第五話
今回はお約束通り、海辺の散歩道をご紹介いたしましょう。
週末で天気がよいときがチャンスです。レイディイ・ベイ(Lady Bay)という名の入り江から、海岸沿いの遊歩道に散歩に連れていってもらえるねん!
レイディイ・ベイはウォーナンブルで一番人気のあるビーチです。観光に訪れたひとはかならずここに行くことでしょう。St.Kilda(セント・キルダ−メルボルンの海沿いの町)ほど大きくもなくオシャレでもなく、ひともあまりいません。でも、週末になると海釣りをするひとで賑わいます。
老若男女がフィッシングをする町でもあるウォーナンブルですが、うちのデグチ氏も、魚が食べたいばっかりに釣りにいったことがあります。
海辺の町だからといって、魚が新鮮なわけでもおいしいわけでもありません。ウォーナンブルはアングロサクソン一色、それもアイルランド系が多いので、主食はポテトです。ワイフなんかは魚がさぞおいしいだろうと期待してきたのに、スーパーマーケットにおいてる魚はどれも色がかわって澱んだ目をしているので、驚きをかくしきれませんでした。
そこで、食べれる魚を釣って来い、というワイフの命令で、すごすごとデグチ氏はでかけましたが、もって帰ってきたのは、自分の教え子が釣ったという、「バラクーダ」という魚でした。十分食べれますが、おそろしく骨の多い魚です。
ラッキーなひとは、サーモンが釣れるんやで、デクチ氏。
それはさておき、このレイディイ・ベイに車をとめて、遊歩道を歩きます。右手に白い砂浜のビーチが広がりますが、ここで泳げるのは一年のうち、かぞえるくらいです。(いついっても、荒いわ、寒いわ、冷たいわ、の三拍子)
すぐ左手に夏だけ営業しているカフェがあります。フィッシュ・テール・カフェ(Fish Tail Cafe)では、屋外のテラスで散歩をおえた人と犬がカプチーノなどをすすりつつ、休憩しています。
遊歩道はきちんと整備されていて、「犬は鎖につなぐこと」と大きく看板がかかっています。白い砂浜で犬と散歩するのが夢だったワイフは、いつか私とビーチを歩きたいと思っているようです。が、私があまりにも興奮してあばれるので、もうすこしおとなになってから、といわれています。犬がビーチに入れるのは、夏の観光シーズンをのぞいた四月ごろから十一月ごろまでで、これについても犬のマークのついた看板がかかっているのです。
三十分ほどいくと、大きな建物が見えてきます。ウォーナンブルのボート・クラブとフィットネス・ジムです。遊歩道でランニングしたあとに、ジムで一汗流すマッチョマンをガラス越しに見学できます。出入り口付近のシャワーでは、ボディー・スーツに見を包んだサーファーもいます。
ここから橋を渡ります。ウォーナンブルの海を一番きれいに見渡せるところです。橋を渡るとなだらかな坂道が続きます。犬の散歩にはうってつけなので、いろんな人がいろんな犬をつれて歩いています。
デグチ氏の「ウォーナンブルて、犬飼うのがあたりまえなんとちゃうか」という発言も、まんざらウソではないでしょう。メルボルンに住むワイフの友達が、「ウォーナンブルは海もきれいでいいとこかもしれないけれど、やっぱり田舎!」とのたまうとおり、小さな町です。
つまり、家でかい、庭でかい、人が少ない、映画館一軒、スーパーマーケット三軒、となると、自分の家でできるエンターテイメントを充実させることが先決なのです。プール・バーやバーベキュー・テラス、スイミング・プール、ホーム・シアターなどなど。出かけても遊ぶところが少ないので、家で遊べるようにしてあるのですね。
犬を飼うというのも、そのエンターテイメントのひとつに入るのかもしれません。庭がひろいので、大型犬も余裕です。メルボルンじゃこうはいかないと、ふたりは言います。
散歩は舗装されたところまでで、引き返します。引き返し地点は坂のてっぺんにあり、そこのベンチからは、一年中サーファーが波にのってるのをみることができます。
所要時間、約一時間の散歩ですが、坂が多いし、たいてい風がきついので、たいへん疲れます。レイディイ・ベイにたどりつくと、デグチ夫妻はベンチで一休みしますが、私はその間もカモメをおいかけたり、ほかの人に「Cute Little Dog!」(かわいいワンちゃん!)と言ってもらうのがうれしいので、興奮しっぱなしです。私は太ってきたので、この散歩コースはダイエット・エクササイズに最適なんだそうです。
家に帰ると、昼寝せずにはいられません。まだ一応、子犬やねん。うふふ。
それではまたお立ちよりくださいね。次回はわたしのおばさんと、いとこをご紹介します。
A.B.D.
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