第七話

It is chilly.(寒いねん)
北半球のニッポンと南半球のオーストラリアでは、季節が逆になりますが、日本は今年猛暑だそうですね。こっちは寒いねん。

前回は私のおばといとこを紹介しましたが、今回は姉をご紹介いたしましょう。
「ウォーナンブルはみんな親戚じゃ」と昔セント・パイアス小学校の先生がおっしゃっていましたが、犬もそうなんとちゃうか、と思います。品種が同じなら、同じブリーダーの可能性大ですね。私の姉もダンケルド生まれ、母犬は私と同じだそうで、三歳年上の姉貴ということになります。

ウォーナンブルでは犬の売買はメルボルンのようにペットショップで行われません。ローカル新聞「スタンダード」のペット欄紙上で、ブリーダーから直接買うようです。
そういえば、このあいだデグチ氏が日本語の教材として日本の新聞のチラシをもって帰ってきたのですが、そのなかにペットのチラシもありました。な、なんと、日本ではマルチーズやシーズーが七万円もするん?! これを見たデグチ氏をワイフは仰天しておりました。
「こんなん、アロハが三匹くらい買える値段やん!」
「ぼったくりやで」
ちなみに、私は250ドル(二万円強)でした。

さておき、私の姉が見つかりました。今年四歳になるボニーです。
ボニーはウォーターハウスさんちに養女に入っています。ご主人のケビンはウォーナンブルから西へ三十キロ、ビクトリア州最古の港町として有名なポート・フェアリーにあるセント・パトリック小学校の校長先生です。非常に穏やかで、聞き上手のケビンは、父兄会のP&F(ペアレント&フレンド)でもすこぶる評判の良い先生です。こちらの校長先生というのは、日本の校長先生のように校長室に座ってボーっとしているということはありえません。すごく忙しいのです。現場で教えることはもちろん、さまざまな催し物からフェイト(バザー)、果ては校舎の修理までやります。それに、ほとんどの校長先生が自分の学校の子供たちの名前を覚えているというのは、お見事です。
こちらでは、その先生の個性がクラスや学校全体に影響しますから、ケビンのように良い先生が学校のまとめ役の校長だと、学校の雰囲気がとてもよくなります。
「グッドモーニング、ミスター・ウォーターハウス、ゴッド・ブレス・ユー」
(おはようございます、ウォーターハウス先生。神のご加護を)
朝礼のはじまりには、子供たちがいっせいにこのあいさつをします。デグチ氏はいつもこの礼儀正しさに感激してしまうんだそうです。

さて、ウォーターハウス家はウォーナンブルの北側の新興住宅地にあります。まわりは大きくて新しい家ばかりです。デグチ夫妻が遊びに行った時も、まわりがあまりにもすごい家ぞろいなので、一周回って見学してしまいました。ウォーナンブルの帝塚山といったところでしょうか。

ウォーターハウス夫人のマリーさんは、セント・ジョセフ小学校の先生です。似たもの夫婦といいますが、マリーさんも非常に穏やかで優しい表情をしています。三人のお子さんがいますが、みんな大人です。一番上のスティーブンは、もう独立して家を出ました。長女のナタリーさんも社会人です。一番下のクレアじゃエマニュエル・カレッジの11年生(高ニ)で、日本語を習っています。

ボニーはこのおうちでとても可愛がってもらっているようです。ガレージには彼女のおもちゃのぬいぐるみやホネが籠にいっぱいありましたし、家の中にもボニー専用のケージをつくってもらってくつろいでいます。ウォーターハウスさんちはオージー・フットボールの大ファンなので、テレビで試合をみるときはソファーで寝そべっていっしょに観戦するようです。
私なんかソファーに手をかけただけでも、「このソファー高かってんから、アロハは上ったらあかん!」と言われる始末ですわ。

クレアちゃんはこのあいだデビュー・タントでした。デビューとは、社交界デビューのことで、昔の西洋社会の習慣のなごりです。16,7歳の男女がダンスホールでタキシードと異聞ニングドレスに見を包み、はじめて正式に社交界の仲間入りをするという行事です。エマニュエル・カレッジでは、毎年11年生がこの習慣にのっとって、講堂でデビュー・ボウルを開きます。当日は男の子も女の子も、貸衣装や美容院、記念撮影で大わらわです。

ボニーはなんと、そのクレアちゃんのデビューの写真にもちゃっかりのっていました。水色のリボンまで結んでもらって。ボニーも幸せもんです。あんなにかわいがってもらってるねんもん。

それでは、またお立ち寄りください。

最近、犬の訓練クラスを落第してやりなおしている、アロハでした。

ホームページに戻る