平成14年度夏学期期末試験問題 東京大学経済学部  専門科目1  経営  高橋伸夫教官 1.次の文章群I〜Vについて、それぞれ@〜Bの文章の中から正しいもの一つを○で示 し、他の間違っているもの二つについてはその理由をそれぞれ2行以内で述べなさい。 I@H.A.サイモンは、19世紀の米国で、最初の近代企業である鉄道会社とそれに続く電   信・電諸会社が誕生し成長してきた過程を検討し、主著『経営行動』の中で、経営者   企業を中心とした資本主義経済を経営者資本主義と呼んだ。  A米国では19世紀後半から企業の大規模化が進み、最大株主の持株比率が極度に小さく   なって、所有と経営の分離が進んだ。こうして、企業が危機的状態に陥らないかぎり   は株主が経営者を解任できない経営者支配の状態が生まれた。  BA.D.チャンドラーはデュポンやゼネラル・モーターズ(GM)を調べた結果、企業は、   成長し多角化するにしたがって、それまでの集権的職能別部門組織から事業部制の組織   へ、さらに持株会社とその傘下の子会社群へと再編されてきたと主張した。 II@経営管理論の始祖として知られるアンリ・ファヨールは、当時のフランスの大企業の   経営者として活躍し、代表的著作として『産業ならびに一般の管理』を著した。後に   管理過程論と呼ばれるようになる分野の基礎を作った。  Aホーソン実験の結果、科学的管理法による過度の分業、単純化は生産性を低下させる   ことが明らかになった.そこで分業を廃して、チーム・ワークを重視し、モラルの向   上こそが重要であると主張する人間関係論が誕生した。  B製品ポートフォリオ・マネジメント(PPM)では、市場成長率と市場シェアを2軸とした   グラフに経験曲線を描く。ゼネラル・エレクトリック社(GE)はこの経験曲線上に製品   を並べて上から順に「金のなる木」「花形」「問題児」「負け犬」と特徴付けた。 V@第二次世界大戦後の日本では、1997年に独占禁止法が改正になるまで、半世紀にわ   たって持株会社の設立は禁止されてきた。しかしその問にも、戦前に設立された持株   会社の中には存続してきたものもあり、戦後の6大企業集団の中核企業となった。  A組織文化あるいは企業文化は1980年代の経営学における主要なトピックスの一つで   あった。強い文化の存在が、従業員に安心して仕事に取り組めるような環境を作り出   し、組織の文化を管理することが経営者本来の役割であると考えられるようになった。  B日本の商法では、株式会社、有限会社、相互会社などの形態が定められている。しか   し1990年の商法改正で、株式会社の最低資本金が1000万円に大幅に引き上げられたこ   とで株式会社数は激減し、現在では会社数の約70%は有限会社が占めている。 2.次の用語について解説しなさい。解答は各用語3行以内にまとめること。 @コングロマリット   Aヨコの企業集団   B近代組織論 3. 「経営することと組織を管理することとは同じではない。」という主張に対して、 15行以内で論じなさい。その際、講義内容、特にC. I.バーナードの議論を踏まえて、 誰の主張に賛成/反対であるかを明記して、自分の主張を明確に打ち出すこと。