7月○○日
いやぁ、寒いんです、こちらは。第三学期も始まり3週目になります。普段はにこにこ笑って、進学とかの悩みのないこちらの小学生たちの中にも、いじめや喧嘩はあります。昨日ちょっとした事件がありました。 僕の日本語の授業が終わり、子供たちは週末の集会に行こうとしていました。僕が校舎を出ようとすると、ドアのところで6年生の男の子ザックがおなかを押さえて苦しそうにしています。横では同じ6年生のショーンとダニエルが立っていました。何かおかしな様子です。「どうしたの?」と聞くと、ショーンが「おなかを殴った」と言うのです。尋常ではありません。普段はとてもおとなしくて、物事をじっくり考えるショーンです。 二人を校庭に出して事情を聞くことにしました。どうしてそうなったかをはっきりさせないといけません。「どうしてザックのおなかを殴ったの?」「ザックが僕のことを変な名前でよんだからだ」「人が変な名前で呼んだらいつもその人を殴るの?」「さあね」僕の英語では埒があかないと思ったので、他の子供に校長先生を呼んでもらいました。 校長先生はまずザックに事情を聞きます。ショーンが嫌がる名前で呼んだことを認めました。「友達をいやなあだ名で呼ぶことはいいことか」「よくないです」次にショーンに聞きます。「他にもいやなあだ名で呼ぶ友達はいるのか」「ダニエルとか時々他の子も呼ぶときがあります」「そのときは彼らを殴ったのか」「いいえ」「どうして?かれらが体力的に君より大きいからか?」「さあ?」「それでは答えになってないな。ちゃんと私の目をみて答えなさい。君は頭のいい生徒だ。よく考えてみなさい。殴る前に言うことがあるだろう。」 「『僕はそんな風に呼ばれたくない』とはっきり言えばいいだろう。それで解決しなかったら私のところへ来なさい」「はい」「殴ったことでザックに謝ったのか」「ごめん、ザック」「ザックはショーンにいやなあだ名で呼んだことを謝ったのか」「ごめん、ショーン」校長先生はショーンにもう少し事情を聞くために校長室に連れて行きました。 こちらの学校でもいじめや嫌がらせはあります。それをクラスで話し合ったり、標語やポスターを作ったりして意識を高めているようです。先生たちにもパンフレットが配られたり、そのための勉強会が開かれたりします。今回は嫌なあだ名を呼ばれたショーンが暴力をふるってしまったのですが、もとをただせば彼もいじめられていたのです。 よく事情を聞いてみない限り正しい判断はできません。でもやはり暴力は認められません。間に入って話を聞くということは、慎重かつ的確に行なわなければなりません。
子供のその後の行動に大きく影響します。単に日本語を教えるだけでなく子供たちの成長にも関わっていける先生になりたいと思います。