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用水路のホタル

季節は、ちょうど梅雨に入った頃。空気に含まれる水蒸気が多くなってきていて、雨は降っていないが。曇りがちな毎日。ニュースでも、ホタルが飛ぶ様子が報道されていたこともあって、自転車で出かけた。

神社の山に沿って幅の広い用水路があり、以前に「ホタルの住む川をきれいに」という看板を見かけていたのだった。ホタルを肉眼で見たことはない。川の水を覗き込んでも、ホタルの幼虫らしきものは見つけることはできなかった。

ゆるやかな傾斜を上っていく。夕方の風はぬるいような、涼しいような、そして密度が濃いような気がした。街路灯はほとんどないので、自転車のライトが頼りだ。周囲はどんどん暗くなる。色の区別がつかなくなり、灰色から黒のどこかで表現される世界になっていく。

光の点が、ふーっと移動するのが見えた。ホタルだ。

さらに上っていく。チョロチョロと音がする。別の小さな流れとの合流地点、つる性の植物が大きな茂みをつくっているところ。たくさんの光の点が、ついたり、消えたりしていた。飛んでいるもの、止まっているもの。全体としてリズムがあるような、ないような。点滅を繰り返しながら、ホタルが目の前を通り過ぎる。シャツに1匹止まる。ぼんやりと、しかし意外に強い光で照らされる。

気がつくと、もう真っ暗になっていた。

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