マルティプル・インテルジェンスについて述べる前に、
私の生徒のひとりであるジェームス君について
お話したいと思います。
ジェームス君のこと
ジェームス君は私の生徒の一人です。
彼との出会いは私の日本語の教え方に大きな変化もたらしました。
ジェームス君に会ったのは彼が小学校4年生のときでした。
そのときの日本語のテーマは野菜と果物。
私は他のクラスと同様にフラッシュ・カード(絵カード)を使って野菜と
果物の名前を教えました。
他の子どもたちとちょっと違って、ジェームス君は私と目を
あわせて話すということはありませんでしたが、
7つの野菜と果物の名前をあっという間に
覚えてしまったのです。
絵を見てその果物が何かを早く言い当てるゲームでは
ジェームス君の右に出る子はいませんでした。
圧倒的な早さでそのカードが何かを日本語で言い当てるのです。
ただ勝ちぬき戦でどれだけ勝ってもジェームス君は
あまり喜びの表情をあらわしませんでした。
そしてジェームス君だけは学校のどこで会っても
いつも日本語で、「先生、こんにちは」
と言ってくれるのです。でも、私と視線を合わせようとは
しませんでした。
あるとき、校長先生とジェームス君のことについて話す機会がありました。
彼の日本語を覚える早さについて話すと、校長先生は
「彼は自閉症でね、社会的なコミュニケーション能力が十分では
ないのよ。それに英語の読み書きも他の子どもに比べると弱くてね。
ただ、ビジュアルの記憶力に関してはすごく長けてるのよ。」
校長先生の言葉に思い当たるところがたくさんありました。
絵を言い当てるゲームでは常に一番のジェームス君も
英語の意味を書くのはいつもクラスで最後でした。
