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酸化・還元
酸化と還元
- 酸化と還元の定義だけど、まあ下の図ね。
| 酸素の授受 | 水素の授受 | 電子の授受 |
| 酸化(される) | 酸素をもらう | 水素を失う | 電子を失う |
| 還元(される) | 酸素を失う | 水素をもらう | 電子をもらう |
- 酸素の授受は分かるよね。ほかの二つは言うなれば広い意味での酸化と還元。で、高校で、酸化還元といったら電子のやり取りがある反応のことになる。すぐ後でやるけど。
- 酸化と還元はする、されるが重要になる。反応の中では、酸化された物質は必ず何かを還元します。だから酸化と還元はほとんどの場合同時に起きていて、まとめて酸化還元反応と呼びます。
- 酸化と還元はついになっている。だから、上の表も”失う”というより”与える”とした方が表現的にはいいと思う。電子も失いっぱなしなんてことないからね。
酸化数
- 酸化数は酸化還元を使うにあたってすっげー便利な道具。これなしだと何やっても中学の域を出ないんできちんと押さえよう。酸化数は化合物の原子の酸化状態を表す数で、以下に挙げるようなルールにしたがってつけます。
- 単体中の原子の酸化数は0
- 化合物中の水素原子Hの酸化数は+1、酸素原子Oは−2。
- 単原子イオンの酸化数はイオンの価数にそのイオンの正負をつけたもの。
- 化合物中の酸化数の総和は0
- 多原子イオン中の原子の酸化数の総和はそのイオンの価数に正負をつけたもの。
- 例外がちょっとあって、NaHのHは−1、H2O2のOは+1。Hについては水素化〜とつく物質が−1になる。
- 高校で言う酸化還元はこの酸化数の変化を伴う反応のことを言う。酸化数が増える反応が酸化。減るのが還元。すべてはここにいきつくんですね。
- 酸化数の数字はなぜかT,U,V・・・てのを使うみたいね。まあ普通の数字を使ってもいいみたいだけど・・・。詳しくは先生に聞いてみて。
- 試しに求めとこうか。硫酸H2SO4のSについて、H+1が2つO−2が4つ。あわせると−6だね。全体では0だから、Sは+6となる。こんなふうに求めるんです。まあよく出てくる元素のとる数を覚えとくのも手だね。過マンガン酸カリウムのMn(+Z)なんか嫌というほど見ることになるよ。
- 普通金属は+になることが多いから価数だけしか書かないこともある。二酸化マンガンを酸化マンガン(W)なんて書く人いるでしょ。あとは硫酸鉄(V)とか。鉄のイオンは2価と3価があるから(V)を省略しちゃうとどっちかわかんないんだ。
- この酸化数だけど有機化学になると案外役に立たなかったりします。だから酢酸中の炭素の酸化数は・・・なんてやってもあんまりねえ・・・。まあ場合によって有効な手段があるんでいくら酸化数が有効でもそれにこだわる必要なんてないからね。
- 酸化数は原子に着眼するものです。たとえば
2H2O2→2H2O+O2
という反応ではH2O2Oのうち1個が酸化され、1個が還元されてます(酸化数の変化を調べてください)。これを過酸化水素分子に注目していたら、わけわかんなくなってしまいます(少なくとも私は)。
- 酸化剤と還元剤という言葉があります。
- 酸化剤:相手を酸化する物質。自分は還元される。酸化数の減少する物質を含む。
- 還元剤:相手を還元する物質。自分は酸化される。酸化数の増加する物質を含む。
- やっぱりするされるが出てきました。こういうのもあるから酸化還元はするされるが重要になるんです。ところで酸化剤と聞くとなんか、無理矢理にでも相手を酸化しそうな感じがするけど、そんなことはないよ(するやつもいるけど)。すべては相手次第で、単に酸化を受けているだけにしか見えないもの(exさびていく鉄)も還元剤といいます。
酸化還元を伴う化学反応式
- これを理解すると面白いように化学反応式が書けちゃいます。多少段階があって手間だけど。
- まず覚えて欲しい酸化剤・還元剤。下の表の→化学反応式の→とは違うんでよろしく。それぞれの物質の横にある反応式みたいのは酸化数の変化する最も重要な部分。最少でもこれだけは覚えないと問題解けないんです(物質の性質を考えると当たり前のものばかりなんだけど)。
| 酸化剤 | - 過マンガン酸イオンMnO4−→Mn2+
- 二クロム酸イオンCr2O72−→Cr3+
- 希硝酸HNO3→NO
- 濃硝酸HNO3→NO2
- 熱濃硫酸H2SO4→SO2
- 塩素Cl2→Cl−
- 過酸化水素H2O2→H2O
- 二酸化硫黄SO2→S(相手がH2Sのとき)
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| 還元剤 | - ナトリウムNa→Na+
- ヨウ化物イオンI−→I2
- 鉄(U)イオンFe2+→Fe3+
- 過酸化水素H2O2→O2
- 硫化水素H2S→S
- 二酸化硫黄SO2→SO4−
- シュウ酸(COOH)2→CO2
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SO2は普通還元剤、H2O2はどちらとも言えない
- 次は半反応式の書き方。私はこれも立派な化学反応式だと思いますが、不完全といえば不完全。(ちなみに原子〜の終わりであげた式はこの半反応式です。) 上のを利用して以下のようにやります。
- 酸化数の変化する部分を両辺に書く。(上の式、これは暗記する)
- H2Oを加えてOの数をそろえる・・・@。
- H+を加えてHの数をそろえる・・・A。
- e−を加え電荷をそろえる・・・B。
人によってはe−からはじめH+で電荷の調整をするみたいです。まあ好きなほうでどうぞ。
実際にやってみましょう。たとえばMnO4−→Mn2+では
@MnO4−→Mn2++4H2O
AMnO4−+8H+→Mn2++4H2O
BMnO4−+8H++5e−→Mn2++4H2O
とまあ簡単3stepsなわけ。この位は誰でも出来るよね(気になる人は最後に両辺の原子の数、電荷が同じか確かめとこう)。当然といえば当然だけどe−は普通酸化剤なら右辺に、還元剤なら左辺に現れます。気が向いたら確認しといて。
H2OやH+だけどこれは条件として与えられます。たとえば〜水溶液、とか硫酸酸性〜とか。普通気にしなくてもいいけどね。
- そして半反応式からイオン反応式を作ります。ここでのイオン反応式はe−が式に現れないものを指します。つまり2つの式をうまく足し引きしてe−消せばいいの。例として『硫酸酸酸性過マンガン酸カリウムに過酸化水素水を加えると溶液の紫色が消え気体が発生する』という絶対どっかの大学の受験問題になるのをやってみましょう。まず半反応式を2つ用意(ここでは過酸化水素は還元剤)。
MnO4−+8H++5e−→Mn2++4H2O・・・@
H2O2→2H++O2+2e−・・・A
電子を消すわけだから@×2+A×5として
2MnO4−+5H2O2+6H+→2Mn2++5O2+8H2O
これでOK。いたって簡単。
- さて仕上げの化学反応式。私が現役のころは範囲外だったそうですがここまでくればやったていいでしょう。上の続きでいきます。
2MnO4−+5H2O2+6H+→2Mn2++5O2+8H2O
まずそれぞれのイオンの出どこを探します。MnO4−は当然過マンガン酸カリウムが電離したもの。H+は硫酸酸性という条件から硫酸のものでしょう。よって出どこの不足を補えば、
2KMnO4+5H2O2+3H2SO4→2Mn2++5O2+8H2O+2K++3SO42−
となります。水溶液中では電離していますが、物質としては左辺がイオンのままでは不釣合いなので塩の形にします。中和のときと同じです(普通HCl+NaOH→NaCl+H2Oと書きますね)。
2KMnO4+5H2O2+3H2SO4→2MnSO4+5O2+8H2O+K2SO4
はい出来あがり。やっぱり簡単です。とはいってもこの式ぱっと見るとかなり複雑で闇雲に作ろうとして出来るしろのもじゃないですね。係数つける問題でも結構厄介です。だから反応式を作るときはとにかく慌てないこと。やるべきことは簡単なんだから、こんなとこで外すのは勿体無いよ!
酸化還元滴定
- やることは中和滴定と同じ。ちょっと補足を入れる程度です。
- 中和では(水素イオン)=(水酸化物イオン)の等式だったよね。酸化還元では(酸化剤出す電子の数)=(還元剤が受け取る電子の数)となればいいわけ。出す数、受け取る数は半反応式から出せるね。一応式にするなら、1分子あたりm個の電子を出す酸化剤で濃度がc(mol/l)の溶液V(l)と1分子あたりm’個電子を受け取れる濃度c’(mol/l)の還元剤V’(l)がちょうど反応する条件はmcV=m’c’V’となる。あたりまえだー。
- 指示薬だけどあんまり特殊なのは覚えなくていいから。まあ出てくるのは2つかな。
- 過マンガン酸カリウム:これはおもに滴下するほうに過マンガン酸カリウムを使うってこと。過マンガン酸イオンは紫だけどマンガン(U)イオンはほとんど無色。つまり還元剤をコニカルビーカーに入れて滴下した過マンガン酸カリウムの色が消えなくなったら終点。
- ヨウ素液:還元剤を滴下するときにごく微量のヨウ素液とデンプン溶液をコニカルビーカーに入れておく。終点になるとヨウ素が、ヨウ化物イオンに還元されてヨウ素液による青紫が消える。反対に酸化剤を滴下するときにヨウ化カリウムとデンプン溶液を加えて紫色になるのを終点とすることもあります(この場合、デンプンが酸化剤と反応しないことが条件になると思います)。どちらも入れすぎ注意。
- ヨウ素液のほうは使ったことないので詳しくは分かりませんが過マンガン〜水質調査で使いました(COD)。やってみると案外大変。軍手して滴定だもん。
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