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アルコール・脱離反応・エーテル
アルコール(alcohols)
- アルコールは-OH(ヒドロキシル基・水酸基)をもつ化合物です。アルキルハライド(ハロゲン化アルキル)同様、基本的には他に官能基を持たないアルコールを例にしていきます。当然、一つの炭素にC=OとC−OHを持つ官能基・カルボン酸はアルコールには含めません。
- 物理的特徴は『極性分子であること』に起因するものがほとんど。まず、沸点がアルカンなどに比べると圧倒的に高い。メタンやエタンは常温で思いっきり気体ですが、分子量の最も小さいアルコールのメタノールは常温で液体です。当然水素結合をきるのにかなりのエネルギーが必要だからです。
- また、アルカンに比べ水に混ざりやすく、エタノールなどは任意の割合で混ざります。おかげで水割りが楽しめるわけですね。
- 実験室では水を溶媒とするときの『貧溶媒』として見かけますな。例えば水に砂糖を溶けるだけ溶かして、そこに度数の高いお酒をちょっと加えてやると、溶媒全体として溶解度が下がり砂糖が析出してきます。再結晶のときなんかに応用します。ちなみに溶解度を下げると不純物の溶解度も下がり結局一生に出てきたなんてこともありますが。
- おまけです。水50mlにエタノール50mlを混ぜると、体積はいくらになるでしょう?ここで、自信満々に100ml!と答える素直さが欲しいところですが、そうはいきません。実際は96ml程度でちょっと体積が減ってしまいます。これは、水が極めて強い水素結合のネットワークによりいくつかの分子がまとまってい存在していく中にエタノールの分子が入り込むため起きるんです。こんなふうにものを溶媒、特に水などの極性溶媒に溶かすと体積は減る傾向にあります。ですから分析化学では決められた濃度の溶液を作るときには、あらかじめ溶質を測っておいて、必要量より少ない溶媒に溶かしてからメスフラスコに移し、溶かしたビーカーを溶媒で洗いその洗液を加えた後、溶媒を加えて標線に合わせるんでしたよね。
- アルコールの作り方ですが、ハロゲン化アルキルを水酸化ナトリウムなどで加水分解すれば得られます。
R−Cl + NaOH → R−OH +NaCl
原料が何級かによってSN1,SN2のいずれかの反応が進行し、場合によっては転移などが起こるのは先に述べたとおり。でも、ハロゲン化アルキルをアルコールからつくることがあっても、ハロゲン化アルキルからアルコールをつくることはまずありません。対応するハロゲン化アルキルのほうがたぶん高いです。
- じゃあ、どうやって作るかというと、多くはアルケンに水を付加さて作ります。
CH2=CH2 + H2O → CH3CH2−OH
これは酸を触媒として起こる反応なんで、硫酸と一緒に煮てやればOKです(エチレンは気体ですが)。
でも残念なことに、この反応にはちょっとした欠点があります。例えばプロペンCH2=CH−CH3をこの反応に使うと
CH2=CH−CH3 + H2O → CH3-CH2-CH2-OH + CH3-CH(OH)-CH3
とまあ、2種類のアルコールができる可能性があるわけです。ちなみにこの場合、2級アルコールのCH3-CH(OH)-CH3が主生成物になります。一般にアルケンにHを含む何か付加させる場合(例えば、水、ハロゲン化水素)、生成物はより級の高い物ができる、つまり、2重結合のうち水素の多いほうに水素が、水素の少ない方にそれ以外のものが付加する傾向があります。これをマルコフニコフ(Markovnikov)則といいますが、こんなのをダイレクトにテストに出したら、全員正解してしまいます。出題されるなら、まず理由でしょう。さらに、一般則があるのなら、それに逆らう合成法はねらい目です。
- まず、ペンテンの酸触媒水付加です。二重結合は電子過多の官能基なので、電子不足のプロトンH+に攻撃を仕掛けます。当然、2種類のカルボカチオンができるわけですが、ここでもより安定な2級カルボカチオンが生成します。これに水が付加し、プロトンが抜けて2-プロパノールができてきます。

当然カチオンができているので転移の可能性があります。
- では、1-プロパノールはどうつくのでしょうか?実は便利な試薬があります。ジボラン(B2H6)といって、これを反応させた後、過酸化水素で処理すると得られます。

アルケンの付加反応でもう一度紹介しますね。
- 実験室ではケトンにやアルデヒドにグリニャード試薬を反応させることで、炭素−炭素結合を形成しながらアルコールを誘導します。むしろ骨格形成に有用な反応ですね。

- また、ケトンやアルデヒドからはリチウムアルミニウムハイドライド(LiAlH4)か、ソディウムボロンハイドライド(NaBH4)で直に還元しアルコールにすることができます。

反応性はLiAlH4の方が高く、エステルやアミドなども還元しアルコールにしますが、NaBH4はケトンとカルボン酸をアルコールにするのみです。でも、有機系の先輩曰く『とりあえず還元はLiAlH4』だそうです。
あと、これらの試薬は2重結合を還元して壊すことはありません。これはある意味すばらしいメリットです。反応試薬は無差別攻撃より選択的攻撃の方が便利なんですね。
- 他には、エステルの加水分解でもアルコールが出てきます。もっともエステルは普通、アルコールとカルボン酸からつくため普通やりません。時々ですがカルボン酸を得るためにエステルを分解するためでしょうけど、『出てきてしまう』といった感じがするのは私だけでしょうか。
- アルコールの絡んだ反応ですが、まずアルコキシドをやってみましょう。例えばエタノールに金属ナトリウムを直で加えます。
2CH3CH2OH + 2Na → 2CH3CH2ONa + H2
高校ではまあ、準メジャーくらいのナトエイウムエトキシドができます。金属ナトリウムというとヤバ気なイメージが強いですが、反応は案外大人しく進行し水素ガスを発生します。高校の参考書ではこれでエーテルとアルコールを区別するのに使うと書いてありますが、これほど有用な反応試薬を持ってきて『アルコールの判別法です』は勘弁してくれって感じです。
- まず、ナトリウムエトキシドは、水酸化ナトリウムを超える強力な塩基です。よって、水と反応して水酸化ナトリウムを発生します。
CH3CH2ONa + H2O → CH3CH2−OH + NaOH
当然含水溶媒は使えません。そんなわけで、アルコールは水溶液では酸塩基反応に関与できません。
- ナトリウムアルコキシドから生じるアルコキシドイオンはそれ自身が極めて不安定なので優れた求核試薬となります。一般に塩基性の強い物質ほど優れた求核試薬になります。ハロゲン化アルキルに作用させてエテールにしたり、C−O−C結合形成にはもってこいです。
CH3CH2ONa + CH3CH2Br → CH3CH2−O−CH2CH3 +NaBr
機構はSN1またはSN2、条件によっては脱離優先の場合もあります。
- 上は、アルコールがHを放出、つまり酸として働くパターンでしたが、アルコールは酸性条件下でプロトンを受け取り、水を脱離基として使うこともできます。一番メジャーなのはアルコールからアルキルハライドを作る反応です。

この反応で、脱水剤の硫酸を混ぜて加熱すると1級カルボカチオンが生成し、転移が生じるのは求核置換で紹介した通りです。
この反応は水が混じっているとうまくいきません。Br-のようなハロゲン化物イオンはあまりよい求核試薬ではないので、出てくる水を脱水剤で系から取り除き平衡を生成物がわに寄せるなどの工夫が必要になってきます。
- そんなわけで実験室では塩化チオニル(SOCl2)などの塩素化試薬で塩素化してやるのが一般的です。

最後の置換反応は分子内置換機構らしく、立体を保持したまま塩素化できるそうです。
- 似たような試薬にトリブロモホスフォリン(PBr3)やヘキサブロモホスフォリン(PBr5)なんてのもあります。この辺の使い分けは、副生成物が分離しやすいように組み合わせるのが基本だそうです。
- 脱離基として有名なトシル基もアルコールから誘導します。例えばR-ClからR-Tを誘導する場合、塩化物イオンはヨウ化物イオンより求核性が高いのでヨウ化水素を混ぜただけではうまく反応が進みません。そこで、いったんトシルに誘導しヨウ化ナトリウムなどで置換してやります。

脱離基を作るときにはピリジンという塩基性の溶媒を使います。発生するHClをトラップ(捕らえて)して反応を促進します。
- ちなみにヨウ化物を誘導するにはトシル基に持っていく必要はないんです。塩化アルキルとヨウ化ナトリウムをアセトンに溶かして加熱すれば置換できます。ヨウ化ナトリウムはアセトンに溶けるんですが、ヨウ化アルキルと同時できる塩化ナトリウムがアセトンにほとんど溶けないため、結晶として反応系から取り除かれるため平衡が生成物がわに寄ってきます。またCl-の濃度がほとんど0なので、結局求核試薬がI-しかなくなり反応がうまくいくわけです。
- アルコールは酸性条件では酸素にプロトンが付加して脱離基として機能します。

このあとは当然、求核置換反応をうけたり、脱離が起きたりしますが、酸性条件を濃硫酸によって起こすと水が脱離しやすく、カルボカチオン中間体が生成し転移の可能性がでてきます。

- 硫酸の脱水性を利用すると、エーテルやアルケンを作ることができます。
まずはエーテルですが
2R-OH → R-O-R + H2O
って感じで、分子間の脱水です。機構は言うまでもありません。アルコールが求核試薬として働くだけです。

当然異なる2種のアルコールを混ぜてこんな反応をやろうとすると、
R1-OH + R2-OH → R1OR2 + R1OR1 +R2OR2
と、いろんなエーテルが混じって出てきてまともに使えません。この反応だけのことではありませんが、同じものが2つくっついてできる反応は、一般に2種の異なるものを混ぜてもいろいろな化合物の混合物になりまともに使えません。さらに、何らかの方法で異なる2種から反応を行うことを交差反応と呼びます。
- アルケンは脱離反応からできてきます。

エタノールからエタンを作る場合、何の問題もありませんが、脱離する水素が複数ある場合どちらが抜けるかが問題になります。-OHのついている炭素の両側の炭素両方にHがある場合、普通はより水素の少ない炭素から水素が抜けます。これをザイツェフ(Saytzeff)則といいます。まあ、あとの脱離反応でやりましょう。
- 上の2つはいずれも硫酸加えて煮てやれば(還流してやれば)できるんですが、じゃあ、どうやって作り分けるか?
これは、温度によって区別でき、エタノールの場合、130〜140℃でエーテルが、160℃程度でアルケンができてくるそうですが、参考書なんかで低温でエーテル、高温でアルケンなんて書いてありますが、温度を入れてくれ。頼むから。
- さて、アルコールの反応で重要なのに過マンガン酸カリウムやニクロム酸カリウムによる酸化があります。これらは酸性条件で強力な酸化剤で、他に官能基があるとそれらを潰してしまします。まあ、その辺のことは考えないものとして話をすすめます。生成物は原料のアルコールによってきまってきます。

1級アルコールはアルデヒドを経由して酸化されますが、アルデヒドで反応を止めるのは難しく(って言うか過マンガン酸カリウムではほとんど不可能)、カルボン酸まで行ってしまいます。高校の段階でまともにアルデヒドでとめる方法は、加熱酸化銅による酸化、あるいは中性塩基性条件下で過マンガン酸カリウムで何とかとめるって感じですか。大学レベルならPCCなんて試薬で結構うまくいきますが。
- 当然ですが、ケトンだろうがカルボン酸だろうが3級アルコールだろうが、思いっきり加熱してやれば全部酸化されます。早い話燃えます。
- 高校の範囲でアルコールの重要な反応としてエステル化があります。詳しくはカルボン酸のところに持っていきますが、まあ、簡単に機構だけ説明していきましょう。
- エステルはカルボン酸とアルコールを混ぜて硫酸触媒で還流すれば得られます。
R1COOH + R2OH → R1COOR2 +H2O
この反応は酸触媒で進行する可逆反応ですから、硫酸は触媒と同時に脱水剤として働き平衡を右に寄せる働きをします。
- さらに注意して欲しいのは、発生する水の酸素は普通カルボン酸由来です。上に示した式で色分けしたのはそのためです。これは放射性同位元素の18Oを使って証明されているんですが、これから以下のような機構が説明されるそうです。

カルボン酸の2個の酸素は等価なのでどっちの酸素が水として抜けるのか判断できませんけど。
- さっきも書いたけど、この反応は可逆反応なので、水が加わればカルボン酸とアルコールに分解されます。つまり、エステルは硫酸水溶液で煮てやればカルボン酸とアルコールに加水分解されます。また、エステルは塩基で煮てやっても分解されてカルボン酸塩とアルコールができてきます。この加水分解は特にケン化と呼ばれますが、エステル化は塩基では進行しないため、酸による加水分解より有効だったりしますね。まあ、塩基にデリケートな官能基がなければの話ですが。詳しくはカルボン酸で。
脱離反応(elimination reaction)
- 脱離反応は求核置換反応の競争反応です。つまり、求核置換反応の起こる条件なら脱離反応も起こりうるわけです。求核置換反応にSN2とSN1があるのと同時に脱離反応もE1反応とE2反応があります。
- まず、E2反応ですが、SN2反応の競争反応なので、SN2が起きそうな条件をもっていけばいいんです。例えば、ハロゲン化アルキルにナトリムアルコキシドを混ぜてやります。ちょっと事情があって3級の(SN2反応の起きにくい)2-bromo-2-methylbutaneにナトリウムエトキシドを混ぜてやります。

とまあ、ハロゲンのついている炭素の隣の炭素についている水素に、強力な塩基でタカりハロゲン化水素を抜いていきます。つまりE2反応を起こすにはアルキルの水素にも攻撃できる強力な塩基をしかけてやればいいわけです。もっとも、強力な塩基は普通有用な求核試薬なんですが・・・。
- 上の反応では塩基の攻撃するは2種類あります。普通、このように攻撃をうける水素が複数ある場合、水素の少ない炭素についている水素が優先的に抜ける方が主生成物になります。これをザイツェフ(Saytzeff)則といいます。これは生成物の安定性によるものだそうです。
ただし、この選択性ははっきり言ってよくありません。上の反応の場合、およそ7:3で生成が必要です。さらに、3級アルコールから誘導されるナトリウムt-ブチルアルコキシドのように、かさ高い塩基を用いると立体的に込み合っている水素に攻撃がいきにくくなり2重結合に多くの水素がついた物質ができてきます。これをホフマン脱離といいます。
また、かさ高い塩基は求核試薬としては立体阻害から炭素に攻撃しにくいので、脱離を優先することになります。
- E2反応とSN2についてまとめておくと、使用する塩基がかさ高く、アルコールの級数が高いほど、E2反応が優先するってことです。ついでに反応温度が高いほどE2反応が優先するそうですが、それでも選択性はいまいちな気がします。
- E2反応の機構にちょっと補足を入れておきます。E2反応は脱離する水素と脱離基がアンチ、つまり、炭素-炭素結合をはさんで反対側にいるときに起こります。あとで紹介しますが2重結合は単結合と違い回転しないため、立体異性体ができてきます。光学活性種を脱離する場合、注意が必要ですね。

さらにこんな問題もでてきます。

これは、Brに対して水素がどの位置にいるかが問題になっています(t-ブチル基により反転は阻害されています)。

- E1反応に移ります。っといっても何もやることはありません。SN1反応同様の反応条件で、求核試薬のない状態にすれば反応はおきます。ハロゲン化アルキルならルイス酸、アルコールなら脱水剤といった具合に脱離を促進する試薬を使ってくださいね。
- E1反応の脱離はザイツェフ則に従います。とは言うものの、中間体でカルボカチオンができるため転移が起きた後に脱離が完了します。

エーテル(ethers)
- エーテルはR-O-Rの構造、つまり、酸素の両端をアルキル鎖で挟んだ構造を持つ化合物です。組成式はアルコールと同じですが、水素結合の強い-OH基がないため分子間の相互作用は弱く、沸点・融点はあまり高くなりません。また、-OH由来のアルコール的反応が起きないため、エーテル類は有機溶剤として広く使われます。
- 特徴としては、蒸気に催眠性があり、さらにその蒸気に爆発性があるそうです。昔はこの爆発性により片目を失うという事故が頻発したそうです。ただ、エーテルには相当強いにおいがあるため、そうなる前に気がつきそうなものですが。まあ学者という生き物は一つのことに集中しだすとほかの事への注意力が皆無になる傾向がつよいんで、学者肌な方は気をつけてください。
- エーテルの合成はアルコールで紹介したように、アルコールを求核置換反応により分子間で脱水すればできます。

同一分子による縮合、つまり交差反応なので、この方法では左右のアルキル鎖の異なるエーテルを作る反応は実用的ではありません。ちなみに一方が3級アルコールならば脱離がするのが3級アルコール優先になるのでまあまあの収率で得られます。
- それ以外のエーテルは攻撃する側と、攻撃される側を決めてやればできますね。つまり、脱離基を持つものにナトリウムアルコキシドでアタックを仕掛ければいいわけです。
R1ONa + R2Br → R1-O-R2 +NaBr
いいかげん書きあきたんでさらっと流しますが、機構はアルコールの級数によってSN1かSN2反応、副反応のE1、E2脱離反応が進行することもあります。
- しつこいですが、エーテルはアルコールに比べ反応性が低いです。酸・塩基ともに基本的には反応しないと覚えた方が良いでしょう。アルコールと違って金属ナトリウムとも反応しません。
まあ、非常に高濃度の臭素酸などで煮込んでやれば分解できますが、そんなことしないでください。

できたアルコールが臭素化されないような条件下ではまず分解も起きません。途中で反応を止めるのも無理でしょう。
- 反応性こそ低いのですが、エーテルの扱いには十分に注意が必要です。その蒸気に爆発性があるのは当然なのですが、エーテルは空気中の酸素により自然酸化を受け、過酸化エーテルと呼ばれるさらに爆発性の高い酸化物に変わっていきます。例えば、一度封を切ったエーテルを精製しようと蒸留を仕掛けたりすると、加熱により過酸化エーテルが爆発し、おそらくガラス器具は粉々に吹っ飛んでしまうでしょう。市販のエーテルには自然酸化を防ぐスタビライザーが含まれていますが、それでもエーテル類は封を切ったらできるだけ早く使い切った方が良いでしょう。
- エーテルには全体が環となっている環状エーテルが存在します。溶媒として有名なTHF(テトラヒドロフラン)などがそれにあたります。

- 扱いや基本的な性質は普通のエーテルと同様ですが、3員環エーテルのエポキシドあるいはオキシランと呼ばれる化学種はひずみにより不安定で様々な反応に利用されます。これらはエーテルの仲間ですが、反応性が大きく異なるため、あとに紹介します。
エポキシド(オキシラン)
- 3員環エーテル化合物をエポキシドといいます。有機化合物で3員環はひずみが大きく不安定でなんですが、さらに電気陰性度の大きい酸素が結合しているため、エポキシド葉反応性が高く、エポキシドの炭素は求核試薬のよい標的となります。

- 合成法ですが基本的には、対応するアルケンから誘導します。
まずは、アルケンに直接過酸化カルボン酸を作用させる方法です。

あるいは、塩素と水をアルケンに作用させた後、塩基で処理する方法もあります。

- 合成法も時々でてきますがエポキシドの有用性はその反応にあります。一般にグリニャード試薬でアルコールを合成すると、反応の対象がホルムアルデヒドでない場合、できてくるのは2級以上のアルコールで、末端に-OHを持ってくることができません。しかし、エポキシドにグリニャード試薬を用いると、炭素鎖を2個伸ばし末端に-OHを持つアルコールが合成できます。

- また、エポキシドの炭素に置換基が入っていると、ちょっと面白いことが起きます。一方がアルキル置換基になっている場合、求核試薬は立体障害の少ない炭素に攻撃を仕掛けるため、できてくるアルコールの-OHは末端にはきません。グリニャードを使ってもそうなります。

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