私の日記です
■12月10日
 今日から日記でもつけてみようかと相成りました。
さっそく、今日は何をしたかというとあっちらさんとそのおさな友達と工場長と四人で飲みつ飲まれつでいいかんじにしあがった。それとあと、タクシー(略してTX)に久々に乗ったりもした。いやー夜の1時にもなるとTXは3割増しになり、とてもリッチな気分を味わいました。いやー、かなりの豪遊ぶりでかなり自分の首をしめる結果になった、けどまいっか。今日は給料日だしのう。それでは、またいつか暇なときに。

■12月13日
 (今日の発見のコーナー)
今日気づいたのはなんか腰が痛かったり、足首がジンジンきていることでした。理由はおそらく1つ考えられます。何かと申しますと、11日にあった友人との飲み会で遅れて到着した私は1次会にて結構酔っちゃって、居酒屋から出るときにクラクラしてなかなか立てないでいる所をある友人ジャンクマンが優しく手を貸してくれて起こしてくれました。そして不意に次の瞬間スッと体が傾いたかと思うと再び床で横になっていました。何だろう?と思ったけど要するに私は同じように酔って気分のよくなったジャンクマンに何度もこかされていました。おそらく、その時の衝撃が今ごろになって腰や足に伝わってきたのでしょう。結論としては、もうちょっと体鍛えなアカンかなぁ。成長曲線のピークももう過ぎているだろうから急に体を動かすのは今からレポート2通仕上げるようなもんだいうことでした。レポート!?やばっ

2000年

1月8日
■ 久々にこっちに日記でも書こうかなぁ。ということで、今日は高校サッカーの決勝戦(市船VS鹿実)を見にバイト友達と国立競技場まで行ってきました。やっぱ高校生って元気でいいなと思いながら試合を見ました。試合はなかなか面白かったけど、市船の方が一歩先を行ってるかな(フォワードの10番特に)と素人ながら思いました。あと、国立競技場って思ったよりも狭かった。かのトヨタカップもここでやってたんだと思うとすごいけど、実際、TVとかで見るのとは全然違って見えた。そうそう、試合結果は2−0で市船が勝った。鹿実も何度かチャンスはあったけど、市船のキーパーがいい守りをしてた。俺としてはわざわざ遠くから来ている鹿実を応援してたけど、まぁ仕方ないか。

■3月24日
 誰か気づくのかなぁ?と思いつつ、さりげなく日記でも付けておこうと思います。なんか、正式なことなのに隠れてコソコソやっているようでドキドキしています。
 えーっと、先週は実家の方まで久々に帰ってきた。帰る時は勿論、18切符ってやつを使った。まず、直には帰らずに大阪に立ち寄って、高校の部活友人と今生の別れをしてきました。彼らはこの春から働く者であったり、大学院に行く者であったり、就職活動をしている奴であったりするんだな。そして、僕に至ってはのんびりとしているわけでありますが。とりあえず、僕以外の奴ってのが暇じゃなくなるから今生の別れってことにしといただけで、こっちからはいくらでもアポナシで駆けつけられるわけです。
でも、やっぱり奴らにとってみれば一つ人生のターニングポイントを通過したことになったにちがいないでしょう。(現在就職活動をしている奴もいるけど)そして、乞う言う僕もその分岐点に立っているんだろう。でも一つ思ったのは、やっぱり人ってのは自分にあった方向へ自然と進んで行くもんだということでした。多分、本人は自分らしいことには気づいていなかったりするんだろうけど。とりあえず少ない例ではあるけど、奴らは少なからずそうやと思った。まぁ、それとそん時の状態にもよるかも。例えば、付き合っててこのまま結婚しそうな予感もあるような奴の場合は就職して行くし、そうでもなく、今は自分のやりたいことに全力投球できるって感じなら、もう少し時間に余裕のある学生でいたり、フリーターになったりするんだろう。要は自分の”幸せ”をそん時に何処に見出すかってことになるんかなぁ?ま、でもそれもやっぱりその人の人柄がにじみ出てきた結果なのかも。
っなんてことを書いてるとしんどくなるけど、結局、これは日記なのか何なのかわからなくなってしもうて男か女かもわからんようになってしもうたわけで、いやそれは違うか。ちゃんとあるし♂。でも、そうやなとりあえずいまんところはバイトでもしておこう。ってなわけで、こっちにもどって来てからはバイトをしておるっちゅうことやな。最近、SUTメンバーは何をしとんやろうか?これを読んだSUTTERの人はまた遊びに行きましょ。ほな


■ 5月3,4,5日 <GW特別企画>

いやいや、たまにはこちらでゆっくりと何か一つ書いてみたくなる時がある。しかしあまり期待されるな。と誰も期待なんかしてもいないかもしれませんが、取り敢えずパソコンとしばし戯れてみようかなぁという事でキーボードをとって見ます。
 さて、この時期世間ではGWということで僕は何をしようかと考えていました。そんなある日に一本の電話がなったのがGWに突入するつい2,3日前のこと。誰からだろう?と思いながら受話器を取ってみると、バイト先からだった。どうやらこんな時期でも一応勉強させたい親のもと、その犠牲となった子供達が“連休特講”と名のついたいささか凶器じみた授業(1コマ100っ分!)を受けに何が楽しいのか来るってことで、僕はいわばそいつらの面倒を頼まれることになった。まぁ、こんな時期だからバイト君たちもたまには羽を伸ばしてしばしのバカンスをするようで、塾長も講師がなかなか見つからずに困った挙句、予定もなけりゃ金もない僕に依頼が廻ってくるって言う仕組みになっているわけだ。
 そんなわけで僕は朝9時過ぎから夜の6時ぐらいまでの授業を連休の3,4,5日と受け持つことになった。本当にこんな時期生徒がたくさん来るのかなぁなんて思いながら、朝早くからバイト先の池袋に出向いた。いやいや、なんてすがすがしいんだろう。GWだけあって会社関係は休みが多いようで、普段だったら青白い顔したサラリーマンなんかが立ち寝しながらむさ苦しい押し寿し状態の電車に乗って来るはずのところを難なく乗れてきた。まぁ、連休ってことで早くからどこか遊園地にでも出かける家族とかがいるから座れはしなかったが。そして、駅を出ると朝だけあって池袋駅周辺はゴミ収集車が走っていたり、タクシーが道脇で早朝まで遊んだ人を運んだ後疲れて休んでいるぐらいだった。つまり、交通量も出勤する人がいないためかすごく少なかった。この時期ほんと日本中が一気にスイッチOFFって感じで、まぁ、アミューズメント系は逆だろうけど、取り敢えず、どこか人々の顔にも余裕ってものを感じる。っていうか、この国は何でほんまなんでも不思議なくらい人と足並みをそろえたがるなぁ。もっと、時期をずらして連休を取れるようにすればいいのに、そしたら、今度は落ち着いて遊べるだろうに。みんなが一緒に休めば今度は遊ぶところが逆にすごく込むんだから、休みの日にもまた疲れるじゃねぇか。ほんとアホだなぁ。自分らの遊び方もろくに決められずに人の見様見真似ってわけか?そんなんだから、お受験とか、公園デビューとかってなんか変な世界を作り上げるんやってー。
 などと結局、他の人が楽しく遊ぶことに少し後ろめたくなって何か極端な言い訳地味たことを考えているんじゃないか?と、そういう自分に気づいて嫌気を覚えながらバイト先までの道を歩いていった。
 バイト先に着いて、コンビニで買ったおにぎりを食べながら塾長とたわいもない話をしてから受け持つ生徒のファイルを持っていつもどうり教室のドアを開けると、な、な、なんと少ない人口密度だろう。まるで昨日の夜大災害が起こってわずかに生き延びた人がなんとかここに避難してきたかのようなそんな感じだった。生徒も生徒で何でこんな日迄ここに来なくちゃいけないのかなぁ?みたいだから、少し元気もないように見えたせいもあって正にここは何処?お父さんとお母さんとははぐれちゃったの?他の知り合いは?よく無事で生きてたねぇ。って声をかけて、自分が生き残った同志を見つけてほっと胸を撫で下ろしている人のような気もするような雰囲気だった。
 とにかく僕以外の机に座っている先生は2人ぐらいで教室には合計7,8人しかいなかったわけでありました。
 教室には西向きの大きな窓があって、そこは丁度、西武新宿線と山手線に面していてすぐ隣にビルがあるわけではないので結構眺めのいい景色だったりする。そんでもって、連休中はほんとすぐ外に飛び出したくなるようなとてもいい天気の日が多かったので、窓の外を眺めながらなんでこうなるのっ!?って言いたくなるぐらいだった。事務室にも普段より全然人っ気がなく、ぽつんといる人はまるで倒産した会社に荷物整理でもしに来て愛着のある自分の机に名残惜しんでいるかのような感じすらした。
 でも午前の授業が始まって少し経つと、少し僕の気持ちに変化が現れ始めた。結構広い教室で少ない人たちがいてたまに静かになったりもした瞬間、外には電車が走る音がしていたりして、何かこう懐かしいゆっくりとした時間がそこにはあるように思われた。久々にこの大東京でのんびりと落ち着いた時間を過ごしているような気がした。授業の合間に生徒と休みの話をすると、ここ以外の予定は特に決まっていないから、まぁ、とりあえず、授業の後は友達ん家で遊ぶか、その辺でブラブラ遊ぶだろうとかそんな感じだった。確かに、部活とかそういうのがなくて朝から遠くへ行くわけでもなけりゃ、自ずとやることってのは決まってくるわけだ。
 で、丁度少し疲れたころにお昼の休憩タイムになった。休憩時間は3日の日は結構長くて1時間以上もあった。そんでもって、塾長が一緒に昼飯を食べようと言ってきたので、ラッキー!ただ飯が食えると思って喜んでついて行った。行った先は地味にコンビニで僕が買ったのはバイト先でお湯が沸かせると聞いたので、大き目のカップラーメンとおにぎり1個とお茶だった。なんか塾長に悪くてその位しか買わなかった。そう、ここで僕が引け目を感じたのにも少しわけがあるからだ。
 少し話は長くなるけど、僕はバイト先で個別指導型の塾講師として働いているのだが、最近、集団授業なるものをもたせてもらうことにもなった。基本的に集団授業の形式は個別指導のときと違って、スーツ姿で黒板を使って教えることになっていて、いろいろとカリキュラムみたいなものがあったり、出席をとったり、まるで本当の先生っぽいことまでまでやったりする。逆に個別指導のときは私服でいいし、向かい合って座りながら教えて、カリキュラムなんてなくて、生徒とその場その場でやりたいことをやるって感じで、とても力の抜けた、つまり、気の抜けたコーラみたいな感じの授業をやっているわけだ。まぁ、そんな感じが怠け者の僕の性にあっているから、今のバイトは長続きしているんだろうけど。それで、集団授業を持つ元々のきっかけはスーツ姿で教えている同じバイト仲間を見てちょっとかっこいいなぁと思ったことがあって、俺もスーツを着る機会なんてまぁないからたまにゃスーツ着てコスプレしてみたいっていう気持ちがあって、冗談っぽく塾長に集団授業もやらせてくれと言ったのが運の付きで、ちょうど向うもプロではなくバイトで安く済む先生を何人か探していたようで僕は今のバイト先も長くいるせいか、あっさりとOKが出た。そう、ちょっと急にまじめな話になるけど、社会的に今、少子化だ不景気だとか言われていたりするけど本当にそれを少し実感したような気がした。それに言われてみれば、そういう煽りを受けてか、最近、生徒の数が少しづつ僕がバイトし始めた頃より減ってきている気もする。こういう業界も結構打撃を受けたりしているみたいなことを前に塾長と話したこともあったし。遂にこんな身近なところにまでって感じで驚きだ。ま、話はそれたけど、とにかく僕が週に3日スーツ姿にならなくちゃいけなくなってしまったわけだ。最初のうちは自分がまるで社会人にでもなった気がして、少し大人になった気もして楽しかったが、如何せん飽きっぽい性分なので、このコスプレにもすぐ飽きてしまった。ましてや、僕は大学生で今年就職活動をしてもいい年なのに就職するわけではないので嫌だった。もし就職するにしても、スーツを着ないような会社に入りたいってのもあったし。まぁ、結局自分で言うのもなんだけど、俺ってまだまだお子ちゃまなんだなぁって感じで社会人にはまだ当分なれないだろう。
 集団授業のバイトを始めて間もない頃、バイトが終わるのが塾を閉める時間帯ぐらいになっていて、今日もお疲れさま、お先に失礼しますと言って帰ろうとする矢先の出来事だった。「じゃぁ、今日は飲みに行くか!」と塾長さんからいきなりお誘いを受けた。それまではあまりバイト先で普通の日に飲みに誘われるってことはなかったので、とても嬉しかったので即OKした。そう今の塾長と違って前の塾長の時にはそんな話全くなかったし。
ここでちょっと塾長のことだけど、半年くらい前に俺が働き出した頃の塾長(この人についてもちょっとした面白い僕との縁があるんだけどこの話はまた今度ってことで)が辞めて結構若い塾長がある日突然って感じで就任したんだな。それまでは、前の塾長のお手伝いみたいなものを2ヶ月ぐらいやっていた人が急にだ。何処の誰かも分からなくて最初はその人が新しい塾長になったことも知らなくて、なんだろうこの人はちょっと太っていて黒ぶちの個性的なメガネをかけていてちょっとアマノッチに似ているなと思いつつ、ポケットに突っ込んである携帯のストラップが松坂君人形だった、ってので内心ちょっと印象的でおもろいなぐらいの人だった。前の塾長を見なくなって事務の人に聞いたら、塾長は辞めたって言ってたから、しばらくは塾長さんはいないんだって思ってたりもしていた。そんなある日、好奇心が爆発して我慢できず事務の人に「あの人は誰?」って聞いたら、「新しい校長先生だよ。」とあっさりと言われた。はよゆーてよっ!ちょっと冷たいんとちゃうん?て感じだったけど、最初のうちは他のバイトの人たちも、ましてや生徒たちもほとんど知らなかった。しかし、ある日突然塾長が変わっていたことにはちょっと驚いた。まぁ、バイトの俺が偉そうにその理由とか深く込み入ったことを聞けないって思って黙っているしかなかった。
ま、そんなこんなで今の塾長は年が若いってのとなかなか喜作で面白い人ってことですぐに人気者になった。それに、バイトの講師のことをいろいろと気遣ってくれたりしているわけだ。それで、新しい塾長が就任仕立ての頃、何回か飲みに連れて行ってもらったことがあったんだが、まぁ、そん時は始めの頃でちょっとお互いぎこちなく、たいした話とかしていなかった。
今回は、面子としてはまだ最後まで授業をやっている人たちも誘って、ってことだったけど、最後の授業をやっている先生なんて極わずかしか居らず、誘っても明日忙しいんでまた今度みたいな人を除けば結局、俺と塾長と後2,3人で飲みに行くことになった。この時は確か僕はスーツで、他の人も就活中でスーツだったりして、全員スーツ姿でしかも適度に動きやすい人数ってことで、傍から僕らが歩いている光景を見れば、上司さんに新入社員が飲みに連れてもらって行っているような感じだっろう。飲みに行った店先ではいろんな話をした。例えば、塾長さんの前の仕事の話だとか、今度はでかい飲み会を開こうだとか、逆にバイトの人たちの思っていることだとか、とにかく、今まで溜まっていたものをいろいろとぶつけてみた。そんなわけで、いろいろと親身になって話を聞いてもらったりして、飲み代なんかもほとんどただ同然って感じでおごってくれた。いやー、やっぱこれがバイトの醍醐味でなくちゃぐらいに思えるほどだった。
それからというもの、各週ペースぐらいで僕がスーツを着て遅くまでバイトをする日には飲みに連れて行ってもらえた。しかも、乗りがいい日なんかにはカラオケにも行って、明け方前になると塾長が俺は寝たいから帰るとか言うから、帰る場所がない人とかはしょうがなく一緒に塾長の家までタクで行って塾長の家の布団で寝た。そこで僕は塾長の母親も見てしまった。なかなか貴重な体験もできたりして、ほんと今の塾長の人柄には尊敬できるところもあったりするし、感謝もしている。僕も僕で、あっ!なるほど!これが社会人なんだなぁ!?と少し自分の親父が夜遅くに酔っ払って帰ってきたときのことなんかを思い出したりもした。とにかくそんなこんなで今の塾長にはすごくお世話になっとんやな。
4月に入って塾長は「今月ピーンチ!」とか言うから、理由を聞いたら、いろいろと予定が入ってあまり使えるお金がないから今月は飲みに行けないということだった。僕としては、別に前から十分に飲みに連れて行ってもらっているのだから全然そんなことわざわざゆってくれなくてもよかった。むしろ、このときふと思ったのは、それまで散々飲みに連れて行ってもらったとき、ほとんど塾長が毎回おごってくれていたので、それまでは塾長ってやっぱりそこそこ稼いでいるんだろうなぁぐらいに思って、お金のことなんかは僕らは気にしなくても良かったが、やっぱり、ちょっとさすがにおごりすぎてお金がないのかなぁと、始めて塾長の懐具合なんかを気にした。そんなことを言われてからは、塾長にしてみれば冗談で言ったかも知れないことだったが、僕は自分のどこかにそれまでは気にしていなかったことでも塾長に対して少し気を使うようになった。
 そういういきさつがあったので、この連休中にあった授業の休憩時間に塾長と昼飯を一緒に食べることになったとき、外食をするのかと思いきや、昼飯を買いに行ったのがコンビニだったので僕は安く済ましておくことにした。まぁ、それに塾長は立場上、校舎を長時間空けておけないから外食は無理ってのが一番だったからだろうけど。でも、やっぱり塾長に対して気を使うのってちょっと嫌な部分でもあった。
昼食後、午後の授業に入ろうとして教室に向かいドアのガラス越しに中を見ると、なんと教室には人っ子一人いなかった。ドアを開けて中に入ると空しく空調のエアコンの音だけがしていた。窓の外は相変わらず憎らしいぐらいの無邪気で罪の無いいい天気で、その光景は正に嵐の後の静けさのようなものがあり僕は自分が遂にこの世に残った最後の人となってしまったような気になった。まるで何かのSF映画で、他の惑星にようやく辿り着いたが結局そこには高度な文明を持った知的生命体はいなくて、自分達のもとの惑星には戻る燃料も無くそこで暮らすことを余儀なくされて、他の仲間達もばらばらになって辺りを探索しに行ったまま僕だけがそこに待機して取り残されて、いくら待っても仲間は帰ってこなくて連絡もつかなくなってしまって遂に自分一人だけになってしまって困り果ててしまうというシーンのような気がしてきた。それは午前中よりもさらにすごい光景だった。これがGWパワーなのかとさらにひしひしと感じることになった。
しばらく席に着いて座っていると、教室のドアに人影が現れた。午後から受け持っている生徒だった。教室にそいつが入ってくるなり「人いねー!」と叫んだ。ふと急に、僕は現実世界に引き戻されたような気がして、ほっと胸を撫で下ろすかのように生徒に向かっていつも以上に愛情のこもった挨拶をしていたような気がする。
午後からの授業はさらになんかとても不思議な授業風景だった。周りには人は居らず、だだっ広い教室に向かい合わせになって一つの机で勉強を教えているのだから。それでもって、午後からは一人の生徒を2コマ(100分×2)持つことになっていたので、行く先の不安みたいなものを少し感じた。でも、なんとかこの時間を有意義に過ごせまいかと考えながら授業をやっていたのだ。その生徒は普段から持っている中3のレギュラーの生徒で、よく勉強もできるので教えることなんかあんまりなく、テストの無い時期には世間話でいつもそこそこもりあがっているようなやつで、野球部に入っている。その上、熱狂的阪神ファンときたから、いつも話題に上ることと言えば阪神は今年はどうだあーだという話をしたり、僕が大学の友達に阪神ファンがいて“猛虎会”なるものを作っている奴の話とかをすると「俺も入りてー!」なんて言っているが、僕はやめとけバカの集まりだからと笑いながら言っている。あのアホさ加減ときたら俺も何回かその火の粉を浴びているから分かるのだが、この話はまた今度ということで。あとはこの前の部活の試合はどうだった?なんてことを言っている。それで、3年生だから最後の試合がもうすぐあるってことで最近はさらに部活の練習の方にも気合が入っているらしく、いつもその話題になる。そこで僕はちょっとしたことを思いついた。僕は基本的にこの連休特講は毎日同じ生徒を持つことになっていたので、あと2日はこいつらとこの避難所生活みたいなものを続けるわけだから、何か刺激が欲しかった。そこで、この午後からの生徒(こいつをN君と呼ぶことにする)にグローブとボール持ってきて塾の正面にある駐車場で休み時間にキャッチボールでもやろうと言った。生徒は「やった!」と言わんばかりに喜んで、じゃあ、明日からやろうということになった。僕はグローブなんて持っていないので、N君にもう一つ持ってくるように頼んだ。次の日(5月4日)も昼間はとてもいい天気だったので、午後からの休み時間にはN君と駐車場でキャッチボールをやった。他にあまり人っ気が無く、車もあまり止まっていなかったので僕らは心置きなく自分達が連休に大きな遊びができない分を取り戻すかのように楽しんだ。そこに塾長が現れて、「この車は理事長のだから、他の車ならいいけど、これには当てちゃだめだよ。」と、1台のそこそこの高級車を指差しながら言ってきた。しかし、僕はN君のボールを取り損ねてその車にだけすでに1度だけボールをぶつけていた。僕とN君は塾長に「気をつけます。」と言いながら、目を見合わせて苦笑していた。
この理事長って人も言わずと知れた曲者で、普段は僕達が授業をやっている階とは違うところで何かをしている人らしく、バイトをやっている人の中では知らない人もいるだろうし、見たことも無いっていう人がほとんどぐらいの人だ。僕はこの理事長のうわさをだいぶ前に事務の人から聞いていた。そのうわさでは、一言で言えば、理事長はとても嫌な奴であまり好かれていないみたいなことだった。どうせ僕らバイト君にはあまり関係の無い人なので、僕はその話をとうの昔に忘れていたのだが、ひょんなことで思い出すことになった。
僕がスーツで集団授業をやると決まる少し前に実は1度だけ先にスーツ姿で働いたことがあった。ことのいきさつはある日、いつもどうり授業の後で事務室に寄ってタイムカードを押しに行って、タイムカードを押してから事務の人としゃべるってのがバイト先でのお決まりになっていた。そこにはいつも早い時間だと父兄さんとかが来ていたりして、常に人の往来の耐えないところなんだけど、夜になるとそれが減り、タイムカードを押す頃には何人かの生徒が残っていて事務の人とだべっていたりする。そこでその日はたまたま見慣れない人がやって来て事務の人や塾長と仲良さそうにしゃべっていた。最初にその人が入ってきたときに僕もとりあえず軽く挨拶はしておいた。そして、聞こえてくるその話の内容はどうやら次の日誰かに手伝って欲しい仕事があるらしく早急に誰か手伝える人を探してくれないかというようなことだった。僕は黙っておれずに半分冗談で「僕とかでよかったらドンドンこき使ってください、バイトの講師ですけどやれることならやります。」と言ったら。向うも少し興味が湧いたらしく「お名前は?」と言われて、自己紹介をしたわけだ。その時はそれだけで何も言われなかったが、家に帰ってしばらくすると電話が鳴った。バイト先からで、明日のその仕事の依頼だった。帰るときには何も言われなかったので、急で少し驚いた。何か事務処理のお手伝いをやるということだけ知らされて、スーツで来るようにと言われた。丁度、次の日はいつもバイトが入っている日なのでいつもより早く行って授業までその仕事を手伝ってくれればいいとのことだった。まぁ、僕としてはスーツを着るってだけで面白そうに思えたし、スーツ姿で個別指導で授業をやるってのも面白かったし、なにより他の先生や生徒に何を言われるか、何でスーツなの?って言われたらそん時には就活ですとか、ここで正式に先生になったなんていうウソまで考えて、そん時のみんなのリアクションを考えているだけでウキウキして胸を弾ませていた。
次の日、スーツ姿でバイト先に向かった。自分がスーツっていう格好をしているだけで何か嬉しかった。僕の中にはスーツには一種独特のオーラがある気がする。たぶん他の人もそう思ったりしてるだろうけど。ようやく大人の仲間入り、と言うような感じで、世間でも社会人として認めてもらう通行手形のような気もする。これは二十歳になったときに酒もタバコも自由になるっていう感じで大人の仲間入りを誰もがするはずなのだが、それだけでは物足りないのだ。スーツってのが味噌で単に二十歳以上で学生とかフリーターとかスーツを着ない人じゃだめな気がする。それを着ているか着ていないかでは、いわば、そこそこの有段者か免許皆伝の人かの違いのようなものがありそうだ。スーツってのはつまり、本当の意味で何か全ての校則的なものから脱出できる気がする。しかし実際、それがために何か失うものもありそうな気もするけど。
そんなわけで、バイト先に着くと塾長は僕に向かって「今日は凛々しいなぁ。」などと僕を冷やかしてきた。それで、仕事はいつもより上の階でやるから行ってくれとのことで、行ったわけだ。そうしてどうやら仕事場らしきところにたどり着いて部屋に入ると、一つの部屋にたくさんの人が規則正しく座っていて自分の机に置いてある書類の山に向かって黙々と便箋にその書類を入れていろんな家当てに送る郵便物を作っていた。その作業の単純さときたら家でやる内職と同じに見えた。僕が部屋に入っても誰も気付かないのか何も言わないので、誰に声をかけてよいのやら分からずにとりあえず一番声のかけやすそうな中年の男の人に声をかけて、仕事を手伝いにきた者だということを伝えた。その人は一応、その日僕が手伝いに来ることを知っている人だったらしく、名前まで知っていてくれた。仕事の内容を聞いて早速手伝い始めた。単に郵便物を作る仕事なので作業自体はとても楽だったのだが、周りの人たちはまるで何かにとり付かれたようにただ黙って必死にというよりも無機質な機械人間のごとく働いていて、僕にはこの人たちには本当に赤い血が流れているのかどうかも分からないくらいで、もしこの作業中に誰かこの中の人が倒れてもそれにも気付かずに仕事を続けていそうな気さえした。でもそれはこの人たちのせいではないことにすぐに気付かされることが起こった。作業をやっている人が一人立ち上がって、自分の受け持っていた作業が一段楽して新しい書類を取りに行こうとしたその瞬間、少しがたいのいい中年の男が「作業している奴を立たせるなー!早く次の書類を補充してやれっ!」と僕が最初に声をかけた人に大声で怒鳴りつけているではないか。な、な、なんだここは?それに何者だ奴は?なんもそんな言い方しなくてもいいんじゃない?何か間違ったところに来てしもうたんかなぁ?もしかして実は、僕が間違って全然関係ない会社に迷い込んで働いていてバイト代も下りないんちゃうん?しかしまぁ、そんなはずは無い。僕の名前を知っている人もいるんだし。でもとりあえずさっき大声をあげた奴がここのボスなんだろうという事だ。これじゃまるで軍隊だと思った。そして僕はようやく気付いた。ははーん、僕はここに後から来たけど、みんなはあいつが最初からやばい奴だと知っていたから黙って作業をしていたんだな。とんでもないバイトを引き受けてしもうたなぁ、もうこれからは軽はずみにこんな仕事引き受けないでおこうと思いつつ何とか作業をこなした。と、まぁそんな感じでいつもどうりのバイトの時間になったので僕は後から来たにもかかわらず、お先にその場を逃げることができた。この話を下に降りてから塾長に言うと「理事長吠えてたのかぁ。」と言っていた。塾長の言葉のニュアンス的にはまたあの人やらかしちゃったよー、ぐらいの感じだった。そんなわけで、前に事務の人と話していた理事長の話を思い出して、あいつが理事長だったのかということを知り、僕は理事長のうわさは本当だということを確認できた数少ないバイト君なわけだ。
そんなこんなで、生徒とキャッチボールをした事なんかが思い出に残るちょっと不思議で時の流れがゆっくりに感じられる時間を過ごした僕のGWも終わったわけであります。


■ 6月2日 <ニュース兄さん スポーツコーナー>

 スポーツコーナーの時間になりました。司会を務めるのは私”レッドジョニー”です。本日のメイン試合の結果報告から参りたいと思います。

(たくやん報告書)

6月2日金曜日、いつもどうりの激しいゼミナールの終了後、お客さんが訪問してきた。どうやら理大ハムの高校以来の友人らしいのだがその人はソフィアの教授らしく、この夏の北海道遠征に一緒に行く人でいろいろとお世話になるってことで、計画案をいろいろと聞いた後飲み会に行くことになっていた。僕はとりあえずバイトがあったので遅れて出席することになっていた。飲み会は7時半からスタートで2時間で予約を入れていたらしい。僕はバイトが終わるのが9時だったから会場に着いたのが9時半でもう着いた時には9回裏の攻撃で0対0で2アウトで2ストライク3ボール。この大事な場面で代打”たくやん”の登場。えー、みんないい感じに仕上がっていて敢え無く見送り三振!手も出せないまま終わりました。しかし、試合は延長戦に突入。結局、11時頃まで引き伸ばされた。その中で、どうやら卒研生で卒業単位に卒研以外に必要な単位の取り残しをしている人が約2名いることが判明。一人はすぐに分かったのだが、もう一人が分からずに考え込んで、すぐに白羽の矢が立ったのが当然僕で、「おまえだろ!」と指を刺されました。僕は『あれおかしいな取ってるつもりだったのに』と思いましたが自信が無かったので「そうかもしれません。」と答えた。(弱っ!)まぁ、そんなこんなで鳴かず飛ばずで惨敗してしまいました。あーあ、結局勉強のことを言われたら研究室では逆らえない僕がいました。だから、切り札も出せずに見逃しに終わってしまいました。みんなの期待どうりでしょ。もっと勉強してからですね。次こそはやります。みなさんごめんなさい。 (了)

 なにをやっているんだー、たくやん!と言うことでたくやんの次に期待せずに皆さん待っていましょう。それでは、See You!


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