教 育 課 程 全 般



役立つ資料 一挙紹介!
23年度版「生きる力」保護者用パンフレット
23年度の教育課程編成
この資料,使えます〈教育課程〉
〈速報〉指導要録の改訂
新学習指導要領の目指すもの 〜「生きる力」「確かな学力」「言葉の力」〜 
         兵庫教育大学長・中教審副会長・同教育課程部会長 梶田叡一
新しい学習指導要領の確実な定着に向けて  文科省初等中等局教育課程企画室長 合田哲雄
知識を重視か、考える力を重視か  初等中等教育企画課長 常盤 豊
次期教育課程のめざすもの  安彦忠彦
少人数指導授業の実情〈私の勤務校の場合〉
学習指導要領改訂の歴史
新学期3日間で「信頼と尊敬」を獲得する学校力とは
          ― 今年度の重点努力目標を公表する ―

2学期制を生かし,ねらいを達成する教育課程の創造
教育課程編成を考える
「2学期制 是か非か?」 月刊雑誌「悠」(ぎょうせい刊)のアンケート
指導要領改訂と育つ子どもの姿
もう一度考えたい“少人数指導授業” 東京学芸大 児島邦宏氏の小論から
2学期制の試み ― 私の勤務校での取り組み ―
“ 習熟度別学習 ”の限界 ― アメリカでは行われなくなった!?
16年度の教育課程編成のために ―「時間は貴重です」―
2学期制に思うこと  ― 私見です ―
《 習熟度別学習 》をどう考えるか?
国立教育政策研究所の2つの報告書
           平成13年度小中学校教育課程実施状況調査教科別報告書
           評価規準および評価方法等の改善と開発に関する研究
“2学期制の導入で何が期待できるか”
         目玉は「授業づくりの工夫の余地拡大」そして「適切な評価活動」
ゆとりある教育活動の展開 ―私の勤務校の実践例―
教育基本法に思う ―人間中心の理想実現へ―
               「今こそ学校教育法の改正を」 関 曠野氏の主張
単元開発力をつける
          奈須正裕氏の「授業が危ない(月刊「悠」今月号)から
“基礎・基本”について考える
                何気なく使っている言葉 その違いは?
“休業日の設定 校長の裁量に”
本格化し始めた“2期制”の実施
                    勤務校での実施案を紹介します
子どもたちが学校へ来る日数はどれくらい?
                        基礎・基本は大丈夫か
教育課程編成に関して知っておきたいこと
       もっと関心を持ちましょう 職員全員でつくりあげるものです
「ゆとりと充実」路線を歩む  文科省:玉井日出夫審議官
まちがった「子ども中心の学習」  立教大学教授 奈須正裕氏 
日教組が学制「544制」を提言
苦手な算数「支援隊」にお任せ
学校教育の基礎基本  ―授業の原点をあらためて確認する―
                     東京学芸大教授 児島邦宏氏
教科再編:小中学校教科の枠組み見直しを検討
来年度の教育課程 どうする!時間割編成,年間学習計画と評価規準
国際学力調査 「意欲の低さが心配だ」
教育課程審議会答申,読んでみましたか?
NHKスペシャル 21世紀 日本の課題 「学校を変える」
学ぶ者の論理に添った授業
自在な学習集団その3
自在な学習集団その2
教科の基礎基本とは
[1]役立つ資料 一挙紹介!

 勤務校で職員に紹介した書籍と資料をまとめて紹介する。
 これらを手元にもっておくととても便利。
 何かの時にきっと役立つ。

1 新学習指導要領に関するもの → 新しい教育課程の編成
 ○書籍「小学校学習指導要領」及び「小学校学習指導要領解説
    〈各科編〉 」
   次のHPから全文をダウンロードすることができます。データでもっておくと何か
  と便利です。
   http://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/new-cs/youryou/index.htm
 ○書籍「初等教育資料」            文科省:編集/東洋館出版:刊
 ○書籍「小学校学習指導要領の解説と展開」各教科等分冊
              安彦忠彦:監修 教育出版:刊 ¥各巻1,600(税別)
2 新学習指導要録に関するもの → 新しい評価活動
 ○資料「児童童生徒の学習評価の在り方について(報告)」
   http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo3/004/gaiyou/attach/1292216.htm
 ○資料「教育課程部会 児童生徒の学習評価の在り方に関するワーキンググループ
(第12回)配付資料」
   http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo3/043/siryo/attach/1289746.htm
 ○資料「小学校,中学校,高等学校及び特別支援学校等における児童生徒の学習評価及
    び指導要録の改善等について(通知)22文科初第1号 平成22年5月11日」
   http://www.mext.go.jp/b_menu/hakusho/nc/1292898.htm
   この(通知)の中には,指導要録(参考様式)が掲載されています。
   また,【別紙5】には「各教科等・各学年等の評価の観点等及びその趣旨」が載せ
  られています。
[1]23年度版「生きる力」保護者用パンフレット

 文科省のHPに以下の資料が公開されています。

 「学校・家庭・地域が力を合わせて,社会全体で子どもたちの生きる力をはぐくむため
に」
    〜 新学習指導要領 スタート 〜
 
      http://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/new-cs/pamphlet/index.htm

 これは保護者向けパンフレットです。
 ウエブ上だけの公開か,冊子にして配布されるのかは不明ですが,いずれにしても保護
者を対象とした情報です。

 いきなり,「この問題を解いてみてください」と,全国学力・学習状況調査の6年算数
A問題とB問題が登場しています。
 そして,
 1 の正答率 : 96.0% 相当数の子どもができています。
 2の正答率 : 18.2% 地図上に複数の図形を見いだし、必要な情報を取り出して面積
を比較し、説明することに課題があります
 と解説し,
 「日本の子どもたちは、基礎的な知識・技能は身に付いているものの、知識・技能を実
生活の場面に活用する力に課題があります」
 と結び,全32ページのパンレットが始まります。
 ぜひ一度ごらんください。
 私はダウンロードし,職員に配付しました。
[1]23年度の教育課程編成

 来年度の教育課程を編成中。
 とりあえず,授業実施可能時間数を調べてみた。
 23年度の授業実施日数は次のとおり。
    1年生〜5年生 200日
    6年生     197日
 次に,授業実施可能時間数は次のとおり。
    1年生: 974時間   2年生:1016時間
    3年生:1049時間   4年生:1100時間
    5年生:1120時間   6年生:1112時間
ここから,各教科等の基準時数,そして学校行事の時数,クラブ活動や委員会活動の時
間数を差し引いてみる。
    1年生:77時間     2年生:62時間
    3年生:57時間     4年生:67時間
    5年生:40時間     6年生:37時間 
 これが余裕時数となる。
 この余裕時数はどう使われるか?
 運動会や学芸会の練習や学校行事の範疇に入らない行事(例えば地域やPTAなどの活
動),予想外・緊急の活動などにあてられる。
 最も多いのは運動会や学芸会の練習や準備。
 すべてを教科でとることはできない。
 以上のことを考えると,時数は大きく足りないのだ。
 だから安易に授業をつぶしてはならない。
 1時間1時間を充実した授業としなければならない。
 これは教育課程編成の上で最も大事なことである。
この資料,校内研修で使えます!

 文科省が新学習指導要領全面実施に向けて,各都道府県の担当者を集めて説明会を開
いた。
 その全体会の様子が動画で公開されている。
 文科省の教育情報通信ネットワーク「エルネット」
http://www.elnet.go.jp/elnet_web/portalTop.do
この中の2チャンネルが「文部科学省から」となっている。
 ここを開くと,
 「平成22年度小学校,中学校及び特別支援学校の新学習指導要領全面実施に向けた全
国説明会(全体会)」
 が見つかる。
 動画は約1時間。
 また,そのとき使われたパワーポイントの原稿が全ページにわたって公開されている。
 ぜひこれをダウンロードし,活用したい。
 校内での研修会でのいい資料となる。
速報:指導要録の改訂
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 大げさな見出しをつけてしまった。
 情報に敏感な方は,既にご存じのことと思う。
 今月号の「悠プラス」の巻頭に取り上げられている。
 さらに詳しく知りたかったので,検索してみた。
 文科省HPに,次のような情報があった。
 「児童生徒の学習評価の在り方に関するワーキンググループ(第11回)」配付資料
 昨年の12月21日に開催された。
 そこでのおもな議題は,
 「児童生徒の学習評価の在り方について」
   http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo3/043/siryo/1287868.htm
 をご覧いただきたい。
 結局,従来通りの4観点でいくことになるようだ。
 最も気になるのは,「関心・意欲・態度」の評価。
 これは世界に類を見ない,わが国独特の評価観点だという。
 学力の3要素の一つである「主体的に学習に取り組む態度」との関連から,継続される
見通し。
 しかし,3段階でなく2段階にする,評定に反映させる場合は加点要素として位置づけ
る,などの工夫が必要としている。
 夏の講演会で,なくなるかもしれないという情報も聞いたが,結局現状維持。
                 〈参考:「悠プラス」2月号:ぎょうせい:刊〉
■ 新学習指導要領の目指すもの 〜「生きる力」「確かな学力」「言葉の力」〜 
         兵庫教育大学長・中教審副会長・同教育課程部会長 梶田叡一 先生
…………………………………………………………………………………………………………
1 過去2回の改訂の弱点を克服
 ○89年告示の学習指導要領
 ・「ゆとり」の提唱  「新しい学力観」と「個性の尊重」
・ 低学年で理科・社会を廃止し「生活科」の創設
 ○98年告示の学習指導要領  
  ・「生きる力」と「ゆとり」の確保  総合的な学習の時間の創設
  ・学校5日制と授業時数の大幅削減と教育内容の厳選
○前2回の改訂の結果
  ・教育現場に真の「ゆとり」を生みだせなかった。
・各種の国際比較調査の結果…学力の低下
・学校嫌いや不登校の増加
・欧米の教育…「自由で個性を伸ばす教育」から「結果に責任を持つ教育」への転
          換。これに逆行する日本の教育
・「ゆとり」から「たるみ」へ
・90年代の教育…「子どもの自主性・自立性を尊重する教育」の誤解 指導から
           支援へ。間違った「子ども中心」の指導体制
*これを是正するために「レインボープラン」を出し,「習得」の重要性 を訴
     えた。すると「習得」一辺倒(例:百ます計算の流行)となり, 遠山大臣の
     「学びのすすめ」で「確かな学力」をアピール
2 今回の改訂
 ○過去の反省に基づいて「確かな学力」を基盤とした「生きる力」の育成 
・「確かな学力」…豊かな心(内省の力や規範意識などの道徳心や芸術的な感性な
           ど)に裏打ちされ,健やかな身体の育成が不可欠
 ○具体的内容
・あらゆる学習の基盤となる「言葉の力」の涵養
  …全教科等で育成することが求められる。単に読解力や作文力ではない。
・国際水準から遅れてしまった「理数系学力」の回復
・先人が積み重ねてきた「伝統文化」の継承
・今の子どもに欠けがちな自然体験や福祉体験など「多様な体験」の導入
・国際化の進展に伴う「小学校英語活動」の実施
 ○学習の充実
・授業時数の増加…国語や算数,理科など,元の水準に回復
・前回削られた学習内容の復活 「円柱・角柱の体積」「図形の対称」「反比例の式
   とグラフ」「確率」「47都道府県の名称や位置」「世界の主な大陸や海洋」「主
   な国の名称と位置」等・新しい学習…「易しい古文や漢詩・漢文」
○「生きる力」の再確認
・一時流行した「自ら学び自ら考える」力だけを強調する浅薄なものではない。
・「関心・意欲」だけを言い立てる学力観ではない。
・道徳教育の充実…社会との関係,他者との関係,自己との関係の3者を含む価値と
   規範
・概念図
      「豊かな心」→ 生きる力 ←「健やかな体」
                ↑
「言葉の力」→「確かな学力」←「多様な体験」
■ 新しい学習指導要領の確実な定着に向けて 
                   文科省初等中等局教育課程企画室長 合田哲雄

1 学習指導要領改訂の背景と基本的な考え方
 ○社会の変化   
  ・知識基盤者会 少子高齢化 格差の問題
 ○子どもたちの変化   
  ・PISA TIMSS  全国学力・学習状況調査などの結果
 ○教育基本法の改訂   
  ・「生きる力」をはぐくむための手立ての確立(中教審の5つの課題)
  ・「個と公のバランス」 戦後,個人の尊厳,個性の尊重を重視してきた。しかし,
   社会の変化の中で公共の精神などを学校教育の目標に明確に入れていきたい。
 ○基本的な考え方
  ・習得→活用→探求 これを一連の流れとして。
  ・方法として「言語活動」と「体験」の重視
2 おもな改善事項
○言語活動
 ○理数教育
 ○伝統や文化に関する教育
 ○道徳教育 
 ○体験活動
 ○外国語教育
3 円滑な実施のために
 ○移行措置  移行措置の概要と移行措置中の授業時数
  ・十分な理解を
 ○広報  
  ・中央説明会(全国の担当指導主事等)終了後,各地方で説明会
  ・保護者向けパンフレット(配布済み)
・学習指導要領を全教職員に配布(6月中に)
 ○条件整備…欧米並みのGDPの5%を要求
  ・教職員配置  20年度は定数改善1,195名(うち非常勤7,000名) 
          今年度以降も移行措置,全面実施に向けて要求(財務省の厚い壁)
  ・補助教材   今年度中に先行実施のための補助教材を作成,配布予定 
・理科支援員  20年度3,000校 今後増強の予定
・小学校外国語 英語ノート(HPで公開済)試行 教職員の研修とALT配置増強
・道徳教育   「心のノート」改訂 21年度中に作成,配布
4 残された課題
 ○学習評価のあり方  絶対評価の客観性(多忙な教員)
 ○社会全体のコンセンサスと保護者の我が子への愛情や思いをうまく重ね合わせること
  →社会的インフラとしての公教育への投資の充実に不可欠(政治的判断)
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[1]知識を重視か、考える力を重視か
                        初等中等教育企画課長 常盤 豊
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 昨日、学習指導要領の改訂について、中央教育審議会教育課程部会の「審議のまとめ」
が決定・公表されました。
 文部科学省のホームページに、全文が掲載されていますので、是非全文をお読みくださ
い。時間に余裕がないという方でも、基本的な考え方が示されている総論部分はご一読い
ただきたい。さらに時間がない方は、まずはこの拙文をお読みいただきたい。この文章を
読んだら、きっと原文を読みたいと思う・・はずです。
 詰め込み教育への批判、ゆとり教育への批判など、これまでの教育界には、知識を重視
するのか、考える力を重視するのかという教育の方向性をめぐってのいわば二項対立の状
況がありました。
 この対立を乗り越える道筋をこの報告では示そうとしています。
 皆さんも、ゆとり教育はよくないとか、せっかく総合的な学習を一生懸命やってきたの
に、最近は読み書き計算ばかりに重点が置かれてしまっているとか、文科省は一度決めた
方針を簡単に変更すべきではないとか、学校はただでさえ忙しいのに授業時間数をなぜ増
やすのか、それで本当に学力は上がるのかなどなど、いろいろなご意見をお持ちだった
り、あるいは、お聞きになったりしていることと思います。
 こうしたご意見・ご批判の根っこにあるのが、この二項対立の問題と考えます。
 報告で示している二項対立解消の道筋をごく簡略化して述べると次のとおりです。
(1)学校教育の目標として「生きる力」を育成するという理念・目標は変更しない。
(2)この「生きる力」の基礎となる学力の重要な要素として、「知識・技能」と「思考
  力・判断力・表現力等」があるが、これらは対立的にとらえるのではなく総合的に伸
  ばしていく必要がある。
(3)これらを総合的に伸ばしていくためには、知識・技能を「活用」する力として思考
  力・判断力・表現力等を位置づける必要がある。
(4)この知識・技能を「活用」する力を身に付けるためには、教科の学習に観察・実験
  やレポート作成・論述などの言語活動や体験活動を組み込んでいく必要がある。
(5)こうした活動を組み込むためには、教科の授業時数を増加させる必要がある。
  (この文章では、私の文責で報告の内容を簡略化していますので、その点はご理解く
  ださい。)
 こうした構造の上に成り立っているということを含めて、まずは「生きる力」という理
念・目標を広く共有していくことが、二項対立を乗り越え、教育を前進させていくうえで
最も重要なことと考えます。
 皆様には、「審議のまとめ」を是非お読みいただき、ご意見をお寄せいただき、十年に
一度の学習指導要領の改訂プロセスに積極的にご参加いただきたいと思います。
                    ― 文科省初中局メルマガより転載 ―
 ☆このMMの前身「教育課程部会事務局だより」は回覧・転送、及び内容の引用・転載
  は自由,ということでしたので,きっと「文科省初中局メルマガ」も転載して差し支
  えないだろうということで紹介させていただきました)
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[1]講義2 次期教育課程のめざすもの             
               安彦忠彦
(早稲田大学教授,中央教育審議会専門委員)
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 今号は2つ目の講義を紹介します。
 中教審の審議情報が主な内容となっています。
 貴重な情報です。
…………………………………………………………………………………………………
1 予想される時期学習指導要領の内容と性格
(1)現行の学習指導要領の基本方針の継承〈「記憶重視」の学力観から「思考重視」の
  学力観への重点移動〉
   *重点移動であって,「転換」ではないことに注意
  ・「生きる力」と「確かな学力」の育成を目指す従前の指導要領の基本方針を変更,
   ないし転換する必要はない。
  ・その実現の「方策・方法」を改めようというのが国の態度。平成15年に一部改正
   された現行指導要領の考え方が一層徹底されるであろう。
  ・「生きる力」→「人間力」へ。実社会・実生活で役立つ,ことが求められている。
  ・「確かな学力」→記憶力の重要性を再認識し(ここが「転換」ではないところ),
   思考力を含めて「確かな学力」「一定のことは暗記し反復により定着させるべきで
   ある」という意見
(2)学校完全週五日制の堅持と趣旨の徹底
  〈学校外での多彩な経験を増やして自立を促す〉
  ・変更する必要はなく,むしろその趣旨を徹底させたい。
  ・そのための条件整備や国民の意識変革を一層図る。
  ・これらは学校の役割を絞り込んで,本来の役目に専念できる体制づくり。
  ・そのため,学校での「教科」の時間数は増やす方向
  ・思考力を育てたいのであるから,そのための時間数を増加させる。
(3)学校の位置づけの明確化とスリム化〈生涯学習と教育一般との関係づけの問題〉
  ・学校の位置づけを明確にし,学校の役割をスリム化する方向を考える。
  ・学校の役割は「学び方」と「学習意欲」を育てること。
  ・今求められている「人格形成」は,学校でなければできない,学校でこそできるこ
   とに絞る。
   それ以外は,家庭・地域・職場などで分担すべき。親が教育すべきことを学校が奪
   ってはいけない。
(4)学校は「学力形成」を主,「人格形成」を副とするが,後者が教育の究極の目的
   〈前者は主に「文化活動(教科)」で,後者は主に「自治活動(教科外)」で育成
   すること〉 
  ・学校教育の方向性は,何よりもまず「学力形成」の機能強化。そしてそれをプラス
   方向に役立てる「人格形成」を行う。
  ・重要なことは「学力は人格の一部」であること。人格が学力の用い方を決める。
(5)「国際基準」への対応を図ること。
   〈国際学力調査,小学校の英語教育,大学院レベルの教員養成など〉
     →国内だけの問題ではすまされない,無視できない事態。
  ・次期指導要領でもっとも重視されている。OECDやPISA,TIMSSの学力調査なども,参
   考にする程度ではすまなくなる。
  ・小学校英語教育も行っていないのは東アジアでは日本だけ。
  ・教員養成もOECD諸国では修士レベルの高い教育と資質を求めるようになっている。
   フィンランドではすべて修士。また,保護者の高学歴化という事実。
2 次期教育課程の目指す目的と内容性格……講演者の予想レベル
(1)「実社会・実生活に生きる力」と「確かな学力」を重視する方針の具体化
   〈「活用型」学力の導入〉 
  ・各教科等において,身につけた知識や技能を「活用する場面と時間」を用意。
  ・教師もそのような力を育成する力量を持たねばならない。
  ・各教科等の教育課程を実生活に結びつける指導と学習活動の工夫を。
(2)学校外学習と学校教育の結合〈学習習慣の形成と宿題の必要性〉
  ・学校五日制では,家庭学習(宿題)によって学校での学習との連続性を確保し,学
   習効果を向上させるする。
  ・それにより学習習慣の形成を。学習意欲も学習習慣を基礎とすることで,より質の
   高いレベルが期待できる。
  ・宿題学習意欲以前の問題。習慣化。 
(3)国語・算数数学の重視〈「基礎学力」育成に「説明責任」を負う必要〉
  ・国語と算数数学については,今回特にその充実を求める声が高い。「読み・書き・
   計算」など,すべての子どもに例外無しの確実な習得。
  ・このことの説明責任としての全国学力・学習状況調査の実施。
  ・実生活に…生きる力としなければならないことはいうまでもない。活用の場で一層確
   実に強化されることを忘れてはならない。
  ・人格の一部としての学力という見方。
(4)社会科・理科を中心に「教科内容」を「実生活」に関連づけること
   〈OECD・PISAの学力観を参考にして学習指導要領の改訂が進められている。〉
  ・OECD……学力調査
  ・PISA……実際に問題解決に活用できる力を調査
  ・市民としての法意識,職業意識,社会規範,公共性への自覚など,実生活への関連
   が強く求められている。
(5)教科外教育への学外機関・学外教育関係者による協力と教師の負担の軽減
  ・部活動……学外の人材を活用して教師の負担を軽減する。
(6)総合的な学習の時間の継続強化〈教科教育との連携結合の強化〉
  ・総合的な学習の時間は重要であるとの認識のもと,これを継続強化する。
  ・小学校においては英語に,中学校においては理数または英語に1時間割かねばなら
   ない状況。
  ・従って,時数減になる見通し。
(7)授業日時数の確保と工夫〈時数増とそのための工夫。モジュール制など〉
  ・授業日数は,年間35週の規制を廃止し,1日6時間は最低確保する方向で工夫す
   ることが求められている。
  ・これは「考え会う」時間が必要であるからであって,詰め込み学習に戻すためでは
   ない。
  ・PISA型学力の強化。
3 その他
(1)義務教育の構造改革4つの戦略
  ・教育の目標を明確にして,成果を検証し,質を保証する。
  ・教師に対する揺るぎない信頼 
  ・地方・学校の主体性と創意工夫で教育の質を高める。
  ・確固とした教育条件を整備
(2)さまざまな機関があるが・・・
  ・内閣臨時教育審議会……非公式
  ・教育再生会議……内閣の非公式機関(何が決まっても,実効力はない)
  ・中央教育審議会……法に基づいた公式機関(ここを通らねば実行に移すことはでき
           ない)
(3)行革の波
  ・行政官僚主導から政治家主導へ……文科省案が通らない。押しつけられる危惧
                  ◎参考資料:中教審教育課程部会審議経過報告
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[1]少人数指導授業の実情〈私の勤務校の場合〉
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 わたしの勤務校では19年度,少人数指導授業対応教員として常勤1名,非常勤1名が
加配されました。
 18年度末に「指導方法工夫改善実施計画書」を提出し,3人加配を希望しましたが,
結果は1.5人?(常勤1名,非常勤1名)となりました。
 これは「指導方法工夫改善事業」という少人数指導授業を実施するための制度です。
 全学年の算数と3年以上の国語,5・6年の理科で少人数指導を実施したいので,その
ためには3人の加配が必要である,という希望を複雑な書類にまとめて提出するのです。
 しかし,実際には希望通り認められる場合はほとんどありません。
 1.5人の加配があったのは「結果オーライ」です。
 勤務校の場合,この結果を受けて「全学年の算数」「5・6年の理科」そして「3年以
上の国語で週1時間」を少人数指導授業としました。
 これだけの少人数指導授業を実施すると,増時数は72時間となります。
 この72時間を,常勤講師が週あたり21時間,非常勤が17時間,教頭が5時間,教
務主任が10時間,校務主任が14時間,初任研後補充講師が5時間を分担して実施しま
す。
 私は教務主任という立場ですから,10時間を4年2クラスの算数で週8時間,4年生
の国語週1時間計2時間,合計10時間の授業を受け持ちます。
 週1時間の国語少人数指導授業は,副教材を使って読解力指導に重点を置いて実施して
います。
 勤務校での少人数指導授業は,次のような方法で実施しています。
 ○2学期制の特性を生かし,長いスパンに基づく「指導と評価の一体化」をベースとし
  て推進する。
 ○指導の目的や児童の実態などにより,等質グループ,習熟度別グループ,学級数+1
  の分割,TTなどで取り組む。
○今年度の重点取り組み(昨年度からの継続)
   ―学年全体を〈学級数+1〉の集団に分ける―
    学級単位の少人数指導での2分割に対して,学年単位とした場合は,学級数+1
   (2学級の場合,学年全体を3分割)に分割することができる。このことは,いっ
    そうきめ細かな「個に応じた指導」が可能となることを意味する。子どもの多様
    なニーズ〈個々の学習課題〉に応えることができる。
 ○実践にあたっての留意点
   ・ 児童の実態に合わせて単元の指導計画,評価計画の見直しをする。
   ・ 毎時間の適切な評価を実施し,学習の状況を把握し,授業改善に努める。
   ・ 自己評価表を活用して自己の学習状況を正しくつかませながら進める。
   ・ 指導法や教材の工夫をする。
・ 家庭と児童への説明と理解を得る。
   ・ 長期間にわたる単元の場合は,評価結果をもとにグループの所属移動を考慮す
    る。
 少人数指導授業を開始して6年目になります。
 当初は多少とまどいもあったようですが,現在では子どもたちや保護者の反応は上々で
す。
 ちなみに,少人数指導授業の計画は教務主任が立てます。
 私の県では,教務主任は担任をもっていません。
 みなさんの学校ではどんな状況でしょうか。
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[1]学習指導要領改訂の歴史
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 明治大学の諸富祥彦氏が保護者のタイプについて,著書「子供より親が怖い」で次のよ
うに述べています。
 「現在の学校では,それぞれの時代に育った子が保護者になっている。つまり山口百恵
型,松田聖子型,宇多田ひかる型の母親・・・。」
 この3つのタイプの母親が義務教育を受けた期間が,指導要領改訂時期と一致している
のです。
 「3つのタイプの母親」についての詳細は
 http://www5a.biglobe.ne.jp/~shimacha/MyHomePage/15hyoukadaigaku.htm
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 学習指導要領は,戦後の教育界の混迷を打開するため,昭和22年3月に「教科課程,
教育内容及びその取扱いの基準」として,初めて刊行されて以来,社会の発展と児童生徒
の発達等に即し,凡そ10年毎に改訂が行われてきました。
 その改訂の歴史は,わが国の教育の20世紀から21世紀への発展の歩みであり,この
改訂をふまえて,今回の改訂の趣旨を理解し,学校の教育課程の編成と実施に生かすこと
が必要ではないかと考え,学習指導要領の歴史を簡単に振り返ってみますした。
 1.昭和22年の学習指導要領(試案)
 2.昭和26年の学習指導要領(試案)
 3.昭和33年の改訂(教育課程の基準として規定)
 4.昭和43年の改訂
 5.昭和52年の改訂
 6.平成元年の改訂
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1.昭和22年の学習指導要領(試案)
  ―戦後の混迷から民主教育への出発―
 ○従来の修身,日本歴史及び日本地理を廃し,「社会科」を新設するとともに,男女共
  に学習する「家庭科」を設ける。
 ○児童の自発的活動を促進するために,「自由研究」を設ける。
 ○各教科の年間総授業時数と週授業時数を併せ示す。
2.昭和26年の学習指導要領(試案)
  ―教科を四つの経験領域に分け,教科間の関連を図る―
  従来の「教科課程」の語を,「教育課程」と改める。
 ○教科を,学習の基礎となる教科(国語・算数),社会や自然についての問題解決を図
  る教科(社会・理科),主として創造的な表現活動を行う教科(音楽・図画工作・家
  庭),健康の保持増進を図る教科(体育)の四つの経験領域に分ける。
 ○毛筆学習は,国語学習の一部として,第4学年から課するようにする。
 ○自由研究を発展的に解消し,「教科以外の活動の時間」を設ける。
 ○道徳教育は,学校教育のあらゆる機会に指導すべきであるとした。
 ○各経験領域に充てる授業時数を,教科の総授業時数に対する比率で示した。
3.昭和33年の改訂(教育課程の基準として規定)
  ―経験主義教育を是正し,系統的学習の重視と基礎学力の育成―
 ○学習指導要領は教育課程の基準として文部大臣が公示するものであるとした。
 ○道徳の時間を特設し,道徳教育の徹底を図る。
 ○基礎学力としての国語,算数の充実と,科学技術教育の向上を図るために算数,理科
  の充実。
 ○各教科の系統性を重視し,目標及び内容の精選と基本的事項の学習に重点を置く。
4.昭和43年の改訂
  ―調和と統一のある教育課程の編成と実施―
 ○小学校の教育課程を,各教科・道徳・特別活動の三領域と定める。
 ○人間形成の上から調和と統一のある教育課程の実現を図る。
 ○授業時数を,最低時数から標準時数に改める。
5.昭和52年の改訂
  ―児童の学校生活に,ゆとりと充実をもたせる―
 ○知・徳・体の調和のとれた人間性豊かな児童の育成を図る。
 ○各教科の基礎的・基本的事項を重視し指導内容を精選し,創造的能力の育成を図る。
 ○ゆとりと充実した学校生活を実現するために,各教科の標準時数を削減する。
 ○各教科等の目標・内容を中核的な事項に止め,学校や教師の創意工夫ができるように
  した。
6.平成元年の改訂
  ―新しい学力観に立つ教育と個性重視の教育―
 ○教育活動全体を通じて,豊かな心をもち,たくましく生きる人間の育成を図る。
 ○基礎・基本の重視と個性教育の推進を図る。
 ○文化と伝統の尊重と,国際理解の推進を図る。
 ○低学年に,新教科として「生活科」を新設し,社会科・理科を廃止する。
 ○学級会活動と学級指導を統合して「学級活動」とする。
                              〈転載:出典不明〉
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[1]新学期3日間で「信頼と尊敬」を獲得する学校力とは
          ― 今年度の重点努力目標を公表する ―

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 明治図書の教育雑誌「学校マネジメント」4月号に見出しのタイトルで私の原稿が掲載
されました。購読されている方もいらっしゃるかもしれませんが,以下に紹介します。ご
意見がいただければ幸いです。
 ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
 私たちは公立義務教育学校の教員である。そうである以上、納税者(市民)の期待に応
えていくことが求められる。
 今、保護者が学校教育に最も期待していることは何であろうか。私の勤務校では毎年度
末に学校評価アンケートを実施している。その結果から言えることは,何と言っても「基
礎的・基本的学力の習得」である。具体例をあげると「少人数指導はどのように進めてい
るのか,効果はどうか」「習熟度別指導をどう進めていくのか」「学習の補充はどうなっ
ているのか」などへの関心が極めて高いことである。
 ベネッセ教育総研の実施した保護者意識調査(学校に期待する指導や取り組み)におい
ても,「教科の基礎的な学力を伸ばす」の項目に対し,「とても期待する・期待する」の
回答が小中ともに9割を越えている。(2004年「学校教育に関する意識調査」)相変わら
ず保護者の学力への関心は高いものがある。
 そうであるならば,私たちはこのことに真摯に取り組むことが求められる。学校は保護
者とコミュニケーションをとりながら,連携して子どもたちの学力を保証していかなけれ
ばならない。学校5日制の現在、子どもたちが学校に来る日数はわずか200日である。
この時間的制約の中で、すべての子どもたちが基礎的・基本的学力を習得していくことが
求められている。このことに対する指導の方向性をきちんと発信していくことが「学校の
信頼と尊敬」を得ることにつながる。
 その第1段階としてすぐに実施できることは,自校の「今年度の重点努力目標」を公表
することである。学習指導の「重点努力目標」を保護者向けに表現し直して発信する。そ
れだけにとどまらず,家庭学習などの協力していただくべき部分はきちんと協力を求めて
いくことが大切である。 
 勤務校の場合、学力保証の対策として「指導と評価の一体化」に取り組んでいる。この
ことを年度当初に公表し,保護者に理解していただくよう努めている。
 指導と評価とは別物ではなく、本時の評価の結果によって次時の学習を改善し、さらに
次の学習の成果を評価するという、指導に生かす評価を推進するのである。この過程で少
人数指導を活用し、さらに指導の目的に合わせて習熟度別学習を活用していく。
 こういった学力保証体制を年度当初にきちんと公表し,保護者の理解と協力を得ていく
ことがまず第1段階である。学校だより、学年・学級だよりなどを通して、家庭並びに地
域に向けて発信していくことが求められる。
 そしてこれに基づき,3日間で授業を変容させる。これが第2段階である。方針発表は
有言実行が大前提となる。実績をあげることが必要なのである。最初の3日間で授業が変
わった,ということを印象づけることが成否の分かれ目となる。さらに、その後も実践を
積み重ねること。これが第3段階である。継続して初めて「信頼と尊敬」を得ることがで
きる。
                                 ― 以上 ―
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[1]2学期制を生かし,ねらいを達成する教育課程の創造
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 私の勤務校は15年度から2学期制を導入しています。2学期制を生かした教育課程の
編成についてまとめる機会がありましたので,そのときの資料を以下に紹介します。

      ― 2学期制を生かし,ねらいを達成する教育課程の創造 ―
           どの子にも「確かな学力」をつけるための教育課程
■2学期制を生かした教育課程編成
        ┌────────────────────────────────┐
        │   時間的にも精神的にも余裕を持った学習への取り組み                │
        └──────────────┬─────────────────┘
┌────────────── ──┴───────────────────┐
│・従来の学期末(7・12月)の通知表作成がないことで生じる「気持ちと時間のゆ       │
│ とり」を十分に学習指導に生かす。                                       │
│・この期間の実質的指導時間増加数は110時間,日数にすると20日(年間授業日│
│ 数のおよそ1割にあたる)                                              │
│・2学期制に対応した各教科配当授業時数,週時程,日課,そして各教科等の年間指│
│ 導計画,評価計画などの見直し                                           │
│・授業時数確保の問題は,単に時数の問題だけではなく,質量両面から学校の授業を│
│ どう充実させるかが問われている。                                       │
└──────────────────────────────────────┘
■17年度に向けての編成上の留意点
    ┌────────────┐┌─────────────────────┐
    │ 「確かな学力」の育成      ├┤「確かな学力」のおさえ                   │
    └────────────┘│  ?学ぼうとする力(関心・意欲・態度)    │
                                        │  ?学び方(課題発見力・思考力・判断力)  │
                                        │  ?学んだ力(知識・技能)               │
                                        └─────────────────────┘
    ┌────────────┐┌─────────────────────┐
    │授業改善のための評価活動├┤ 指導と評価の一体化                     │
    └────────────┘│  ・すべての児童に基礎的,基本的な学力を保│
                                        │ 証するため授業の改善に努め,個別指導,少│
                                        │ 人数指導,習熟度別指導,ティームティーチ│
                                        │ ングなどの指導方法を工夫する。         │
                                        │ 個に応じた指導              │
                                      │  ・少人数指導の充実/学習補充の時間      │
                                        └─────────────────────┘
    ┌────────────┐┌─────────────────────┐
    │   家庭や地域との連携     ├┤  説明責任                             │
    └────────────┘│ ・「開かれた学校」づくりの推進        │
                                         │ ・家庭や地域社会との連携体制           │
                                         │ ・地域の教育力の活用          │
                       │  ・学校参観日,学級懇談会,個人懇談会    │
                                         └─────────────────────┘
    ┌────────────┐┌─────────────────────┐
    │ 今日的な教育課題を考慮  ├┤ 21世紀を担う児童の「生きる力」の育成   │
    └────────────┘│  ・ 総合的な学習の充実を図る。         │
                                         └─────────────────────┘
                             ↓
                                           ┌───────┐
    ┌───────────── ┤教育課程の評価├────────────┐
    │                                    └───────┘                      │
    │○教育課程の編成 → 実践 → 評価 → 次年度へ                       │
    │ ・年間指導計画,評価計画,そして各教科配当時数,日課表,週時程などの│
    │  見直し                                                        │
    │○内部評価と外部評価,そして評価結果の公開                          │
    └───────────────────────────────────┘
  ┌長期休業の扱い─────────────────────────────┐
  │1 学びの連続を図る長期休業とする。                                  │
  │ ・学習相談だけでなく,総合的な学習などの追究活動の個別支援          │
  │2 休業を有意義に過ごすための継続的な取り組み                        │
  │ ・長期休業でなければできない継続的な取り組み/総合的な学習への取り組み│
  │    目的意識を持った継続的な取り組み/達成感,充実感/工夫,段取り    │
  │  ・個別の事前指導,個人懇談会での保護者との相談,そして事後の評価     │
  │3(教師側)7月までの子ども一人ひとりの学習を評価し,9月からの指導に生│
  │ かす。                                                           │
  └────────────────────────────────────┘
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[2]教育課程編成を考える
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 2学期制の導入にともない,教育課程編成について見直す必要があります。私の勤務校
でも,現在見直しを進めています。 
 勤務校のメインテーマは
            創意工夫を生かした教育課程を推進する2学期制のあり方
          ― 2学期制を生かし,ねらいを達成する教育課程の創造 ―
 ねらいは「“指導と評価の一体化”を目指すづくり授業の構築」です。 
 ― 教育課程編成上の留意事項 ―
   〈基本的3要素〉 ? 教育目標の設定
           ? 指導内容と方法の組織
           ? 授業時数の確保と配当
 (1)教育目標の設定
  ○ 学習指導要領を基準とする。
  ○ すべての児童に基礎的・基本的学力を
 (2)指導内容と方法の組織
  ○ 授業の改善を図る。
   「指導と評価の一体化」の推進
       すべての児童に基礎的・基本的な学力を保証するため,授業の改善に努め,体験
    的な学習や問題解決的な学習を取り入れ,個別指導,ティームティーチング,少
    人数指導,習熟度別指導 などの指導方法を工夫する。
   *少人数指導の状況
    2年以上(1年は少人数学級)の全学級,算数で実施。
  ○ 地域や学校の実態を考慮する。
    ・ 「開かれた学校」づくりをいっそう進め,家庭や地域社会との連携を密にし,
    ともに児童を育てるという意識の高揚とその教育力の向上に努める。
     ・ 学校規模,教職員の構成,教師の力量や特性,児童の実態,地域住民による協
    力体制の整備状況,施設・設備の状況,教材・教具の整備状況などの人的・物的
    条件を把握して反映させる。
    ・ 学校参観日など,保護者・地域の方が学校を訪問する機会をできるだけ多く持
    つ。
  ○ 今日的な教育課題を考慮する。
    ・ 21世紀を担う児童の「生きる力」の育成という要請にも対応できるように。
    ・ 総合的な学習の充実を図る。
  ○ 教育課程の評価
    教育課程の編成→実践→評価(内部評価と外部評価)→次年度へ
 (3)授業時数の確保と配当
      ・ 2学期制に対応した日課表と週時程,時間割編成
   ・ 2学期制に対応した各教科等の年間指導計画
   ・ 授業の充実
     授業時数確保の問題は,単に時数の問題だけではない。質量両面から学校の授
    業をどうするかが問われている。
   ・ 学校行事について
     学校行事もまた各教科等の1つであることを再認識し,安易な削減をさける。
   ・ 授業短縮日の見直し
   ・ 教育課程の実施状況を週案を元にチェック
 (4)教育課程の評価
   ・ 実施状況を週案簿で日々チェックしながら。
   ・ 内部評価だけでなく外部評価も。
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[1]「2学期制 是か非か?」 月刊教育雑誌「悠」(ぎょうせい刊)のアンケート
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 月刊教育雑誌「悠」(ぎょうせい刊)で「2学期制は是か非か」というアンケートが掲
載されていました。メールでも可ということだったので,私も回答しました。その回答が
今月号のP109に掲載されました。
 改めて紹介させていただきます。
 ……………………………………………………………………………………………………
 昨今2学期制の問題が大きく取りざたされています。私の勤務校も今年度から2学期制
を導入しました。
 近隣の学校の先生方からしばしば質問を受けます。共通して質問されることは「2学期
制のメリットは何ですか?」ということです。その質問をされるたびに「ちょっとちがう
な」と感じるのです。
 私の勤務校ではここ数年「基礎・基本の学力をすべての子につけてやりたい」という教
師集団の願いから,さまざまなことに取り組んできました。例をあげると「週時程内に特
設された補充学習」「夏休みの自由登校日(補充学習)」「モジュール時間割」などがこ
れにあたります。
 そして絶対評価導入に合わせて「指導と評価の一体化」に積極的に取り組むようになり
ました。すべての子どもたちに基礎・基本の学力をつけてやるためにです。これを進める
上で,1年間を長いスパンでとらえることができる2学期制はうってつけだったのです。
 ですから,メリットを求めて2学期制を選択したわけではなく,目指す教育の実現のた
めに2学期制を導入したのです。「はじめに2学期制ありき,では何ができるか?」では
なく「こういう教育を進めたい,それでは2学期制を」という図式です。
 単に流行だから,という理由で2学期制を導入する学校はないと思いますが,導入にあ
たっては,必要,かつ十分な根拠が必要です。ましてや,授業時数が増えるからという理
由での導入は間違っています。なぜなら,それほど大差ないからです。
 私の勤務校では2学期制の導入と「指導と評価の一体化」は表裏一体で,車の両輪とし
考えています。
 〈以下の部分は編集の都合上,削除されていました。〉
 ……………………………………………………………………………………………………
■ 3学期制の反省
 ・ 学びのとぎれが多い
   4月に学年を立ち上げて,定着した頃にはすでに通知表作成に取りかかる。2学期
  も行事の合間に授業を進め ている状態で,12月には通知表に忙殺される。3学期
  はいうに及ばない。このようなぶつ切り学期では,学び の連続性というリズムを作
  ることはできない。
 ・ 評価のスパンが短い
   絶対評価導入,指導要領最低基準などを考えると,わかるまで じっくり指導する
  ことが求められるようになってきている。求められている評価を達成させるには3学
  期制の学 期スパンは短すぎる。
 ・ 実指導時数が少ない
   3学期制では,学期末には実施時数あわせに苦慮したり,通知表作成のためにテス
  トが連続したりなど,満足できる授業の実施が困難な状況が見られた。
■ 2学期制の長所
 ・ ゆとりを持って指導できる
   6月末から夏休み前まで,11月末から冬休み前まで,この期間をじっくり指導に
  取り組むことができる。ここで生まれる教師のゆとりを子どもたちに還元することが
  できる。 
 ・ 「指導と評価の一体化」が効果的に展開できる
   長いスパンで評価可能となることで「指導と評価の一体化」を推進することができ
  る。また,そのことにより,保護者に短いサイクルでのきめ細かい評価情報を提供す
  ることもできる。
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[1]指導要領改訂と育つ子どもの姿 
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 久しぶりに外食しました。小さい子を連れた家族連れが3組ほどいました。一人の子が
店内を走り回りはじめると,他の子も一緒になってあちこち走り回っています。平気で他
人のテーブルへ闖入する子も。しかし,親は見て見ぬふり。知らん顔しています。座敷を
走り回っている子はフロアへ転落するのではないかと冷や冷やものでした。 
 そんなとき,ショッピングセンターの4階エスカレーターから幼い子(確か2歳?)が
転落したというニュースを聞きました。家族4人で来店していたようです。親はどうして
いたのでしょう。過去に,子どもを放置してパチンコに夢中になっている親もいました。
PTAの会合に小さいな子を連れてくるのはいいのですが,教室の中を走り回ったり,備
品を勝手にさわりはじめたり,けがをするのではないかと心配する場面も。親は注意しま
せん。親自身も授業参観に来ておしゃべりが止まないのですから。
 現在20歳代から30歳代の人たちが義務教育を受けたのはいつ頃か調べてみました。
30歳の方の小学校入学が1980年,20歳の方の中学卒業が1999です。ということは昭和
55年(1980)〜平成11年(1999)ということになります。
 これを指導要領の改訂時期と重ね合わせててみました。
■ 昭和52年(1977)の改訂
      ― 児童の学校生活に,ゆとりと充実をもたせる ―
 ○知・徳・体の調和のとれた人間性豊かな児童の育成を図る。
 ○各教科の基礎的・基本的事項を重視し指導内容を精選し,創造的能力の育成を図る。
 ○ゆとりと充実した学校生活を実現するために,各教科の標準時数を削減する。
 ○各教科等の目標・内容を中核的な事項に止め,学校や教師の創意工夫ができるように
  した。
   ………………………………………………………………………………………… 
 教科の標準時数が減らされ,「ゆとりの時間」というわけのわからない時間が誕生しま
した。現場の教師は何をすればいいのか右往左往し,やたらと集会活動が盛んになりまし
た。私はこのころ教師になりたてでした。
   ………………………………………………………………………………………… 
■ 平成元年の改訂
      ―  新しい学力観に立つ教育と個性重視の教育 ―
 ○教育活動全体を通じて,豊かな心をもち,たくましく生きる人間の育成を図る。
 ○基礎・基本の重視と個性教育の推進を図る。
 ○文化と伝統の尊重と,国際理解の推進を図る。
 ○低学年に,新教科として「生活科」を新設し,社会科・理科を廃止する。
 ○学級会活動と学級指導を統合して「学級活動」とする。
   ………………………………………………………………………………………… 
 指導案から「〜させる」ということばが消えたのがこのころです。「支援」ということ
ばが大流行。「させてはいけない」「子ども中心」「子どもを引っぱってはいけない」と
いう考え方が支配的となり,子ども主体,子ども中心という考え方になってきました。
 受験地獄の反省から授業時数を削減し,そこから生まれた時間を「学校裁量時間」とし
たり,子どもの主体性を尊重するという考え方から「新しい学力観」といった目新しい方
向性を模索していた時代です。
 …………………………………………………………………………………………………… 
 そして学校週5日制と絶対評価導入の現在です。
 以上のことを昨夏私が聞いた諸富祥彦先生(当時千葉大学助教授,現明治大教授)の道
徳の講演記録と照らし合わせてみるとおもしろいことがわかります。 
┌─────┬─────────┬──────────┬───────────┐
│ 時代区分 │  時 代 性    │   教  育      │   流   行   │
├─────┼─────────┼──────────┼───────────┤
│〜S53    │・まじめ,ガンバリ│・教育そのものがやり│・山口百恵            │
│          │ ズム      │ かった      │・巨人の星(思いこんだ│
│     │・高度経済成長期  │・社会規範を身につけ│ ら試練の道を)   │
│     │・豊かさのために手│ る        │・あしたのジョー   │
│          │ を取り合って  │・徳目だけでよかった│・ど根性         │
├─────┼─────────┼──────────┼───────────┤
│S53〜H3│・自分主義の時代  │・自己実現の時代    │・松田聖子            │
│          │・豊かな社会の実現│・おもしろい子が人気│・言いたいことを言う  │
│     │・自分を大切に  │ 者        │・トレンディドラマ  │
│          │・自己主張の時代  │・時代に合わなくなっ│・ギャグマンガ        │
│          │           │ た道徳をやっていた│・AKIRA               │
│          │                  │・富士見中の葬式ごっ│               │
│     │         │ こ        │           │
├─────┼─────────┼──────────┼───────────┤
│H3〜    │・政治不信,リスト│・多様化する道徳    │・ルーズソックス,だぼ│
│     │ ラ       │・まじめな子が浮いて│ だぼズボン     │
│     │・こつこつタイプが│ しまう      │・脱力主義の時代    │
│          │ 評価されない時代│・一生懸命はよくない│・間の抜けた言葉遣い  │
│          │            │ こと       │・パフィー,宇多田ひか│
│     │         │          │ る         │
│          │                  │                    │・ドラッグ,セックス  │
└─────┴─────────┴──────────┴───────────┘
 先ほど,20代と30代の方が義務教育を受けた期間を昭和55年〜平成11年と紹介しま
した。まさに松田聖子型の母親と宇多田ひかる型の母親(諸富氏の表現です)。
 ガンバリズム,ど根性,そういった世代が「山口百恵型」で,自己実現の時代,言いた
いことを言う世代が「松田聖子型」,そしてまじめな子が浮いてしまい,脱力主義世代が
「宇多田ひかる」型というわけです。
 私が若いころ接していた母親は「山口百恵」型の母親で,現在接しているのは「宇多田
ひかる」型の母親なのです。このことについては諸富氏の著書「子どもより母親が怖い」
青春新書に詳しく書かれています。〈[3]書籍紹介コーナー〉を参照してください。
 母親だけに限らず,20歳,30代の人々は松田聖子型,宇多田ひかる型の大人なのか
もしれません。
 平成10年改定の指導要領ではどんな人間が育っていくのでしょうか。
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[1]もう一度考えたい“少人数指導授業” 東京学芸大 児島邦宏氏の小論から
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 少人数指導,たいへん一般的なものになってきました。それがゆえにマンネリ化してき
てはいないでしょうか。導入の当初には張り切って取り組んできたが,今では・・・。そ
んな状況はないでしょうか?
 東京学芸大の児島教授の小論を見つけました。以下に紹介します。出典は不明です。
■少人数指導による個に応じた教科学習の充実■
 教科等の学習における少人数指導の最大の意義は「基礎・基本の確実な定着」を図るこ
とである。つまり,学習指導要領の各教科等の目標・内容に示された基礎的・基本的な内
容を子供に確実に身に付けさせる指導形態・指導方法の一つが,少人数指導なのである。
 周知のように新学習指導要領は,各教科等の指導内容が厳選され,学校が教育課程を編
成・実施する上での最低基準としての性格をもつようになった。したがって,教師は各教
科等の指導で,すべての子供に共通に基礎的・基本的な内容の定着を図る必要がある。
 そのために教師は個別指導やグループ別指導など「個に応じた指導」の充実に努める。
しかし,指導内容の習得・定着の程度に子供による差異が生じる場合が多い。教師の指導
法の問題など,さまざまな要因があって,すべての子供の習熟度を等しく高くすることは
難しい。それが,教科学習の実態であろう。
 指導内容が十分身に付いていない習熟度の低い子供,一方,指導内容を十分理解し,よ
り発展的な内容を指導できる習熟度の高い子供。この両方の子供に対して,多人数の集団
での一斉指導ではできない「きめ細かい指導」を行えることに少人数指導の意義があるこ
とを,まず,踏まえておきたい。
■個別指導の特質と実践の方法■
―学習の到達度に応じて個別指導を行う―
  学習の到達度に応じて個別指導を行う場合,二つの方法を考えることができる。
 1 一斉指導を補う性質をもつ個別指導
   2学級編成の学年で考えると,それぞれの学級で一斉指導を行い,その後,少人数
  のグループに分かれて個別指導を行う。2クラスを便宜的に三つの少人数グループに
  分け,それぞれのグループには学習の到達度の違う児童がいる。そこで3名の指導者
  が個別指導を行っていく。1学級30人の学級で一斉に指導していた内容を,1グルー
  プ20人で個別指導を中心に指導していくスタイルであり,一人一人の達成度や習熟度
  を高めていくためには有効な方法である。
 2 到達度に応じて行う個別指導 
   もう一つは,1組,2組それぞれにおいて一斉指導を行ったあと,学習の到達度を
  測定し,その結果に基づいて,各学級の上位(A群)中位(B群)下位(C群)の児
  童を集めて少人数のグループを編成していく方法である。
   したがって,A群からC群は,到達度の違うグループであり,個別指導の内容も,
  発展的な学習を行うグループ,習熟を高める学習を行うグループ,一斉指導の補充を
  行うグループ等に分かれる。実践にあたっては,各グループの学習が効果的に行える
  ように,あらかじめ教材を準備しておくことが大切である。
   なお,この方法は,個々の児童の学習状況に即しており,学習効果を高める上で有
  効であるが,到達度をもとにグループを編成する場面などでは,そのねらいや意図を
  教師間で共通理解するとともに,保護者や児童にも,十分な説明と配慮を行っていく
  ことが必要である。
―学力差に応じた個別指導―
  また,到達度別グループを変形させる形で,学力差を考慮した少人数グループで個別
 指導を行うことができる。この場合,学級での一斉指導を行わずに,少人数グループに
 よる指導から導入する。しかし,指導に入る前に,その教科の学習内容に対して,児童
 がすでにどこまでの学力を身に付けているかを測定し,幾つかのグループに分けておく
 必要がある。小学校で,学級の枠を越えてこうしたグループ編成を行うのはやや難しい
 面もある。
―学習の進度を考慮して行う個別指導―
  ある学習を進めたり,理解したりしていく時間は,児童によってそれぞれ違う。授業
 は,教師の計画に沿って進められるため,全ての児童が教師の計画した時間内に学習を
 進めたり,理解したりすることができるとは限らない。逆に,計画した時間よりも早く
 を終え,時間をもて余してしまう児童もいる。どちらかの進度にあわせようとすると,
 分からないまま授業が進んだり,退屈な時間を過ごしたりする児童が出てくる。ここで
 の個別指導は,こうした児童の学習の進度に応じていくことを重視する。
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[1]2学期制の試み ― 私の勤務校での取り組み ―
                      「思うまま書き連ねてみました!」
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 私の勤務校は今年度4月から2学期制を導入しました。このことについてさまざまな問
い合わせがありました。私は教務主任という立場からそれらに答えてきました。その内容
を思うまま書き連ねてみました。
 …………………………………………………………………………………………………… 
 今,学校教育では,ゆとりをもって一人ひとりの個性を生かす授業を展開する中で,す
べての子どもたちが基礎・基本を確実に習得することが求められている。しかし,昨年度
導入された学校週5日制の中,授業時数は大きく削減されており,世間では学力低下が声
高に叫ばれている。私たちには,こういった問題に対し,保護者の理解と協力を得なが
ら,きちんと応えていくことが求められている。これを達成させていくために必要な条件
整備が2学期制の導入だったのである。
 本校では,「基礎・基本の学力をすべての子につけたい」という教師集団の願いから,
さまざまなことに取り組んできた。例をあげると「週時程内に特設された補充学習(わか
りたいむ)」「夏休みの自由登校日(夏休み版わかりたいむ)」「モジュール時間割」
「毎月の学校参観日」などがこれにあたる。順を追ってまとめると,
  ・12年度実施 …… 「学校参観日」「自分でつくる夏休み」開始
  ・13年度実施 …… 「わかりたいむ」開始
          …… 「評価規準」と「評価基準」の作成
           …… 「教育課程」の見直し(年間授業日数・時数,年間指導計
                           画,日課表など)
  ・14年度実施 ……  「夏休み版わかりたいむ」の開始
          …… 「モジュール時間割」の開始
          …… 「評価規準」と「評価基準」の見直し
          …… 「保護者用評価基準」の配布開始
          …… 「児童自己評価表」の作成,実施
          …… 「指導と評価の一体化」の検討開始
      14年度,絶対評価導入にあたり,日々の指導のメインとして検討を始めたの
      が―指導と評価の一体化―だった。これを進める上で,学期,学期の縛りにとら
   われず,1年間を長いスパンでとらえることができる2学期制はうってつけだっ
   たのである。
  ・15年度   …… 「2学期制」の導入
          …… 「指導と評価の一体化」の研究的取り組み開始
 以上のような経過を経た上での2学期制スタートである。このような取り組みがあった
ため,2学期制導入にあたっての大きな混乱は見られなかった。導入への基盤づくりがで
きていたということになる。
 なお,実施にあたっては,PTAの諸会合での説明,及び学校通信や学年・学級通信な
どで理解を求めてきた。
 3学期制をふり返ってみると次のような問題点があげられる。
  ・ 学びのとぎれが多い
   4月に学級を立ち上げ,落ち着いた学習状態ができた頃にはすでに通知表作成に取
  りかかかる。2学期も行事の合間に授業を進めている状態で,12月には通知表に忙
  殺される。3学期は言うに及ばない。このようなぶつ切り学期では,学びの連続性と
  いうリズムを作ることはできない
  ・ 評価のスパンが短い
    絶対評価導入,指導要領最低基準などを考えると,わかるまでじっくり指導するこ
  とが求められるようになってきている。求められている評価を達成させるには3学期
  制の学期スパンは短すぎる。
  ・ 実指導時数(学習として成立する時数)が少ない
    3学期制では,学期末には実施時数あわせに苦慮したり,通知表作成のためにテス
  トが連続したりなど,満足できる授業の実施が困難な状況が見られた。
 また,2学期制のメリットとして,
  ・ ゆとりを持って指導できる
     6月末から夏休み前まで,11月末から冬休み前まで,この期間もじっくり指導に
  取り組むことができる。ここで生まれる教師の気持ちのゆとりを子どもたちに還元す
  ることができる。
  ・ 「指導と評価の一体化」が効果的に展開できる
     長いスパンで評価可能となることで「指導と評価の一体化」を推進することができ
  る。また,そのことにより,保護者に短いサイクルでのきめ細かい評価情報を提供す
  ることもできる。
 以上のように,本校にとって,必要に迫られた結果の2学期制導入であった。「はじめ
に2学期制ありき。では何ができるか?」ではなく「このことをやりたい。そこで2学期
制を」という図式である。単に流行だから,という理由で2学期制を導入する学校はない
と思うが,導入にあたっては,必要かつ十分な根拠が必要である。よく言われる「授業時
数が増えるから」という理由での導入は,あたらない。なぜなら,それほど大差ないから
である。私たちは2学期制の導入と「指導と評価の一体化」は表裏一体の関係で,車の両
輪として考えて推進していくべきであると考えている。
 夏休みが1学期の中に組み込まれるような工夫が必要不可欠になってくるが,これにつ
いては以下のように位置づけた。
  ・「夏休み版わかりたいむ」
    学習相談や総合的な学習の個別相談/学習指導だけでなく,追究活動の個別支援
  ・「自分でつくる夏休み」
      長期休業でなければできない継続的な取り組み/総合的な学習への取り組み
  ・事前,事後の指導
       個別の事前指導,個人懇談会での保護者との相談,休み明けの事後評価

 評価とは,指導計画に基づき,児童の学習している過程を重視し,身についた資質や能
力などを具体的な事実を通して継続的に,かつ適切に看取っていくことである。どんな場
合も学習においては,計画Plan→実践Do→評価See→計画Planという流れで,すべての児童
に目標の達成を目指した指導が展開されている。つまり,評価とは教科目標の実現状況を
みると同時に,教師の指導計画・指導方法等が適切であったかどうかを反省し,系統的に
学習指導の改善に生かすために行うべきものである。このように,指導と評価とは別物で
はなく,指導に生かす評価を進めることが重要なのである。
 さらに,評価は児童にとって,自らの学習状況を知り,自分を見つめ直すきっかけとな
り,その後の学習意欲を高めるという目的もある。評価活動を評価のための評価に終わら
せることなく,教師にとっては指導の改善に,児童にとっては自らの学習の改善に役立て
ることが重要である。
 このような授業を展開していくためには,子どもも教師もゆとりを持って,じっくり学
習に取り組めるような教育課程を編成することが求められる。学期,学期の縛りにとらわ
れず,1年間を長いスパンでとらえることができる2学期制はたいへん好都合である。
 これを進めていく上で,いくつか整備しておくべきことがらがある。
 1 ゆとりある教育課程を編成する。
  ○ 学期の縛り(7月・12月)にとらわれ授業展開
   ・ 教師が時間的にも精神的にも余裕を持って学習に取り組み,どの子にも「学
    力」をつけることが可能。
     ・ 長いスパンでのゆとりを持った適切な評価が可能となる。
   ・ 子どもの学習している様子,身についた資質や能力などを具体的な事実を通し
    て継続的に,かつ適切に評価する。
   ・ 指導の結果を評価し,指導内容や方法の改善を行い,次の指導に生かすことが
    できる。
   ・ 評価結果の蓄積から,評価規準(基準)や年間指導計画,教育課程の改善を図
    る。 
  ○ 個に応じた指導が可能な体制づくり
    評価結果に基づき,個に応じた指導を展開する。
   ・ 少人数指導の推進
     少ない人数ならではの教材や指導法の工夫
      ・ 「わかりたいむ」の充実
     実施内容 ……… ぜひともつけたい力(基礎・基本)          
    
     指導方法 ……… どんな指導法で〈例:学年解体習熟度別編制での個別指導
             など〉
     教材等の工夫改善 ……… どんな教材を使って〈例:ドリル,進級テストな
                 ど〉 
     その他の留意事項 ……… 児童の希望選択制
  ○ 15分モジュール時間割の導入
   ・ 必要に応じてモジュールを用い,柔軟かつ効果的に学習を進める。
   ・ 例えば,すぐに補充学習や個別指導を実施したい,反復練習を必要とする内容
    を帯タイムで実施したいなど,モジュールを用い,柔軟かつ効果的に学習を進め
    る。
    ○ 学びの連続を図る長期休業
   ・ 「夏休み版わかりたいむ」
      学習相談や総合的な学習の個別相談
         学習指導だけでなく,追究活動の個別支援
   ・ 「自分でつくる夏休み」
      長期休業でなければできない継続的な取り組み
           総合的な学習への取り組み
   ・ 事前,事後の指導
       個別の事前指導,個人懇談会での保護者との相談,事後評価
 2 評価活動を核とした授業づくり  
   ○ 毎時間の授業を充実したものにする。
   ○ 「指導と評価の一体化」に基づいた授業を推進する。
    ○ 教師の評価・評定のための評価から指導に生かす評価への転換
    ○ 単元を単位とした授業構想を立てる。
    ○ 教師の評価活動と児童の自己評価を授業改善に生かす。
     教師(児童への評価と自己の授業の評価)と児童の毎時間の授業評価
    ○ 短いスパンでの評価結果を家庭に知らせる。
  ○ 児童の自己評価を大切にする。 
 3 家庭との連携
  ○ 保護者用評価基準と児童自己評価表での報告 
  ○ 7月と12月の個人懇談会と4月と2月の学級懇談会
  ○ 月1回の学校参観日


       ―「指導と評価の一体化」を目指した授業の構想―

1 評価活動を中心においた単元づくり
  目標の実現を目指し,以下のような一連の活動を展開する。
   1)適切な教材を設定する。(多くの場合は教科書)
    2)レディネス調査を実施する。〈第1次評価〉
   3)指導法を工夫する。
   4)評価基準を点検する。
   5)指導計画を作成する。
   6)授業を実践する。
    毎時間の評価〈第2次評価〉を繰り返し,以後の指導法を見直す。
   7)単元終了時の評価する。〈第3次評価〉
   8)その後,補充(発展)学習を実施すると同時に,指導法や評価基準の見直しをす
    る。〈第4次評価〉
  子どもたちの学習の様子を正しく評価し「努力を要する」と判断された子への補充学
 習を行ったり,「十分に 達成した」と判断された子への発展学習を行うなど,個に応
 じた指導を実施する
2 重視したい児童の自己評価
 〇 児童自己評価カード(単元ごとに実施)
  次のような目的で自己評価を行う。  
  ・児童に学習の見通しをもたせたり,意欲付けをする。
  ・児童の自己評価能力そのものの育成を図る。
  ・教師の指導の反省とする。
  ・教師の評価の参考資料とする。
  そのためには,自己評価が可能となる授業を実施しなければならない。目的意識と見
 通しをはっきり持たせ, どう学習すればよいのかという展望を持たせる
 〈単元導入時〉学習前に,この単元では何をどのように学習し,どんな力をつけるのか
       ガイダンスを実施する。
 〈本時〉この時間のめあては何なのか。何ができるようになればよいのか。つまずいた
    ときどうすればよいのか。
 〈本時終了時〉今日のめあてが達成できたかどうかを自己評価する。  
 自己評価に慣れるまで時間がかかるが,以上のような授業を積み重ねることで,次第に
正しく自己評価できる ようになってくる。
 学習前に「学習ステップ表」などを配付し,自分はどこで困っているのかを正しく理解
させ,子ども自身が納 得した上で習熟度別グループを編制するなど,自己評価能力を高
めることは学習意欲の高揚にも役立つ。
 自己評価表には担任と保護者の所見欄を設ける。児童が自己評価したのち,担任が所見
を記入し,家庭に持ち 帰る。そして保護者にひと言書いていただき,担任に提出する。
単元終了ごとに行われるこのサイクルで,保護 者は学習の様子を把握することが可能と
なる。
  【自己評価表の流れ】
    〈児 童〉単元終了後,自己評価表記入 → 自分の学習をふり返る。
          ↓
    〈教 師〉「先生から」を記入 → 個々の自己評価をチェックし,ことばかけ
                     をする。
          ↓ 
    〈保護者〉「おうちの方から」を記入 → 学習の様子を理解してもらう。
           ↓
    〈教 師〉保存,通知表と共に家庭へ → 個の指導と評価・評定に活用する。
3 保護者への情報提供
 〇 保護者用評価基準の作成(保護者の理解と協力を得るために)
   月に1回,学年だよりの裏面に単元別に掲載する。
  ・この単元ではどういう力がつけばよいのか?
  ・それをどういう観点から判断すればよいのか?
  ・目標が達成されなかった場合はどうすればよいのか?
  以上のような内容を専門用語を避け,できるだけ簡潔,かつ具体的に記述する。ごた
  ごた書いたのでは読んでもらえない。
 〇 児童自己評価表
     自己評価後,教師の所見を記入し,家庭へ持ち帰り,学習の様子を知ってもらう。
 〇学校参観日
   月1回の学校公開日を設定し,丸一日授業を公開し,授業の実際を自由に見ていた
  だく。
4 二学期制との関連
  二学期制は「指導と評価の一体化」を円滑に推進していくための状況整備としてきわ
 めて有効である。きめ細 かい評価活動を進める上で,7月と12月の学期の縛りは大
 きなネックとなる。ゆとりを持って授業に打ち込め る状況整備が求められる。
  さらに,保護者用評価基準や児童の自己評価表などの短いスパンでの情報提供は,通
 知表が一回少ない分の埋 め合わせをしてなお余りある。むしろ,保護者はこのような
 細かな情報を数多く入手することを求めていると言えよう。
 …………………………………………………………………………………………………… 
 ご質問やご意見がありましたらご遠慮なくどうぞ。
        mailto:jugyo-kaihatsu-owner@egroups.co.jp
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[1]“ 習熟度別学習 ”の限界 ― アメリカでは行われなくなった!? ―
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 我が国では,今や習熟度別学習花盛りといった状況です。皆さんの学校でも行われてい
ると思います。しかし,アメリカでは,現在ほとんど実施されなくなっているという報告
があります。10年ほど前まではごくふつうに見られたそうです。いったいアメリカでは
何があったのでしょうか。
 …………………………………………………………………………………………………… 
 「到達に時間がかかる子どもたちに十分概念や考え方を理解できるような指導がなされ
 ず,内容の薄い単純な練習問題ばかりのカリキュラムが与えられ,仲間からよい刺激を
 受けることもなく,ただ漫然と問題をこなすだけとなってしまったという。
  また,進んだ子どもたちにより理解を深め,多岐にわたる数学的な考え方を高めるこ
 とにつながるという点でも,現実には数学に対する理解を深めるような活動よりも,問
 題をより早くより正確に解くことばかりに目が向いた指導がなされたとしている。
  さらに,多くの研究者は,多様な子どもたちの間で活発に行われる数学的な内容に関
 する議論の方が,むしろ子どもたちの間に存在する学力差を狭める上で効果があると報
 告している。」
 「多くの先生方が,習熟度別に分けた集団が同じ時間だけ学習していくと,現実にはそ
 の学習進度に差が生じ,その差は広がりこそすれ,縮まることはなかったという。確か
 に,理解に時間がかかる子どもたちがじっくり学習し,到達が早い子どもが先に進んで
 いくと,その差は広がる一方である。」
 「さらに深刻なのは,広がった差がこの習熟度別の集団を結果的に固定的なものにして
 しまったことだ。つまり,小学校で一度自分の所属する集団が決まると,多くの子ども
 は何年たっても上のグループに行くことはないのだという。学習の進度に差が広がれば
 広がるほど追いつくことは難しくなる。このことが,本来習熟度別ではあってはならな
 い固定的な集団を作ることになってしまったのである。」
 「一方,他の先生は習熟度別指導でもっとも損をしたのは中くらいの集団に入った子ど
 もだという。概して,十分に到達している子や到達に至らない子の集団は少人数になり
 やすいが,それ以外は十把一絡げになりやすく,子どもたちも,どうせ上には行けない
 のだから,下に落ちない程度にやっていればいい,という気持ちになり,結局学年の平
 均的学力を下げる方向に働いてしまったという。」
 「習熟度別指導をある程度行ったときにもっとも問題になるのは,教師の間にあった,
 どの子もやればできるようになるという期待感が薄れてしまうということかもしれな
 い。理解に時間がかかる子どもを集めた集団に対して,どうせこの子たちには難しい応
 用問題はできないのだから,そこそこ簡単な計算問題だけを与えておけばよい,と教師
 が思い始めたとすれば,学年の3分の2以上の子どもたちが,どうせ僕たちは上のクラ
 スには行けないのだし,先生が出す問題だけを適当にやっていればいい,と考えること
 につながり,学力低下はますます深刻なものになるに違いない。」
                  ディポール大学助教授 高橋昭彦氏の小論から
   参考文献:「教育研究10月号」―初等教育研究会(筑波大附属小学校)発行―
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[1]16年度の教育課程編成のために ―「時間は貴重です」―
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 学校5日制の下,子どもたちは1年のうち,いったい何日学校へ来るるのでしょうか?
また,学習のための時間数はどれくらいあるのでしょうか。来年度の教育課程編成のた
め,調べてみました。
  ────────────────────────────────────
         1〜5年生:200日         6年生:197日
  ────────────────────────────────────
 授業日数は,年間の60%ないのです。何と55%です。これはほぼ5日登校して4日
休みというペースになります。
 こう考えてみると少し恐ろしくなってきませんか?授業日数はたったこれだけなので
す。これだけの日数で指導要領のすべてを習得させることが私たちの使命なのです。限ら
れた時間を有効に使い,特色ある学校教育を推進していくために教育課程をどう編制すれ
ばいいのでしょうか?。じっくり考えてみる必要がありそうです。
 以上のようなことをふまえた上で,考えねばならないことがたくさんあります。2期制
か,または3期制か?そして週時程は?日課表は?各教科等そして総合的な学習の年間計
画は?そして評価計画は?まだあります。家庭や地域との連携はどうあるべきか?説明責
任は?などなど。
 このようなことについて,今年度中に基礎を固めておかねばなりません。
 次に,来年度の授業実施可能時数を試算してみました。標準時数とは,教科・道徳・特
活と総合的な学習の時間数です。
 どの学年も余裕時間がありますが,これは様々な行事,クラブ活動や委員会活動,そし
て補充学習などに消費されます。
  これらを差し引いた実質余裕時数はごくわずかです。時間は限られていることを十分認
識しなければなりません。
 ──────────────────────────────────────
   学 年  A:実施可能時数  標準時数  B:消費予定時数  実質余裕時数(A―B)
 
 ──────────────────────────────────────
      1          932           782            856            76
      2          972        840            913            59
      3        1,047         910            989            58
      4        1,101         945          1,038            63
      5        1,117         945          1,055            62
      6        1,102         945           1,071            31
 ──────────────────────────────────────
                        *試算は私の勤務校での例です。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
[1]2学期制に思うこと  ― 私見です ―
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
 昨今2学期制の問題が大きく取りざたされています。私の勤務校も今年度から2学期制
を導入しました。2年間の試行期間を経ての上です。愛知県内の小中学校では唯一の実施
校ということもあってか,先日NHKの取材も受けました。また,近隣の学校の先生方か
らもしばしば質問を受けます。
 共通して質問されることは「2学期制のメリットは何ですか?」ということです。その
質問をされるたびに「ちょっとちがうな」と感じるのです。
 私の勤務校ではここ数年「基礎・基本の学力をすべての子につけてやりたい」という教
師集団の願いから,さまざまなことに取り組んできました。例をあげると「週時程内に特
設された補充学習」「夏休みの自由登校日(補充学習)」「モジュール時間割」などがこ
れにあたります。
 そして絶対評価導入に合わせて「指導と評価の一体化」に積極的に取り組むようになり
ました。すべての子どもたちに基礎・基本の学力をつけてやるための指導方法のメインと
して考えたのです。「どんな授業を展開することが最も効果的か?」という命題を模索し
た結果たどり着いたのが「指導と評価の一体化」だったのです。これを進める上で,1年
間を長いスパンでとらえることができる2学期制はうってつけだったのです。
 ですから,メリットを求めて2学期制を選択したわけではなく,必要に迫られた結果の
2学期制だったのです。「はじめに2学期制ありき,では何ができるか?」ではなく「こ
のことをやりたい,それじゃあ2学期制を」という図式です。
 単に流行だから,という理由で2学期制を導入する学校はないと思いますが,導入にあ
たっては,必要,かつ十分な根拠が必要です。ましてや,授業時数が増えるからという理
由での導入は間違っています。なぜなら,それほど大差ないからです。
 私の勤務校では2学期制の導入と「指導と評価の一体化」は表裏一体で,車の両輪とし
考えています。このことについて詳細を知りたい方,ぜひ下記のHPをご覧ください。そ
してご意見をいただければ幸いです。
  http://www5a.biglobe.ne.jp/~shimacha/MyHomePage/hyouka2gakkisei.htm
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
[1]《 習熟度別学習 》をどう考えるか?
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 10月7日,中央教育審議会から「初等中等教育における当面の教育課程及び指導の充
実・改善方策について(答申)」が発表されました。既にお読みになったからも多いと思
います。この中の 4「個に応じた指導」の一層の充実 において
「少人数指導,個に応じた選択学習,個別指導やグループ別指導,学習内容の習熟の程度
に応じた指導,繰り返し指導等,効果的な方法を柔軟かつ多様に導入することが重要であ
る」と述べられています。
 現在,多くの学校で「習熟度別学習」が取り入れられていることと思いますが,これを
機会にもう一度是非を考え,改善すべきは改善し,いっそう効果の上がる指導法を考えて
いきたいものです。
 以下に紹介する資料は,何人かの手を経て私の元に入ってきた資料です。残念ながら出
典は不明です。
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【賛成派】習熟度別クラスを復活すべきでは?           ―現役教員―
      (この方は「習熟度別学級編制」賛成の意見です)
 ---------------------------------------------------------------------------
 あくまで個人的な意見ですが,私たちの子どもの頃,中学校や高校では習熟度別学級編
成が存在しました。テストの得点には戦々恐々としたものです。中学では数学と英語につ
いて3段階に分かれました。最下位のクラスになったとき,確かにはじめはプライドが引
き裂かれたように感じました。
 ところが,最下位のクラスに入ると授業が<わかる>のです。嫌になるほどの宿題も出
ません。無理のない学習環境になり,力がつき,次の試験では上のクラスに編入されまし
た。しかし,喜んだのも束の間,上のクラスでは授業がまったくわからなくなりました。
その次のテストでは,下位のクラスの友達と比べても得点できませんでした。
 中2の1年間これを繰り返したあと,中3になったとき,B(真ん中の成績のクラス)に
配属されることになり,自分から先生に「C(1番下のクラス)に入れて下さい」と頼みま
した。人数配分の関係上困ると言われましたが,粘って入れてもらいました。そのかいあ
って1年後には数学に対する苦手意識がなくなり,成績もAクラスの下位と肩を並べるほ
どになりました。
 この経験から,2つの教訓を得ました。
 1つは自分の「身の程」を知るということ,つまらないプライドを捨て去るというこ
と。もう1つは,自分の願いの実現のためには粉骨を惜しまないということです。
 習熟度別学級を経験し,とくに心の成長には大きな役割を果たしたと思います。教師と
いう職業について思うのは,現在習熟度別クラスは否定されていますが,やはり復活すべ
きではないでしょうか。
 それに今の学校はどうしても成績下位の児童生徒を焦点にした学習をしがちで,昔のよ
うな厳しさはありません。学校は温室のようなところでよいのだろうかと疑問に思いま
す。社会不適応者の温床はここにあるのではないでしょうか。
 また成績上位の児童生徒には,下位の者に教えさせたり,退屈きわまりない授業に我慢
して参加させることを強いています。ここに「学ぶ楽しさ」は存在するのでしょうか。
 少なくとも私は今の学校に行きたいとは思いません。教師でありながらこんなことを言
うのは不謹慎だと非難されそうですが。ただ,習熟度別クラスに今の子どもの心が耐えら
れるのか…それだけは心配です。
 ---------------------------------------------------------------------------
【反対派】学力があまりない子達はどうなるの?           ―主 婦―
 ---------------------------------------------------------------------------
 私立の学校ならかろうじてアリかな……?という気はします。ますます学力の差が露骨
に現れてくるようになるので,優秀な子は自信にもつながるし,良いかもしれませんが,
学力があまりない子達はどういう精神状態になるのかな……。追いつめられる子もいるか
もしれません。それは,現状「学習塾」のやり方と一緒ですよね?
 塾は,学校以外の勉強の場だし,義務ではないので,「選んで通う」ところだから,ク
ラス分けが成立するんだと思います。
 ---------------------------------------------------------------------------
【反対派】習熟度別に意義あり!                 ―現役教員― 
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 習熟度別の授業は教師にとって都合のよい方法と考えます。 
 たしかに,現在クラスの中で自分が担任している子どもたちの中にも,かなりの学力の
差のひらきがあるのが現実です。そして,授業の進度に予定外の現象が起こってしまった
りすることも度々です。
 ですが,様々な学力の子が存在するクラスだからこそ互いに,切磋琢磨する姿や補い合
ったり,ささえあったりする姿が日常的に見られるのではないかと思います。
 子どもにとって本当に自発的に学習ができる環境に習熟度別のクラス分けが適している
のでしょうか?
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【反対派】習熟度とは何なのか? 新しい学力観の捉え直しが必要  ―大学院生― 
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 この問題はそもそも「学力とは何か」といったことを突き詰めていかないと解決しない
ものだと思っています。
 従来的な意味で「学力」を捉えるのであれば確かに「習熟度別」はより効果の高い「良
い」方法なのかもしれませんが,そもそも「習熟度」とは何なのか?学校教育における究
極的目標として,子どもたちにどのような能力を身につけさせるべきなのか,など根本的
なところで「学習」や「学力」に対する捉え方を転換させたとき,果たして従来から言わ
れている「習熟度別編成」が意味をもってくるのか,私は甚だ疑問をもっています。
 私の専門は数学教育ですが,算数・数学は,英語と並んで「習熟度別」が推奨されるべ
き教科として議論されることが多いようです。しかしここ10年程,数学教育に関する研
究成果を世界的規模で眺めてみた場合,少なくとも算数・数学における学習観・学力観を
新しいパラダイムに基づいたものに転換していく必要があると思われます。そして新しい
学習観・学力観のもとではもはや「習熟度」といった概念そのものに対して,今ほどには
大きな関心が集まらなくなるのではないかと個人的には考えています。
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[1]国立教育政策研究所の2つの報告書
           平成13年度小中学校教育課程実施状況調査教科別報告書
           評価規準および評価方法等の改善と開発に関する研究
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 13年度に実施された「小中学校教育課程実施状況調査」の結果分析報告書が公開され
ています。ここには「今回の調査結果を踏まえた指導上の改善点」がまとめられており,
全国的な傾向とその対策が書かれてあります。一読の価値があると思います。
 収録されている内容は次の通りです。
 ……………………………………………………………………………………………………
■ 平成13年度小中学校教育課程実施状況調査教科別報告書
 1 平成13年度教育課程実施状況調査教科別報告書の作成について
 2 平成13年度教育課程実施状況調査教科別報告書のポイント
 3 平成13年度小中学校教育課程実施状況調査報告書の概要
     〔小学校〕 国語,社会,算数,理科
     〔中学校〕 国語,社会,数学,理科,英語
 全文は以下のHPで見ることができます。
   http://www.nier.go.jp/kaihatsu/jissihoukoku/index.html
 そこから,3の「平成13年度小中学校教育課程実施状況調査報告書の概要から〔小学
校〕算数」を紹介します。
○ 小学校・算数
1.今回の調査結果の特色〈省略〉
2.今回の調査結果を踏まえた指導上の改善点
(1)第5学年,第6学年を通しての指導上の改善
   上記の1(1)で述べたように,算数では前回調査と同一の問題の過半数について
  通過率が前回を下回っている。調査自体からはその原因について明確なものは見出せ
  なかったが,例えば,
  ・基礎的・基本的な知識・技能の定着を図る指導が疎かになっていたのではないか
  ・思考力の育成を目指した指導が不十分な状況であったのではないか
  等の点から今後も検証を進めていく必要があると考えられる。
   また,上記の1(2)で述べたように,「いろいろな考え方を発表し合うのは楽し
  い」「問題がとけたとき,別なとき方を考えようとする」といった考えや態度をもつ
  児童を育てることは,学習の実現状況の改善に寄与するものと考えられる。
   このため,例えば,
  ・個に応じた指導を進め,基礎・基本の確実な定着を図ったり,発展的な課題に取り
   組んだりできるようにすること
  ・数量や図形についての作業的・体験的な活動などの算数的活動や問題解決的な活動
   を取り入れるなどの指導の改善を図り,児童が様々な考え方を試みたり,話し合っ
   たり,数理的な処理のよさを実感したりできるようにすることが必要である。
(2)内容領域別にみた指導上の改善
  -小算2 -
  ア 「数と計算」領域では,例えば小数や分数の計算の技能についての問題と比べ,
   計算の意味理解と,計算の仕方の思考・判断についての問題で,通過率が設定通過
   率を下回ると考えられるものが多いという状況がみられる。このため,計算の意味
   理解や計算の仕方の思考・判断にかかわる学習において,計算の意味を実際の場面
   と結び付けたり,目的に応じて必要な計算を選んだり計算の仕方を工夫したりする
   など,計算の意味を実感的にとらえられるようにする指導の工夫が大切である。ま
   た,それと並行して,計算の技能を定着させるための学習を一人一人の児童の学習
   状況に応じて進めるようにする指導が必要である。現行学習指導要領では,各学年
   の目標において,「計算の意味について理解し,計算の仕方を考え,用いること」
   を重視しているので,その趣旨を生かした取組が必要である。
  イ 「量と測定」領域では,例えば,三角形や円の面積の問題などで,通過率が前回
   を有意に下回る結果となっている。このため,面積の公式を児童自らが工夫しつく
   っていく学習や,身の回りにある様々な図形の面積を求めたり比べたりする学習を
   充実させて,面積を求める方法の理解を定着させたり,面積の公式を活用できるよ
   うにしたりする指導の工夫が大切である。
  ウ 「図形」領域では,例えば,円や円周率の知識・理解にかかわる問題などで,通
   過率が設定通過率を下回る結果となっている。図形や図形の性質についての知識を
   定着させ理解を深めるためには積み木や紙など具体物を用いて図形をつくったり,
   実際に図形の性質を調べたり確かめたりする学習活動を積極的に取り入れる指導の
   工夫が大切である。現行学習指導要領では,作業的・体験的な活動などの算数的活
   動を通した学習を重視しているので,その趣旨を生かした取組が必要である。
  エ 「数量関係」領域では,問題となっている場面での数量の関係を式に表したり式
   が表している考え方を説明したりする問題などで,通過率が設定通過率を下回った
   り,前回を有意に下回ったりする結果となっている。数量の関係を適切にとらえる
   ことは,問題解決を進める上での大切な考え方となるものである。そのため,児童
   の様々な考えを授業の中で発表し合い,それらを式で表したり,考え方を比較した
   りする学習活動を積極的に取り入れる指導の工夫が大切である。
  -小算3 -………省略
 ……………………………………………………………………………………………………
 もう1つ,通知表に関する研究報告です。ここには実際の通知表が作成のポイント別に
数多く紹介されています。通知表改訂を考えている方にとっては大いに参考になります。
 ……………………………………………………………………………………………………
■評価規準および評価方法等の改善と開発に関する研究
 『研究成果(「通信簿に関する調査研究」報告書)』
 全文はこちら  http://www.nier.go.jp/kiso/tsuushinbo/index.html
 「評価規準および評価方法等の改善と開発に関する研究」の一環として、平成14年4
月より、小・中学校における評定が目標に準拠した評価 (いわゆる絶対評価) で行うこと
になりました。これに伴い、各学校ではどのような通信簿を用いているのか、基礎研究部
が中心になり調査研究し、「通信簿に関する調査研究」 を作成しました。
 本報告書は,「評価規準および評価方法等の改善と開発に関する研究」(平成13〜15年
度)の一環として行った「通信簿に関する調査研究」をとりまとめたものである。
 平成14 年度から,小中学校において目標に準拠した評価を一層重視することになっ
た。
この新しい評価は,各学校に評価規準の設定と運用,評価方法の改善開発等を要請するも
のである。
 本研究所の「評価規準および評価方法等の改善と開発に関する研究」は,各学校が評価
の改善に取り組む際の参考資料を提供することをねらいとしている。本報告書はそのよう
な研究の一環として,評価や評定が児童生徒の指導にどのように活用されているかを具体
的に示す指標として通信簿に着目したものである。各学校で作成される通信簿は,児童生
徒に対する学習状況の説明やその後の学習に役立てるといった性格をもつものであり,こ
うした意味で教師・学校と児童生徒・保護者との接点にある。この通信簿の分析が,評価
方法の改善に資する新しい通信簿の開発の参考になれば幸甚である。
 なお,本調査・分析は,平成14年7月に全国約600校の小中学校から収集した通信簿を対
象に,本研究の事務局が中心になって平成15年度の通信簿作成の参考資料となるように取
り急ぎまとめたものである。皆様方の忌憚のないご意見等をお願いしたい。また,アンケ
ート調査にご協力いただいた学校,及びこの調査研究にご協力いただいた協力者の方々に
衷心より感謝申し上げる。
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[1]“2学期制の導入で何が期待できるか
         目玉は「授業づくりの工夫の余地拡大」そして「適切な評価活動」
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 私の勤務校では今年度から2学期制を導入しました。昨年度から,試行的にモジュール
時間割,ノーチャイム,そして評価の工夫に取り組み,今年度いよいよスタートしたとい
うわけです。何度も検討を重ね,2学期制のメリットが大きいと判断しての決断です。職
員の意識の共通化を図るために使った資料を以下にご紹介します。
 ご質問やご意見をお待ちしております。mailto:jugyo-kaihatsu-owner@egroups.co.jp
…………………………………………………………………………………………………………
          ― 2学期制を効果的に運用していくために ―
1  2学期制の導入により期待できること
 1) 授業づくりの工夫の余地拡大
 〇授業時数の確保
  ・従来の学期末(7・12月)の評価がないことで生じるゆとりを十分に生かすこと
   ができる。
 〇ゆとりある教育活動
  ・時間的にも精神的にも余裕を持って学習に取り組むこと。
   ・授業時数の確保により,ゆとりある教育課程のもとで,どの子にも「学力」をつけ
   ることが可能。
 〇生きる力の育成
   ・知(身につけた学力)の総合化により生きる力を育成する。
   ・総合的な学習で「社会力」を養う。
 2) 適切な評価活動
 〇より子どもに添った評価活動を
    ・教師の評価・評定のための評価から指導に生かす評価への転換
  ・年間2回の評価
   ・長いスパンでのゆとりを持った適切な評価が可能となる。 
 〇指導と評価の一体化
    ア 評価の観点
   ・子どもが自分(たち)の学習を高め合うための自己(相互)評価
   【子どもの自己評価】
   ・今後の指導の改善に向けた自己評価【教師の自己評価】
   ・学習過程における子どもたち一人ひとりの学習の成果と問題点を的確につかみ,
   今後の支援に生かす評価【教師がする子どもへの評価】
  イ 評価にあたっての留意点
   ・指導計画に基づき,子どもの学習しているよさ,身についた資質や能力などを具
    体的な事実を通して継続的に,かつ適切に評価する。
   ・指導の結果を評価し,指導内容や方法の改善を行い,次の指導に生かす。
   ・評価の結果の蓄積から評価規準(基準)や年間指導計画,教育課程の改善を図
      る。 
  〇個に応じた指導
   評価結果に基づき,個に応じた指導を展開する。
2  そのための工夫点  
 1) 授業づくりの工夫の余地拡大に関すること
  〇個に応じた指導
  ア 少人数指導の推進
    ・少ない人数ならではの指導法の工夫が求められる。
    イ「わかりたいむ」の充実……“(2) 適切な評価活動に関すること”と関係する。
    ・「わかりたいむ」設置の目的………“すべての子に基礎学力を”
     学習指導要領に示された基礎的・基本的な内容を確実に習得させるためには,
         指導の過程における子どもたちの学習状況を細かく把握し,その評価結果を基
         に「個に応じた指導」を実践することが求められる。
    ・実施教科………ぜひともつけたい力(基礎・基本)            
    ・指導方法………どんな指導法で〈例:学年解体習熟度別編制での個別指導〉
    ・教材等の工夫改善………どんな教材を使って〈例:ドリル,進級テスト〉 
    ・その他の留意事項………〈児童の自己評価に基づく希望選択制〉
 2) 適切な評価活動に関すること
 〇指導と評価の一体化を目指した評価活動
    教科の指導は,目標の実現を目指し,以下のような一連の活動が繰り返して展開さ
  れている。
    ・適切な教材を設定し,
    ・指導法を工夫し,
      ・評価基準を点検する。
    ・そして指導計画を作成し,
     ・授業実践し,
     ・評価する。
     ・その後,補充(発展)学習を実施する。また指導法や評価基準の見直しをする。
   子どもたちの学習の様子を正しく評価し,「努力を要する」と判断された子への補充
  学を行ったり,「十分に達成した」と判断された子への発展学習を行うなど,個に応
  じた指導が求められる。
    *参考:補充学習(CをBにするために,危ういBをより確かにするために)
        発展学習(Aの子だけを対象とするのではなく,Bをより進めてAにするた
           めにも)
  〇保護者用評価規準の作成……単元別に学年だよりの裏面に
    ア 保護者が得たい情報
    ・この単元ではどういう力がつけばよいのか?
     ・どういう観点からそれを判断すればよいのか?
    ・目標が達成されなかった場合の措置は?
  イ こまめな評価活動の情報提供(通知表を補完する役割)
  〇児童用自己評価カード……単元ごとに実施(単元終了時)
    ア 自己評価の目的     
    ・児童に学習の見通しをもたせたり,意欲付けをする。
    ・児童の自己評価能力そのものの育成を図る。
    ・教師の指導の反省とする。
    ・教師の評価の参考資料とする。
    イ 自己評価が可能となる授業の構築
      ・評価基準の点検をする。
     ・学習前に何をどこまで学習するのかを知らせる。 
     ・この時間の目標は何なのか。
    ・何ができるようになればよいのか。   
    ・つまずいたときどうすればよいのか。
    ・学習終了時に達成できたかどうかを確認する。  
    ・目的意識と見通しをはっきり持たせ,どう学習すればよいのかという展望を持た
    せる。
3 週計画・日課表等の工夫
 1) モジュール日課の導入
 〇15分のモジュール制
   必要に応じて(例:すぐに補充学習や個別指導を実施したい,反復練習を必要とする
  内容を帯タイムで実施したい)モジュールを用い,柔軟かつ効果的に学習を進める。
 2) 「わかりたいむ」(補充及び発展学習の時間)
  〇基礎,基本の習得
     ・児童の自己評価に基づく希望制による習熟度別グループ編制
      ・指導法や教材の工夫
  〇個に応じた指導
    ・補充学習だけでなく必要であれば発展学習も進める。
      ・プリント類の準備と蓄積,保存
4 長期休業の扱い
 1) 学習意欲の継続
 〇基礎・基本の学力
      ・4月以降の学習で身につけることができなかった学習内容
      ・自己評価表から未習熟と自己認識している学習内容
 〇 総合的な学習の実践
      ・自分のテーマの追究活動を展開させる。
      ・休み前に綿密な計画を立案
    ・9月以降の学習展開に直結させる。
 2) 夏休み版「わかりたいむ」(補充及び発展学習の時間)
 〇 補充学習や発展学習の実施
      ・昨年度以上の実施を。
    ・夏期休業前期・中期・後期に適当回数の実施を。
  〇 総合的な学習の個別相談
      ・学習指導だけでなく,総合的な学習の追究活動を個別に支援する。
 3) 「自分でつくる夏休み」(夏休み計画表)
  〇 継続的な取り組み
      ・達成感,充実感
      ・工夫,段取り,計画力
      ・計画的に意義ある長期休業とする。
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[2]“ゆとりある教育活動の展開”の試み
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 勤務校で取り組んでいる内容です。実は,これは筆者が参加する研修会の課題レポート
なのです。実際には様々な問題をはらんでおり,なかなかうまく進んでいませんが,日々
努力はしているつもり?です。
 以下に紹介します。ご意見やご質問をお待ちしております。
 ……………………………………………………………………………………………………
            テーマ:ゆとりある教育活動の展開
1 ゆとりある教育活動の工夫と問題点
 (1) ゆとりある教育活動  
  〇「ゆとり」をどう押さえるか
    時間的にも精神的にも余裕を持って学習に取り組むことができること。
  〇基礎・基本の完全習得
    ゆとりある教育課程のもとで,どの子にも「学力」をつける。
  〇生きる力を育成する。
    身につけた基礎・基本を使って,学習を創造・発展させていく。 
 (2) そのための工夫  
  〇2期制の導入
     授業づくりの工夫の余地拡大 / 時間数の確保 / 適切な評価活動  
  〇個に応じた指導の充実
   ・少人数指導
      全学年で算数少人数指導を実施(週65時間)
   ・指導と評価の一体化を目指した評価活動
     家庭版評価規準表……単元ごとに教科規準表を配布する。
     児童の自己評価表……見通しを持って学習に取り組み,成果を自己評価する。
      ・補いの時間の活用
  〇モジュール時間割の導入
   ・効率的な時間運用
 (3) 問題点
    〇少人数指導授業担当者の不足
2 週計画・日課表等の特色
 (1) モジュール日課の導入
  〇15分モジュール制の導入
   ・必要に応じてモジュールを用い,柔軟かつ効果的に学習を進める。
 (2) 補いの時間
  〇基礎,基本の習得
   ・児童の希望制による習熟度別グループ編制
   ・指導法や教材の工夫
    〇個に応じた指導
   ・補充学習だけでなく発展学習も進める。
3 授業時数の管理や運営
 (1) エクセルを使った週案ソフト
  〇 実施時数を常に意識する。
  〇 残時数を週ごとに確認しながら計画を立てる。
  (2) モジュール制の導入
    〇 90分・60分・45分・30分・15分授業(検診などでの欠時を補う)
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[1]教育基本法に思う ―人間中心の理想実現へ―
               「今こそ学校教育法の改正を」 関 曠野氏の主張
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 中日新聞夕刊からの紹介です。関氏(評論家)は共同通信記者を経て80年から文筆業
に専念。著書に「みんなのための教育改革」などがあります。
 教師には,教育的に意義があると各自が信じることを自主的に実行できる権利が保障さ
れなくてはならない,という同氏の主張には感じ入ってしまいます。
 ……………………………………………………………………………………………………
● 改正というより部分的修正。現行の教育基本法の骨格はほぼそのままで,郷土愛・公
 共心・家庭教育の重視などが付け加えられている。
● こうした儒教的な道徳主義と個人の自己実現を強調する近代的発想が同居しているた
 め,何ともちぐはぐな印象を受ける。このちぐはぐさは教育現場に新たな混乱をもたら
 すのではあるまいか。
● いじめ,不登校,学力低下など今の日本が抱える問題は教育基本法の不備によるもの
 ではない。だが,政治的な背景はともかく,これを機会に教育基本法という「教育の憲
 法」に世の関心があるまるなら願ってもないことだ。
● 教育基本法は制度中心から人間中心に教育の原則を転換させることを意図していた。
 人間の人格的発展が教育の原点であり,課題なのだ。そして人間は市民でもある。新憲
 法下で日本人は臣民から権利を保障された市民になったが,権利は責任を伴う。責任を
 持って権利を行使できる市民を育てることも教育の主要な課題になる。
● 教育基本法は戦後教育の出発点を定めたのだが,その後ほこりをかぶってしまい,た
 まに引用されるだけの美辞麗句になってしまった。
● これは無理もないことだった。教師たちは基本法と同年に公布された「学校教育法」
 にしばられていたからである。教育基本法とは裏腹に,学校教育法には戦前の制度中心
 の学校がそっくり生き延びている。何しろこの法律には当初「天皇が帝国議会の協賛を
 得て公布」といった前文がついていたのである。学校教育法には,人間の教育の場とし
 ての学校という考え方は見あたらない。そこでは学校制度は事細かに規定されながら,
 例えば教師はまるで学校の備品扱いだ。
● してみれば今の日本では教育基本法の精神に即した学校教育法の改正こそが急務なの
 ではあるまいか。人間中心の教育という理想をどのように制度化したらいいのか,教師
 と世の親たちが考え始めるべき時が来ているのではなかろうか。
● 私はとりわけ,学校教育法で自主的な教育者としての教師の権利と責任を明確に定め
 ることが必要だと思う。人間中心の教育においては教師はロボットではなく,子どもと
 親に対して教育者としての責任を負う。しかし権利のないところに責任はない。故に教
 師には,教育的に意義があると各自が信じることを自主的に実行できる権利が保障され
 なくてはならない。
● これを機会に教育基本法を読み直し,学校教育法を改正するための議論を身辺で始め
 た方がいい。そしてこれは教師だけでなく,世の親たちにも関心を持ってほしい問題な
 のだ。
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[1]単元開発力をつける
          奈須正裕氏の「授業が危ない(月刊「悠」今月号)から

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 あなたが都市部にある小学校3年生の担任であったとします。理科「チョウ
を育てよう」の単元ではチョウを捕獲してこなければなりません。ところが学
区内ではなかなかチョウの姿が見られないのです。チョウを手に入れたいが,
チョウがいない。さて,皆さんどうしますか?同様に,生活科でザリガニを手
に入れたいが,学区内にはザリガニがいない。さあ,どうしましょう?
 このことについて奈須正裕氏は,「『こなす』から『つくる』への発想転換
を(「悠」15年4月号)」という小論の中で,次のように述べています
「チョウを育てよう」という単元がある。都市近郊のその町では,モンシロチ
ョウがなかなか見つからない。学年の先生方は考えた末,保護者宛にモンシロ
チョウを見つけてほしい旨の文書を発送したという」
 氏はこの現象をとらえて,「背後にあるのは授業づくりの根本をむしばむあ
る種の病理であり,その根は意外と深い。一言で言えば,自分が主体となって
授業をつくるという感覚が欠如しているのである。」と述べている。
 つまり「別の言い方をすれば,教科書をこなすことが授業であり,教師の仕
事だと思っている。だからこそ教科書にあるモンシロチョウが手に入らないと
してパニック陥り,ついには保護者にお願いの手紙を出すなどという暴挙に出
ながら平然としていられるのだ」となかなか手厳しい。
 ではどうすればよいのか?氏曰く「授業とはこなすものではない。つくるも
のである。モンシロチョウの確保が困難なら,別の昆虫を考えればいい。もち
ろん教材である昆虫が変われば単元の展開も変わるだろうが,それに即して単
元を自前でつくればいい。あるいはモンシロチョウを求めて少し郊外へ子ども
と一緒に出かけてみるという手もある」と。
 先日,勤務校の若い教師とこれに似た話をしました。単元開発について,子
どもや地域の実態に合わせ,単元を工夫するという内容です。子どもの興味・
関心をひきつけ,学習意欲を高めることの重要性はだれもが感じていることで
しょう。子どもの「やる気」をどう高めるか?非常に重要なことです。
 算数のわり算の学習で,子どもたちは教科書通り「妹と姉と3人でリボンを
分けたり」,分数の学習で「しょうゆをきのう4分の1使い」という問題がよ
く見られますが,現実に子どもたちはそのような経験をしているでしょうか。
子どもたちの関心のないこんなところから授業に入るとハナからやる気が起き
ないでしょう。内容も教科書通り,時間数も教科書通り進める授業からの脱却
を考えたいのです。教科書は主たる教材であり,可能であるならば教科書は指
導要領を熟読し,目の前の子どもたちにあわせて教師自身がつくるべきものな
のです。
 そこで求められるのが単元開発能力です。これは有田和正氏の唱える「教材
開発論」と相通ずるものです。奈須氏のことばで言うところの「自前の単元」
です。わたしはこれらの能力のバックになるものは「その人にどれだけデータ
ベースがあるか」につきると思っています。どれだけデータを持っているかで
す。多くの書籍からすぐれた実践例を読み,可能な限り多くの授業を見,そし
て先進校の研究会に参加するといった経験を重ね,データベースを増やしてい
くのです。それらをきちんと脳内引き出しの中に整理して入れ,必要なときに
その引き出しから出すことができる。これが単元開発能力を高める唯一の方法
です。
 子どもにとっておもしろくて楽しい授業にしていくことが今もっとも求めら
れているのです。学習への関心・意欲・態度をいかに刺激していくかにかかっ
ているのです。関心・意欲・態度を盛り上げれば,必ず子どもたちは目を輝か
せて学習に取り組みます。データベースを増やしたいものです。
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[2]“基礎・基本”について考える
                何気なく使っている言葉 その違いは?
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
 マスコミで騒がれている学力論争の中で「基礎・基本」という言葉ほど多用
された言葉はないでしょう。私たちも日常的に使っています。
 基礎と基本は違うのでしょうか,それとも同義なのでしょうか。私はいつも
考えていましたが,よくわかりませんでした。今回,一つの回答を与えてくれ
る書籍と出会いました。[3]で取りあげた尾木直樹氏の著書です。
 以下に要約して紹介します。
 ………………………………………………………………………………………
 ○ 書店で見る書名からの考察
  ・基礎 「基礎英語」「時事用語の基礎」「基礎スキー入門」
  ・基本 「日本料理の基本」「手紙文の基本」「英会話基本語用例辞典」
 ○ 広辞苑
  ・基礎 その上に建物を建てたり,大きな装置を設置したりするために据
      える土台。それを前提として事物全体が成り立つようなもとい。
      (基礎理論,基礎工事)
  ・基本 物事がそれに基づいて成り立つような根本。(基本給,基本語彙
      基本設計,基本単位,基本的人権)
 これだけでも何となくイメージがつかめてきます。さらに尾木氏は,
 ○ 基 礎……できる力  
 ○ 基 本……わかる力 
  であり,いかに「できる力」としての基礎を大量に詰め込んだとしても,
 それは単純に「わかる力」,つまり基本となる力へとステップアップするこ
 とにはならない。
  いかに基礎のトレーニングを積み,計算の基礎が早くなっても,人間らし
 い生きる力へと発展していかないとすれば,あまり意味はない。創造性が芽
 生えてくる期待もあまりもてない。        
■「基本」とは,人間が「基礎」的な力を駆使しながら生きていく上で,必要
な判断力や深い共感力,想像力,構成力,分析・統合力のことである。
 ………………………………………………………………………………………
 東京学芸大の児島氏が言われる「学力の3層構造」を理解しておられる方に
は,尾木氏の主張はたやすく受け入れることができると思います。基礎・基本
と連続して用いるなら,児島氏の言われる第2層,第3層の学力をもきちんと
認識しておかねばならないと思います。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
[1]“休業日の設定 校長の裁量に”
                       千葉県白井市教委の決断
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
 千葉県白井市教委は夏休みなどの休業日を校長裁量で決定できるよう,学校
管理規則を改正することを決めました。目的は「児童・生徒の実態や地域の実
情によって特色ある学校作りを推進するため」ということです。
 私はこれを高く評価したいと思います。明治以来ずっと変わらない教育制度
がいくつかあります。教科書・黒板・チョーク,学級・学年,そして春・夏・
冬の長期休業です。
 このMMの第1号と2号で「自在な学習集団を」という記事を書いたことが
あります。学級はもちろん,学年も越えた学習集団の編成を,という内容でし
た。これは最近ごくわずかみられるようになりました。
 長期休業も,特色ある学校づくりが叫ばれている今日,そろそろ見直しても
いいのではないかと思っています。これだけ地方分権が叫ばれる時代,教育特
区制度も世間に認知されるようになってきました。全国一律の長期休業である
ことの必要性は薄いのではないでしょうか。
 特色ある教育課程を作成しようとした場合,長期休業は時としてその妨げと
なる場合があります。授業日数は激減しています。基礎・基本は是非とも身に
つけさせねばなりません。生きる力(私は「地球市民としての資質」と考えて
いる)も育まねばなりません。そのための教育課程はどうあればよいのか。そ
れを考えるとき,長期休業が妨げになってはならないと考えるのです。
 さらに,長期休業以外にもピンポイント的な休業日も学校の主体性で設定で
きるということは大きなメリットだと思います。
 私のML仲間のSさんの学校でも「来年度から夏休みを8月1日からとし,
10日間減らす」そうです。Sさんの学校は山間地の僻地にあり、地域性が大
きく関わっているそうですが,夏休みを10日間減らすことで日没が早いとき
に授業を減らして児童を早く下校させることができるなど,副次的なメリット
もあるそうです。保護者会での合意も得られたと言います。難しい面も多いで
しょうが,とにかく動き出しています,ということでした。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
[1]本格化し始めた“2期制”の実施
                    勤務校での実施案を紹介します
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
 仙台,金沢など,2期制の導入を決めた自治体が増えています。また,東京
江東区をはじめ,香川県丸亀市,宮崎県宮崎市,神奈川県横須賀市,京都市な
ども15年度からの実施を決めたようです。
 実は,私は新卒の頃,既に2期制の通知表を経験しているのです。「教材の
精選」をテーマとして,県指定の研究発表に取り組みました。その一環として
通知表を2期制にしたのです。四半世紀前の話で,私も新卒であったため,ほ
とんど記憶にありません。しかし,学期末に友人が多忙を極めているのに自分
はひまだったこと,家庭訪問を汗を拭き拭き夏休みにやったことなどを覚えて
います。
 勤務校では14年度を検討期間とし,様々な方略を試行しました。その結
果,来年度から2期制に取り組むことになりました。以下はその提案書の一部
です。
 ………………………………………………………………………………………
■来年度に向けての枠組み(案)
〈趣 旨〉
  単に2期制にするだけでは,デメリットしか見えてきません。2期制は通知
票を2回しか出さないということだけではありません。例えば総合的な学習の
構想なども,夏休みを含めた展開など様々な可能性が拡がります。
 目的は腰を据えてじっくり子どもたちを育てていこうとするものであり,一
人ひとりの変容をより具体的にとらえていくことが重要なポイントです。2期
制の導入により,長期間にわたってじっくり子どもたちをみていくことが可能
となり,さらに信頼性の高い絶対評価が可能となります。
 また,学期末や学期はじめの短縮日課日を減らすことで授業時数が確保され
る,そして通知表作成の回数が減ることで,成績処理の時間や労力を子どもた
ちの指導の充実に向けることができる,などのメリットもあります。
 2期制を実現させるために,それに見合う細部の見直しが必要です。それら
のほとんどは,本校では既に先取りして取り組んできています。これらを来年
度はさらに発展・拡充していく方向で考えていきたいと思います。
 今回は残された細部にわたる問題を提案をします。
○ 原則として現行行事は削減しない。行事への取り組み方次第で,子どもた
 ちは確かに力をつける。また,学校生活に潤いをもたらす。
○ 1学期終業式,2学期始業式・終業式,3学期始業式は廃止し,前期終業
 式を10月10日(金),後期始業式を10月14日(火)に実施する。修
 了式は従来通りとする。
○ 個人懇談会を7月と1月に実施する。
○ 授業時数確保のため,7月18日(通常の1学期終業式),9月1日(通
 常の2学期始業式),12月22日(通常の2学期終業式),1月7日(通
 常の3学期始業式)は弁当の日とし,通常日課とする。
○ 夏休み,冬休みで学校生活が分断されないための手だてを工夫する。
 〈例〉・例えば総合的な学習を通しての手だて
    ・「わかりたいむ」夏休み,冬休み版の工夫
       ・「自分でつくる夏休み」を通して十分な事前の計画を。
○「自己評価表」及び「保護者用評価規準(名称を検討する)」を有効に活用
 しながら,情報をこまめに提供していく。
○ 目的に応じ,モジュール制をさらに有効に使い,実効のある授業づくりに
 努める。
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[2]子どもたちが学校へ来る日数はどれくらい?
   基礎・基本の習得は大丈夫か! ―勤務校における「わかりたいむ」―
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 そろそろみなさんの学校でも来年度の教育課程編成に着手している頃ではな
いでしょうか。私の勤務校でも,つい先日から始めました。
 まず,年間授業日数,授業時数をカウントすることからはじまります。初め
てエクセルで作成しました。とても便利です。特に授業時数はエクセルでなけ
ればたいへんな作業となります。
 それはさておき,15年度の授業日数をカウントしてみて今さらながら驚き
ました。来年は2月が29日ですから366日あります。そのうち,授業日は
  ▼1〜5年生:203日  ▼6年生:200日  
 授業日は60%ないのです。何と55%なのです。これは5日登校して4日
休みというペースです。こう考えてみると少し恐ろしくなってきませんか?
 ちなみに実施可能授業時数は,
  ▼1年:  954時間(782) ▼2年:  993時間(840)
  ▼3年:1,071時間(910) ▼4年:1,122時間(945)
  ▼5年:1,142時間(945) ▼6年:1,127時間(945)  │
                ( )内は指導要領に示された標準時数
 余裕時数はさまざまな行事,クラブ活動や委員会活動に消費されます。
 次に週時程を編成しなければなりません。
 例えば,標準時数分だけであれば4年以上は週27時間でよいことになりま
す。しかし27時間だけ授業をしてあとは帰宅,という学校はまずないでしょ
う。これをどうするか?勤務校での例を紹介します。
 5年生の場合,週29時間実施です。ということは2時間はみ出しです。こ
の余分の2時間分のうち,1時間をクラブ活動と委員会活動を隔週で,もう1
時間は「わかりたいむ」と称して定着及び発展学習を実施しています。
 たった200日しか学校へ来ない子どもたち。限られたわずかな時間で指導
要領に書かれていることすべてを習得させなければならないのです。指導要領
はミニマムスタンダードです。「わかりたいむ」実施時数をカウントしてみる
と,39時間ありました。これをどう工夫して使うか?来年度へ向けての大き
な課題です。みなさんのところの情報もお知らせ下さい。
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[1]教育課程編成に関して知っておきたいこと
       もっと関心を持ちましょう 職員全員でつくりあげるものです
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 そろそろ来年度の教育課程編成に着手する時期がやってきました。教育課程
は各学校ごとで作成するものです。身近なのは「時間割編成」や「日課表」で
すが,それだけが教育課程ではありません。学校の教育活動のすべてを対象と
して編成すべきものです。
 これを機会に,もっと教育課程編成に関心を持ってみませんか?職員全員の
意思で編成すべき性質のものですから。
……………………………………………………………………………………………
1 学校において編成する教育課程とは何か?
  学校において編成する教育課程とは,学校教育の目的や目標を達成するた
 めに,教育の内容を児童の心身の発達に応じ,授業時数との関連において総
 合的に組織した学校の教育計画である。
             (小学校学習指導要領解説 総則編P12より)
  この場合,学校の教育目標の設定,指導内容の組織及び授業時数の配当が
 編成の基本的な要素になってきます。指導内容は,学校教育法施行規則及び
 小学校学習指導要領に各教科等の種類やそれぞれの目標,指導内容等につい
 ての規準が示されています。
2 なぜ,教育課程の基準が必要であるか?
  小学校は義務教育であり,また,公の性質をもつ(教育基本法第6条第1
 項)ものであるから,全国的に一定の教育水準を確保し,全国どこにおいて
 も同水準の教育を受けることのできる機会を 国民に保障することが要請さ
 れる。         (小学校学習指導要領解説 総則編P14より)
3 各学校の創意工夫が求められている
  今次指導要領改訂においては,各学校がいっそう創意工夫を生かし特色あ
 る教育,特色ある学校づくりを進めることができるよう「総合的な学習の時
 間」を創設するとともに,教科の特質に応じ目標や内容を複数学年まとめて
 示すなどの大綱化,そして授業の1単位時間や授業時数の運用の弾力化を図
 っています。
  したがって,各学校においては,国として統一性を保つために必要な限度
 で定められた規準に従いながら,創意工夫を加えて,地域や学校及び児童の
 実態に即した教育課程を責任を持って編成,実施することが求められている
 のです。
  例えば,通知票を2期制にするとか,日課表をモジュール制にするなど,
 自校の教育目標を達成させるのに必要かつ十分な枠組みを工夫しなければな
 らないわけです。
4 授業時数等に関して
  指導要領総則に見られる表現を抜き出すと「年間35週以上にわたって行
 うよう計画し」「各教科等の1単位時間は,各学校において,各教科等の年
 間授業時数を確保しつつ,児童の発達段階及び各教科等や学習活動の特質を
 考慮して適切に定める」「地域や学校及び児童の実態,各教科等や学習活動
 の特質等に応じて,創意工夫を生かし時間割を弾力的に編成することに配慮
 するものとする」など,各学校で創意工夫して弾力的に編成することが求め
 られています。
5 授業時数をどのようにして算出するか?
  教育課程を編成していくには,授業時数を明らかにしていく必要がありま
 す。標準の授業時数は学校教育法施行規則でが示されています。しかし,こ
 れだけでは不十分です。なぜなら,実際の授業時数と標準の授業時数は違う
 からです。標準の授業時数は授業週を年間35週としていますが,実際はそ
 れよりも多いのです。ですから,次のように予備の授業時数が生まれてくる
 わけです。
   (実際の授業時数)−(標準の授業時数)=(予備の授業時数)
  ところが,余裕があるといって喜んではいられません。学習指導要領の第
 1章総則 の第4「授業時数等の取扱い」に次のような文章があります。
  「特別活動の授業のうち,児童会活動,クラブ活動及び学校行事について
  は,それらの内容に応じ,年間,学期ごと,月ごとなどに適切な授業時数
  を充てるものとする」
  児童会活動,クラブ活動及び学校行事のすべてについて新しい時間枠を設
 けていたら,時間割のコマ数が増えてしまいます。そこで,予備の授業時数
 の有効利用が大切になってくるわけです。予備の授業時数をはっきりさせる
 ことは,学校行事等を組む際の必須条件となってきます。
  実際の授業時数(学年別)を出すには,以下のような作業が必要です。
   1.年間行事計画(4月〜3月)を立てる。
   2.授業日数(月別・学期別・年間・学年別)を出す。
   3.全学年で共通する授業カット日を確認する。(短縮期間・給食のな
    い日・家庭訪問や個人懇談会の日など)
   4.各学年の曜日別授業時間数及び授業カットの日を確認する。
   5.曜日別年間授業時数及び年間授業時数を学年毎に集計する。
  どの学校でもこのような手順で全体計画を立てていることと思います。
6 各教科等と総合的な学習の年間指導計画と評価規準の立案
  前後しましたが,教科・道徳・特別活動,そして総合的な学習の年間指導
 計画と評価計画も立てねばなりません。 
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[2]「ゆとりと充実」路線を歩む
                 文科省:玉井日出夫審議官の講演から
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 講演の概要をお知らせします。
(平成14年5月22日:全日本中学校長会総会)
 〜前略〜 新しい教育課程では,一律に行われてきた学習指導から,一人ひ
とりの子どものちがいに応じた習熟度別指導や中学校での大幅な選択授業の導
入,TTやグループ学習などの多様な学習形態も取り入れて指導が行われる。
 さらに知識と体験の両方を大切にし,各教科の中で身につけた力を総合的な
学習の時間で生かし,そこで培った力を各教科にフィードバックしてほしい。
 このような関連からゆとり教育について言えば,「プロセスを大切にする教
育」「手間暇をかけた教育」と言える。
 今年1月17日に出された「学びのすすめ」は,完全学校5日制の導入や学
力低下への懸念などが取りざたされる中で,新学習指導要領の真のねらいに向
けて,教育関係者をはじめとする国民全体が取り組み,課題となっている学び
の習慣を子どもたちに身につけてほしいなどの願いが込められたもの。昭和5
0年代カリキュラム以降の積み重ねと現在の教育課題をふまえて「学びのすす
め」を読んでもらえばわかるはず。文部科学省はずっとゆとりと充実の路線を
歩んでいる。
 当面する課題として1点目は,校長のリーダーシップと学校の自主・自律性
があげられる。各学校は自主・自律性を持ち,地域の信頼を得て,地域に開か
れた,特色ある学校づくりを推進してほしい。 〜後略〜
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[1]まちがった「子ども中心の学習」
    教師の意図的,計画的な教育の実践を 立教大学教授 奈須正裕氏
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 総合では子どもの主体性を尊重しなければならない。よく聞く言葉です
が,一つ間違えば大変なことになります。しかし,意外にこのことを深く考え
ている教師は少ないのではないでしょうか。奈須氏が警鐘を鳴らしています。
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「総合的な学習は子ども中心でやるんですよね」と言う人がいる。
 奈須氏曰く,「まったくその通りだと思う」と。ところが,その後に驚くよ
うな言葉を吐く人がいるらしい。
「子ども中心だから,教師は何もしなくていいんですよね」
 以下,奈須氏の言。
   これは大間違いだ。どこが間違いかというと,「子ども中心」と「教師は
 何もしなくていい」を「だから」で結ぶ点である。
  もし,両者を「だから」で結びたいのならこうなる。
 「子ども中心だから,教師の意図性や指導性の発揮がいよいよもって重要に
 なってくるんですよね」 
  子ども中心の教育とは,放任でも迎合でも,いわんや教育放棄でもない。
 子どもの夢や願い,気がかりや着眼,彼らを取り巻く生活現実に依拠しなが
 ら,教師から見ても教育的に価値ある内容を,意図的,計画的にしっかりと
 実現していく教育のことだ。
 さらに氏曰く
  前述のように発想する人は,従来の「教師中心」のやり方では,子どもの
 事実や言い分などを一切考慮せず,一方通行の教え込みに終始してきたのだ
 ろう。あるいは「教育とは有無を言わせずたたき込むことだ」などと本気で
 考えているのかもしれない。
  だからこそ,授業を「子ども中心」にと聞いたとたんに,それとは正反対
 の,ありもしないものを勝手にイメージして独り合点してしまうのではない
 か。かくして,子ども中心を放任や迎合や教育放棄と誤解してしまう。そし
 て声高に批判するのだ。「そんなことでは学力が下がる」と。
……………………………………………………………………………………………
 なかなかきつい言葉です。しかし,まったくその通りだと思います。子ども
中心であればあるほど教師の仕事量は増えこそすれ,減ることはありません。
先を見通した計画性が何より大事だと思います。
 総合の実践にあたっても,つけたい力,めざす子ども像を明確にし,きちん
とした学習の展望を持つべきです。私のネット仲間の一人から相談がありまし
た。「私の勤務校では単元構想図は作らないことになりました。作ると教師の
意図的な指導となり,子どもを引っぱっていくことになるから」と。彼も憤慨
していましたが,まったくおかしな話です。
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[2]日教組が学制「544制」を提言
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 教育改革を検討している日本教職員組合(日教組)の「21世紀
の公教育を考える委員会」(会長、大内秀明・東北大名誉教授)は,
現在の小学校6年間,中学校3年間などの学制を見直し「5・4・4
制」とする中間報告をまとめたとのこと。その内容は,
・5歳児で小学校に入学
・小学校5年間
・中学校4年間
・高校4年間
 日教組が学制改革に踏み込んで提言するのは初めてのことだそうで
す。
 中間報告は,幼児期から小中高とつながる現在の教育システムにつ
いて「学校種間の学習に飛躍がある」などとして、学制の変更を提言
している。
…………………………………………………………………………………
 日教組のHPを開きましたが,このことに関する記述を見つけるこ
とはできませんでした。また「21世紀の公教育を考える委員会」で
検索して調べましたが,詳細を知ることはできませんでした。
「幼児期から小中高とつながる現在の教育システムについて学校種間
の学習に飛躍がある」という論の根拠が分からないのでコメントしよ
うがありません。
 今の段階では幼保小の連携,小中の連携,中高の連携を強めるな
ど,他にやるべきことがあると思います。 
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[1]苦手な算数「支援隊」にお任せ 
      緊急雇用対策を活用した事業で(群馬県:太田市)
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 皆さんの学校でも国の緊急雇用対策事業に伴う指導助手制度がある
と思います。私の市ではコンピュータ指導助手が多いようです。個人
的にはコンピュータ指導に限らず,より有効な活用法ができないもの
かと考えていました。例えば少人数指導対応助手など。
 そんなことを考えていたところ,M新聞教育メールに次のような記
事が載っていました。思い切った施策です。よくぞここまで,という
印象を持ちました。皆さんの市町村ではどうですか?
 ちょっとやりすぎ,いや,やるなら徹底して,など,議論を集めそ
うです。
…………………………………………………………………………………
 群馬県太田市は、算数が苦手な小学生を対象に公募教員が家庭教師
となって教える「算数支援隊」を4月15日から始める。国の緊急雇
用対策を活用した事業で、同市では支援隊の教員を募集している。
 子供の算数離れや学力低下が指摘されているため、算数が苦手な小
学校5、6年生の児童を対象に実施する。1人ひとりの学力に合った
学習を行い、基礎学力の向上と算数への関心を高める。
 火曜日から金曜日までは、教員が児童の家庭を訪問して指導する。
訪問回数は児童の習熟度によって決める。土曜日は同市庁舎を利用し
たサタデースクーリングを開設して行う。また、夏休みを活用した合
宿授業も実施する。費用は、教材費として月額1000円程度。
 参加する児童は、同市の全小学校18校から各20人程度を募集、
全体で約360人を予定している。4月8日に全校に支援隊への参加
希望書を配布する。市教委によると、同市内に通う小学校5、6年生
は全体で2632人。うち、算数が苦手な児童は4%前後とみられて
おり、同市では本人と親の希望を優先する。
 教員の募集は採用人員が12人、年齢は35歳ぐらいまで。採用期
間は6カ月で、教員経験者でなくてもいい。勤務時間は火曜日から金
曜日までの午後2時から同10時まで。土曜日は午前9時から午後5
時までで、給与は月額20万〜25万円を予定している。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
[1]学校教育の基礎基本  ―授業の原点をあらためて確認する―
      東京学芸大教授 児島邦宏氏の論文より
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 ある雑誌に掲載されていた児島氏の論文,ひじょうにわかりやすく
参考になります。もやもやした学力論をすっきりさせたい方,ぜひお
読みください。
…………………………………………………………………………………
1 どんな学力をつけさせるか。
  出発点は「この子どもたちにどんな力をつけさせたいか」
  3つの留意すべきこと
 ○ 今日の学力観は知識や技能を軽視しているわけではない。
   知識や技能を生かし,問題の解決に資することが学習の最終目
    標。
 ○ 基礎・基本とは学習指導要領に示した各教科等の基礎的基本的
  な内容を指す。指導要領が最低基準たるゆえん。
 ○ 知識か思考力か,基礎・基本か生きる力か,という2項対立の
  学力観から,「層的な学力観」への転換を。層は3層からなる。
  ・ 1層は,これが欠けると日常生活にも支障が出たり,どの教
   科の学習にも多大な影響を及ぼす「基礎的生活能力」
  ・ 2層は,指導要領に示された各教科の基礎的基本的な内容。
  ・ 3層は,教科等の基礎・基本を総動員して実際場面の問題解
   決にあたる「知の総合化,知の実践化」
2 基礎・基本の徹底をはかる。
  自分の学校では3つの層のうち,どこ層が弱いのかを見極める。
 1層の「読み・書き・計算」が足りないなら,まずそこに着目して
 力をつける。第2の層が足りないなら「習熟・定着・補充」をはか
 る。その場合,習熟度別指導など指導体制の工夫を。
3 個性や主体性の伸長をはかる。
  基礎・基本の徹底の上に立って,学んだ知の活用をはかる。実践
 化をはかることによって,課題解決にのぞみ,それぞれの子どもの
 よさや可能性を伸ばし,困難にもめげず,自分の力で自立して生き
 ていけるように主体性の確立をはかる。
  こうした授業を展開していくにあたって教師の役割の転換が求め
 られる。「支配者」から「支援者」への転換。学習課題と子どもと
 の結びつきを強め,学習者自ら主体的に問題解決をはかれるように
 し向け,教師自身が後押ししていく指導技術が支援である。
…………………………………………………………………………………
 第1層に対応するにはどうしたらよいか,第2層ではどうか,そし
て総合的な学習の時間はどう進めるのか。こんな疑問を解決するため
に一つのヒントを与えてくれていると思います。
 今問題視されているのは「基礎学力」です。これに応えるには,た
とえば第1層対策「朝の15分学習」,第2層対策「複数教師での授
業」などはすぐに手がつけられると思います。
 いずれにしても職員が共通理解の下,一丸となって取り組む態勢を
作ることが最も大事なことでしょう。  
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
[1]教科再編:小中学校教科の枠組み見直しを検討
     平成13年12月31日付 毎日新聞の記事より
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
 このニュースは Mail Magagine Net Work 仲間の佐藤@山形さんか
らの情報です。佐藤さんありがとうございました。たいへん大きな問
題ですので,ここでも取り上げることにします。 
 12月31日付け毎日新聞によると,文部科学省は来年度から国語や算
数・数学、理科など,現在ある小中学校の教科の再編を検討する,と
あります。教科の再編については,96年に中教審が「教科の再編・
統合を含めた教科のあり方について早急に検討する必要がある」とす
る答申を出していたようです。
 教育課程審議会が昨年1月に常置機関になったことから,同省は義
務教育で教えるべき「基礎・基本」の内容の検討を進め、教科統合や
教育課程の見直し、新教科の創設を視野に入れた検討を諮ることにし
たとのことです。
 記事を全文載せたいのですが,いろいろ問題がありますのでごらん
になりたい方は次のアドレスを開いてみてください。
 http://www.mainichi.co.jp/news/selection/archive/200112/31/
 これでうまく開けない場合は次の方法を試してください。
 毎日新聞社のHP http://www.mainichi.co.jp/ から入って,
「カレンダーで探す」(赤字で書いてある)をクリック,そして「過
去の記事カレンダー」の「12月31日」をクリックします。そうす
ると〈教科再編  小中学校教科の枠組み見直しを検討 文部科学省〉
が出てきます。
…………………………………………………………………………………
 これを読んだとき私は3つのことを考えました。
1 総合的な学習の時間の内容の例示として「国際理解」「情報」
 「環境」「福祉・健康」などがあげられています。最終的にはこれ
 らが教科として設置されるのではないか,という考えです。
  文部省のねらいは当初からここにあったのではないかと言う人さ
 えいます。とりあえず「総合的な学習の時間」を布石とした,とい
 う感じがしませんか?設けてはみたが,どうもうまくいっていない
 ようだ,だから次の指導要領改訂の時には廃止する,というシナリ
 オがあるとしてもおかしくないような気さえしてきます。そして堂
 々と英語教育,情報教育を持ってくる,という予感です。
  これは総合的な学習の時間がうまくいっていないという前提があ
 ってのことです。我々がしっかりやらなければ総合的な学習の時間
 はつぶれるということになります。
2 指導要領に書かれている各教科の目標や内容を,教科という枠組
 みから取り払ったまったく新しい教科が設置されるという予感で
 す。例えば,「言葉」とか「自然」「科学」といった分類が考えら
 れます。一つの学習の中に複数の教科のねらいを盛り込んだ単元を
 設定するわけです。
  調べる対象は「ヘチマ(理科)」であり,まとめるときには「報
 告文の書き方(国語)」を学び,表現物を作るときには「ポスター
 の制作(図工)」であるわけです。既に低学年では教科がないとい
 う研究開発学校もあります。しかしこれはたいへんな作業が伴いま
 す。実施されるとしても,次回の指導要領改訂にはとうてい間に合
 わないでしょう。
3 1や2と逆行する考え方ですが,世論の要求に応えた基礎・基本
 重視タイプへの転換です。予想がつけにくいですが,計算力,作文
 力,表現力,読解力という基本的な能力を育てる教科の創造です。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
[1]来年度の教育課程
     どうする!時間割編成,年間学習計画と評価規準
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
 時間割編成にはさまざまな手法が試みられています。私の試案は3
期制,そして15分モジュール時間割です。詳しくは私のHP
  http://www5a.biglobe.ne.jp/~shimacha/MyHomePage/
 をご覧下さい。
 以下は私が以前MLで発言した内容です。概略を知っていただきた
く,再掲します。 
「 まず週の時間割です。年間を39週と考えることにします。私は
 2期制(前期20週・後期19週)または3期制(1期14週・2
 期15週・3期10週)で考えています。月毎とか週毎の時間割も
 考えられますが,児童や保護者にとってわかりにくいものになるで
 しょう。
  2期制,3期制で考えると,例えば5年の社会は90時間ですが
 2期制であれば前期3時間,後期2時間で96時間確保できます。
 3期制なら1期3時間,2期3時間,3期2時間で107時間確保
 できます。その差は11時間です。もちろん年間総時間数とか行事
 などで削減される時間などを考慮しなければなりませんが,2期で
 やるか3期でやるかによって各教科の実施できる時間数がさまざま
 
 に変わってきます。
  また業前に10分間学習を設定すると1週間で45分は確保でき
 ます。年間40時間です。これは見逃せません。
  また,日課表についてモジュール時間割を考えています。15分
 を1ピースと考えます。1日を18ピースに分け,朝の会のあとに
 はベーシック学習として1ピース,帰りの会の前にもベーシック学
 習で1ピースを配置して,朝と帰りに基礎基本の積み重ね学習を1
 5分間実施します。
  残されたピースをどう使うかは担任の裁量に任せます。もちろん
 基本となる時間割は作成しておきますが,今日の算数は2ピースあ
 ればいい,理科は実験だから5ピースとる,明日の総合は6ピース
 という具合に使います。担任は毎週時数計算をし,規定時間をクリ
 アできるよう留意します。学習内容によって柔軟な時間配当ができ
 るようにするわけです。チャイムは,全校の節目となる長い放課や
 給食,最終下校の時だけとします。もちろん,放課がばらばらにな
 るとか特別教室の割り当てがうまくできないなど,問題点も多く抱
 えています。これから具体的に詰めて行かねばならない問題です。
  しかし,これからの学習では,個々の子どもの個別化,個性化が
 重要なポイントとなります。基礎基本の完全習得も至上命題です。
 習熟度別学習も考えねばなりません。これらをクリアするためには
 思い切った教育課程や時間割を考える必要があると考えます。
  よりよいプランにするためにも,皆さんのご意見をお待ちしてお
 ります。」 以上MLへの発言内容です。
   ……………………………………………………………………
 年間学習計画や評価規準については,基本的には教科書会社や教育
政策研究所のプランをベースとするのがいいと思います。それぞれの
方々は私たち以上に勉強しています。やはりひな形とすべきではない
でしょうか。各教科書会社,教育政策研究所のホームページから手に
入れることができます。
 しかし,私は自校化にこだわります。児童や地域の実態,そして教
師集団の指導方針などを考え会わせて子細に検討すべきでしょう。
 例えば4年の社会では東京書籍の場合「消防7時間」「警察6時
間」「ごみ10時間」「水10時間」という配列になっています。果
たしてこういう配列でよいのか,配当時間はこれでいいのか,といっ
たことを検討すべきです。
 個人的には子どもにとって最も身近な「ごみ」「水」から入って社
会科への意欲を高めたいと思います。時間ももう少しとりたいと考え
ます。総合的な学習の時間と組み合わせた展開であれば時間数なども
大幅に変わってくるでしょう。
 それから「火事」「警察」の「くらしを守る」は15年度からは4
年生では扱わなくなります。今年度の3年生はこの大単元を3学期に
学習することになっています(東京書籍)。
 他教科でも同じことが言えると思います。算数で少人数学習を実施
するとか,教科担任制を取り入れるとか,様々な事情があると思いま
す。そのような要素によって学習計画も検討する必要があると思いま
す。また,本校では15分ピース時間割を考えています。これによっ
ても学習計画を見直す必要性がでてきます。
 評価規準については,まず自分がやってみることだと思います。や
ってみないことにはものが言えません。未知のことに対しては,やっ
てみて初めて全体の見通しが立つというものです。私も冬休みの自主
宿題として5年社会科の1単元分を作っている最中です。
…………………………………………………………………………………
 参考になるHPを紹介します。
 ・H14年度教育課程のページ
  http://www.biwa.ne.jp/~takasho/h14kyouikukatei.htm
 ・H14年度教育課程編成
  http://homepage1.nifty.com/berf/h14kyoikukatei.htm
 ・各学年の授業時数と週時数 2002年度
  http://hirasen.com/21zi.htm
 ・週教科等配当表
  http://www.biwa.ne.jp/~takasho/h14syuukyoukahaitou.PDF
 ・平成14年度 年間授業実施予定時数
  http://www.synapse.ne.jp/kaki1217/yoteijisu.htm
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
[1]国際学力調査――意欲の低さが心配だ。
    朝日新聞社説より
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
 以下は朝日新聞のHPからの引用です。
■国際学力調査――意欲の低さが心配だ
 来春からの学習指導要領で教科内容が3割減り、「学力低下に拍車
がかかる」と批判が起きている。そんな折、経済協力開発機構(OE
CD)による、15歳を対象とした学習到達度調査の結果が発表され
た。先進国を中心に32カ国から26万5千人が参加、日本も高校1
年生約5千人が調査に加わった。
 出題が一風変わっている。落書きについての賛否2通の手紙を読
み、自分の意見を書く。レーシングカーの速度グラフからサーキット
の形を推測する。学んだことを実生活に生かす力を調べるのが狙いと
いう。従来の学力データは、学校で習った知識の量や計算力を調べた
ものが中心だった。思考力や分析力を測ろうとしたものは初めてだろ
う。教育改革のめざす「生きる力」とも重なる、興味深い調査であ
る。
 日本の平均得点は、数学的応用力がトップ、科学的応用力は2位、
読解力は8位だった。「知識偏重で応用が苦手のはずが、意外にでき
る」と感じた人は多いのではないか。文部科学省も「思ったよりよか
った」と喜んでいる。だが、この調査には限界もある。全日制の生徒
しか参加しておらず、15歳全体を対象にしたものではない。来年初
めには文科省が小中学生の大規模な学力テストをする。この国際調査
も参考に、学力を多角的な視点からとらえるよう工夫をこらしてほし
い。
 この種の調査は国別の順位に目を奪われがちだ。それより、他国と
比べて日本の生徒たちが異なる結果を示した点について、理由を考え
る方が意味があろう。例えば、自分の言葉で書かねばならない論述式
の問題で無回答の多さが目立つ。難しいと思うと、あきらめるのだろ
うか。
 得点の分布を見ると、下のレベルは少ない。できない子を引き上げ
ることに力を入れてきた成果だろうが、読解力などでは、ずば抜けて
できる生徒も少ない。日本の教育の良しあしを表すデータではある。
 深刻なのは勉強への意欲が際だって低いことだ。学力低下を問題視
する人も、それに反論する人も、心配する点である。「宿題や自分の
勉強をする時間」は調査参加国のビリだ。「どうしても読まなければ
ならない時しか、本は読まない」と答えた率は逆に高いのが気にかか
る。
 「良い成績をとって、有名校に進み、有名会社に勤める」ことを良
しとする価値観はとうに揺らいでいる。それに、情報社会では、学校
以外にも学ぶ場がどんどん広がっている。
 学習意欲を高めようと思うのなら、学ぶ面白さを伝えるのが正攻法
だろう。新しい指導要領に盛り込まれた「総合的な学習の時間」の意
義もそこにあったはずだ。「基礎基本の反復を」の声にかき消され、
出発点が忘れられていないだろうか。
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 私が最も注目したいのは今まで総合的な学習の時間に対して否定的
な論調であった同紙が,今回はやや論調がちがっていることです。
「学習意欲を高めようと思うのなら、学ぶ面白さを伝えるのが正攻法
だろう。」には,私も大賛成です。
 ある本の中に次のような医学部学生が登場します。
― すると教授は次のように言った。「神経症というのかなあ。人と
 目を合わせて話すことができないタイプです。頭のいい学生です。
 でも医師としてはねえ」私が記憶に残ったのは,人の目を見て話す
 ことができない,というだけでなく,学生の中に友人を見つけるこ
 とができないタイプだったという点だった。幼年期から塾に通い,
 人よりもよい成績を取ることを至上命令とし,そして進学に適した
 中高一貫教育の私立に進み,いわゆる偏差値の高い医学部に進んで
 くる。受験戦争に勝ってきた秀才ということにもなろうが,そのプ
 ロセスで他人と円滑に接することができなくなった,というマイナ
 スも背負い込んだのである。― 
 きっとこの学生は「学ぶ楽しさ」を知らないのでしょう。受験のた
めの学習からは「学ぶ楽しさ」は味わえないでしょう。
 鳴り物入りで始まった総合的な学習の時間が,昨今なぜこうも悪者
扱いされているのか。それはひとえに私たちが「学ぶ楽しさ」を味わ
える総合的な学習の時間を実践していないからではないでしょうか。
世間の目はそれほど甘くはないでしょう。
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[1]教育課程審議会答申,読んでみましたか?
 ―児童生徒の学習と教育課程の実施状況の評価のあり方について―
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 今,全国の教育関係者にとって,この答申は必読でしょう。これを
小冊子にして教職員に無料配布すべきだとさえ思っています。しかし
なかなか読めないというのが実態ではないでしょうか。
 私はこれを2度読みました。11.18(SUN) VOL.003の「私の読書法」
で紹介した読み方です。1回目は黒線を引きながら,2回目は朱線を
引きながら読みました。それでもまだしっかり理解できていません。
 今回,自分の勉強のためにも,黒線と朱線を引いた箇所を中心に、
3回目に取り組んでいます。
 この答申は4つの章からなっています。お忙しい方向けにプロット
だけを抜き書きてみました。これだけでも全体の姿が見えてきます。
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《児童生徒の学習と教育課程の実施状況の評価のあり方について》
はじめに
第1章 評価の機能とこれからの評価の基本的な考え方
 第1節 評価の機能と今後の課題
   1 評価の機能と役割
   2 評価の重要性の高まり
   3 評価の現状と今後の課題
 第2節 これからの評価の基本的な考え方
   1 学力と評価
   2 目標に準拠した評価及び個人内評価の重視
   3 指導と評価の一体化
   4 評価方法の工夫改善 
   5 学校全体としての評価の取り組み
第2章 指導要録の取り扱い
   1 指導要録の基本的な性格及び機能
   2 指導要録改善の基本方針
   3 小・中学校の指導要録
   4 高等学校の指導要録
   5 盲・聾・養護学校の指導要録
   6 指導要録の形式
   7 指導要録の開示の取り扱い
   8 高等学校入学者選抜の調査書の取り扱い
第3章 児童生徒の学習状況を客観的に評価するための方策
 第1節 児童生徒の学習状況の評価規準,評価方法等の研究開発
 第2節 全国的かつ総合的な学力調査の実施
   1 全国的かつ総合的な学力調査の必要性
   2 全国的かつ総合的な学力調査の実施方法
第4章 教育課程の実施状況等から見た学校の自己点検・自己評価の
   推進
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  目次のような感じになってしまいましたが,この中で関心を持っ
た項目があれば,一度ゆっくり読んでみてはいかがでしょうか。 
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[2]NHKスペシャル 21世紀 日本の課題 「学校を変える」
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 皆さん,ご覧になりましたか。第1回目は17日(土),2回目は
18日(日)に放送されました。NHKのHPから番組の解説を転載
します。
   ― 21世紀 日本の課題  学校を変える ―
  日本はさまざまな課題にどう向き合い、それを乗り越えていくの
 かを考える「21世紀・日本の課題」。
  シリーズ第2回のテーマは、「学校を変える」。
  いじめ、不登校、校内暴力、増え続ける学級崩壊・・・・・。
  今、教育に何が求められているのか?学校はどう変われば良いの
 か?深刻化する教育問題を2つの視点から考え、解決策を探る番組
 を放送する。
  一回目は、「教師の教育力」について、二回目は、各地の教育委
 員会などで始まった「公教育の構造改革」を取り上げる。
  来年度から始まる新学習指導要領では、教育内容や教科時間が大
 幅に削減される。文部省がこの20年間進めてきた「ゆとり教育の
 仕上げ」とも言われる新指導要領で懸念されているのは、子どもた
 ちの学力低下である。
 「ゆとり教育」の強調が、必要な指導も怠る多数の教師を生み出し
 ているのではないか?「ゆとり教育」が目指したはずの「自ら考え
 る力」の育成はおろか、日本の学校が誇ってきた「基礎・基本の徹
 底」すらおぼつかなくなっているのではないか?
  こうした危機感を持って、教師の「教育力」を向上させようと動
 き始めた学校が急増している。
  一方、文部科学省は、権限の多くを地方に移譲して、学校や教育
 委員会の自発的な取り組みを促し始めた。従来の「平等」から「競
 争」「選択」へと動き始めた教育現場。
  21世紀の公教育のあるべき姿とは何なのか?2回シリーズでお
 伝えする。
● 第1回 問われる教師の力
  教師の教育力を向上させるために何が必要か?この番組では、高
 い「教育力」を持つ2人の教師と、彼らの指導を受けながら、自分
 たちの授業を創りあげようと格闘を続ける教師集団の姿を追う。
  従来、日本の教師たちは、学習指導要領にのっとった授業を求め
 られてきた。「ゆとり」を強調し、学習内容を減らした学習指導要
 領が続いた結果、本来教え込むべきことにも躊躇(ちゅうちょ)し
 子どもたちに必要な学力を身につけられない教師、子どもたちの多
 様な関心に対応できず、学習意欲を引き出すことが出来ない教師。
  教師の「教育力」が問われている。
 「100日間で子どもを変える」というプロジェクトに取り組む京
 都の小学校。「基礎・基本」の徹底反復と「読み書き計算」を軸に
 した授業づくり、この取り組みにいま学校全体が挑戦し、教師の
 「教育力」を高めていこうとしている。
 「教科をなくした時間割」に取り組む横浜の小学校。学習意欲を引
 き出すため、時間割や教科の枠を取り払い、こどもの体験に根ざし
 た新しい授業を組み立てる。「教師は、創造者たれ!」をモットー
 に、教師相互の徹底した授業評価と議論で「教育力」の向上を目指
 す。
  子どもたちに本当に必要な学力は何か、どうすれば学力を向上さ
 せることができるのか、模索し悩む現場から、教師に今、何が求め
 られているのかを探る。
● 第2回 平等から競争へ
  戦後、公教育でタブー視されてきた「競争」や「選択」。シリー
 ズの二回目は、いま全国各地の教育委員会が、これまでの教育行政
 の枠を取り払って始めている「平等から競争・選択」へと変革を促
 す教育の構造改革を取り上げる。
  民間企業出身者を校長として採用し、徹底したマーケティングで
 保護者や生徒のニーズに応えようとする都立高校。
  さらに、外部の専門家を招き、独自の教育行政システムを作り上
 げた愛知県犬山市。
  東京・品川区では、特色ある学校作りを狙って2年前から「学校
 選択制」を始めている。選ばれる立場に立った学校は、保護者を惹
 きつけようと「習熟度学習」「小人数教育」「英語教育」などを導
 入し、特色づくりに奔走している。学校間の格差を容認してまでも
 学校を変えようと取り組む品川区の改革は、何をもたらすのか?改
 革は、本当に保護者の期待に応えるものになっていくのか?
 「学校を自分たちの手で変える」と大胆な改革を行う教育委員会、
 そして「競争」を始めた学校。民間の活力を導入し始めた公教育の
 現状と課題を描く。
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 ある高校教師の感想を紹介します。
― ショッキングでした。力量ある先輩教員が手間を惜しまず指導し
 てくれること。教員本人が問題に向かって本気で取り組んでいるこ
 と。そして、それに合わせて子どもが変わったこと。いかに自分が
 わかったつもりで思い上がっているか、と思いました。
  「子どもの目から見ているか」というような言葉がありました。
 見ているつもりでした。でも、違いました。番組が終わってからす
 ぐに、高校1年生の英語の教科書を開けました。つい数日前に研究
 授業をしたばかりの部分を見ました。その英文を初めて目にする生
 徒になったつもりで教科書を眺めました。「指導」案を書いている
 時とはまったく違って見えました。ショックでした。 ―

 私は土曜放送分は見損ねてしまいました。日曜分はしっかり見まし
た。品川区の例,賛否両論あると思いますが,私は「否」です。
 現在の学校がもっとも考えなければならないこと,それは「地域」
との共存でしょう。学区自由化は「住」と「学」の分断を招いてしま
います。この一つでじゅう分「否」の理由となるでしょう。
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[1]学ぶ者の論理に添った授業
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 ある雑誌に書かれていたことの要約です。いつも要約で申し訳あり
ませんが,著作権関連の問題がありますのでご了承ください。
【以下,要約】
 ○ 新教育課程では,実現していかなければならないいくつかのこ
   とが述べられている。その中でもっとも大事なのは「自ら学び,
  自ら考える」ということである。
   子どもの学びがそうなってはじめて,学んだことがその子のも
  のになり,結果的に個性が生き,「生きる力」が育まれる。
 ○ これまでの授業では教材はもちろん,解決すべき問題も教師が
  大事であると判断したものが子どもに与えられていた。与えられ
  た問題でり,しかも解決させられるのであれば,とりあえず何ら
  かの答が出たところで追究をやめてしまう。
 ○ 問題とすべきは,学習の始まりから結果まですべてを知ってい
  る教師が「学んだ者の論理」で子どもを歩ませようとすることで
  ある。
 ○ 未知の問題に向かう子どもたちは,本来紆余曲折し,時には停
  滞し,失敗し,不合理な経路を進むものである。これが個性であ
  る。
 ○ 授業が以上のような『学ぶ者の論理』に添って展開してはじめ
  て「子どもが自ら追究する」ことができ,「納得できる理解」が
  得られるのである。
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 私たちはどうしても「理解させること」を最優先させがちです。
「今日の算数は,これだけは何が何でも理解させなければ」という意
気込みで授業に臨みます。これはこれでいいことだと思います。
 しかし,これに終始するのもどうかと思います。私たちが期待する
のは子どもたちに「知識・理解」だけを身につけさせることではない
と思います。私は「学び方」,もっと言えば「学習技能」を育てたい
と思っています。
「学習技能」の中には,調べ方,まとめ方,発表の仕方など,さまざ
まな要素があります。有田氏は,これを「18の学習技能」としてま
とめておられます。
 新たな問題に直面したとき,自分で解決への見通しを立て,調べ方
がわかり,個性を生かした追究ができ,そしてまとめ,発表すること
ができる。私はこんな力を育てたいと考えています。
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[1]自在な学習集団その3   
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 前号,前々号に引き続き3回目の連載です。この話題に関して,ま
たしてもある教育雑誌の11月号に関連記事が掲載されていました。
簡単に紹介します。
【要 約】
  習熟度の違いに対応する授業として,3つのプランを考える。
 ●1つ目は「学級内での選択学習」
   一応の指導(例えば1単元)が完了した時点で,子どもたちの
  到達状況を把握する。未到達の子どものみに対して必要な補充指
  導を行う。〈実践校:愛知県緒川小〉
 ●2つ目は「学年内での習熟度別学習」
   学級の枠を外して,同一学年の子どもたちを習熟度別に分けて
  適切な指導を行う。〈実践校:沖縄県兼原小〉
 ●3つ目は「異学年間での子どもたちの習熟度に応じた学習」
   学年の枠を外して,個々の子どもの習熟度に応じて,マイペー
  スで学習に取り組む方法。〈実践校:愛知県緒川小〉
                 (日本女子大学:吉崎静夫)
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 本文のすべてを紹介できませんので,誤解を生むおそれがあります
が,基本的には以上の3つのプランを述べておられます。ただし,筆
者はこれを「基礎的学力を育てる場合」と限定しておられることを付
記しておきます。
 能力別学級編制にもつながる問題です。能力の低い子への対応をま
ちがえると大問題となりそうです。
 文科省は時代の要請に応えて少人数教育対応教員枠を設けていま
す。読者の皆さんの勤務校にも加配として配置されていることと思い
ます。どのように活用されているでしょうか。
 本校では高学年の算数で対応しています。学級を二分し,本人の希
望制で受講できる体制をとっています。学習内容は事前に発表してお
きます。もちろん学年通信などで保護者への周知を図ります。ここで
は詳細をご紹介できませんが,子どもたちにはなかなか好評です。
 いずれにしても,地域や家庭への十分な趣旨説明,そして協力が不
可欠であることだけは確かでしょう。
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[1]自在な学習集団その2   
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 前号でこの問題について少し触れました。その後読んだ本に,次の
ような記述がありました。
【筆者要約】
  絶対評価は相対評価と原理的にまったく異なるが故に,教育のあ
 り方そのものを変革する一つの契機となりうる。それは「学年制教
 育システム」を「無学年制教育システム」に変革することである。
  教育は同じ暦年令の子どもたちで構成される学級を単位として行
 われてきた。そこには「機会の平等」はあっても,「結果の平等」
 は見過ごされてきた。「機会の平等」という原則のもとに「分から
 なくてもそこに参加している」という不平等を生み出してきた。
 「学級集団」は暦年令集団であってよい。しかし教科学習について
 は別の「学習集団」を編制することが考えられる。すなわち,教科
 学習における「無学年制教育システム」の導入である。「結果の平
 等」に責任を持つ教育システムである。 (上智大学:加藤幸次)
…………………………………………………………………………………
 以下の記述は私が9月20日にメーリングリスト「授業開発研究G」
で発言した内容です。 
【日本の教育で明治以来代わっていないこと,それは「学級」「教科
書」そして「黒板」ではないでしょうか。では,最も変わってきたこ
と,それは「学習内容」でしょう。これについては指導要領の改訂と
いう形で,幾たびか世に送り出されてきました。しかし,学習の組織
(単位とか母体)や学習形態(教科書と黒板)は,ほとんど変わって
いません。特に学級とか学年という仕組みは不変と言っていいでしょ
う。このことについて考えてみたいと思います。
 新しい指導要領に示された学習内容(これは何度も変遷を重ねてき
た)をクリアするために,最も効果的な学習母体は学級や学年(これ
は変わっていない)なのでしょうか。
 極端にいえば(あくまでも例としてですが)苦手な教科のときは下
の学年へ,得意な学習は上の学年と一緒に,とか,総合などで同じよ
うな学習問題を持っているなら学年を問わずグループを作る,といっ
た例があってもよいのではないでしょうか。
 学習内容(目的)が変わってきているなら,学習母体(方法)が変
わるのはごく自然な成り行きだと思いますが。
 また,ちがった観点から見ると,複数の教師がその子の変容をとら
えるということがあります。担任一人が子どもを見ていくのではな
く,多くの教師の目で長期にわたって一人一人の評価をしていくので
す。子どもの側から言っても,朝から帰りまで年がら年中担任だけと
つきあうってこと,ある意味では不幸です。
 そういった意味からすぐに手をつけられそうなこととして「教科担
任制」を考えています。先日の会議でも提案しました。音楽や家庭科
のみの専科ではなく,主要4教科でも教科担任制を導入すべきだと
思っています。
 その際,学年内だけでなく,他学年の教師(例えば低中高グループ
として設定する)もメンバーとして考えます。場合によっては教頭や
教務主任が6年の算数に行ってもよいと思います。】
…………………………………………………………………………………
 今もそう思っています。加藤氏が言うように,私たち教師は結果に
責任を持たねばなりません。そのためにどんな方法があるか,様々な
角度から模索すべきです。そして可能性が見つけられたなら,次に以
下に実行していくかを考えるべきです。少しずつ障害を取り除き,で
きることがらやってみたいと考えます。地域・保護者との議論を重ね
ることも忘れてはなりません。
[1]教科の基礎基本とは
 基礎・基本とは?世間を騒がせています。このことに関して山極氏
が次のようなことを述べています。(玉川大学教授)
【〜前略〜 教科の特性によって若干の文言の違いはあるものの,基
  本的には「関心・意欲・態度」「思考・判断」「技能・表現」そ
 して「知識・理解」から成り立っているが,この4つの評価の観点
 は,各教科の目標から導き出された各教科の指導の観点でもあり,
 これらの観点から教育内容を見据えたものがその教科の基礎・基本
 である。
  そして,各教科におけるこの4つの観点は当該教科における基礎
 学力を構成する要素であり,この要素が総合されたものがその教科
 の基礎学力であると言える。〜以下略】
…………………………………………………………………………………
 なるほど,たいへん分かりやすい表現です。今まで,こうもはっき
り定義した文を読んだことはありません。
 山極氏はこの文に「各教科の基礎・基本を確実に身につけさせる」
という見出しを付けておられるように,「各教科の基礎・基本」であ
ろうと思われます。
 いうまでもなく「総合的な学習の時間」は教科ではありません。で
は,総合的な学習の時間での基礎・基本とはいったい何なのでしょう
か。
 私は,各教科の基礎・基本とは,やや見方が違うと思います。山極
氏がいうところの各教科で身につけた基礎・基本をどう使うか,言い
換えればどう使いこなすか,さらに言えば「書く力」「まとめる力」
「調べる力」「発表する力」といった技能ではないかと思います。そ
うです,これは有田氏のいう「18の学習技能」と同一の見方です。
[2]自在な学習集団
 さらに山極氏は次のように述べております。
【〜前略〜新学習指導要領においては,子どもの学習の習熟の程度に
  応じた指導など,個に応じた指導を重視しており,学習集団の編
 制も多様となる。そのためには学級の概念を変え,従前の学習集団
 と生活集団としての学級を目的に応じて区分し,各教科等の学習指
 導にあたっては,子どもの習熟の程度に応じた少人数からなる学習
 集団を編制し,基礎的・基本的な内容を確実に身につけさせるとと
 もに,習熟の程度の高い学習集団にあっては,基礎・基本の上に立
 った応用的で発展的な学習にまで踏み込むことは考えられる。
 〜後略〜】
…………………………………………………………………………………
 私は,この問題に関して以前メーリングリストで投げかけたことが
あります。「自在な学習集団」です。これは総合的な学習の時間では
既に行われているのです。問題意識別に小集団をつくって追究するな
どがそれです。私はこれを学年体制で学級を解体して実施しました。
 少人数対応教師が配当されている今日,算数の学習など,学級を解
体して習熟度別(この言葉が差別的であるなら,「問題意識別」)に
集団をつくり,それぞれの担任がそれぞれのグループを受け持てばよ
いわけです。