「 評 価」の ペ ー ジ

新しい評価観点「思考・判断・表現」
評価の妥当性,信頼性
正しい評価観をもとう
社会科における「思考・判断・表現」の評価
評価規準の作成のための参考資料
明日からできる「指導と評価の一体化」
読み解きたい評価観点とその趣旨
各教科等・各学年等の評価の観点等及びその趣旨

児童生徒の学習評価及び指導要録の改善等について
「児童生徒の学習評価の在り方について(報告)
通知表の観点を考える!
        ─ 「関心・意欲・態度」をめぐっての議論 ─
通知表の作成
  ─ 私の経験から,作成上の留意点を紹介します ─
メタ認知能力 その2
メタ認知能力 その1
  岡山県教育委員会津山教育事務所教職員課 高岡昌司

教育課題の実践課題 北尾倫彦
評価についてもう一度考える
目標分析の考え方に基づく評価方法の試行
   〈図書文化社「指導と評価」誌〉掲載原稿 その2
目標分析の手法に基づく「指導と評価の一体化」
   〈図書文化社「指導と評価」誌〉掲載原稿
「目標分析」の手法に基づく「指導と評価の一体化」
「指導と評価の一体化」を目指した授業の構想
「自己評価表」 6年算数 ― 比 例 ― での例
これからの評価に欠かせない「自己評価」
“目標分析”と有田氏の「絶対評価の到達基準作成“何が問題になるか”」
「目標分析」 ―指導要領・評価規準”を読み解くことから始まる―
すべての子どもたちに基礎・基本の学力を その2
すべての子どもたちに基礎・基本の学力を その1
 ―「指導と評価の一体化」の推進―  “私の勤務校の取り組みを紹介します”
読者からの声  Vol.127 「指導と評価の一体化」を読んで
「指導と評価の一体化」 ― 新年度,心機一転取り組んでみませんか ―
「指導と評価の一体化」に配慮した理科指導案
              名理会(名古屋市理科教育研究会)の実践を紹介します
年度末に向けて再度確認 ― もう一度考えてみたい絶対評価 ―
                        上越教育大学 渋谷憲一氏の小論
2つの評価 ―目標に準拠した評価(絶対評価)と個人内評価―
算数における習熟度別グループと内容分析の考え方
「指導と評価の一体化」を目指して
  初等中等教育局視学官 河野公子氏の小論  
「指導と評価の一体化」の試み      ―私の勤務校の試案を紹介します―
指導と評価の一体化のために 
     ― 私の勤務校での「自己評価表活用」の試み ―
“指導と評価の一体化”を目指した授業展開
関心・意欲・態度”をどう評価するか
         「最大の評価方法は教師の観察」 岐阜大教授:北俊夫氏
これからの評価を考える
           「保護者向けの評価規準」と「児童の自己評価表」の取り組み
「標準化学力検査」の結果を活用していますか?
         要録記入に役立ちそうです“教研式標準学力検査CRT”
《特集》“指導要録”の記入の時期が来ました
                 『評定』の欄 どのようにしますか?
知っているようで知らない“学力検査”
                   評価が問われている今だからこそ
評価規準作成は「自分化」を視点に
           けっこう見られる「全市,全県での作成」に疑問?
絶対評価をめぐる問題点「関心・意欲・態度」をどう評価するか 
            京都大学教授 田中耕治氏の小論
目標準拠評価について 立教大学:奈須正裕氏の主張
評価規準作成の手順を紹介します
         評価規準と評価基準を明確化させた勤務校でに実践例
知っていますか? NRTとCRTの違い
         目的に応じて使い分けよう 2つの標準化学力検査
“子どもの学習を促進する”効果的な評価法
      「イービィーの評価の視点」:応用教育研究所 辰野千壽氏
評価・・・悩んでいませんか?
「新教育課程で何を身につけるか」       
       講師:無藤 隆(お茶の水女子大教授 教育課程審議会委員)
「学習評価の行い方」     
       講師:北尾倫彦(京都女子大教授 教育課程審議会委員)
「新しい教育課程における教育の課題」      
      講師:辰野千壽(応用教育研究所所長,元上越教育大学長)
「教育評価の基礎・基本」              
      講師:石田恒好(文教大学学長,元教課審委員)
「絶対評価」を通知票にどう具体化するか  早稲田大安彦忠彦氏
「指導と評価の一体化」の試み
「こんなことができるのか!?『絶対評価』」
評価規準〈具体的観点の作成〉
通知票をどうしますか 茅ヶ崎市立浜之郷小学校の例を考える
来年度からどう評価していきますか 「自己評価」と「相互評価」
「子どもが自信を育む評価を求めて」  鳴門教育大 村川雅弘氏
評価規準の作成
有田氏の「絶対評価の到達基準作成“何が問題になるか”」
評価規準,ほんとに作るの?
“評価規準”と“評価基準” 評価のあり方をめぐって
[1]新しい評価観点「思考・判断・表現」

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 今,現場で話題になっている「思考力・判断力・表現力」や「言語活動の充実」な
どに関して,中教審の「児童生徒の学習評価の在り方に関するワーキンググループ配
付資料」や「最終答申」などを 読んでいる方はあまりいないと思う。
 これらは学習指導要領などの元になるものである。
とても長い資料だが,わからないことが逢ったときはこれらを読むに限る!
 「ワーキンググループ配付資料」に以下の記述がある。
 〜以下,引用〜
 「思考・判断・表現」として,従来の「思考・判断」に「表現」を加えて示した趣
旨は,この観点に係る学習評価を言語活動を中心とした表現に係る活動や児童生徒の
作品等と一体的に行うことを明確にするものである。
 このため,この観点を評価するに当たっては,単に文章,表や図に整理して記録す
るという表面的な現象を評価するものではなく,例えば,自ら取り組課題を多面的に
考察しているか,観察・実験の分析や解釈を通じ規則性を見いだしているかなど,基
礎的・基本的な知識・技能を活用しつつ,各教科の内容等に即して思考・判断したこ
とを,記録,要約,説明,論述,討論といった言語活動等を通じて評価するものであ
ることに留意する必要がある。」
  〜引用終わり〜
 なぜ「思考・判断・表現」という観点ができたのか?どのように評価すればいい
のか?といったことがわかりやすく書かれている。
 これらの資料は文科省のHPで公開されている。
 簡単に入手できる。 
 よくわからないことが出てきたら,ぜひ読み込んで,理解を深めたい。
[1]評価の「妥当性と信頼性」

 國學院大学の安野功氏(前社会科担当教科調査官)の興味深い小論を見つけた。
 テーマは,
 「評価の客観性,信頼性から評価の妥当性,信頼性への転換」
 簡単に紹介したい。

   各学校では,今,新しい評価への対応が求められている。
   本年5月,文部科学省から,『学習評価及び指導要録の改善等について』の通知が
  出され,学習評価の改善に関する基本的な考え方や指導要録の参考様式などが示され
  たからである。 

 おっしゃるとおりである。

  〜 中 略 〜
   この評価改善を,各学校の先生方が現場サイドでどう受け止めるか。ぜひ一度,自
分事としてじっくりと考えてみる必要がある。 

 これもその通りである。
 実際,なかなか難しいことであるが。

   そこで社会科の立場から,この度の評価改善の新たな方向性を読み解くポイントに
なるいくつかのキーワードを挙げ,私見を述べてみたい。
  ・今回のキーワードは「妥当性」である。
  ・例えば,「各学校においては,組織的・計画的な取組を推進し,学習評価の妥当性,
   信頼性等を高めるよう努めることが重要である」(p.13)
  ・これなら,現場で工夫できる。教師の負担も軽減されるだろう。
  ・前回の学習指導要領改訂後に出された『児童生徒の学習と教育課程の実施状況の評
   価の在り方について(答申)』(平成12年12月4日教育課程審議会)では,「評価
   の客観性,信頼性」であった。
  ・新しい評価まで秒読み段階となった。今回の評価改善の報告書や通知で用いられて
   いる「妥当性」という用語の意味を十分噛みしめ,簡素で効率的な学習評価が現場
   に浸透することを願っている。 
                      (以上,抜粋して箇条書きに編集)
 
 どうであろうか?
 以上の文を読んで,どう思われただろうか。
 一言で言えば,評価について,「客観性と信頼性」だったものが「妥当性と信頼性」に
変わった,というのだ。
 このことを読者の皆さんはどう解釈されるだろうか?
[1]正しい評価観をもとう

 「関心・意欲・態度」の観点についての評価観が周知徹底していないように思う。
 評価の観点については,それぞれ「観点の趣旨」が規定されている。
 私たちはその「趣旨」にそって評価しなければならない。
 http://www.mext.go.jp/component/b_menu/nc/__icsFiles/afieldfile/2010/05/13/1292899_1.pdf
 このページをご覧いただきたい。
 例えば小学校社会の「関心・意欲・態度」について,次のように書かれている。
 「社会的事象に関心をもち,それを意欲的に調べ,社会の一員としての自覚を持ってよ
りよい社会を考えようとする。」
 さらに第6学年では,
 「わが国の歴史と政治及び国際社会におけるわが国の役割に関心をもち,それを意欲的
に調べ,わが国の歴史や伝統を大切にし国を愛する心情をもつとともに,平和を願う日本
人として世界の国々の人々と共に生きていくことが大切であることの自覚をもとうとす
る。」
 と示されている。
 これが「観点の趣旨」である。
 これを解釈すると「関心・意欲・態度」が未到達評価で,他の観点が到達評価というこ
とは通常はない。
 その逆も。
 この「趣旨」は今年5月に出された次の通知文による。
 『小学校、中学校、高等学校及び特別支援学校等における児童生徒の学習評価及び指導
要録の改善等について(通知)』
 以下のサイトを参照されたい。
 http://www.mext.go.jp/b_menu/hakusho/nc/1292898.htm
 ぜひご覧いただきたい。
 PDFファイルなのでダウンロードして自分のPCに取り込んでおくとよい。
 評価についてわからないことがあれば参照する習慣をつけると理解が高まる。
 評価についての原理・原則がここにある。
[1]社会科における「思考・判断・表現」の評価
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 「社会的な思考・判断・表現」を育成するためには?
 まずは基礎的・基本的な知識や技能を活用する学習活動に力を入れること。
 その中に論理や思考の基盤である言語活動を充実することが大切。
 問題解決学習の中で身につけた知識・技能を実際の実際の解決場面に合わせて適切に活
用すること,そしてそれを互いに表現し合うこと。
 友だちの考えも積極的に吸収しながら自己の問題を解決していくこと。
 これを繰り返すことで思考力・判断力・表現力を身につけていくことが可能となる。
 従来の社会科の学習においては,単に体験が言語化されただけであって,思考が言語化
されていないという実践が多かった。
 例えば,調べたことを再構成してポスターや新聞をつくって終わりという事例。
 ポスターや新聞づくりは獲得した情報をまとめていく作業で,整理である。
 整理で終わってはならない。
 まだその先がある。
 新しい観点「思考・判断・表現」の評価は,わかったことを表現するだけ,調べたこと
を整理してまとめるだけでは達成したとは言えない。
 ここからもう一歩踏み込み,整理した情報をもとに思考する学習過程を設定する必要が
ある。
 「思考の言語化」に大きなウエイトをおくのだ。
 取材や見学などの体験した結果を解釈,分析し,説明したり論述したり討論したりレポ
ートにまとめたりといった形で自己の考えを表現,主張させたい。
 また社会科において,活用力とは既有の知識・技能を使って思考,判断する場で発揮さ
れるものであり,子どもには活用しているという意識はない。
 したがって,子どもにとって集中して取り組める魅力ある教材を用意しなくてはならな
い。
[1]「評価規準の作成のための参考資料」

 11月15日,国立教育政策研究所から「評価規準の作成のための参考資料(小学
校)」が公開された。
   http://www.nier.go.jp/kaihatsu/shidousiryou.html
 A4で259ページある。
 プリントアウトし,ファイルに綴じて職員に公開した。
 各教科ごと,各学年ごとに次のことがまとめられている。

 ○教科目標 
 ○評価の観点及びその趣旨
 ○内容のまとまりごとの評価規準に盛り込むべき事項及び評価規準の設定
  ・学年目標
  ・評価の観点の趣旨
  ・学習指導要領の内容,内容のまとまりごとの評価規準に盛り込むべき事項及び評価
規準の設定例

 どの学校でもプリントアウトして供覧で着るようにする,そしてダウンロードして全職
員がデータをPCに入れておくと役立ちそう。
明日からできる「指導と評価の一体化」
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 夏季休業中に3回職員研修会を開いた。
 その3回目は新学習指導要領と評価についての学習会。
 内容は,ちょっと欲張って「新学習指導要領を理解しよう」「新指導要録の中身を知ろ
う」そして「評価─できることからはじめよう」とした。
 特に「指導要録」と「評価」に重点を置いた。
 ・評価の観点が変更された背景は?
 ・「思考・判断・表現」のとらえ方は?
 ・「活用」とは?「探究」とは?
 ・観点の変更により授業はどのように変わる?
 ・PDCAサイクルを日常化させるには?
 ・すぐにできるPDCA型授業
 など。 

 以下,「明日からできる指導と評価の一体化」ということで配付した資料の一部を紹介
する。
○ 毎時間の評価について
 ・授業開始時に,今日の授業で何がわかればいいのか,何ができるようになればいいの
  かを明確に伝える。
 ・「ここまでのところでわからないところがある人?」など,適宜挙手で子どもの反応
  を見る。
   →毎時間続けると,子どもたちも慣れてくる。
   →子どもたちの自己評価能力を高めることはとても大切なこと。
 ・合わせて,つまずいている子は誰か?,十分理解できている子は誰か?を教師の目で
  把握する。
 ・授業の最後に「今日の授業,よくわかった子?」「まだわからないことがある子?」
  など,挙手で自己評価させる。
 ・重要なことは,「今日の授業が理解できていない子は誰か」「十分理解できている子
  は誰か」を把握すること。
 ・そして,それを次時以降の授業に反映させる。
  理解できていればスピードアップ,そうでなければスピードダウン。
○ 名簿を活用した記録法
 ・1単元1枚の名簿を用意する。
 ・授業日別,観点別にチェック欄をつくる。
 ・1時間終了後,すぐに気になる子やきらりと光る発言をした子などを観点別にチェッ
  クしておく。
  記号を決めておくと負担にならない。
○ 単元ごとに評価をすませておく。
 ・上記2項目の資料やテスト結果などから1単元終了時に単元評価を観点別に完了させ
  る。
○ 通知表の評価
 ・上記で作成した評価資料を基礎資料とする。
 ・他の評価資料と総合させ,通知表の評価とする。
読み解きたい評価観点とその趣旨

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 評価の観点は,社会や理科,音楽のように大きく変更されているものもあるが,算数の
ように小さな変更や変更のない教科もある。
 しかしながら,変わっていない教科でも「趣旨」は変更されている。

 例えば国語。
 「書く能力」で見ると,

  現行:自分の考えを豊かにして,相手や目的に応じ,筋道を立てて文章に書く。
  改訂:相手や目的,意図に応じ,文章を書き,自分の考えを明確にしている。

 改訂では,
   「相手や目的に応じ」から,
  →「相手や目的,意図に応じ」と,「意図」が加わり,
   「自分の考えを明確にしている」で結んでいる。  

 今までは,
  「・・・・・・・,文章に書く。」だったものが,
  「・・・・・・・,自分の考えを明確にしている。」
 となっている。

 このことを読み取らねばならない。
 このことを理解した上で,授業に取り組まねばならない。
 学力の3要素としてあげられた,「思考力・判断力・表現力」がこんなところにまで影
響しているのだ。

 これは一例であって,どの教科でも言えること。
 「思考力・判断力・表現力」という観点は社会と理科のみだから,他の教科では関係な
いと思われがちである。
 しかし,実際はすべての教科のあちこちに盛り込まれている。
 実際の授業や評価活動にあたっては,このことに十分留意しなければならない。
 現に,筒井教科調査官は次のように述べている。

 「評価の観点の名称は現行のものと同一であるが,その趣旨については学習指導要領の
  改訂を踏まえて改善を図っているので,十分留意することが必要である」

 「評価の観点」や「その趣旨」が変わるということは,授業が変わるということ。
 少なくとも,授業研究の際はこのことを十分意識した授業構想でなくてはならない。
 今年度中に「評価の観点とその趣旨」を手にとって,自身の目で確認しておきたい。
以上,書いたことをまとめて勤務校で全職員に配付した。
各教科等・各学年等の評価の観点等及びその趣旨
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
 来年度から評価の観点が変わる。
 小学校では,社会・算数・理科・音楽の観点が変更される。
 評価活動が変わるのだ。
 当然,授業も変わる。
 これに対して,読者の皆さんの学校ではどのような対応をされているだろうか?
 すでに,発表された

   「小学校、中学校、高等学校及び特別支援学校等における
        児童生徒の学習評価及び指導要録の改善等について(通知)」

 また,この中に【別紙5】として,

   「各教科等・各学年等の評価の観点等及びその趣旨」

 が示されている。
 観点が変わった教科については,特にじっくりと別紙5「観点の趣旨」を読み込まねば
ならない。
 授業のあり方も検討していかねばならない。
 もちろん,評価基準も変更しなければならない。
 これらについて,文科省はじめ,民間研究機関や出版社などが例を示すまで待っていて
は遅い。
 たとえ示されたとしても,それをもとに自校化しなければならない。
 今年度は,そんなたいへんな年なのである。
 次号で続編を紹介する。
児童生徒の学習評価及び指導要録の改善等について
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
文科省から,

 「小学校、中学校、高等学校及び特別支援学校等における児童生徒の学習評価
   及び指導要録の改善等について(通知)」

 が公開された。
    http://www.mext.go.jp/b_menu/hakusho/nc/attach/1293807.htm を参照

 そのうち 県教委→教育事務所→市教委 というルートをたどって学校にも届くのだろ
うが,なかなか時間がかかる。
 この本文を熟読し,評価観点の変更についてきちんと理解しておかねばならない。
 早速資料を集め,文書にまとめて勤務校でも紹介した。
 来年度からは,新しい観点によって評価しなければならない。
 どんな授業をして,どのように評価すればよいのか?
 評価基準も新規作成となる。
 これは現場にとって,大きな問題である。
 今後も,新しい情報などが入ったら,当MMで紹介していきたいと思っている。
「児童生徒の学習評価の在り方について(報告)」
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
 見出しのことについて,勤務校で配付した資料を紹介します。
 お役に立てば幸いです。

 指導要録の評価観点が変わるということは,通知表の観点が変わるということです(先
刻ご承知のことと思いますが)。ということは,授業が変わるということです。「目標」
が変わるのですから。
 なぜ評価観点が変わったのか?それは学習指導要領が変わったからです。最も重要なポ
イントは「思考・判断」が「思考・判断・表現」となった点です。これは新学習指導要領の
目玉でもある「活用力」「探究力」にかかわるかなり大きな変化です。これに伴い,各教
科等の評価規準も作成し直さねばなりません。
 以上のことを十分認識し,そして詳細を理解しておくことが大切です。保護者から聞か
れたとき,きちんと答えられるように,以下の資料を熟読して下さい。
 平成22年3月24日,中教審教育課程部会から「児童生徒の学習評価の在り方につい
て(報告)」が発表されました。この全文は「初等教育資料4月号」に掲載されていま
す。

なぜこのように評価観点が変更されたのか?それぞれの観点はどのような意味を持ってい
るるのか?これを十分に知っておく必要があります。
 このことヌキでは,授業を組み立てることができません。何をどう評価していかねばな
らないのか,「報告」を読み取ってみたいと思います。
今回の観点の変更は,新学習指導要領のおける「学力の3要素」からきたものです。
 3要素と4観点との関連について,次のようにに書かれています。

  現在の評価の4観点と学力の3つの要素との関係では,教科によって違いはあるもの
 の,「知識・理解」及び「技能・表現」が基礎的・基本的な知識・技能を,「思考・判
 断」が知識・技能を活用して課題を解決するために必要な思考力・判断力・表現力等
 を,「関心・意欲・態度」が主体的に学習に取り組む態度を,それぞれ踏まえているも
 のとしておおむね整理ができると考えられる。

 このことを理解しておくと,観点の変化がわかりやすくなると思います。
 では,新観点「思考・判断・表現」はどのように考えればよいのでしょうか?報告には
 次のように書かれています。
  ・新しい学習指導要領においては,思考力・判断力・表現力等を育成するため,基礎
   的・基本的な知識・技能を活用する学習活動を重視するとともに,論理や思考等の
   基盤である言語の果たす役割を踏まえ,言語活動を充実することとしている。これ
   らの能力を適切に評価し,一層育成していくため,各教科の内容等に即して思考・
   判断したことを,その内容を表現する活動と一体的に評価する観点(以下「思考・
   判断・表現」という。)を設定することが適当である。
  ・「思考・判断・表現」は,それぞれの教科の知識・技能を活用して課題を解決する
   こと等のために必要な思考力・判断力・表現力等を児童生徒が身に付けているかど
   うかを評価するものである。
  ・「思考・判断・表現」の評価に当たっては,それぞれの教科の知識・技能を活用す
   る,論述,発表や討論,観察・実験とレポートの作成といった新しい学習指導要領
   において充実が求められている学習活動を積極的に取り入れ,学習指導の目標に照
   らして実現状況を評価する必要がある。

 これでかなりわかってきたのではないでしょうか。
 では,「技能」についてはどうでしょうか?同じく報告には,次のように説明されてい
ます。

  今回,「技能・表現」に替えて示す「技能」は,各教科において習得すべき技能を児
 童生徒が身に付けているかどうかを評価するものである。教科によって違いはあるもの
 の,基本的には,現在の「技能・表現」で評価している内容は引き続き「技能」で評価
 することが適当である。
  すなわち,算数・数学において式やグラフに表すことや理科において観察・実験の過
 程や結果を的確に記録し整理すること等については,現在「技能・表現」において評価
 を行っているが,同様の評価は今後「技能」において行っていくこととなる。
  なお,今回,各教科の内容等に即して思考・判断したことを,その内容を表現する活
 動と一体的に評価する観点として「思考・判断・表現」を設定することから当該観点に
 おける「表現」との混同を避けるため,評価の観点の名称を「技能・表現」から「技
 能」に改めることとしている。

 つまり,従来「技能・表現」として評価していたことがそのまま「技能」となると考え
て差し支えなさそうです。
 最後に,「評価の時期」についてです。これはほとんど従来と同じです。

  ・授業改善のための評価は日常的に行われることが重要である。一方で,指導後の児
   童生徒の状況を記録するための評価を行う際には,単元等ある程度長い区切りの中
   で適切に設定した時期において「おおむね満足できる」状況等にあるかどうかを評
   価することが求められる。
  ・「関心・意欲・態度」については,表面的な状況のみに着目することにならないよ
   う留意するとともに,教科の特性や学習指導の内容等も踏まえつつ,ある程度長い
   区切りの中で適切な頻度で「おおむね満足できる」状況等にあるかどうかを評価す
   るなどの工夫を行うことも重要である。

 以上,よく読んで内容を十分理解しておいてください。今後の参考となる資料を提供し
ていきますので,教育は時代とともに変わっているのですから。乗り遅れないようにご注
意を。
通知表の観点を考える!
        ─ 「関心・意欲・態度」をめぐっての議論 ─
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
 折しも通知表作成の時期です。
 通知表の観点の中でも評価しにくい観点「関心・意欲・態度」について,私が主宰する
MLで話題になりました。
 くどくどと長く書いていますが,関心がおありの方,最後までお読みください。
 また,親交のある雑誌編集者にお願いして専門家の意見もうかがいました。
 末尾に紹介してあります。
 参考になればと幸いです。
■私の発言
  そろそろ成績一覧表が提出されてきます。
  それをチェックしていて,いつも疑問に思うことがあります。
  「関心・意欲・態度」が◎で,他の観点に△がついているのです。
  例えば,◎○△△といったふうです。
  逆の場合もあります。
  「関心・意欲・態度」が△で,他の観点が○◎○です。
  「関心・意欲・態度」は,学習の基盤となるものです。
  「関心・意欲・態度」は,学習の内容に対して,「関心を持って」→「意欲的に取り
 組み」→「態度に表れる」ととらえるのが普通です。
  4観点はバラバラにとらえてはならないのであり,子どもの姿は常に4つが一緒に出
 現すると思うのです。
  ですから,「関心・意欲・態度」が△で,他の観点に◎があるのは通常の姿ではない
 と考えます。
  逆の場合もしかり。
  担任を呼んで聞いてみると,「授業中の態度がよくないから」とか「宿題をやってこ
 ないから」「提出物を出さないから」といった理由で△評価としているそうです。
  どうにも腑に落ちません。
  みなさんはどうお考えでしょうか。
■Kさんのレス
  1人の子どもに◎と△が混在するパターン、私も経験があります。(見たことも、自
 分で評価したこともあります。)
>「関心・意欲・態度」は,学習の内容に対して,「関心を持って」→「意欲的に取り
 >組み」→「態度に表れる」ととらえるのが普通です。そして,4観点はバラバラにと
 >らえてはならないのであり,子どもの姿は常に4つが一緒に出現すると思うのです。
 >ですから,「関心・意欲・態度」が△で,他の観点に◎があるのは通常の姿ではない
 >と考えます。
  私は先生のこの考え方に同感です。
 まだまだ新米の教員ではありますが、◎と△が混在する子どもは、特異な状態だと認
 識しています。
   国語・・・・関・意・態は△なのに、言語・知識が◎
   社会・・・・関・意・態は△なのに、資料活用が◎、または知・理が◎
  算数・・・・関・意・態は△なのに、処理が◎、または知・理が◎
  理科・・・・関・意・態は△なのに、知・理が◎
  などという例については、「授業中の態度がよくないから」とか「宿題をやってこな
 い」「提出物を出さない」という子どもに多く現れます。
  でも、これはクラスに1人いるかいないかの非常に稀なケースかと思います。塾で先
 取りして勉強して、ある程度知識があるので、テストだけ(授業中の確認テストも含め
 て)の点数がいい子はこのケースに当てはまりやすいです。そのため、警告の意味を込
 めて△にしていたこともありました。
 成績処理をしていて、このパターンが3件以上出てしまった場合は、その子へのマイ
 ナス主観が入りすぎているのかなと反省して、見直すようにしています。
  逆に関・意・態は◎なのに、ほかの分野で△がつく子どももいます。
  むしろ、こちらの子どもが出たときは注意しています。
  なぜかと言うと、関心がとても強く、一生懸命ノートをとったり、発言しようとした
 り、提出物もきちんと出す子なのに、全く点数がとれない。
 学習障害の兆候がみられると判断してもいいかもしれません。僕はこの場合、保護者
 に進路について相談を持ちかけることが多いです。
 このパターンで5件以上出てしまった場合は、その子へのプラス主観が入りすぎてい
 るのかなと、もう一度見直すようにしています。
  「関・意・態」はすべての学習基盤なので、子どもの生活態度までも評価に入れてし
 まいがちだと思います。
  その教科・単元・学習活動ごとの教師側の評価基準が不明瞭すぎると、どうしても生
 活態度を思い浮かべてしまう、そんな気がします。
  以上、わたしの短い経験から考えてみました。
 いかがでしょうか?
■私のレス
 さて,評価の件です。
 ちょっと長くなるかも・・・。
 多少は役に立つと思います。
 私の勤務校でも「関心・意欲・態度」と他の観点についての評価に問題があるような気
がしています。
 わからないことや知りたいことがあるとき,確かなことを知りたいときなど,そんな時
は「原典」にあたることが最も大事です。
 「原典」とは?わたしたちにとって,指導要領や同解説編,そして中教審の答申や文科
省の通知などがこれにあたります。
 これらに基づいた実践であれば,誰も文句が言えません。
 教育課程審議会の「児童生徒の学習と教育課程の実施状況の評価の在り方について(答
申)」平成12年12月4日 に次のような記述があります。
 ┌─────────────────────────────────────┐
 │「新しい学習指導要領においては、自ら学び自ら考える力などの「生きる力」をは│
 │ ぐくむことを目指し、学習指導要領に示された基礎的・基本的な内容の確実な習│
 │ 得を図ることを重視していることから、学習指導要領に示す目標に照らしてその│
 │ 実現状況を見る評価(いわゆる絶対評価)を一層重視する必要がある。」   │
└─────────────────────────────────────┘
 と書かれています。
 ここで大事なことは,学習指導要領に書かれていることが「基礎的・基本的な学習内
容」であるということです。
 さらに,
 ┌─────────────────────────────────────┐
 │ 「なお、留意すべき事項の第一として、「関心・意欲・態度」の観点が挙げられ│
 │ る。この観点は、本来、それぞれの教科の学習内容や学習対象に対して関心を持│
 │ ち、進んでそれらを調べようとしたり、学んだことを生活に生かそうとしたりす│
 │ る資質や能力を評価するための観点である。しかし、その評価については、情意│
 │ 面にかかわる観点であることなどから、目標に準拠した評価であることが十分理│
 │ 解されていなかったり、授業中の挙手や発言の回数といった表面的な状況のみで│
 │ 評価されるなど、必ずしも適切とは言えない面も見られる。また、評価が教員の│
 │ 主観に頼りがちであるという指摘もある。                 │
 │「関心・意欲・態度」の観点の評価に当たっては、例えば、態度や行動、発言内容│
 │ の観察による評価、作品の評価、児童生徒の自己評価や相互評価、予習・復習の│
 │ 状況の評価など多様な評価方法により継続的・総合的に行う必要がある。評価に│
 │ は信頼性が求められるが、単に数値化されたデータだけが信頼性の根拠になるの│
 │ ではなく、評価する人、評価される人、それを利用する人が、互いにおおむね妥│
 │ 当であると判断できることが信頼性の根拠として意味を持つのであり、今後、教│
 │ 員の観察力や分析力など評価に関する力量を高めるとともに、多様な評価方法の│
 │ 工夫改善を進める必要がある。」                    │
└─────────────────────────────────────┘
 と書かれています。
 つまり,まとめると,
   ◇提出物を出したか出さないとか,授業中に挙手したとかしないとか,何回挙手し
    たかといった一面的で表面的な姿のみで評価することは適切でない。提出物の教
    科に関わる内容や何に対しての挙手なのかといった中身で評価したい。
   ◇授業に参加する「態度」のみを「関心・意欲・態度」の「態度」と位置付けるこ
    とには問題がある。また,学校や家庭における生活上の態度をこの評価の主たる
    対象にすることも問題があると考える。ともすると,この評価は教師個人の恣意
    的な評価につながりかねませんので注意したい。
   (以上◇印については,「評価規準,評価方法等の開発に関する研究」平成16年度
    愛知県総合教育センターから抜粋)
 となります。
 また,同じく県総合教育センターの研究報告書には,次のようにも書かれています。
   ◇「関心・意欲・態度」の観点は,それぞれの教科の学習の内容や学習の対象に関
    心をもち,進んでそれらを調べようとしたり,学んだことを次の学習に生かそう
    としたりする資質や能力を評価するための観点です。
   ◇「関心」「意欲」「態度」は別々に存在しているものではなく,関連し合い,重
    なり合っている要素です。
   ◇「関心・意欲・態度」は「各教科内容に対する関心・意欲・態度」であり,それ
    ぞれの教科の学習において身に付けた知識や技能などといった内容と切り離すこ
    とはできません。また,その教科の学習で生じた課題を追究していこうとする意
    欲や関心を,日常の学習に生かそうとしているかどうかを評価する観点でもあり
    ます。
   ◇いわゆる新しい学力観においては,「関心・意欲・態度」は学習を成立させる基
    盤の一つと考えられています。このことから,どの学習場面においても常に意識
    されてよい観点であると言えます。
   ◇「関心・意欲・態度」は「各教科内容に対する関心・意欲・態度」であり,それ
    ぞれの教科の学習において身に付けた知識や技能などといった内容と切り離すこ
    とはできません。また,その教科の学習で生じた課題を追究していこうとする意
    欲や関心を,日常の学習に生かそうとしているかどうかを評価する観点でもあり
    ます。
   ◇「関心・意欲・態度」と「思考・判断」とは,児童生徒の内面を見るという点に
    おいては類似していますが,「思考・判断」は教科内容の理解を深める際の考え
    方や判断力を見る観点であり,解決への見通し,解決への手順や方法,解決の過
    程がどうであるかを見るという点において「関心・意欲・態度」とは区別ができ
    ます。
   ◇「関心・意欲・態度」を含め,各観点は,学習指導要領の内容に照らして指導が
    される学習内容に合わせ,年間を通してバランスよく位置付けられるものであ
    り,年間を通してバランスよく評価されるものであるとも考えます。
 ここで大事なことは,「関心」「意欲」「態度」は別々に存在しているものではなく,
関連し合い,重なり合っている要素です,という点です。
 これは北尾倫彦先生(京都女子大教授)が言われている次のお話と一致しています。
 ○学習の内容に対して「関心を持って」→「意欲的に取り組み」→「態度に表れる」
  この一連の流れが「関心・意欲・態度」である。
 ○観点間のつながりを考えておく必要がある。4観点はバラバラにとらえてはならな
  い。子どもの姿は常に4つが一緒に出現する。「関・意・態」と「知・理」「思考」
  は結びついている。結びつけるのがプロ教師の仕事。塾では「関・意・態」なしで
  「知・理」をつけようとする。
 最後に,「幼稚園、小学校、中学校、高等学校及び特別支援学校の学習指導要領等の改
善について(答申)2008.1.17(中教審最終答申)」
 これは,今回の新学習指導要領の最終答申です。
 ここに書かれてことをまとめてみます。
 ┌─────────────────────────────────────┐
 │ ○しかしながら、1単位時間の授業において評価の4観点(関心・意欲・態度、│
 │  思考・判断、技能・表現、知識・理解)のすべてを評価しようとしたり、授業│
 │  冒頭に「進んで取り組んでいるかどうか」をチェックし、チェック終了後授業│
 │  に入ったりするなど評価のための評価となっている不適切な事例も見られる。│
 │  評価の仕方が変わったことについては、小・中学校の教師は多くが「日頃から│
 │  児童生徒一人一人をよく見るようになった」としている反面、「評価活動が複│
 │  雑になり余裕がなくなった」との捉え方がなされている。         │
 │   また、現在の評価の方法が、保護者や広く社会に対して十分分かりやすいも│
 │  のとなっていないのではないか、との指摘もなされている。        │
 │ ○このため、指導と評価の一体化により、学校や教師は指導の説明責任だけでは│
 │  なく、指導の結果責任も問われていることを前提としつつ、評価の観点並びに│
 │  それぞれの観点の評価の考え方、設定する評価規準、評価方法及び評価時期等│
 │  について、今回の学習指導要領改訂の基本的な考え方を踏まえ、より一層簡素│
 │  で効率的な学習評価が実施できるような枠組みについて、更に専門的な観点か│
 │  ら検討を行うこととしたい。                      │
└─────────────────────────────────────┘
 とあります。
 つまり,評価のしかたに問題があることと,忙しくてそんなことやってられない,とい
うことが書かれています。そこで,新学習指導要領についての評価については,中教審教
育課程部会で検討されていますが,今までの4観点から大きく変わるということはなさそ
うです。
 しかし,今現在は従来の指導要領に従った観点別評価をしなければならないのです。
 次回の観点別評価の見直しで,すっきりさわやかに,そして簡単に評価できるようにな
るといいですね。
■Kさんのレス
早々のお返事、ありがとうございます!
人が人の内面を「評価」するのは、とても難しいですね。
難しいと一言で言ってしまえるうちはまだまだ「評価」の本質を見極めてないことにな
ると思いますが・・・。やっぱり難しい。
僕自身、国語や社会・その他の教科についても、生涯を通して学び続ける力を身に付け
させたいと思ってしまうんです。すると、どうしても学習スキルの定着をはかったり、半
ば強制的に知識の詰め込んだりと、乱暴な授業になっちゃうんです。
あれやれ・これやれの世界にしてしまって「関心」の芽を摘んでいるのかもしれませ
ん。
本末転倒なのかも・・・。
■私のレス
 > 僕自身、国語や社会・その他の教科についても、生涯を通して学び続ける力を身に付
 > けさせたいと思ってしまうんです。
 これは,とても大事な考え方です。
 だから「活用力」が叫ばれているんです。
 学習スキルや知識・理解・技能は釘の打ち方やのこぎりの使い方なんです。
 活用力はそれらを使って家を建てる力なんです。
 家を建てるには,釘の打ち方やのこぎりの使い方を学ばねばなりません。
 ですから,基礎・基本は大事なのです。
 しかし,そこにとどまっていては家は建ちませんね。
 洋風か和風か,平屋か2階建てか,どんな家をどんなふうに建てるかを考え,そして実
行する力が必要なんです。
 そのためには,やはり「すばらしい家を建てよう」という関心・意欲・態度が不可欠で
す。
 評価に関して,私がバイブルとしている本を紹介します。
  図書文化社:刊 「教育評価法概説」 ¥2,300(税別) 原著者:橋本重治
 です。
 この本は,評価の神様といわれた橋本重治の著書を,応用教育研究所が2003年度版に
復刻した本です。

■某教育雑誌の編集委員を務めるS教授のお話
 やはり、先生のおっしゃるとおり、知識・理解がC、思考力、判断力がAとなれば、不
自然であり、その評価自体を見直すのが本筋でしょうね。
 また、それで、関心・意欲・態度がAであれば、測っているものは、教科の「高次の目
標としての」態度ではなく、ごく一般的な態度、でしかないということを示唆するのでは
ないでしょうか。
■某教育雑誌の編集者のお話
 この観点は、文科省は何を測り、何を測るべきでないか、いまだ明確にしておりませ
ん。他の観点も、他との観点の違いがどこまで明確か、内心疑問がないわけではありませ
ん。そのあたりは、メールではお伝えできないのが残念です。
通知表の作成
  ─ 私の経験から,作成上の留意点を紹介します ─
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
 通知表作成の時期になってきた。
 通知表とは?
● 保護者にとって,以下の2点が大事である。
 1 学校の教育活動で培われる力が具体的な評価として提示されており,その教育活動
  で培われた力がどれくらいついているのかがわかり,家庭での指導につながるもの。
 2 保護者としての自覚と責任を持ち,客観的にわが子を見つめ,家庭の教育力の向上
  に役立つもの。
● 子どもにとって
 1 教科,領域をはじめ,学校のさまざまな教育活動において,本人の努力の成果が的
  確に評価され,励みとなり,子供にとっていっそうの努力の方向づけが認 識できる
  もの。
 2 自分自身を振り返ることにより,自ら次の課題を見いだせるもの。
● 一方,担任にとっては,
 1 学校の教育活動全体を通し,子どもの成長をとらえる機会であることを認識し,さ
  まざまな角度から子ども一人ひとりについて,収集した情報を整理し,以後の指導の
  方向付けを考えるもの。
 2 家庭の考え方も知り,以後の指導に役立てるもの。

 評価結果を知らせることも大切であるが,所見欄の持つ意味も大きい。
 何より文字として残る。
 私は全学級の「所見」を読む立場にある。
 読み続けて7年目。
 長年読んできて,気づいたことをまとめてみた。

─ 学習や生活に関する所見 ─
● 子どもの具体的な姿が浮かばない抽象的な表現が多い。また、誰にでも当てはまるパ
 ターン化された文章になっていないか。
● たとえば「バスケットボールの学習では、メンバーと力を合わせて一生けんめい取り
 組むことができました」という文は多くの子にあてはまる。
  そこからもう一歩踏み込んで「周りを見てパスを出したり、声をかけたり、チーム 
 のことを考えてプレーできました」 といった、その子のよかった点を具体的に記述し
 たい。
● 実践した事実だけでなく、そこから言える「できるようになったこと」「ついた力」
 などを記述したい。たとえば「毎日根気よく日記を書くことができました」という事実
 だけでなく「書く力を高めることができました」とか「自分の考えをわかりやすく表現
 できるようになりました」など、身についた力を記述したい。
● C評価の子には、担任としての今後の指導方針を伝えたい。
  親の立場になって読むと、無責任さを感じさせる表現がある。たとえば「努力が必要
 です」や「〜できるようになりたいものです」など。これらは「努力していけるよう支
 援していきます」「できるように指導していきます」というふうに、子どもを変容させ
 ていく指導者としての記述が望ましい。
● 所見に書いたことは,その後の経過を連絡帳などを通して保護者に伝えることが担任
 としての誠実さを表す。
● 特別活動の所見欄には係活動や委員会活動・クラブ活動の所属名だけでなく、活動の
 状況を知らせる一文がほしい。それぞれの担当者と担任との連携が必要。連絡カードな
 どを活用する。
● 「行動・生活の様子」欄に○が一つもない子への配慮を。今後に向けての励ましを所
 見欄へ。
● 表記は常用漢字が基本。自信のない場合は面倒でも辞書で確認を。
● 一文がだらだらと長い。これは意外と多い。短い文で簡潔に記述したい。

─ 総合的な学習の時間の評価欄 ─
 この欄は記述式の個人内評価となっている。評価であるにもかかわらず、やったことを
列記するだけという例が多く見られる。保護者は、わが子が総合でどんなことをやったの
か、子どもの口から聞いて先刻承知である。知りたいのは「どのように学習を展開したの
か?」その結果「どんな力がついたのか?」ということである。学習のねらいに基づいた
観点から、一人ひとりの成長の様子を記述したい。
 例を示す。
〈例〉学習活動「リサーチ 山田川」
  ○「自己の生活に生かす力」を観点とした評価文
   「山田川と親しむ中から山田川の抱える問題点について自分の考えをまとめ、環境
  と生活との結びつきを考えることができました。そして、環境を守るために自分たち
  にできることを考え、実際に家庭でやってみるなど、実践的な態度が育ってきまし 
  た」
   この欄は指導要領に合わせて「学習活動」「観点」「評価」の3点について記述し
  たい。
─ 評価(評定)結果欄 ─
 この欄は◎○△やABC、1・2・3で表す場合が多い。子どもも保護者も真っ先に見
る欄である。チェックポイントは次のとおり。
1 学級間で大きなばらつきが見られる場合がある。学級のレベル差か?評価法の違い 
 か?◎と△についての評価基準の再確認を。
2 学級内でも観点によって到達人数に大きなばらつきが見られる場合がある。たとえば
 〈関心・意欲・態度〉には◎が多い。教育的配慮なのか、安売り傾向が見られる。この
 観点の意味は「関心をもって意欲的に学習し、それが態度(行動)にも表れている」と
 考えるべきである。ならばそれは〈知識・理解〉などにも反映されているのが通常の姿
 であろう。
3 △評価は指導目標到達点に達しなかったと解釈される。言い換えれば指導する側の教
 師にも問題があったという判断がなされる。その原因は何であったのか、教師の今後の
 指導の改善が必要である。
4 4月以降、蓄積してきた単元ごとの評価を総合する形で評価することが実際的。
5 評価基準の見直しが必要な場合は早急に実施する。
 日常の評価活動の重さを再確認し、根拠のある、そして適正かつ客観性のある評価に務
 めたい。
 高岡さん連載の2回目です
 今回は「子どものメタ認知を育てる」です。
  …………………………………………………………………………………………………
 皆様、こんにちは。前回に引き続き「メタ認知を意識して」についてのお話です。
 今回は、子どものメタ認知を考えます。自己の主張や思考の過程を振り返る行為を学習
活動に組み込む手立てについて提案したいと思います。子どもにそんな難しそうなことが
できるのかという声が聞こえてきそうですが、ずばり、小学校中学年から発達段階に応じ
て可能だと私は考えています。ここで、「メタ認知」について再確認しておきます。
┌──────────────────────────────────────┐
│ メタ認知とは、自分自身の行動や思考そのものを、客観的に把握し認識する力  │ 
└──────────────────────────────────────┘
と言われています。子どもの活動では、メタ認知活動=自己評価活動と捉えています。
 なぜ、自己評価活動(メタ認知活動)が必要なのでしょうか。教育の目標である「生き
る力」は自ら学び、自ら考え、といった学習者自身の主体性がその根底にあります。です
から、学習者自身が自分の学びについて意味づけ価値づけし、望ましい自分へと変えてい
く方略が必要です。そのため自己評価活動(メタ認知活動)は重要な活動だと考えます。
 一般的には、振り返りカードや自己評価カードなどを活用することが多くみられます。
私はこれら以外に、特に、社会科で「イメージマップ」を単元活動の中に位置づけて取り
組んできました。単元を通して、2、3回このイメージマップを子どもたちは書きます。
「イメージマップとは、キーとなる単語からイメージされること(既有知識や経験知、学
んだ学習内容)を自分自身でつないで図式化するものです。事象と事象を関係づけたり、
社会のしくみを考えたりする自己評価道具です。複数回書いたイメージマップを学習者自
身が比べることで、自分の学びの様子や、自分の意見の変化などのメタ認知を促しま
す。」
┌──────────────────┬───────────────────┐
│【A児のイメージマップ1(第1次)】 │【A児のイメージマップ2(第2次)】 │
│ 火事−たばこ−ライター−もえやすい物│火事−消防署−仮眠室−消防士−5分で │
│    消防士−消防車−119−車庫│   学校−安全−ホース20M−消火栓 │
│ ハンカチ−にげる−おはしを守る  │  消防団−社町38団体−減る−女性団員 │
│<A児の感想より>         │<A児の感想より>   │
│・火事になりやすい物を書いた    │・消防団や消防士のことを詳しく書  │
│・火事がおきたらこわいなあと思った │・安全のたいさくがいっぱいわかっ  │
└──────────────────┴───────────────────┘
 上記の3年生社会科単元「安全なくらし〜火事から生活を守る〜」のA児が書いたイメ
ージマップ(一部分)を例に,A児の認識やA児自身の振り返りを紹介します。
 本実践では、イメージマップは自分が学習したことを表現するワークシートとして活用
し、複数枚のイメージマップを比較する中で、自分の学びの変容や広がりを振り返る方法
として位置づけています。まず、単元初めのイメージマップ1では,A児の問題意識は火
事の原因に向き、「火事はこわいから,強い気持ちがないと消防士さんにはなれない」と
消防士の仕事への関心が高まりました。次に、第二次のイメージマップ2では1と比べ,
「消防署と消防団など消火する人をむすんで,安全のための対策をいっぱい書いたのでよ
くわかった」とA児自身が違いを振り返り,「みんなで考えを言い合いしたから,これに
はこんな意味があって安全とわかった」と自分の学びをメタ認知しました。A児はイメー
ジマップを好み,キーワードやカテゴリーが増えていくごとに意欲を出して取り組みまし
た。
 このように、自己評価活動(メタ認知活動)では、やらされる意識ではなく、楽しみな
がらも成就感を味わうことができるような工夫が必要だと思います。合わせて、教師が子
どもの発言や表現物に,価値づけ意味づけする言葉がけを積極的に行うことも重要です。
私は経験から他者評価を入れる中で、自己評価が促進されていくと実感しています。子ど
も自身に学習の伸びを認識させることで、進んで学ぶ意欲が増大していくと考えていま
す。
 ※本実践は「真の確かな学力を育てる」(黎明書房)に掲載しています。
  また、「授業づくりネットワーク(2009年9月号)」もご覧頂けますと幸いです。
メタ認知」その1(連載 全2回)
      メタ認知を意識して〜実践埋没型教師から反省的実践家へ〜
               岡山県教育委員会津山教育事務所教職員課 高岡昌司
[2]私が最近読んだ本
    「あたり前だけど,とても大切なこと」
                ロン・クラーク/著 草思社:刊 ¥1,400(税込)
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
 「学級づくり」シリーズは休ませていただき,今回は私の知人である高岡さんから寄
せられた論文を紹介します。
 テーマは「メタ認知」です。なかなか紹介されることのない貴重な論文です。
 今回は,連載の1回目です。
 ……………………………………………………………………………………………………
 皆様,はじめまして。高岡昌司と申します。私は学校現場を離れて3年目になります。
授業のない日々はやはり寂しいです。しかしながら,いろいろな学校や授業を拝見する機
会が増えました。しばらくは,現場を離れて見えることを学んでいきたいと思います。

 今,私が一番関心を持っていることは「メタ認知」です。このメタ認知という言葉を耳
にされたことがあるでしょうか。脳科学や認知心理学が広く知られるようになり注目され
ている力です。専門職である教師に求められる重要な力のひとつでもあると考えます。
 ┌────────────────────────────────────┐
 │メタ認知とは,自分自身の行動や思考そのものを,客観的に把握し認識する力 │
 └────────────────────────────────────┘
と言われています。例えるならば,もう一人の自分が少し離れて冷静に自分自身の言動や
頭の中を分析しているイメージです。(双子の芸人ザ・タッチの幽体離脱という感じ?)

 一般的に「教師は子どもを見る」ということは日々強く意識されていますが,もう一方
の視点として,軽視できないのは「教師は子どもに見られる存在である」ということで
す。子どもは教師の言うようにはしないが,するようにはすると言われます。また,クラ
スの子どもたちは,担任の教師に似てくるとも言われます。つまり,教師の言動が知らず
知らずのうちに,意識されないうちに,大きな影響を子どもたちに与えているということ
です。私は,教師の立ち振る舞いや言動,その感性こそが,子どもを育てると感じていま
す。
 教師が自分自身を客観的に見つめる目を持つこと,子ども(親)の目線や視点から実践
を見直すこと,つまり,これからの教師は反省的実践家でなくてはいけないと言われま
す。(反省的実践家については,哲学者ドナルド・ショーン氏や東大の佐藤学氏の著書に
詳しいですが,ここでは割愛します)そして,その重要な要素がメタ認知です。 
 授業力をあげるにも,子どもや保護者への対応力をあげるにも,自分自身の言動を分析
し,行動パターンを自覚した上で,見直すことが必要だと思います。
 学校現場は忙しく,ゆとりがない中で,多くの教師が,日々,実践に追われる実践埋没
型教師です。簡単に言うと実践のやりっ放しです。野口芳宏氏は「経験は意図的に積み重
ね,そこに整理を加えなければ,真の力にはならない」と主張されていますが,全く同感
です。教師自身にPDCAの思考サイクルをまわす手立てが必要ではないでしょうか。
 立ち止まって物事を考えるには,言語化することが一番です。ただ,振り返りやメモな
どを書く余裕はありませんし,続けることはもっと難しいでしょう。そこで,提案!
 ┌────────────────────────────────────┐
 │ 提案1 自分の授業をビデオに撮る(教室にビデオを常備) │
 │ 提案2 授業の板書をデジカメで写す(係として子どもに任せる) │
 └────────────────────────────────────┘
 1は自分自身を客観的に振り返る最も有効な方法です。ただし,自分の不甲斐なさやイ
メージと違う授業の様子にビデオを壊したくなる衝動をおさえなければなりません。2は
授業のパターンや癖を知るだけでなく,次時の学習にも役立ちます。私はよく印刷して,
学習資料として配布していました。どちらも簡単に日々の授業を記録に残せます。
 1は,授業のテンポや教師のしゃべり方,目線,子どもの反応等をメタ認知できます。
 2は,授業の全体構成,書き方の癖,効果的な板書の使用等をメタ認知できます。
 こうして,自分自身の授業をメタ認知することで大きく実践力が変わります。時に,同
僚に見てもらうと更に力となるでしょう。3K(勘・気分・経験)だけでは,感覚的な自
己満足に終始し,教師力はアップしません。教師は教育のプロです。反省的実践家とし
て,メタ認知を意識し,確実に実践力を高めていきたいものです。お試しください。
 次回は,子どものメタ認知(自己評価力)について,授業での取り組みを提案します。
 
※「授業づくりネットワーク(2009年9月号)」や「授業研究21(2007年5月号)」に
 拙い実践を紹介していただいています。ご覧頂けますと幸いです。
 教育評価の実践課題
                        北尾倫彦(大阪教育大学名誉教授)
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
 今号は3つ目の講義を紹介します。
 評価の権威である北尾先生の登場です。
…………………………………………………………………………………………………
1 評価における規準性と基準性……何をどこまで達成させるか
(1)学習指導要領の規準性と基準性
  ・ 学習指導要領は規準性(何を)を示し,基準性(どこまで)はあいまいである。
  ・ 履修原理か習得原理か?
     現在は履修原理……習得できていなくても進級
     指導要領は最低基準……到達ラインを示している。習得原理的である。
     各学校で「基準性」を明確にすべきである。
  ・ 「学習指導要領は最低の基準」の解釈
(2)各学校における指導・評価計画の立案
  ・ 年間計画立案と「10%アップ」のゆくえ,教育課程の見直し・整理,学期制の
   問題など
  ・ 基礎基本と発展学習の関係
   「基礎」……指導要領のうち「知識・理解・技能」 ベース(土台)
   「基本」……「思考」「判断」「表現」 その考えを使ってできあがっていく。柱
   となる。
   「発展」……指導要領を超えて。
  ・ 評価規準表の再点検と活用
    一度つくればそれでいいというものではない。
2 単元別評価の実践
(1)評価観。基準表の条件
  ・ 観点ごとの規準であること。
  ・ 精選された項目と具体的勝つ簡潔な表現
  ・ 評定段階(基準)の違いと明確化
  ・ 活用され,改善されること
(2)単元別テストの条件
  ・ 評価規準に対応づけた設問……テストと評価規準は一体のもの。自作
  ・ 観点の重み付けはあるか,難易度はどうか,配点は適切か
  ・ 実用性……実施の簡便性,データ処理の簡便性
  ・ 形成的評価としての活用……目標に到達したかどうか。補充・発展学習への活用
(3)「関心・意欲・態度」評価の条件
  ・ 教科特性を重視した視点で。 
  ・ 学習に結びついた徴候のみを評価する。
  ・ 小刻みではなく,ロングスパンで。単元全体で。
  ・ 客観的資料の重視……「問題づくり」や「ワークシート」などを活用。
    「問題づくり」→福井県中教研数学部会の実践がよい。
     (評価の視点)問題にオリジナル性があるか/問題を2問以上つくっているか
     /自分の生活に密着した題材を選んでいるか/自分の問題に正しい解をつけ,
     解の吟味をしているか/問題に数学的な工夫を加えてあるか
     (評価基準)3つ以上○…A  1から2つ○…B  なし…C
    「ワークシート」→同上
     (評価の視点)グループの発表を発表順に羅列してある…B  
            つながりや根拠を考えて工夫してまとめてある…A
  ・ 評価事例の検討会……眼力がつく。
3 目標準拠評価と個人内評価の組み合わせ
(1)発展的学習における学力
  ・ PISA型学力……現実文脈の把握能力と知識・技能の活用能力
  ・ 発展的学習の中で伸ばす力  
     AとC……基礎・基本(すべての子に達成させたい。)
     BとD……発展(個性ある学び)
     AとB……目標(個人・集団)準拠評価
     CとD……個人内評価(進歩の量
  ・ 個人の優れているところ)
    B……発展的学習の評価
    D……その子の中の優れている部分
(2)求同求異論による学習評価の分類
  ・ 集団目標準拠評価……基礎・基本の徹底をめざす学習の評価
  ・ 個人目標準拠評価……発展的学習などの個人ごとの目標を評価する
  ・ 横断的個人内評価……到達レベルではなく,進歩に度合いを指標した評価
  ・ 横断的個人内評価……発展的学習など,個人内の卓越性を主とした評価
 *これらを意識した多彩な評価を展開することで,その子の学びを総合的にとらえるこ
  とができる。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
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[1]「評価」についてもう一度考える
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
 評価活動,いまくいっているでしょうか。
 私は,立場上全学級の成績一覧表に目を通していますが,まだまだ?と思わせられてし
まいます。
 どの学校も評価基準を作成していると思います。
 それがどの程度生かされているでしょうか。
 大切なことは,毎時間の評価です。
 この累積がなければ正しい評価なんて,とてもできないでしょう。
― これからの評価のポイント ―
● 新しい学力感の継続と発展
  平成元年の学習指導要領改訂のスローガン「新しい学力観」。これまでの評価の観点
 の順を逆にしたことが特徴です。
  新しい学力観に基づく学習とは,加藤明氏(京都ノートルダム大)の言葉を借りると
 「これまで10教えていたことは7でよいのであり,基礎・基本にあたる7をしっかり
 と教えて徹底させるだけでなく,これまでの3あるいはそれ以上を自ら見つけていく学
 力を目指す。」
  ということになります。
● 評価規準の設定とそれに基づく実践の展開
  「規準」と「基準」の違いがたびたび問題とされます。氏はこの疑問に対し,
  「教科内容の価値から見て,実現が目指される到達基準を評価基準とする評価から,
 さらに一歩具体性と明確性において踏む込み,
  『このようなレディネスを有するこのような実態の目の前の子どもたちに,このよう
 な活動によって,このように指導を展開するとき,担任としての指導者が実現を目指す
 べき具体的で明確かつ個別性の高い到達基準』が評価規準である。」
 と定義づけています。さらに氏は,
  「換言すれば,評価基準よりも,目の前の学習者への共感的理解の上に立っての,よ
 り適切なピンポイントの指導と評価のために機能する評価基準という位置づけである」
 と言及しています。
  読者の皆さんも,これで二語の違いが氷解されたのではないでしょうか。
● 形成的評価を駆使した新しい学力観に立つこれからの指導のあり方
  このことに関して,私たちの概念を転換させるようなことを言われています。
 「わかった,できたという“知識・理解”“表現・処理(技能)”の観点からの評価が
 上がらないのに“関心・意欲・態度”が高まることはあり得ないのであり,“ものの見
 方・考え方”や“思考力・判断力”などの成果が上がってこそ情意の観点からの目標の
 実現が可能になるといったとらえ方に立ち,形成的評価を駆使して学習の成果を上げる
 ことに努めること。」
 知識・理解がなければ,関心や意欲は持てないということになります。
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 登場したときには「何だ,これは。字が違ってるぞ」と思ったものです。「規」「基」
はどう違うんだろうと,辞書を引いたことを思い出します。基準は「ものごとを判断する
ときの拠り所」,規準は「何かを行うときに手本や標準とすべきもの」と出ていました。
 評価規準について,氏の言う「指導者が実現を目指すべき具体的で明確かつ個別性の高
い到達基準」の中の「個別性の高い」に注目すべきだと思います。
 今までの評価基準はだれもが目指さねばならない到達目標を元に設定されていました。
学校によってはこれを相対評価を加味した絶対評価という手法で評価しています。
「個別性の高い」となると,完全に絶対評価となってきます。個々に「具体的で明確かつ
個別性の高い到達基準」を設定する必要が生まれてきます。
 これはたいへんだというのが現場の率直な感想でしょう。
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[1]目標分析の考え方に基づく評価方法の試行
−指導と評価の一体化の授業構想と実践− その2
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 前回に続いて2回目です。今号で終了となります。
 今回も添付資料は省略してあります。資料をご希望の方,連絡ください。
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目標分析の考え方に基づく評価方法の試行
−指導と評価の一体化の授業構想と実践−
2.授業実践例
 (1) 毎時間の目標(めあて)を示す
   学習・評価計画表をもとに作成した「4)児童自己評価表」(資料4参照)から,子
  どもたちは単元全体の見通しを持つことができる。また,毎時間の評価項目が具体的
  に示されているので,今日の授業で何ができればよいのか,正しく把握することがで
  きる。自己評価表は,毎時間後回収し,直ちに目を通し,大きな問題がなかったかを
  確認する。さらに昼の放課や授業後,一人ひとりの状況をチェックし,気になること
  があれば,「3)学習計画・評価計画表」の「児童の様子」欄に記録しておく。これら
  のことにより,子どもが今日の学習をきちんと理解できたかどうか適切に自己評価で
  きるようになった。資料4のMYの自己評価表を見ると,第2時と3時に未到達評価
  をしている。また,学習を終えての感想でも「表のつくりかたがよくわからなかった
  し,比例しているわけなどがわからなかった」と述べている。この理由として,MY
  は「今日なにができればいいのかがわかりやすくて,毎時間ふり返りカードをつける
  ことで自分ができたところとできないところがよくわかったからです」と振り返って
  いる。そして,子ども自身の自己評価と教師から見た子どもたちの理解の様子を毎時
  間合わせてみることで,子どもの理解の状況を把握しやすくなり,同時に次時の学習
  改善に役立てることができるようになった。
 (2) 未到達が予想される児童への支援の手だてを事前に考える
   学習計画と評価計画を立てる際,毎時間ごとの目標に到達できそうにない子に対す
  る手だてを事前に考えておく。未到達の場合を予測して授業に臨むため,よりきめ細
  やかな授業展開が可能となり,個への対応も的確にできる。レディネス調査(4・5
  年で学習した「変わり方」に関する問題や本単元の導入時に使う2つの量の変わり方
  のきまりを問う問題などをペーパーテスト)を実施し,学習内容が未到達になりそう
  だと予想する児童に対し,表の変化の仕方に気づかない子にはこのような手だてを,
  表の作成が困難な子にはワークシートを使った支援を,など,計画的な支援の手だて
  をあらかじめ学習計画と評価計画表に記載しておく。
   ただ,今回の実践では,比例の学習に取り組む以前の既習学習内容が身についてい
  ない子(たとえばわり算・かけ算が未習熟である子,ともなって変わる2つの量とい
  う概念が理解しにくい子)などへの支援が不十分であった。このことはレディネス調
  査以前に把握できていた。このことまでもふまえた全体計画を立てる必要性を感じ
  た。実際の授業では,そのような子に対しては,個別指導で九九の学習をしたり,わ
  り算の暗算を指導したりという別メニューで対応した。
 (3) 毎時間の記録を残す(資料5参照)
  「3)学習計画・評価計画表」に「児童の様子(未到達が予想される児童を中心に)」
  という欄がある。毎時間の授業終了後ただちにこの欄に記入しておく。毎時間の記録
  を残すことで,子どもたちがどこでつまずき,それがいつ修正されたのか,どのよう
  な手だてが有効であったかを把握するためである。そしてそれをもとに,次時の支援
  をさらに工夫することにより,つまずきが認められた児童に対して早期に支援するこ
  とができた。
(4) つまずきが認められた児童に対し,個別指導を行う
   あらかじめ未到達が予想される児童への支援を考えているため,つまずきが認めら
  れた児童を早期に見つけて支援することができた。これにより,意欲が低くなってし
  まうことを抑えることができた。到達した子がドリル問題に取り組んでいる間に個別
  指導を行ったり,到達した子がコーチとなって友達同士で学びあったりして,わから
  ないまま授業が終わることがないよう心がけた。また,「わかりたいむ(全校一斉に
  木曜第5時に設定している補い学習の時間)」に習熟度別の復習を実施したり,授業
  間の放課など,いつでも質問できる環境をつくり,わからない問題をそのままにしな
  いように心がけた。必要であれば6限終了後,下校時刻までの間に質問の時間をとる
  などの手だてをとった。
(5) 授業の終わりに児童が自己評価する
   ふり返りカードの評価項目が具体的であり,授業後のふり返りが抵抗なく行われて
  いる。自己評価の結果も教師の評価とほとんど一致しており,適切に自己評価できて
  いる。なかには,できたことの喜びから,自己評価を楽しみにする姿も見られた。め
  あてをもって主体的に学習に取り組んだことが大きく作用している。
(6) 友達同士で考えを確かめたり,広げたりする場を設ける
   子ども同士で教え合ったり,考えを確かめあったり広げたりする場面をできるだけ
  設定し,お互いに学びあう姿勢を大切にした。問題が解けたら友だち同士で答を確か
  め合ったり,授業の終末でのドリルなどを使った定着学習の場面で,早くできた子を
  コーチとしたりすることにより,「理解できた」という達成感を味わったり,積極的
  に教師に質問する姿も多く見られるようになった。
3.成果と課題
(1) すでに述べた以外の成果
  ア 授業前に本時のめあてを明確に知ることにより,どの子もそれをクリアしようと
   する意欲が高まった。
  イ ふり返りカードの評価項目が具体的であるため,ふり返りが抵抗なく行われてい
   る。自己評価の結果も教師の評価とほとんど一致している。
  ウ 単元終了時に全項目を再評価させたところ,その時はわからなかったが今はわか
   る,という子が多数いた。できなかったことができるようになったと自覚すること
   で自信をもつことができた。
(2) 課題
ア 作業に非常に時間と労力がかかる。
  イ 授業の流れの中で,毎時間の評価の具体的な手だてをどうするか。
  ウ 自己評価は,毎時毎時の学習が理解できたかどうかの評価にとどまり,連続的な
   評価という点で問題が残った。また,自己評価結果と単元テスト結果を合わせて評
   価するなど,評価活動にどう活かしていくか工夫が必要である。
  エ 少人数指導はどう生かしていくか,習熟度別指導はどう機能させていくか。
(3) 実践を終えて
   試行した方法で正確な評価は可能となるものの,そのために費やす時間は他の何か
  を犠牲にしなければならない。我々現場の教師にとって,実際的な方法とは言えない
  であろう。実際にやってみて,評価する力がついたとは言うものの,子どもたちや保
  護者に対して責任を持って正確な目標準拠評価をすることの困難さ,そして限界を感
  じた実践であった。
   なお,目標分析の考え方は福岡大学陣川桂三氏の考え方を参考にさせて頂いた。
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[1]目標分析の考え方に基づく評価方法の試行
      −指導と評価の一体化の授業構想と実践−  その1
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 指導と評価の一体化を,いっそう確実にやってみたい。そんな意図から取り組んだ実践
です。以下は,図書文化社の雑誌「指導と評価」の依頼で書いた原稿です。添付資料は省略してあります。
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                  目標分析の考え方に基づく評価方法の試行
                  −指導と評価の一体化の授業構想と実践−
1.指導と評価の一体化の授業構想
  私の勤務校では,どの子にも学力をつけることをねらい,「指導と評価の一体化」に
 力を入れてきた。平成15年度より「目標分析に基づく評価を生かした授業実践」をテ
 ーマとして,指導目標にこだわった評価活動を試みた。
【実際に行った授業構想の方法】
 (1) 毎時の目標(めあて)を具体的に示す。
 (2) 未到達が予想される児童への支援の手だてを事前に考える。
 (3) 毎時間の評価記録を残す。
 (4) つまずきが認められた児童に対し,ただちに個別指導を行う。
 (5) 授業の終わりに児童が自分の学習を自己評価する。
 (6) 友達同士で考えを確かめたり,広げたりする場を設ける。
  以上の組み立てに基づいた授業を展開するためには「1)目標分析」「2)目標時系列
 表」「3)「学習・評価計画表」「4)児童自己評価表」の四点セットが必要である。なか
 でも「1)目標分析」は学習指導要領解説編,教科書指導書,そしてレディネス調査のた
 め該当学年以前の教科書までも用意し,あちこちページをめくりながらのきわめて細か
 で複雑な作業となる。しかしこの手順を経由しなければ,後に続く2)3)4)を作成できな
 い。
  本稿では,前記(1)〜(6)の授業構想に基づいて作成する1)〜4)の作成方法と活用の実
 際を,6年算数「比例」の実践例をまじえて紹介したい。
  勤務校では,算数にしぼって取り組んだが,結果的には各学年で年間1実践に終わっ
 てしまった。多忙な中で2実践以上は望めなかった。しかし,私を含めて実践者はみな
 「1回やってみるだけで評価の手法がイメージとして頭に残り,他の実践においても評
 価の見通しが立ち,今まで以上にスムーズに評価に取り組めた」という感想をもった。
 どんな教科でもいい,1年に1単元でもやってみると,単元の構造がしっかり把握でき
 る,いつ・どこで・どう評価すればよいかが見えてくる,授業改善能力が身につくと考
 える。
 1) 目標分析・目標分析表(資料1参照)
   実践を重ねるにつれて,思うようになってきたことがある。それは「目標」にもっ
  とこだわる必要がある,ということである。「目標あっての評価」という,目標のも
  つ重要性に今さらながら気づかされたのである。
   学習の目標設定は,学習指導要領の該当箇所,教科書の指導書に書かれている目
  標,そして自校の評価規準を熟読,玩味することから始まる。指導書に書かれている
  目標(いわば「与えられた目標」)をそのまま流用するのではなく,学校や児童の実
  態などを勘案して目標を自校化するという作業である。この作業では,目標の一言一
  句にこだわりながら,観点別に可能なかぎり子どもの姿で見える形に具体化させる。
  目標が具体的であればあるほど評価もしやすい。これを一覧表にしたものを「目標分
  析表」と呼んでいる。
 2) 目標時系列表(資料2参照)
   次に,「目標分析表」を指導時系列で並べ替える。時系列で配列しておけば,毎時
  間の評価も明確になり簡単になる。
 3) 学習・評価計画表(資料3参照)
  「目標時系列表」をもとに「学習・評価計画表」を作成する。
  ア)この計画表には「未到達が予想される児童への支援計画」という欄がある。レデ
   ィネス調査から未到達が予想される児童への支援を事前に考えておくのである。
  イ)さらに「毎時間の評価」と「次時への授業改善」という欄がある。目標時系列表
   に示された目標にしたがって,毎時間の評価をし,次への改善を考えていくのであ
   る。
 4) 児童自己評価表(資料4参照)
   これに並行して,自己評価活動も重視する。目標分析しておけば,いつ,どの場
  で,何を評価すべきが明らかになる。これがそのまま子どもたちの学習のめあてにな
  り,自己評価の視点にもなる。児童は毎時間の学習のめあてが記載された「自己評価
  表」を持っており,それにより学習の見通しを立て,毎時間の自己評価をする。

 *以下,次号に続く
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「目標分析」の手法に基づく「指導と評価の一体化」 
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  私の勤務校では,どの子にも学力をつけることをねらい,「指導と評価の一体化」に力
を入れています。これを進めて行くにつれて,思うようになってきたことがあります。
 それは「目標」にもっとこだわりをもつ必要がある,ということです。つまり「目標あ
っての評価」という,目標のもつ重要性に今さらながら気づかされたのです。そんなこと
当たり前,と言われそうですが,あらためてこだわりを持っていただきたいのです。
 そこで,目標設定にあたって,指導要領の該当箇所,教科書の指導書に書かれている目
標,そして自校の評価規準を熟読,玩味することにしました。指導書に書かれている目標
(言わば「与えられた目標」)をそのまま流用するのではなく,学校や児童の実態などを
勘案して目標を自校化するという作業です。これには児童のレディネス調査が重要な意味
を持ってきます。
 この作業では,観点別に目標を可能な限り子どもの姿で見える形に具体化させます。目
標が具体的であればあるほど評価もしやすいというわけです。そして,次にこれを時系列
で並べ替えます。時系列で配列しておけば毎時間の評価も簡単,という考え方です。
 目標を分析したものを「目標分析表」,時系列で並べたものを「単元のマトリックス」
と呼んでいます。そして「マトリックス表」をもとに,「学習・評価計画表」を作成しま
す。この表には「未到達が予想される児童への支援計画」という欄があります。レディネ
ス調査から未到達が予想される児童への指導を頭に置いて授業に取り組むわけです。もう
一つ「毎時間の評価」と「次時への授業改善」という欄もあります。マトリックス表に示
された目標にしたがって,毎時間の評価をし,次への改善を考えていくのです。
 これに並行して,自己評価活動も重視しています。目標分析しておけば,いつ,どの場
で,なにを評価すべきが明らかになります。これがそのまま子どもたち自身の自己評価の
視点,学習のめあてになるのです。児童は毎時間の学習のめあてが記載された「自己評価
表」を持っており,それにより学習の見通しを立て,毎時間の自己評価をします。
 以上が勤務校の「指導と評価の一体化」の取り組みです。しかし,実際に取り組んでみ
ると「目標分析表」から「マトリックス表」,「学習・評価計画表」の作成まで,非常に
時間と労力がかかりたいへんです。また,授業の流れの中で,毎時間の評価の具体的な手
だてをどうするか,少人数指導はどう生かしていくか,習熟度別指導はどう機能させてい
くか,など,問題が山積しています。今後,これらの問題点を一つ一つ実践をとおして解
決していく取り組みを進めていきたいと考えています。
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[1]「指導と評価の一体化」を目指した授業の構想(私の勤務校での実践例)
       〜子どもが変わったと感じる授業を目指して〜
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  私の勤務校では,2学期制導入の大きな理由の一つとして「指導と評価の一体化」
 が効果的に推進できる,という点をあげています。
  どの子にも基礎的・基本的な学力をつけたいという願いから取り組みはじめた「指
 導と評価の一体化」です。この実現を目指した取り組みを紹介します。2年目の若い
 教師の実践です。実践部分の詳細がありませんが,ご了解ください。
  5年算数「面積」での実践です。
  テーマ:「指導と評価の一体化」を目指した授業の構想
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1 テーマ設定の理由
  本校では算数の授業で少人数指導が取り入れられ,個に応じた指導を工夫している。
 本学級では,単元に応じて習熟度別グループと等質2グループを使い分けて実施してき
 た。少人数であるため,ほかの授業ではなかなか質問することができなかった子も,わ
 からない問題を積極的に質問するようになったり,自ら問題を解決しようと取り組む姿
 が多くみられるようになってきた。また,グループ学習の場では,早く問題を解き終わ
 った子がまだ悩んでいる子に支援をするなどの手立てをする様子も,一部で見られるよ
 うになってきた。
  子どもたちは,単元の最後に自己評価カードによって,めあてを達成することができ
 たかを自分で確かめる活動をしている。しかし,めあてが具体的でなかったり,教師側
 の子どもの実態把握が徹底していなかったたりしたために,子どもたちの自己評価につ
 いて疑問に感じるところが出てきた。また,新しい単元に入る以前に必要な力をつける
 ことができているかどうかという実態把握が甘かったために,個に応じた指導が徹底せ
 ず,学習内容が未到達の児童が出てしまった。そこで,以下の2点を重視し,算数の授
 業を構成した。
  1)子どもたちが学習の結果を正しく自己評価できるよう,学習の見通しを持たせたり
   毎時間のわかりやすいめあてを設定するなど,自己評価能力の育成を図る。
  2)レディネス調査を実施し,学習内容が未到達になりそうだと予想する児童に対し,
   計画的な支援の手立てを考える。
  少人数指導の導入により,子どもたちの算数の授業への意欲が高まってきた。どの単
 元についてもいえることは,子どもたちが「わかる」と感じられることが,子どもたち
 の意欲の向上につながっていることである。教師が子どもたちのつまずきを適切に把握
 し,適切な指導を行い,同時に子ども自身が正しく自己評価することで,確かな学力を
 身につけていくことができると考える。
2 テーマに迫る基本的な考え方
    ―「指導と評価の一体化」を目指した授業の構想―
  以下の5点の手立てを実践することを通して,目指す子どもの姿を導く。
(1)レディネス調査を行い,実態を把握する。
  ・ 本単元に入る前のレディネスを把握する。十分でなければガイダンスを行う。
  ・ 未到達が予想される児童についての対応を考える。(別紙)
(2)毎時間,学習のめあてを確認し,自己評価を行う。
  ・ 子どもたちに1時間の授業の中で身につけさせたい力をわかりやすく提示し,自
   分自身でそのめあてが達成できたかどうかを評価できるようにする。
(3)短いスパンで未到達児をチェックする。(毎時間のチェック表)
  ・ 授業中の問題を解く姿を見ていて,授業のめあてを理解できない様子であれば,
   授業時間内に個別で指導し,その授業内での理解を目指す。
  ・ 子ども同士が教え合う時間を設定し,教師以外にも教えてもらえる環境をつく
   り,お互いに学びあう姿勢を大切にする。
  ・ 「わかりたいむ」や授業間の放課など,いつでも質問できる環境をつくり,わか
   らない問題をそのままにしないように心がける。また,必要であれば授業後に質問
   の時間をとる。
(4)単元終了後の評価を行う。
  ・ 教師の指導が適正であったかどうかを教師が自己評価し,授業に生かす。
  ・ 学習内容が未到達の児童への支援と原因の追究。
(5)補い学習・プリントでの支援
  ・ わからない問題をそのままにせず,納得するまで取り組む姿勢を支援する。
3 実 践  ―5年「面積」の単元での実践例―
 ■単元目標の具体化
  指導要領に定められる目標をもとに,より具体化しためあてを設定する。
 《具体化した単元目標》
  1)具体物を用いる等,操作学習を取り入れ,楽しみながら学習することができる。
                              (関心・意欲・態度)
  2)習った内容をもとに,問題を作ることができる。(思考・判断)
  3)公式を自由に使いこなすことができる。(表現・処理)
  4)公式を利用し,四角形や三角形の面積を求めることができる。(知識・理解)
 ■本単元での少人数指導のあり方
  ・ 等質2グループでの学習を導入する根拠
    上に示しためあてを設定したとき,この単元のクラス分けは,習熟度別でなく,
   等質グループで取り組むことで,学習成果が上がるのではないかと考えられた。
   理由1:問題を自分で作り,友だち同士で解き合い,教え合うなかでそれぞれの
      「考える力」をさらに伸ばしていくことができる。
   理由2:レディネステストにおいても,「考える力」が他の観点に比べて低いこと
       が確かめられている。公式を使って問題を解くことばかりでなく,自分で
       問題を作ることを通して,考える力を高めていくことができる。そのため
       に,いろいろな考え方が出やすい等質グループにわける必要がある。  
   理由3:レディネステストの結果より,これまでの図形分野の学習が苦手である子
       が認められた。その子たちへの個別指導の時間が十分とれる。  
    以上の点から,本単元で等質グループでの学習を取り入れた。
 ■未到達が予想される児童への手立てを考える。
   その場で直ちに対応できるよう,手立てを考えておく。
     @具体物,操作活動による支援  Aグループ(ペア)内での支援
     B個別指導による支援
   どの場面で,どの支援が有効かということをあらかじめ予測し,その場での思いつ
  きの指導ではなく,計画的な支援をすることができるようにする。
 ■毎時間の教師のチェック表
   毎時間子どもたちにわかりやすいめあてを示す。未到達の児童に対して,どのよう
  な支援をし,どのような成果が得られたかということを記録する。授業時間内で,学
  習内容が十分達成できなかった児童に対し,補充学習を行うための資料として活用す
  る。
 ■子どもの自己評価
   子どもたちが自己評価できるような学習の組み立てを考えて取り組んだ。
4 成果・反省
(1)毎時間の手立ての工夫と成果
  ・ めあての具体化・・・子どもたちも,めあてがわかりやすくなったことで,自分
   が今日の学習をきちんと理解することができていたのか適切に判断することができ
   るようになった。これまでもめあての具体化を心がけてきたが,子ども自身の把握
   と,教師から見た子どもたちの理解の様子を毎時間合わせてみることで,子どもの
   実態を把握しやすくなった。
  ・ チェック表を利用した支援・・・毎時間の記録を残すことで,子どもたちがどこ
   でつまずいているのか,どのような手立てが有効であったかを把握しやすくなっ
   た。
   前時でつまずきが認められた児童に対し,早期に支援をすることができ,わからな
   いことで,意欲が低くなってしまうことを抑えることができた。学習内容が到達児
   がドリル問題に取り組んでいる間に,授業時間内で個別指導を行っていくことで,
   わからないままにしない支援を心がけることができた。
  ・ 補充学習の取り組み・・・始めは,教師が未到達の児童に声かけをし,補充学習
   に取り組んできた。また,時間も教師が設定していた。しかし,めあてをわかりや
   すくしたことで,だんだん自分でめあてが達成できなかった児童が自分から質問に
   来ることができるようになった。もちろんこれまでも授業内での質問はできていた
   が,授業後や,授業以外の時間を自分で指定し,質問する児童はほとんどいなかっ
   た。空いている時間をみはからい,自分から教師にアプローチする姿からも,わか
   りたいという気持ちが高まったことが感じられる。
  ・ グループ(ペア)での活動を取り入れた支援・・・友達同士で認め合う,考えを
   確かめ合ったり,広げたりする姿が確実に多く見られるようになった。また,自分
   で問題を作ることができなくても,ペアの友達やグループの友達と一緒に考え,共
   同で活動することで,意欲を高めることができた。これまでの実践の反省として,
   未到達の児童が教えられる一方となり,意欲が低くなってしまうことがあった。こ
   の単元では,何をするかわからない,どうしたらよいかわからない,という児童が
   いなくなるように心がけ,支援することができた。自分で問題を作成することがで
   きなかった児童も,自分も一緒に考えることができた,友達に教えてもらって理解
   することができた,という達成感を味わうことができていた。教えられる立場では
   なく,積極的に聞こうとする姿も育ってきている。
(2)反 省
  ・ 子ども同士の学び合う姿を育てようと構想したグループ学習であったが,実態把
   握をする上でマイナス点も見つかった。未到達の児童も,グループの子と協力して
   問題を作ったり,教えあって問題を解いたりするなかで,意欲が低くなることなく
   活動することができたのは確かである。しかし,それは本当にその子自身の力でな
   く,支援あっての理解であった。それを把握するのが遅かったために,単元終了後
   にも未到達のままの児童ができてしまうことになった。
  ・ 今後の課題として
    少人数指導を導入する際に,これまでに考えてきたような,習熟度別の学習,等
   質グループでの学習以外にも,その単元にあったさまざまな方法を,有効的に取り
   入れる必要がった。単元を通して,同じ学習形態でのぞまなくても,単元途中の子
   どもの実態や単元の特徴などをよく把握し,途中から学習形態を変えることも必要
   であったと感じる。
                             ― 以 上 ―
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[2]「自己評価表」 6年算数 ― 比 例 ― での例
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 自分は何ができて,何ができないのか,自分のことを知るというのは意外と難しいこと
です。自己評価能力―大事だとわかってはいても,いざ育てるとなると・・・。
 算数の授業で取り組んでみました。私は6年生の算数少人数指導を担当しています。実
験的に毎時間ふり返りをさせて,自己評価の育成に取り組んでみました。以下の項目は実
際は第1時から第9時までが表になっており,毎時間三段階評価でふり返るようになって
います。教科書は啓林館です。
 末尾に実施後の感想も掲載しておきました。

6年 算数  ― 比 例 ―
〈学習のめあて〉
 ○伴って変わる2つの量について,どんな変わり方をしているか進んで調べることがで
  きる。
 ○比例とはどういうことかわかり,2つの量が比例しているかどうか判断することがで
  きる。
 ○ 比例のグラフをかくことができる。
 ○ 比例のグラフを読みとることができる。
  ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
 A:関心・意欲・態度
  ・2つの量の変わり方に興味を持ち,進んで調べようとすることができた。
  ・P79の表がどんなきまりで変化しているか進んで見つけようとすることができた。
  ・伴って変わる2つの量(時間と水の深さ)が比例しているかどうか進んで調べよう
   とすることができた。
  ・はがきの枚数と払う金額など,身のまわりから比例している2つの量を見つけ出す
   ことができた。
  ・比例のグラフのよさに気づき,進んでグラフをかくことができた。
  ・比例のグラフのよさに関心をもち,問題を解くのに進んで役立てようとすることが
   できた。
 B:数学的な考え方
  ・P80の表を見て,時間×2が深さになっていることや深さを時間で割るといつも2
   になっていることを見つけることができた。
  ・表を見ながら,どういうときに比例していると言えるのか答えることができた。
  ・伴って変わる2つの量が比例しているかどうか理由もつけて答えることができた。
  ・・原点を通るわけや,右上がりの直線になるわけを考えることができた。
  ・2本のグラフが交わった点にはどういう意味があるのか考えることができた。
 C:技能・表現
  ・P78の絵を見て,それぞれどのような変わり方をするか見つけることができた。
  ・P79の表から変わり方のきまりを見つけることができた。
  ・P84の例題で,時間の値を0,1,2,3,4ととり,深さの値を求めてグラフをかくこと
      ができた。
  ・P85の例題で,時間の値を0.5,1.5,2.5ととり,深さの値を求めてグラフをかくこ
   とができた。
  ・P86の例題「長さと重さの関係」を式に表すことができた。
  ・P87のグラフから分速1.5kmの電車の走った時間と道のりを読みとることができ
      た。
  ・比例のグラフをかいたりよんだり,それを使って問題を解いたりすることができ
      た。
  ・時間と道のりの2本のグラフを見て,追いつき,追い越していく様子を読み取るこ
      とができた。
 D:知識・理解
  ・比例関係では,一方が2倍,3倍になると,もう一方も2倍,3倍になっているこ
      とがわかった。
  ・2つの量が比例しているかどうかの調べ方がわかった。
  ・伴って変わる2つの量の関係を表す表の見方がわかった。
  ・時間と水の関係をグラフに表す方法がわかった。
  ・長さと重さの関係をグラフに表すことができた。
  ・比例関係を表すグラフのよみ方がわかった。
  ・比例のグラフとその他のグラフのちがいや交わった2本のグラフの読み取り方がわ
      かった。
《実施後の感想》
■ 時間前に本時のめあてを明確に知ることにより,どの子もそれをクリアしようとする
 意欲が高まった。
■ ふり返りカードの評価項目が具体的であるため,振り返りが抵抗なく行われている。
 自己評価の結果も教師の評価とほとんど一致している。適切に自己評価できている。
■ 自分で自分の学習を診断する楽しさを味わったようで,自己評価を楽しみにする姿も
 見られた。
■ 未到達が予想されている子に対する手だてを事前に考えているため,場面に応じて素
 早い対応ができ,きめ細やかな授業展開ができ,個への対応も的確にできた。
■ 単元終了時に全項目を再評価させたところ,その時はわからなかったが今はわかる,
 という子が多数いた。できなかったことができるようになったと自覚することで自信を
 持つことができた。
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[1]これからの評価に欠かせない「自己評価」
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 子どもたちに学力をつけるための手だてとして「指導と評価の一体化」がさかんに叫ば
れています。このことについて私が「教材開発誌」7月号に書いたものを掲載します。ま
ずはお読みください。
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 評価には三つの側面がある。A.教師がする子どもの評価,B.子どもがする自分(たち)
の評価,C.教師がする教師の評価、以上3つである。「指導と評価の一体化」と言った場
合の評価は、これら3つの評価が一体となって実施されなくてはならない。
 A.の評価(いわゆる成績をつけるための評価)のみを中心視する教師は未だ多い。B.は
子どもたちの自己評価、相互評価であり、C.は教師の自己評価である。
 子どもの学習状況の評価は、学習目標の到達状況をとらえる( A)と同時に、指導方法
が適切であったかどうかをチェックし、指導の改善に生かさねばならない( C)。
 また、実施するにあたっては、長いサイクル(単元ごと)と短いサイクル(毎時間)の
評価を考えねばならない。毎時間の学習指導において、子どもたちの学習状況を細かく見
取り、その時間の目標に到達できなかったと判断される子には適切な補充指導を行う、ま
た、本時の自分の指導はこれでよかったのかをふり返るなど、以後の指導に生かす評価を
行うことが授業を改善し、そして授業の力量を高めていく。
 また、B.の児童の自己(相互)評価も大切にしたい。評価は教師だけがするものではな
い。児童にとっては、自らの学習状況を知り自分を見つめ直すきっかけとなり、その後の
学習意欲を高めるという目的もある。
 ……………………………………………………………………………………………………
 この3つの評価で,もっとも重要視したいのはB.の児童の自己(相互)評価である,と
最近考えるようになりました。
 教師が子どもを評価して,力がついたかどうかを判断し,目標を達成できなかった子に
対して手当をします。これが評価の側面の1つです。
 しかし,目標を達成できたかできなかったかを,子ども自身が適切に評価できればこれ
に勝る評価はないと思うのです。これができれば「授業改善」という評価の2つ目のねら
いも満たすことができます。
 このためには,子どもが自己評価できる授業をする必要があります。もっとも簡便な方
法は「授業開始時に今日の学習のめあてを知らせ,終了時にふり返らせる」というもので
す。私はこれを実際にやっていますが,継続して実践するとかなりの自己評価力がつきま
す。時間がかかると言われる方には,挙手ですませる方法もあります。たったこれだけの
ことですが,まずはやってみることです。
 参考までに,大阪教育大の田中博之氏の「総合的な学習における自己評価力」について
の考え方を紹介します。
 ……………………………………………………………………………………………………
 自己評価力には次のような8つの下位能力が含まれていなければならない。これは課題
設定から友達との相互評価や自己改善まで含めた広義の定義づけになっている。
 □ 自分の学習課題を適切に設定することができる。
 □ 自己成長課題を適切に設定することができる。
 □ 既成の観点にしたがって自分の学習成果を評価することができる。
 □ 自己設定した観点にしたがって自己の成長を評価することができる。
 □ 自分の長所や学習成果をより伸ばすための方法を考えることができる。
 □ 自分の短所や学習の不十分な点を改善する方法を考えることができる。
 □ 他者からの評価を参考にして客観的な自己評価をすることができる。
 □ 自分の得意なことや自信が持てることについて自覚することができる。
 この定義の中に、課題設定を入れたのは、自分の問題解決や自己成長にとって何が適切
な課題であるのかを判断する力も評価力であると考えたからである。また、学習成果とい
う用語は、必ずしも学年や単元の終了時というように考えずに、単元途中での中間評価も
設定可能であるから、常に過程にあるものというようにみなすことが大切である。
 このような下位能力が明らかになることによって、それぞれの力を、総合的な学習の各
単元において、さまざまなシートやカード、そしてビデオカメラやコンピュータなどのメ
ディアを用いて意図的・計画的に育成することができるようになるのである。
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[2]“目標分析”と有田氏の「絶対評価の到達基準作成“何が問題になるか”」
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 古い資料ですが, Vol.008で紹介した,有田氏の「絶対評価の到達基準作成“何が問題
になるか”」を読み直してみました。
 ……………………………………………………………………………………………………
  到達目標は学習指導要領を忠実に具体化した教科書に求めるのが得策であるし,一般
 的である。教科書の「内容・方法」を分析し,それをもとに単元ごと(又は時間ごと)
 の到達目標を作成する。
   到達具合に応じて,5〜1というランクづけをしていたのが,今回は到達目標に達す
 れば全員5ということもありうる。この時3つの問題が出てくる。
  1 到達目標がクラスや教師によって異なるということがありうる。
    きちんとしたカリキュラムをつくり,単元ごと(又は時間ごと)の目標を決める
   必要がある。「目標・内容・方法」がきちんと盛り込まれたカリキュラムを作成す
   ることである。
  2 これまでは教科書をきちんと教えていればよかったが,今後はそうはいかない。
    これまでの学習指導要領は到達目標(標準)であったが「最低基準」となったか
   らである。カリキュラムの中に発展的学習のための「目標・内容・方法」を盛り込
   まねばならない。
  3 標準化された学力テストのようなものを実施する必要がある。
    ほんとうにその学年の目標をクリアできたのか,どの程度なのかが分からない。
 ……………………………………………………………………………………………………
 以上のことを実現させるために欠くことのできない要件は,実は目標分析ではないでし
ょうか。全国どこでも一般的な教材は「教科書」でしょう。氏の言われるように「教科書
の内容・方法を分析し,それをもとに単元ごと(または時間ごと)の到達目標を作成」と
いう点はまさに目標分析です。指導要領解説編に記述されている「目標」「内容」「内容
の取り扱い」を熟読し,そして教科書指導書を分析するという手順がぜひとも必要です。
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[1]「目標分析」 ―指導要領・評価規準”を読み解くことから始まる―
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 指導要領の教科別解説編を熟読したこと,ありますか?ぜひ一度読んでみてください。
後日ここでも扱いたいと思っています。
 さて,目標分析について,まず取り組むこと,それは指導要領・評価規準を読み解くこ
とです。今回は評価規準を読み解く場合についての例を紹介します。
 ご意見,お待ちしております。
 ……………………………………………………………………………………………………
■ 単元の評価規準を分析する  ― 5年社会科「日本の水産業」―
  一言一句にこだわりを持って解釈していきます。実際に指導するときどうするの?
という発想です。
( )内が分析です。例として,各観点1項目だけ分析してみました。
〈関心・意欲・態度〉  
 ・ わが国の水産業の様子に(どんな「様子」に関心を持たせたいか)関心を持ち,
  (何にどんな「関心」を持たせたいか。また「関心」を持ったかどうか,どう判断
  するか),それを意欲的に(どのような行動が見られたとき「意欲的」ととらえる
  か)調べ(調べる対象は何か。どんな方法で調べさせたいか),考えながら追究
  (「考えながら」の姿を具体化させる)しようとする。
〈社会的な思考・判断〉
 ・ 水産業の様子(どんな「様子」を押さえねばならないか)から問題意識を持ち
  (どんな「問題意識」が持てればよいか。持てるようにするには,ここまでにどの
  ような指導が欠かせないか。また,持てたかどうかを把握する),学習の見通し
  (どんな「見通し」が持てればよいか。持てるようにするには,ここまでにどのよ
  うな指導が欠かせないか。また,持てたかどうかを把握する)をもって追究・解決
  する(どんな追究の対象が設定できればよいか。それをどんな方法で「追究」でき
  ればよいか。「見通し」に従った「追究」ができているかを把握する)。
〈観察・資料活用の技能・表現〉
 ・ 水産業の様子(どんな「様子」を押さえねばならないか)や抱える問題(どんな
  「問題」を押さえねばならないか)を,写真・地図・グラフなどを活用して(どん
  な資料を用意するか。また,資料から何を読みとることができればよいか)具体的
  に調べる(どういう姿を求めるか。多くの資料をどう使えばよいか。調べた結果か
  ら何が理解できればよいか)。
〈社会的事象についての知識・理解〉
 ・ 様々な食料生産(押さえておくべき「食料生産」とその内容は何か)が国民生活
  を支えている(国民生活にどのように関連しているのか)ことがわかる。
■ 以上のように( )内のこと,つまり「考えさせたいこと」や「つけたい力」などを
 可能な限り具体化させて,思いつくままどんどん付箋紙に書き出します。そしてマトリ
 ックスの上に落としていきます。
  すべてを貼って,全体像が見えてきたところで検討し直し,全体計画を明確にさせま
 す。マトリックスは縦軸に学習内容,横軸に4観点をとります。
 この作業を行うと指導の全体像が鮮やかに浮かび上がってくると思います。そして,毎
 時間の押さえるべき力が明確になり,いっそう「指導と評価の一体化」を効果的に進め
 ることができると思っています。
      *注:目標分析の概念は福岡大教授陣川氏の考え方を参考にしています。
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[1]すべての子どもたちに基礎・基本の学力を 
    ―「指導と評価の一体化」の推進―  “私の勤務校の取り組み”Part2
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■ 研究の組織
                ┌─自己評価チーム────┐
  研究推進委員会─研究全体会─┼─個に応じた指導チーム─┼─学年部会
                └─目標分析チーム────┘
■ 各チームの検討課題
《自己評価チーム》
  ○ 自己評価能力の育成
   ・ 自己評価できる授業の構想
   ・ 自己評価表の見直し 
  ○ 自己評価表に合致した保護者用評価基準のあり方
  ○ 自己評価能力は,習熟度別指導など,個に応じた指導を展開するための前提とな
   る能力
    自分が目標に到達できたのかできていないのか,それを正しく自己評価できるこ
   とが大切である。それができないと効果的な個に応じた指導はできない。
 ―重視したい児童の自己評価―
  〇 児童自己評価カード(単元ごとに実施)
    次のような目的で自己評価を行う。  
   ・ 児童に学習の見通しをもたせたり,意欲づけをする。
   ・ 児童の自己評価能力そのものの育成を図る。
   ・ 教師の指導の反省とする。
   ・ 教師の評価の参考資料とする。
    そのためには,自己評価が可能となる授業を実施しなければならない。目的意識
   と見通しをはっきり持たせ,どう学習すればよいのかという展望を持たせる
   〈単元導入時〉学習前に,この単元では何をどのように学習し,どんな力をつける
          のかガイダンスを実施する。
   〈本   時〉この時間のめあては何なのか。何ができるようになればよいのか。
          つまずいたときどうすればよいのか。
   〈本時終了時〉今日のめあてが達成できたかどうかを自己評価する。  
    自己評価に慣れるまで時間がかかるが,以上のような授業を積み重ねることで,
   次第に正しく自己評価できるようになってくる。
    学習前に「学習ステップ表」などを配り,自分はどこで困っているのかを正しく
   理解させ,子ども自身が納得した上で習熟度別グループを編制するなど,自己評価
   能力を高めることは学習意欲の高揚にも役立つ。
    自己評価表には担任と保護者の所見欄を設ける。児童が自己評価したのち,担任
   の修正を加えて努力点を示し,家庭に持ち帰る。そして保護者に確認印,あるいは
   ひと言書いていただき,担任に提出する。
    単元終了ごとに行われるこのサイクルで,保護者は学習の様子を把握することが
   可能となる。このことは通知表以上に保護者の理解を得ることができると考える。
《個に応じた指導チーム》
  〇 個に応じた指導
       学習指導要領に示された基礎的・基本的な内容を確実に習得させるために,指導
   の過程における子どもたちの学習状況を細かく把握し,その評価結果を基に「個に
   応じた指導」を展開する。
  ○ 少人数指導授業のあり方
   ・ 等質2分割・習熟度別学習をどう進めるか。
   ・ 学習の目的に応じて,効果的な学習方法を検討する。
   ・ 少ない人数ならではの教材や指導法の工夫
  ○「わかりたいむ」のあり方
   ・ 評価結果に基づき,個に応じた指導を展開する。
   ・ 実施教科………算数中心(ぜひともつけたい基礎・基本の力)     
   ・ 指導方法………どんな指導法で〈学年解体習熟度別編制での個別指導など〉
   ・ 教材等の工夫改善………どんな教材を使って 
   ・ その他の留意事項………児童の自己評価結果に基づく希望選択制
    ○ モジュール時間割の効用
    必要に応じてモジュールを用い,柔軟かつ効果的に学習を進める。
    例えば,すぐに補充学習や個別指導を実施したい,反復練習を必要とする内容,
    またウオームアップとして帯タイムで実施したいなど。 
《目標分析チーム》―福岡市教育センターの資料を参考にしています。― 
    指導要領に示された目標と内容を確認し,それを受けて本校評価基準,教科書単元
  目標とを関連させて,実現させるべき目標を設定する。目標は評価基準作成,さらに
  評価方法などに反映させるべく具体的な子どもの姿(見えるかたち)と結びつけて可
  能な限り具体化させることが必要である。
  ― 取り組みの実際 ―
   ・ 目標分析と単元のマトリックス作成
   ・ 毎時間ごとの評価基準・評価方法及び支援の具体例
  ○ 目標分析
     ・ 方法  
     学習指導要領及び本校の評価規準,評価基準を,「関心・意欲・態度」「思考
    ・判断」「技能・表現」「知識・理解」の4観点(一部教科を除く)から詳細に
    分析する。(つけたい力を具体的に示す)
  ○マトリックス
   ・ 目標分析を通して明らかにした評価基準と学習内容との関連を明らかにすると
    ともに,学年内や学年間の評価の重点の系統性を明らかにする。
   ・ 方法
     縦に学習内容を,横に評価基準をとった表で示す。
     (目標分析で明らかにした「つけたい力」を単元の中でどのように身につけて
     いくか。それをどう評価し,手当をしていくか。)
  ○ 目標分析に基づいた評価基準
    ・・・・学習の節目節目でチェック〈調整機能〉(子どもと共にという姿勢)
   @ 評価基準をできるだけ具体化する。
    ・評価者がかわっても同じ結果が出る基準を・・・・評価の客観性
     A 単元構想に評価活動を位置づける
     ・1単元を単位として,どこでどのような目的でどのように評価するか。
    ・自己評価能力を育てる場を設ける・・・・そういう授業づくりを
                             (アンケート方式の形骸化した自己評価ではなく。)
    ・子どもたち同士での相互評価
                              ― 以 上 ―
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[1]すべての子どもたちに基礎・基本の学力を 
    ―「指導と評価の一体化」の推進―  “私の勤務校の取り組みを紹介します”

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 私の勤務校は昨年度から2学期制を導入しています。その理由は「すべての子どもたち
に基礎基本の学力を」です。2学期制はあくまでも枠組みでしかありません。目的を達成
させるために2学期制が都合がよい,というのが基本的な考え方です。
 その目的を達成させるための主方法として取りあげたのが「指導と評価の一体化」なの
です。今年度,実践的な研究を進めることになりました。その概要を紹介します。
 ……………………………………………………………………………………………………
1 研究主題
                       すべての子どもたちに基礎・基本の学力を
                         ―「指導と評価の一体化」の推進―
2 研究の方向性
  今,学校教育では,ゆとりをもって一人ひとりの個性を生かす教育を展開する中で,
  すべての児童が基礎・基本を習得することが求められている。しかし,昨年度導入され
 た学校5日制の中,授業時数は大きく削減されている。教師には,限られた時間の枠の
 中での効果的な指導法が求められていると言ってよい。このことの実現のためには,児
 童一人ひとりが学習内容を確実に習得しているかどうかを適切に評価することが大切に
 なってくる。つまり,児童の学習状況について,学習の結果よりも,むしろ学習の過程
 を重視するなど,様々な場面において適切に評価を行い,その結果を指導の改善に生か
 していくことが求められているのである。
  ―「指導と評価の一体化」のとらえ方 ―
   評価とは,指導計画に基づき,児童の学習しているよさや身についた資質や能力
  などを具体的な事実を通して継続的に,かつ適切に見取っていくことである。学習
  においては,計画Plan→実践Do→評価See→計画Plan→実践Do という流れで,すべ
  ての児童に目標の達成を目指した指導が展開されている。つまり,指導と評価とは
  別物ではなく,評価の結果によって次時の学習を改善し,さらに次の学習の成果を
  評価するという,指導に生かす評価を進めることが重要である。
   この実現のためには、評価を学習の結果に対してのみ行うのではなく,学習の過
  程における評価の工夫を図ることが大切である。また,児童にとっては,自らの学
  習状況を知り,自分を見つめ直すきっかけとなり,その後の学習意欲を高めるとい
  う目的もある。
   評価活動を評価のための評価に終わらせることなく,教師にとっては指導の改善
  に,児童にとっては自らの学習の改善に役立てることが重要である。
3 研究の目標
  ○ すべての児童に基礎的・基本的学力を習得させるための授業づくりとその評価の
   ありかたを検討,検証する。
  ○ 目標準拠評価(絶対評価)の客観性や信頼性を高める。
   ・ 2学期制を生かしたゆとりある学習と評価活動の展開
4 研究の内容
  ○ 評価(評価規準,評価基準,自己評価)を生かした授業づくりに関すること。
  ○ 基礎・基本の定着のための具体的な指導法に関すること。
  ○ 個に応じた支援のあり方に関すること。
5 研究の方法 ―「指導と評価の一体化」を図った授業の展開 ―
  (1) 学習指導要領と同解説書から,具体的な目標と内容の分析を行い,さらに児童の実
    態を把握し,身につけさせるべき資質や能力を明確にする。
  (2) 目標実現のための適切な単元を設定し,指導計画を作成する。(多くの場合は教科
    書)
 (3) 身につける資質や能力に基づき,単元ごとの評価計画を作成して具体的な評価基準
    を設定する。
 (4) 指導と評価の計画に基づいた授業を展開し,児童の学習への取り組み状況を評価す
    る。
 (5) 一人ひとりの学習状況を把握し,「努力を要する」と判断される児童・生徒への支
    援を行ったり,指導方法,指導形態,教材等の工夫改善を行ったりなど,評価結果を
  指導の改善に生かす。
 ……………………………………………………………………………………………………
 これを推進するため,3つのプロジェクトチームを作り,実践に基づいた研究を進めま
す。3つのプロジェクトチームは「自己評価チーム」「個に応じた指導チーム」「目標分
析チーム」です。これらの具体的な研究内容などは次号で紹介します。
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[2]読者からの声  Vol.127 「指導と評価の一体化」を読んで
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 新年度から取り組んでみませんか?と呼びかけた記事への読者からご意見です。たいへ
ん前向きな姿勢,とても嬉しく思います。とにかくやってみることから始まると思うので
す。やってみなければ批判もできません。やってみていろいろな問題点が見えるようにな
り,そして改善していくことができるのです。
 ご意見いただきありがとうございました。実践後のご感想もお待ちしております。 
 ……………………………………………………………………………………………………
 Vol.127 の「指導と評価の一体化」― 新年度,心機一転取り組んでみませんか ―
読ませていただきました。
 「目標」「指導」「評価」が一体化した目標準拠評価のシステムがよく確立されている
なあと感心しました。システムとして確立しているので「実践しやすい」と,職場でも活
用されるのではないでしょうか。明確でわかりやすいシステムだと思います。
 新しいことをはじめるとき,不平不満を言う教師がいるものですが,これまでまともに
評価をした経験がないのだと思います。「指導と評価の一体化」は,何も今にはじまった
ことではないのですから。
 「この時間にこれだけのことは教える」という明確なねらいをもち,授業の始めに「こ
の時間の終わりまでには,○○ができるようになる」と子どもたちに伝える。そして,授
業の最後には,ノートに「1234」で自己評価をさせ,ふりかえりの一言感想を書かせ
る。さらに,ノートを持ってさせて,素早く検印を押してチェックする。心ある教師はみ
な,このようなことを以前からずっとしてきたはずです。
 この評価システムの実践に取り組みながら,次のステージへと進めることが求められま
す。次のステージへの課題を考えてみました。
 1) 算数において何を「基礎基本」とするのか。(「これだけはできるようにしたいこ
  と」の見直し)
 2) 「技能」以外の観点をどうように評価するか。(特に「関心・意欲・態度」をどの
  ように評価するか。)
 3) 他教科へのシステムの応用
 4) 社会科のような認識教科における「知識・理解」で,何を基礎的基本的な「知識・
  理解」とするかの再検討。(「再」検討としたのは,社会科の基礎的基本的な知識・
  理解は,学習指導要領の内容に示されるところであるから。)
 誰もが考えることで,いつも議論になるところですが,やはりこの点が今後の課題
だと思います。
 現場では,実践を重ねながらこのような点で議論したいものです。
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[1]「指導と評価の一体化」 ― 新年度,心機一転取り組んでみませんか ―
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 新年度が始まりました。これを機に「指導と評価の一体化」取り組んでみませんか?以
下に私の勤務校での試案を紹介します。
 すべての単元でこれをやることはとうてい無理です。しかし,年に2〜3の単元であれ
ばやれるのではないでしょうか。1度やってみれば自分なりの取り組み方も見えてくると
思います。何より自分の主張が持てるようになります。そうなれば議論もできるようにな
るでしょう。議論を通してよりよい方法を模索していきたいものです。
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1 指導と評価の一体化を目指した授業の構想
 ○評価活動を中心においた単元づくり
  目標の実現を目指し、以下のような一連の活動を展開する。
 ?適切な教材を設定する。(多くの場合は教科書)
  ?レディネス調査を実施する。〈第1次評価〉
 ?指導法を工夫する。
 ?評価基準を点検する。
 ?指導計画を作成する。
 ?授業を実践する。
  毎時間の評価〈第2次評価〉を繰り返し、以後の指導法を見直す。
 ?単元終了時の評価する。〈第3次評価〉
 ?その後、補充(発展)学習を実施すると同時に、指導法や評価基準の見直しをする。
                                〈第4次評価〉
  子どもたちの学習の様子を正しく評価し「努力を要する」と判断された子への補充学
 習を行ったり、「十分に達成した」と判断された子への発展学習を行うなど、個に応じ
 た指導を実施する。
2 重視したい児童の自己評価
 〇児童自己評価カード(単元ごとに実施)
  次のような目的で自己評価を行う。 
  ・児童に学習の見通しをもたせたり、意欲付けをする。
  ・児童の自己評価能力そのものの育成を図る。
  ・教師の指導の反省とする。
  ・教師の評価の参考資料とする。
  そのためには、自己評価が可能となる授業を実施しなければならない。目的意識と見
 通しをはっきり持たせ、どう学習すればよいのかという展望を持たせる
〈単元導入時〉学習前に、この単元では何をどのように学習し、どんな力をつけるのかガ
       イダンスを実施する。 
〈本時〉この時間のめあては何なのか。何ができるようになればよいのか。つまずいたと
    きどうすればよいのか。
〈本時終了時〉今日のめあてが達成できたかどうかを自己評価する。  
   自己評価に慣れるまで時間がかかるが、以上のような授業を積み重ねることで、次第
 に正しく自己評価できるようになってくる。
  学習前に「学習ステップ表」などを配付し、自分はどこで困っているのかを正しく理
 解させ、子ども自身が納得した上で習熟度別グループを編制するなど、自己評価能力を
 高めることは学習意欲の高揚にも役立つ。
  自己評価表には担任と保護者の所見欄を設ける。児童が自己評価したのち、担任が所
 見を記入し、家庭に持ち帰る。そして保護者にひと言書いて頂き、担任に提出する。単
 元終了ごとに行われるこのサイクルで、保護者は学習の様子を把握することが可能とな
 る。
3 保護者への情報提供
 〇保護者用評価基準の作成(保護者の理解と協力を得るために)
  月に1回、学年だよりの裏面に単元別 に掲載する。
  ・この単元ではどういう力がつけばよいのか?
  ・それをどういう観点から判断すればよいのか?
  ・目標が達成されなかった場合はどうすればよいのか?
  以上のような内容を専門用語を避け、できるだけ簡潔、かつ具体的に記述する。ごた
 ごた書いたのでは読んでもらえない。
 〇児童自己評価表
    自己評価後、教師の所見を記入し、家庭へ持ち帰り、学習の様子を知ってもらう。
 〇学校参観日
  月1回の学校公開日を設定し、丸1日授業を公開し、授業の実際を自由に見て頂く。
4 2学期制との関連
  2学期制は「指導と評価の一体化」を円滑に推進していくための状況整備としてきわ
 めて有効である。きめ細かい評価活動を進める上で、7月と12月の学期の縛りは大き
 なネックとなる。ゆとりを持って授業に打ち込める状況整備が求められる。
  さらに、保護者用評価基準や児童の自己評価表などの短いスパンでの情報提供は、通
 知表が1回少ない分の埋め合わせをしてなお余りある。むしろ、保護者はこのような細
 かな情報を数多く入手することを求めていると言えよう。
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[1]「指導と評価の一体化」に配慮した理科指導案
              名理会(名古屋市理科教育研究会)の実践を紹介します

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 「指導と評価の一体化」に関する具体的な実践はあまり紹介されていません。このMM
の読者でもある八巻先生が情報をお寄せくださいました。先生の所属する名理会(名古屋
市理科教育研究会)がこのほど実践をまとめられました。
 …………………………………………………………………………………………………… 
 名理会(名古屋市理科教育研究会)は「授業で評価をしたらすぐに指導を」を心がけ,
日常の指導において,児童・生徒の学習状況を観点別に評価し,その評価をその後の指導
に生かすための,指導上の留意点と評価の観点・場面・方法について指導案を作成し、1
月29日の名理会第5回研究発表会で,発表しました。
 授業で,評価がCの児童・生徒をBにするための手だて,評価がBの児童・生徒をAに
するための手だてと,評価に分けて,指導案を作成しました。
 今年度は,
   小5「てことものの重さ」
   小6「水よう液の性質」
   中1「植物の生活と種類」
   中3「運動とエネルギー」
 の4単元について指導案にし、この程名理会のホームページに公開しました
    名理会WEB「名理会」 http://www.tcp-ip.or.jp/~meirikai/
 ぜひ、ご高覧戴き、お気づきの点を「名理会」までお寄せいただけると幸いです。
 …………………………………………………………………………………………………… 
 以下は名理会HPからの抜粋です。
―基本概念―
 平成13年度より,基礎・基本の確実な定着を図るとともに,自ら考える力などなどの
「確かな学力」をはぐくむ,個に応じた指導のあり方を追求してきた。
 日常の指導において,児童生徒の学習状況を観点別に評価し,その評価をその後の指導
に生かさなくてはならない。そこで,今年度は,指導と評価の一体化を進めるために,指
導上の留意点と評価の観点・場面・方法について指導案に示すこととした。
―研究の内容―
 小・中学校の単元のうち,国立教育政策研究所の「2001年度小・中学校教育課程状況調
査報告書」の中で,正答率が低いと指摘があった次の単元について指導と評価について一
体化した学習指導案を作成した。
 小学校…5年「てことものの重さ」
     6年「水よう液の性質」
 中学校…1年「植物の生活と種類」
     3年「運動とエネルギー」
―これまでの研究の経過― 
 14年度の研究 
   今,確かな学力向上のために,少人数指導や習熟度別指導など,個に応じたきめ細
  かな指導の実施が求められている。そこで今年度は,個に応じたきめ細かな指導のた
  めに,小・中学校理科の単元における発展的な内容を系統立てて明らかにする。
―発展的な学習の内容についての留意点―
 1)学習指導要領の目標及び内容の趣旨を逸脱しないこと。
 2)児童生徒の負担過重にならないこと。およそ1指導時間程度まとめることができる内
  容のもの。
 3)学習指導要領に示されている内容で,児童生徒の理解をより深めたり,広げたり,高
  めたりする学習内容。
 4)発展的な学習の推進にあたっては,個別指導やグループ別指導,学習内容の習熟の程
  度に応じた指導,教師相互の協力的な指導などを通して個に応じた指導をはかること
 5)理科は自然事象にふれて学ぶ教科であることを踏まえたい。学習活動は,自然事象に
  直接ふれること,あるいは疑似体験を通して展開していくことを第一としたい。そう
  したことが難しい場合,図書や映像等の資料やインターネットのホームページの活用
  も考えていく。
             ― 以下,詳細はぜひHPをご覧ください。
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[2]年度末に向けて再度確認 ― もう一度考えてみたい絶対評価 ―
                        上越教育大学 渋谷憲一氏の小論
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 子どもたちの学びの姿をとらえるために、各教科の目標に照らしてその実現状況を評価
するいわゆる絶対評価は、一人ひとりの児童生徒が目標に対してどれだけ実現・達成して
いるかを確認し、次の学習への動機づけをしたり、学習結果を診断することによってもた
らされる評価情報によって、学習指導の改善に役立てようとするものである。
 では、従前の相対評価とどこが違うのであろうか。「目標に準拠した評価」(いわゆる
絶対評価)は、目標に対してどれだけ高まったか、深まったか、その実現状況がとらえら
れるような縦軸上の尺度を用意する必要がある。この縦軸上の尺度が評価規準である。
 これに対して、相対評価は、横軸上の尺度(正規分布にもとづく基準の設定)によって
評価してきた。得点の正規分布になることを想定し、上位7%に5、次の24%に4、次の
38%に3、次の24%に2、下位7%に1を評価段階として割り当てていたのである。
 かつて相対評価による通信簿では、父母の声として「うちの子はこんなにも頑張って努
力したのに、どうして4から5にならないのか」という苦情を耳にしたのも、実はワクが
決められていたからである。だから、いくら努力して良い点を取っても集団的位置が変わ
らない限り評価段階は変わらず、努力も認められず、学習意欲を低減させてしまう。この
ように集団の中での相対的な位置づけだけでは、一人ひとりの目標を実現している状況や
努力の姿をとらえることはできない。極端な言い方をすれば、一人ひとりの児童生徒の顔
を覚えていなくてもできる評価活動である。
 これに対して、いわゆる絶対評価のとらえ方は、児童生徒一人ひとりと向き合い、基礎
的・基本的事項を確実に身に付けているかどうかを直接把握することができ、丁寧な評価
活動であるといってよい。
 こうした「目標に準拠した評価」(いわゆる絶対評価)の特性をふまえ、これからの評
価活動を充実、発展させていくためには、まず目標や評価規準を具体的に明確化する作業
が必要である。目標や内容がおおまかであったり、抽象的であっては、目標の達成や実現
状況を正確にとらえることはできない。
 では、どのような手順で教育目標の明確化・具体化がなされているか。学習指導要領に
は、国の方針としての学校教育全体の進むべき方向目標が示されている。これをよりどこ
ろにして各教科の目標が明確化されている。たとえば、算数科では「日常の事象について
見通しをもち筋道を立てて考える能力を育てる」と教科目標を設定している。
 しかし、それらの表現は一般的な記述にとどまり、実際の単元や授業の場で子どもたち
の学びの姿を評価したり、授業の改善に生かすには、教師自らが目標や評価規準をつくり
直さなければならないのである。
 次いで、それらの目標をどれだけ達成すれば十分満足、またはおおむね満足と判断する
かという評価規準、判断基準を用意しなければならない。教育目標がどの程度達成された
かをチェックするのに必要なのが評価規準であり、判断基準である。
 このような流れを国語科における具体例を取り上げて説明してみることにする。ここで
取り上げる国語科の具体例に関係する部分を学習指導要領から抜き出してみると、「小学
校及び中学校における漢字の指導については、現在、中学校修了までに学年別漢字配当表
の漢字(1006字)を使い慣れ、常用漢字の大体を読むこととされている……中略」と
なっている。そして、学習指導要領における国語科の教科目標は「国語を適切に表現し正
確に理解する能力を育成し、伝え合う力を高めるとともに、思考力や想像力及び言語感覚
を養い、国語に対する関心を深め国語を尊重する態度を育てる」と示されている。
 こうした流れをふまえて、毎時の授業過程における評価目標を、たとえば「新出漢字・
読みかえ漢字を正しく読んだり、書いたりすることができる」という目標を設定したと
き、次のような判断基準を設定しておくとよい。
A……十分満足できる(配当漢字の90%以上が読めて、書ける)
B……おおむね満足できる(配当漢字の80%以上90%未満が読めて、書ける)
C……努力を要する(配当漢字の80%未満しか読めないし、書けない)
 このような評価規準、判断基準は、児童生徒の学習状況を評価する目安になると同時
に、適切な評価方法を導く視点としての役割をもっている。
 教育評価活動は、教育目標群のよりよい達成のための必須の営みであるとするとき、
「目標に準拠した評価」(いわゆる絶対評価)がいかに大切なことであるか理解されよ
う。目標に対してどれだけ高まったか、深まったか、その実現状況をとらえようとするこ
とは、まさに縦軸の眼をもつということである。横軸の眼に慣れ親しんできた教師はもち
ろんのこと、父母たちも縦軸の眼を育てていく必要がある。さらにふみ込んでいうなら
ば、保護者や地域住民の教育評価活動への参加が求められているといってよい。
「開かれた学校」づくりに導入される学校評議員制がそうであり、学校評議員一人ひとり
がそれぞれの意見を述べるとき、大いに縦軸の眼を育てておく必要があろう。
 また、縦軸上の眼が育っていないと、教育成果の報告責任(アカウンタビリティ)を果
たすことができないことになるであろう。
 最後に、教育評価活動の基礎である「目標に準拠した評価」(いわゆる絶対評価)は、
次のような3点に配慮することが望ましい。
 1)まず児童生徒にとっては、どこが十分(達成)で、どこが不十分(未達成)かが分か
  り、その後の学習活動につながるものでなければならない。
 2)教師にとっては、自分の支援・指導の見直しを通じて、その後の指導内容、指導方法
  の改善につながることが求められている。
 3)さらに、各学校にとっては、特色ある教育課程の評価を改善の中心的な資料として活
  用されなければならないのである。       
                         〈すみません!出典は不明です〉
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[1]2つの評価 ―目標に準拠した評価(絶対評価)と個人内評価―
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 個人内評価・・・,聞き慣れている言葉ではあるが何となくピンとこない。そういう方
も多いと思います。もっと目を向けて,積極的に取り入れてもよいと思うのです。
 個人内評価は,個別懇談会などの時に保護者に口頭でお知らせすることが多いと思いま
す。「4月の頃と比べて,すごく伸びてきていますよ」などと。特に評定に△がある子に
とって,うれしい言葉だと思います。努力の跡は十分伺えるのだが,目標に到達できなか
った,という状況です。逆の場合もあります。目標に到達してはいるが,1学期のがんば
りは見られなくなった,という場合です。
 国立教育政策研究所の高浦氏は「個人内評価は4つの観点のそれぞれについて行われる
ことが望ましい」と言われています。
 …………………………………………………………………………………………………… 
 われわれの行う評価活動に関して原典をひもといてみると,平成10年7月の教育課程
審議会答申の「教育課程の基準の改善に当たっての基本的考え方」の中に,
「これからの学校教育における学習の指導と評価の在り方が極めて重要である」
「学力については,これを単なる知識の量ととらえるのではなく,自ら学び自ら考える力
 などの『生きる力』を身に付けているかどうかによってとらえるべきである」
と指摘してあります。
 これらのことをもとに,新しい教育課程の下での評価のあり方について,
「基礎・基本の徹底や個性を生かす教育を充実する観点からは,学習の過程を重視した
 り,児童のよい点や進歩の状況を積極的に評価すること,また,児童が自らの学習過程
 を振り返り,新たな自分の目標や課題をもって学習を進めていけるような評価が求めら
 れるとともに,いわゆる絶対評価や相対評価,個人内評価を含め評価の在り方について
 検討する必要がある」
とも指摘しています。
  学力や評価の問題に関する社会の関心が高まっている今日,児童の学習の評価のあり方
について今一度検討する意義は大きいと考えられます。
 近いところでは,平成12年12月,教育課程審議会は,「児童生徒の学習と教育課程
の実施状況の評価の在り方」について答申を出しました。その中で,評価の機能について
次のように述べられています。 
┌──────────────────────────────────────┐
│ 学校が児童生徒の学習状況等の評価を行うことは,公の教育機関である学校の基本│
│的な責務である。評価の機能は,各学年,各学校段階等の教育目標を実現するための│
│教育の実践に役立つようにすること及び児童生徒のよさや可能性を評価し,豊かな自│
│己実現に役立つようにすることであり,学校教育における評価の役割は重要である。 │
└──────────────────────────────────────┘
 また,目標に準拠した評価及び個人内評価の重要性を指摘し,次のようにも述べていま
す。
┌──────────────────────────────────────┐
│ 現行の学習指導要領及び指導要録の下での評価の一つの特徴は,集団に準拠した評│
│価(いわゆる相対評価)ではなく,目標に準拠した評価である観点別学習状況の評価を│
│基本に据えていることであるが,新しい学習指導は,この考え方を一層発展させてい│
│くことが重要である。                            │
└──────────────────────────────────────┘
 評価の機能と役割は,「各学年,各学校における教育目標の具現化を図るための教育実
践の指針となるもの」であり,そして,自ら学び自ら考える力などの生きる力の育成を目
指すことが求められる教育の在り方から考えて,「児童一人一人のよさや可能性を積極的
に評価し,豊かな自己実現に役立つようにすること」にあります。これは,学校や教員
が,指導計画や指導方法,教材,学習活動等を振り返り,よりよい指導に役立つようにす
ることであり,評価とは,児童のための評価であると同時に,学校や教員が進める教育自
体の評価でもあるということができるのです。
 このようなことから,学校においては,指導と評価が常に一体化することが求められて
います。
■個人内評価の工夫も求められる
 これからの学校教育においては,課題を発見する能力や自ら学び自ら考える力,よりよ
く問題を解決する能力などの育成が今まで以上に重視されています。また,児童の興味・
関心,習熟度などに応じ,個に応じた指導の充実を図り,個性を生かす教育を推進するこ
とが求められています。
 このような自ら学ぶ意欲や問題解決の能力,個性の伸長などに資するよう,個人内評価
(児童のよい点や可能性,進歩の状況などの評価)を工夫することが求められています。
その際,よい点のみならず,児童を励ましたり,努力を支援したりする観点に立って,児
童の進歩を促したり,努力を要する点を伝えたりすることも考慮する必要があります。
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[1]算数における習熟度別グループと内容分析の考え方
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 皆さんの学校では習熟度別学習をどのように実施していますか。例えばグループ分け。
形としては子どもの希望制になってはいるものの,かなりの部分で教師の主観によるとこ
ろが大きいのではないでしょうか。教師がグループ分けすることがまるで悪いことのよう
に思いこみ,表向きは「子どもが自主的に選択しています」と。
 児童の自主選択だけで好ましいグループ分けができ,うまく習熟度別学習ができている
としたら,それは子どもたちに自己評価能力がよほど身についている場合だけでしょう。
 私は,自信を持って教師がグループ分けをしてもよいのではないかと思うのです。その
場合,子どもたちと保護者への十分な説明責任を果たし,理解を得ることはいうまでもあ
りません。
 ここで登場するのが「内容分析」という考え方です。学習は目標・内容・方法が一体化
されていなければなりません。目標と内容は指導要領に明記されています。方法は担任が
考えます。そこで用いる教材は,通常の場合は教科書でしょう。「内容分析」とは,教え
るべき内容の系統性を分析し,いわば理解のステップを構築することです。
 例えば,4年生でのわり算の筆算の場合で考えてみます。まず仮の商を立てねばなりま
せん。これは3年生のわり算です。仮の商が立ったらその商と割る数をかけねばなりませ
ん。これも3年生での学習です。そして引き算の筆算です。これは2年生です。これらが
すべて理解できていて初めて4年生でのわり算の筆算が理解できるのです。
 これを無視して一斉に指導しても理解できない子が出ることは想像に難くありません。
このように学習の内容を分析し,理解のステップを構築することを「内容分析」と考えま
す。これができていれば習熟度別学習がひじょうに円滑に行くと思います。
 子どもたちには「学習ステップ表」を配布し,自分はどこで困っているのかを正しく理
解させ,それに応じた習熟度別グループを編制するのです。正しく認識できていない子に
は教師が教えてあげればいいと思うのです。それが教師の指導性の発揮でしょう。
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[1]「指導と評価の一体化」を目指して
  初等中等教育局視学官 河野公子氏の小論  

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 「指導と評価の一体化」,聞き慣れたことばですが,再認識してみませんか?文部科学
省初等中等教育局視学官 河野公子氏の小論を紹介します。
 出典は不明です。
 参考になりそうな記事を見つけると,とりあえずテキストファイルにして保存しておく
のですが,その中から見つけた資料なのです。
 私の市でも,全小中学校の代表が集まって,指導と評価についての研究会が開かれてい
ます。原理・原則はわかっても,それをいざ実践にとなると難しいのです。きっと,いず
こも同じではないかと思います。
 ……………………………………………………………………………………………………
1 評価の基本的な考え方
  各教科の学習状況の評価については,「生きる力」を育む教育は,従前の「新しい学
 力観」の延長上にあるととらえ,これまでと同様,四つの観点による観点別学習状況の
 評価を基本とするとともに,評定については,観点別学習状況の評価を総括する「目標
 に準拠した評価(いわゆる絶対評価)」と改められた。すなわち,評定についても学習
 指導要領に示す目標が実現されたかどうかを客観的に評価することとなる。
2 指導と評価の一体化の重要性
  教科の指導は,教科目標の実現を目指し,適切な題材を設定して指導計画の作成,授
 業実践,評価という一連の活動を繰り返して展開されている。生徒の学習状況の評価
 は,教科目標の実現状況をみると同時に,教師の指導計画・指導方法等が適切であった
 かどうかを反省し,学習指導の改善に生かすために行っている。すなわち,学習指導要
 領に示された基礎的・基本的な内容を確実に習得させるためには,学習指導の過程にお
 ける生徒の学習状況を細かく見取り,「おおむね満足」と判断される状況に到らない生
 徒には適切な補充指導を行うなど,指導に生かす評価を工夫することが求められている
 のである。
3 指導と評価の一体化を図った授業の展開
 (1) 学習指導要領と同解説書から,具体的な目標と内容の分析を行い,各分野の各項目
  で育てる資質・能力を明確にし,基礎的・基本的な内容を確認する。
 (2) 生徒の実態を把握し,各分野の目標・内容を吟味して目指す生徒像を明確にする。
 (3) 目標実現のための適切な題材を設定し,題材を配列した指導計画を作成する。
 (4) 各題材で身に付ける資質や能力を明確にし,「内容のまとまりごとの評価規準及び
  その具体例」を参考にして,題材ごとの評価計画を作成して具体的な評価規準を設定
  する。
 (5) 指導と評価の計画に基づいた授業を展開し,生徒の学習への取組み状況を評価し記
  録する。
 (6) 一人一人の学習状況を見取り,「努力を要する」と判断される生徒への支援を行っ
  たり,指導方法,指導形態,教材等の工夫改善を行ったりなど,評価結果を指導の改
  善に生かす。
4 今後の課題
  教師に期待された「目標に準拠した評価」の重みを認識するとともに,技術・家庭科
 の目標・内 容を十分に理解して,今後一層,指導と評価の一体化を図った魅力的な授
 業を工夫改善する必要が ある。
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[1]「指導と評価の一体化」の試み      ―私の勤務校の試案を紹介します―
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 私の勤務校では,すべての子どもたちが基礎学力を習得することを目標に「指導の評価
の一体化」の実践に取り組んでいます。今夏,「指導と評価大学講座」(図書文化社)の
情報交換会でこの実践を提案しました。その後,北尾倫彦先生,石田恒好先生からのご批
評をいただきました。
 私は,今後の教育において「指導と評価の一体化」はきわめて重要な位置を占めると考
えています。勤務校の実践理論を紹介します。参考になれば幸いです。また,ご意見をい
ただけることを願っています。
 ……………………………………………………………………………………………………
1 評価の目的
  すべての子どもたちが授業に生き生き取り組み,確かな学力をつけることにある。そ
 のための「指導と評価の一体化」である。
2 そのための条件整備
(1)ゆとりある教育課程を編成すること
  〇 ゆとりある教育活動
   ・ 時間的にも精神的にも余裕を持って学習に取り組むこと。
   ・ ゆとりある教育課程のもとでゆったりと学習に取り組み,どの子にも学力をつ
    けることが可能となる。
  〇 2学期制の実施に伴う授業時数の確保
   ・ 従来の学期末(7・12月)の評価がないことで生じるゆとりを十分に生かす
    ことができる。
  〇 15分モジュール時間割と「わかりたいむ」の導入
   ・ 必要に応じてモジュールを用い,柔軟かつ効果的に学習を進める。補充と発展
    のための時間を確保する。
(2)適切な評価活動を展開すること
  〇 より子ども主体の評価活動を
      ・ 教師の評価,評定のための評価から指導に生かす評価への転換
      ・ 年間2回の評価
      ・ 長いスパンでのゆとりをもった適切な評価
  〇 指導と評価の一体化
   ・ 子どもの学習しているよさ,身についた資質や能力などを具体的な事実を通し
    て継続的,かつ適切に評価する。
   ・ 指導の結果を評価し,指導内容や方法の改善を行い,次の指導に生かす。
   ・ 評価結果の蓄積から,評価規準(基準)や年間指導計画,教育課程の改善を図
    る。 
    〇 個に応じた指導
   ・ 評価結果に基づき,個に応じた指導を展開する。
2 実現のためになすべきこと
(1)授業づくりの工夫を推進する
 〇 個に応じた指導
     学習指導要領に示された基礎的・基本的な内容を確実に習得させるために,指導の
  過程における子どもたちの学習状況を細かく把握し,その評価結果を基に「個に応じ
  た指導」を展開する。
   ア 少人数指導の推進
    ・ 少ない人数ならではの教材や指導法の工夫
      イ「わかりたいむ」(補充の時間)の充実
    ・ 実施教科………ぜひともつけたい力(基礎・基本)
    ・ 指導方法………どんな指導法で〈例:学年解体習熟度別編制での個別指導な
            ど〉
    ・ 教材等の工夫改善………どんな教材を使って〈例:ドリル,進級テストな
                ど〉 
    ・ その他の留意事項………児童の希望選択制と保護者の理解
      ウ モジュール時間割の効用
    ・ 必要に応じて(例えば,すぐに補充学習や個別指導を実施したい,反復練習
     を必要とする内容を帯タイムで実施したいなど)モジュールを用い,柔軟かつ
     効果的に学習を進める。
(2)適切な評価活動を推進する
   評価活動を3つの段階に分けて考える。すなわち,第1次評価,第1次評価,第3
  次評価の3段階である。 
 ○ 第1次評価は毎時間の評価であり,具体的には指導チェック表を用いて行ってい
  る。短いスパンできめ細かい評価を実施し,次時以降の指導に生かしていく。1時間
  ごとのつけたい力をはっきりさせ,到達できたかどうかをチェックする。
 ○ 第2次評価は単元終了後の評価で,2つの側面からの評価を考えている。
  ・ 教師のする児童への評価……評価基準に基づいた到達度評価
  ・ 児童の自己評価……自己評価表を用いた児童のふり返り
   「自己評価表」について……1単元終了ごとに実施する。目的は次の5点。
    1) 児童に学習の見通しをもたせることで学習への意欲付けをする。
    2) 児童に学習の成果を確認させる。
    3) 教師の指導の反省とする。
    4) 教師の評価の参考資料とする。
    5) 児童の自己評価能力そのものの育成を図る。
   これを実現するためには,自己評価が可能となる授業を構築しなければならない。
   その際の留意点は次の通り。
 〈単元レベル〉
  ・ 評価基準の点検をし,教師自身が指導の重点化を図る。
   ・ 学習前に,この単元では何をどのように学習し,どんな力をつけるのかを知らせ
   る。 
 〈本時レベル〉
  ・ この時間の目標は何なのか。何ができるようになればよいのかを知らせる。
  ・ つまずいたときどうすればよいのか。
  ・ 学習終了時に達成できたかどうかを自己評価させる。  
   以上のように,目的意識と見通しをはっきり持たせ,どう学習すればよいのかとい
  う展望を持たせる。
   また,自己評価表の作成にあたっても注意すべき点がいくつか上げられる。それは
  教師の評価基準が具体性を持っていなければ曖昧な評価に終わってしまうことと同じ
  で,自己評価の項目に具体性を持たせなければならない点である。
   例えば「登場人物の心情を読みとることができた」という観点で自己評価しなさい
  と言ってもできる子はまず存在しない。仮に存在したとしても,それは曖昧であり,
  正しく自己評価できているとは言い難い。
  【自己評価表の流れ】
   〈児 童〉単元終了後,自己評価表記入→自分の学習をふり返る。
   〈教 師〉「先生から」を記入→一人ひとりの自己評価をチェックし,ことばかけ
        をする。
   〈保護者〉「おうちの方から」を記入→学習の様子を理解してもらう。
   〈教 師〉保存し,通知表と共に家庭へ→個の指導と評価・評定に活用する。
   第2次評価終了後,補充(発展)学習を実施すると同時に,指導法や評価基準の見
  直しをする。子どもたちの学習の様子を正しく評価し,「努力を要する」と判断され
  た子への補充学習を行ったり,「十分に達成した」と判断された子への発展学習を行
  うなど個に応じた指導を実施する。
   本校ではモジュール時間割や課外の補充時間を設定しているため,教師の評価や児
  童の自己評価の結果をもとに素早い手当を施すことができる。
 ○ 第3次評価は,補い学習が終了してから実施する評価である。単元の学習中に到達
  できなかった児童が補い学習で到達できたかどうかを評価する。個別に1対1で指導
  していく中での評価方法をとっている。 
(3)保護者との連携
  〇 保護者用評価規準の作成……毎月の「学年だより」の裏面に単元別に記載
      ア 保護者が得たい情報は
    ・この単元ではどういう力がつけばよいのか?
      ・どういう観点からそれを判断すればよいのか?
    ・目標が達成されなかった場合の措置は?
   イ こまめな評価活動の情報提供(通知表を補完する役割)
   〇 児童用自己評価カードを通して学習の様子を知らせる。
    ○ 学校参観日の設定……毎月1回,終日学校を公開する。
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[1]指導と評価の一体化のために  ― 私の勤務校での「自己評価表活用」の試み ―
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 評価の目的は,すべての子どもたちが授業に生き生き取り組み,確かな学力をつけるこ
とにある。そのための「指導と評価の一体化」である。「評価,評価」を大騒ぎしている
が,評価基準の作成や評価方法ばかりに目が向けられ,最も肝心な「子どもたちに力をつ
ける」ということが忘れられてはいないだろうか。
 私の勤務校では,どの子も基礎学力を習得することを目標に「指導の評価の一体化」に
取り組んでいる。その一環として,子どもたちの「自己評価能力」を高めることに着目し
ている。その一つの例として「自己評価表(ふり返りカード)」を以下に紹介する。
 ……………………………………………………………………………………………………
 評価活動を3つの段階に分けて考える。すなわち,第1次評価〜第3次評価の3段階で
ある。 
◇第1次評価は毎時間の評価であり,具体的には毎時間の指導チェック表を用いて行って
いる。短いスパンできめ細かい評価を実施し,次時以降の指導に生かしていく。
◇第2次評価は単元終了後の評価で,2つの側面からの評価を考えている。
  ・ 教師のする児童への評価 …… 評価基準に基づいた到達度評価
  ・ 児童の自己評価 …… 自己評価表を用いた児童のふり返り
 ここで「自己評価表」が登場する。1単元終了ごとに実施する。目的は次の4点。  
   
  1) 児童に学習の見通しをもたせたり,意欲付けをする。
  2) 教師の指導の反省とする。
  3) 教師の評価の参考資料とする。
  4) 児童の自己評価能力そのものの育成を図る。
 これを実現するためには,自己評価が可能となる授業を構築しなければならない。その
際の留意点は次の通り。
 ・評価基準の点検をする。
  ・学習前に,この単元では何をどのように学習し,どんな力をつけるのかを知らせる。
   〈単元レベル〉 
 ・この時間の目標は何なのか。何ができるようになればよいのかを知らせる。
   〈本時レベル〉   
 ・つまずいたときどうすればよいのか。〈本時レベル〉
 ・学習終了時に達成できたかどうかを自己評価させる。〈本時レベル〉  
 以上のように,目的意識と見通しをはっきり持たせ,どう学習すればよいのかという展
望を持たせる。
 また,自己評価表の作成にあたっても注意すべき点がいくつか上げられる。それは教師
の評価基準が具体性を持っていなければ曖昧な評価に終わってしまうことと同じで,自己
評価の項目に具体性を持たせなければならない点である。
 例えば「登場人物の心情を読みとることができた」という観点で自己評価しなさいと
言っても,できる子はまず存在しない。仮に存在したとしても,それは曖昧であり,正し
く自己評価できているとは言い難い。
 実際に行った自己評価表からいくつか紹介したい。
  1.公倍数や公約数の勉強はおもしろかった。
   2.わからないことがあったとき家で復習をした。
   3 宿題やドリル,算数の友をきちんとやった。
   4.わかったときは手をあげることができた。
   5.最小公倍数や最大公約数を見つけることができるようになった。
     ・8の倍数を5つ書き出すことができる。
     ・6と8の最小公倍数を見つけることができる。
     ・24の約数をすべて書き出すことができる。
     ・18と24の最大公約数を見つけることができる。
   6.公倍数や公約数の文章題を解くことができるようになった。
   ・公倍数を使った文章題を解くことができる(例:ふん水の問題)
   ・公約数を使った文章題を解くことができる(例:画用紙を正方形に分ける問題)
  7.まだよくわからないところがありますか。
  「ある」と答えた子へ:「それはどこですか?」
 これらにそれぞれ◎,○,△で評価し,さらに学習を終えての感想を書く欄も設けてい
る。そして,教師の励ましのことばを記入する欄,保護者がひと言書く欄も設けている。
 本校ではモジュール時間割や課外の補充時間を設定しているため,教師の評価や児童の
自己評価の結果をもとに素早い手当を施すことができる。
◇第3次評価は,補い学習が終了してから実施する評価である。単元の学習中に到達でき
なかった児童が補い学習で到達できたかどうかを評価する。個別に1対1で指導していく
中での評価方法が適当であろう。 
 ……………………………………………………………………………………………………
 以上,概略を紹介しました。この実践は7月29日〜31日に開催される「第45回指
導と評価大学講座」の情報交換会で発表することになっています。多くの方のご意見をい
ただき,さらに充実した評価活動が展開できるよう,今後も研鑽を重ねたいと考えていま
す。読書の皆さんからのご意見ご質問もお待ちしております。
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[1]“指導と評価の一体化”を目指した授業展開
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「指導と評価の一体化」ということばが盛んに用いられています。具体的にはどのような
授業を展開すればよいのでしょうか。わからないことが山積しています。しかし,やって
みないことにははじまりません。
 学習の過程に評価をどう位置づけるか?位置づけた評価の意義,そして目的は?そこで
の評価結果を次にどう生かすか?など,一つ一つクリアしていかねばなりません。
 加えて,教師の指導法のも自己評価も検討すべき問題です。
 ちょっとした構想を立ててみました。ご意見をお待ちしております。欠点は「知識・理
解」の観点に偏りすぎていることです。
 ……………………………………………………………………………………………………
■ 指導と評価の一体化を目指した学習活動
  目標の実現を目指し,以下のような一連の活動を展開する。
     1) レディネス調査と適切な教材の設定
     2) 指導法の工夫
     3) 評価基準の点検
     4) 指導計画の作成
      5) 授業実践
      6) 第1次評価(毎時間,または小単元終了時)
      7) 授業実践
      8) 第2次評価(単元終了時)
    9) 補充(発展)学習の実施と指導法や評価基準の見直し
     10) 第3次評価(補充及び発展学習終了時)
  子どもたちの学習の様子を正しく評価し,「努力を要する」と判断された子への補充
 学習を行ったり,「十分に達成した」と判断された子への発展学習を行うなど,個に応
 じた指導を展開する。
■ 事前準備
  1) 〜4) を指す。ポイントは以下の3点である。
 ○ 単元目標の分析
  ・ 目標から導き出される「つけたい力」を具体化させる。
    ・ 学習内容に応じてできるだけ具体的に設定する。
 ○ 評価基準の見直し
  ・ 他人が作成した評価基準ではなく,自分の学級の子のための自分だけの評価基準
 ○ 評価を位置づけた指導計画
  ・ 指導の過程に評価計画をきちんと位置づける。
■ 第1次評価 
  これは中間評価として位置づける。具体的には毎時間の評価や小単元ごとの評価など
 である。短いスパンできめ細かい評価を実施し,次時以降の指導に生かしていく。
■ 第2次評価
  単元終了後の評価で,2つの評価が必要である。
    ・ 教師のする児童への評価 …… 評価基準に基づいた到達度評価
    ・ 児童の自己評価 …… 自己評価表を用いた児童のふり返り
    以上の評価から,未到達児に素早い対応をとる。補充学習(補いの時間や授業中の個
 別指導)を実施するなど。
  〇 児童用自己評価表……単元ごとに実施(単元終了時)
      ア 自己評価の目的     
     ・児童に学習の見通しをもたせたり,意欲付けをする。
      ・教師の指導の反省とする。
     ・教師の評価の参考資料とする。
     ・児童の自己評価能力そのものの育成を図る。
      イ 自己評価が可能となる授業を構築する。
          ・評価基準の点検をする。
      ・〈単元レベル〉学習前に,この単元では何をどのように学習し,どんな力を
            つけるのかを示す。 
      ・〈本時レベル〉この時間の目標は何なのか。何ができるようになればよいの
            か。   
      ・〈本時レベル〉つまずいたときどうすればよいのか。
     ・〈本時レベル〉学習終了時に達成できたかどうかを自己評価させる。  
            目的意識と見通しをはっきり持たせ,どう学習すればよいのか
            という展望を持たせる。
■ 第3次評価
  補い学習が終了してから実施する評価である。単元の学習中に到達できなかった児童
 が補い学習で到達できたかどうかを評価する。個別に1対1でともに学習に取り組みな
 評価する方法が適当であろう。 
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         「最大の評価方法は教師の観察」 岐阜大教授:北俊夫氏の小論から
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 私の学校では単元終了時に「ふりかえりカード」を使って児童が自己評価しています。
できるだけ項目を具体化させ,児童が自己評価しやすいように配慮しています。また,児
童が自己評価することを前提とした授業構想立てるよう意識しています。評価項目は「知
識・理解」がほとんどです。
 これは「関心・意欲・態度」「思考・判断」などは児童の自己評価になじまないという
考えがあるからです。例えば,算数の場合「数学的な考え方」,理科の場合「科学的な思
考」などです。これらは単元ごとに児童が自己評価するには無理があると考えます。新し
い学力観として重視しなければならない観点であることは言うまでもありません。もちろ
ん教師は伸ばすことを意識し,きちんと評価する必要があります。
 このことに関して,岐阜大学の北俊夫氏の小論を紹介します。
〈出典:「授業研究」5月号(明治図書)〉
 ……………………………………………………………………………………………………
1 関心・意欲・意欲を評価する前提
 ○ 指導目標に「関心・意欲・意欲」に関わる内容が位置づけられているか。
  ・ 目標から位置づけられた具体的な内容
 ○ 指導の過程に「関心・意欲・意欲」を育てるための手だてがあるか。
  ・ 意図的な継続した指導が求められる。
 ○ 「関心・意欲・意欲」の表れた具体的な姿を想定してあるか。
  ・ 行動目標として設定する。「ことば」「表情」「態度」
 ○ 教えて身につくものではなく,育てて引き出していくもの 
2 評価方法
 ○ 教師の観察による評価力
  ・ 教師の鋭い観察力…感性豊かなとぎすまされた観察力,洞察力に負う。
  ・ 子どもたちの学習中のサインを敏感にキャッチする。   
 ○ 子どもによる自己評価
  ・ 授業の中で子どもは自己を見つめ,成果を確認したり,疑問を持ったりしながら
    学習に取り組んでいる。 
3 画一的な評価や一過性の評価はなじまない。さまざまな場面で様々な方法で多面的に
 とらえるとともに,継続的,累積的に観察する。
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[1]これからの評価を考える
           「保護者向けの評価規準」と「児童の自己評価表」の取り組み

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 私の勤務校では今年度から2期制を採用しました。一番のねらいは,新しい指導要領に
対応する教育課程を考えた場合,より長いスパンでじっくりと計画的に学力をつけていく
ことが重要であると考えたからです。1年に3回評価する方がこまめにチェックできてよ
いという考え方もあるでしょう。しかし,年3回も通知表を作成する必要性があるでしょ
うか。年2回に減ることにより,いっそうゆったりとした教育課程が組め,腰を据えて取
り組むことができるでしょう。
 とは言うものの,保護者にはきちんと学習に関する情報を提供する必要があります。そ
のために取り組むことにしたのが「保護者向けの評価規準」と「児童の自己評価表」で
す。単元ごとの保護者向けの評価基準表を作成,配布し,つけたい力と何をもってそれを
判断するかを知らせます。
 また,児童用の自己評価表を取り入れ,子どもたちが見通しを持って学習ができるよう
にします。
 以下にその資料を掲載します。
 ……………………………………………………………………………………………………
1 保護者向け評価基準の作成
 (1)何を載せるか
  ○保護者が得たい情報は何かを考えて
   ・この単元ではどういう力がつけばよいのか?
     ・どういう観点からそれを判断すればよいのか?
   ・目標が達成されなかった場合,どういう措置がとられるのか?
 (2)形式は
  ○指導要録に合わせた観点で
   ・簡潔明瞭に…………パンフレット形式,箇条書き形式,一覧表形式
 (3)表現は
   ・専門用語(教育用語)はできるだけ避ける。
   ・具体的に…………例:「○○を使って○○ができる」
 (4)出す時期は
   ・単元に入る前に月1回程度…………例:学年通信の裏面など
2 児童自己評価表の作成
 (1)自己評価の目的
   ・児童に学習の見通しを持たせたり,意欲付けをする。
   ・児童の自己評価能力そのものの育成を図る。
    ・教師の指導の反省とする。
   ・教師の評価の参考資料とする。
  従来,次のような自己評価の欠点が言われていた。新しい教育課程のもとではこれら
 を差し引いてでも実践する価値があるものと考えられる。そこで,これらの問題点をク
 リアできるように慎重に取り組まねば同じ轍を踏むことになる。
  ○自己評価の欠点 
   ・反省点ばかりがクローズアップされ,今後に向かってのびていこうとする学力形
    成的な評価の側面が弱い。(辛めの評価になりがち)
   ・自己評価の概念が弱く,自己評価の習慣がないため,必要感が薄くなっている。
   ・時間がかかり,長続きしない。
   ・児童自身のための自己評価であるにもかかわらず,教師の評価の資料としての意
    味合いが強かった。(評価項目に如実に表れている)
 (2)事前の準備
  1) 設定した目標と評価基準を再確認しておく。 
  2) 観点別の評価基準達成のために指導法を検討しておく。
  3) 各観点の評価方法を検討しておく。
  4) 学習前に,学習の目標とその達成基準(評価基準)を児童に知らせておく。
   ・何をどこまで学習するのかを明確にする。 
   ・ 学習の目標は何なのか。
   ・ 何ができるようになればよいのか。   
   ・ つまずいたときどうすればよいのか。  
   5) 児童の学習につまずきが見られたとき,正しくおこなわれたことはきちんと認識
   させ,改善への示唆を与える。 
  学習前に,何を,どこまで,どのように学習すればよいのかを子どもたちに知らせる
 ことが大きな前提となる。子どもたちに,目的意識と見通しをはっきり持たせ,どう学
 習すればよいのかという展望を持たせる。
 (3)評価の方法
 〈学習前に目標とその達成基準(評価基準)を子どもたちに知らせる〉
    ・何をどこまで学習するのかを明確にする。 
   ・学習の目標は何なのか。
   ・何ができるようになればよいのか。   
   ・つまずいたときどうすればよいのか。  
 〈自己採点も自己評価の一つの方法〉
    ・児童でも正誤がはっきり区別できるもの(例:ドリル類)
    ・模範解答を見ながら自己採点→間違いの修正とその原因を考える→原因の自己解決
   と教師の確認
 〈自己評価表による自己評価〉
    ・毎時記録する方法と単元終了時に記録する方法がある。
  ・設定した学習目標を達成したかどうかを自分で評価する。
  ・評価にあたっては「できた,できなかった」という結果のみにとらわれるのではな
   く,学習の過程に注目させたい。
 (4)評価項目の例〈評価基準の裏返し〉
  1) 授業への参加状況……「がんばってやった」「工夫して取り組んだ」「おもしろ
                          かった」
   2) 向上・成長の状況……「〜ができるようになった」「〜がわかった」「これから
                          〜をやりたい」
   3) 学習への習慣・態度……「予習や復習をやっている」「難しくてもがんばった」
                           「わかろうとして勉強した」
   4)学習後の自分自身 ……「目標は達成できた」「〜がまだよくわかっていない」
                           「たいへんだったけどがんばった」
 ……………………………………………………………………………………………………
 自己評価表には教師の「子どもへのことば」と「保護者へのことば」を記入する欄があ
ります。これによりいっそう暖かい関係をつくっていくことができると考えます。
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[1]「標準化学力検査」の結果を活用していますか?
         要録記入に役立ちそうです“教研式標準学力検査CRT”
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 皆さんの学校でも標準化された学力検査を実施されたことと思います。この
結果をどのように活用していますか?自分の学級・学年の成績を全国平均と比
較するだけ,学年順位を見て誰が1位で誰が2位かを知るだけ,という方,中
にはいるのではないでしょうか。実は,かつて私もそうでした。せっかくの資
料です,活用しない手はありません。
 教研式標準学力検査CRTは,応用教育研究所(図書文化社の外郭団体)が
作成した全国で幅広く使われている検査です。皆さんお使いであろう図書文化
社の評価規準表でおなじみの北尾倫彦氏らが作成した検査です。この検査は完
全絶対評価導入により,全面改定されています。
 検査結果のファイルがお手元に届いていることと思います。そこには以下の
資料が綴じ込まれています。
 ………………………………………………………………………………………
 1 観点別学習状況と評定一覧表
    観点別の評価(実現状況)とその評定
 2 観点別と領域別の分析診断表
    実現状況を観点別と領域別に分析
 3 個人票
    個票「あなたの学習のようす」 児童用と教師用
 4 観点別の学級・学年の集計表
 5 領域別の学級・学年の集計表
 6 知能検査との相関表
    アンダーアチーバーとオーバーアチーバー
 7 診断的小問分析表
    児童の各小問への応答状況を示し,誤答分析に活用できる。
 8 小問分析の学級・学年集計表
    7を学級・学年単位で集計し,通過率・誤答率・無答率がわかる。
 9 診断的SP表(これはオプション)
10 成績順位一覧表
    学年順位などがわかる。
11 学級編制用カード
 ………………………………………………………………………………………
 これだけの情報が手にはいるのです。私も今までは10の表ばかりに目がい
っていました。しかし,指導と評価の一体化という視点から考えると,他にも
活用できそうな資料がたくさんあります。また,自分の評価を見直し,反省す
るための材料としても有効ではないかと思います。
 さて,年度末の要録記入を考えた場合,活用したいのは1と2です。1では
観点別のA・B・C評価とその評定が3段階で示されています。これは客観的
な評価資料として注目すべきです。自分でした評価と比較検討することが大切
だと思います。合致していればそれでよいし,大幅に異なっていれば再検討す
べきです。学力検査ではB・B・B・Cで2となっているが,自分の評価では
A・A・B・Bで3となっていたというような場合,2や6,7などの資料を
詳細にチェックしてみる価値はありそうです。
 皆さん,一度じっくり2・6・7の表を読みとってみませんか?今までわか
らなかったその子の姿が見えてくるかもしれません。
 特に,一人ひとりの子どもの「どこに」「どんな」指導が必要であるのか,
これらの資料から読みとることができます。
 最後に,勤務校出入りの教材屋さんのお話を紹介します。非常に参考になり
ます。
「学年の始めにNRTを実施し,学年末にCRTを実施するとよい」
*NRT:集団準拠検査(学力偏差値がわかる。50を基準として上ならば全
 国平均以上,下なら平均以下)
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《特集》“指導要録”の記入の時期が来ました
                 『評定』の欄 どのようにしますか?
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  指導要録の評定,どうやって決めますか?今週は先週に引き続き指導要録特
集です。今回は評定の方法です。
 私は,当初は数値化の手段を用いることにたいへん抵抗を持っていました。
とはいうものの,評価にあたっての基準(ガイドライン)は必要です。各担任
が任意の方法で,というわけにはいかないでしょう。
 そこで,いろいろな方法を時間をかけて考えた結果,最終的に「数値化」す
ることが妥当ではないかという結論に達しました。多くの雑誌などで紹介され
ていますが,やはりここに落ち着くのでしょうか。
 しかし,大事なのはここから先です。数値化から出された評定はあくまでも
「ベース」なのです。これをそのまま評定とするわけにはいきません。このベ
ースを各担任が適正に処理することが求められるのです。子どものことをもっ
ともよく理解している担任にしかできない仕事です。
 ………………………………………………………………………………………
1「観点別学習状況」の欄
  ご存じのように,学習指導要領に示された各教科の目標に照らして,その
 実現状況を観点ごとに評価します。この際の資料として,文部科学省の通知
 の中に「各教科・学年の評価の観点及びその趣旨」が別表資料として掲載さ
 れています。しかし,各学校では既にこれを元にした評価規準と評価基準が
 作成されていると思います。
  各学校では単元ごとにそれに照らした評価がなされていると思います。し
 たがって学年末には,蓄積されたそれらの評価を総合する形で評定すること
 が実際的であろうと考えます。
 ■ 具体的手順
   単元ごとの評価を利用し,観点別に単元を横断して総合化する。
   この際,すべての単元についての評価資料がなくても大丈夫です。重点
  単元だけでかまわないと思います。
      〈例:4年算数〉
     ・ A=3  B=2  C=1として トータルし,平均を求め
      る。
       ・  2.5以上をA,1.5以上をB,それ未満をCと判定する。
 ┌────────┬─┬─┬─┬─┬─┬─┬─┬─┬─┬──┬─┐
 │        単  │大│わ│円│小│面│式│わ│分│ │    │  │
 │       元  │き│り│と│数│積│と│り│数│合│ 平 │総│
 │            名  │な│算│球│  │  │計│算│  │  │    │  │
 │               │数│1│  │  │  │算│2│  │  │    │  │
 │観点           │  │  │  │  │  │  │  │ │計│ 均 │合│
 ├────────┼─┼─┼─┼─┼─┼─┼─┼─┼─┼──┼─┤
 │関心・意欲・態度│A│A│C│B│C│C│A│A│17│ 2.1│B│
 ├────────┼─┼─┼─┼─┼─┼─┼─┼─┼─┼──┼─┤
 │数学的な考え方  │C│B│C│C│C│B│B│C│11│ 1.4│C│
 ├────────┼─┼─┼─┼─┼─┼─┼─┼─┼─┼──┼─┤
 │数量や図形につい│  │  │  │  │  │  │  │  │  │    │  │
 │  ての表現・処理│A│B│A│B│B│A│A│B│20│ 2.5│A│
 ├────────┼─┼─┼─┼─┼─┼─┼─┼─┼─┼──┼─┤
 │数量や図形につい│  │  │  │  │  │  │  │  │  │    │  │
 │  ての知識・理解│B│B│B│B│B│C│B│B│15│ 1.9│B│
 └────────┴─┴─┴─┴─┴─┴─┴─┴─┴─┴──┴─┘
    これを基本とするわけですが,最終的には単元の軽重や標準学力テスト
  の結果などを基に担任が補正を行う必要があります。
2「評定」の欄
  第3学年以上の各教科の学習の状況について,小学校学習指導要領に示す
 各教科の目標に照らして,その実現状況を総括的に評価し,記入します。
  評定は各教科の学習の状況を総括的に評価するものであり,観点別学習状
 況において掲げられた観点は,分析的な評価を行うものとして,各教科の評
 定を行う場合において基本的な要素となるものであることに十分留意するこ
 とが望まれます。
   評定にあたっては観点別学習状況の評価をどのように総括するのか,具体
 的な方法等については,各学校において工夫しなければなりません。
 ■ 具体的手順
      文部科学省の通知に書かれているように,観点別評価は評定を行う場合
  において基本的な要素となるものです。このことから「観点別学習状況」
  での評価A,B,Cから「評定」の評定値3,2,1を決める手順が合致
  していると考えられます。
   この方法には「得点化する」「軽重を設定する」など様々なバリエーシ
  ョンが見られますが,4観点を平等に点数化する方法を考えてみます。
  【具体例】
     ・ A=3  B=2  C=1として トータルする。 
       ・ 10以上を「3」,9〜6を「2」,5以下を「1」と評定す
      る。
┌───┬──┬──┬──┬──┬──┬──┬──┬──┬──┬──┐
│      │AAAA│AAAB│AAAC│AABC│ABBB│AACC│ABBC│BBBB│BBCC│BCCC│
├───┼──┼──┼──┼──┼──┼──┼──┼──┼──┼──┤
│点数化│12│11│10│ 9 │ 9 │ 8 │ 8 │ 8 │ 6 │ 5 │
├───┼──┼──┼──┼──┼──┼──┼──┼──┼──┼──┤
│評 定│ 3│ 3│ 3│ 3 │ 2 │ 2 │ 2 │ 2 │ 2 │ 2 │
└───┴──┴──┴──┴──┴──┴──┴──┴──┴──┴──┘
 ― 評定値の補正 ―
   以上を基本としますが,最終的には単元の軽重や標準学力テストの結果
  などを基に,子どもをもっともよく理解している担任の手によって補正を
    行うことが大事です。
 ………………………………………………………………………………………
 評定の方法には様々なバリエーションがあります。たとえば4観点に軽重を
つけるかどうか,カッティングポイントをどこに置くか,などです。
 10ポイント以上を「3」,9〜6を「2」,5以下を「1」と評定するこ
とが適正かどうかなど,議論の余地はあります。大切なことは「自校化」する
ことでしょう。自分の学校の実態に合わせて,全職員で議論し,誰もが納得す
るガイドラインを作成することです。
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[1]知っているようで知らない“学力検査
                   評価が問われている今だからこそ
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 どこの学校でもやっている「学力検査」一度じっくり考えてみませんか。勤
務校で配布したものをいかに掲載します。
……………………………………………………………………………………………
1 標準化学力テストの種類
 1)〈CRT〉目標基準準拠学力テスト(絶対評価)
  ・ 実現すべき基準(目標基準)を設定し,それに基づいて解釈される学
   力検査
    ・ 学年で習得が期待されている学習内容が,どの程度実現されたかがわ
   かる。到達度検査。
  ・ 学年末の実施が適当。
 2)〈NRT〉集団基準準拠学力テスト(相対評価)
    ・ 全国的な集団に実施し,その測定値で算出した基準(集団基準),例
   えば平均点などに基づいて尺度がつくられている学力検査。
  ・ 学力偏差値が出される。
    ・ 子どもの学力が全国的に見て,上か下かという相対的位置がわかる。
2 テストバッテリーについて
    ある目的を達成するために用いられるテストの組み合わせのこと。例えば
 「知能検査」と「学力検査」「学習適応性検査」の3つの組み合わせがよく
 知られている。
    一般的には「知能検査」と「学力検査」のテストバッテリーを採用してい
 るところが多い。両者の測定結果を比較検討し,「アンダーアチーバー」
 「バランスドアチーバー」「オーバーアチーバー」を判定する。
  *「アンダーアチーバー」・・・・・・・能力相応以下
     何らかの原因で,持てる力が発揮されていない状態。学業不振の原
    因を探り,それを排除することが求められる。
  *「バランスドアチーバー」・・・・・・能力相応
  *「オーバーアチーバー」・・・・・・・能力相応以上 
         持てる能力以上の学力が発揮されている。これは好ましい状態とは
    言えない場合もある。例えば,何らかの形で学習を強制された結果で
    あるという場合が考えられる。嫌がる塾通い,保護者による押しつけ
    学習などの結果であれば問題となる。
  〈注〉これら3つのアチーバーは「知能偏差値」と「学力偏差値」とで検
    出するものであるから,CRTでは測定できない。しかし,教研式の
    場合「知能―CRT相関表」がそれに代わるものとしてついてくる。
    これでおよその判断ができる。検査時に児童名簿に過去に実施した知
    能検査の結果を記入して一緒に提出するとよい。
3 実施上の注意
 ・ 実施の手引きをよく読んでおく。
  ・ 聞き取りがあれば事前に読む練習をしておく。
 ・ CRTの場合は,未学習の設問は実施しない。あとでその点を考慮した
  修正尺度で測定するようになっている。学年でよく相談しておく。
   到達度を検査するため,未学習問題をやってしまうと正しい検査結果が
  得られない。
4 CRTの結果の表し方
 ・ 学力水準が総合した正答率で表される。
 ・ 各観点の実現の状況が3段階評定,正答率(達成率),プロフィルで表
  される。
 ・ 学年,学級内での位置の5段階評定(3段階評定)
  ・ 1問ごとの正答数,正答率,誤答数
5 結果の生かし方
 ・ 個人懇談会で,よくできているところ,できていないところ,その間の
  学習態度や努力について報告し,合わせて家庭での様子を聞き,これから
  どうしたらよいか話し合う。
  ・ 自分の評定を補正し妥当性を高めたり,評価規準の見直しの資料とす 
  る。
 ・ カリキュラムや指導法の反省と改善,各個人の今後の指導法の参考資料
  とする。 
  ・ 学業不振児を診断し,適切な指導の手だてを考える。
 ・ 少人数などのグループ編制,学級編制の資料とする。
 ・ 指導効果の判定と指導法の反省,改善の資料とする。
 ・ 児童一人ひとりの必要に応じた学習の仕方を指導するための資料とす
  る。
 ・ 教師作成の評価規準による評定と学力検査の結果を比較し,実現状況や
  評定の分布に違いが大きいようであれば,その原因を検討する。
……………………………………………………………………………………………
 参考になれば幸いです。
 なお,以上のことがらは,勤務校に出入りの教材屋さんから教えていただい
た内容と「指導と評価VOL48(図書文化刊)」を参考にしました。
 教材屋さんはさすがに詳しいです。わからない点について,明確に答えてく
れました。私たち以上に勉強しておられます。
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[2]評価規準作成は「自分化」を視点に
           けっこう見られる「全市,全県での作成」に疑問?
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 評価規準作成の進捗状況はいかがでしょうか。多くの学校が国立教育政策研
究所や出版社の示したものを参考にしていると思います。それはそれで妥当な
取り組みだと思います。私の勤務校でもそうしています。しかし,老婆心なが
ら「丸写ししている」だけでは「仏つくって魂入れず」です。
 以前「自校化が必要」ということを書きました。しかし,今私は「自分化」
が必要と考えています。その根拠は以下の通りです。
 4月,新しく担任する学級を知り,あれこれビジョンを描きます。希望に胸
がふくらむときです。教科書をぺらぺらめくり,授業の構想をあれこれ考えま
す。しかし,評価規準は既に存在しています。先年度,前担任が作成したもの
です。場合によっては,市で作成されたものです。評価規準が授業構想以前に
既に存在しているのです。これでは,自分の工夫する余地はないことになりま
す。まったくの他人の敷いたレールを進む授業となってしまいます。具体的な
評価項目を立てている場合ほど,逆に授業が束縛されます。「自分だったらこ
ういう組み立てはしないなぁ」という場合もでてくるでしょう。
 ですから「自分化」が必要なのです。先年度,前担任が作成した評価規準
は,あくまでベースとなるもので,そこから「自分化」をすべきなのです。
 最近,全市的に評価規準を作成する動き,全県レベルで作成すべきだという
声,そういった話を耳にします。これはどうでしょうか?いわゆる「既成」の
与えられたものでしかないと思うのです。
 これはあくまでもベースであり,たたき台となるべき性質のものです。ここ
から「自分化」をすべきです。
 私は本来,評価規準は担任一人ひとりのオリジナリティーあふれるものであ
ると考えています。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
[1]絶対評価をめぐる問題点 「関心・意欲・態度」をどう評価するか 
            京都大学教授 田中耕治氏の小論をもとに考える
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
 絶対評価をめぐる問題点で,最も多いのは「関心・意欲・態度」をどう評価
するか,ではないでしょうか。例えば,「関心・意欲・態度」だけがAで,あ
との3つはすべてC,またはその逆の場合,そんな通知票を見たとき,皆さん
はどう感じますか?「関心・意欲・態度」の評価について,京都大学の田中氏
の小論をもとに考えてみましょう。
 実はこのことについて,教課審答申(2000年12月)に次のように書かれてい
るのです。
>  その評価については情意面にかかわる観点であることなどから,目標に準
> 拠した評価であることが十分理解されていなかったり,授業中の挙手や発言
> の回数といった表面的な状況のみで評価されるなど,必ずしも適切とは言え
> ない面も見られる。
 これを受けて田中氏は「新しい学力観以後重視されるようになった関心・意
欲・態度の重視が態度主義的な傾向に陥っていた」と指摘しています。さらに
広島大の片上氏が指摘する「関心や意欲は育て上げないと子どもの内に根づか
ない。したがって,どのような知識・理解に支えられ,どのような思考・判断
を経るかによって育成が左右される」という論を支持しています。
 「関心・意欲・態度」を「知識・理解」や「思考・判断」と関係づけてとら
えること,それが態度主義を克服する重要なポイントである。そして,その上
で「学力の構造論として,関心・意欲・態度は知識・理解や思考・判断と並行
して発展すると考えるのか,関心・意欲・態度は知識・理解や思考・判断の総
合された様相と見るのか2つの仮説がある。どちらをとるにしても知識・理解
や思考・判断がよくないのに関心・意欲・態度だけがよいということにはなら
ない」と結論づけています。
 そして最後に「どの立場をとるにせよ,その裏付けとして学力に関する確か
な構造認識が求められており,それこそがアカウンタビリティーを果たす上で
不可欠なものとなる」と述べています。
 みなさん,どう受け止めましたか?挙手や発言が多いだけではだめなようで
す。理解できていなければ,ということでしょう。そして,なぜそういう評価
になるのか,学力観をきっちり持っていなければならないのです。
      参考文献〈田中耕治:目標に準拠した評価を定着させるために〉
                  「指導と評価11月号」図書文化刊
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
[1]目標準拠評価について
               立教大学:奈須正裕氏の主張を紹介します
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 みなさん,評価基準の作成状況はいかがでしょうか?私の勤務校でも少しず
つですが,進捗状況はまずまず,といったところでしょうか。
 このことについては,第50号で勤務校の状況をご紹介しました。要約,再掲
します。詳しくは以下のHPをご覧ください。
 ../../../Berkeley-Labo/6941/hyoukai.htm
………………要約,再掲………………………………………………………………
手順1 評価目標の設定 単元の指導目標から抽出する。
手順2 評価目標を具体化し,評価規準を設定する。
     その単元で身につけさせたい資質や能力〈質的な拠り所〉
手順3 評価基準を設定する。 
     評価規準がどの程度達成されたかという目安〈数量的な拠り所〉80
     %達成できれば◎,60%なら○,それ以下であれば△
     評価の客観化,説明責任の根拠化を図るため文章化する。
具体例1〈5年 社会科〉:
 ●評価規準「稲作に従事する人々の働きに関心を持ち,人々の工夫や努力を
       意欲的に調べようとする」
 ●これを受けた評価基準
     A:米袋の表示情報から産地とその栽培にかかわる多くの情報を読
      みとり,意欲的にまとめたり発表しようとしている。
                           (達成度が高い)
          B:米袋を観察し,表示情報から気づいたことをノートにまとめ,
      発表しようとしている。
                     (教師のねらう最低の達成度)
          C:米袋の表示情報に関心を示さず,自分から取り組むまでに至ら
      なかった。      (教師のねらう達成度に達しなかった)
 
具体例2〈国語の物語の読み取り〉:省略
 基準作りは「評価の客観化」という視点から,可能な限り評価者の目に見え
る,学習者の行動に注目した「行動目標」となるように配慮しなければならな
い。            〜  中略  〜
 私たちは「この単元ではこんな力をつけてやりたい,このレベルにまでは到
達させたい」こんな願いから評価規準を決めます。そして,実際の評価に役立
てるために評価基準(判定基準)を作成します。評価基準は,基本的には年度
ごとに再検討されるべきと考えます。なぜなら,どの担任もすべてが社会科農
業学習の導入で米袋を使った授業を実践するとは限らないからです。
………………要約,再掲〈終わり〉…………………………………………………
 ここで奈須氏の主張を紹介します。
 理解できないことが2つあると言われます。まず「全国の学校が大騒ぎして
いる。なぜなぜこんな大騒ぎになるのか理解できない」と言われます。
そもそも「今回初めて導入されたものではない。前回の指導要録改訂ですでに
出されていた」とと,きつい一言です。
 次に理解できないことは「1年分の評価規準をすべて前年度中につくろうと
する動き,はたまた,県ごとで,市ごとでつくれという声がある。私にはこれ
がまったく理解できない」と言われています。
 氏の主張は「実際に単元をつくる段階で評価規準も作ればいい」というもの
です。そうでなければ,新年度赴任してきた教師は,前年度にすでにつくられ
た評価規準のとおりに授業をしなければならないということになります。まっ
たくそのとおりです。
 実際に指導にあたる教師が,自分の指導計画に従って評価規準も作成すべき
なのです。これは指導と評価の一体化にも通じます。
 では評価規準はどのような手順で作成すればよいのでしょうか。氏は以下の
ように言われます。「単元に対応する指導要領の内容項目を把握し,単元のね
らいを書く。これはその単元を通して指導しようとする指導要領上の内容項目
を,その単元なり教材の特質に即して書き下ろしたもの。それが書ければ,後
は4つの観点で分析し,目指す子どもの姿として具体化させればよい」と言わ
れております。―〈引用文献〉ぎょうせい:月刊誌「悠」2002年10月号 ―
 ここで強調したいのは,私の勤務校での「基本的には年度ごとに再検討され
るべきと考えます。なぜなら,どの担任もすべてが社会科農業学習の導入で米
袋を使った授業を実践するとは限らないからです」の部分です。これは奈須氏
の主張と一致します。評価規準は,一度つくったらそれっきり,というシロモ
ノではないと思います。常に見直しが必要です。
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[1]評価規準作成の手順を紹介します
         評価規準と評価基準を明確化させた勤務校でに実践例
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 Vol.43と44で評価についての情報を紹介しましたが,今回は勤務校での評価
活動についての取り組みを紹介します。ここでは1単元分の作成の例をあげま
す。
手順1 まずはじめに評価目標を設定します。これはその単元の指導目標から
   抽出します。数多くの目標や内容からすべてを取りあげることは不可能
   です。ならばどれを代表として取りあげるかを検討します。4つの観点
   ごとに実施します。この作業が指導の重点化にもつながります。
手順2 次に評価目標を具体化し,評価規準を設定します。この段階は「評価
   規準」なのです。評価規準は,その単元で身につけさせたい資質や能力
  〈質的な拠り所〉とおさえています。これも4つの観点別に作成すること
   になります。
手順3 それから評価基準を決めます。評価基準は,評価規準がどの程度達成
   されたかという目安〈数量的な拠り所〉です。80%達成できれば◎,60
   %なら○,それ以下であれば△を基本とします。しかし,単にパーセン
   テージを決めただけでは誰にも評価できません。
    誰もが評価できるよう,そして評価の客観化,説明責任の根拠化を図
   らねばなりません。そこでこれを文章化するわけです。
具体例1〈5年 社会科〉 
 ●評価規準「稲作に従事する人々の働きに関心を持ち,人々の工夫や努力を
       意欲的に調べようとする」
 ●これを受けた評価基準
     A:米袋の表示情報から産地とその栽培にかかわる多くの情報を読
      みとり,意欲的にまとめたり発表しようとしている。
                           (達成度が高い)
          B:米袋を観察し,表示情報から気づいたことをノートにまとめ,
      発表しようとしている。
                     (教師のねらう最低の達成度)
          C:米袋の表示情報に関心を示さず,自分から取り組むまでに至ら
      なかった。      (教師のねらう達成度に達しなかった)
具体例2〈国語の物語の読み取り〉
 ●評価規準「登場人物の心情を読みとることができる」
 ●これを受けた評価基準
     A:登場人物の人がらまでも理解し,その生き方を読みとることが
      できる。                 (達成度が高い)
      B:登場人物の生き方を理解し,一通り読みとることができる。
                     (教師のねらう最低の達成度)
     C:登場人物の生き方をほとんど読みとることができない。
                 (教師のねらう達成度に達しなかった)
 といった具合になります。ここで気をつけるべきことは,AとBの差別化を
する際に「よりいっそう」とか「意欲をもって」といった言葉の上だけで差別
化しないということです。あくまでも「ここまでできれば」という行動目標で
表記することです。
 基準作りは「評価の客観化」という視点から,可能な限り評価者の目に見え
る学習者の行動に注目した「行動目標」となるように配慮しなければなりませ
ん。特に「関心・意欲・態度」では留意すべきことがらです。例えば,「地域
の伝統,文化に関心を持っている」ではなく「地域の祭りや伝統行事に進んで
参加している」といった感じです。
 次は実際の評価にあたっての留意点です。評価のスパンを決め,継続的に指
導と評価の一体化を進めるということです。たとえば,
・ 1校時の授業……評価のための資料の収集
・ 単元で総括する……すぐに手当ができる
・ 学期末や学年末の総括……単元ごとの総括に基づいた評定
 短いスパンでの評価を大事にしたいのは,学習期間が長く,学習範囲が広す
ぎると目標が全体をカバーしきれず,抽象的になってしまうからです。
 また,「知識・理解」「技能」は学習の終了時において判断できますが,
「関心・意欲・態度」「思考・判断」は学習の全過程の中に評価の機会がある
ということも忘れてはならないことです。
○参考
   規準……目標,内容をよりどころとする(学習の成果を質的にとらえる)
  基準……判定のためのよりどころ(学習の成果を数量的にとらえる)
 私たちは「この単元ではこんな力をつけてやりたい,このレベルにまでは到
達させたい」こんな願いから評価規準を決めます。そして,実際の評価に役立
てるために評価基準(判定基準)を作成します。評価基準は,基本的には年度
ごとに再検討されるべきと考えます。なぜなら,どの担任もすべてが米袋を使
った授業を実践するとは限らないからです。
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[2]知っていますか? NRTとCRTの違い
         目的に応じて使い分けよう 2つの標準化学力検査
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 ご存じの方も多いと思いますが,標準化学力検査には,NRTとCRTの2
種類があります。NRTは集団基準準拠検査であり,CRTは目標基準準拠検
査なのです。もう少し詳しくいえば,NRTでは「全国水準から見た学力の相
対的位置」を判定することができ,CRTでは「目標基準に照らして学力の実
現状況」を判定することができるのです。
 私たちが学生の頃はNRT花盛りでした。勤務校に出入りしている教材屋さ
んに聞いてみました。「ここ数年で出入りしている学校のすべてがCRTに変
わった」ということです。また。「私たちとしては4月に前学年のNRTを実
施し,学年末に当該学年のCRTを実施することを勧めている」と言っておら
れました。これ以外にも評価の話をあれこれしましたが,教材屋さん,なかな
か勉強しています。私も教えていただくことがいくつかありました。
 いずれにせよ,目的をはっきりさせた上で実施し,そして実施後のデータを
どう活用するかが大事なことです。参考までに教材屋さんに頂いた資料からい
くつか紹介します。
 ・ 基礎,基本の徹底の確認と指導のし直しの資料
 ・ 指導要録記入の客観的資料
 ・ 学業不振児を診断し,適切な指導の手だてを考えるための資料
 ・ 学習グループ編制,学級編制の資料
 ・ 個人や学級の学力達成の確認と指導の重点化のための資料
 評価についてみなさんお悩みのことと思います。
 最近読んだ本の中に,辰野千壽氏が紹介する「イービィーの評価の視点」と
いうのがありました。タイトルは「子どもの学習を促進する効果的な評価法」
です。好奇心をそそられて読んでみました。
 ポイントは「指導前に目標とその達成基準を子どもたちに知らせる」という
ところにあります。ポイントは9つあります。ここまでは徹底していません
が,私の勤務校では,保護者向け「評価規準」を作成し,配布しています。通
知票が完全に絶対評価になった今,説明責任を果たすためにも自然な流れだと
思っています。
 さて「イービィーの評価の視点」,2学期の評価の際で可能な部分は導入し
てみてはいかがでしょうか。
……………………………………………………………………………………………
 1) 何をどこまで学習するのかを明確にする。 
 2) 設定した目標の軽重を決める。 
 3) 各目標達成のために指導法を検討する。
 4) 各目標の評価方法を検討する。
 5) 各目標の到達基準を設定する。
 6) 学習前に次のことを学習者に知らせる。
 ・ 学習の目標
 ・ 成功の基準   
 ・ 学習者の作業を修正するとき期待すること。
 ・ 学習者の最初の試みが認められないとき,学習者のなすべきこと。
 7) 学習者の作業を修正するとき,正しくおこなわれたことをフィードバック
 し,改善への示唆を与える。 
 8) 通知票の評点をつける前に次のことを学習者に知らせる。
 ・ 評点に対し,どんな作業を考慮するか。
 ・ どんな作業に最大の重みを置くか。
 ・ より高い評点を目指すために何をなすべきか。
 9) 通知票を配るとき,学習者に各評点についての説明をする。
……………………………………………………………………………………………
 学習前に,何を,どこまで,どのように学習すればよいのかを子どもたちに
知らせるという主張です。子どもたちに,目的意識をはっきり持たせ,どう学
習すればよいのかという展望を持たせるということでしょう。
 しかし,これについては反論がありそうです。これではまったく「はじめに
教師ありき」の学習です。教師の敷いたレールの上をしっかり進んでいけばA
評価がもらえそうです。
 いろんなところで「困っている。どうしたらいいんだろう」という話をよく
聞きます。中には「あんなこと,できるわけがない」という話も聞きます。
 果たしてそうでしょうか。とにかく,できることから少しずつでもいいから
やってみることが何より大事なのではないでしょうか。やってみなければ「無
理」なのか「できないこと」なのか,話にもなりません。また,そんなに難し
く考えなくてもいいのではないでしょうか。
 私たちは日々の授業でちゃんと評価を行っているのです。例えばこんな調子
で。「B君,今日はすごくがんばっている」「C子さんがこの問題を見事に解
いた」「D君がきちんと宿題をやってきた」という具合です。これだって立派
な評価です。このような事実を記録しておけばよいのです。これも評価資料に
なります。これは石田氏からの受け売りです。
 また,無藤氏が言われるように「特に手当の必要な子を見極めればよい」の
です。具体的に言うとこんな調子です。「B君は今日の授業がほとんど理解で
きていない」「Cくんは文章題になるとまったくだめだった」「D君は図形学
習になるとまったく意欲を示さない」といった具合です。無藤氏はこれに加え
て「F君はすっかり理解できた」という十分達成した子も見極めるべきだと言
われています。つまり1時間の授業の中で,教師から見て目立つ子(気にかか
る子)が存在すれば,それが評価した証なのです。そして,その目立つ子,つ
まり達成できていない子と十分達成した子の双方に手当をすべきだと。
 以上のようなことはふだんみなさんやっていませんか?それらをめんどうが
らず日々記録しておけば,それが立派な評価資料となるのです。
 そして1単元終わるごとに評価資料をもとに観点別に評価を下すのです。こ
れを蓄積していけば学期末の評定など,すぐにできます。4単元分の評価がB
・B・B・Cなら普通はBでしょう。通知表作成時に大あわてすることはなく
なるはずです。「評価はホットに,評定はクールに」というのは北尾氏の言葉
です。
 忘れてならないのは指導と評価の一体化です。これは短いスパンでとらえな
ければできません。1単元ごとが適当(北尾氏)です。評価したら直ちに手当
を,というわけです。ある単元で「知識・理解」をCと評価したなら,直ちに
手当をすべきです。Cを認識しながら,何ら指導を施さないのは無責任きわま
りないことです。
 みなさん,できることから取り組んでみませんか?評価のことについて何か
ご意見,ご質問がありましたら私までメールを。MM紙上で取り上げたいと思
います。おまちしています。
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[1]新教育課程で何を身につけるか       
       講師:無藤 隆(お茶の水女子大教授 教育課程審議会委員)
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1 学校の規制緩和と目指すべき方向
 (1)子どもを学校へ閉じこめておく時間を減らし,地域へ戻す。
 ・地方分権……地域間格差  ・ 規制緩和……自分たちでやる(責任)
 ・これらの動きは決して後戻りしない。
 ・学校は……基礎基本の学力と総合的な学力を身につけさせる。
 ・地域は……応分の責任を持つべき。
 ・3割カット……7割は徹底指導,未習熟な子を救済する対策があるか。
 (2)共通を最小限として,選択を拡大する。
 ・共通部分を最小限のものとして,それについては誰もが確実に身につくよ
  う徹底的に指導する。
 (3)指導要領の最低基準性を確認し,それを超えた発展を可能にする。
 ・基礎基本……知識理解だけでなく,その教科特有のものの見方,考え方を
        育てることを忘れずに。TTや教科担任制で対応できる。
 (4)総合は知性と教養の育成を
 ・総合的な学習の時間は規制緩和でもっとも進んだところ。
 ・教科で学んだことを総合して,自分と社会との関心をつなぐことへと発展
  させる。 
 (5)社会の学校への関与を増やす
 ・ゲストティーチャーのみならず,地域住民や学校評議員など。
 (6)指導と評価の一体化
 ・評価……目標準拠 Aの子にはもっと高い目標を与える,Cの子にはやり
      なおしを。Cの子をどうするかは大問題である。
  →終末評価(学期末)だけでよいのかという問題。単元ごとの評価活動を
   元に迅速な手当が望まれる。その内容は反復練習だけではないだろう。
 (7)達成の確実性
 ・授業で目標は1つではあり得ない。たった1つの目標を細部にまで追いす
  ぎると,却って全体として効率が悪くなる。要は特別な処置を必要とする
  ものであるかどうかがわかればよい。「特に達成が足りない子」「さらな
  る目標を与えた方がよい子」の判断ができる程度でよい。
 (8)日常の評価
 ・パフォーマンス評価……テストなどの検査法の他に,子どものパフォーマ
             ンスも安定してみることができる資料である。
2 基礎学力の保証……各学校で方策を進めておく。
 (1)基礎知識の確実な習得をチェックし,援助する体制
 (2)教科指導の水準を上げる。
 (3)勉強時間を確保する。
 (4)選択の時間その他を通して,習熟度や発展学習を導入する。
 (5)実際の評価は「特に対応が必要な子」(大きく理解できていない子,楽に
  理解できている子)を見つけることでよいだろう。評価のための評価にな
  らないためにも。
3 総合的知性を育成する
 (1)総合的な学習の時間
 ・ねらいは総合的な学力を伸ばすこと。
 ・教科学習との違い
   教科……伝統的文化遺産を継承(系統的,組織的,画一的)
   総合……世の中を見つめ,自分なりの認識を確立させる。そのためには
      「調べ,まとめ,発表する」ことが不可欠
 ・目指すところは2点
  1)知的社会的関心を広げる……学校での学習を世の中に結びつけていく。
  2)教科との関連を深める……教科の意義(数理的科学思考力など)を感じ
               させる。  
 (2)情報活用力をのばし,特に文章力を重視する。
4 学校評価を進める
 (1)基礎学力を評価する。
 (2)総合と発展を評価する。
 (3)評価は改善の約束とセットにする。
 (4)学校の総体としての評価を行い,公開する。
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[2]学習評価の行い方     
         講師:北尾倫彦(京都女子大教授 教育課程審議会委員)
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1 学習の質を問う ―学力低下批判に応えて―
 (1)浅い学習が思考力・知識の構造化を阻んでいる
  ・OECD調査などからも学力レベルは低下していない。
  ・質が問題……OECD調査では読解力は8位(思考力,判断力)
 (2)知識の使用(適用)経験の不足がその定着を阻んでいる。
  ・学んだことの定着が悪い(学びの崩壊)
  ・思考力が不足……確かな学力がついていない。
 (3)学習意欲,学習価値観の低下……自己学習を阻んでいる。
2 目標準拠評価の行い方……各担任が評価データを持ち寄って,評価基準に
                            照らしながら評価することが大事。
 (1)目標を具体化し,評価項目を決める
  ・誰にでもできる評価(評価の客観化)
 例:×地域の伝統,文化に関心を持っている。
      ○地域の祭りや伝統行事に進んで参加している。
      ×正の数,負の数の考え方を使ってものごとを考えることができる。
      ○気温の前日との差など,正の数,負の数を用いてものごとをとらえ直
        すことができる。
  ・評価の根拠として利用できる具体性のあるもの。
 (2)評価のスパンを定め,総括を行う。(指導と評価の一体化)
  ・1校時の授業……評価資料の収集
  ・単元での総括……最適(すぐに手当ができる)
  ・学期末や学年末の総括……指導との一体化が難しい,違う視点からの評価
  ・学習期間が長く,学習範囲が広すぎると目標が全体をカバーしきれず,抽
    象的になってしまう。
  ・「知識」「技能」は学習の終了時において判断できるが,「関心・意欲・
   態度」「思考・判断」は学習の全過程の中に評価の機会がある。
 (3)単元ごと,観点ごとの評価項目を作る……日常化させる必要性
  ・単元ごとのメリット……P(計画)D(指導)S(評価)の一体化
               PDS(指導ユニット)
  ・観点ごとのメリット……学力の多面的な評価
    (関・意・態は日本のみの項目:4観点で学力をとらえるのは日本独
          自の世界に誇れる評価方法)
 ・評価項目の選び方   
   1) 子どもの学習活動と対応づける(評価場面を決める)
  「関・意・態」は拘束されない場面で。
   2) 学習の広がりと深さを保証する(観点間のつながりを考えておく)
    * 4観点はバラバラにとらえてはならない。子どもの姿は常に4つが一緒
      に出現する。
    * 「関・意・態」と「知・理」「思考」は結びついている。結びつけるの
      がプロ教師の仕事。塾では「関・意・態」なしで「知・理」をつけよう
      とする。
   3)重点化し,代表項目を絞る(多からず少なからず)
     すべてを取りあげることはできない。目標から引っぱり出した代表項目
 (4)評価の基準を決めておく
  ・基準と規準の違い
      基準……設定された目標にどの程度まで到達(達成)しているか?
              →学力の量的レベルが問題となる。量的な基準を示す。量的ス
                タンダード
        例:「規準を80%達成したらA,60%ならB」
      規準……評価の対象は何か?→学力の質的特徴を問う。これが評価規準
              幅の広い質的な基準を示す。質的スタンダード 
   評価規準とは「達成したい質的レベル」これを越えたら達成と認める。
    *評価活動……あらかじめ設定された評価規準に照らして,評価基準に従
                  って評定
  ・質の良さによるカッティングポイントの決め方
    カッティングポイント……AとB,BとCの境目であり,基準となる。 
      例:3は80%,2は60%/5は90%,4は80%,3は60%の達成率で)
  ―評価項目ごとの評価基準―
     * クオリティー(質)による段階別
  A:登場人物の人がらまでも理解し,その生き方を読みとることができる。
  B:登場人物の生き方を一通り読みとることができる。
 C:登場人物の生き方をほとんど読みとることができない。
    学習状況の質を吟味する→その後「数量化」→学期末や学年末の評定は数
  量評価でよい。簡単にクールに。単元ごとの評価はホットに,学期末の評
  定はクールに。
        学習の質とは?……「拡がり」と「深まり」の視点から
  ・量的にカッティングポイントを決める方法
        ―評価の総括における評価基準―
          *数量的にとらえる。
  例1:ある単元での総括(4観点にそれぞれ3つの評価項目がある場合)
    関: AABであればA,思: BCCであればB,表: BBAであればB,
    知: BABであればB   (場合によって軽重を考慮する)
     このような基準を子どもも保護者も知っていてよい。
     シンプルでガラス張りにする。悩まないで機械的に評定する。
    *重みづけをする場合の例
     関心・意欲・態度/学習活動の観察60% ノートやワークシート40%
      思考・判断/学習活動の観察20%  ノートやワークシート40%ペーパー
                  テスト40%
      技能・表現/学習活動の観察30% ノートやワークシート30%
                  発表資料40%
      知識・理解/ノートワークシート30% ペーパーテスト30%
    *終末での評定
  例2:学期末の評定→例1で実施した単元ごとの評価を数量的に評定する
                   │観点│ 関  │  思  │ 表  │ 知  │
                   │単元│アイウ│アイウ│アイウ│アイウ│
                   │評価│AAB│BBB│ABA│BCB│
                   │総括│  A  │  B  │  A  │  B  │
    場合によって軽重をつける。このような基準を子どもも保護者も知っ
    ていてよい。シンプルでガラス張りにする。悩まないで機械的に評定
    する。
 ・総合評定の行い方
      単純に平均値を用いる場合……Aを3点Bを2点Cを1点として数値化
                 する。 
      観点ごとに重みをつける場合……「思・判」を2倍化,「知・理」を2
                  倍化
        *補正することの重要性(信頼性を一層高めるために)
     当該学年での目標を達成したかどうかを再度ふり返って見直す。
          重要な達成事項が確認された,標準学力検査と照合,他者の観察眼
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[1]新しい教育課程における教育の課題      
        講師:辰野千壽(応用教育研究所所長,元上越教育大学長)
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1 確かな学力の育て方……確かな学力=思考力,判断力,問題解決力
 (1) 個に応じた指導
  少人数指導,習熟度別指導,選択学習,発展学習
 (2) 基礎・基本の徹底
  系統学習,ドリル学習,プログラム学習,オペラント学習
 (3) 自ら学び,自ら考える力の育成
  問題解決的学習,総合的学習,体験的学習
 (4) 学ぶ意欲や学び方の習得
    学び方,学習方略の学習
 (5) 学力の確認と改善のための評価
   ・相対評価から目標準拠評価,個人内評価へ
   ・画一的評価から多様な評価へ
   ・結果の評価から過程の評価へ
                    ………とは言うものの双方を見るべきである
   ・間接評価から直接評価へ
   ・量的評価から質的評価へ
   ・他者評価から自己評価へ………第3者の客観評価と併用   
2 今日の教育の問題点
  (1) 個性の誤解
   ・望ましい個性と望ましくない個性
                            ………個性は社会的環境の中で形成される。
   ・個性尊重
            ………わがまま,利己主義,個人主義を容認するものではない。
 (2) 適応理論の誤解
   ・個性(欲求)の実現のために社会を変える
    社会の要求と個人の要求の調和がとれた状態を「適応」といい,健全
      な人格が育つ。個人の要求に応えるために環境を変えることは社会悪。
   ・欲求不満を感じさせないために過保護なしつけ,甘い教育になる。
        子どもの方を変えないで,授業を変えるという現象は不可思議。
  (3) 自発性,自主性の誤解
      子どもの自由を尊重し,教師の指導性が低下……間違った子ども中心主
   義へと傾斜
  (4)「子どもに合わせた教育」の行き過ぎ
   ・学習者中心……指導よりも支援,外発的動機づけより内発的動機づけへ
          の傾斜
   ・教育課程,教育方法の弾力化……米国のオルターナティブスクール(正
    規学校の代替学校:好きなことを好きなときに学ぶ)学習の偏りや基
    礎学力低下を招く。
   ・評価の個性化,多様化
    相対評価の軽視,甘い評価……他と競争させない。他と比較すること
                 で自己を理解するという側面もある。
    ・不登校の容認……フリースクールや代替学校
              学校軽視の風潮,疑似不登校児の多発を招く。
 (5) 教育の動向
   ・個性尊重の教育から画一化の教育へ
    米・仏・英では90年代から我が国とは逆に画一化への回帰が。
  ・教育的責任を問う
    個人が負担する費用や税金に見合った教育がなされているか。
    ・ゼロトレランス方式の確立
    97年クリントン大統領 秩序の乱れから「寛容性を認めない」教育
    へ。日本で言う「教育的配慮」無用論 校則破りは即罰則あり。
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[2]教育評価の基礎・基本              
                    講師:石田恒好(文教大学学長)
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1 教育評価とは
 (1) 教育評価
      《「児童・生徒の・・・・評価のあり方」教課審答申は必携,必読》
  ○ 評価とは
   ・PDS(Plan計画→Do実践→See評価)の流れにおいて
      ・教育……目標達成が最終目標 
   ・評価……このために教育が正しく機能しているかをチェックする営み
                                 →教師の指導と子どもの努力
    ○ 基礎・基本の定着のため……指導要領の最低基準性に基づく
   ・ 指導と評価の一体化
      ・ 学習の過程での評価〔確認と調整〕,終末での評価〔反省と改善〕
    ○ 教師の指導力
   ・ 目標準拠評価では教師の指導力が問われる。相対評価ではあまり問
    題にならなかったが。
      ・ なぜ実現できなかったか?を問題とすべき。
   ○ 終末評価と過程評価の双方を大事に
    現在の学校では終末のみに固定している感がある。短いスパンでの確
   認,調整を。単元ごとが一般的
  (2) 教育測定
  ・ 観察やテストなどによって状態を明らかにし,数量的に表す操作
  ・ テストは測定であって,評価ではない。評価のための1つのデータに
   過ぎない。
    ・ 様々な測定技術を身につけ,評価に生かす……評価情報の収集につと
   める。
  (3)評 定
    評定とは……観察やテストによって状態を明らかにし,あらかじめ設定
  した基準に従い,点数や記号等を付与する操作。評定→数量的に判断
  要録はすべて評定
    ○点数式評定 
    80%以上実現はA 90%以上実現は5 など
    ○図式評価
     ○記述評価  文章で記述
        総合の評価は文章で記述……ここも目標に準拠した評価
        *全観点でなく,その子にとって力のついた観点を取りあげて書けば
     よい。
        *答申の「よい点や進歩の状況を・・・・」については,総合所見欄
         に書けばよい。ここは「個人内評価」
2 教育評価の目的……子どもを評価するだけではない
  (1) 指導目的―教師にとって―
    基礎基本の徹底,1やCを出さない指導
 (2) 学習目的―学習者にとって―
    学習の反省と改善
  (3) 管理目的―管理職にとって―
    例えば「理科が弱い」→理科教諭を求める
  (4) 研究目的
        カリキュラム編成や指導法の研究など
3 教育評価の手順
 (1) 評価目標の設定
   ○指導目標の具体化・明確化……誰でもやれる
     ・ 本時ごと,単元ごとに行う【行動目標で設定】→目に見える子ども
    の行動で表す。
    ・ 観点別に行う
    「知識,技能」は測れる→個人でもやれる
    「関心・意欲・態度,思考」は難しい→学校を挙げて作成する。
    ・ 市町村で行う……広域で,将来は高校入試の改善へつなぐ
   ○評価目標の設定
    ・ 指導目標から抽出する。
      数多くの目標や内容からすべてを取りあげることは不可能。ならば
        どのことがらを代表として取りあげるか。
    それを選び出す教師の力量が問われる。
 (2) 評価資料の収集
   ○評価技術
        教師(テスト,観察,対話など)
        児童(自己評価,作品,作文など)
    *自己評価と他者評価の食い違い。なぜ起きたのかを検証する
     *パフォーマンス評価……子どものパフォーマンスをとらえていく。
 (3) 評価資料の解釈
   ○基準と規準
     基準……判定のためのよりどころ(学習の成果を数量的にとらえる)
        規準……目標をよりどころとする(学習の成果を質的にとらえる)
    ○基準
      ?目標基準……目標基準準拠評価(評価規準)
      ?集団規準……集団規準準拠評価(相対評価)代表は平均点から知る相
                  対位置
      ?個人評価……個人規準準拠評価(個人内評価)ポートフォリオは個人
                  内評価の時系列縦断評価
4 指導と評価の一体化
 (1) 反省と改善
   ・教師の立場から……到達できなかった子をどうするかという責任
          例:テストはすぐ返す→未達成児への指導のし直しが直
                        ちにやれる
   ・子どもの立場から……自分の学習を振り返る
   ・管理職の立場から……学校評価へつながる。
             オール1の子を修了認定?          
   ・行政の立場から……教育行政の反省と改善
   ・説明責任……相対評価では子ども同士がある程度わかっているが,絶対
                評価ではわかっていなし。同じ塾にいく子同士が通知票を比
        べたら逆転現象が。
 (2) 基礎・基本の徹底
   ・教師の側から……指導のし直し
   ・児童生徒の側から……学習のし直し
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[1]「絶対評価」を通知票にどう具体化するか
     学習到達度とその向上への足場   早稲田大教授:安彦忠彦氏
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 通知表作成の時が近づいてきました。絶対評価の結果をどう通知表に表現し
ていくのでしょうか。絶対評価の利点を生かした通知票にしたいものです。こ
のことについて安彦氏の提言をご紹介します。
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○ 絶対評価になったことは2つの利点がある。
 1 教育効果としての学習到達度を,従来よりも明確に示せる。
 2 純粋に子ども一人ひとりの到達度合いを示すことができる。
  これらにより,その子どものよさや克服すべき点が明らかになる。
○ 絶対評価の通知票への表し方
 ・よくできた部分とまだ不十分な部分を明記する。
 ・前者については,到達していることをほめる。
 ・後者については,いっそうの向上が可能である,と動機づける。
○ そのために「評価規準」を子どもにも保護者にも示す必要がある。
○ 子どもの自己評価の重要性
 ・教師の評価と自己評価の両方の欄があるとよい。
 ・ずれが認められた場合,なぜずれがあるのか徹底的に追究する。
 ・改善すべき点があれば積極的に改善に取り組む。
○ 通知票を絶対評価にすることで,いっそう子どもの成長や発達に「教師と
 子どもと保護者が一体となってかかわる」ことになる。子どもの自学自習が
 効果的に可能となるような情報を子どもと保護者に伝えてほしい。
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[2]指導と評価の一体化
     大単元終了時の「児童自己評価表」     私の勤務校の実践例
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 指導と評価の一体化,よく耳にする言葉です。何となく感覚的には理解して
いるつもりでも,いざ具体的にどうする?と聞かれても,なかなか即答できま
せん。私の勤務校では教育元年を迎えた今年度,トライ&エラーを合い言葉に
様々な対応策を試行しています。
 その中の一つ,「指導と評価の一体化」への対応策を紹介します。
 どこの学校でも評価規準の作成が終わった頃でしょう。本校では,昨年度中
に全教科の大単元ごとの評価規準を作成しました。しかし,今年度,どの学年
でも1単元分終えた時点で,これは使いにくい,または,使えない,という声
があがってきました。観点が具体性に欠けるからです。作成にあたって参考に
したのは教育政策研究所の「評価規準,評価方法の研究開発(報告)」そして
出版各社から出ている参考図書です。
 作るときはついつい「とにかく作ればばよい」という感情が優先し,資料を
右から左へということになってしまいます。しかし実際にそれを使う段になる
と「これじゃあ評価できない」という話になってくるのです。これはこれでい
いと思っています。「困る」という経験をしてこそ,次によいものができるの
です。
 そこで今年度は授業を進めながら「こういう力をつけたい」「このことはぜ
ひ理解させたい」「これができたら合格」といった具体的な観点から評価規準
を作成することになりました。合わせてこれらの観点は授業前に保護者に知ら
せることにしました。これが「指導と評価の一体化」の第1のポイントです。
 1単元が終われば1単元分の評価規準と評価の方法が完成します。それを子
供向けにリライトし「児童自己評価表」として作り直します。これを単元終了
後実施します。子どもたちは◎○△で自己評価します。これに担任の励ましの
言葉を加えて保護者に返すのです。保護者は単元ごとに子どもの学習の様子を
知ることができるというわけです。学習前に評価の観点を知らせてあるため,
保護者の理解も一層高まります。これが2つ目のポイントです。
 このような手順を経て修正,完成した評価規準は具体性があり,指導と評価
の一体化,そして保護者への説明責任といった点で極めて信頼性の高いものと
なります。
 以下に紹介するのは私のもとへ届いたネット仲間のメールです。
《 私には、学校は何も変わっていないような気がします。教員の意識も変わ
 っていないような気がします。今変わらなければならないときに、これまで
 通りの取り組みをしていていいのか。きちんと子供がわかる、楽しいと思え
 るような授業を考えるべきだということを言いたいのです。
  授業に対する意識を今自分自身自戒しなければならないと心に刻みつけて
 います。
  ご意見をください。お金をもらっている以上、私たちはプロです。》
 まったくその通りです。今しなければならないことは何なのか,すぐにでき
ることは何なのか。このことをきちんと考えて,今すぐ取りかかるべきです。
 折しも,昨夜PTAとの懇親会がありました。私たちが思っている以上に保
護者は関心を持って学校の教育を見つめています。
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[1]「こんなことができるのか!?『絶対評価』」     
     新聞記者から見た「絶対評価とは」    朝日新聞記者の談話
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 みなさんの学校では評価規準の扱い,どんな具合でしょうか。教育政策研究
所の出した例をほぼそのまま活用する,出版者の出したものなどを参考に作成
した,学校独自のものを作成した,などいろいろだと思います。
 また,私が知る限りでは評価規準作成に関して,あまり重視していない学校
もあるようです。
 ここで紹介するのは朝日新聞の記者の話です。学校の中にいる私たちは「絶
対評価」に慢性化しています。しかし,新聞記者の目から見ると目標に準拠し
た評価方法,つまり「絶対評価」はどう映るのでしょうか。
 最後は皮肉られて終わっています。しかし,私たち教師は無理だという前に
やるべきことをやるべきだと思うのです。やりもしないでは反論できません。
堂々と「やっていますよ」と反論しうるだけの評価活動をしなければならない
と思うのです。それが子どものためであり,保護者を納得させうる教育活動と
言えるのではないでしょうか。
……………………………………………………………………………………………
【以下,朝日新聞記者の談話】
 小・中学校の評価が目的準拠評価に変わるのに合わせて,国立教育政策研究
所が2月,参考指針を発表しました。
「こんなことができるのか」というのが指針を見たときの率直な感想でした。
 A4判で小学校用が279ページ,中学校用が305ページ。とにかく分厚
い。内容も各教科の目標や評価の観点に始まって,国語でいえば「話す聞く能
力」「書く能力」,算数でいえば「数と計算」「量と測定」「図形」といった
学習内容のまとまりにそった評価基準。さらに単元ごと,授業ごとの基準や方
法まで説明しています。
 指針によると「関心・意欲・態度」「思考・判断」「技能・表現」「知識・
理解」の4つの観点にそって,ABCの3段階で評価します。評価するのはペ
ーパーテストの他,授業で調べたり発表したりする様子やノートのとり方,レ
ポートなど。学習指導要領に照らして,最低ラインを超え「おおむね満足でき
る」状態ならB。「十分満足できる」と判断すればA。最低ラインに達せず
「努力を要する」と判断すればCとなります。
 例えば算数。指針では「平行四辺形と三角形の面積」の単元が例示されまし
た。計10時間の授業ごとに評価項目と方法が紹介してあります。平行四辺形
の面積の求め方を考える時間では「関心・意欲・態度」「思考・判断」が評価
項目にあげられています。平行四辺形の角にあたる三角形を切り取って反対側
につけると長方形になると説明できればA。教師の助けを借りながらも,既に
習った長方形の面積の求め方と同じことになると結論に達すればB。こうした
結論に達しなければCとなります。
 その上で単元ごとの評価を積み上げ,年間を通じて観点ごとの評価をまとめ
る。さらに4観点のABCの数に従い,小学校3年以上では3段階,中学校で
は5段階の評定をつけるという具合です。
 説明を聞いて気が遠くなりそうでした。相手にする子どもが少なければまだ
分かります。でも実際は30人,下手をすると40人もいる。1時間の授業の
あと,何分あれば可能でしょうか。
 記者会見で聞いてみました。「理想は分かりますが,本当に可能だと思いま
すか」「学校でもこれを参考に4月までに基準を作れといわれても困るでしょ
う」返事は「今でも観点別評価はしている」「中間まとめで指針の内容の大半
は示しており,学校では既に準備を進めている。最初はたいへんかもしれない
が,時間がたてば可能だろう」でした。
 指針が詳細なのは,いかに客観的な評価にするかに知恵を絞った研究者らの
誠意の表れだとも思います。そうは言っても「実際にこんな細かいことができ
るのだろうか」という思いが消えません。しかも今や指導要録も原則開示の時
代。きっとまた本屋に詳細な解説書が並び,先生たちは評価方法を一生懸命勉
強することになるのでしょう。結局,絶対評価の成否は先生方の努力にかかっ
ているということでしょうか。
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[1]評価規準〈具体的観点の作成〉
          ― 私の勤務校での試行を紹介します ―
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 国立教育政策研究所から全教科にわたって評価規準とその具体例が
発表されました。また,多くの出版社から評価方法に関する参考図書
が出されています。多くの学校がこれらを参考にして自校の評価規準
を作成されることでしょう。
 本校では「だれでも同じ評価ができること」「保護者にきちんと説
明できること」をスローガンに,以下のような作業を進めています。
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〔例〕5年 社会 「我が国の農業や水産業」
1 指導要領に示された目標
 ○ 我が国の農業や水産業の様子や,農業や水産業と国民生活との
  関連について理解し,我が国の食料生産の発展に関心を持つ。
                〔目標(1),内容(1)〕
 ○ 我が国の農業や水産業について,国民の食生活を支えているこ
  とや,外国から輸入しているものがあること,主な食料生産物の
  分布や土地利用の特色,食料生産に従事している人々の工夫や努
  力,生産地と消費地を結ぶ運輸の働きなどについて,調査したり
  地図や地球儀,資料などを活用したりして調べ,表現するととも
  に,それらの社会的事象の意味について考える。
                〔目標(3),内容(1)〕
2 指導要領に示された内容
    我が国の農業や水産業について,次のことを調査したり地図や地
 球儀,資料などを活用したりして調べ,それらは国民の食料を確保
 する重要な役割を果たしていることや自然環境と深い関わりを持っ
 て営まれていることを考えるようにする。
   ア さまざまな食料生産が国民の食生活を支えていること,食料
   の中には外国から輸入しているものがあること。
  イ 我が国の主な食料生産物の分布や土地利用の特色など
  ウ 食料生産に従事している人々の工夫や努力,生産地と消費地
   を結ぶ運輸の働き
3 小単元1の目標(指導書より)
  ・ 庄内平野で米づくりに取り組む人々の工夫や努力,消費地まで
  の運輸の働きなどを理解し,米の生産が私たちの生活を支えてい
  ることに関心をもち,その意味を考えることができる。
 ・ 庄内平野の米づくりについて,地図や統計資料などを活用して
  土地利用の特色,稲作に従事している人々の工夫や努力などを調
  べ,わかったことを自分なりの言葉で表現することができる。
4 2の内容のまとまりごとに国立教育政策研究所が評価規準とその
  具体例を示している。
〔例1〕「関心・意欲・態度」の評価規準
     我が国の農業や水産業の様子に関心を持ち,それを意欲的
    に調べることを通して,国民生活を支える我が国の食料生産
    の発展について関心を深める。
〔例2〕例1の具体例
   ア 我が国の農業や水産業の様子に関心を持ち,意欲的に調べ,
   考えながら追究している。
  イ 国民生活を支えている我が国の農業や水産業などの食料生産
   について関心を深め,その発展を願う。
5 これらを受けて,本校独自の具体性のある評価規準(人が変わっ
 ても同じ評価ができる,保護者に対して具体的に説明できる)を作
 成する。その場合できるだけ使う教材に基づいて,具体性を持たせ
 ることに留意する。
(1)評価規準の具体例アについて
 ・ 家庭で食べている米や野菜の包装から,積極的に情報を得よう
  としている。 
 ・ 産地などを地図帳などから探し,産地の自然環境や自然条件な
  どを理解しようとしている。
  ・ 教科書や資料集だけでなく,参考図書を図書室や図書館から借
  り,より多くの情報を得ようとしている。
 ・ 近所の農協や農家から聞き取りし,より詳細な情報を得ようと
  している。    
(2)評価規準の具体例イについて
  ・ 米以外の作物についても調べている。
 ・ 他の作物についての食料輸入の様子を調べている。
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[1]通知票をどうしますか
     茅ヶ崎市立浜之郷小学校の例を考える
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 浜之郷小学校は茅ヶ崎市教委のパイロットスクールとして誕生し,
4年目を終えようとしている学校です。同校を訪問する教師は毎年数
千人にのぼり,浜之郷スタイルで改革を推進する学校は2000校以上に
達するといいます。
 この学校の通知票改革を佐藤学氏の「学びをデザインする〜教室の
風景から〜」より紹介します。
 同校の通知票改革の原則は3点
1 通知票の評定期間を3期から2期に変更する。
2 国語,社会,算数,理科の4教科については3段階の評定を踏
 襲するが,その他の教科と総合的な学習の時間については文章表
 記による評価とする。
3 保護者の要望に従って指導要録の情報公開を行う。
 実際の通知票を見てみましょう。左側は前期後期に区切られていま
す。国語,社会,算数,理科の4教科については「よくできる」「で
きる」「がんばろう」と目盛られた数直線があり,○をつけるだけで
す。評価の観点はありません。総合,音楽,図工,家庭,体育はただ
枠があるだけで,文章で評価します。きわめてシンプルです。右側
ページには上半分が所見欄となっています。
 これは「理解することを目的とした国・社・算・理とは異なり,生
活や音・図・家・体は好きになることが最優先されるべきであること
にある」という基本的なスタンスからきています。また「5段階や3
段階の評定が以下に多くの体育嫌いや図工嫌いを生み出してきたか」
としています。さらに「学期末になると評定をつける都合上,優劣が
はっきりする教材を選定し,テストを実施する授業が多くなりがちで
あったが,今はじっくり学べる体育になった」と私たちに耳が痛い話
も紹介されています。
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[2]来年度からどう評価していきますか
     大事にしたい「自己評価」と「相互評価」
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 毎日新聞に「評価」に関して以下のような記事が掲載されていまし
た。概略を紹介します。
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・ 4月から他の子供と比較して評価する「相対評価」から,学習の
 到達度を見て判断する「絶対評価」に評価方法が変わる。
・ 内申書のもとになる指導要録や通知表などに示される児童生徒の
 成績の評価は,目標に達しているかどうかを評価する「絶対評価」
 に転換される。
・ 国立教育政策研究所では,どのような評価方法ができるか検討し
 てきたが,このほどそのまとめを発表した。
  それによると、新学習指導要領で定める教科や学習内容ごとの目
 標が「十分満たされている」場合,「A」,「おおむね満たされて
 いる」場合は「B」とする。
・ 「関心・意欲・態度」「思考・判断」「技能・表現」「知識・理
 解」の4項目の観点に分けて評価する。
  4つの観点すべてがAの場合,小学校の通知表の評定(3年生以
 上)は3段階の3がつく。中学校は5段階の4または5となる。す
 べてCならば小学校では1,中学校は2または1となる。
・ しかし,現実に40人の子供を前にして,このような4つの観点
 からの評価が継続的にできるのか。
・ また,評価にはより客観性が求められる。高校入試の内申書も絶
 対評価になれば,中学校ごとに格差がないようにしなければならな
 い。
・ 4つの観点のうち「知識・理解」はペーパーテストである程度は
 客観的に評価できる。しかし「関心・意欲・態度」には教員の主観
 が入りやすい。どの教員も同じような評価ができるか疑問だ。
・ C評価の生徒がいれば,教員は学習指導要領が求める学力を子供
 につけられなかったことになる。子供の評価が自分の評価にはね返
 りかねない状況では客観的な評価は一層難しい。
…………………………………………………………………………………
 いかがでしょうか。皆さんが保護者からこのようなことを問われた
ら何と答えますか。建前ではあれこれ答えることができるでしょう。
例えば「複数の教師の目で,長期にわたって変容を観察しています」
とか「各教科ごとにきめ細かい評価の観点を設定して,学級通信など
できちんと知らせていきます」「個別にカードを作ってそれぞれの観
点別に記録をとっていきます」などなど。来年度からは,記事に書か
れたような疑問に,保護者が納得しうる回答ができなくてはならない
のです。
 実際にどこまで可能でしょうか。記事中の〈現実に40人の子供を
前にして,このような4つの観点からの評価が継続的にできるのか〉
 まさにこの通りでしょう。年間通してすべての教科でやり通せるで
しょうか。それこそ評価のための授業になってしまい,肝心の子ども
の力を伸ばすという点がおろそかになりそうです。実際にやれること
をやるしかないのです。
 本校では「しっかり地に足をつけて,誠意を持ってやれることをや
ろう」を基本的なスタンスとしています。この「誠意を持って」が大
切だと思うのです。保護者とコミュニケーションをとって,よい関係
を作っおくこと。信頼関係が築くことが大事だと。そのためにも学級
づくりが大切ですね。
 また個人的には「子どもたちの相互評価と自己評価」を大きく取り
あげるべきだと考えています。ポートフォリオが効果的ではないかと
思います。勉強する価値大です。
 子ども自身が「自分に足りない力やついた力」「まだできていない
ことやできていること」「わかっていることやわからないこと」こう
いったことがらを子どもが自らが知ることが大切です。教師サイドの
評価と一体化させて評価していくことで効果は大きくなるでしょう。
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[1]「子どもが自信を育む評価を求めて」
                鳴門教育大学教授 村川雅弘氏
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 最近読んだ雑誌から,見出しのことについて紹介します。村川氏の
お話は何度かうかがう機会がありましたが,いつも明快な語り口で聞
くものを納得させてしまいます。
…………………………………………………………………………………
 自分の成長やよさに気づくような評価に心がけたい,とし,そのた
めには
○ 学習を始める前の自分と学習途中,そして学習終了後の自分を自
 身が比較し,その変容を認識できるような手だてが必要。何らかの
 成長が読みとれるような仕掛けが必要である。
 そのための仕掛けとは?
 ・ ポートフォリオの活用
 ・ 教師がその子の成長を教えてあげる。
 ・ 既存の概念にとらわれることなく子どもの成長を感じ取る姿勢
○ 学習の改善につながる評価をするために子どもに与える3つの情
 報
 ・ 改善内容に関する情報
 ・ 改善方法に関する情報
 ・ 改善意欲を喚起する情報
○ 評価を生かす取り組みを
 ・ 学校は評価結果を次の学習に活かしたり,改善のための具体的
  な活動の取り組みを怠ってきた。
 以上のように述べ,最後に「特定の分野でもいい。自分のよさを見
出し,さらによいものを目指して具体的な取り組みを続けていける子
どもを育てていきたい」と結んでいる。
…………………………………………………………………………………
 当たり前のことが書いてあります。しかし,「理解」はしているが
「実践」できていないというのが本音ではないでしょうか。
 私たちがする主たる評価は通知票です。通知票を子どもたちに渡し
たら,以上でおしまい。学期が替われれば振りだしからスタート。先
学期の評価結果はすっかり忘れています。また「学習途中の評価」は
案外できていないのではないでしょうか。短いスパンの評価は確かに
めんどうです。まして,すべての子どもたちに「情報」を与えるのは
なかなかできそうにありません。これからの教師は「評価」を面倒が
っていてはいけないのでしょう。
 最後の部分,「特定の分野でもいい。自分のよさを見出し,さらに
よいものを目指して具体的な取り組みを続けていける子どもを育てて
いきたい」という言葉がたいへん印象に残りました。
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[1]評価規準の作成
     皆さんの学校では進んでいますか?
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 校内の評価規準作成部会に提案する試案がまとまりました。全職員
で取り組むことがらですから,誰にもわかりやすく,そしてつくりや
すい形式としました。しかし私の独自性は出しているつもりです。そ
れは作成の様式です。
 様式にしたがってとりあえずはそれぞれの欄をうめることが第1で
す。この作業によって,単元全体の構造をつかみます。その後,読み
直して推敲する段階で本校なりの独自性(自校化)を図ります。
 しかし,評価規準作成のとりあえずの目的は,職員集団が勉強し評
価についての全体像を把握することです。何かの資料を右から左へ写
すだけでもよいと思っています。とりあえずは作成したことで学習で
きたのですから。このことが評価規準作りのまず第1歩です。
 私が参考にしたのは「指導要領」「国立教育政策研究所の中間まと
め」「日本標準発行の評価規準」「明治図書発行の評価規準」そして
さまざまな雑誌の評価規準に関する記事です。基本は何といっても指
導要領と中間まとめでしょう。
 評価イコールつけたい力です。しかし,これは教師サイドのものの
言い方です。子どもにも「こんなことを知りたい」「こんな力をつけ
たい」という目標があってもおかしくないと思います。このこともち
ょっと頭に入れておく必要がありそうです。
 私は評価には3つの側面があると思っています。
1 子どもが自分(たち)の学習を確かめるための自己(相互)評価
                 【子どもがする評価】
2 子どもたち一人ひとりの学習の成果と問題点を確認する評価
                 【教師がする子どもへの評価】
3 今後の指導の改善に向けた自己評価
                 【教師の自己評価】
 こんなことは皆さん先刻ご承知ですね。
 騒がれている評価規準作りは概ね2についての議論が集中していま
す。しかし本当は1〜3のそれぞれに関して考えておく必要性があり
そうです。案外忘れられています。
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[1]有田氏の「絶対評価の到達基準作成“何が問題になるか”」
    ― 到達目標づくりの3つの問題 ―
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「3つの問題点ってなんだろう?」と興味をそそられ,読んでみまし
た。その要旨をお知らせします。
《 到達目標は学習指導要領を忠実に具体化した教科書に求めるのが
 得策であるし,一般的である。教科書の「内容・方法」を分析し,
 それをもとに単元ごと(又は時間ごと)の到達目標を作成する。
   到達具合に応じて,5〜1というランクづけをしていたのが,今
 回は到達目標に達すれば全員5ということもありうる。この時3つ
 の問題が出てくる。
1 到達目標がクラスや教師によって異なるということがありうる。
  きちんとしたカリキュラムをつくり,単元ごと(又は時間ごと)
 の目標を決める必要がある。「目標・内容・方法」がきちんと盛り
 込まれたカリキュラムを作成することである。
2 これまでは教科書をきちんと教えていればよかったが,今後はそ
 うはいかない。
  これまでの学習指導要領は到達目標(標準)であったが「最低基
 準」となったからである。カリキュラムの中に発展的学習のための
 「目標・内容・方法」を盛り込まねばならない。
3 標準化された学力テストのようなものを実施する必要がある。
  ほんとうにその学年の目標をクリアできたのか,どの程度なのか
 が分からない。》
…………………………………………………………………………………
 1を実現させるために欠くことのできない要件は,学年内の意志疎
通を密にすることです。自分さえしっかりやっていればよいという問
題ではないでしょう。カリキュラムづくりから評価規準の作成まで,
学年内で額を寄せ合って作成すべきです。学年内の人間関係がよくな
い場合は苦労するでしょう。これからの学校は人間関係が第1です。
教師の人間関係がよくない学校では子どもは育たないと言っても過言
ではないでしょう。
 2も忘れてはならないことです。発展的な教材として何を用意すれ
ばいいのか。いわゆる教材開発能力が問われます。実際に発展的な指
導を必要とする子がでてくるかどうかは別として,学習の計画だけは
立てておかねばなりません。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
[2]評価規準,ほんとに作るの?
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
 先日,ある会合に出席しました。県下19の郡市代表者が集まる会
合です。そこである校長が「評価規準,ほんとにつくるのか?」と笑
いながら言われました。会合終了後ということもあり,身内(会合の
主催者側)だけでコーヒーを飲んでいる場でしたから,半分冗談かも
しれませんが。
 それにしても不用意な発言ではないでしょうか。さらに「附属小学
校がそのうちつくるだろう」とも言われました。自分の学校も付属小
学校も同じと考えているのでしょうか。
 私は,評価規準作成にあたっての最大の留意点は「自校化」ではな
いかと考えています。教育政策研究所が中間まとめを出しています。
それをそのままいただき,という学校もあるかもしれません。業者か
らも日本標準社が教科別の評価規準(例)を既に出版しています。そ
れらはあくまでも「例」であって,「決定版」ではないのです。それ
らをもとに,学区の特性や児童・教師集団の実態に合わせて作成すべ
きなのです。
 ご存じのように,社会科では教材が選択制になっています。地域の
特性などによって取り上げる教材が変わってくるでしょう。そういう
こともあるでしょうし,ずっと国語研究校であった学校では「この子
たちは国語は強いが,算数はもっと伸ばしてやりたい」といったこと
もあるでしょう。そんな個性が学校には必ずあります。この「学校個
性」を無視して,全国一律の評価規準であっていいわけありません。
 私の学校では年間学習計画と同時進行で作成することにしていま
す。そして,同一の用紙の左欄に学習計画,右欄に評価規準という体
裁でまとめます。
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[1]“評価規準”と“評価基準” 評価のあり方をめぐって
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 「新教育課程が期待する評価のあり方」と題して加藤明氏の書かれ
たものを紹介します。この中で氏は“評価規準”と“評価基準”をき
ちんと使い分けておられます。
 内容を紹介すると,
― これからの評価のポイント ―
● 新しい学力感の継続と発展
  平成元年の学習指導要領改訂のスローガン「新しい学力観」。こ
 れまでの評価の観点の順を逆にしたことが特徴である。
  新しい学力観に基づく学習とは,氏のたとえを借りると,
  「これまで10教えていたことは7でよいのであり,基礎・基本
  にあたる7をしっかりと教えて徹底させるだけでなく,これまで
  の3あるいはそれ以上を自ら見つけていく学力を目指す。」
   となる。
● 評価規準の設定とそれに基づく実践の展開
  「規準」と「基準」の違いがたびたび問題とされる。氏はこの疑
 問に対し,
  「教科内容の価値から見て,実現が目指される到達基準を評価基
  準とする評価から,さらに一歩具体性と明確性において踏む込み
  『このようなレディネスを有するこのような実態の目の前の子ど
  もたちに,このような活動によって,このように指導を展開する
  とき,担任としての指導者が実現を目指すべき具体的で明確かつ
  個別性の高い到達基準』が評価規準である。」
 と定義づけておられる。さらに氏は,
  「換言すれば,評価基準よりも,目の前の学習者への共感的理解
  の上に立っての,より適切なピンポイントの指導と評価のために
  機能する評価基準という位置づけである。」
 と言及している。
  読者の皆さんも,これで二語の違いが氷解されたのではないだろ
 うか。
● 形成的評価を駆使した新しい学力観に立つこれからの指導のあり
 方
  このことに関して,私たちの概念を転換させるようなことを言わ
 れている。
 「わかった,できたという“知識・理解”“表現・処理(技能)”
  の観点からの評価が上がらないのに“関心・意欲・態度”が高ま
  ることはあり得ないのであり,“ものの見方・考え方”や“思考
  力・判断力”などの成果が上がってこそ情意の観点からの目標の
  実現が可能になるといったとらえ方に立ち,形成的評価を駆使し
  て学習の成果を上げることに努めること。」
 知識・理解がなければ,関心や意欲は持てないということになる。
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 登場したときには「何だ,これは。字が違ってるぞ」と思ったもの
です。「規」「基」はどう違うんだろうと,辞書を引いたことを思い
出します。基準は「ものごとを判断するときの拠り所」,規準は「何
かを行うときに手本や標準とすべきもの」と出ていました。
 評価規準について,氏の言う「指導者が実現を目指すべき具体的で
明確かつ個別性の高い到達基準」の中の「個別性の高い」に注目すべ
きだと思います。今までの評価基準はだれもが目指さねばならない到
達目標を元に設定されていました。学校によってはこれを相対評価を
加味した絶対評価という手法で評価しています。
「個別性の高い」となると,完全に絶対評価となってきます。個々に
「具体的で明確かつ個別性の高い到達基準」を設定する必要が生まれ
てきます。これはたいへんだというのが現場の率直な感想でしょう。