登録日 99/07/09 卒業研究紹介

【研究紹介】

『女性の化粧にあらわれる 女性の心理と社会的立場について』

長々しいテーマですが、つまりは、時代ごとのお化粧と社会のつながり を調べて、それをもとに、今後の女性のお化粧のあり方を予想しよう、 というものです。


私は、戦後〜現在までの女性のお化粧を、7つのグループに分け、 それぞれに名称をつけました。
それぞれのグループの名称、特徴は以下のとおりです。 


   アメリカ模倣期    

             発達期    

    バブル期    

               非装飾期    

     自立主張期    

               異性依存期    

   新自立主張期    

            用途別繁栄期    


アメリカ模倣期

[終戦後、1945年〜1950年]
これ以前までは、日本独自の艶のない白い肌だったのが、アメリカの 化粧法の導入により、艶のある肌(オリーブオイル、油性クリームなど で艶をだした)、唇の輪郭をしっかりとった真っ赤な口紅へと変わった。

発達期

[1950年〜1960年]  神武景気、岩戸景気を背景に、ピンク化粧という、全体的にピンクが かった化粧が流行した。
 ピンク化粧が流行した原因としては、
国産のカラー映画が上映されたこと。(カラー技術があまり発達してい なかったため、女優の肌の色がピンクがかって見えた。女優を憧れの対象 とした女性たちは、不自然さを感じながらも、憧れに近づくために、ピン ク化粧を取り入れた。)
 演色性の悪い蛍光灯の下でも、肌が健康的に見えたこと。
があげられる。このピンク化粧は、70年代に入るまでつづいた。

 ピンク化粧が流行する一方、口紅に関しては、この時期、口紅=赤と いう概念が崩れ始めた。こーひーブラウン、白、ベージュ、黒など、さま ざまな色の口紅が登場した。
 音楽が流行を引っ張るような現象もあらわれ、肌を褐色にし、目元を ブルーやグリーンのアイシャドウで濃く彩る女性も出現した。 (カリプソ・メーク)

バブル期

[1960年〜1970年]  長期にわたったいざなぎ景気を背景に、カラーテレビをはじめとした 家電機器の導入により生活に余裕がうまれた。カラーテレビの普及により、 芸能人の化粧をアップで見ることができるようになり、従来のメークアップ に対する考え方が大きく崩れた。
 以前は、少し濃かったり、多少でも目元に化粧をしたりすると非難されたり もしたが、このような非難は60年代の終わりには消えていた。
 目の装飾性は頂点に達し、アイシャドウを塗り、アイラインを幅広く ひき、付けまつげも使われるようになった。
 肌に関しては、ファンデーションの多色使いにより立体的に見せたり、 質感が注目されはじめたりと、ピンク化粧が続く一方、様々な手法が 行われた。
 口紅もピンク化粧がつづき、ピンク系が使われていたが、流行に敏感 な女性の間では、赤へと変化していき、質感も注目されはじめた。 艶やパール感や金属光沢を与えたもの、また、さっぱりしたもの、 べったりしたものなど、使用感も細分化されていった。

 この時期、化粧する社会的な義務のないはずの女子大生にも化粧が 広がりはじめたことから、メークアップが身だしなみレベルから、一歩 前進したと考えられる。  

非装飾期

[1970年〜1970年後半]  女性運動を背景に、化粧がナチュラルになっていった。
 目元、口元とも鮮やかな色は影をひそめた。
 また、長い間つづいたピンク系ファンデーションの使用はこの頃消え、 日本人に合うオークル系のファンデーションへと移行した。
 アメリカへの憧れがうすれ、日本人らしさを意識し始めたことが考えられる。

自立主張期

[1970年代後半〜1985年]  女性の社会進出を背景に、意志の強い太い眉、鮮やかな目元など、 女性自身が自分を飾り付け、主張した。
 また、この時期、素顔に対する嫌悪感が薄れ始め、女性はさらに社会 からの強制から解放されたと考えられる。

異性依存期

[1985年〜1990年代前半]  バブル好景気を背景に、男性の好むエレガントな化粧が行われた。 女性の魅力や特性を十分に発揮しながら強さを使い分けるようになり、 口紅は青みの強いピンク系が流行した。

新自立主張期

[1990年代前半〜1990年代後半]  バブル崩壊を背景に、全体的に色みの少ない、冷めた化粧が行われた。 眉は細くシャープになり、目元や肌はパールで光らせ、人工的になっていった。 口紅もブラウン、ベージュなど、暗めの色で、女性の間でのみ成り立っている かのような化粧だった。

用途別繁栄期

[1990年代後半〜]  この頃から、化粧に美しい色が戻ってきた。
 眉や肌はきちんと手を加えているのに自然に見えるような手法に変わって きた。
 しかし、”新自立主張期”以前の化粧がまったくなくなったわけではなく、 仕事内容など、様々な場面によって化粧を使い分ける女性が増えてきた。





以上の7つの化粧に対しての、現在の女性、男性のとらえ方をアンケート により調べ、社会の動きと結び付けながら、今後のお化粧のあり方を 予想します。

 それぞれのグループのお化粧を、実際に女性にほどこしたサンプルは こちらです。
 また、サンプルに関してのアンケートにも御協力お願いします。

参考文献

[戦後史大辞典] 佐々木毅 等 編集/三省堂
[顔の文化史] 村澤博人
[美人論] 井上章一
[戦後50年日本女性の化粧の変換] 資生堂
[化粧心理学] 資生堂ビューティーサイエンス研究所
[時代とともに化粧も変わる] 朝日新聞 1998.10.14
[Make up Magazine #37] 学研
[CLEA 1997.10] 文芸春秋
[More Natural 1997冬の号] 集英社
[How to make up No20, No25] 婦人画報社