金属元素

金属元素とは・・・

  • 高校で扱う金属元素は、多いようで少ないです。きちんと分類すれば覚えきれないこともないけど・・・いざやってみるとかなり大変。まあ、必要な分だけしか取り上げませんから。
  • そこで必要な分というのをあげていきます。どれほどか見てみてください。括弧は余り出てこないやつです。
    • アルカリ金属:Li,Na,K,(Rb),(Cs),(Fr)
    • アルカリ土類金属:Ca,(Sr),Ba,(Ra)
    • その他の典型金属:Mg,Al,Zn,(Sn),Pb,(Cd),(Hg)
    • 遷移金属:Fe,Cu,Ag,Ni,Cr,Mn
      たったこんなけでーす。

アルカリ金属

  • 単体は柔らかくナイフで切れます。密度は小さく、融点は低い。ちなみに周期表の下の方に行くほど反応性が大きくなります。ここではナトリウムを例に説明していきますが、他でもほど同じです。
  • 空気中で水分を吸って水酸化物になります。当然水に入れると激しく反応(火を吹く)して水素を発生します。
    2Na+2HO→2NaOH+H
    酸化物より水酸化物のほうが安定。
    NaO+HO→2NaOH
    さらに水酸化物は二酸化炭素を吸着します。
    NaOH+CO→NaHCO もしくは 2NaOH+CO→NaCO+H
    さらに、炭酸塩は強酸を加えると二酸化炭素を発生します。
    NaCO+HSO→NaSO+HO+CO
  • 炭酸水素ナトリウム10水和物は水和水を失い結晶状から粉末状になる。
    NaCO・10HO→NaCO・HO+9H
  • あとは炎色反応。Li:赤、Na:黄、K:紫。Cs,Rbは青っぽい色。この二つはどうでもいいや。
  • 単体のナトリウムは融解塩電解といって、食塩を高熱で溶かしたものを電気分解します。また水酸化ナトリウムは食塩水を隔膜法という方法で電気分解します。時々出てきます。
  • うえの工業的製法も重要だけど、ナトリウムには受験絶対必須の炭酸ナトリウムの工業的製法(ソルベー法・アンモニアソーダ法)があります。まとめると簡単な式になります
    2NaCl+CaCO→CaCl+NaCO
    しかし、ここで重要なのはその手順。大本になる材料は食塩(NaCl)と石灰石(CaCO)で、
    • まず、石灰石を加熱して二酸化炭素と生石灰を得ます。
      CaCO→CaO+CO・・・@
    • 次に生石灰に水をかけて消石灰にします。
      CaO+HO→Ca(OH)・・・A
    • そんでもって、この消石灰で塩化アンモニウムからアンモニアをつくります。
      Ca(OH)+2NHCl→CaCl+2NH+2HO・・・B
    • ここで、飽和食塩水を用意して@の二酸化炭素、Bのアンモニアを吹きこんでやると、炭酸水素ナトリウムが出来ます。
      NaCl+HO+NH+CO→NaHCO+NHCl・・・C
      副生成物の塩化アンモニウムはBで利用します。無駄は無いですね。
    • こうして出来た炭酸水素ナトリウムから炭酸ナトリウムにします。
      2NaHCO→NaCO+HO+CO・・・D
      二酸化炭素もCで再利用します。
  • 一番重要なのはCかな?上手くつくられているでしょう。このプロセス。まとめると上の式になっています。塩化アンモニウムが出てはくるけど、式の中で打ち消されています。だから塩化アンモニウムは追加しなくても大丈夫(のはず)です。

アルカリ土類金属

  • アルカリ土類金属は2族元素のうちBe,Mgを除いたもの。SrとRaはあんまり出てきませんね。性質はわりとアルカリ金属に似ていますが・・・
  • CaFなんて物質があります。螢石といって暗闇で光るそうです。場所が無いんでここで紹介しときます。
  • 単体は金属。価電子2個で2価の陽イオンになりやすい。反応はCa例に見ていきますが、それ以外を出題するのは相当の難関大だけだと思います(炎色反応は別)。
    Ca+2HO→Ca(OH)+H
    イオン化傾向はナトリウムより大きいですが案外おとなしい反応です。
  • 酸化カルシウムは生石灰といって水をかけるとかなりの熱を出して消石灰(水酸化カルシウム)になります。私は基本的に下戸なので詳しくは知りませんが、1カップ酒を熱燗にするのに使うそうです。
    CaO+HO→Ca(OH)
    ちなみに、生石灰は炭酸カルシウム(石灰石)を加熱することにより結構簡単に出来ます。
    CaCO→CaO+CO
  • カルシウムの化合物は水に溶けにくいものが多いです。Ca(OH)は、一応強塩基性を示すといいますが、あまり溶けません。二酸化炭素の検知に使う石灰水は、溶けにくいんだけど消石灰を溶けるだけ溶かした水溶液です。私の小学校では、水に溶け残りが出るまで消石灰を放り込んで上澄みを使っていたみたいです。なんか杜撰な気がするけど・・・それが一般的なのかな?ほんとのところ知っている人は教えてください。
  • 上の続き。小学校の復習です。石灰水に二酸化炭素を通じるとどうなる?言うまでもありません。白濁します。じゃあ、その濁りの正体と反応は・・・名門高校に行っている方なら中学の復習です。
    Ca(OH)+CO→CaCO↓+H
    はい、反応は上の通り、濁りの正体はCaCOです。このように炭酸カルシウムなどのアルカリ土類金属の炭酸塩は水に溶けません(厳密に言うと溶けにくいだけで少しは溶ける)。しかし、このにごった石灰水にさらに二酸化炭素を通しつづけるとどうなるか?
    CaCO+CO+HO⇔Ca(HCO(水溶性)
    となり濁りは消えてしまいます。鍾乳洞はこの反応により成長していきます。
  • 炭酸カルシウム(石灰石)は塩酸なんかの強酸をかけてやると、二酸化炭素が出ています。弱酸の遊離ですね。
    CaCO+2HCl→CaCl+HO+CO
  • 最後、硫酸塩も水に溶けにくいです。CaSO・2HOはゆわゆるセッコウ。焼いてやると水和水が減って粉末状のセッコウになる。追加。硫酸バリウムは胃のレントゲン撮るときのバリウムってやつです。水に溶けないんで飲んでも大丈夫なんですね。
  • 忘れてた!炎色反応。Ca:橙色、Sr:紅、Ba:(黄色がかった)緑、Raは知らない。というより、Raは放射性元素で安定に存在しないみたいです。

その他の典型金属元素

  • 扱いたいのはZnとAlなんだけど、それ以外に覚えることがちょっとあります。そっちから終わらせましょう。
  • 硫酸塩が沈殿するもの:Ba2+,Ca2+,Pb2+,(Sr2+
    これを『馬(Ba)鹿(Ca)な(Pb)硫酸』という語呂で覚えていた人がいました。・・・私か
  • 炎色反応をしますものは上のアルカリ金属、アルカリ土類金属で殆ど出尽くしましたが、Cuの青緑なんてのもあります・・・典型金属じゃないか。いや、バリウムによく似ている色だから・・・
  • どこかでやったと思うけど、両性金属というものがあります。参考書によるとAl,Zn,Sn,Pbの単体、酸化物、水酸化物は酸塩基両方と反応して溶けるそうです・・・うそだー!参考書間違ってるうー!まず、鉛は硫酸に溶けないし、弱酸とも殆ど反応しません。さらに金属単体はアンモニアのような弱塩基には溶けません(酸化物や水酸化物には溶けるものもありますが、強塩基に溶けるのとは仕組みが違います)。溶けるのは水酸化ナトリウムなどの強塩基などに対してということになりますね。
    そうそう語呂があった。『あ(Al)あ(Zn)すん(Sn)なり(Pb)と溶ける両性金属』 すんなり溶けるとは・・・かぎりませんね。
  • なんでマグネシウムがアルカリ土類金属から外れるかというと、他のCa,Baなんかとは性質がかなり異なっているからです。まず、CaやBaは強塩基ですが、Mgは明らかに弱塩基。硫酸塩も水に溶けてしまいます。炎色反応も示しません。酸化物も安定に存在します(水に入れると水酸化物になりますが)。常温の水とも反応しません(沸騰水とは反応する)。
  • ここでMgの性質についてあげていきましょう。Mgは二酸化炭素を還元して酸化マグネシウムになります。
    2Mg+CO→2MgO+C
    塩化マグネシウムには潮解性があります。これがにがりです。ちなみにこれを加熱するとMgCl(OH)になり、潮解性を失います。そーいえば、Mgは胃薬なんかに含まれています。あと、合金(航空機)や花火(閃光をだす)にも使うそうです。
  • Alからいきます。単体は融解塩電解により得られます。電解を受けるのはボーキサイトから得られるアルミナ(Al)。これに氷晶石(NaAlF)を混ぜるんですが、これは不純物をまぜ、融点を下げるためです(凝固点降下)。理由を知っとくといい感じ。
  • 受験で重要なのはやはり水酸化ナトリウム水溶液との反応。両性ですからね。反応するのは金属単体、酸化物、水酸化物。それぞれに塩酸と水酸化ナトリウムに入れたときの反応を見ていこう。
    2Al+6HCl→2AlCl+3H
    2Al+2NaOH+6H2O→2Na[Al(OH)]+3H
    Al+6HCl→2AlCl+3H
    Al+2NaOH+3H2O→2Na[Al(OH)]
    Al(OH)+3HCl→AlCl+3H
    Al(OH)+NaOH→NaOH+3H2O→2Na[Al(OH)]
    どれもアンモニアのような弱酸には溶けません。だからアンモニア水をいくら加えても水酸化アルミニウムの沈殿は溶けません。ちなみに[Al(OH)]は正確にはジアクアテトラヒドロキソアルミン酸イオンといって配位子として水を二つ持ってます。構造は、正八面体、構造式も[Al(OH)(HO)]です。AlOはいくらなんでも横着な気がしますね。
  • あと複塩かな。複数の金属イオンを含む塩でミョウバンAlK(SO・12HOが有名。
  • そのほかでは、テルミット反応と呼ばれるもので、粉末アルミニウムと酸化鉄(V)を混ぜて火をつけますと、
    2Al+Fe→2Fe+Al となって見事な火花を上げます。
    そのほかでは、合金(ジュラルミン、アマルガム)、宝石(ルビー、サファイア)などもあります。
  • Znいきます。単体は酸化鉱物を炭素などで還元して得ます。工業的には合金や電池が有名です。ですが受験では、アルミニウムとの区別が重要。Znも両性金属ですので、単体金属、酸化物、水酸化物は、酸塩基両方に溶けます。
    Zn+2HCl→ZnCl+H
    Zn+2NaOH+2HO→Na[Zn(OH)]+H
    ZnO+2HCl→ZnCl+H
    ZnO+2NaOH+HO→Na[Zn(OH)]
    Zn(OH)+2HCl→ZnCl+2H
    Zn(OH)+2NaOH→Na[Zn(OH)]
    これは水酸化ナトリウムのような強塩基に加えたときの話で、これとは別にもう1個重要なのがあります。まず、硫酸亜鉛や、硝酸亜鉛などを水に溶かし、Zn2+を含む水溶液を作ります。これにアンモニア水を加えていきます。するとアンモニアから生じるOHにより
    Zn2++2OH→Zn(OH)
    より水に溶けない水酸化亜鉛の沈殿が出来ますが、さらにアンモニア水を加えていくと
    Zn(OH)+4NH→[Zn(NH)]2++2OH
    こんな感じに[Zn(NH)]2+(テトラアンミン亜鉛(U)イオン)ができます。これは水溶性なため、アンモニア水を加えていくといったんできた沈殿がとけてしまいます。アルミニウムの場合アンモニア水を加えていっても沈殿が溶けることはありません。ちなみに水酸化ナトリウムを加えていくと両方とけてしまいます。
  • 亜鉛の化合物で重要そうなのは・・・あんまり知りません。絵の具に使うZnO(ジンクホワイト)や、蛍光塗料に使うZnSなんかかな。教科書には、硫酸亜鉛7水和物には風解性があるとか塩化亜鉛が電池に使われるとかあったけど・・・。
  • Sn、Pb、Cd、Hgも遷移金属でしたね。
    • スズは両性金属でイオンは2価と4価があります(4価のほうが安定)。−30℃くらいまで冷やすと同素体のβスズになります。
    • 鉛も両性金属。イオンには2価と4価があるけどこちらは2価のほうが安定。硫酸鉛(U),塩酸鉛(U)は水に溶けにくいため、硫酸、塩酸には殆ど溶けません。でも塩化鉛(U)はお湯には溶けます。これらの塩を得るには酸化物を溶かします。
    • カドミウムは出てくるとすればCdSとして。これはカドミウムイエローとして絵の具などに使われます。あとは、ニカド電池。
    • 水銀は塩化物。塩化水銀(T)は水に不溶で、かつては甘コウと呼ばれ下剤として使われていました。塩化水銀(U)は水に溶けます。昇コウと呼ばれ猛毒です。

遷移金属

  • 遷移金属は複数の酸化数を取るものが多く、それぞれの価数により同じ元素でも異なる性質を示します。鉄、銅が最もよく出てきて、次いで、銀、ニッケル、マンガン、、クロム、金、白金といった感じかな。ただ、マンガン、クロムは酸化還元反の方で嫌というほど出てきますのでここでは性質を押さえておくにとどめておきます。
  • 鉄は2価と3価のイオンを持ち、区別が結構厄介。おもに扱われるのは3価のイオンで、2価のイオンは空気中では3価に酸化されます。マイナーな2価からいきますと、Fe2+は青っぽい色して、鉄に硫酸などをかけるとまずこちらのイオンになるみたいです。3価のイオンは赤黄色く、2価よりは水になじみにくいそうです。これらのイオンを区別する方法としてつぎのようなものがあります。
    水酸化ナトリウム
    NaOH
    ヘキサシアノ
    鉄(U)酸カリウム
    [Fe(CN)]
    ヘキサシアノ
    鉄(V)酸カリウム
    [Fe(CN)]
    チオシサン酸
    カリウム
    KSCN
    硫化水素
    (塩基性)
    鉄(U)イオン
    薄緑青
    水酸化鉄(U)
    緑白色沈殿
    青色沈殿
    濃青色沈殿
    (ターンブルブルー)
    変化なし
    硫化鉄(U)
    黒色沈殿
    鉄(V)イオン
    赤黄色
    水酸化鉄(V)
    赤褐色沈殿
    濃青色沈殿
    褐色溶液
    赤血色溶液
    硫化鉄(U)
    黒色沈殿
    これは写真や実物を見たほうがはっきりしますね。とにかく2価と3価では全くの別物。とはいうものの同じ鉄だから結構簡単に2価と3価をいれかえることができます。2価を3価にするときは過酸化水素水、3価を2価にするときは硫化水素がいいですね。ぜひこの実験はやってみたいです。
  • 当然鉄の酸化物にはFeOとFeがありますが、このほかにFe(四酸化三鉄)というものもあります。これはハーバーボッシュ方の触媒ですね。
  • 鉄の化合物はこれといって見当たらないね。上の酸化物くらいかな。強いてあげるならFeCl・6HOで、潮解性があることくらい。おまけとして、ヘキサシアの鉄(U)カリウムは黄血塩といってこれを原料としてHCN(青酸)を作るそうです(詳しくは知りません)。
  • 鉄はむしろ単体。不動態を生成する金属ですので、酸化力のある酸には溶けません。しかし希硝酸は酸化力のある酸ですが酸としての性質が優先されるので溶けてしまいます。不動態になった鉄は熱希塩酸に溶けます。単体の精製法ですが、FeSや酸化鉄各種を炭素や水素などで還元するそうです。
  • さて銅ですか。銅の単体は天然からも産出しますが、多くは黄銅鉱(CuFeS2)と得られ、これを還元し金属銅にします。高純度の銅は電解精錬により得ます。展性・延性が大きく熱伝導性・電気伝導性も非常に大きい(つまり電気抵抗と比熱が小さい)ので、電線などに広く利用されています。青銅器など昔からメジャーな金属だった様です。金属銅は水素よりもイオン化傾向が小さいので塩酸など普通の酸には溶けません。知ってのとおり酸化力のある酸には溶けます。
  • 銅は1価と2価の酸化数を取りますが普通出てくるのは2価のほう。銅イオンというとCu2+って感じ。1価の酸化物CuOを作るには、1000℃以上の高温で銅を酸化するか、Cu2+をアルデヒド還元してやります(フェ−リング反応)。フェ−リング反応で上手く酸化銅(T)を作ると真っ赤な綺麗な粉末が得られるそうですが、だいたい赤褐色になって終わりです。
  • 2価イオンのほうはいろいろあります。酸化物CuOは黒。十円玉が錆びて汚くなるやつです。このCuOは塩基性酸化物で普通の酸にも溶けます。
    CuO+2HCl→CuCl+H
    つまり錆びて黒くなった十円玉を酸を含むソースやお酢などに浸けておくとCuOだけは溶けてCuは残るためピカピカになります(変造硬貨になるので使わないほうがいいと思います)。
    水酸化物Cu(OH)は、青白色で水には溶けません。加熱によりCuOになります。でもCu(OH)はアンモニア水に溶けてしまいます。つまり硫酸銅(U)水溶液などCu2+を含む水溶液にアンモニアを加えていくと
    Cu2++2OH→Cu(OH)
    となり青白い沈殿ができますが、さらにアンモニア水を加えていくと
    Cu(OH)+4NH→[Cu(NH)]2++2OH
    こうして、沈殿は溶けます。でも水酸化ナトリウム水溶液を加えていったとしても沈殿は溶けません。この[Cu(NH)]2+(テトラアンミン銅(U)イオン)は見事な深青色です(私は『濃青色』と『深青色』の区別はつきませんでした)。
    硫化鉄(U)はイオン積が小さいためCu2+を含む水溶液に硫化水素を通すと、酸性条件でも沈殿を生じます(黒色沈殿)。CuSを溶かすには加熱した硝酸を使います。常温硝酸では殆ど溶けませんでした。空気中でCuSほっとくと少しずつ酸化が進み硫酸銅(U)になっていきます。余裕があったら覚えましょう。
    硫酸銅(U)CuSOは、白色粉末ですが、この水溶液から再結晶を行うと5水和物となって出てきます(CuSO・5HO)。これは青色結晶なので、これを利用して水の検出をしたりします(乾燥させていくと水和水は5→3→1→0と減っていきます)。
    銅には炎色反応があって青緑色。ホント綺麗な色が観察できます。カリウムの炎色反応を見るのに使うコバルトガラスを通すと青紫に見えるそうです。
    あとは緑青(ロクショウ)も銅の化合物。合金としては白銅(Cu+Ni)や黄銅(Cu+Zn)などがあります。
  • 銀もよく出てきます。熱伝導、電気伝導性は極めてよく、イオン化傾向も小さい(普通の酸には溶けない)が、酸化力のある酸には溶ける(希硝酸には微妙なところ)。天然には単体で存在するものの他、輝銀鉱(AgS)としても存在します。単体銀は硫黄に対して親和性があり硫化水素と酸素によって、硫化銀に酸化されます。
    4Ag+2HO+O→2AgS+2H
    ちなみに銀イオンAgは毒性がありますが、金属銀は反応性に乏しいため食器に利用されます。ゴーセーなフランス料理なんかの魚料理用のナイフは銀でできているそうです。貧乏庶民の私には縁のない話ですね。ハハハ。
  • 銀化合物は数そのものが少ない(反応性が低いから)けど、硝酸銀なんかはメジャーだね。珍しく水溶性です(っていうか硝酸塩はなんでもみずに溶けるけど)。塩化物イオンがあると即沈殿を起こすんで、クロム酸カリウムなんかを指示薬に滴定したりもします(クロム酸銀は赤褐色)。水に溶けるといえばフッ化銀も溶けますね。ハロゲン化銀で唯一です。
  • 塩化銀や酸化銀は、アンモニア水やチオ硫酸(ハイポ)などに溶けます(金属銀はムリです)。錯イオンですね。
    AgO+4NH+HO→2[Ag(NH)]+2OH
    ちなみに水酸化銀AgOHは非常に不安定で即座に酸化銀になってしまいます。あと、ハロゲン化銀(臭化銀)は光を受けると金属銀に戻ります(写真など)。
  • ニッケルは不動態を作る金属。出てくるとすればこれだけでしょう。酸化数は+Uで、イオンは緑。塩化ニッケルなんかは結構きれいです。
  • マンガン・クロムはおもに過マンガン酸カリウム、ニクロム酸カリウムとしてでてきます。どちらも硫酸酸性下で無茶苦茶強力な酸化剤になります(殆ど無差別攻撃)。ただ中性塩基性下で酸化力を調整したりします(あんまり上手くいかない)。あと、酸化数によって色がころころ変わるんで資料で見てみましょう。
  • 金と白金ですが、こいつらは酸化力のある酸に入れようが、電気分解しようがまずイオンになりません。ただ、こいつらを溶かす究極の酸が存在します。王水といって濃塩酸と濃硝酸を3:1の割合で混ぜたものです。金を溶かすとHAuCl・4HOの黄色の溶液に、白金を溶かすとHPtCl・4HOのオレンジ色(橙色)の溶液になります。
  • コバルトも遷移金属でしたね。水分(湿気)の検出に使う塩化コバルト(U)がメジャーなところ。でも大学へ行くと錯体がらみでよく見かけます。
錯体・ルイス酸・ルイス塩基
  • ここまでさも当然のように扱ってきましたが、ここできちんと錯体について考えてみましょう。まず錯体という言葉に馴染がないかも知れませんね(知らないのが普通ですけど・・・)。錯体は広く言えば『配位結合』を含む化合物(やイオン)です。高校で配位結合というとアンモニウムイオンとオキソニウムとなりますが、錯体の例としては最悪ですね。残念ですけど。つー訳でここでは高校の配位結合はちょっと忘れてください。
  • まず必要な知識から。非共有電子対は大丈夫ですね。あとは・・・電子軌道か・・・。一番はじめに電子殻というのをやりましたね。内側からK殻、L殻、M殻となるやつです。この殻を詳しく調べていくとそれぞれの核にある電子はさらに分けることが出来ます。この分類が電子軌道です。我ながら訳の分からん説明ですね(^_^;;;)。通常この電子軌道に電子が対になって入っているんです。この電子の対が電子対で、もし共有結合でお互いから1つずつ電子を出して対を作り共有結合特有の軌道に入ると、共有結合が成立します。しかし原子の状態によってはこの軌道が空の状態で持っているものがあります(水素イオンが分かりやすいでしょう。水素原子特有の軌道は存在しますが電子はありませんね)。金属陽イオンはこの『空の軌道』を持っている場合が多いんですが、この空の軌道にアンモニア分子のように非共有電子対を持つ分子が近づくと、非共有電子対を空の電子軌道にほうり込んであたかもそこに共有結合があるように振舞うことがあります。これが配位結合で、これを持つ物質が錯体になるわけです。
  • ちょっと長くなったんで、ひとまず改行。さて、高校では錯体のうち錯イオンが範囲になります(多分・・・)がこの錯イオンの中心にきている金属を中心金属、周りを取り囲んでいるアンモニアや水、水酸化物イオンなんかを配位子と呼び、金属イオンは取れる配位子の数を配位数といいます(同一のイオンでは普通配位子に関係なく同じ配位数になる)。さらにこれらはそれぞれ立体構造を持っていて形が問題になることもあります。まあ形で分類して覚えるのが一番簡単そうなんで表を作ってみましょうか。
    形(配位数)金属イオン錯イオン名称
    直線型(配位数2)Ag[Ag(NH)]ジアンミン銀(T)イオン無色
    [Ag(CN)]ジシアノ銀(T)酸イオン無色
    正方形(配位数4)Cu2+[Cu(NH)]2+テトラアンミン銅(U)イオン深青色
    [Cu(HO)]2+テトラアクア銅(U)イオン青色
    Al3+[Al(OH)]テトラヒドロキソアルミン酸(V)イオン無色
    正四面体(配位数4)Zn2+[Zn(NH)]2+テトラアンミン亜鉛(U)イオン無色
    [Zn(OH)]2−テトラヒドロキソ亜鉛(U)酸イオン無色
    [Zn(CN)]2−テトラシアノ亜鉛(U)酸イオン無色
    正八面体(配位数6)Fe3+[Fe(CN)]3−ヘキサシアノ鉄(V)酸イオン黄色
    Fe2+[Fe(CN)]4−ヘキサシアノ鉄(U)酸イオン淡黄色
    Cr3+[Cr(NH)]3+ヘキサアンミンクロム(V)イオン黄色
    Co3+[Co(NH)]3+ヘキサアンミンコバルト(V)イオン橙色
    Ni2+[Ni(NH)]2+ヘキサアンミンニッケル(V)イオン青紫色
    *[Al(OH)]はHOが2つ配位していて八面体になってます。
    *色も重要になることがあります。
  • さて、タイトルにあげたルイス酸・ルイス塩基について説明しましょう。大学の範囲なんでシカトしてもいいですよ。えーと、大学のテキストでは『(配位結合において)からの軌道を与える物質を(ルイス)酸、共有電子対を与える物質を(ルイス)塩基と呼ぶ』と書いてあるみたいです( ̄. ̄;)。なんだかな〜わざわざ難しくしてる気がする・・・。まあ殆どの場合、中心金属がルイス酸、配位子がルイス塩基になります。なんつーか、普通(ブレンステッド)の酸・塩基と関係ない感じね。まあ、こうゆうふうに呼ぶんだよってことかな。
  • ルイスの酸・塩基にはHSAB則なんてものがありまして、普通、『硬い酸塩基・柔らかい酸塩基則』なんて言うみたいです。ルイス酸塩基には硬さが決まっていて、『硬い酸は硬い塩基と、柔らかい酸は柔らかい塩基と塩(ここでは錯体のこと)を作る(作りやすい)』というものなんですけど、肝心の酸塩基の硬さはわりとアバウトな感じがしますね(正確にはちゃんとした式があるんですけど)。電子が少なく形の変わりにくい酸塩基が硬く、電子が多く形の変わりやすい酸塩基が柔らかいそうです。
金属陽イオンの定性分析
  • ついに来たゾー、定性分析。これこそ高校実験の最高(?)の実験。先生に頼んで是非やってください。下手すると4時間くらいかかって、アンモニアと硫化水素で目と鼻がいかれてしまいます。楽しいですよ〜
  • とは言ってみたけど、改めて教えることなんかないんだけど・・・。化学に自信があるならレジメに飛んで自力で頑張ってみましょう。
  • まず、分析する試薬について。高校の範囲ではAg,Pb2+,Cu2+,Fe3+,Al3+,Zn2+,Ca2+,Na,Kですね。これらの硝酸塩を蒸留水に溶かします。硝酸塩はその殆どが水溶性なんで、『〜を含む水溶液』というときはまず硝酸塩ですね。他の陰イオンのせいで試薬が沈殿起こしていたら洒落になりません。
  • この試薬にいろいろと薬品を加え沈殿させ、濾過して分離してやります。コツとしては沈殿を起こしにくいものから順に加えるってことかな。
    1. 試薬にHClaqを加える。Ag,Pb2+はそれぞれAgCl,PbClになり沈殿。沈殿にアンモニア水を加えAgClを溶かす。Agの確認はクロム酸カリウムで赤褐色の沈殿。Pb2+もクロム酸カリウムで黄色沈殿(PbClは硝酸に溶かす)。
    2. ろ液が酸性であること確認し硫化水素を通じる。Cu2+はCuSになり沈殿。この沈殿は熱硝酸に溶かしてアンモニア水を加えれば深青色になりCu2+が確認できる。これによりFe3+があるとFe2+に還元されるため(色見れば分かるけど確認するならヘキサシアノ鉄(V)酸カリウム)加熱して硫化水素を追い出し、硝酸加えてFe3+にしときましょう(なくても硫化水素はきちんと追い出し。酢酸鉛(U)紙で確認)。
    3. 硫化水素を追い出した試薬に十分量のアンモニア水を加え、Fe(OH),Al(OH)として沈殿させる(塩基性でもZn2+はアンモニア錯体になって溶けます)。沈殿の分離はNaOHaqでOK。アルミは両性金属だよね。
    4. 塩基性の試薬に硫化水素を通すか、硫化アンモニウムを加えZnSとして沈殿させる。・・・あれっ、これだけか。
    5. この試薬に硫酸を加えCaSOを沈殿させる。Ca2+はCO2+でも沈殿を起こすので炭酸アンモニウムでも大丈夫。沈殿しにくいときはエタノールで溶解度を下げてやろう。
    6. Na,Kは炎色反応。アルカリ金属はまともな方法では沈殿させられないんです。白金線でもいいけど、エタノール加えて火つけるのが結構お勧めです。
  • この手順1〜6で分離できるイオンをそれぞれ、1〜6属といいます。ただの言葉です。

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