非金属元素

非金属元素
  • はは・・・。覚えることいっぱいで嫌な分野ですねえ。どれくらい説明するのかちょっと見てみよう。
    F,Cl,Br,I,O,S,N,P,C,Si,Hくらいかな?思ったより少ないじゃん。
  • あと、希ガスも分野だったね。ここで説明しちゃおう!基本的になにやっても反応しません。単原子分子で気体。普通は化合物をつくらないんですが、Xeなんかはつくることがあります(除Rn)。他のことは周期表でも見て。少し書いといたから。
  • たまに『希ガス』を『貴ガス』と書いたりします。日本国内では『希ガス』で統一されているみたいですが、海外では『Rera gas(希ガス)』より『Noble gas(貴ガス)』のほうがメジャーだそうです。まあ、反応性の低い金属を『貴金属』というのと同じ感覚でいいと思います。
  • 水素も結構特殊だから、ここで説明しちゃおう。極めて軽く、燃える気体。このとき大きなエネルギーが出るためロケットの燃料などに利用。上手くやると電池も出来ます。宇宙空間に存在する原子の約75%はこの水素です。
    2H+O→2HO(燃焼)
    結構強い還元剤でもあります(加熱とかするみたいです)。
    CuO+H→Cu+H
    普通の化合物では、酸化数は+Tとなりますが水素化〜とつく物質(水素化ナトリウムなど)は−Tとなります。
ハロゲン
  • 上から順番にいこうかな。その前に一般的なのを少し。ハロゲンは価電子7個で1価の陰イオンになりやすい。当然化合物中の酸化数は−Tがほとんど。反応性は上の方ほどよく(Fは例外的な動きが多い)、下の方にいくと2原子分子に成りたがります。
    2KBr+Cl→2KCl+Br
    2KI+Cl→2KCl+I
    2KI+Br→2KBr+I
    反応性っていうのはここでは酸化力の強さね。Cl>Br>Iですよ。
  • フッ素からはじめよう。フッ素はフッ素分子では不安定なので殆ど化合物として扱います。単体は微かに黄色がかった気体。毒性が極めて高い。KHFを電気分解してえます(実験室では無理ですね)。一応塩素より酸化力が強いですが実験で確かめるは無理そうです。
  • フッ化水素ですが、常温で液体で(沸点20℃)刺激臭があります。極めて強い水素結合のため、水溶液にしても殆ど電離しません(弱酸です)。また室温程度ではこの水素結合によりHとしてふるまっている(気体の状態方程式などに影響)。つくりかたは螢石に濃硫酸をかけて加熱します。
    CaF+HSO→CaSO+2HF↑
    このとき容器にガラスを使わないでください。溶けます(ガラスの主成分二酸化ケイ素を溶かす)。もちろんフッ化水素酸はガラスの容器では保存できないのでポリエチレンの容器に保存します。
    SiO+6HF→HSiF+2H
  • フッ化銀(AgF)は少し注意。他のハロゲン化銀は水に溶けないんですがこれだけは溶けます。・・・それだけです。他の化合物はあんまり見ないけど歯磨き粉に入ってるNaFとか、フロン(CCl)、フッ素樹脂、ゴムなどがあります。余裕があったら覚えとこう。
  • 塩素いっきまーす。単体は黄緑色の気体。かなり強い酸化性、脱色性、殺菌性を持っている。光により爆発的に反応が進む。生成法は実験室では3つ。工業的には食塩水の電気分解かな(一緒に水酸化ナトリウムが出来ます)。
    MnO+4HCl→MnCl+2HO+Cl
    CaCl(ClO)・HO+2HCl→CaCl+2HO+Cl
    16HCl+2KMnO→2KCl+2MnCl+8HO+Cl
    3つ目は知りませんでした。このページを創ろうとおもい勉強しなおして知りました。受験ではマイノリティーですね。
    一番上のが受験でよく出るので注意!加熱がいるのも重要ですが、これにより得られる塩素のは不純物としてHClが含まれているので、水→濃硫酸の順に通し取り除きます。水にHClを溶かし濃硫酸は乾燥剤ですね。順番が重要!実験セットは資料で確認してください。ちなみに2番目はトイレ洗剤に書いてある『混ぜるな危険』ってやつです。簡単に出来ますが個人ではやるのをお勧めしません。
    水に溶かした反応もあります。プールの消毒ですね。
    Cl+HO→HCl+HClO
    この次亜塩素酸(HClO)に殺菌性があるわけです。HClOの強い酸化性によるものですかね(断言出来ますよ)。
    あとは加熱した銅との反応かな。かなり毒々しく見た目ヤバそうな反応です。
    Cu+Cl→CuCl
  • 塩素の化合物は有機物では数限りなくあるので逐一あげれませんが、ポリ塩化ビニルなどに代表されるように塩素化という形で広く利用されています。
    それ以外では塩化水素がもっともメジャーです。塩酸はこれの水溶液。強酸として働きます。実験室で作るくらいならはじめから塩酸買ってそこから気化させろと思いますが、なんかつくりかたがあるんで紹介します。なんと、食塩に濃硫酸をかけて加熱するんです。
    NaCl+HSO→NaHSO+HCl↑
    これは揮発性の酸の遊離といい、仕組的には弱酸の遊離とほぼ同じです。こんなふうに硫酸はなんでも追い出してしまうんですね。
    他はこれといって重要なのは無い気がするけど、さらし粉と呼ばれ漂白に使うCaCl(ClO)・HOや、火薬になる塩素酸カリウム(KClO)、水に溶けにくいAgCl、肥料の塩化アンモニウム、強酸の過塩素酸(HClO)などがあるね。
  • 臭素で出てくる反応は塩素とほぼ同じ。単体は臭化銀に塩素を加えて追い出します。あと、有機物を臭素化するときに使います。ほかは・・・写真フィルムのAgBrくらいかな?
  • ヨウ素は塩素や臭素をおとなしくしたかんじ。殆ど水には溶けないけどKI水溶液には溶けます。ヨードチンキやヨウ素液がこれ。ヨードチンキ薄めてデンプンにかけると青紫になるはずです。ちなみにAgIはアンモニア水には溶けません。
酸素と硫黄
  • O,Sは共に16族で、価電子6個。でも性質はあんまり似てません。勉強するときは別々にやったほうが良いような気もします。
  • と、いうわけで、わりと簡単な酸素から。単体は酸素分子(O)とオゾン(O)。酸素の製法は過酸化水素に触媒を加えるのが一般的。
    2H→2HO+O
    このほかには、塩素酸カリウムからの製法もあります(二酸化マンガン触媒、加熱)。
    2KClO→2KCl+3O
    工業的には液体空気の分留でしょうか。酸素は比較的酸化力が強くいろいろなものと酸化物を作ります。燃焼や錆なんてのがそれ。またあまり有名ではありませんが、磁性を持っていて液体酸素をポリエチレンの袋に入れて、強力な磁石を近づけると引き寄せられます。Nには無い性質です。
    オゾンは青みがかった気体で、特有の嫌なにおいがあります。酸素中で無声放電することにより得ます。
    3O→2O
    酸素以上の酸化力を持っていて人体にも有毒。でも、オゾン層が無くなると人間は死んでしまいます。
  • 酸素のかかわる反応は殆ど酸化で、これといって重要なのはありません。強いていえば酸化物の性質くらい。酸性酸化物、塩基性酸化物、両性酸化物とは何かくらい押さえておこう(酸塩基参照)。ちなみに、酸性酸化物の酸をオキソ酸といって、分子中に含まれている酸素が多いほど強酸です。
  • 硫黄ですが、単体、化合物共に非常に重要です。とくに化合物は硫酸、硫化水素、二酸化硫黄、硫化金属など、数も結構あります。さて、単体ですが、同素体が存在します。斜方硫黄(S)、単斜硫黄(S)、ゴム状硫黄(S)の3つ。一番安定なのは斜方硫黄(半透明結晶)で、ほかの二つは常温でほっとくと単斜硫黄に戻ります。単斜硫黄は斜方硫黄を融ける程度加熱して紙の上などに出して冷まします。上手くやると、針状の結晶が観察できます。ゴム状硫黄は単斜硫黄を350℃程度まで加熱し(黒っぽくなる)どろどろになったものを、水に入れて冷やすとできます。単斜硫黄や斜方硫黄は、水には溶けませんが二硫化炭素には溶けます。
  • さて、硫化水素からいきますか。色は無色で、腐卵臭のある気体(半端じゃなく臭い)。水素結合により融点、沸点は高くなります。多少ですが水に溶けて弱酸となります。酸性溶液だと[H]が大きいため電離が進みません。つまり[S2+]の濃度もあまり大きくなりません。しかし塩基性ならば、電離が進み[S2+]も大きくなります。難水溶性金属硫化物の金属イオンを含む水溶液に硫化水素を通すと難水溶性電解質の溶解度積により金属硫化物の沈殿ができます。このとき水溶液の性質がかかわってきて、イオン積の小さいものは酸性でも沈殿が生じますが、イオン積の大きいものは塩基性にしないと沈殿を生じません。溶解度積を覚える必要はありませんが、どの金属が、どちらで沈殿を起こすかは覚えておく必要があります。
    酸性でも沈殿:Ag,Hg2+,Cu2+,Sn2+,Cd2+,Pb2+
    塩基性なら沈殿:Zn2+,Fe2+,Ni2+,Co2+,Mn2+
    当然ですが、酸性で沈殿を起こすものは塩基性でも沈殿を起こします。さらにHSは結構強い還元作用があってFe3+が存在していてもFe2+に還元してしまうため、Feはできません。ちなみに語呂もあります。もし興味があったらメール出してください。製法忘れてましたね。硫化鉄に塩酸でもかけてください。弱酸の追い出しです。
    FeS+2HCl→FeCl+HS↑
  • つぎ、二酸化硫黄。無色刺激臭の気体でやや強めの弱酸。水溶液中では亜硫酸(HSO)となっている。
    SO+HO→HSO
    製法ですが、3つあってそれぞれ重要です。
    まず、亜硫酸塩から硫酸などを使って追い出す方法(弱酸の追い出し)
    NaSO+HSO→NaSO+HO+SO
    これは仕組的に重要。弱酸の追い出しは入試ではよく見かけます。
    つぎに熱濃硫酸の酸化還元反応。
    Cu+2HSO→CuSO+HO+SO
    これは、銅や銀を溶かす反応で金属非金属両方の融合問題として出題されます。
    最後は硫黄の燃焼
    S+O→SO
    接触式硫酸生成方の第1段階です。硫黄の燃える時の色は青ですね。
    二酸化硫黄は、普通還元剤として働きます。これにより色素の漂白作用なんかが出てきます。でも、硫化水素の対しては例外的に酸化剤として働き硫黄を生成します。
    2HS+SO→3S+2H
    当然こんな例外的働きは受験で狙われてきます。
  • 硫黄の化合物で一番重要なのはやはり硫酸でしょう。硫酸を実験室で生成する事はまずありません。でも工業的製法(接触式硫酸生成方、接触方)は極めて重要です。まず、硫黄を燃焼させるなどして二酸化硫黄を作ります。
    S+O→SO
    これは、石油などに含まれる硫黄を燃やしていますが、硫化鉄などから鉄を精製すときに出る二酸化硫黄を利用したりもします。
    つぎに、触媒を利用して二酸化硫黄を三酸化硫黄にします。受験で狙われるのはこのとき使われる触媒。五酸化二バナジウム(V)というものを使います。
    2SO+O2→2SO
    これを水に溶かせば硫酸になりますが、工業的には90〜95%くらいの濃硫酸に吸着させ発煙硫酸という形で回収するそうです。
  • 硫酸は希硫酸と濃硫酸で性質が大きく異なります。希硫酸は一般的な強酸で、亜鉛や鉄を溶かします。しかし濃硫酸は水を含んでいないため電離ができず弱酸になります。そのため、金属を入れてもあまり反応をしません。でも加熱により酸化力のある酸になります(銅、銀も溶かす)。また濃硫酸の性質として、吸湿性、脱水性、不揮発性などがあります。それぞれの例として吸湿性は気体の乾燥、脱水性はエステルやエーテルの生成、不揮発性は食塩からのHClの遊離など。そうそう、硫酸を薄めるときは必ず、水に硫酸を加えるようにしてください。硫酸に水を入れると水が突沸して硫酸が飛び散り危険です(私も高校時代やってしまいました)。
窒素とリン
  • まず窒素から。単体は二原子分子の気体。極めて安定で、常温常圧ではまず反応を起こしません。希ガスと同様安定です。理由は・・・電子理論を学べば一発解決します。大学では一番に習うんでそこまで待ってください。工業的には液体窒素の分留により得ます。実験室で作ることもできますが恐ろしくマイナーです。一つは亜硝酸アンモニウムを加熱分解するもので
    NHNO→2HO+N
    あと、塩化ベンゼンジアゾニウムを加熱しても得られます。
  • 窒素でもっともメジャーなのはアンモニアでしょう。空気より軽くそれはもうよく水に溶けます(アンモニアの噴水なんかやりますよね)。実験室では塩化アンモニウム(肥料)と水酸化カルシウム(消石灰)の混合物を加熱します。これは弱塩基の遊離です。
    2NHCl+Ca(OH)→CaCl+2HO+2NH
    工業的には窒素と水素から直接作ります。ハーバーボッシュ法。反応は
    +3H→2NH
    と、簡単なんですが、これはもう少し詳しくやる必要がありますね。この反応は可逆反応でかつ左から右への反応は発熱反応です。さらに分子数は減るので、化学平衡の概念からは低温高圧のほうがよいわけですが、窒素の活性化エネルギーは極めて高い(=安定)ので、反応は高温でないとなかなか進みません。この矛盾する条件を同時に満たすために工業的には、触媒として四酸化三鉄を使い100〜200atm、500℃前後の条件で反応を進めた後、アンモニアを液化して効率よく回収していきます。触媒と条件はきちんと押さえておこう。
    アンモニアの存在はネスラー試薬というもので確かめます(褐色沈殿)。あとアンモニアの乾燥には中性もしくは塩基性の乾燥剤を使いますが中性の塩化カルシウムは向きません。反応を起こすそうです(でも使えないことはないらしい)。テストのときはソーダ石灰か生石灰なんかを書くといい感じ。
  • 窒素酸化物ですが、なにより環境汚染ですね。NOと書かれるので『ノックス』なんて呼ばれますね。酸化数は+Tから+Xまで様々ですので表にまとめときます。
    物質
    酸化数
    性質
    一酸化二窒素
    +T
    笑気ガスと呼ばれ、麻酔に利用される(主に歯科)。比較的安定で
    他の酸化数に変化しにくい。
    一酸化窒素
    NO
    +U
    無色透明の気体で、希硝酸に銅を加えると発生する。空気中で容易に
    酸化されNOになり、褐色になります。
    三酸化二窒素
    +V
    不安定で液体でも分解する。気体ではさらに分解が進む。
    固体、液体は青色。
    二酸化窒素
    NO
    +W
    赤褐色で有毒。水に溶けて硝酸と一酸化窒素なる。
    四酸化二窒素
    +W
    無色の気体二酸化窒素と平衡状態にある(冷却すると増える)。
    液体は黄色。
    五酸化二窒素
    +X
    無色結晶で強力な酸化剤。水に溶かすと硝酸になる(無水硝酸)。
  • さて、窒素酸化物から1歩進んで硝酸に行きます。まず工業的製法ですが、原料はハーバーボッシュ法で作られたアンモニアで、これを空気と混ぜて加熱し白金網を通しますと、
    4NH+5O→4NO+6H
    となります。白金は触媒です(酸化触媒としてよく使われる)。
    これを空気と混ぜ、自然に酸化させます。
    2NO+O→2NO
    これを水に作用させます(『溶かす』といわないのは単に溶けるだけじゃないから。私のポリシーですが、『溶かす』でもいいと思います)。
    3NO+HO→2HNO+NO
    当然ですが、ここで発生するNOは酸化され利用されます。これがオストワルト法。これで得られる濃硝酸は大体55〜65%くらいだったかな。濃硫酸(95%以上)に比べて薄いですね。やはり水に気体を溶かすため濃くするにも限界があるんですね。どうでもいいと思うけど実験室で作るときは硝酸ナトリウム水溶液に濃硫酸を加えて加熱します。
    SO+2NaNO→2HNO+NaSO
    こんなコトするくらいなら濃硝酸買ってきてください。
    さらに硫酸は光によって分解しますので、濃硝酸は褐色ビンに保存します。実験室で見てみてください。
    4HNO→2HO+4NO↑+O
    硝酸イオンの存在は褐輪反応というもので確かめます。手順は資料なんかで確かめてください。たしか硫酸鉄と濃硫酸だったと思います。
  • 硝酸は濃度によって異なる性質を示します。硫酸とおなじだね。この、濃いとか薄いとかいうのは濃度でははっきり知りませんが、早い話濃度が濃すぎて電離が進まないのを濃〜、電離が十分進むのを希〜といいます。さて、五酸化二窒素(無水硝酸)で書いたように硝酸にはそれ自体にかなり強い酸化力を持っています。当然濃硝酸には酸化力があり銅、水銀、銀を溶かします。(不動態を作る金属は溶けません)
    Cu+4HNO→Cu(NO)+2HO+2NO
    しかし、硝酸は薄くても酸化力があります。つまり希硝酸でさえ銅を溶かします。
    3Cu+8HNO→3Cu(NO)+4HO+2NO↑
    でも、希硝酸は酸としての性質をしっかり持っています。だから鉄のような金属に対しては酸として働き溶かします。
    Fe+2HNO→Fe(NO)+H
    いったん溶けた鉄は3価に酸化されます。ひょっとしたらそのまま金属からいきなり3価になるかもしれません。詳しくは分かりません。
    重要なのは希硝酸は不動態を生成する金属もイオン化傾向の小さい金属も溶かすところ。これが硝酸では一番狙われます。
    ちなみに硝酸イオンは平面状正三角形形です。大学行くと教えてくれます。
  • さて、リン行きますか。ねらい目はなんといっても同素体。黄燐と赤燐ですね。黄燐はねっとり感のある固体(ロウみたい)。空気中で自然発火するため、水の中で保存します(ナトリウムのように灯油は使いません)。極めて猛毒でまず実験室でも見かけないでしょう。赤燐は黄燐に比べて安定しています。赤褐色の粉末固体で、毒性はありますが食べたり飲んだりしなければ大丈夫。自然発火なんてしないし空気中で保存できます。赤燐はマッチの側薬といって、箱の側面の擦るところに塗り付けてあります。試しに棒のほうだけをコンクリートにでも擦りつけてください。側薬なしではちょっとやそっとでは火はつきません。
  • リンの化合物は酸化物とオキソ酸、またリン酸塩ですね。まずリンの酸化物ですが、リンを燃やしてやれば得られます。リン原子2個に対し酸素原子5個の割合で酸化物を作りますが、これを『5酸化2リン』と呼ばないでください。比だけを見ればあってますが(よくそうしますけど)、構造的にはリン原子4個と酸素原子10個で立体構造を作り、これが1つの分子です。つまり分子式はP10、名前も『10酸化4リン』が正しいもの。名前のほうは、まだ比に注目しているということで『5酸化〜』でも通じるみたいですが(知り合いが模試のとき書いたら正解になってた)、分子式は許されません。Pでは分子になりませんし、Cx(黒鉛)のような巨大分子でもないんだから。窒素のところでも『二酸化窒素』と『四酸化二窒素』を区別したように、『空気中でリンを燃焼させたときに得られる物質の名称と分子式を書け』といわれたら、『10酸化4リン、P10』と答えましょう。これなら文句の言いようがない。ちなみに10酸化4リンは吸湿性に優れているため、酸性の乾燥剤に使われます(さらに潮解性まである)。
  • リン酸ですがここまでくるとP10水に溶かせば良いと思うようにもなるでしょう。でも普通に水に溶かしただけだと
    nP10+2nHO→4(HPO)
    と反応して、メタリン酸という物質が出来てしまいます(潮解したときも同じ)。これは明らかにリン酸とは別物です。
    そこでリン酸を作るには、このメタリン酸を加熱するか、お湯に10酸化4リンを溶かします。すると
    10+6HO→4HPO
    このリン酸には酸化力はありません。さらに強酸と弱酸の中間程度に位置する酸です(中酸とか中程度の酸とかいてあることもある。無理に分けるなら弱酸になるらしい)。リン酸はリン酸イオンになりにくく、相当強い塩基性にならない限りリン酸水素イオンやリン酸2水素イオンとして働きます(これらのカルシウム塩は加熱によりリン酸カルシウムになる)。ちなみに骨や歯の構成成分であるヒドロキシアパタイト(ハイドロオキシアパタイト)はCa10(PO)(OH)は塩基性であるため酸と反応します。これが虫歯ですね。ちなみに弱酸とも反応するのでコーラのような炭酸でも歯は溶けていくそうです。詳しくは歯学部か医学部に進んでください。理学では性質しかやらない(はず・・・)です。
  • かつてはリン酸が洗剤などの一部に入っていました(親水基として)。最近はこれが環境破壊の原因になるとかで使われなくなってきているみたいです(琵琶湖近隣では条例で禁止されているそうです)。ちょっと社会のお勉強でした・・・。
炭素とケイ素
  • 炭素を含む化合物は普通有機化学に含まれるんで、ここではさらっと流していきます。単体は黒鉛(グラファイト)とダイアモンド(和名金剛石)がメジャー(高校実験にダイア使うのがいたら一度お目にかかりたい)ですが、サッカーボール型のフラーレン(C60)というものもあります。ベンゼン溶液にすると紫になるそうですが詳しくは知りません。1985年に発見されているので、日の目を見るようになってからは私よりも若いんですね・・・。ああそうそう、ダイアモンドとグラファイトは巨大分子(共有結合性結晶)燃やせば二酸化炭素になります(ダイアは燃えるより融けるといった感じだそうです)。共有結合性結晶は一般には通電性がありません。これは結合のためお互いの電子が動けなくなるためなんだけど、黒鉛には通電性があります。黒鉛に含まれる炭素は価電子4つのうち3つが正三角形型の結合の手を作ります(sp混成軌道といいます)。この3本をたくさん組み合わせて、平面を作ります。残り1個の電子はこの平面に対して垂直方向に手を伸ばすんですが、黒鉛ではこの1個の電子が金属結合の自由電子の様に原子から離れ分子の中を自由に動き回ります。この電子が電気の運び手となるため黒鉛には通電性が出てきます。これに対して、ダイアモンドの炭素は価電子4つがすべて正四面体頂点方向に結合の手を伸ばすので(sp混成軌道といいます)、自由に動ける電子はありません。だから、通電性もありません。
  • 炭素と水素が共有結合で結びついたものの種類は、はっきり言って無限大。ここであげるのはその形。炭素は基本的に4本の結合の手を持っていて、もし4本がすべて別のものと手をつないでいれば(=共有結合を作れば)正四面体に、二重三重の結合を作れば、結合は平面的になります(そんな単純なもんじゃないけど感覚として)。とにかくここでは炭素の手は4本と覚えといて。
  • 炭素の酸化物は2つ。一酸化炭素と二酸化炭素。一酸化炭素は不安定なイメージが強いけど、実はそんなことありません。反応性は高いですがそれなりに安定状態にあります(少なくとも単品で反応を起こすほどではありません)。製法は有機化合物の不完全燃焼なんてのもあるけど、ギ酸に濃硫酸を加えて加熱したほうが良いと思います。
    HCOOH→HO+CO↑
    一酸化炭素は酸素よりも血液中のヘモグロビンと結合を作りやすいため、人体にとっては猛毒です。まともに吸ったらまず死にますね。医者がいても対処不能です(一酸化中毒で人が死ぬほどの濃度のところに敢えて近づく馬鹿な医者はいないという意味です)。実験室で作るときは発生と同時に燃焼させてさらに風通しもよくしておきましょう。一酸化炭素は強い還元作用を持ち、金属酸化物なんかを還元します。
    CuO+CO→Cu+CO
    これも個人での実験はお勧めしません。
  • 二酸化炭素は一酸化炭素ほど気をつける必要はありませんが、あんまり高濃度にするのはよくないね。頭クラクラするし・・・。石油ストーブ、ガスストーブなどは換気を忘れずに。水に溶けて弱酸性を示し、石灰水を白濁させるが、とおし続けると白濁は消えます(カルシウム参照のこと)。昇華性があり、固体はドライアイスとして冷却用、保冷用に使われる。発生方法は物を燃やすか、炭酸水素ナトリウムを加熱するか、石灰石や大理石に塩酸なり硫酸なりカルボン酸なりをぶっかけてください。
    2NaHCO→NaCO+HO+CO
    CaCO3+2HCl→CaCl+HO+CO
    水上置換でも集められないこともないけど、基本的には下方置換で集めます。
  • ケイ素の単体は半導体の原料など工業的には重要(テンナインといって純度99.9999999%のものまで精製されるらしい)。SiOを炭素還元して得るそうです。
  • ケイ素の化合物は受験ではマイナーですが、工業界や自然界では重要。試験に出るのはSiOで、ガラスの主成分。これはHFに溶けてしまいます。
  • 珪酸にシリカゲル、水晶、メノウ、プリズム、シリコーン樹脂。これらはすべてケイ素がらみ。気が向いたら調べてみて。
気体の発生法・乾燥剤・その他
  • 気体の発生法ですが、上で全部説明してあります。でもまあ、気体の問題はそのまとまりとして出ることが多いんでまとめておこう。分類しとけばいくらか覚えやすいでしょう。
    • 弱酸、弱塩基性の気体(CO,HS,SO,NH)はそれを含む塩から遊離させる。
    • 揮発性の強酸(HCl,HNO)+フッ化水素(HF)は濃硫酸で追い出し(揮発性の酸の追い出し)。
    • 単体(Cl,H)、または酸化力のある酸から発生(NO,NO,SO)する気体は酸化還元反応により発生させる。
    • 分解により発生させるものもある(O,CO)。
  • もっと重要なのは乾燥剤。酸性の気体には酸性か中性の乾燥剤、塩基性の気体には塩基性または中性の乾燥剤、中性気体はなんでもOK。これが基本。
    酸性の乾燥剤中性の乾燥剤塩基性の乾燥剤
    濃硫酸(HSO)
    10酸化4リン(P10)
    塩化カルシウム(CaCl) 生石灰(CaO)
    ソーダ石灰(NaOH+CaO)
    ただしアンモニアに塩化カルシウム、濃硫酸に硫化水素の組み合わせは反応を起こすので使えません(使えないことはないんだけど、受験界では使えないと覚えたほうが妥当です)。
  • 気体の捕集法だけど説明する必要はないね。水に溶けない気体は水上置換で、水に溶けて空気より重い気体は下方置換で、水に溶けて空気より軽い気体は上方置換で集めます。これを少し翻訳しますと、水に溶けない気体=中性の気体となります。よって中性の気体は水上置換で集めれば良いわけです。残りの酸性気体、塩基性気体ですが酸性気体は下方置換で、塩基性気体は上方置換で集めると覚えといてください(ただの偶然で根拠はないんですけど)。ちなみに塩素や二酸化炭素は水上置換でもその気になれば水上置換でも集めることが出来ますが解答には書かないで(実験室ではやってもらって結構です)。
  • さて、最後。気体のキーワードについて。おぼえりゃいいんだけど特有の言いまわしには慣れとこう。
    緑黄色→塩素
    赤褐色→二酸化窒素
    におい刺激臭→塩素、塩化水素、二酸化硫黄、アンモニア、二酸化窒素
    腐卵臭→硫化水素
    水溶液の性質酸性→塩素、塩化水素、二酸化硫黄、硫化水素、ニ酸化窒素、二酸化炭素
    塩基性→アンモニア
    酸化還元酸化性(酸化剤)→塩素、酸素(KIデンプン紙など)
    還元性(還元剤)→水素、硫化水素、二酸化硫黄、一酸化炭素
    検出石灰水白濁→二酸化炭素
    塩化水素で白煙、ネスラー試薬→アンモニア
    酢酸鉛紙黒変→硫化水素
    アンモニアで白煙→塩化水素、臭化水素
    これが全部じゃないけど、これくらい押さえとくと受験の気体は大丈夫でしょう。

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