンピュータを身近な道具として使いこなし自己表現力を養う教育をめざして
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兵庫県にあるS学園女子大学は4年制の国際文化学部(言語コミュニケーション学科、文化学科)、 2年制の短期大学部(国際文化学科、幼児教育学科、生活文化学科)からなる大学。 同大学では新しい国際人の育成を目指した教育をめざし、 93年にニュージーランドに海外キャンパスを開設、94年度には国際文化学部、 短期大学部における国際文化学科の設立を行ってきました。 また情報教育の必要性にも早くから着目し、 最新の情報システムによる教育を実現してきました。
昨年9月にはWindows NTをOSとして採用した新たな学生教育用システムを稼働させ、 個別教育的方法で情報教育のより一層の充実を図っています。
 
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情報教育のあるべき姿を求めて
 
初等教育から高等教育に至るまでコンピュータ教育や情報処理教育の必要性が叫ばれています。 しかしその内容は情報機器の操作法などの修得に重点が置かれてしまいがちな現実があります。 「当大学の情報教育は情報処理の専門家を養成することが目的ではありません。 問題解決のために情報機器を積極的に活用できる能力を育成することが目的なのです。 つまり情報を収集、加工し再発信するプロセスを学び、 コンピュータを意識せずに道具として自由に使いこなし、自分を表現する能力を養い、 プレゼンテーションスキルを向上させることを目指しています。 ですから当センターの名称からも、意識的に『処理』という言葉ははずしています」
またコンピュータ利用の前提として不可欠な操作法の教育はマニュアルに沿う形で画一的な一斉講習になりがちです。
「コンピュータ操作に関しては年齢に応じてどこまでという発想はおかしいと思います。 たとえば入力速度は人によってそれぞれ違うので、一律に授業を進めることはできません。 学生がそれぞれのレベルに応じて自主的にコンピュータを使いながら学ぶことが必要なのです」
 
同大学ではこうした考え方から授業時間以外にも、常時コンピュータ実習室を開放し、 学生は情報の収集から整理、発信までを自由に行っています。 たとえば電子掲示板「Sキャンパスコミュニケーションシステム」(SOCCS)でアンケートを行い、 データを集め、表計算ソフトで集計し、 結果をワープロでレポートするなどの作業はよく行われています。
こうした学生ひとりひとりの自主性と主体性を重視する教育が同大学の情報教育の基礎になっています。
 
「昭和40年頃、定時制高校の教師をやっていました。 昼間働きながら学校にくる生徒たちは休むことも多く、理解度はバラバラでしたが、 授業はカリキュラム通りに進めざるを得ませんでした。 そうした経験があって一斉授業スタイルに疑問を持ち、 個別学習の方法に興味を持ったわけです」
 
 
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自主性を養う情報教育に最適な教育用システムをめざして
電子掲示板
「Sキャンパス コミュニケーションシステム(SOCCS)」
 
同大学では以上のような教育観にもとづいた情報教育に、早くから取り組んできました。 91年にはソフトウェアやデータをサーバに集約した教育用システムを開発。 またSOCCSによって、学生間、教員学生間の情報交換を可能としました。
 
「自己学習による情報教育の実現を当時のコンピュータ環境の中でぎりぎりまで追求しました。 具体的にはディスクの共有によるデータベース作成などの共同作業を行いたいと考えました。 そのためのクライアント/サーバ型のシステム構築が可能だというのでDECのVAX 4300上で、 マルチベンダPC-LANを実現するネットワークOSとして、PATHWORKSを導入しました。 また教師が用意した環境の中であるとはいえ、 学生がいつでも自由に教材を選択して使うことができるようにコマンドではなくメニュー形式にしました」
 
その後の教育活動の中での考え方の進化とともに、 教育用システムの不充分点も明らかになってきました。
 
「メニュー形式による自由度も、 実は教師の側であらかじめ設定した枠の中に限定されるもので、 学生が完全に自分の好きなように使えるわけではありません。 またメニューを選びながら入っていけるのはよいのですが、 どこかでつまずくと終了の仕方さえわからなくなってしまうことが多いのです」
 
コンピュータ・パフォーマンスやユーザ・インターフェイスの飛躍的向上など、 急速に発展するコンピュータ技術を、 大学が構想する教育用システムとしてどう利用できるか、様々な検討がなされました。
 
「MacintoshやWindowsにも魅力を感じていました。そんな中で、 昨秋Windows NTが発表され、その考え方、 発想に自分たちの構想を実現する大きな手ががりを見つけたわけです」
 
 
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Windows NTを全面採用した新たな教育用システムを実現
 
「コンピュータを通して人が見えるという基本的な考え方の上に、 学生がひとりひとり異なった自分なりの環境を一から作っていけるようにすることが新しい情報教育の内容の一部であると考えるようになりました。
 
Windows NTは学生のレベルによってアイコンの種類も違うし、 理解度に応じて増やしていくこともできます。またTVや雑誌などのメディア、 その他身の回りにあるものすべてを、有効に利用することが情報教育です。 こうした様々な情報源の取り込みにマルチメディア対応のパソコンは非常に役立ちます。 これらの特長は従来とは比較にならないほど学生が自分の環境を自由に作ることを可能とし、 教育システムを私たちがめざす方向に一歩近づけることに大きく貢献すると判断しました」
 
こうしてDEC3000モデル800、DEC2000モデル500、DECpc466d2 MTEをサーバとし、 86台のDECpc466d2LPXをクライアントとするシステムが構築されました。 このシステムはサーバだけでなく、 学生が使うすべてのクライアントにもWindows NTが搭載されており、 またすでに使用されているVAXを中心としたシステムにも接続されています。
 
「Windows NTの集中システム管理機能によって、 学生はどのマシンからでも自由にログインでき、常に前回終了した自分用の画面から使い始めることができます。 また教師にとっては学生の出欠や作業履歴などの管理やクライアントの一括管理などが簡単にできるというメリットもあります」
 
システム構築にあたっては、 学生のアプリケーション利用状況をリアルタイムに教師卓に表示する機能や、 アイコンを授業別に配布する機能などのアディショナルな授業支援ツールの開発をDECが行いました。
 
「DECのSEも、初めて経験するようなハイレベルの開発をよくやってくれたと思います」
 
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コンピュータ技術の発展を取り入れより柔軟な情報教育の実現を
 
昨年9月以来、まだ稼働して間もないシステムですが、学生の利用は活発です。 「最初は時計1個だけの『私の窓』というアイコンからスタートしました。 今では自分なりの環境を作っている学生も増えてきて、 考えていたよりは使い勝手も良いようです」「情報処理を中心に授業をやっていますが、 学生にとって教師のいないところで自分で自分の窓の中を作っていくのは、 何より大きな経験で大変に自信がつきます」
 
「学生がそれぞれ自由に自分の概念を作った上で、ファイルを共有し、 共同で何かを組み上げていくようなプロセスに持ち込んで行ければと思います。 Windows NTを導入して新たな段階での試行錯誤がまた始まったわけです。 そして究極的には夢のような話ですが、 大学に入ったら時間を決めずに自由にパソコンを使い、 たまには教師と討論しチェックを受けて、 それを単位として認めていくような形にできればと考えています」 同大学では社会人対象の講座の開催やSOCCSの外部への開放も行っており、 通信回線を用いた生涯教育の展開も構想中とのことで、 今後の展開が期待されるところです。
 
 
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