| 「 そ の 他 」 の コ ー ナ ー |
| 新教科書情報 ─ 算数で見る ─ Q−U式学級づくり 「力のある学校」の8つの要素:バスモデル もう一度考えてみたい……〈子ども中心〉〈自ら学ぶ〉ということば 「教えることの復権」 ─大村はま/苅谷剛彦・夏子:著 ちくま新書─ から 続編「トラブルの多い学級を立て直す秘訣!」 ─ 私の主張 その2「学級における様々な目標と評価活動」 ─ 「トラブルの多い学級を立て直す秘訣!」 ─ 私の主張 その2「学級における様々な目標と評価活動」 ─ トラブルの多い学級を立て直す秘訣! ─私の主張 その1「小集団活動を軸として学級づくりを進めてください」─ 【続編です】 トラブルの多い学級を立て直す秘訣!」 ─ 私の主張 その1「小集団活動を軸として学級づくりを進めてください」 ─ トラブルの多い学級を立て直す秘訣! ─ 学級づくり(特に学級活動)の実践を通して─ 学級づくり小話 これからの教科指導の重点を探る 京都ノートルダム女子大学教授 加藤 明 算数で育てる「表現力」とは何か 〜「活用型学力」につながる表現活動のコツ〜 筑波大学附属小学校教諭 田中博史 PISA型学力を習得させる授業 角屋重樹(広島大学大学院教授) キャリア教育の課題 渡辺三枝子 子どもの発達と行動の評価 桜井茂男 ― 特別支援教育の実践 山本淳一 ―人間力を育てるガイダンス・カウンセリング― 國分康孝 基礎的な教材とは? ― それは教師自身が創るもの ― 今こそ「学級活動」の充実を 調べたことを効果的にまとめる方法 「オリジナル事典作り」 子どもは「発表」させられている 日本教育新聞社教育セミナー2006 参加記録その4 日本教育新聞社教育セミナー2006 参加記録その3 日本教育新聞社教育セミナー2006 参加記録その2 日本教育新聞社教育セミナー2006 参加記録その1 「あんしんみまもり隊」 防犯で学校と地域を結ぶ 特別活動の重要性を再認識する 「甦れ,日本!」中山文科省大臣の教育改革案 日本教育新聞社主催 “教育セミナー中国2005”参加記録 “幼児教育充実へ” ― 文科省、30地域で支援事業 ― 第3の教育改革 ― 問われる教師の意識改革 ― 続“養護学校”から“総合養護学校”へ 若き教師の訴え “養護学校”から“総合養護学校”へ 若き教師の訴え 学校図書館の整備と読書活動の充実 人権教育の充実 “栄養教諭(仮称)”制度 「子どもたちの生活の様子」調査結果 くもん子ども研究所が調査 “指導要領”を読み解く もっと知ろう! ―特別支援教育 その2― 若い教師のレポートを分析します・・・・ もっと知ろう! ―特別支援教育 その1― 若い教師のレポートを分析します・・・・ 標準化学力テストの活用法 ―教研式CRTを例として― 私の勤務校での「習熟度別少人数学習」授業研究 問題です!“小1プロブレム” 教師のための“アサーション” 「教師の現象学―近未来の教師像」 マルチ批評家 小浜逸郎氏 「基礎・基本の学力」をもう一度考える 絶対評価で目指す「到達点」とは? 3氏の意見を紹介 授業を創る ― 授業をデザインする ― 吉崎静夫氏:デザイナーとしての教師と総合的な学習 もう一度考えてみたい……「子ども中心」「自ら学ぶ」ということば 〈教えることの復権〉―大村はま/苅谷剛彦・夏子:著 ちくま新書― から紹介 《特集》““指導要録”の記入の時期が来ました わかっているようで案外知らない「指導要録」 全国的に“おおむね良好”か? 公表された『平成13年度教育課程実施状況調査』の結果 イギリスの教育事情 キーワードは「教育水準向上 ナショナルカリキュラム」 戦後の指導要領の変遷 昭和22年,26年,33年,43年,52年,平成元年の改訂 講演記録「共生時代の学校づくりの課題」 〜 学校5日制・新学習指導要領の理念と現実 〜 藤田英典氏〈東京大学大学院教育学研究科教授〉 知っていますか?「教育特区」 これから求められる学力とは 筑波大:谷川彰英氏らのシンポジウム もう1度学力について考える 工藤氏,安彦氏,児島氏の主張 最新教育情報をお届けします ―愛知県犬山市で全学年30人以下学級― ―構造改革特区(教育特区)― 「はじめに子どもありき」の学習とは? 東京学芸大教授 平野朝久氏 文科省が“個に応じた指導に関する指導資料”を発表 「基礎学力」徹底の意義 「学力低下」の実態に迫る 東大教授苅谷氏 「少人数指導の実施にあたって」 東京学芸大 教授 児島邦宏氏 「新しい時代における教養教育の在り方について」 「義務教育に競争原理導入を」 「ちゅうでん教育振興助成」 募集中です! 「限られた時間を有効に使うコツ:同時並行処理能力」 「文部科学省視学官 嶋野道弘氏の講演から」 「日体大 中野重人氏の講演記録から」 「今,学ぶことが有用なり」 有田和正氏 「今,学び合う仲間がいますか」嶋野道弘氏 「子ども中心の教育とは?奈須正裕氏のおはなしから」 「教育と行政 どうなる教育の独立?」 「基礎・基本とは?」 遠山大臣の会見に思う 「説明責任 account-ability 精力的に学級通信を発行しよう」 「波紋呼ぶ遠山発言」 「学校のリデザイン チャータースクール制度の試み」 「授業を公開すること」 「勉強しない教師は ・・・・」 |
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| [1]新教科書情報 ─ 算数で見る ─ 来年度から使用される教科書について話を聞く機会を得た。 算数の研究会で講師からうかがった。 4年算数「面積の求め方のくふう」で紹介する。 【現行の教科書】 1,右のような図形があります。 (図形の角はア・イ・ウ・エ・オ・カで示されている。) ア:この図形の面積のいろいろな求め方を考えてみましょう。 〈みらいさんとあゆみさん,つばさくんがそれぞれ吹き出しで三者三様の考え方を示 している。〉 イ:辺の長さをはかって面積を求めましょう。 〈えんぴつ君「どの辺をはかれば求められるかな」〉 2,次の図形の面積をいろいろな考え方で求めましょう。 練習問題2題 【改訂教科書】 1,右の図形の面積のいろいろな求め方を,長方形の面積の公式を使って考え,説明しま しょう。 (図形の角はA・B・C・D・E・Fで示されている。) ア:みらいさんはどのように考えましたか。 〈みらいさんの考えが「たてに線を入れて2つの長方形に分けて求めます」と吹き 出しで示されている。〉 〈「長方形や正方形なら,面積はかんたんに求まるね」と「きっかけ」と称した囲 み記事がある。〉 イ:つばささんやあおいさんはどのように考えましたか。 〈つばさくんの考えが吹き出しで示されている。〉 〈あおいさんの考えが吹き出しで示されている。〉 〈「長方形や正方形」に分けたりつぎ足したりすれば,かんたんに計算できる ね。」と「ふりかえり」と称した囲み記事がある。〉 ウ:辺の長さをはかって,面積を求めましょう。 〈えんぴつ君「どの辺をはかれば求められますか。」〉 *「感想」と称した囲み記事で「長方形の面積の公式が使えるように,面積がないとこ ろをあると考えたあおいさんの考えはすばらしいです。」と書いてある。 2,次の図形の面積をいろいろな考え方で求めましょう。 練習問題2題 この問題ができた子に対して,〈「もっと練習→137ページ」〉と書いてある。 この違いに気づくだろうか? 一つずつ説明しよう。 ・まず,改訂教科書は授業の流れそのものが示されている。 従来教科書は大筋のみ。 改訂教科書では,この通り忠実に授業すれば,とりあえず授業は完成する。 ・図形がアルファベットで示されている。 ローマ字が3年生に移行したこと,英語教育充実の方針。 ・「考えてみましょう」が「説明しましょう」に変わった。 さらに「長方形の面積の公式を使って考え」と,考える視点が示された。手際よくとり かからせるため。 ・従来教科書は設問アで3人の考えを同時に扱っていたが,改訂教科書では,設問アでみ らいさんの考えだけを扱う。 まず,この考えでやってみよう,という意図から。 しかも,「たてに線を入れて2つの長方形に分けて求めます」と吹き出しで手がかりが 示されている。 ・改訂教科書では,次にイの設問で他の2人の考えを紹介して考えるようになっている。 「つばささんやあおいさんはどのように考えましたか。」と,他人の考えを説明させる ようにしている。説明させることで言語力の育成をねらった。 ・えんぴつくんの言葉が「どの辺をはかれば求められるかな」から「どの辺をはかれば求 められますか。」と,ていねいになっている。 これは教科書検定で「人権的配慮」「道徳的配慮」が求められていることへの対応策。 余談だが,他教科でもこのことは共通している。 例えば,国語の物語教材では主人公が男女半々になるように配慮された。 ・「長方形の面積の公式が使えるように,面積がないところをあると考えたあおいさんの 考えはすばらしいです。」という囲み記事は,ここまで気づかせたいという指導目標 (子どもにとっては学習目標)を示している。 ・新たに練習問題のあとに書いてある〈「もっと練習→137ページ」〉は,発展教材を 解くことを求めている。 未到達児への配慮だけでなく,到達児への対策が取り入れられ た。 ・登場する「みらい」「つばさ」「あおい」など,それぞれ級長や副級長などのキャラク ターで,いつも鋭い意見を言う子,とぼけた味があるが時々いい考えを言う子などに設 定されているそうだ。 誰がどんなキャラクターかお考えいただきたい。 ・練習問題は□番号,○番号,△番号などがあり,それぞれ設問の意図がちがっている。 重要問題,基本問題,新しい視点による問題と3種あるらしい。これもお考えいただき たい。 もう一つ別件。 活用力育成の観点から,すべての学年に「よみとる算数」のページが設けられた。 例えば2年生の例で言うと,遠足に行ったときの作文が1ページ分掲載され,それを読 み取って文書題を解くというもの。 文中から必要な情報をとりだし,その数値を使って考える。 これは言語力育成の観点でもある。 とにかく,実によく考えられている。 正直「すごい!」と思った。 中には「親切すぎる」と思われる方もいらっしゃるかも知れない。 しかし,今後の教員社会はどんどん若年化していく。 若い教師が増えてくる。 まずは教科書通り授業を進めることが大事である。 力量のある教師は,これを基にくふうした授業構想を立てればよい。 |
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| Q-U式学級づくり ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 「指導と評価大学講座」から,早稲田大学の河村先生の講義を紹介する。 ─ 理想の学級集団の構造 ─ 1 集団内の規律と共有された行動様式 →「ルールの確立」 2 集団内の子ども同士の良好な人間関係 役割交流だけではなく,感情交流も含まれた内面的なかかわりを含む親和的な人間関 係 →「リレーションの確立」 学級集団を「ルール」と「リレーション」の2つの側面からとらえる。 そして学級成員全員に両者の満足度,不満足度をアンケート調査する。 その結果により学級を5つのパターンに分類する。 ■満足型 ルール,リレーションともに満足な状態 ルールもリレーションともに良好 ■管理型 ルールは満足,リレーションは不満足 ルールを重視しているため,リレーションが不足している状態 ■なれ合い型 リレーションは満足,ルールは不満足 リレーションはある程度あるが,ルールが不足している状態 ■荒れ始め型 ルールもリレーションもバラバラ ルールもリレーションも不足し始めている状態 ■崩壊型 どちらも不満足 ルールもリレーションもない状態。 とても興味深い。 河村先生は学級集団アセスメントQ-Uの著者であり,Q-U式学級づくりでご活躍され ている。 知的好奇心を大いにくすぐられた。 さっそく,先生の著書 「学級づくりのためのQ-U入門 ─楽しい学校生活を送るためのアンケート活用ガイド─」 を注文した。 |
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| 「力のある学校」の8つの要素:バスモデル ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ おもしろいページを見つけた。 「力のある学校」の8つの要素 ─together 号─ その名も「トゥギャザー号」 1から8の英語をつなぐとtogetherとなる。 車の各部を「学校の力」にたとえ,8つの力が備わったとき,「力のある学校」ができ る。 とても興味深く,おもしろい。 1 エンジン 気持のそろった教師集団(Teachers) *チーム力を引き出すリーダーシップ……校長・教頭・ミドルリーダー * 信頼感にもとづくチームワーク……学校の組織力 * 学びあい育ち合う同僚性・・若手教員の育成 ○ 学校づくりの要は、まとまりのある教職員集団をいかに作り上げるかである。学 校が良くなるか悪くなるかは校長次第である。キーパーソンが学校には要る。 2 ハンドル・アクセル・ブレーキ 戦略的で柔軟な学校運営(Organization) *ビジョンと目標の共有……児童生徒及び地域や保護者の実態把握,自校の教育 課題の明確化 公立学校は走る地面を選べない。十分なガソリンが必要。 *柔軟で機動性に富んだ組織力……教育資源組み合わせ最適化、システム化 3 左前輪 豊かなつながりを生み出す生徒指導(Guidance) *一致した方針のもとでのきめ細かな指導……情報の共有とコーディネート *子どもをエンパワーする集団づくり……協働的な学び、子供の自治能力育成 4 右前輪 すべての子どもの学びを支える学習指導(Effective teaching) *多様な学びを促進する授業づくり *基礎学力定着のためのシステム……基礎学力保障のセーフティーネット 5 左後輪 ともに育つ地域・校種間連携 (Ties) *多彩な資源を生かした地域連携 *明確な目的をもった校種間連携……小中高連携 6 右後輪 双方向的な家庭とのかかわり(Home-school link) *家庭とのパートナーシップの推進……家庭訪問、日本の学校文化 *学習習慣の形成を促す働きかけ 7 内装(インテリア) 安心して学べる学校環境 (Environment) *安全で規律のある雰囲気 *学ぶ意欲を引き出す学習環境 8 外観(ボディ) 前向きで活動的な学校文化(Rich school culture) *誇りと責任感にねざす学校風土 *可能性をのばす幅広い教育活動 出典:「公立学校の底力」 大阪大学大学院人間科学研究科教授 志水宏吉 ちくま新書 詳細は以下を参照されたい。 イラストでうまくまとめられている。 http://www.bc9.jp/~machan62/schoolbusmodel.pdf |
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| もう一度考えてみたい……〈子ども中心〉〈自ら学ぶ〉ということば 「教えることの復権」 ─大村はま/苅谷剛彦・夏子:著 ちくま新書─ から紹介 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 見出しの「教えることの復権」,これは名著です。 一読をお勧めします。 印象深かった部分を紹介します。 「教えない教師が増えた」という苅谷氏と大村氏の主張には考えさせられる部分が数多 くあります。 「子ども中心」とか「自ら学ぶ」といった,目にも耳にも慣れきってしまったことば。 こういったことばの本質を今一度考えてみませんか? …………………………………………………………………………………………………… 知名度の高い苅谷氏の夫人は大村はま氏の教え子です。 その夫人と大村氏の対談が本書の大半を占めています。 内容は当時の「大村はま国語教室」の実践をふり返りながら,今後のあるべき授業像が 模索されています。そこからいくつか紹介します。 ● すでにできあがっている知識体系を,疑う余地も残さず,当たり前の顔をして教えて しまう。立派な知識のお城を前に,生徒は萎縮した未熟な存在にならざるを得ないとこ ろがある。〈ところが大村国語教室の授業では〉私はしゃんと背筋が伸びた気がした。 過去に知的遺産を築いた人々と同等の資格を持って,堂々と勉強を進める楽しさを教え られたのかもしれない。事実私たちは生意気とも思えるほど一人前の「学ぶ人たち」だ ったのではないだろうか。 ●〈今があなたの発言のチャンスでしょう,という合図をくださることがありました,と いう苅谷夫人の発言に対して〉 子どもたちには授けておいた発言の種がある。「今がそれを言うときだ」ということ を教えないとだめ。そしてその発言を大事に受け止める。これは意外に難しい。 ●〈本当に覚悟と実力がある先生が取り組まないと,ちょっと楽しそうだという程度のこ とで単元学習をしたらとても危ういという気がする。楽しいから誰も文句は言わないけ ど,終わってみたら何のための取り組みだったのかよくわからないというような,とい う夫人の発言に〉 単元学習には非常の教師の力がいる。この単元で目指すものはこれって決めて,そこ へ向かって具体的に手を尽くさなければならない。これはよさそうだ,これは楽しそう だなんてやっていたら学力低下になるのは決まっている。 ● 子どもがやりたいと言ったことをそのまま根拠にしてはだめ。人間やりたいことをや ることも大事だけど,やりたくないことでもやるべきならやるようでないと世の中困っ てしまう。子どもがやりたいと言うことももちろん大事にするけど,私はあまり気にし なかった。学習記録なんか子どもからやりたいなんて言うものじゃないです。でもはじ めからこれをやるものだという,堂々とした教師の姿勢,それが大事。教師は押しも押 されないような平安な気持ちで,やるべきことをまるでご飯を食べるみたいに当たり前 にやるみたいな気持ちで差し出すんです。 ● 私は今でも「静かにしなさい」と言うことがあるんです。ありますけども,他の人が 言うのと全然違うのです。心に冷たい涙を流し,慚愧に耐えない思いなのです。他に能 力がなくてこの人たちを静かにさせる案を持たなかったし,対策ができなかったから, 万策尽き果てて敗北の形で「静かにしなさい」と言うんです。自分の無力を心から恥じ て,その思いの中から仕方がないから「静かにしなさい」と言うんです。 ● 私が研究授業で見た光景です。子どもが先生に「○○はどうすればいいですか?」と 質問をしたとき,先生はその子の頭をなでながら「それはね,あなたのこのいい頭が考 えるのよ」と言いました。その後その子はすばらしい考えを出し,授業協議会では,大 変好評でしたが,でも私一人むっとしていました。それじゃあ何も教えていないでしょ う。私がやるんだったら「そうねえ,○○はどうかしら」「○○もいいかも」と,考え る焦点を3つほど出して「それはこのいい頭が考えるのよ」とやるでしょう。 ● 戦後の一番の失敗は「子どもから」ということだと思う。子どもの自由,子どもの個 性,子どもがやりたいということを熱心になってやりすぎたんでしょうね。ではこれを やりましょうというときに,その仕事を成功させるための努力が教師にできていない。 ● 先生は教えることをやめてしまった感じ。なにもしていない。何かをなさいという指 導案だけは立派でも,一つ一つの力がついているかというのは教師も自信がないのでは ないか。教える人がいない。させる人だけ。だから学ぶ喜びを知ることができないんじ ゃないかしらね。 ● 苅谷氏の意見を紹介して終わりとします。 自分の発想で自力で何かをする,それが一番いいことだという考えがすごく強調され しかも急速に広がりました。そのとき,学ぶ側がみんな自然にもともと豊かなものを持 っているという前提だと,ただ「やりなさい」でも大丈夫,ということになってしまう のかもしれないけど。でも実際は決してそんなことはない。そしてやはり教師の側から 考えると「ここまで到達してほしい」という目標がはっきりしていれば,教材として何 を提供するかということはある程度決まってくるはずですね。何でもいいというわけに はいかない。 |
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| 続編「トラブルの多い学級を立て直す秘訣!」 ─ 私の主張 その2「学級における様々な目標と評価活動」 ─ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 学級目標を例としてみます。 私が算数の授業に入っているクラスの前面に5枚の画用紙が掲示されています。 ・元気よくあいさつをしよう。 ・けんかをしない。 ・時間をまもろう。 ・だれにでもやさしくしよう。 ・ろうかを走らないようにしよう。 学級のめあてです。 算数は少人数指導で行っているので,クラスの半分の子が算数ルームへやってきます。 最近,算数ルームへ私が行くと,ちゃんと全員がそろっています。 「学級目標がきちんと守れているね」とほめます。 「ところで,他のことでも時間を守っている?」と聞くと, 「うん,ちゃんとまもっているよ」と返事ありました。 「だったら,教室の前にはってある紙,1枚はがしてもいいんじゃない?帰りの会で先 生といっしょに話し合ってみたら?」と話しました。 このクラスでは,学級目標をチェックするためのカードを作成するとか,帰りの会で自 己評価したり,学級全体で評価する機会は設けてありません。 だから,このように守れるようになっても,きちんと意識できないでいるのです。 みんなできるようになったのだから目標クリアです。 達成!です。 このようにして,1つ1つクリアして目標を減らしていくことが大事です。 達成感と次への意欲がわいてきます。 一つずつクリアして,あと3つ,あと2つ,あと1つ・・・。 やった〜,全部クリア! こんな体験をさせたいのです。 目標と評価は表裏一体,不可欠の関係です。 目標は立てても,評価活動をしない学級が多いような気がします。 これはどんな目標についても言えることです。 |
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| 「トラブルの多い学級を立て直す秘訣!」 ─ 私の主張 その2「学級における様々な目標と評価活動」 ─ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ どんな学級にも,目標があります。 それも様々な目標が。 やる気満々で目標を立てます。 しかし,その後はどうでしょうか? 掲示してあるだけになっていませんか? 評価していますか? 評価がなければどうでしょう。 子どもはそのうち目標を忘れ去ってしまいます。 目標は立てるだけではだめなんです。 立てた目標に責任を持たせなければ意味がないのです。 ○ 学級にはどんな目標があるでしょうか? ・学級目標 ・種々の学習目標 ・係の目標 ・きょうのめあて ・年間,前期(後期)の 個人目標 ・新年の個人目標 ・朝のかけ足の目標 ・読書の目標 ・その他 たくさんありますね! これらの目標,どう指導していますか? 大切なことは評価活動です。 次号から私の実践を詳しくご紹介します。 |
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| トラブルの多い学級を立て直す秘訣!」 ─私の主張 その1「小集団活動を軸として学級づくりを進めてください」─ 【続編です】 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ■係編制と所属のさせ方については,230号〜234号でお知らせしました。次回は, その続きとして「週活動サイクル」と「係活動発表会」についてお知らせします。 ──────────────────────────────────── ○ 活動計画をしっかり立てる ・常時活動と発展的活動(学級生活の向上を目指した活動) ・係間の全体の計画・調整も忘れずに。 ○ 活動時間の確保 ・朝の会や帰りの会を活用する。学級活動の時間を定期的にあてる。週活動計画を。 ・生活班と係を同一にすることのメリットを生かす。 ・放課時の活動はできるだけさけたい。 ─週活動サイクルの例─ ・朝の会 ┌───┬────┬────┬────┬──────┬───────────┐ │ │ 月 │ 火 │ 水 │ 木 │ 金 │ ├───┼────┼────┼────┼──────┼───────────┤ │朝の会│ 係連絡 │ 係連絡 │ 係連絡 │ 係連絡 │ 係発表会準備 │ ├───┼────┼────┼────┼──────┼───────────┤ │帰の会│活動時間│議題委会│議題委会│係発表会準備│ 活動時間 │ ├───┼────┼────┼────┼──────┼───────────┤ │学 活│ │ │ │ │係発表会・学級会を交互│ └───┴────┴────┴────┴──────┴───────────┘ ○ 係活動発表会を開く ・定期的に(学級活動の時間に隔週)実施 ・活動状況を発表しあい,質問や意見を受け,お互いに活動を高めていく。(相互評 価) ・最優秀係(もっとも学級の向上に尽くした係)を決めてもよい。 ・係発表会のプログラム 1 今,力を入れている仕事 3 みんなからの注文 2 みんなへのお願い 4 先生から *答えられない質問が出たりしたら,翌日の朝の会で回答するなど,責 任を持たせることが大事です。 ○ 評価は子どもサイドに立って 「あの係,楽しいことをやってくれてよかったね」 ・子どもの目で見る。実施したらまずほめる。 ・子どもたち同士の相互評価も忘れずに。 ・評価の視点は 「学級の向上に尽くせたか」 「学級のだれもが楽しさを味わえたか」 「係のメンバーみんなが活躍できたか」 「計画をきちんとたてて進められたか」 など。 ─評価方法─ ・朝や帰りの会での「係からの連絡」から ・新聞やポスターを使った広報活動から ・係活動発表会から〈メインとしたい〉 ・学級通信でこまめに保護者に活動状況を知らせ,意見や感想を受ける。 ・ほめることを中心とした評価をこまめにし,子どもの意欲の継続を図る。 ○ 生活班と係を同一組織に ・いつでもすぐに話し合いができる。 ・親密感,一体感を高める。(「家族」という呼び方) ・日直を週直にする。→ 班で担当する。 ・班(係)ノートの作成(意外と効果的) ○ 学級通信の活用…週1回の発行 ○ 活動環境の整備 ・空いたロッカーなどをそれぞれの係に割り当てる。また,菓子箱等の空き箱を用意 し,製作途中の掲示物などを入れる。 ・誰もが自由に使える油性ペン,はさみ,のり,セロテープなどを入れた道具箱を用 意する。 ・「学級会コーナー」「係コーナー」等,係が自由に使える掲示板を用意する。 ・いつまで掲示するかをはっきりさせておく。 ・活動を振り替えるカード(自己評価,相互評価)などで,子ども同士の心の交流を 図る工夫をする。 次回は ─私の主張その2 学級における様々な目標と評価活動─ です。 |
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| 「トラブルの多い学級を立て直す秘訣!」 ─ 私の主張 その1「小集団活動を軸として学級づくりを進めてください」 ─ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 学級内にはさまざまな小集団があります。 どんな小集団があるでしょうか? 生活班や係がすぐに頭に浮かびます。 しかし,実はそれだけではないのです。 例えば,学習を進める上で目的別につくられたグループ,山の学習や修学旅行のグルー プなど,いろいろありますね。 つまり,ある目的達成のために編制した2人以上の集団は,すべて小集団活動の対象に なるのです。 それぞれの小集団は目的意識を持って活動していますか? かけ声だけで,指導の手が入っていないのでは? 教師サイドの都合で進めていませんか? 子どもに目標と見通しを持たせ,計画的・継続的に取り組んで下さい。 とりわけ係活動の充実を! えっ?そんなことやってる時間なんてない,ですって? 担任がそんな構えだから子どもが育たないのです。 本気で取り組めば,確かに面倒で根気も必要です。 しかし,やれば必ず集団が変わります。 やっているうちにじわじわ,じわじわ学級が変わってきます。 やろうとしないことが,最大の問題点です。 何より担任の意識改革が必要です。 ■係編制と所属のさせ方については,230号〜234号でお知らせしました。次回は, その続きとして,具体的な活動「週活動サイクル」と「係活動発表会」についてお知ら せします。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ |
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| [1]「トラブルの多い学級を立て直す秘訣!」 ─ 学級づくり(特に学級活動)の実践を通して─ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ■ 何かしら学級が落ち着かない,まとまりがない,小さないざこざが絶えない,1日が 終わるとどっと疲れが出る。そんな学級担任が増えつつあるといいます。 なぜでしょう? 問題が頻発するクラスを担任することは,神様がくれたプレゼントです。 そういうクラスは担任したくても,そうそうできるものではありません。 得難い経験を通して,自分が大きく成長できるのです。 ですから,「よ〜っし,どう料理していこうかな〜」と長期作戦を練って,トラブル が起きるたびに「よし,このトラブルでまた一つクラスが育つぞ」と,わくわくするく らいの気持ちで取り組んでください。 そのためには,その子をとりまく人間関係を育てていく学級づくりが大切です。 そうすることでその子は自己存在感を味わい,自分の居場所を見つけることができる のです。 自分一人ではトラブルを起こそうにも起こしようがないのですから。 生徒指導志向の対応はその場しのぎでしかありません。 基本的な学級のルール作りとか人間関係づくりといった指導をきちんと行うこと。 こうした学級づくりができれば,大きなトラブルが起こりにくい学級の雰囲気ができ ます。 このことは,不登校や保健室通いなどにも大きな効果があります。 とにかく学級の人間関係を変えていくことです。 1人を変えるには集団を変えないとダメです。 1人は集団の中で他の子と関わりながら学校生活を送っているのですから。 ■ そして,もう一つ忘れてならないのが,家庭との連携です。 学校での出来事を率直に伝えるのです。注意したいことは,「○○でとてもがんばり ました」とか「○○がよくなってきました」といった「よい情報」を提供するのです。 「先生はうちの子のことを認めてくれている」という気持ちを持ってもらうこと,そ して何より本人がいい気分になります。 このことはその子の成長に大きく寄与するはずです。 保護者の理解が得られれば,思い切った指導も可能となります。 ■ 次号予告 私の主張その1 様々な目標とその評価活動を大切に |
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| 「学級づくり小話」 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 何かしら学級が落ち着かない。 小さないざこざがしょっちゅう起きる。 1日が終わるとどっと疲れが出る。 そんな学級担任が増えてきています。 私の教員生活35年を通して得たノウハウを少しずつ紹介したいと思います。 何と言っても大事なことは「学級づくり」です。 「学級づくり」・・・,わかっているようで,具体的に何なんだと言われると・・・? 今回は《学級目標》の巻です。 …………………………………………………………………………………………………… 教室の正面に学級目標が掲げてありますね。 「みんな仲よく」とか「みんなが主役」とか・・・。 でも,これは目標ではなく,級訓だと思うのです。 学校で言うと校訓です。 学校では,校訓を受けて教育目標があるはずです。 そして,新年度には,「今年度の重点目標」を設定するでしょう。 これには,具体的な項目がいくつか並んでいませんか。 勤務校の場合,以下の6項目あります。 ア 確かな学力の育成 イ 豊かな心の育成 ウ 健やかな体の育成 エ 教員の資質・能力の向上 オ 安心・安全な学校づくり カ 地域に信頼される開かれた学校づくり そして各項目に,それぞれ3〜5つの具体項目が並んでいます。 これを実現させるために,教職員一丸となって取り組んでいくのです。 学級目標もこれと同じで,級訓が達成されたときの姿を具体化させ,そこから目標を設 定するのです。 「誰もが主役」の学級とはどういう学級なのか? どんなことができれば「誰もが主役」の学級と言えるのか? これを年度当初に子どもたちと徹底的に話し合います。 きっといろいろなことが出てくると思います。 教師も学級成員の一員ですから,いっしょに考えるのです。 こうして決まったのが「学級目標」だと考えます。 次は,目標が決まってからのことを書きます。 今回は《学級目標》の巻,その2です。 …………………………………………………………………………………………………… 今夜は「学級目標が決まったあと,どうするのか?」についてです。 まず,学級目標をよく見えるところに掲示します。 具体例を挙げます。 「級訓」 ― いつもにこにこ 元気な子 ― 「学級目標」 ・みんな仲よくしよう ・いじめをなくそう ・元気よく返事をしよう ・明るいあいさつをしよう ・放課は外で元気よく遊ぼう 決めただけでは何もなりません。 常に子どもたちに意識させ,そして評価することが大事です。 学級目標の5項目をチェックできるようなカードを作成し,毎週金曜日の帰りの会で自 己評価,そして学級全体で評価する機会を設けます。 ◎○△の3段階がよいでしょう。 △がついた項目は,その子の次週の優先目標になります。 全員が◎評価をした項目はもう必要ありません。 みんなできるようになったのだから。 誰もがあいさつができるようになれば目標クリアです。 達成!です。 大いに賞賛しましょう。 1項目減るわけですが,子どもたちと相談して,新たに入れたい項目があれば入れても よいでしょう。 私的には増やさないで,ゼロにするようにさせたいです。 一つずつクリアして,あと3つ,あと2つ,あと1つ・・・。 やった〜,全部クリア! こんな体験をさせたいのです。 目標と評価は表裏一体,不可欠の関係です。 目標は立てても,評価活動をしない学級が多いような気がします。 これはどんな目標についても言えることです。 ではでは。 今回は《係活動》の巻,その1です。 …………………………………………………………………………………………………… 係活動は非常に大切な「小集団活動」です。 この活動を通して,子どもたちは実に様々なことを学びます。 文科省教科調査官:杉田洋氏が「5つの危惧」を指摘されています。 ────────────────────────────────────── 昨今のいじめや不登校などの社会問題化により,保護者も子どもも,そして教師も 「子どもたちの人間関係のトラブル」への過剰反応がみられ,これが集団生活や集団 活動への手かせ足かせになり,ひ弱な集団活動になっている側面がある。 具体的には, 1)人間関係のトラブルの子どもの安易な訴えと大人の即時介入 2)相手を責めたり,批判したりしない建前優先の話し合い活動や表面的な人間関 係 3)他者と競い合ったり,切磋琢磨したりする活動の低迷 4)人の先頭に立ち,リーダー役に挑戦したり,リーダーシップを発揮しようとし たりする意欲の減退 5)人間と人間が本気で関わる活動の衰退 などはその例である。 このような状況は,実生活の中で人間関係を学ばせようとする特別活動の衰退を招 く。 〈初等教育資料18年 度5月号〉 ────────────────────────────────────── この5つの危惧を快勝させるために,フル活用したいのが係活動なのです。 杉田氏も言われているように,いじめ,不登校や学級崩壊をはじめ,多くの学級内のト ラブルは,学級づくりが盤石であれば防ぐことが可能です。当然のことですね。 「学級づくり」とは,好ましい人間関係に基づいた望ましい集団活動が推進できること です。 「学級づくり」はすべての教育活動の基盤となるものであり,だれもが主役になれ,だ れもが自己存在感・自己有用感が感じられる学級をつくっていくことです。 そのために最も有効な小集団活動が係活動です。 詳しくは次回へ。 今回は《係活動》の巻,その2です。 …………………………………………………………………………………………………… 学級づくりの中核は係活動だと考えています。 ここでまず考えてほしいことは,係活 動と当番活動の違いはどこにあるのか?ということです。 当番活動は,学級運営のため に不可欠であり,誰もが経験した方がよい学級内の仕事です。 そうじ当番や給食当番,そして日直当番がこれですが,これらは定期的に交代して,学 級全員が経験していると思います。 係活動とは,学級生活の充実,向上のために必要な仕事を分担・処理していくための活 動で,ある程度の期間同じメンバーで,継続して分担していると思います。 係活動の大事なキーポイントは,「創意工夫」です。 係活動は,常時活動と発展的活動に分けて考えるのがいいと思います。 常時活動は,その名の通り,日常継続して行う活動です。 発展的活動は,別にやらなくてもいいのだけど,やると学級生活がいっそう充実すると いう活動です。 発展的活動をまとめてみます, ・学級を明るく楽しくしていくための仕事(係の目玉仕事) ・子どもたちのアイデアあふれる楽しい計画 ・それぞれの個の良さを発揮させる。個性を発揮させる場ととらえる。たとえば,絵を 描くのが得意な子はポスターづくり,作文が得意な子は宣伝文句づくり,花が好きな 子がいれば草花コンクール,〇〇が得意な子がいればその子を生かすために〇〇大会 を開く,といったように,だれもが主役になれる場を設定する。 発展的活動(楽しい目玉仕事)を,どの係も1回は実践したいものです。 次回は,係活動編制の基本についてお話しします。 今回は《係活動》の巻,その3です。 …………………………………………………………………………………………………… ■係活動編成の基本 学年 人 数 ね ら い 1年 1人1役から ・自分の仕事を確実にこなし,実践能力を養う。そしてや り遂げた充実感を味わわせる。〈自己有用感〉 2年 2〜3人1役 ・2人で相談しながら,力を合わせてやり遂げる。自分の 思いだけでなく,2人以上での話し合いや実践を経験さ せる。 3・4年 3〜4人 ・しだいに多人数での話し合いや協力体制を体験させる。 合わせてやり遂げる。多人数であればかなりのことがで きる。 ・学級に貢献した喜びを。もめることもあるだろうが,そ れがよい体験(社会力:好ましい人間関係)となる。 5・6年 5〜6人 ・さらに人数を増やし,本格的な小集団活動に取り組む。 数人で話し合い,分担・協力してやり遂げる。 ■ねらい ・自己の責任を果たすと同時に,学級生活の向上を目指す。 ・学級内の好ましい人間関係を育て,思いやりの心を育てる。 ・様々な活動への実践力(みんなで話し合って決め,みんなの力で実践する)を育 てる。 ・個性を発揮させ,集団の中で個を生かし,一人ひとりを育てる。 ■実践計画 ア 係の設定と所属の仕方 ・学級目標の実現に向かった積極的な設定の仕方。(学級目標の実現に向けた係組 織) ・個を生かす,個性が発揮できるような係活動とする。 ・魅力あるネーミング イ 活動しやすい組織作り ・弾力的に。不具合が生じたらいつでも話し合って改組していけるように。 ウ 活動計画をしっかり立てる ・常時活動と発展的活動(学級生活の向上を目指した活動) ・係間の全体の計画・調整も忘れずに。 エ 活動時間の確保 ・週活動計画サイクルを決める。週1回の学級会活動や朝の会や帰りの会を活用す る。 ・生活班と係を同一にすることのメリットを生かす。 ・放課時の活動はできるだけさけたい。 以上は,私の実践の概要です。 次回は,これらについて,具体的なこぼれ話を紹介します。 今回は《係活動》の巻,その4です。 …………………………………………………………………………………………………… ◆ 係活動の編制と所属のさせ方 ○ どんな係をつくるか 係活動とは,学級生活の充実,向上のために必要な仕事を分担・処理していくた めの活動です。そして,ある程度の期間同じメンバーで,継続して分担していくも のです。 このことを子どもたちによく理解させ,どんな係が必要か子どもたちといっしょ に考えます。 ここでいう「学級生活の充実,向上」の内容は,学級目標達成を十分に意識して ください。セットで実践するとたいへん効果的です。 ○ 係組織の決定 ここでは,仮に「新聞係」「保健係」「図書係」「レクレーション係」「体育係」 「飼育・栽培係」の6つの係ができたとします。 ○ 所属の決定 私は生活班と係を同一としていました。つまり,生活班で係を受け持つのです。 生活班(だいたい5〜6人)は6つでした。 当然,席は集まっています。 この班でどの係を担当するか話し合います。 その結果,次のようになったとします。 1班:飼育・栽培係 2班:新聞係 3班:保健係 4班:図書係 5班:レクレーション係 6班:レクレーション係 さあ,レクレーション係が重複してしまいました。 皆さんはどうしますか? 今夜はここまでとします。 次回,私のとった方法をご紹介します。 さて,前回の続きです。 > 1班:飼育・栽培係 2班:新聞係 3班:保健係 4班:図書係 > 5班:レクレーション係 6班:レクレーション係 > さあ,レクレーション係が重複してしまいました。 > 皆さんはどうしますか? 私は,希望通りそのままやらせました。 つまり,レクレーション係が2つ存在するのです。 ということは,体育係がありません。 何はともあれ,活動をスタートさせるのです。 じゃんけんか多数決で決めるものと思っていた子どもたちは,「えっ?」という顔を しています。 子どもたちの常識を覆すやり方です。 とにかく,この体制で活動をスタートさせます。 それぞれの係が「常時活動」は当然のこと,「発展的活動」の計画を立てていきます。 1ヶ月もすると,子どもたちから「先生,レクレーション係は2つもいらないよ」と いう声が上がってきます。 また,「先生,体育係があった方がいいよ」という声も上がります。 (上がってこない場合は,そういう声が上がるように,私がときどき声かけをするの です。たとえば,「体育係がないから不便だなあ」「レク係がやっている活動, よく似ているなあ」など) そういう声が出たところで,もう一度学級会を開きます。 そして,係組織について,今までの経験を踏まえた上で,じっくり話し合いをします。 ついでに,それぞれの係のふり返りもします。 こうして改善した組織は,その後とても順調に動いていきました。 |
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| ■これからの教科指導の重点を探る 京都ノートルダム女子大学教授 加藤 明 先生 ………………………………………………………………………………………………………… 1 教育課程とは ○学校教育のもっとも大事な柱 ・卒業証書や修了証書に「小学校の(第○学年の)教育課程を修了」と書かれている ことからも明らか。 ○学校の教育課程はどうなっているか ・基本的には学習指導要領の目次がそれを表している。 ・実際には単元を単位として実施。単元の実施を積み重ねて学期になり,学年にな り,それがカリキ ュラムになる。 ・年間指導計画の意味合い…どういう力をつけるか,どんな活動を,どんな順番で展 開するか,という見通し ・実践にあたっては,目の前の子どもに応じてどう創造的に構成していくか,教師の 専門性の根拠となる。 2 単元指導計画に組み込むべき9つの要素 1)レディネスのチェックとその養成のためのプログラム レディネスをチェックし,足りないときはその力を補うプログラムを単元計画の 中に組み込む。 2)目標を評価からとらえ直して,導き出した評価規準とその確かめ どういう力をつけたいかということ。4つの観点からバランスのとれた学力 3)効果的な揺さぶりによる動機付けと単元終了後の広がりや高まりを奨励するため の呼びかけ 導入で揺さぶって高まった関心・意欲・態度を,展開のプロセスでもっと高ま っていくような工夫を。また,終了後に「もっと続けてやりたい」と思わせる広 がりや深まりを。 4)失敗や遠回りもよしとする主体的な追究の場 ここはたっぷり考えさせたいという場を。このような主体的な追究活動の場を 1単元を単位として位置づける。 5)目標実現のくさびとなる効果的な体験活動の設定 根っこのない上っ面の知識・理解を避けるため。 6)的確な発問と練り上げによる高まり合い 子どもの思考が深まっていくような手立てを準備。 7)効果的な板書によるまとめと共有化 ある付属小の発表会で,授業前日に実際に板書をして,教科の担当者どうして 見合っていた。 8)ドリルによる習熟と定着 「ここは考えさせるところ」「ここは引っ込んで子どもに任せるところ」「こ の大事なことは習熟させる」「うまくいったかどうかテストでみて教え直しをし ていく」 9)形成的テストと補充学習または発展学習 目標分析から明らかにした目標を評価からとらえ直し,それを評価問題として テストを作成する能力が求められる。私たちがやった仕事は成果があったか。 3 教材研究とは ・教科としての価値,意義を明らかにする。 ・どうしてこの教科でこういう単元の内容を教えないといけないのか,教師が把握す る。 ・前の学年のどこからつながって,次の学年のどこに行くのか,少なくとも前後3年 くらいの関連単元について知っておくべき。 ・「なぜ5年生で割合を教えるのか」「5年生の割合の単元は4年生の割り算とどこ が違うのか」「その後どういう形で6年生あるいはそれ以上につながっていくの か」「子どもたちの生活にどういう意味があるのか」…教えるだけの意義があるこ とを納得しておくことが必要。 |
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| ■ 算数で育てる「表現力」とは何か 〜「活用型学力」につながる表現活動のコツ〜 筑波大学附属小学校教諭 田中博史 先生 ………………………………………………………………………………………………………… 1 表現力が育つ授業 ○友達の話を聞き取り,再現する力を育てること。 理解するということ→自分で聞き取った情報を自分なりに再現できること →授業の中で小刻みに再現活動を取り入れること ○自分の考えたことを説明する力 一通りではなく複数の説明力を持たないとなかなか伝わらない。 →なかなか伝わらないことを体験させたときに初めて説明力が 育つ。 ○抽象的な算数の表現ツールを使いこなす土台として,子どものイメージ力育成 説明のための道具として図や式,グラフ,操作などを使いこなすこと。 →抽象表現の方法を早い時期から使わせるのではなく,自分の 言葉や絵 など,具体化の活動を通してから道具を使わせる こと。 ○式,図,グラフ,操作など算数の抽象表現方法と自分の言葉による具体的な表現力を リンクさせていく力を育てること 式を読んだり,図を読んだり,またその逆の活動を取り入れるなどして,各表現方 法の相互の関係を意識させること。 ○着目したい「語りはじめの言葉」 ・「もしも・・・・」 場面を仮定したり,条件を変えたりして吟味していくときに使う言葉(一般化, 統合化につながる言葉) ・「たとえば・・・・」 具体的な例を挙げて自分のわかり方を表現しようとするときに使う言葉 ・「だったら・・・・」 活動の先を自ら想起し,発展的に動こうとするときの言葉 ・「だって,でも・・・・」 反例をあげて反証しようとするときの言葉 子どもたちはつたない言葉を用いた表現を繰り返すことで新しい内容を自分の理解 できるものに置き換えていく。「わかる」とは,自分の中で具体的に何か別の説明 に置き換えることができること。 2 新指導要領のキーワードにみる新たな課題 ○「活用型学力」 ・覚えるのではなく「使う」ことが前提。繰り返し使いながら育てる。 ○「スパイラル学習」 ・単に繰り返し学習を行うことではない。…計算力はあるが応力がないという現実 ・指導者には,徐々に育てていくというゆったりとした構えが必要 ・基礎が定着していないと応用問題にすすめないという教師の思い込み→その場でわ からなくても,その先の学習をしながら振り返った時にわかってくるという習得の 仕方もある。 ・学習方法の順序性にも問い直しを求めているキーワード ・スパイラルに物事を学んでいれば,その繰り返しの学習の中で,ものの見方が多様 な視点で広がる。 |
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| ──────────────────────────────────────── ◇ PISA型学力を習得させる授業 角屋重樹(広島大学大学院教授) ──────────────────────────────────────── 1 改正「学校教育法」……学習指導要領の根拠となる法律 ┌──────────────────────────────────────┐ │ 基礎的な知識及び技能を習得させるとともに,これらを活用して課題を解決するた│ │めに必要な思考力,判断力,表現力その他の能力をはぐくみ,主体的な学習に取り組│ │む態度を養うことにとくに意を用いなければならない。 │ │ 〈第30条2項,49条,62条等〉│ └──────────────────────────────────────┘ 新学習指導要領の目標は,次の3点 1)基礎基本の学力 2) 1)を活用する能力 3)学習意欲の向上 ・2)は1)を使って,どう解釈するか,どう表現(伝える)か ・3)は目標を決めて,方法を考え,見通しをもって実行,そしてふり返り,高めてい く。 2 基礎的・基本的な知識や技能の習得 ・繰り返し学習の効果 低学年:ほめることで意欲が続く。 ・中高学年:続ければ続けるほど「何でこんなことをするの?」という意識を持つよ うになる。 ・単なる操作になっている。子どもは興味・関心を示さない。 ・目標を持たせる→方法を考案→実践→ふり返る→自信(自分の知識や技能が広が り,深まることを実感) ・どんな目標を設定するか?教師とともに個に応じた工夫を。 ■学習指導の改善点1 基礎的・基本的な知識や技能を習得させるためには,子どもが自分で目標を設定し, 計画,実行し,活動をふり返るという力をつけるようにする。 3 PISA型読解力の育成 ・全国学力調査やPISA調査における「白紙回答」の多さ ・「思考力」「表現力」など,従来から言われ続けてきたこと。 →なぜ効果が上げられていないか? それは,そのためのメソッドが開発されてこなかったから。 基礎基本習得のためのメソッドは多く開発されてきた。 ・PISA型読解力……1.情報取り出し→2.解釈→3.熟考・評価 ・教師集団は,新しいことばや概念が示されると,すぐそれに飛びつき,過去の財産 (積み重ねてきた実績)をすぐに捨ててしまう。 ・過去の財産を生かす方法で。例:今までの問題解決学習にPISA型読解力を付加する 試み。 (1)PISA型読解力と問題解決過程 ア 「情報の取り出し場面」での教師の働きかけ〈事例―5年理科「植物の生長」〉 ○枯れたヘチマと生長していくヘチマを提示 ・視点をもってくらべる。違いに気づかせる。 ・両極端を示すと効果的。社会であれば「新潟と高知の気温・降水量のグラフ」 ・算数であれば「昨日の解き方とちがうぞ」国語「題から想像してあらすじをつく ってみる」 ・子ども自らが問題を取り出す。 1)「ちがいは?」 ・見つけられない子には視点をしめす。「○○に目をつけてごらん」 2)「何がどのように?」 ・主語と述語を明確にさせて答える。 ・「右側のヘチマが生長している」「左側のヘチマは枯れている」 3)「何がどのようにちがうのか?」 ・「右側のヘチマは生長しているが,左側のヘチマは枯れている。なぜだろ う?」 *考える授業→「よく考えてごらん」をよく耳にする。「考える」時間をとるだけで は何も指導していないのと同じ。考える方法の指導を。 *以上のサイクルを7月まで徹底的に指導する。 *言語活動の充実→「なに」が「どうなった」。それは「なぜだろう」 *主語と述語がなくても会話が成立する昨今→学校でも同じ(教師も子どもも) 「主語」「述語」をはっきりさせて会話したり,書いたりする訓練を。 ■学習指導の改善点2 情報の取り出しという力をつけるためには,子どもが事象の中から違いを見いだす力 をつけるようにする イ 「解釈の場面」での教師の働きかけ ○仮説(予想)を立てる 1)「何がそのようにさせているのかな?」 →単に「なぜ?」ではなく,考えるポイントを与える。 2)「今まで習ったことでそれに関係あることはないかな?」 「2年生の時,アサガオをどうやって育てた?」 →考える足場を与える。 →「アサガオを育てたとき,水や肥料,日光が大切だということを習った」 「水がヘチマの生長に関係するのではないか」「肥料がヘチマの生長に関係す るのではないか」「日光がヘチマの生長に関係するのではないか」 3)「ヘチマが枯れるか生長するかの違いは,水や肥料,日光に関係があるのではな いかというように整理できるよね」 *新学習指導要領は「縦の系列(発達段階ごとの)」が整理されている。したがっ て,過去に身につけた学力が使いやすくなっている。 *学年を意識した縦の系列を意識した指導計画を立てる必要がある。 *これが「考える力」「活用する力」のデータベースとなる。 ○仮説の検証方法の立案 1)「仮説(予想)が正しいかどうかどうやって調べるの?」 「今までに習った方法で調べられないかな?」 2)「予想した結果をどのように表すのか考えよう」 →図表を多用する。的確に短くまとめる。 ■学習指導の改善点3 子どもに「解釈」としての仮説などの見通しやその解決方法を発想させるには,既有 の知識を類推などを適用して発想する手がかりを提供する。 ウ 「熟考の場面」での教師の働きかけ ○結果の考察 1)「どんな結果が得られた?」 2)「この結果と仮説(予想)をくらべてみるとどんなことが言えるかな?」 ■学習指導の改善点4 子どもに熟考させる場合には,見通しや予想と実行結果との関係から,一致または不 一致という視点で判断する手がかりを提供する。 エ 「評価の場面」での教師の働きかけ 1)「今日学んだことはどのように整理するのかな?」 2)「何が解決できて,何がまだ解決できていないのかな?」 ■学習指導の改善点5 子どもに評価させる場合には,知識や技能,それらを得る手続きとともに,これから 追究する課題を明確にする。 |
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| キャリア教育の課題 渡辺三枝子(筑波大学教授,文科省キャリア教育審査委員) ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 1 なぜキャリア教育が導入されたか (1)直接的原因 ・ 子どもたちの社会性が育っているか? 今行っている教育を見直す。 「自立して社会の一員として生きる能力」 ・ 若者の離転職率の増加……フリーター,ニート 学校から社会への移行困難 ・ 社会と乖離する学校教育への批判……産業・労働界の教育界への要請 (2)間接的原因 ・ 若者の生育環境の変化……昔の子どもとはちがう。社会性の欠如 ・ 社会全般が直面する変革期……子どもたちの生育環境の変化 ・ 自己責任の問われる社会への移行 (3)問題対処型思考への反省 ・後追い指導……本来の教育の意義・重要性に立ち返る必要性への警鐘 2 キャリア教育とは (1)教育改革の理念 ・ 教育全般の「見直しの視点」 社会に出てからの適応のための学校教育を見直し,意味づける→今までの教育に 付加価値を。 ・ キャリアについての教育ではない ・ 新たな教育活動ではない→現在の教育課程の中に盛り込んでいく。+α (2)「生きていく力」を育てる教育 ・ 進路指導や職業指導との違い→自分で進路を決める指導やその職に就くための学 習ではない。 ・ 学ぶ意欲,働く意欲との関連→将来働く,ということを前提とした人間教育(生 涯学習) ・ 可能性のある子を育てる→未来が開けている。自己存在感・自己肯定感・自己有 用感 (3)4つの能力の提案……これを日々の指導の中で意識することが大切 ・ 人間関係形成能力……自他の理解能力/コミュニケーション能力 ・ 情報活用能力……情報収集・探索能力/職業理解能力 ・ 将来設計能力……役割把握・理解能力/計画実行能力 ・ 意思決定能力……選択能力/課題解決能力 (4)教師の理解と実践能力にかかっている。 3 キャリア教育の現状 (1)キャリアスタートウイーク(1週間の職場体験学習)の導入の功罪 ・ これをやればキャリア教育をやったという勘違い (2)企業家教育,職業教育,市民性教育との関係と混乱 ・ 企業ベースの諸活動……日常の教育にどう役立てるか?普段できないことを体験 してみた, だけで終わっていないか。 (3)特定のゲームと結びつけたがる専門家の増加……ゲームを通して (4)進路指導軽視とその関係づけが不明瞭な現状 4 キャリア教育の成果 3年間の実践校の掲げた成果 ・ 教育の原点に戻れた ・ 教師集団のまとまりの強化 ・ 日常の教育の価値,カリキュラム改善の再認識 ・ 組織としての学校づくり ・ 地域との連携の強化 5 キャリア教育を成功させる鍵は何か (1)全教師の理解が土台 ・ 発達段階を考えた同じレベルの指導を。 ・ 管理職の役割……教師集団を一つにまとめ上げる。 (2)教師の基本的教育力の向上 ・ 今が未来の土台……今もキャリア。未来に向けて最高に生きる。 ・ 柔軟な態度 ・ 観察力 ・ コミュニケーション力 ・ 意思決定力 ・ 情報活用力 (3)地域・保護者との協力体制 6 学校に求められている課題 社会人・職業人として自立した社会の形成者の育成の観点から ・ 学校の学習と社会とを関連づけた教育 ・ 生涯にわたって学び続ける意欲 ・ 社会人,職業人としての基礎的な資質と能力 ・ 自然体験,社会体験の充実 ・ 発達に応じた指導の継続性 ・ 家庭や地域と連携した教育 〈参考文献:文部科学省「キャリア教育推進の手引き」2006〉 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ |
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| ― 子どもの発達と行動の評価 ― 桜井茂男(筑波大学教授) ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 1 発達とともに等身大の自信を持つようになるのか (1)幼児期 ・ 自己万能観をもっている。どんなことにも果敢に挑戦できるすごい時期。 (2)小学校時代以降 ・ 周囲に子どもと比較する(される)ことによって,徐々に等身大の自信を持つよ うになる。 ・ できること,できないことを認識するようになる。それが個性になっていく。身 の程を知る時期 ・ 他人と比較……上方比較(劣等感や苦手意識を持つ) 下方比較(自信・やればできる) (3)何が問題なのか ・ 自分を客観的に見つめることができているか?等身大の自信を持つ成長を遂げて いるか? ・ 自信過剰な子や自信が持てない子 ・ 「やればできる」と言われて育ってきた。実際にやってみるとできないのではな いかという不安があるため,やらない。したがって,いつまでも幻想の世界に生き ている。 ・ ほんとうの自分がわからない。将来が見通せない。 (4)どうすればよいか ・ 自分を見つめる機会をつくる。 ・ 高学年になったら厳しい評価も必要。本来なら高学年くらいになると,自分の力 を客観的に評価したいという気持ちを持つ。 ・ 「やればできる」という言葉には注意が必要。実際には「やってもできない」こ との方が多い。ほんとうにできると思えることならよいが,その子の状況を理解し ないで言葉をかけるものではない。 ・ 「やればできる」という状況を整えることも必要。そして子どもが全力を出し切 れるようなサポートも必要。 ・ 誰にでもできないことはあるんだ,ということを知らせたい。 2 キャリア発達と学習意欲との関係はどうなっているのか (1)幼児期 ・ 知的好奇心が旺盛 2〜3歳:拡散的好奇心(何でも知りたい,やってみたい) 4〜5歳:特殊的好奇心(自分にとって興味深いことを追求) ・ 成長とともに得意と苦手が出はじめ,ただ単におもしろいこと,楽しいことをす るだけのことであり,おもしろくないことや楽しくないことはしない。 ・ 親の承認を求める。 うまくできると「ママ,できたよ」と言って,認めてもらおうとする。ほめれば もっとむずかしいことに挑戦する。 ・ 人の手を借りないでやろうとする。 手伝おうとすると「自分でやる」……自立の芽生え (2)小学校時代(小4くらいまで) ・ 他者よりもできるようになりたいという達成欲求(優越欲求)が高まる。 友だちとの競争によって自分が優れていることを示そうとする。 ・ 個人内の比較ではなく,他者との比較(個人間比較)によって相対的に判断しよ うとする。 ・ 他者よりも劣っているという無能感を味わう時期。支援が必要。個人内評価。 ・ 夢の実現に向けてがんばる時期。夢は次々に変わることが多い。周囲にモデルの いることも多い。 ・ 学習習慣を形成する好期。宿題などで机に向かう習慣づけ。 (3)中学校時代以降 ・ 認識能力(知的能力:主に記憶力と思考力)が発達する。 自分というものを深く考えるようになり,どんな職業に就きたいのか考えるよう になる。 幼児期からの経験により,自分が興味あること(特殊的好奇心)や自分の得意な こと(成功経験)が自覚でき,苦手なことも受容できるようになる。 ・ 自己評価活動ができるようになる。自分で先を見通せる。 ・ 実現可能な目標(職業:自分にとって興味あることで,しかも得意なことの延長 線上)に向けてがんばろうとする。苦手なことでも目標達成のためなら自発的に取 り組むことができる。 ・ 社会のためになることをしたいという思いが強くなる時期。 幼児期に母親に愛された子は,愛する母親のために何かをしたいという思いにな る。そして母親と仲良くしている人,母親同然自分を大切に扱ってくれる人も愛す るようになり,この人たちに何かしてあげたいと思うようになる。 ・ こういった思いが一般化してくると,一般の他者に対しても何かしてあげたいと 思うようになってくる。 (4)どのような対応が効果的か ・ 幼児期:子どもの好きなことを十分体験させる/親や保育者は子どもの才能を見 いだし,それを言語化してあげる。 ・ 小学校時代:がんばることの重要性を教える/誰にでもできることとできないこ とがあることを伝える ・ 中学校以降:自分のこれまでをふり返り,将来を展望する時間を用意する/人生 の目標を持つことを援助する/目標の達成と社会との関係について考える時間を持 たせる * 次号は最終回です。 ― キャリア教育の課題 ― 渡辺三枝子(筑波大学教授) ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ |
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| ― 特別支援教育の実践 ― 山本淳一(慶応大学教授,臨床心理士) ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 山本先生の著書を2冊紹介します。私も購入しましたが,とてもわかりやすく,初心者 にはもってこいの書物です。 ■「できる!をのばす行動と学習の支援」 山本淳一・池田聡子:著 日本標準:刊 ¥2,000(税別) ■「応用行動分析で特別支援教育が変わる」 山本淳一・池田聡子:著 図書文化社:刊 ¥2,400(税別) ………………………………………………………………………………………………… 1 特別支援教育をどう進めるか? (1)特別支援教育は一般の教育の延長線上にある。 ・「当たり前のことが当たり前でない」という前提 例:「服を着替えて,すぐに体育館へ行きなさい」という指示 A君:すぐに体育館へ走っていった。 B君:着替えないでぶらぶらと体育館へ行く。 C君:何もしないでぐずぐずしている。 D君:先生の大きな声にびっくりして耳を覆っている。 E君:「いあえて,あいいくあんへいいなあい」子音が聞き取りにくい。 *すべてその子にとって「当たり前」 ・ どの学級でも6.3%の子が「気になる子」 脳の微細な障害が原因…このことを受け入れて指導方法を工夫する必要がある。 しかって改善されることはまずないと考える。→モグラたたき的対応 ・ 個別な教育配慮が必要な子どもの特徴にあわせた教育環境の整備を。 例:1ヶ月のスケジュールや今日1日の予定が書かれている。 急な予定変更があった場合,黒板にきちんと明示する。 *変更前と変更後がわかるように。 例:学校での大切なことが書かれたノートを渡す。チェックリスト形式になってい る。ことばでほめるより,目で見える形でほめる。○をつけるとかシールを貼 るなど。 ・ 個別に対応できる工夫,校内での人材育成を。 (2)担任がする指導の工夫 ・ その子の持つ「よい行動」を増やす。増やせる環境をつくる。 例:ADHD(前頭葉不全)座っていられない,しかられてばかり,しかられてもやめ られない。指導を切り替える→よい行動を意識的に見つけてほめる,という方 向。活躍できる場をつくる。プリントを集めたり配ったりする係を。できたら ほめる。シール作戦。 ・ 環境を整える。 認知面,行動面で苦手意識を持つ子 →「適切な行動」が学習できるような教育支援環境をつくることで獲得できる。 そういう環境を意識的につくらないと「不適切な行動」のみを学習してしま い,悪循環(しかられる体験の繰り返し)が生み出される。 ・ 予防的対応と早期対応 問題行動が長期にわたり,重積化,複雑化するとちょっとやそっとでは……。 2 応用行動分析による教育支援 (1)応用行動分析とは ・ 適切な行動を増やすには適切な「刺激」を与えなければならない。 〈先行刺激:行動前の刺激〉行動の先に存在し,行動のきっかけとなる。 見通しがもてる場面設定・視覚中心(言い聞かせるのではなく) ・明確なルール (事前に了承させる)・制御しやすい教室環境 〈後続刺激:行動後の刺激〉行動の結果,その後に引き続き存在する。 やりたいことができた・注目が得られた・楽しい経験ができた・友だちと楽しい 交流ができた・達成感が得られた ・ 行動は,先行刺激と後続刺激によって,常に影響を受ける。 (2)教育環境の整備〈先行刺激〉 ・ 学級の中で考えられる先行刺激 たとえば,教師の言語的な聴覚刺激や黒板やスケジュール表などの視覚刺激 例:先生の適切な指示(先行刺激)で体育館に行ったら(行動)じょうずにやれて ほめられた(後続刺激)→適切な行動が増えてくる。 例:黒板に書かれた1日のスケジュール(先行刺激)に従って1日を過ごしたら (行動)見通しがもてて不安にならなかった(後続刺激) →適切な行動が増え る。 ・ 問題行動が起きる先行刺激を断つ。原因を断つ。 例:見通しを持たせる,視覚に訴える,はっきりとしたわかりやすいルール,整理 整頓された教室など。 (3)教育環境の整備〈後続刺激〉 ・ ある行動をした結果,環境からいい応答が返ってくると,その行動は増えてい く。逆にいい応答が返ってこないと,その行動は減っていく。またさまざまな情動 的反応(不安・緊張・興奮・いらだち)を助長する。 例:宿題をやってきたら(行動)先生にほめられた(後続刺激)その結果宿題を忘 れなくなった。 例:算数をちょっとがんばってやったが(行動)そんな簡単なことはできて当たり 前という態度をとられた(後続刺激) その結果算数が嫌いになった。 例:授業で先生の言ったことがわからなかったので隣の人に聞いたら(行動)先生 にしかられた(後続刺激)その結果,隣の人と話すことはしなくなったが,い らいらした感情は常に残った。 ・ はじめに好ましい先行刺激を与えていた場合の不適切な後続刺激は最悪の状況を 招く。 例:先生に「がんばればできるよ」といわれて(先行刺激)漢字の練習をがんばっ た(行動)が,ノートを見た先生はほめてくれなかった(後続刺激) 3 応用行動分析を特別支援教育に生かす (1)うまくいったときの経験を生かす ・ うまくいったときのことを分析し,そこから問題解決の糸口を探していく。 (2)子どもたちは学習したがっている ・ その子の得意なところをどうやってのばすか,そのための手だてを考える。 それを,聞く,聞いて理解する,読む,読んで理解する,書く,書いて表現す る,話す,話して表現する,対人関係を調整する,などの能力につないでいく。 ・ plan→do→see→plan→do→seeの系統的な繰り返しが最も重要 (3)子どもたちの適切な行動を増やす ・ 「問題となる行動を減らす」のではなく「適切な行動を増やす」 安定して活動できる状況を増やす。→その子への役割を与える(ほめる) (4)「子どもと先生の相互作用」全体を見る。 ・ 授業をふり返る……自分はどこまで動いただろう,ずっと黒板の前にいた,何人 のこと会話をしただろう? ・ 授業終了後に頭の中で全体像を想像してみよう。 (5)今こそ学校の教育力を結集して ・ コーディネーターを中心として 研修を受けるなど,専門的知識の獲得を。校内の教育力を高める。 ・ 対応の知識があるかないかで,結果は大きく異なってくる。 4 その他 (1)登校しぶり ・ 手が挙げられない,先生や友だちが接触しない,目立たない,グループ活動のと き何をしたらよいのかわからない→自己存在感が味わえない→登校しにくくなる ・ 教師が気にかける(1日1回は指名する),役割を与えるなど活躍の場を設ける (2)学習障害 ・ 知的遅れはない。 聞けない・話せない・読めない・書けない・計算できない・計画できないなど, 特定のものの習得と使用が困難。中枢神経系に異常を持つ。 例:読めない子……視線の異動ができない。繰り返し読んでくることを課題にして も意味がない。別の手段を考える。「文を指で指しながら読もうね」「定規を あてて読もうね」→適切な行動が出やすい状況を考える。 (3)自閉症スペクトラム 例:サッカーをしているとき友だちの腕があたった→「ぼくをいじめている!」 *「友だちからたたかれた」だけが頭に残り,全体の文脈が理解できていない。 (サッカーで腕があたったり,蹴られたりすることは時々はあることで,しか たない) →細かいことでも事前に説明しておく。〈当たり前のことが当たり前でない〉 例:運動場が空いたので,急遽運動会の練習をすることにしたら,Aくんがパニッ クを起こした。 *一般的に合理的であっても,全体像がつかめず,1つ先のことしか心の準備が できず,急な変更は不安心をあおってしまう。〈当たり前のことが当たり前で ない〉 「〜になるかもしれないよ」という予告。聞いて理解することが苦手な子が多い ため,黒板に明示したり,紙に書いて掲示する。 例:パニックを起こしたら *言葉ではコンタクトできない。「書いて」対応する。「Bくんとけんかした の?」「教室にはいたくないの?」教師が対応策を書いて知らせる。対話ノー トをつくっておくとよい。 (4)注意欠陥・多動性障害 ・ 落ち着かない,他動,衝動的 ・ 6ヶ月の観察で判定するのが一般的。 ・ 他動をしかる…まったく意味がない。悪循環をつくってしまう。 ・ 落ち着いてできたことをほめる。役割を与える。言葉だけでなく,シールをあげ るなど,目に見える方法でほめる。がんばりノートをつくって,「今日もシールが もらえたね」「今日は全部◎がついたよ!」 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ |
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| ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ [1]第49回 指導と評価大学講座〈参加記録〉Part1 ―人間力を育てるガイダンス・カウンセリング― 國分康孝(東京成徳大学教授,元筑波大教授,日本カウンセリング学会会長) ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ………………………………………………………………………………………………… ◇講義1 人間力を育てるガイダンス・カウンセリング1 國分康孝(東京成徳大学教授,元筑波大教授,日本カウンセリング学会会長) ………………………………………………………………………………………………… 1 「人間力」の意味と意義……私はこうとらえる (1)意 味 ・学力,豊かな心,体力 (2)意 義 ・発達課題を通して成長する。 ○ 生きる力を支える能力が「人間力」ではないかととらえる。この能力の育成にはガ イダンス・カウンセリング(教育カウンセリング)が不可欠。発達課題を解いていく こと。 2 ガイダンス・カウンセリングとは? (1)ねらい 予防と開発 (2)対 象 すべての子ども (3)方 法 グループアプローチ (4)内 容 プログラムによる体験学習 〈参考図書:「社会性を育てるスキル教育」清水井一:図書文化〉 (5)技 法 インストラクション(説明)→プログラムの選択→実施(介入)→シェ アリング (6)実施者 教育者(教師) *学級担任が行う予防的カウンセリング(発達上の課題をともに解いていく) *心理カウンセリング……治すカウンセリング(心の課題を解く:スクールカウン セラー) 3 学業向上に応用できるガイダンス・カウンセリングの概念と技法 (1)作業同盟 ・個別カウンセリングをはじめる前に,目的や方法,ルールに関する約束を結ぶ) ・目的の例……3種類の学生への対応(折衷主義) ・方法の例講義とQ&A 講義とロールプレイ ・ルールの例……私語や欠席 (2)抵抗の処理 ・抵抗 不登校や学級崩壊や校内暴力や私語,宿題無視など学習場面を拒否する。 ・抵抗が起きるのは 1)教師が依存・畏敬の対象とならないとき 2)教師や仲間とリレションがつかないとき 3)授業内容に興味・必要性がないとき 4)出席することに利のないとき 5)ナーシシズム(自分は認められているという感情)が満たされないとき ・ガイダンス・カウンセリングを学習指導に生かす。 (3)教師の自己開示 ・教師が自己を語る教師が身近になり,子どもも自己開示するようになる。 ・教師の自己開示をヒントに自分の人生の指針やヒントになる。 ・教師を模倣して子どもも自己開示的になる。 4 「豊かな心」を育てるのに役立つガイダンス・カウンセリングの概念と方法 (1)豊かな心の意味と意義 ・意味 複数の反応ができること。思考・感情・行動の3つの反応 ・意義 感情が増えること。緊張→リラックス 恥ずかしい→楽しい (2)豊かな心を育てる方法 → さまざまなことへの「反応」が増えること。 ・思考の教育 内観法(思い出させる,ふり返る),教師の自己開示,役割交換法 ・感情の教育 合唱(大きな声を出すこと),模倣,教師の自己開示 ・行動の教育 スタディスキル,ソーシャルスキル,アサーションスキル,コミュ ニケーションスキル →行動の仕方を教える。 5 保健体育に役立つガイダンス・カウンセリングの概念と方法 (1)心身相関ゆえ保健体育は教育に不可欠 ・指の動きと知能の例 ・スポーツのできる人は頭がよい。 (2)体育に役立つ技法 ・指示,モデリング,シェーピング,SGEによる人間関係 (3)保健室に役立つ技法 ・カウンセリングスキル,健康教育としてのSGE (酒井 緑「イキイキわくわく保健学習」図書文化) 6 学校で行うカウンセリング(教育カウンセリング) ・治す心理学→臨床心理士の分野(心理療法・学校は治すところではない,が原則) ・育てるカウンセリング→教育カウンセリング(教師のすべてが実践すべきこと) ・子どもが解くべき発達課題をクリアしていくことの手助けする。 ・専門家に任る事態を防ぐ予防的カウンセリング ・ふつうの子が困っている発達課題を解くための援助をする。 ・5つの発達課題…これらに対応するのは教師の役割 〈学習指導に関わる課題〉 〈進路指導(人生設計)に関わる課題〉 〈性格の育成に関わる課題〉 ・ごくふつうの子が持つ課題 〈社会性の育成に関わる課題〉 ・教師が行うべきこと 〈心身の健康教育〉…養護教諭 〈組織の中でどう生きるか〉 ・問題の未然防止…臨床心理士にゆだねる前の予防 7 教育カウンセリングの5つの方法 (1)構成的グループエンカウンター ・ふれあいの欠如…人との接触を拒否(不登校,いじめ,家出など様々な問題) ・ふれあい体験と自他発見をねらいとするグループ体験→自己と他者の理解(人付き 合い) ・自他一体感があるときが最も落ち着くとき ・自己理解できない子の増加…自己疎外(自己肯定感の欠如) ・自己を語っていくうちに他と異なる自己の良さに気づく(自己肯定感の芽生え) (2)キャリア・ガイダンス(人生設計学) ・先を見て今を生きる…時間の流れの中で今を生きる ・グループ体験を通して自己発見や外界理解,そして人生計画を促進する。 (3)サイコエデュケーション(心の教育) ・講義やワークショップやメディアを介して思考・行動・感情を豊かにする方法。集 団を対象とした予防的・開発的カウンセリング ・傾聴能力とともにスピーチ能力が育つ。 (4)グループワーク ・運動会や生徒会への参加体験を通して,思考・行動・感情の社会化を試みる。 (5)対話のある授業 ・シェアリング(自己開示)の精神に支えられた授業のこと。 8 教師の求められる3拍子そろった能力 「集団をまとめる能力」「集団を動かす能力」「一人ひとりをケアする能力」 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ |
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| ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ [1]基礎的な教材とは? ― それは教師自身が創るもの ― ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ■ 見出しのことを述べる前に、教材について考えてみたい。教材とは、教師側からいう と「指導材」である。子どもの側からいえば「学習材」ということになる。 学習が成立し、成功する条件として、第一に教材の良さをあげたい。教材の質で学習 の成否が決定するといっても過言ではないだろう。教科書を「教材」として、その通り に進めるのも一つの方法である。これでも授業は成立する。しかし、教科書通りの展開 には教師の創意・工夫がない。言い換えれば誰かが作った展開を拝借していることにな る。これでは受動的な授業展開である。展開は授業者の主体によるべきである。 ■ 教科書はあくまでも教材の一つに過ぎない。力量のある教師であれば、指導要領に基 づき、自ら教材を創りだすであろう。学習の始まりは子どもたちの知的好奇心である。 地域の特性や学校、学級の実態により、学習展開は工夫されるべきである。 ■ 新指導要領の求める学力、つまり、今求められている学力は「方法知」である。従来 の「内容知」から「方法知」への転換を図らねばならない。知識や技能をどう獲得して いくか、その「方法」を身につけることが今日的課題となっている。そして、この「方 法知」こそ、新指導要領の求めている「生きる力」へとつながっていく。もちろん「基 礎・基本」は身につけねばならない。しかし、基礎・基本だから「教え込む」というの は本質を外れている。この際、基礎・基本の指導にあたって「方法知」を身につけるこ とを考えてみたい。 ■ 教科書について「指導要領の精神を反映した教科書こそが大事であり、教科書は学校 において使用が義務づけられている教材(山極隆氏)」といわれている。確かに教科書 は非常によくできている。しかし、問題とすべきは「授業展開」であろう。教科書に頼 りきった授業はいかがなものか。新指導要領では学習の総量は減らすが、その分、問題 解決能力を育てることをねらっている。教科書通りの授業は、知識の伝達、つまり「教 え込む授業」に終始する危険性をはらんでいる。「教え込む授業」からは「自ら学び、 自ら考える力を育成する」ことはできない。あくまでも教科書は手がかりであり、実際 の展開では、やはり教師の創意・工夫が問われるべきでる。 ■ 私は、教科書を資料集と同じレベルで考えている。教科書を使う場面はあっても、そ れに頼りすぎることなく、子どもたちの興味・関心にあった学習の流れをとる。その際 必要になってくる教材は、やはり教師自らが開発した教材である。 基礎的な教材とは、教師が目の前の子どもたちのために創る「オーダーメイド」でな ければならない。そしてそれは印刷物ばかりとは限らない。ものであったり、人であっ たり、様々な形態が考えられる。このあたりが有田和正氏の「教材開発」の神髄であろ う。すばらしい教材は身の回りにたくさんありそうだ。それを見つける教師の目を育て たい。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ |
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| ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ [1]今こそ「学級活動」の充実を ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ いじめによる自殺をはじめ,様々な問題がマスコミで取りざたされています。 こんな時こそじっくりと学級づくりに取り組む必要があります。 そんな事例を紹介します。 ■ テーマ ― 係活動の見直しを ― ■ 実践の観点 ・だれもが主役になれる学級づくり ・学級を育てる係活動 ・実践力を育てる係活動 ・子どもたちが主役の学級づくり ■ 指導要領から〈これを抜きにしては語れない〉 ▽ 目標 心身の調和のとれた発達と個性の伸長・・・・,集団の一員としての自覚を 深め,協力してよりよい生活を築こうとする自主的,実践的な態度を育てる。 ▽ 学級活動の内容 学級や学校の生活の充実と向上を図り,健全な生活態度の育成・・・・。 (1)生活の充実と向上に関すること ・ 諸問題の解決【これが話し合い活動】 ・ 組織作りや仕事の分担処理 (2)生活や学習への適応及び健康や安全 ・ 希望や目標を持って生きる ・ 基本的な生活習慣 ・ 望ましい人間関係の育成 ・ 学校図書館の利用 ・ 健康で安全な生活態度の育成 ・ 学校給食と望ましい食習慣の形成 (1)は以前の学級会活動であり,(2)は以前の学級指導 ………………………………………………………………………………………………… ■ 実 践 1 児童の実態……省略 2 設定の理由 ・ 係活動の実践を通して何を育てるのか。何のために係活動を取りあげるのか。自 分の学級経営の計画に基づき,どんな学級にしたいのかをはっきりさせる。 (例:学級成員のだれもが楽しい生活が送れるような,思いやりの心を持ってお互 いに助け合っていけるような,すべての子に自己の存在感が味わえるような, そんな学級をつくっていきたい。) 3 ねらい〈実際にはこれらが複合される場合が多い〉 ・ 自己の責任を果たすと同時に,学級生活の向上を目指す。 ・ 学級内の好ましい人間関係を育て,思いやりの心を育てる。 ・ 様々な活動への実践力(みんなで話し合って決め,みんなの力で実践する)を育 てる。 ・ 個性を発揮させ,集団の中で個を生かし,一人ひとりを育てる。 4 手だて (1)係活動をこんなふうに発足させたい ア 係の設定と所属の仕方……学級目標の実現に向かった積極的な設定の仕方。 (学級目標の実現に向けた係組織) ……個を生かす,個性が発揮できるような係活動とする ……魅力あるネーミング イ 活動しやすい組織作り……弾力的に。不具合が生じたら,いつでも話し合って 改組していけるように。(やりながら) ウ 活動計画をしっかり立てる……先を見通して(あんなことをやろう,こんなこ ともやろう,という子どもの意気込み)。 全体の計画,調整も忘れずに。 エ 活動時間の確保……学級の時間や学級活動の時間を定期的にあてる。できれば 週活動計画を決めておく。係の打ち合わせの時間や活動の 時間を確保しておく。 (2)こんなふうに実践していきたい ア 好ましい人間関係を育てる……活動を通して友だちの良さを知る。お互いにカ バーし合っていく思いやり(教師の声かけ,係ノ ートへの朱書きなど) ※係ノートは必ずつくる。集まって何かやったら 必ず記録しておく。そして朱書きを忘れずに。 イ 常時活動と発展的活動……学級を明るく楽しくしていく発展的活動に力を入れ る(目玉仕事)。子どもたちのアイデアあふれる楽し い計画。それぞれの個の良さを発揮させる。個性を発 揮させる場ととらえる。絵を描くのが得意な子はポス ターづくり,作文が得意な子は宣伝文句づくりとか, 花が好きな子がいれば草花コンクール,〇〇が得意な 子がいればその子を生かすために〇〇大会を開く,と いったように。だれもが主役になれる場を設定する。 ウ 他の係への関心を高める……学級全員で協力していく。他の係の行事に積極的 に参加する。 エ 掲示物を充実させる……係活動のコーナーを設置し,その時その時の生きた情 報を知らせる。 オ 係活動発表会……定期的に(例えば隔週土曜3限)活動状況を発表しあい,質 問や意見を受け付け,お互いに活動を高めていく。最優秀係 (もっとも学級の向上に尽くした係)を決めてもよい。 ―係発表会のプログラム― 1 今,力を入れている仕事 2 みんなへのお願い 3 みんなからの注文 4 先生から 答えられない質問が出たりしたら,翌日の朝の会で回答する など,責任を持たせることも大事。 (3)活動終了後,気をつけたいこと ア どの係も1回は楽しい目玉仕事の実践を。実践したら反省を。次へのステップ アップを図る。「あの係,楽しいことをしてくれてよかったね」 イ 評価は子どもサイドに立って。子どもの目で見る。実施したらまずほめる。子 どもたち同士での評価も有効。評価の視点は「学級の向上に尽くせたか」「学級 のだれもが楽しさを味わえたか」「係のメンバーみんなが活躍できたか」「計画 をきちんとたてて進められたか」など。 5 今後の実践や評価 ・ 朝や帰りの会での「係からの連絡」を充実させる。 ・ 新聞やポスターを使った広報活動。 ・ 係活動の発表会 ・ 学級通信でこまめに保護者に活動状況を知らせ,意見や感想を受ける。 ・ ほめることを中心とした評価をこまめにし,子どもの意欲の継続を図る。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ |
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| ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ [1]調べたことを効果的にまとめる方法 「オリジナル事典作り」 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ さまざまな学習で表現物の制作をします。 新聞形式が多いようですが,ここでは「事典作り」を紹介します。 子供たちの意欲をかき立て,最後まで意欲的に取り組むための一試案です。 担任を持っていないので,実践はしておりませんのであしからず。 ………………………………………………………………………………………………… 事典を作るのは子どもたち。 表現物制作は,ともすれば教師の都合だけの押しつけになりがちである。 「自習の時間の消化」などという教師サイドのとらえ方ではなく、一歩進んだ主体的な学 習として考えたい。 予想外の成果が得られることもある。 そのために最も大切なことは目的意識を持たせることである。 ただ単に「まとめをしよう」という抽象的な言葉では、子どもたちの意欲は盛り上がら ない。 やる前から嫌になる。 子どもたちが夢中になって取り組めるような手だてを考えたい。 そこで教師は知恵を絞る。 以下、そのためのネタを考えてみた。 1 盛り上げるためのネタ ○ ネーミングの工夫 人の目を引きつけるようなタイトルをつける。例えば「私だけの実験事典」「ぼく の学区環境白書」など。 これだけでも盛り上がる。 ○ 自由な形式で カード形式やファイル形式または模造紙に書くなど、自由に決める。パンフレット 形式などはうけそうだ。 ○ 視覚に訴える 文ばかりだと子どもは嫌になる。 写真(なければスケッチ)や図・表、そして地図などを多用する。 それらのコメントをキャッチコピー風にまとめるとおもしろい。 ○ 見通しが持てるように どのように進めていくのか、先が見えると言うことは大事なことである。 自信を持って取り組める。 そのために制作プランを作る。 ○「自分だけの発見コーナー」を設ける 実験や観察の目的、方法、結果、考察の四部構成とするなど、形式を決めてしまっ てもよいが、その中に「自分だけの発見コーナー」を設ける。 ありきたりでなく、その子だけのものを発掘させる。 ○「ご意見箱コーナー」を設ける 意見や質問を記入できる欄を設ける。 反応が返ってくるのは楽しい。 制作後の活用を工夫するだれでも自由に見ることができるようにする。 学級通信などで保護者に紹介するのも効果的。 2 実践上の留意点 この実践の場合、自分のまとめとするという目的に加えて、他人に見てもらうという 目的がある。 そのためにもポイントを明確にさせておく必要がある。 「私の特ダネ」「私の大発見」といった項目を設定し、子どもの意識の集中を図りた い。 また、苦手な子への配慮として、制作前の計画書作りなど、青写真を作ってから取り 組ませるなどの配慮が欲しい。 実験や観察を表現するためには、文字だけでは限界がある。 それを補うためにも図や表、スケッチなどを活用することは有効である。 インターネットなどを駆使して,さらに詳細な画像やデータを入手してくる子も出て くるだろう。 学習が発展していく。 3 教師の活用法 ・一人ひとりの子が何に関心を持ち, どんな成果をあげたかを知る。 ・足りなかった指導事項は何だったか を知り,反省の材料とする。 ・「ご意見箱」から学級全体の理解の 様子を知る。 などが考えられる。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ |
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| ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ [2]子どもは「発表」させられている? ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 研究授業でよく「発表会」の場面が公開されます。これに対して有田和正先生が次のよ うに言われています。 「かっこよく発表させて『よくやってるな』と思わせようとしていることが見え見えの発 表もある」 「練習に練習を重ねて,発表内容を覚えさせ,何も見ないで発表させている。子どもたち は覚えたことを思い出そうと,目を白黒させたり,・・・・」 「5〜6人のグループの子どもが,全員声をそろえて,呼びかけのような研究発表をして いている。これは研究発表ではない。劇である」 …………………………………………………………………………………………………… 皆さんも「そういえばそういう授業見たことあるなあ」とお思いでしょう。有田先生は 次のようなことも言われています。 「子どもが発表したくなるようにすることが教師の力量である。発表したくなるような追 究がなされていないことが大きな原因」 発表の時間だけをとらえて論じることはナンセンスでしょう。既にスタートの時点から 問題あり,なのです。懸命に追究してきた子どもたちは発表したくてたまらないのです。 要は追究の過程です。 有田先生とある学校の研究発表会でお会いし,その日の公開授業についてお話したこと があります。有田先生は「内容のある追究を重ねた結果,発表したくなるような内容を持 っている」とほめておられました。発表会の場面だけを見ても,そこまでの過程はわかる ものなのです。 最後にひと言。私は発表会の場面を研究授業とすることには常々反対しています。私た ちが見たいには「過程」なのですから。「過程」を公開してこそ後の協議会が盛り上がる と言うものです。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ |
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| ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ [1]講義の記録 Part3 「日本教育新聞社主催 教育セミナー四国」より ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 第3弾のテーマは,市川伸一氏の「確かな学力」です。 ──────────────────────────────────────── ◇講義4 人間力につながる「確かな学力」を 講師:市川伸一(東京大学大学院教授:中教審臨時委員) ──────────────────────────────────────── 1 教育課程部会において合意された方向 ・基本的な学力観 基礎基本の徹底とともに「自ら学び,自ら考える力」などの生きる力の育成 ・総合的な学習の時間のいっそうの充実…時間数については議論の余地残る。 ・完全週5日性の堅持 2 「生きる力」の発展としての「人間力」 ・内閣府「人間力戦略会議」を受けて。 ・健全に生きている「一般市民」をモデルに…教育の目標 ・人間として社会の中で自立して力強く生きていく力 ・知的能力的要素 対人関係力的要素 自己制御的要素 ・一般市民の3つの生活…「文化生活」「市民生活」「職業生活」 ・それぞれの生活に必要なスキル 学校で受け持つのは「教科学習」「社会参加型体験学習」「職業学習」 3 「人間力」に関わる動き ・キャリア教育 ニート,フリーター問題への対応 厚生労働省「若者の人間力を高める国民会議」 ・授業外学習 地域で行う超選択学習 自治体,市民団体,NPO,企業,地域が教育プログラムを提供 4 基礎学力はどう保障するのか ・教えて考えさせる授業 ・家庭学習を含めた学習スキルの育成 予習と復習の習慣と方法 学力・学習力診断テスト「COMPASS」 ・授業外の学習支援システムの充実 学習相談室 自治体による補充・発展学習ゼミナール 5 「教えて考えさせる」教育 ・旧タイプのわからない授業→詰め込み,教え込み ・新タイプのわからない授業→教えずに考えさせる授業(指導しないで支援する) 授業の流れ:問題提示→自力(協同)解決→確認→発展 問題点:先取学習している子すぐに理解できる子にとっては退屈 学力の低い子は自力解決できず,討論にも入れない。 問題解決を目指しているのに問題解決になっていない。 基本的事項ですら理解できない子供を大量に生み出す。 ・教えて考えさせる授業→予備知識(教科書内容)の教授により,理解・問題解決・定 着を促す。 授業の流れ:教師説明→理解の確認→発展課題→自己評価活動 重要事項:未習だが教科書に出ている内容を教えるのが原則 問題解決や討論は基礎知識を共有してから。 学習後に内省,質問を促す工夫を。 ・中教審答申 「読み・書き・計算」などの基礎・基本を確実に定着させ,教えて考 えさせる教育を基本として,自ら学び自ら考え行動する力を育成する こと。 6 学習の2つのサイクル ・「習得型」…目標とする知識・技能の獲得(基礎的な知識・技能の育成) ・「探求型」…自らの関心にそった探求活動(自ら学び自ら考える力の育成) ・低学年の学習:「習得(導入→展開→まとめ→ドリル)」「探求(体験→追究→表 現)」が学校教育内で完結する。 ・高学年の学習:「習得(予習→授業→復習)」「探求(追究→授業→表現)」が学校 教育内で完結しない。 ──────────────────────────────────── 第4弾に続く |
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| ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ [1]講義の記録 Part2 「日本教育新聞社主催 教育セミナー四国」より ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 第2弾のテーマは「学校評価」と「生涯学習」です。 ──────────────────────────────────────── ◇講義2 学校改善・人材育成のための学校評価・教員評価 講師:八尾坂修(九州大学大学院教授:中教審専門委員) ──────────────────────────────────────── 1 学校改善 すべての教員一律に高い資質を身につけることが求められるわけではない。学校とい う組織体において多様な資質能力を持つ教師集団がチームワークを発揮し,充実した教 育活動を展開できる学校文化を築くことが重要である。 2 学校評価 ・19年度から義務化,3月下旬にガイドラインが出される。合わせて委嘱研究開始 Plan→Do→Check→Actionの流れ ・Checkをふまえて学校として問題提起しつつ,学校改善の個性的なビジョンを。 Actionとしてとらえながら次の目標へ反映させる。 ・学校と外部評価者(家庭・地域)が自校の教育をよくしようという信頼と友愛的関 係 ・外部評価と学校経営プラン公開はセットで。 ・注目される「第3者評価」 学校が実施した外部評価結果に対して助言→目的は「学校改善」 ・学校の自己評価(点検)と建設的雰囲気 意見を出し合って学校をよくしていくことができる雰囲気 ・管理職がつくる評価,やらされる評価からの脱却 全員が参画する評価へ。 各分掌の責任者そして実践者としての自覚 ・各分掌者の主体的なアクション 立案者としての自己評価と他者に評価を要求する姿勢 ・評価後の行動が命運を握る。 3 教員評価 ・目的は「育てる評価」「人材育成」 平均主義の打破 力量を高めるチャンスとと らえて。 ・校長は学校教育目標,重点努力目標(学校経営のビジョン)を明確に示す。 ・学級経営案に自己目標を明記 60歳になってもファイティングスピリット 1)「自己評価を生かした目標管理手法に基づく自己目標の設定」 2)「評価者と被評価者との面談」…初期・中期・後期の年3回 3)「評価要素(能力・業績・意欲)・評価項目の設定と職務等との対応」 4)「評価基準に照らした絶対評価」 5)「多面的評価」…複数で 6)「評価結果のフィードバック(開示)」…助言,激励 7)「苦情対応」 8)「人材育成・能力開発・意欲向上」 9)「処遇への反映」 留意事項:「合目的性」「公平・公正性」「客観性」を保つ。メンタリティへの 配慮(意欲的な取り組みを評価しつつ,ポジティブなフィードバッ クを織り込む評価を。 ・「学校評価」「教員評価」は学校改善の両輪 評価後にどんなアクションを起こすか?→学校のパワーアップ ──────────────────────────────────────── ◇講義3 生涯学習の視点から見た学校教育 佐藤友美子(サントリー次世代研究所部長:中教審委員) ──────────────────────────────────────── 1 次世代研究所 とは ・前身は「サントリー不易流行研究所」 生活の中の「楽しみ」を追究してきた。 2 子育ての目標は? →「子どもを自立させる」こと 親が「子どものために」と思う気持ち,ではなく,子ども自身の意識を問う。 ・「自立」とは 自分に足りないことを克服していくこと。そのためには他人の力を借りねばならな い。 他人の力をどう借りるか→「借り方」が問題 3 現代の世代間ギャップ ・「借り方」がちがう。 旧世代→世間の評価が大事(これがアラーム機能となる)失敗を通して育った。 新世代→自分らしさが大切(自由奔放,アラーム無し。失敗を回避するので失敗体 験無し。 ・旧世代には「選択肢のない貧しさの中に生きる自信があった」新世代には「選択肢の ある豊かさの中に不安がある」 →ニート,フリーターの増加と無関係ではない。 ・失敗してのびることの大切さ 旧世代→失敗しても世間の応援があった。 新世代→失敗しないことが立派なこと。 失敗してのびる>ほめられてのびる ・世代の気分 勤勉実直世代(戦中・戦後生まれ)灰色の青春とバラ色の老後 夫婦2人の時間を 慈しむ。 走り続けるがんばり世代(昭和20年代生まれ)競争社会 議論好き 高齢化の鍵を 握る。 ワンランクアップ消費世代(昭和30年代生まれ)バブル期を謳歌 我慢するより自 分らしく。 堅実・安定志向世代(昭和40年代前半生まれ)私生活重視 親や社会がひいたレー ルの上を。 体感なきデジタル世代(昭和40年代後半生まれ)ファミコン・コンビニ あふれる 情報,乏しい体験 ロストプロセス世代(昭和50年代生まれ)いじめを体験 携帯とパソコン グルー プ内同質化 ・これほど異なる世代の人々が混在する現在の日本→軋轢があって当然,どう強調して いくか。 4 現代の若者像 ・「広間(他者と関わる)」から「個室(他者との関わりなし)」文化へ。 ・大人になりたくない症候群 ・根拠のない自信を大切にする(やったらできない)→自分を守るため「やらない」 ・選択肢の多様化→やってみたいけど傷つきたくない。 5 学校でできることは ・「生きる意味」「学ぶ意味」「働く意味」 自らの失敗は立ち直れる/ほめられて伸びるより失敗して伸びること ──────────────────────────────────── 第3弾に続く ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ |
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| ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ [1]講義の記録 「日本教育新聞社主催 教育セミナー四国」より ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 去る2月25日に教育セミナー四国に参加しました。 今日的な課題について,講師陣から6つの講義がありました。 その概要をお知らせします。 今回は第1回目です。 6回連続です。 参考になれば幸いです。 ┌──────────────────────────────────────┐ │■研修内容 教育セミナー四国 主催:日本教育新聞社 後援:文部科学省 │ │■研修日時 平成18年2月25日 午前9時30分〜午後4時30分 │ │■会 場 高知会館(公立学校共済組合高知宿泊所) │ └──────────────────────────────────────┘ ──────────────────────────────────────── ◇講義1 新しい時代の義務教育の創造 講師:前川喜平(文科省初等中等教育局初等中等教育企画課長) ──────────────────────────────────────── 1 中教審義務教育特別部会での議論 (1)委員構成 ・異色のメンバー構成 首長6名の加入(地方6団体から3名+知事・市長・町村長 から1名) ・義務教育費国庫負担金とのかねあいでのメンバー構成 中教審での審議を付託されたこと…金のことだけでなく制度そのものも見直し (2)義務教育の構造改革とは ・新しい義務教育の姿 学校の教育力「学校力」を強化し,「教師力」を強化し,それを通して子どもた ちの「人間力」を豊かに育てる。 ・義務教育の充実に国家戦略として取り組む。 1)目標設定と基盤整備→2)市区町村や学校の権限と責任を拡大→3)結果の検証を 国が行う ・市区町村,学校の裁量・自由度を高める。 人事・学級編成など。 ・教育の大目標は教育基本法第1条に明示されている。 ・平成11年:教育長の任命制廃止(地方分権の流れ) 国は「指導助言するものとする」から「してもよい」という姿勢へ転換 ・人生のスタートで差をつけない(究極のセイフティネット) 全国一律に高い水準の教育を受ける権利を保障 ・生まれた地域により差が生じる。 富裕層は私立へ。教育の2極化 (3)義務教育費国庫負担金 ・H13年小泉内閣の三位一体政策 ・都道府県の意のまま(教職員の定数削減,給与削減等のおそれ) ・審議会としては1/2堅持を主張 ・制度は堅持するものの,1/2負担から1/3負担へ(官邸からの横槍?現在法案 づくり,3月成立の見通し) (4)学習指導要領の改訂 ・生涯学習重視の見地から「ナショナルスタンダード」としての指導要録 ・教育課程の規準 ・2本の柱…「基礎・基本の徹底」「自ら学び,自ら考える力の育成」 ・学校5日生は堅持する。 「家庭や地域に子どもを返す」→「家庭・地域・学校がともに」という考え方へ の転換 ・授業時数については今後紆余曲折があろうが「増加」の方向へ。 「ことば」の大切さが議論された。→体験に基づいた「ことば」の理解 (5)教員養成と教員免許制度 ・更新制は見送られる可能性大 (6)国・都道府県・市町村・学校の関係 ・県と市の関係改革…市の権限強化の動きがあるが簡単にはいかない (例:人事・学級編成・給与負担など)→県費負担:県下全域の レベル維持 ・当面は中核市への委譲が話題に。 (講師私見:学級編成,総額予算としての予算執行などは校長にゆだねてもよい) (7)学校評価 ・文科省がガイドライン作成中(年度内には完成) ・学校評価が義務化…学校裁量の裏付けとして (8)小学校での英語教育 ・議論が分かれている。やっていこうという傾向にある。 (9)総合的な学習 ・教科との関連づけをいっそう考える。 ・学校外での体験を重視 ・時間数についての見直しは必至 2 教育改革のための重点行動計画(平成18年1月17日) (1)義務教育の構造改革 1)国が目標設定と基盤整備インプット(学習指導要領,教員養成,財源保障) →2)市区町村,学校の権限と責任の拡大プロセス(教職員人事・学級編成など) →3)教育の成果の検証アウトカム(学力調査・学校評価システム (2)4つの教育国家戦略 〈戦略1〉教育の目標を明確にして結果を検証し質を保証する。 〈戦略2〉教師に対する揺るぎない信頼を確立する。 〈戦略3〉地方・学校の主体性と創意工夫で教育の質を高める。 〈戦略4〉確固とした教育条件を整備する。 (3)18年度に始まること 〈戦略1〉全国的な学力調査の実施(準備の年,19年度実施))犬山が拒否 特別支援学校(19年度実施) 〈戦略2〉教員評価の全面実施 〈戦略3〉第3者評価の試行(19年度からは学校評価を含め義務化) 学級編成(19年度から市区町村へ委譲) 3 中教審初等中等教育分科会教育課程部会「審議経過報告」(平成18年2月13日) ・従来の「確かな学力」に加えて「言葉や体験などを通じた生活・学習の基盤づく り」を重視 基盤がしっかりしていないと学力とか社会的な自立につながらないという問題意識 →「言葉」と「体験」が大切と指摘する意見が多い。 ・授業時数 量の問題については教育内容の問題と合わせて今後検討 示し方については複数教科でくくるとか,弾力的にしてはという意見も。 小学校低学年については在校時間や授業時数のあり方の検討が必要という声が。 ──────────────────────────────────── 次号予告 ◇講義2 学校改善・人材育成のための学校評価・教員評価 講師:八尾坂修(九州大学大学院教授:中教審専門委員) |
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| ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ [1]「あんしんみまもり隊」 防犯で学校と地域を結ぶ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 今回は私の勤務校の取り組みを紹介します。 「 防犯で学校と地域を結ぶ ―黄緑のベストは安心の目印―」 …………………………………………………………………………………………………… 小学校の下校時間が近づくと、黄緑のベストを着た地域のおじさんやおばさんが、街角 のあちらこちらに現れる。蛍光色のベストは、数百メートル離れていても、〈誰かがいて くれる〉ことが分かる。黄緑のベストは、ランドセルを背負った子どもたちにとって心強 い目印なのだ。 「こんにちはー」 「気をつけて帰ってね」 ベストの人も笑顔であいさつに応える。 愛知県C市のY小に昨年3月、下校時の子どもたちを見守ろうと、「あんしんみまもり 隊」が発足した。メンバーは100人を超える。このうち、約70人が地域の人たちだ。 ユニホームのベストには、PTA役員がデザインしたカキツバタの花の真ん中に「Y小 あんしんみまもり隊」と書かれている。目立つ蛍光色は、「見せる防犯が狙い」(PTA 会長)という。 奈良県で起きた女児誘拐殺人事件が、みまもり隊結成のきっかけとなった。被害女児の 居場所を確認できる全地球測位システム(GPS)付き携帯電話は、犯人の割り出しに効 果的だったが、「GPS携帯電話を持たせていても、子どもを守れないのか」と、親にと っては衝撃でもあった。 「子どもたち自身で犯罪から身を守ることは難しい」 昨年3月まで同校長だったAさん(60)は、奈良の事件にそう感じていた。同校は、 2001年6月の大阪教育大付属池田小の児童殺傷事件から、子どもの安全を一番に考え て取り組んできた。 池田小の事件から1か月後、全児童と職員に「命の笛」を配り、校内や登下校時には子 どもたちの首から下げた笛が踊る。実際、下校途中の女児が、低速でついてくる車に不安 を覚え、口に笛をくわえたら車が退散したこともあった。 子どもたちが校庭で遊ぶ中休みや昼休みになると朝倉さんは毎日、校門の近くで不審者 が来ないか見回った。「何で立ってるの?」と子どもから聞かれて、Aさんは「みんなが 遊んでいるのがうれしいから」と答えたが、「見守ってくれてありがとう」という言葉が 返ってきた。 「校内で起こる事件は、教職員の努力で守れるが、校外ではどう守るのか。頼りは地域 力しかない」。池田小の事件以来、Aさんはこの思いをPTAや地域の人に語り続け、機 が熟すのを待っていた。 奈良の事件でPTAはすぐに動いた。事件から1か月以内で、みまもり隊の発足決定 と、隊員募集を保護者に呼びかけ、PTA役員は町内会に足を運び、理解を求めて回っ た。 一方、学校は、学区内や市内での不審者出没情報を入手するたびに、「安心・安全注意 情報」という、小さなメモにし、全家庭に配った。 隊のルールはベストの着用だけ。犬の散歩を下校時間に合わせたり、買い物に着て出る など、活動は自主的だ。Tさん(69)は「最初は恥ずかしかったが、今ではベストを着 ると地域で子どもを守っているように感じる」と話し、Kさん(66)は「リタイア組も 地域のために何かできるいい機会になったよ」と積極的に参加している。 子どもたちからは「ベストを着てくれていると、学校の人だと思うので安心する」「毎 日、何人にも会うよ」と好評だ。 「教育は、学校と家庭、地域がそれぞれ3分の1ずつ役割を担っている」と唱えるAさ んは、この春、6年務めた同校長を最後に定年退職した。「防犯は、学校と地域の関係を 結ぶ架け橋であり、学校が地域の中心にあることを見直す機会になる」。そのAさんの思 いが、黄緑のベストに凝縮されている。 |
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| ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ [1]特別活動の重要性を再認識する ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 先日,機会があってある市の特別活動部でお話をさせていただきました。 テーマは「特別活動の重要性を再認識する」です。 そのときの概要を紹介します。 お役に立てば幸いです。 ──────────────────────────────────── ■ 目 次 ──────────────────────────────────── 1 なぜ今特別活動なのか 2 学級活動をメインにおいた学級経営を 3 特別活動の評価 4 特別活動主任の役割 ──────────────────────────────────── ■ 内 容 ──────────────────────────────────── 1 なぜ今特別活動なのか ○ いじめ・不登校,特別支援教育などの問題を特活の視点から考える。 ・特別活動の4つの内容 学級活動 児童会・生徒会活動 → それぞれの目標を十分把握する。 クラブ活動 〈 評価規準もそれぞれ必要 〉 学校行事 ・特別活動のねらい 1) 心身の調和のとれた発達を図る。 2) 個性の伸長を図る。 望ましい集団活動を通して → 3) 集団の一員としての自覚を深める。 4) 協力してよりよい生活を築く。 5) 自主的,実践的な態度を育成する。 望ましい集団活動を通して…「特活」固有のもの ・学級づくりの重要性を再認識 好ましい人間関係に基づいた望ましい集団活動が推進できているかどうか。 学級づくりはすべての教育活動の基盤となるもの。 「楽しいクラス」→だれもが主役になれる学級づくり,子どもたちが主役の学 級づくり → 自己存在感・自己有用感が感じられる学級づくり ・とりわけ学級活動の充実を 2 学級活動をメインにおいた学級経営を ・学級経営……教師の視点 → 学級活動は学級経営の中心的な手だて ・学級づくり…子供の視点 → 教師も学級成員の一員(子供とともに) (1)学級活動 ■ 学級活動のねらい 学級を単位として,学級や学校の生活の充実と向上を図り,健全な生活態度の育 成に資する活動を行う。 ■ 学級活動の内容 ・内容(1) 学級や学校の生活の充実と向上に関すること。 *学級や学校における生活上の諸問題の解決(話し合い活動),学級内 の組織作りや仕事の分担処理(係活動) ・内容(2) 日常の生活や学習への適応および健康や安全に関すること。 希望や目標を持って生きる態度の育成/基本的な生活習慣の形成/望 ましい人間関係の育成/学校図書館の利用/心身ともに健康で安全な 生活態度の育成/学校給食と望ましい食習慣の形成 →忘れてならないのは「給食指導」(食に関する指導) ■ 「学級目標」を大事にしたい。 ・学級経営目標(教師の目標)/学級目標(子どもたちの目標) ・学級目標が達成できているかどうか評価活動を。 ・目に見える形で具体的に設定する。…評価しやすく ■ 内容(1) と(2)のバランス 低学年…内容(2)が多くなる。 高学年…内容(1)中心へ移行 (2)係活動を中心においた学級づくり ■ 係活動とは 学級生活の充実,向上のために必要な仕事を分担・処理していく活動 当番活動…学級運営のために不可欠,誰もが経験した方がよい。 例:そうじ当番や給食当番,日直 係 活 動…学級生活をよりよくしていくための仕事 学級生活向上のために創意工夫,発展的活動 ■ 実践例 ― 係活動実践計画 ― 1 ねらい ・ 自己の責任を果たすと同時に,学級生活の向上を目指す。 ・ 学級内の好ましい人間関係を育て,思いやりの心を育てる。 ・ 様々な活動への実践力(みんなで話し合って決め,みんなの力で実践する)を育 てる。 ・ 個性を発揮させ,集団の中で個を生かし,一人ひとりを育てる。 2 実践計画 (1)係活動をこんなふうに実践したい ア 係の設定と所属の仕方 ・ 学級目標の実現に向かった積極的な設定の仕方。(学級目標の実現に向けた 係組織) ・ 個を生かす,個性が発揮できるような係活動とする。 ・ 魅力あるネーミング イ 活動しやすい組織作り ・弾力的に。不具合が生じたらいつでも話し合って改組していけるように。 ウ 活動計画をしっかり立てる ・学級生活の向上を目指した活動 (あんなことをやろう,こんなこともやろう,という子どもの意気込み) ・係間の全体の計画・調整も忘れずに。 エ 活動時間の確保 ・学級の時間や学級活動の時間を定期的にあてる。できれば週活動計画を決めて おく。 ・放課時の活動はできるだけさけたい。 (2)実践上の留意点 ア 好ましい人間関係を育てることを十分に意識した指導を ・活動を通して友だちの良さを知る。お互いにカバーし合っていく思いやり ・やり遂げた喜びを味わい,自己存在感,自己有用感を体感する。 (教師の声かけ,係ノートへの朱書きなど) ※ 係ノートは必ずつくる。集まって何かやったら必ず記録しておく。そし て朱書きを忘れずに。実践を認め,ほめる。 イ 常時活動と発展的活動の区別を ・学級を明るく楽しくしていく発展的活動に力を入れる。(目玉仕事) ・子どもたちのアイデアあふれる楽しい計画 ・それぞれの個の良さを発揮させる。個性を発揮させる場ととらえる。 絵を描くのが得意な子はポスターづくり,作文が得意な子は宣伝文句づくり, 花が好きな子がいれば草花コンクール,〇〇が得意な子がいればその子を生か すために〇〇大会を開く,といったように。だれもが主役になれる場を設定す る。 ウ 他の係への関心を高める ・学級全員で協力していく。他の係の行事に積極的に参加する。 エ 掲示物を充実させる ・係活動のコーナーを設置し,その時その時の生きた情報を掲示する。 ・流れうごく生きた掲示 オ 係活動発表会を開く ・定期的に(学級活動の時間に隔週)実施 ・活動状況を発表しあい,質問や意見を受け,お互いに活動を高めていく。(相 互評価) ・最優秀係(もっとも学級の向上に尽くした係)を決めてもよい。 ○ 係発表会のプログラム 1 今,力を入れている仕事 2 みんなへのお願い 3 みんなからの注文 4 先生から * 答えられない質問が出たりしたら,翌日の朝の会で回答するな ど,責任を持たせることも大事。 (3)活動終了後,気をつけたいこと ア どの係も1回は楽しい目玉仕事の実践を ・実践したら反省を。次へのステップアップを図る。 「あの係,楽しいことをしてくれてよかったね」 イ 評価は子どもサイドに立って ・子どもの目で見る。実施したらまずほめる。 ・子どもたち同士での評価も有効。 ・評価の視点は「学級の向上に尽くせたか」「学級のだれもが楽しさを味わえた か「係のメンバーみんなが活躍できたか」「計画をきちんとたてて進められた か」など。 3 評価方法 ・ 朝や帰りの会での「係からの連絡」から ・ 新聞やポスターを使った広報活動から 相互評価 ・ 係活動の発表会から ・ 学級通信でこまめに保護者に活動状況を知らせ,意見や感想を受ける。 ・ ほめることを中心とした評価をこまめにし,子どもの意欲の継続を図る。 ― 特別活動の評価 ― 「A学級活動(1)(2)」「B児童会活動」「Cクラブ活動」 「D学校行事(1)(2)(3)(4)(5)」をまとまりとして,4観点の評価規準の作成を。 学校や地域,そして児童の実態に応じて。 ― 特別活動主任の役割 ― ○ まとめ役,相談役としての立場……自分自身が特活についての十分な理解を。 ○ 特別活動年間計画の作成……学級活動/児童会活動/クラブ活動 ○ 学級活動の実践状況を把握 各学級の実践状況……学級活動の組織はどうか,年間計画はどうか。 ○ 評価規準の作成 各領域ごとに作成……音頭取りを ○ 児童会活動,クラブ活動の活動状況把握 児童会と学級の連携を。クラブ活動や委員会活動の年間実施時数チェック 以下のことを参加されていた先生方に質問してみました。 明確に応えられた先生はいませんでした。皆さんはどうですか。 Q1:あなたのクラスの学級目標は何ですか。 Q2:あなたのクラスにはいくつの係がありますか。 Q3:あなたのクラスの係の名前をすべて言えますか。 Q4:あなたのクラスの背面掲示板に「係コーナー」がありますか。 Q5:あなたのクラスには「配達係」がありますか。 Q6:あなたのクラスで,もっとも最近開いた学級会の議題は何でしたか。 Q7:あなたの学校には学級活動の評価規準がありますか。 Q8:児童会(生徒会)活動は3つの内容を知っていますか。 Q9:あなたの学校の委員会活動やクラブ活動の所属は通年か前後期かどちらですか。 Q10:あなたの学校では低学年の児童会評価(通知表や要録)をどうしていますか。 |
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| ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 「甦れ,日本!」中山文科省大臣の教育改革案 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 昨年11月に中山文科省大臣が発表した教育改革案「甦れ,日本!」これが意外と知ら れていないようです。同僚に話しても「知らなかった」という声が多く返ってきます。 大臣自身のことばを紹介します。 昨年の十一月に「甦れ、日本!」と題する教育改革案を発表しました。 この「甦れ、日本!」では、五つの改革案を示しております。 第一に、教育の根本法である「教育基本法の改正」であります。 第二に、学力向上を図るための方策を模索することであります。 第三に、専門職大学院の設置や教員免許更新制などの「教員の質の向上」を図ること であります。 第四に、「現場主義」の観点に立った学校・教育委員会の改革であります。 第五に、「義務教育費国庫負担制度の改革」であります。 以下,その概略を紹介します。 ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 1 危機的な日本の現状 ・このままでは東洋の老小国 2 諸改革の基盤となるのは人材 ―教育改革の重要性― ・知力,体力,品格,教養 〜日本は人材こそが資源 3 国家戦略としての教育 ・国際的「知の」大競争時代,各国とも国家の命運をかけて教育改革を推進 4 教育改革の方針 1)がんばることを応援する教育 確かな学力,豊かな心,健やかな体,挑戦する精神 2)義務教育の改革 ―2年で仕上げ― 教育基本法の改正 〜新しい時代の日本人像〜 学力向上 〜世界のトップへ〜 教員の質の向上 現場主義 義務教育費国庫負担制度の改革 3)教育改革の標語 子ども 〜くじけるな ウソをつくな 弱いものいじめをするな〜 大人 〜ほめよう 叱ろう 励まそう〜 4の2)について,「学力向上」に関して,子どもの競争意識の涵養・全国学力テストの 実施,「教員の質の向上」に関して,教員免許更新制・専門職大学院,「現場主義」に関 して,人事・予算・市町村の権限強化・学校評価制度の確立,「義務教育費国庫負担制度 の改革」に関して,義務教育は国が基本的な基準を設定・水準の確保・機会均等を実現・ 地方の自由度を高め,財源を確保する,といったことが具体的に示されています。 詳細は文科省のHPを開き,「甦れ、日本!」でサイト内検索すると出てきます。 |
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| ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ [1]日本教育新聞社主催 “教育セミナー中国2005”参加記録 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 1月22日(土),見出しのセミナーに参加しました。一昨年の東広島についで2回目 の参加です。印象に残ったことを羅列します。参考になれば幸いです。 ■ まずは,文科省の大臣官房審議官のお話です。 ・ PISAやTIMSSの結果の報告がありました。結果をかなり重く受け止めているようで す。学習習慣をつける施策を検討していきたいとのこと。 新指導要領改訂についてはすでに検討に入っている,今回は検証を元に(先日,大 臣が全国各地でヒヤリングを行うことが報道され,そのさきがけとして宮崎?で行わ れました。そこで総合的な学習を見直すといった爆弾発言をしました),慎重に見直 すとか。 しかし,現在の枠組みを維持し,知育偏重に戻ることはないとのこと。 ・ 学校と家庭,地域の連携をいっそう訴えていく。学校評議員制度に続き,学校運営 協議会制度(コミュニティスクール)の拡大。 ・ 小中高の児童生徒一人あたりにかかる年間教育費(税金)は小90万,中100万,高 120万円。あなたの学級が30人であれば,あなたの学級だけで年間3,000万円近い税 金が使われている。この事実をどう受け止めるか? ■ 加藤明氏(京都ノートルダム女子大教授) ・ 確かな学力とは,指導要録の4観点と総合的な学習のねらいを合わせたもの。言い 換えれば「新しい学力観」でめざしてきたものと「総合的な学習」でめざすもの。 これを並列的に見るのではなく,どう構造化してとらえ,有機的に関連づけて位置 づけるか。 ・ 評価にこだわることの大切さ 授業は結果がすべて。いくらプロセスがよくても結果がよくなければその授業は成 立せず。指導法にこだわることはよいが,目新しさのみを求めて,目標達成が後回 し。結果に責任を持つ教育を行うために評価を活用する。指導の成果はあがっている か(出口にこだわる),その成果で十分なのか(入り口を見直す),成果を学習者に 返したか(評価結果を子どもに返したか)の3点にこだわる。 ・ 子どもたちは教師が期待するほどわかっていない。だからこそ指導の成果を確かめ ながら日々学習を展開する。 ・ 成果を知識・理解・表現・処理の観点から判断するだけでは不十分。わかる,でき る,覚えるといった成果を実現しながら,一人ひとりのものの見方・考え方・感じ方 をどう伸ばし,豊かにするか,さらにそれらの成果の統合したものとしてどのように 関心・意欲・態度を高めていくかまでの成果を実現させる。 ・ 目標と指導と評価の一体化 指導と評価の一体化だけでは不十分である。これは過去に掲載した私の勤務校で取 り組んでいる「目標分析」の概念と同じです。 ・ 評価を返す 個人内評価の導入を。一人ひとりに「間違いが少なくなったよ」「以前と比べてこ こが伸びているよ」「ここがこれからのがんばりどころだよ」と,一人ひとりの向上 や足あとをたどり,その成果を取りあげて個に返す。 ■ 山極隆氏(玉川大教授) 他の講師陣がある学校の総合的な学習の実践を絶賛したところ,「この学校の生徒た ちの学力習得状況はどうなっているのか聞きたい。未習得の生徒がいるのにそんなこと をやっている暇はないはず」などと,いつもの毒舌。 ・ 教育は時勢の流れによって規定される。経済の破綻や国際競争力の低下が現在の 「確かな学力重点主義」を呼んでいる。 ・ ゆとりとは,反復練習することができるゆとり,再チャレンジすることができるゆ とり,深く考えることができるゆとりであること。 ・ 小学校の場合,総合的な学習は教師主導で教科発展型(教科発総合的な学習行き) ・ 成果は事実に基づく証拠で語るべき。例えばNRTやCRTの数値結果で。 ・ 基礎基本が身についていないのに総合的な学習をやる余裕はないはず。発展的な学 習も総合的な学習の時間を積極的に活用。特に文章読解力や文章表現力,算数と関連 した応用力,理科と関連した探究能力の育成。 ・ 教員の資質や能力に応じた習熟度別学習を。能力の高い教師は発展的学習の内容を 全員に習得させるべく習熟度別学習に取り組むべし。そうでない教師は最低基準の完 全習得をめざす。 |
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| ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ [1]“幼児教育充実へ” ― 文科省、30地域で支援事業 ― ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 11月7日付け中日新聞朝刊に掲載されていた記事の紹介です。 …………………………………………………………………………………………………… 家庭や地域の子育ての力が下がっていると指摘される中で、文部科学省は来年度から、 小学校入学前の幼児教育を充実させる事業に本格的に乗り出す方針を固めた。保育カウン セラーによる教諭や親への相談事業や、幼稚園と小学校との連携推進の支援などを行う。 同省によると、来年度は全国約三十の市町村教委(未定)に、臨床心理士などの保育カ ウンセラーなどによる「幼児教育サポートチーム」を設置。幼児へのかかわり方に悩む幼 稚園教諭や親への相談、助言にあたるほか、保育所や児童相談所など地域の関連施設との 連携を強める。 また、幼稚園教諭と保育士、小学校教諭との人事交流や合同研修を実施。小学校の授業 への移行をスムーズにするためのカリキュラムの工夫なども支援する。 幼稚園児の約八割が通う私立幼稚園の多くは、教育委員会の管轄外。義務教育に比べ、 就学前の幼児教育への国の取り組みの遅れが指摘されていた。支援事業のほか、2006年度 からは幼稚園と保育所を一元化した総合施設を設置する新制度の実施が決定している。 支援事業の本格実施は、保育所を含めた幼児教育の分野で、主導権を発揮したい文科省 の思惑がある。 最近は、小学校入学直後の子どもが落ち着いて教師の話を聞けず教室を歩き回るなどの 「小1プロブレム」が問題化。幼稚園と保育所の果たす役割の重要性が、再認識されるよ うになっている。〈以上〉 …………………………………………………………………………………………………… 昨年10月,大阪府教育委員会1年生プロブレムなどの学級崩壊への対応策として小学 校と幼稚園の教員の人事交流を決めたという新聞報道がありました。 そのニュースを Vol.147で紹介しましたが,そのとき以下のような文を書きました。 …………………………………………………………………………………………………… この秋,幼稚園の運動会に出かけました。リレーや競争遊戯,そして表現など,おなじ みのプログラムですが,見ていた私はたいへん驚きました。「幼稚園児がここまでやれる のか?」という率直な驚きです。集合,整列,行進そして演技。見事にビシッとやれてい ました。1年生よりずっと立派でした。1年生は「赤ちゃん返り!」している,と思いま した。 その原因は?それは1年生を甘やかす担任の姿勢でしょう。「1年生だから・・・」と か「1年生にはちょっと無理では」とか,特別扱いです。いつまでたっても掃除の時間に 6年生に来てもらったり・・・,いつまでたっても給食を4時間目の途中で始めたり。1 年生の力を侮ってはいないでしょうか。子どもたちは敏感ですから,その状況にすぐ順応 し「できなくてもいいんだ」と思ってしまいます。やればできるのです,幼稚園ではでき ていたのですから。 そういった意味で小学校教師が幼稚園を体験することは大いに意味があります。幼保小 の連携が強く求められています。その意義はこのあたりにあるのではないでしょうか。 …………………………………………………………………………………………………… 今回の文科省の政策が具体的にどういう取り組みになるのか,興味があります。 |
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| ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ [1]第3の教育改革 ― 問われる教師の意識改革 ― ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 学校教育充実のためにさまざまな教育制度の見直しが進められています。こうした教育 改革が真に効果を上げるために,学校ではどのような対応が必要でしょうか。 平成の教育改革は「第3の教育改革」と言われています。寺子屋から学校となった明治 の第1の教育改革,戦後の民主教育のスタートとなった昭和の第2の教育改革,そして今 回の21世紀を展望した平成の教育改革です。 新しい教育に向け,教育施策が次々とうち出されています。しかし,「教育は人なり」 「教師が変われば学校は変わる」と言われるように,これを実際に推進する現場の教職員 が改革の新しい方向を深く理解し,その実現に力を尽くさない限り,教育改革は机上の空 論に終わります。キーワードは「教職員の意識改革と資質向上」なのです。 〈教育改革の視点〉 ・ 絶対評価の導入 ・ 二学期制の導入 ・ 少人数学級,少人数指導授業や習熟度別指導 ・ 開かれた学校・学校評価とその公開 〈その中心として「授業改革」〉 従来の授業は入試を意識した教師主導の教え込む授業でした。教育改革は,生きる力を 育成するために自ら学び,自ら考える力の育成を目指す授業への転換を求めています。 教師の意識を創造性,個性重視の授業に変えるため,次の点に努力を傾けなければなら ないと思います。 ・ 教職員全員で学校の実態(児童・家庭・地域)を分析し,21世紀を担う児童に とって欠くことのできない力は何か,それを育てるために学校教育をどう改革して いくかについての共通理解をもつ。 ・ 授業の指導法や評価などについての研修,特に授業実践を重点とし,体験的に理 解することにより授業改革を推進する。 ・ 個を生かし,わかる授業,できる授業を実現するため,少人数指導授業や習熟度 別指導,問題解決学習,ティームティーチング,一人ひとりの学習目標の設定,学 力評価よりも学習評価の重視などについてついての研修を充実させる。 |
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| ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ [1]続“養護学校”から“総合養護学校”へ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 前号の続きです。筆者であるKさんは,卒業後1年目に講師として特殊学級に勤務した 経験があります。その経験から論を展開します。 …………………………………………………………………………………………………… ● 自分の講師経験より 卒業後講師として勤務していた学校は、特殊学級が3学級ある学校だったのですが、 障害の種別にクラスわけをしているのでなく、1〜2年生で1クラス、3〜4年生で1 クラス、5〜6年生で1クラスというクラス編成でした。ですから、紹介された養護学 校のように、まさに自閉症の子がぴょんぴょん飛び回っている横で、脳性マヒの子ども が発作を起こして倒れているということがよくありました。 確かに担任の先生の負担は大きかったと思います。でもそのような環境のなかでの教 育は不可能ではないですし、思わぬ効果を生むこともありました。例えば、入学時には 絶対に友達と手をつないだり、友だちの名前を呼びかけることのなかった自閉症の子が 多動ですぐに教室を飛び出してしまう子と同じクラスで3年間学んでいるうちに、その 子と手をつなぐことができたり、教室を出て行こうとしたときに、「しゅんちゃん、だ め」などと声をかけることができるようになったりしたこともありました。 同じ障害の子ども同士で生活をしていたら、障害の特性にあった教育をすることがで きるのかもしれませんが、このような社会性というか、他の力はつかなかったのかもし れません。子どもはすごいです。何とか環境に適応しようと自分の精一杯の力を出そう としているように思います。その学校は特殊学級の扱いなので、8人までは子どもを受 け入れることができますが、教員として配属されるのは1人です。1人であっても、そ れぞれの子どもに個別の教育をしていました。 とてもいやな言い方をすると、危険だといって隔離することは簡単ですが、そうする ことによって、どんなメリットがあるかというと、考える必要があるように思います。 今のことだけでなく、その子の将来を考えたら、養護学校が総合性をもつことに全面的 に反対することはできません。 でも、総合性を持つとしたら、あらゆる障害の対応することのできる、質の高い教師 がもっともっと求められるのかなと思います。 今まではそのような総合的に支援をすることのできる人がいなかったから、特別な教 育を専門の知識をもった人が特別な場で特別な教育をしていたのかもしれません。こと ばで聞くと総合性をもつ養護学校があまりいいニュアンスで書かれていませんでしたが 現実にそのような状況でも、子どもの伸びを感じることのできる学校生活を送っている 学校があるのを見ているので、わたし個人の意見としては、反対ではありません。 ただ、教師側の負担が増えることは確かなので、それをどう受け止めるかという問題 はあると思います。 |
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| ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ [1]“養護学校”から“総合養護学校”へ 若き教師の訴え ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 特別支援教育に関する話題です。新しい枠組みの下,すでに養護学校が総合養護学校に なっているそうです。その結果肢体不自由児も知的障害児も一緒に学習するということに なっています。 体の不自由な子のそばを別の子が走り回っているという状況も見られるとのこと。危険 であるという理由で、総合養護学校になっていない他の学校へ転校したという例もあるそ うです。財政難という大きな問題があると思いますが,みなさんどうお考えでしょうか。 このことについて,私の知人の書いた小論を紹介します。どうぞお読みください。 …………………………………………………………………………………………………… 確かに、様々な障害の種別に分けて教育を行った方が、教育の効果を得ることができる のかもしれませんし、危険性という面からも、そのほうがいいのかもしれません。でも、 結局、なぜ学校で学ぶのかというと、社会にいかに適応することができるか、その力をつ けるためであったり、どうしたら少しでも社会の中でよりよく生きることができるかとい うことを考えたときに、そのための力をつけるために、学校という場で教育を受けている のだと思います。 特殊教育の最終的な目標として、自立であったり、社会参加であったり個々で異なるの だと思いますが、学校生活を終えた彼らが社会でよりよく生きるためには、様々な人たち の混在するなかで、生きていくことが必要だと思います。そう考えると、学校生活のうち に障害の種別に分けて教育することが、必ずしもいいとは限らないのではないかと思いま す。 よく特殊教育で問題になるのが、子供のうちは親が子供を守ることができますが、親の ほうが先に年をとるので、親が子供を守ることができなくなったらどうするのか、という ことです。そのときに支えてくれるのは、地域であったり周りの環境であるので、障害を もった子を別枠で教育してくことに疑問をもつこともあります。 日本では、従来から障害の種別に教育がされてきたので、障害を持っている子どもは、 自分の育った地域ではなく、特別な支援を受けることができる場で、特別な支援を受けて きました。当地には養護学校がないので、肢体不自由であればA市、知的な遅れであれば B市の養護学校などといったように、地域から離れて生活しなければなりません。 しかし、学校教育を終えると、最終的には自分の育ったこの地域に戻ってくることにな ります。そこで生活しようとしたときに、今までの仲間と離れてしまい、本来ならばいろ いろな人の支援を受けながら生きていくことが必要とされるのにも関わらず、その対象が 離れた地域にしかいないことにもなります。 特殊教育は、施設場の問題もあって健常児の学校と差別して捉えられてしまっているの かなと思います。 …………………………………………………………………………………………………… 実はこの後に「自分の講師経験を通して感じたこと」という段落が続きますが,長くな るので次号に掲載させていただきます。 お楽しみにお待ちください。 また,このレポートをお読みになってご意見などありましたら,ぜひともお寄せくださ い。執筆者への大きな励みにもなります。 |
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| ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ [2]学校図書館の整備と読書活動の充実 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 新学習指導要領による教育課程の編成・実施は3年目を迎え,学習指導がその中心課題 となっている。特に「自ら学び,自ら考える」という生きる力を育成するには,学習環境 がたいへん重要な位置を占める。学校図書館の整備は何より優先されるべきである。 また,平成13年には「子どもの読書活動の推進に関する法律」が制定された。こうし た中で,読書活動をいかに推進していくかは大きな課題である。 子どもが本を読まなくなったといわれる。各種調査結果からも勤務校の実態からも言え る。勤務校の場合,1週1時間の図書室優先利用時間が設定されているが,ほとんど活用 されていない。 もう一つの側面である「学習情報センター」としての位置づけも忘れてはならない。各 教科や総合の学習に対応できる資料をそろえたり,公共の図書館とのネットワークを築く など,子どもたちの知的好奇心を満たす環境も整えなければならない。 これらのことへの対応として, ・本を読みたくなる環境作り「心のオアシス」(ハード面とソフト面) ・利用しやすい机の配置や絨毯敷きなどの工夫,書架の配置,特設コーナー ・児童生徒の自主的な運営(広報活動や行事) ・保護者やボランティアによる読み聞かせ ・読書の習慣化を目指した教育課程づくり(朝の読書など) ・全学年を通しての系統的な指導計画 ・保護者への呼びかけ,市立図書館との連携,教職員の読書習慣 などが考えられる。 また,平成15年度から司書教諭が必置となった。司書教諭は教諭を持って充て,図書 館運営の専門的職務を掌る。(学校図書館経営の基本方針・読書相談・教師の教材準備の 援助・読書指導計画立案など)司書教諭がこれらの活動を円滑に進めるためには,教職員 の協力が不可欠である。学校運営全体の立場から,司書教諭の専任化や学校司書の配置が 望まれる。 |
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| ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ [1]人権教育の充実 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 「今さら」ではなく「今だから人権教育」なのです。先日の新聞報道で小学生の暴力行 為の増加が報道されました。文科省が言うように「学校教育における人権教育は知的理解 にとどまり,人権感覚が十分に育っているとは言えない」が正解ではないでしょうか。今 一度「人権教育」を見直してみてはどうでしょうか。 〈参考資料〉 人権教育の指導方法等のあり方について―第1次とりまとめ― 平成16年6月 人権教育の指導方法等に関する調査研究会議 …………………………………………………………………………………………………… ■ 人権教育の充実 各種の調査結果に表れているように,いじめや暴力など人権に関わる問題が後を絶た ない。さらには,児童生徒が虐待などの人権侵害を受ける事態も深刻化している。この ような実態を考えると,今まで以上に児童生徒をはじめ,社会全体に人権感覚を磨き, 実践化できるようにしていくことは急務である。 学校教育における人権教育は知的理解にとどまり,人権感覚が十分に育っているとは 言えない。指導計画や指導方法など方針を見直す必要がある。 学校教育における人権教育の目標の再確認。「自分の大切さと共に他の人の大切さを 認めること」それがさまざまな場面や状況下で具体的な態度や行動に表れるようにする こと。つまり,日常生活の中で人権上問題があるような出来事に接した際に,直感的に その出来事はおかしいと思うような感性や,日常生活において人権への配慮がその態度 や行動に表れるような人権感覚をも十分に身につけることが必要である。またより広い 視野から高齢者は障害者,同和問題などへの感覚も育てていくことが求められている。 具体的な指導方針としては,目標を明確にすることが重要であり,それによって組織 的な取り組みが可能となり,改善・充実のための評価の視点も明らかにしていく。自分 の人権のみならず他人の人権についても正しく理解し,相互に尊重し合う人権の共存の 考え方を育てていく。そしてそれが態度や行動に表れるようになることが求められる。 ・教職員における人権尊重の理念の理解と体得 ・学校教育活動全体を通じた組織的な人権教育の推進とその点検と評価 ・家庭や地域との連携及び校種間の連携 |
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| ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ [1]“栄養教諭(仮称)”制度 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 近年,食生活や生活様式の変化により,若年性糖尿病をはじめとする生活習慣病が子ど もたちに蔓延しています。また,体位は向上してきているが体力は落ちてきているという 実態も顕著です。この8月に私も「食に関する指導者講習会」に参加します。今,真剣に 考えねばならないときなのです。 こういった現状を踏まえ,平成14年の中央教育審議会答申「子どもの体力向上のため の総合的な方策について」において,学校における食に関する指導を充実する観点から, いわゆる「栄養教諭(仮称)」制度の創設が提言されました。 その中で「子どもの体力の向上を図るとともに、食に関する自己管理能力の育成を通じ て将来の生活習慣病の危険性を低下させるなど、子どもたちが将来にわたって健康に生活 していけるようにするためには、子どもたちに対する食に関する指導を充実し、望ましい 食習慣の形成を促すことが極めて重要である」と述べています。 以下に「栄養教諭(仮称)」についての中間報告の概要を紹介します。近いうち,司書 教諭と同じような感じで「栄養教諭」が学校に配置されるようになるのでしょうか。 ………………………………………………………………………………………… 食に関する指導体制の整備について(中間報告案)(概要) この中間報告は、平成14年の中央教育審議会答申「子どもの体力向上のための総合的 な方策について」において、学校における食に関する指導を充実する観点から提言した、 いわゆる「栄養教諭(仮称)」制度の創設に関し、具体的な審議を行った結果の取りまと めとして公表するものである。 第1章 基本的な考え方 1 食に関する指導の充実の必要性 子どもたちが将来にわたって健康に生活していけるようにするためには、子どもたち に対する食に関する指導を充実し、望ましい食習慣の形成を促すことが重要である。ま た、食に関する指導の充実は、「生きる力」の基礎となる健康と体力を育むほか、食文 化の継承、社会性の涵養などの効果も期待できる。 2 学校における食に関する指導の現状 ・・・・・・、その取組みは地域や学校ごとに区々(まちまち)であった。 3 食に関する指導体制整備の方向性 ・・・・・,学校栄養職員の持つ食に関する専門性に加え、教育に関する資質を身に 付けた者が食に関する指導を担えるよう、栄養教諭制度を創設すべきである。 第2章 栄養教諭制度の創設 1 栄養教諭の職務 栄養教諭は、食に関する指導と学校給食の管理を一体のものとしてその職務とするこ とが適当である。 (1)食に関する指導 児童生徒への個別的な相談指導 (2)学校給食の管理 (3)食に関する指導と学校給食の管理の一体的な展開 2 栄養教諭の資質の確保 ・・・・・,新たな免許状の創設を検討すべきである。・・・・,原則として管理栄 養士に相当する程度の専門性を確保できる制度設計を考慮し、また、教育に関する資質 は教職に関する科目の履修などによる担保を検討すべきである。 3 栄養教諭の配置等 栄養教諭の配置は義務的なものとはせず、公立学校については地方公共団体の、国立 及び私立学校についてはその設置者の判断に委ねられるべきである。 |
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| ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ [1]「子どもたちの生活の様子」調査結果 くもん子ども研究所が調査 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ くもん子ども研究所が「子どもたちの生活の様子」という調査を実施しました。2003年 11月の調査です。調査対象は全国47都道府県の小4〜高3の子を持つ父,母それぞれ 760人です。ちょっと驚く結果が出ています。 みなさん,この結果をどう考えますか。 …………………………………………………………………………………………………… ■〈親への調査〉の結果 ・「予習・復習をしない」……「別によい」46% ・「先生の言うことが正しくないと思えば、自分の意見をはっきり言うべきだ」 「運動会などでは、1等や2等など、順位をつけた方が良いと思う」 ……ともに90% ・「クラスメイトであっても仲良くなれない友達がいても仕方がない」 ……75% ・「学校の授業でも、個人の能力に応じた内容が学習できるよう考慮すべきだ」 ……72% ・ 授業態度について、「絶対によくない」と答えた親は 「授業が始まっても席に座らない」……98% 「携帯電話でメールしている」……97% 「先生の指示や質問を無視する」……96% 「マンガを読んだり、ゲームをしたりして遊んでいる」……94% 「授業が始まっても、教科書やノートを出さない」……94% 「友だちとおしゃべりをしている」……93% ・ 逆に、「別によい」と答えた親は 「さされるのが嫌で、目立たないようにしている」……65% 「予習・復習をしない」……46% 「宿題をしない」……16% 「居眠りしたり,他のことを考えている」……25% 「先生のいうことは守るべき」……9% …………………………………………………………………………………………………… 予習や復習をしなくてもよいという親,先生の言うことが正しくないと思えば、自分の 意見をはっきり言うべきだという親,仲良くなれない友達がいても仕方がないという親, さされるのが嫌なら目立たないようにしていてもよいという親,ちょっと前には考えにく い減少です。 諸富祥彦氏の著書「子どもより親が怖い」で紹介されている「宇多田ヒカル」型の母親 です。「子どもより親が怖い」については以前「書籍紹介コーナー」で紹介しました。 「子どもより親が怖い―カウンセラーが聞いた教師の本音―」 青春出版(新書) ¥667(税別) 著者は千葉大助教授(現明治大学)で,長年カウンセラーとして多くの子どもたちや親 たちと関わってこられました。最近では「教師を支える会」の代表として全国の教師の相 談に乗っておられます。本書はそんな著者が聞いてきた教師の本音が赤裸々につづられて います。 関心がおありの方,ぜひご一読を。 |
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| ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ [1]“指導要領”を読み解く ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 指導要領を読み込む,なかなかできませんね。しかし,必要に迫られればだれでも読む ものです。単に,スーっと読むだけではわからないことがらも,熟読すればいろんなこと が見えてきます。立教大の奈須先生は,職場に1冊,自宅に1冊,そしてカバンの中に1 冊,いつでもどこでも読めるように3冊常備しておられるそうです。 各教科の解説編は「見る」のではなく「読む」,さらに「読み込む」ことが大事,とは 奈須先生の弁です。私も取り組んでみました。以下はあくまでも私個人の解釈です。 …………………………………………………………………………………………………… 〔第5学年〕 1 目 標 (1) 我が国の産業の様子,産業と国民生活との関連について理解できるようにし,我が 国の産業の発展に関心をもつようにする。 ――――――――――――――――――――――――――――――――――――― ○○を理解した上で,△△に関心を持ちなさい,というわけです。「関心を持つ こと」が目標なのです。しかし,ただ持てればいいというわけではなさそうです。 そのために「産業の様子」と「産業と国民生活との関連」を理解できるようにして おきなさいということなのですね。 ですから,私たちは,まず「我が国の産業の様子」「産業と国民生活との関連」 について十分な指導をしなければならないのです。 そして,この指導内容は事細かに2「内容」に書かれているのです。そこにはこ うやって調べなさい,という「調べ方」までも記述されているのです。〉 ――――――――――――――――――――――――――――――――――――― (2) 我が国の国土の様子について理解できるようにし,環境の保全の重要性について関 心を深めるようにするとともに,国土に対する愛情を育てるようにする。 〈 省略 〉 (3) 社会的事象を具体的に調査し,地図,統計などの各種の基礎的資料を効果的に活用 し,調べたことを表現するとともに,社会的事象の意味について考える力を育てるよ うにする。 〈 省略 〉 2 内 容 (1) 我が国の農業や水産業について,次のことを調査したり地図や地球儀,資料などを 活用したりして調べ,それらは国民の食料を確保する重要な役割を果たしていること や自然環境と深いかかわりをもって営まれていることを考えるようにする。 ア 様々な食料生産が国民の食生活を支えていること,食料の中には外国から輸入し ているものがあること。 イ 我が国の主な食料生産物の分布や土地利用の特色など ウ 食料生産に従事している人々の工夫や努力,生産地と消費地を結ぶ運輸の働き ――――――――――――――――――――――――――――――――――――― 一言でいうと「調べて」「考える」ことがねらいです。何を調べるのかというと 「ア」と「イ」です。そして「国民の食料を確保する重要な役割を果たしているこ とや自然環境と深いかかわりをもって営まれていること」を考えるのです。 また,調べるにあたっては「地図や地球儀,資料などを活用」と,方法も示され ています。 ――――――――――――――――――――――――――――――――――――――― (2) 我が国の工業生産について,次のことを調査したり地図や地球儀,資料などを活用 したりして調べ,それらは国民生活を支える重要な役割を果たしていることを考える ようにする。 ――――――――――――――――――――――――――――――――――――― (1) は農業についてでしたが,ここは「工業」について書かれています。 ――――――――――――――――――――――――――――――――――――― ア 様々な工業製品が国民生活を支えていること。 イ 我が国の各種の工業生産や工業地域の分布など ウ 工業生産に従事している人々の工夫や努力,工業生産を支える貿易や運輸の働き ――――――――――――――――――――――――――――――――――――――― (3) 我が国の通信などの産業について,次のことを見学したり資料を活用したりして調 べ,これらの産業は国民の生活に大きな影響を及ぼしていることや情報の有効な活用 が大切であることを考えるようにする。 ――――――――――――――――――――――――――――――――――――― ここは「通信・運輸」についてです。ここで特徴的なのは「見学したり」というこ とばが使われていることです。「見学学習」が有効であるという認識が必要でしょ う。 ――――――――――――――――――――――――――――――――――――― ア 放送,新聞,電信電話などの産業と国民生活とのかかわり イ これらの産業に従事している人々の工夫や努力 ――――――――――――――――――――――――――――――――――――――― (4) 我が国の国土の自然などの様子について,次のことを地図その他の資料を活用して 調べ,国土の環境が人々の生活や産業と密接な関連をもっていることを考えるように する。 ア 国土の位置,地形や気候の概要,気候条件から見て特色ある地域の人々の生活 イ 公害から国民の健康や生活環境を守ることの大切さ ウ 国土の保全や水資源の涵養のための森林資源の働き ――――――――――――――――――――――――――――――――――――― ここで特徴的なことは,今まで「次のことを調査(見学)したり地図や地球儀,資 料などを活用したりして調べ」という表現でしたが,「調査(見学)したり」という ことばが消えていることです。調べる対象の関係でしょうが,ここは「資料活用」が 主体であろうと判断できます。 ――――――――――――――――――――――――――――――――――――――― 3 内容の取扱い 〈 省略 〉 |
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| ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ [1]もっと知ろう! ―特別支援教育 その2― 若い教師のレポートを分析します・・・・ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 前回に続き「その2」を紹介します。 添削担当 塚田直樹先生:群馬県太田市立沢野小学校(教諭) 今年度、(独)国立特殊教育総合研究所 長期研修員(情緒障害教育研究部) 「……線に挟まれた部分が原文で,■以下が添削部分です」 ………………………………………………………………………………………………………… 知的障害というのは、知的能力が低くて社会に適応できない可能性のある子です。軽度 の知的障害(特殊学級対象の児童)はIQが確か50〜70くらいの子だと思います。違 っていたらすいません。調べておきます。 ………………………………………………………………………………………………………… ■「教育上特別な取扱いを要する児童・生徒の教育措置について」 (昭和53年10月6日、文初特第309号、文部省初等中等教育局長通達) http://gauguin.nise.go.jp/db1/html/tk17.html に詳しいです。 「上記の309号通達以来、「知的障害」に該当する場合は、養護学校ないし特殊学級 の「固定級」に措置し、IQが75を 越えるような「境界線児=ボーダー児」につい ては、通常学級で対応するというのが、文部省の一貫した考え方。」 http://www.amy.hi-ho.ne.jp/yamaokash/kaisetsu_to_120.htm ………………………………………………………………………………………………………… でも、文部省は自閉症を情緒障害に分類していますが、実際に自閉症というのは、情緒 面で障害があるのでなく、脳の障害なのです。だからどうして情緒障害に分類されている のか疑問に思います。 ………………………………………………………………………………………………………… ■こちら、正確には、「情緒障害教育」の対象としているということですね。 ■「自閉症は情緒障害ではなく、脳の器質的障害が原因で生じる発達障害で、脳の本質部 分での障害が生涯にわたってほぼ一定して存在します。病気の原因は、まだ確定できて いません。」 http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/20a/20020715wm01.htm 治らないと言われていますが、適切な対応で症状の改善は致します。 ■詳しく書くと長くなります。 『自閉症』(児玉収介著、講談社現代新書)にいきさつが書かれております。 【要約】すると、次のようです。 『昭和42年に文部省が行った児童の心身障害に関する実態調査の中に「情緒障害」の 項目が含まれ、これを担当した委員会が「情緒障害」の用語を規定する際、「自閉症」 を含めてしまったことが原因』 ………………………………………………………………………………………………………… 軽度発達障害については、知的障害・肢体不自由・情緒障害などの障害の総称なので、 ADHDやLDだけではありません。上にあげたこれまでに対象となっていた子に新たに ADHDの子たちが加わったという形だと思います。 ………………………………………………………………………………………………………… ■これは、違うようです。 「軽度発達障害」とは、「精神遅滞がIQ70以下ではないLD(学習障害)、ADHD(注意 欠陥多動性障害)高機能広汎性発達障害など」を言うようです。 http://www.sky.icn-tv.ne.jp/~kyd/hattatushougai.htm http://www.a-spectrum.net/~ring/hattatu.htm ………………………………………………………………………………………………………… ADHDの子やLDの子、アスペルガーの子は、脳の障害なのです。しかも、自分の意 思とは違って脳が正常に働いてくれないために、起こってしまう障害です。 だから、怠惰ではなく、自分ではわかっていてもどうしてもできないそうです。勉強嫌 いの子と、ADHDなどの障害の子との大きな差は、脳の異常があるかどうかだと思いま す。 ………………………………………………………………………………………………………… ■そうなのでしょうか? 「しましま島の男の子」 http://village.infoweb.ne.jp/~asakura/adhd.htm に詳しいようです。 ●ADHDは治るの? http://village.infoweb.ne.jp/~asakura/tekuteku/about-ad.htm#adhd05 ■「異常」という表記に、違和感を感じました。 以上です。 |
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| ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ [1]もっと知ろう! ―特別支援教育 その1― 若い教師のレポートを分析します・・・・ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 特殊教育を専攻した若い先生からレポートをいただきました。特殊教育は特別支援教育 と名を変え,大きく変わろうとしています。今まで特殊教育に関わったことのない教師も これからは無関心でいられません。 せっかくのレポートですので,いっそう中身のある深いものにしたいと考え,塚田先生 に添削していただくことにしました。書いた先生も「とても良い勉強になります。ぜひお 願いします」ということで,このMMに公開することにも同意していただきました。一人 でも多くの方に役立てば,という願いからです。ぜひ熟読をお願いします。 添削をお願いしたのは, 塚田直樹先生:群馬県太田市立沢野小学校(教諭) 今年度、(独)国立特殊教育総合研究所 長期研修員(情緒障害教育研究部) 「……線に挟まれた部分が原文で,■以下が添削部分です」 *長文ですので,2回に分けて掲載させていただきます。 ………………………………………………………………………………………………………… 私が学んでいころの特殊教育とはどんどん変わってきていて、自分の勉強不足を改めて 実感します。同じ障害でも、環境や個人によってとても大きな差のあるこの分野は、本当 に難しいです。実践に基づいた支援ツールは、紹介することができますが、しっかりと説 明できるだけの知識はないと思います。理論的な部分で弱いです。申し訳ありません。 ………………………………………………………………………………………………………… ■お子さん一人一人の障害の程度が多様であるのですが、多くのお子さんに「構造化」と いう手法は有効です。(詳しく書けずすみません) ………………………………………………………………………………………………………… まず、これまでの「特殊学級」と呼ばれていた心身に障害のある子のために特別に設置 された学級は、ほとんど知的障害を対象としていると思います。もっと昔は精神薄弱と呼 ばれていた障害です。でも、○△小学校のように、肢体不自由児や病・虚弱児、弱視児、 難聴児、言語障害児、情緒障害児を対象とした学級もあります。これらの学級では、個別 の支援計画のもとに、個別の支援がされているわけですが、それを通常学級の教師が行お うと思ったら、支援の方法も多様でなければなりませんし、支援のための教具を準備する だけでもとても大きな費用がかかると思います。 ………………………………………………………………………………………………………… ■個別の「個別の支援計画」というのは、 「個別の指導計画」のことと思います。 http://www.aichi-c.ed.jp/contents/tokusyu/plan/top/top1.htm *ちなみに、「個別の教育支援計画」は、就学前・後も対象となるものです。 まだ作成されていないところが多いことと思います。 http://www.mext.go.jp/b_menu/public/2002/021004b.htm こちらは、石塚調査官の説明です。 http://kids.gakken.co.jp/campus/jiritu/billbord/02_01.html ■特別支援教育コーディネーターや特別支援教室(仮名)の担当が行うものと思います。 東京では、通級指導学級の先生が連携されていました。 ………………………………………………………………………………………………………… 今までの特別な支援を必要とする児童以外に、これからADHDやLDも対象者となる のだとしたら、特殊学級が存在する今の段階では、通常学級にいたこの子たちも、特殊学 級の対象者となるということなのでしょうか。このへんがよく分かりません。 ………………………………………………………………………………………………………… ■知的障害のない障害児も対象とするということのようです。今回の改革で、対象範囲が 広くなるということですね。 ■「通級指導」など、今の制度の中でできる取り組みからしていいんですよ、という「方 向性」が出たということだと思います。 ………………………………………………………………………………………………………… 今後、特殊学級をなくそうという動きがあるのなら、言葉の面で特別支援教育と名前だ け変えてしまっても、さらにこの子たちを他の子と別格としてとらえてしまうことにつな がってしまうのではないかと思います。 ………………………………………………………………………………………………………… ■法律を改正し、特殊学級をなくすという動きがあります。(その代わり、校内の通級指 導教室のような特別支援教室(仮名)が設置される予定です。)そのため、この改革 は、 「通常の先生方の意識改革にかかっている」という主張もございます。 ■「別格」という表現は変ではないでしょうか。支援が必要なのに、今まで十分されてい なかった子達に対して、きちんと対応していこうという改革です。差別の問題について は、別に議論すべきことと思います。 ………………………………………………………………………………………………………… 情緒障害と知的障害の違いですが、文部省では、情緒障害を、登校拒否、緘黙、精神 病、脳障害。自閉症、その他と分類していました。情緒障害は、感情面や情動面の問題が 原因となって、特別な支援を必要とする子たちです。チックの子や、吃音の子たちも情緒 障害に含まれるわけですが、知的な遅れはない子です。 ………………………………………………………………………………………………………… ■何かの資料をご覧になったのでしょうね。知的な遅れのある子も、実際は情緒障害学級 に在籍します。 ■吃音(きつおん)は、聴覚・言語障害教育の対象に含まれますので、誤りと思ったので すが、千葉の特殊教育センターのページには、対象として入っておりました。 ⇒ http://www1.ice.or.jp/~tokuse/syougai/syougai7.html ◇(独)特総研のwebには、次のように書かれていました。 「自閉症をはじめ、注意欠陥/多動性障害(ADHD)、不登校、神経症、 かん黙など、幅広い要因によって生じる情緒障害を対象としています。」 1.自閉症 2.その他の情緒障害 というように二つのタイプに大きく分けられます。 (「不登校」は心因性のものです) ◇こちらは、お恥ずかしいながら塚田のレポートです。 (『新しい就学基準とこれからの障害児教育』を参照) http://bookweb.kinokuniya.co.jp/htm/4805823372.html ================================================================== 1.情緒障害教育の対象 情緒障害とは、情緒の現れ方に極端な偏りがあったり、現れ方が激しい ときに自分の意思ではコントロールできにくかったりする状態である。 情緒が激しく現れることが、幾度も繰り返され、極端な現れ方をして学 校生活や社会生活に支障となる場合がある。このような場合の子どもにつ いては特別な教育的対応が必要であり、情緒障害教育の対象となる。 情緒障害の対象は、その原因や特性、特別な教育的な配慮や指導の内容 の違いから、およそ次の二つのタイプに分けられる。 (1)発達障害に包括される障害で、自閉症またはそれに類するもの 高機能自閉症やアスペルガー障害なども含まれる。 (2)心理的な要因の関与が大きいとされる社会的適応の困難な状態を総 称するもの 選択性緘黙、不登校などがあげられる。 その他の情緒障害の状態としては、多動(自閉症による場合を除く)。 また、チック、夜尿なども問題になる場合は対応すべき対象となる。 ================================================================== ◇宮城県庁障害児教育室 http://www.pref.miyagi.jp/syougaiji/ ⇒「各種資料・様式のダウンロードはこちらから」 ⇒「情緒障害」(下から二つ目) にも、詳しい資料がございます。 〈以下,次号に続く〉 |
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| ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ [2]標準化学力テストの活用法 ―教研式CRTを例として― ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 1月になると学力テストを実施する学校もあると思います。返ってきた資料をどのよう に活用していますか?以下は私の勤務校で配付した資料です。参考にしてください。 …………………………………………………………………………………………………… 1 標準化学力テストの種類 ?〈CRT〉目標基準準拠学力テスト(絶対評価)……本校実施 ・実現すべき基準(目標基準)を設定し,それに基づいて解釈される学力検査 ・学年で習得が期待されている学習内容がどの程度実現されたかがわかる。学年末の 実施が適当。 ?〈NRT〉集団基準準拠学力テスト(相対評価) ・全国的な集団に実施し,その測定値で算出した基準(集団基準),例えば平均点な どに基づいて尺度がつくられている学力検査であり,学力偏差値が出される。 ・子どもの学力が全国的に見て上か下かという相対的位置がわかる。 2 テストバッテリーについて ある目的を達成するために用いられるテストの組み合わせのこと。例えば「知能検 査」と「学力検査」「学習適応性検査」の3つの組み合わせがよく知られている。 一般的には「知能検査」と「学力検査」のテストバッテリーを採用しているところが 多い。両者 の測定結果を比較検討し,「アンダーアチーバー」「バランスドアチーバ ー」「オーバーアチーバー」 を判定する。 * アンダーアチーバー・・・・・・・・能力相応以下 何らかの原因で,持てる力が発揮されていない状態。学業不振の原因を探り, それを排除することが求められる。 * バランスドアチーバー・・・・・・能力相応 * オーバーアチーバー・・・・・・・・能力相応以上 持てる能力以上の学力が発揮されている。これは好ましい状態とは言えない場 合もある。例えば,何らかの形で学習を強制された結果である場合がある。嫌が る塾通い,保護者による押しつけ学習などの結果であれば問題となる。 しかし,本来は「知能偏差値」と「学力偏差値」とで比較するものであるから,CR Tでは測定できない。しかし,教研式の場合「知能―CRT相関表」がそれに代わるも のとしてついてくるので,およそ判断できる。名簿に知能偏差値を記入して一緒に提出 してください。 3 実施上の注意 ・ 実施の手引きをよく読んでおく。 ・ 聞き取りがあれば事前に読む練習をしておく。 ・ CRTの場合は,未学習の設問は実施しなくてよい。あとでそこをカットした修正 尺度で測定するようになっている。学年でよく相談しておく。到達度を検査するた め,未学習問題をやってしまうと正しい検査結果が得られません。 4 CRTの結果の表し方 ・ 学力水準が総合した正答率で表される。 ・ 各観点の実現の状況が3段階評定,正答率(達成率),プロフィルで表される。 ・ 学年,学級内での位置の5段階評定(3段階評定) ・ 1問ごとの正答数,正答率,誤答数 5 結果の生かし方 ・ 家庭訪問などで,よくできているところ,できていないところ,その間の学習態度 や努力について報告し,合わせて家庭での様子を聞き,これからどうしたらよいか話 し合う。 ・ 自分の評定を補正し妥当性を高めたり,評価基準の見直しの資料とする。 ・ カリキュラムや指導法の反省と改善,各個人の今後の指導法の参考資料とする。 ・ 学業不振児を診断し,適切な指導の手だてを考える。 ・ 少人数などのグループ編制,学級編制の資料とする。 ・ 指導効果の判定と指導法の反省,改善の資料とする。 ・ 児童一人ひとりの必要に応じた学習の仕方を指導するための資料とする。 ・ 教師作成の評価基準による評定と学力検査の結果を比較し,実現状況や評定の分布 に違いが大きいようであれば,その原因を検討する。 |
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| ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ [2]私の勤務校での「習熟度別少人数学習」授業研究 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 10日(水),私の勤務校で「習熟度別少人数学習」授業研究会が実施されます。本校 で実施されている「習熟度別少人数学習」は算数のみで,単元途中から「習熟度別」に分 かれるという方式です。 つまり,単元の前半は等質2グループに分け,毎時間自己評価を重ね,「よくわからな くなってきた」という声が出始めたら「習熟度別グループ」に分けます。選択は子どもた ちの判断に任せます。 今回の研究授業は単元のはじめから「習熟度別グループ」に分けます。初めての取り組 みです。参観にあたっての資料の概略を掲載します。 …………………………………………………………………………………………………… 3 授業の視点 (1) ねらい ・学習形態を工夫することで子どもの力をより伸ばす。 ・子ども同士で教え合う場を設定することで,お互いに学び合う力を伸ばす。 ・子どものつまずきを的確に捉え,指導の改善を進めるために指導と評価の一体化を 図る。 (2) ここまでの少人数指導学習 クラス編成は子どもの希望を優先させ,ほぼ等質の2グループによる学習を進めて きた。以下にあげるような等質グループの良さを生かし,基礎・基本を重視し,全体 のレベルアップを図ってきた。 ・さまざまな考えを引き出すことができる。 ・子ども同士の教育力を引き出すことができる。 ・未到達の子に対する個別指導の時間が多くとれる。 しかし,指導を続けるうちに次のような疑問を持つようになってきた。 ・到達児の伸びる力を伸ばし切れていないのではないか。 ・未到達の子は教えられるだけの立場となり,苦手意識を助長していないか。 (3) 本単元で「習熟度別学習」を導入する根拠 本単元「わり算2」はさまざまな考えを引き出すというより,既習の学習を生かし て,2位数で割る計算の仕方を習得していく学習である。「わり算1」の学習でつま ずいた子も本単元で確実にわり算の計算ができるようにすることがねらいである。 そこで,ここでは習熟度別学習を計画した。習熟度別学習のマイナス点として以下 の2点が上げられる。 ・さまざまな考えが出にくい。 ・一人ひとりの子に対する個別指導の時間が減る。 1点目に関しては,指導のねらいからも本単元では必要としない。また,2点目に 関しても,教師の力だけでなく,子どもたちの教育力を生かす取り組みをすることで 解消できると考える。 (4) 評価に関して ○ 毎時間の評価 授業実施ごとに子どもの到達度を評価する。その具体策として,授業の終わり5 分を利用してチェックテストを実施する。その結果と授業の様子を評価することで 子どもの目標への到達度,そして指導の問題点や次時の指導の方向性を検討する。 ○ 小単元ごとの評価 児童の自己評価により,指導のあり方を児童がどのように受け止め,どのように 感じているかを知ることでその後の学習形態や指導のあり方を検討する。この結果 により,コース変更なども行っていく。 |
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| ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ [2]問題です!“小1プロブレム” ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 10月26日発行の 105号で紹介した[大阪府で“小学校と幼稚園で人事交流”実施]に続 く“幼保小連携”の話です。この時,私は幼稚園の運動会を参観して ―1年生は「赤ち ゃん返り!」その原因は?それは1年生を甘やかす担任の姿勢でしょう。「1年生だから ・・・」とか「1年生にはちょっと無理では」とか,特別扱いです。― と書きました。このことについては,様々なご意見をいただきました。 今日はこのことに関して「1年生プロブレム」を紹介します。総合教育技術(小学館発 行)の今月号に掲載されていました。 「今までとどこか違う今年の1年生」「授業にならない」「生活のけじめがつかない」 などなど。皆さんも感じたことはありませんか? 大阪府人権教育研究協議会の新保真紀子氏は,こういった現象を次のように定義づけて います。 「一見,学級崩壊によく似た現象だが,思春期前期の高学年の学級崩壊とは異なり,幼 児期を十分育ち切れていない子どもたちの引き起こす集団未形成の現象」 「1年生に起きる,授業不成立を中心とした,学びと暮らしと遊びのクラス機能が不全 に陥った状態」 同氏は,その原因は複合的であり,大きくは次の6点である,としています。 1 群れ遊び体験不足や人間関係トレーニング不足 2 子育ての未熟さ 3 子どもも親も自尊意識が低く,達成感が少ない 4 就学前教育と学校教育の段差拡大 5 自己完結し,連携の少ない学校と園所 6 今の子どもにミスマッチな学校文化や教育システム 私が注目したいのは4,5,6です。これらの原因は幼保小の連携の範囲内で,ある程 度解決可能ではないかと考えます。例えば「幼保小の連携」の実態はどうでしょうか。小 と中はかなり連携がとれています。しかし,幼保小に関しては年に1〜2回連絡会が開か れる程度です。この点をクローズアップするだけでも何か変化が起きそうです。 新保氏の提言が大きく広がっていくことを期待しています。 |
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| ──────────────────────────────────────── [1]教師のための“アサーション” ──────────────────────────────────────── 先日名古屋の大型書店で偶然見つけた「教師のためのアサーション」という本。アサー ションって何だろう?と思い,しばし立ち読みしました。 『自分の言いたいことが言え,まわりに聞いてもらえ,また,周りの言うことも自分が聞 けるという実感を持てるなら,私たちはその場を「居場所」と感じることができます』 という冒頭の文につられて購入しました。 「アサーション assertion」とは,ひと言で言うと「自己主張」となりますが,次のよ うな概念で用いられています。 ― 自分の考え,欲求,気持ちなどを率直に,正直に,その場の状況にあった適切な方 法で述べること ― 自分の言いたいことが言え,まわりに聞いてもらえ,また,まわりの言うことも自分が 聞けるという実感を持てるなら,私たちはその場を「居場所」と感じることができます。 日々の生活の中で長時間身を置いている場を「居場所」と思えるか否かは,個人の幸福 感や自身に大きく作用します。学校や教室が子どもにとって,同時に大人である教師に とっても,少しでも「居場所」に思えるようにするために「アサーション」の果たす枠割 りは大きいのではないでしょうか。 …………………………………………………………………………………………………… ■ アサーションって? ・ あなたが買い物に行ったとき,店員さんがいろいろ探して出してくれました。でも その中に気に入るものがありません。そんなとき,あなただったらどうしますか? ・ あなたは大好きなテレビ番組を観ています。そのときに,友達が電話をかけてきて 愚痴をこぼし始めました。そんなときはどうしますか? ・ 家族と同居をしている場合,家族が食事の後かたづけや洗濯,掃除などを当然のよ うにしなかったらどうですか? ・ 上司や先輩から批判されたらどう反応しますか? ・ 誰かに自分の仕事をほめられたらどうでしょうか? アサーションを実践するチャンスは,こういう何気ない日常の中にいつもあります。 相手の権利を奪わない形で自分の正直な気持ちを率直に表現し,そのことで自分が不 愉快にならない,そんな人との関わり方が「アサーション」です。 ■ アサーションのポイント 1 自分の正直な気持ちに気づく 「こうあるべき」とか「こうしなければならない」というところで修正したものを 自分の気持ちと思っていることが多いもの。頭で考え,修正する前の自分の気持ちを まず,感じ取る。 2 自分の正直な気持ちを大切にし,ごまかしたり否定したりしない 「自分の正直な気持ち」を修正しないことは,その気持ちに誠実であるということ です。そしてそれは,自分を偽らないで相手に接するということで,相手に対して誠 実に接することにもつながります。 3 自分も相手も対等な関係であることをしっかりおさえておく 相手と向き合うときには,自分も相手も尊重します。つまり,相手を見下したり, 自分を卑下したりしないで対等に接します。 4 伝えたいことを屈折させずに表現する 人に自分の気持ちや要求を伝えるときには,どなったり,弁解したり,遠回しに言 ったりしないで,率直に表現することが大切です。 5 表現したことについて,自分を責めたり不愉快になったりしない 自分の気持ちや要求を表現した結果,自分が望んでいない反応を相手が返す場合も あり得ます。でも,相手がどう受け取りどう反応するかは,相手の領域。その反応に よって,表現をした自分を責めたり不愉快になったりしないことは大切なことです。 ■ アサーションの魅力 「言いたいことが言えない」「断りたいのに断れない」「引き受ければ自分が大変に なるのはわかっているのに,引き受けてしまって,相手を恨んだり,自分を情けなく思 ったりする」「いつもにこやかに振る舞っている自分がとてもいやになってしまう」 など,人との関係がうまくいかないことで人間関係に疲れてしまうことはありません か。今まで私たちは,それを自分の性格のせいにしたり,人間関係にはよくあることだ と納得させたりしてきました。 でも,実はよりよい人間関係を築くためのコミュニケーションの方法を学んでこなか ったのではないでしょうか。 私たちが小さい頃から身につけてきたのは,いつも相手の気持ちばかりを優先させて しまう自己犠牲的なコミュニケーションの方法だったり,逆に相手に自分を押しつける ような方法でした。そのため,人との関係がうまくいかなくなってしまっていたので す。 「自分の感じ方や考え方を大切にしていいこと」「感じ方,考え方は人と違っていて いいこと」「自分の中の『いやだ』という気持ちを伝えても,つながっていける関係が あること」などに気づくことで,人との関係のあり方が変わっていきます。 そして,それ以上に大きな変化は,自分自身のあり方かもしれません。自分の人生を 自分で選び取っていっているという感覚や,背伸びをしたり無理をしないで,等身大の 自分でいてもだいじょうぶという感覚が,自分の中に少しずつ広がっていくこと。つま り,私自身の中の力に気づいていくことができる,それがアサーションの一番の魅力な のではないかと思います。 ■ アサーション・ワークショップ アサーティブな自己表現をするためには,それまで長い間かけて自分のものとしてき たパターンに気づくことが必要です。そして,その中で変えたいものを変えていくため の練習が必要になってきます。 その「気づき」と「練習をする」ためのトレーニング講座として,アサーション・ワ ークショップがあります。その中で,自分の気持ちは自分にとって大切なものだという ことを受けとめ,相手を傷つけたり,防衛的にさせたりしない,率直で適切な表現を学 びます。 …………………………………………………………………………………………………… ・本文は次のHPを参考にまとめました。 「心のサポートセンター ウィズ」http://www5a.biglobe.ne.jp/~with3/index.htm ・さらに関心をお持ちの方に次の参考文献を紹介します。 「教師のためのアサーション」 園田雅代・中釜洋子・沢崎俊之:編著 金子書房 |
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| ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ [1]「教師の現象学―近未来の教師像」 マルチ批評家 小浜逸郎氏 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 小浜氏は第87号で紹介した「頭はよくならない」(洋泉社新書y¥740)の著者です。 マルチ批評かということになっていますが,教育関係の小論も数多く書いています。 今号では「教師の現象学―近未来の教師像」を紹介します。 見出しにしたがって概要を紹介します。 …………………………………………………………………………………………………… 1 学校教育の現状とその背景 見出しのことについて語る前に,現在の教育環境を正しく把握しておきたい,という 内容が記述されている。 2 あるべき公教育の姿 私の考えでは、低年齢の子どもを対象とした公立義務教育の役割は次の二つに絞られ る。一つは基礎学力をしっかり身につけさせること。そしてもう一つは、社会集団の中 で生きていくためのルール感覚を養うこと。この二つが満たされるために、小中学校で は必要十分な時間が確保されなくてはならない。 まずクラスの人数を思い切って減らすべきである。私は、一クラス20人くらいが適正 規模であろうと考えている。このくらいの規模に押さえることによって、教師はより緊 密な指導を実現することができるし、生徒もよい意味の緊張感を持って授業に取り組む ことができる。 また、習熟度別クラスの厳密な実施や、比較的平易な小学校卒業資格試験の実施など も大いに考えられてよいアイデアである。公立義務教育は、なによりも学級崩壊現象に 象徴されるような、今の小中学校に蔓延している惰性的な雰囲気、教師を悩ませるだけ のだらけた雰囲気から脱却して、新しい形での緊張感を取り戻さなくてはならない。 義務教育の最大の役割は基礎学力の徹底である。国語、算数、理科、社会のような主 要科目には多くの時間を割くべきである。しかしいわゆる技能教科、音楽、美術、家庭 科、保健体育などに対しては、学校教育の中ですべて果たされなくてはならないという 考えはもう古いと思う。現在も疑われることなく実施されているこの総花的なカリキュ ラムは、近代公教育の立ち上げ期に、子どもの人格形成のすべてを学校教育で養成すべ きだという理念に基づいて作られた制度の名残りであって、実際にはあまりその理念通 りの効果を生んではいず、むしろいまの子どもたちは学校外の民間教育に頼ることによ って、情操面や身体面の発達、向上を果たしている傾向が目立つ。公教育のカリキュラ ムを削減するとすれば、こうした科目に焦点を合わせるべきである。 「学校のスリム化」に意義があるのは、学校に子どもの全人格的な発達の課題をすべて 背負わせてきたこれまでの学校依存の体質が、ことに生活指導的な側面などにおいて教 師の負担を過重なものとし、教師の無力感を増大させるとともに、教師と生徒、教師と 親との間の信頼関係を崩す結果を生みだしてきたからである。私たちはこれからは、一 人の親として、また一人の市民として、子どもの問題をすべて学校に背負わせて責任を 何でも先生に押しつけるのではなく、子どもの養育課題のそれぞれを、自分自身や、学 校外の多様な民間教育機能に適切に配分し直すことを考えていくべきだと思う。 3 近未来のあるべき教師像 まず学校教師は、特に基礎学力の育成において効果的な指導能力を保持していなくて はならないことはいうまでもない。だがそれに加えて、子どもたちが現代社会で自立し た個人として生きていく力とか、市民社会の一員としてのまともなルール感覚を身につ けるための人格教育的な面において十分な指導力を発揮することが求められる。 古い話で恐縮だが、かつてこれから教師を目指す人のためのある雑誌で、「いま、教 師の仕事を考えるならば、そこに欠かせないこととは何だろうか?」という題でコメン トを求められたことがある。ここで語ったことは、現在でも有効と思われるので、次に それを掲げてみる。 ・大きな声を出す気力 ・授業をきちんとこなす学力と計画性 ・授業妨害の動きに対する決然とした態度 ・過度の教育的情熱の抑制 ・生徒集団の多様な動向に対する日常的観察眼 ・四分の親切心と六分の突き放し感覚 ・生徒の学力や関心の平均的な質に対する指導内容の適応性 これは要するに、個人主義的になったいまの子どもたちに向き合うときのサバイバル 術を強調したものだ。私は、これからの学校教師は、失墜してしまった権威を新しい形 で復権することが重要な意味を持っていると思う。正しい意味での権威とは、ただ権力 を笠に着て威圧することではなく(そんなことをしても逆効果にしかならない)、活力 と実力によって生徒をうまく魅きつけることである。また、自分の教師としてのサバイ バル戦略をしっかり立てることが、結局は生徒の心をつかむことにつながるのである。 「子ども中心主義」的な理想に偏って生徒のその時々の気分にやたら「理解ある」姿勢 を見せることは、多人数の寄り合い所帯である学校のような場では、かえってクラス秩 序を維持することに失敗する。学校教師は、統率技術の裏付けを伴った自信と誇りを示 すことがなによりも大切である。 教育とは要するにサービス業である。あらゆる他のサービス業がそうであるように、 誰を相手に何を供給し、どこまでが自分のになうべき役割であるか、その輪郭をはっき りと限定づけられるようなサービス提供の仕方が望ましいのだ。繰り返すが、これから の教師がどのような職業的アイデンティティを持つべきであるかは、実際の教育制度や 教育機関がどのように変化・発展していくかにかかっている。しかしいずれにしても重 視すべきなのは、空虚なヒューマニズム的教育理想ではなく、その場の役割に応じた個 々の教師の専門的技量であるだろう。ちょうど、信頼を集める医師というのが、いつも そういう存在であるように。 HP「人間学アカデミー」より(「こころの科学 98号」2001年7月) …………………………………………………………………………………………………… 前文を読みたい方は,HP「人間学アカデミー」をご覧ください。 http://www.ittsy.net/academy/library/index.htm |
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| ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ [1]「基礎・基本の学力」をもう一度考える 絶対評価で目指す「到達点」とは? 3氏の意見を紹介 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 評価の最終目的とは何でしょうか?今までは「成績をつけるための評価」に終始してい なかったでしょうか。実は私もそうでした。これは,学力がついたかどうかをチェックす るための評価で,評価の大事な一面であることは確かです。 しかし,今求められている評価は「指導と評価の一体化」という側面です。言い換えれ ば子どもたちに「基礎・基本の学力」を身につけさせるための評価です。学級の全員に基 礎的・基本的学力を身につけさせるために評価を行うのです。 では,あらためて「基礎・基本の学力」とは何か考えてみたいと思います。3人の方の 意見を紹介します。参考になれば幸いです。 ………………………………………………………………………………………………………… 基礎・基本とは?世間を騒がせています。このことに関して山極氏(富山大教授)が次 のようなことを述べています。(富山大教授) 【 教科の特性によって若干の文言の違いはあるものの,基本的には「関心・意欲・ 態度」「思考・判断」「技能・表現」そして「知識・理解」から成り立っているが, この4つの評価の観点は,各教科の目標から導き出された各教科の指導の観点でも あり,これらの観点から教育内容を見据えたものがその教科の基礎・基本である。 そして,各教科におけるこの4つの観点は当該教科における基礎学力を構成する 要素であり,この要素が総合されたものがその教科の基礎学力であると言える。 】 ………………………………………………………………………………………………………… なるほど,たいへん分かりやすい表現です。 ついで,児島邦宏氏(東京学芸大教授)は次のような見解を示しています。 ………………………………………………………………………………………………………… ― 学力の3層構造 ― 第1の層「基本的生活能力」つまり,読み書きそろばんです。 第2の層「教科の基礎・基本」つまり,学習指導要領に示された内容です。 第3の層「生きる力」つまり,自ら学び考える力です。 総合的な学習は,第2の層で身につけた基礎・基本を総合化させる場であるということ です。 ………………………………………………………………………………………………………… さらに,安彦忠彦氏(早稲田大教授)は 「基礎・基本とは,小学校3・4年生程度の読み書き計算で,生活上欠くことのできない 知識・技能である」と言われています。 |
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| ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ [1]授業を創る ― 授業をデザインする ― 吉崎静夫氏:デザイナーとしての教師と総合的な学習 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ いい授業をしようと思ったらいい教材を開発すること,私の信条です。このことに関連 して「授業デザイン」ということばがよく聞かれます。奈須氏は常々「総合的な学習の指 導要領をつくる」ということを言われています。これも「授業デザイン」です。 授業デザインに関連して,吉崎静夫氏(日本女子大教授)が参考になる小論を書かれて います。以下に紹介します。〈出典:「悠」5月号―ぎょうせい刊―〉 …………………………………………………………………………………………………… ● 教師は自分で授業を設計し,実施して,評価しなければならない。つまり,教師は授 業において,設計者(デザイナー)であり実施者(アクター)であり,そして評価者 (イバリュエーター)という3つの異なる役割を同時にもっている。 そして,教師は,授業実践を通して,これら3つの役割を遂行するための力量を高め ていくことが求められている。 ● 教師は一般に,指導書や教科書といった原作に基づいて授業のイメージをつくり,単 元案や授業案といったシナリオを書く。そこでは授業というドラマに参加する子どもた ちの顔(特性)を具体的に思い浮かべながらシナリオを書くことが脚本家である教師に 求められる。 しかし,場合によっては教師が原作さえもつくることがある。例えば発展的な学習や 総合的な学習,あるいは中学校の選択教科の学習のような新しい教育内容のカリキュラ ム開発を行うときである。 …………………………………………………………………………………………………… いかがでしょうか?「3つの役割を同時に遂行する」ことは,ふだん何気なくやってい ると思うのです。しかし,改めてこのように言われると,そのことの重大さに気づかされ てしまいます。 いい授業をやろうという思いは,教師であれば誰しも考えることです。しかし,そのこ とを突き詰めて考え,そして実践する余裕はなかなかないというのが実態でしょう。つい つい教科書に寄りかかった授業になってしまいます。「今日は教科書32ページの3番の 問題からですね」といった授業の入り方では,ハナから子どもたちの意欲は消沈してしま います。授業というドラマに参加する子どもたちの顔を思い浮かべながらシナリオを書く ことができる力量をつけたいものです。 |
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| ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ [2]もう一度考えてみたい……「子ども中心」「自ら学ぶ」ということば 〈教えることの復権〉―大村はま/苅谷剛彦・夏子:著 ちくま新書― から紹介 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ Vol.76でしょうかいした同書から印象深かった部分を紹介します。「教えない教師が増 えた」という苅谷氏と大村氏の主張には考えさせられる部分が数多くあります。 「子ども中心」とか「自ら学ぶ」といった,目にも耳にも慣れきってしまったことば。 こういったことばの本質を今一度考えてみませんか? …………………………………………………………………………………………………… 知名度の高い苅谷氏の夫人は大村はま氏の教え子です。その夫人と大村氏の対談が本書 の大半を占めています。内容は当時の「大村はま国語教室」の実践をふり返りながら,今 後のあるべき授業像が模索されています。そこからいくつか紹介します。 ● すでにできあがっている知識体系を,疑う余地も残さず,当たり前の顔をして教えて しまう。立派な知識のお城を前に,生徒は萎縮した未熟な存在にならざるを得ないとこ ろがある。〈ところが大村国語教室の授業では〉私はしゃんと背筋が伸びた気がした。 過去に知的遺産を築いた人々と同等の資格を持って,堂々と勉強を進める楽しさを教え られたのかもしれない。事実私たちは生意気とも思えるほど一人前の「学ぶ人たち」だ ったのではないだろうか。 ●〈今があなたの発言のチャンスでしょう,という合図をくださることがありました,と いう苅谷夫人の発言に対して〉 子どもたちには授けておいた発言の種がある。「今がそれを言うときだ」ということ を教えないとだめ。そしてその発言を大事に受け止める。これは意外に難しい。 ●〈本当に覚悟と実力がある先生が取り組まないと,ちょっと楽しそうだという程度のこ とで単元学習をしたらとても危ういという気がする。楽しいから誰も文句は言わないけ ど,終わってみたら何のための取り組みだったのかよくわからないというような,とい う夫人の発言に〉 単元学習には非常の教師の力がいる。この単元で目指すものはこれって決めて,そこ へ向かって具体的に手を尽くさなければならない。これはよさそうだ,これは楽しそう だなんてやっていたら学力低下になるのは決まっている。 ● 子どもがやりたいと言ったことをそのまま根拠にしてはだめ。人間やりたいことをや ることも大事だけど,やりたくないことでもやるべきならやるようでないと世の中困っ てしまう。子どもがやりたいと言うことももちろん大事にするけど,私はあまり気にし なかった。学習記録なんか子どもからやりたいなんて言うものじゃないです。でもはじ めからこれをやるものだという,堂々とした教師の姿勢,それが大事。教師は押しも押 されないような平安な気持ちで,やるべきことをまるでご飯を食べるみたいに当たり前 にやるみたいな気持ちで差し出すんです。 ● 私は今でも「静かにしなさい」と言うことがあるんです。ありますけども,他の人が 言うのと全然違うのです。心に冷たい涙を流し,慚愧に耐えない思いなのです。他に能 力がなくてこの人たちを静かにさせる案を持たなかったし,対策ができなかったから, 万策尽き果てて敗北の形で「静かにしなさい」と言うんです。自分の無力を心から恥じ て,その思いの中から仕方がないから「静かにしなさい」と言うんです。 ● 私が研究授業で見た光景です。子どもが先生に「○○はどうすればいいですか?」と 質問をしたとき,先生はその子の頭をなでながら「それはね,あなたのこのいい頭が考 えるのよ」と言いました。その後その子はすばらしい考えを出し,授業協議会では,大 変好評でしたが,でも私一人むっとしていました。それじゃあ何も教えていないでしょ う。私がやるんだったら「そうねえ,○○はどうかしら」「○○もいいかも」と,考え る焦点を3つほど出して「それはこのいい頭が考えるのよ」とやるでしょう。 ● 戦後の一番の失敗は「子どもから」ということだと思う。子どもの自由,子どもの個 性,子どもがやりたいということを熱心になってやりすぎたんでしょうね。ではこれを やりましょうというときに,その仕事を成功させるための努力が教師にできていない。 ● 先生は教えることをやめてしまった感じ。なにもしていない。何かをなさいという指 導案だけは立派でも,一つ一つの力がついているかというのは教師も自信がないのでは ないか。教える人がいない。させる人だけ。だから学ぶ喜びを知ることができないんじ ゃないかしらね。 ● 苅谷氏の意見を紹介して終わりとします。 自分の発想で自力で何かをする,それが一番いいことだという考えがすごく強調され しかも急速に広がりました。そのとき,学ぶ側がみんな自然にもともと豊かなものを持 っているという前提だと,ただ「やりなさい」でも大丈夫,ということになってしまう のかもしれないけど。でも実際は決してそんなことはない。そしてやはり教師の側から 考えると「ここまで到達してほしい」という目標がはっきりしていれば,教材として何 を提供するかということはある程度決まってくるはずですね。何でもいいというわけに はいかない。 |
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| ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ [1]《特集》““指導要録”の記入の時期が来ました わかっているようで案外知らない「指導要録」 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 年に1回はいやでもつきあわされる指導要録。正直言っていやですね。しか し,見る方はもっといやなのです。お互いに学年末の大きな仕事です。 ところで指導要録について,どの程度ご存じですか?ここで少しおさらいし ておきましょう。私の主観による解説も付記しておきます。 指導要録の記入にあたっては平成13年4月に,文部科学省から長い長い名 前の通知が出されています。その名は「小学校児童指導要録,中学校生徒指導 要録,高等学校生徒指導要録,中等教育学校生徒指導要録並びに盲学校,聾学 校及び養護学校の小学部児童指導要録,中学部生徒指導要録及び高等部生徒指 導要録の改善等について(通知)」です。 この中に記載にあたっての留意事項が細かく書かれています。これは文部科 学省のHPhttp://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/houdou/index.htmで見るこ とがで。以下に簡単にまとめてみました。 ― 指導要録とは ― 要録には「指導機能(教育的目的)」と「証明機能(社会的目的)」の 2つの機能がある。上記の通知には「児童生徒の学籍並びに指導の過程及 び結果の要約を記録し,その後の指導及び外部に対する証明等に役立たせ るための原簿となるもの」と書かれている。 ……………………………………………………………………………………… ここで留意したいことは「指導の過程及び結果の要約」をし「その後の指導 に役立たせる」ことです。記入することは「指導の過程及び結果」であり,そ の目的は「その後の指導に役立たせる」ことにあるのです。特に所見欄は,後 の指導に役立つよう,誰にでもあてはまるような抽象的な表現は避けて,具体 的な事実をとらえて記述しなくてはならないのです。 ……………………………………………………………………………………… 1 学籍に関する記録 ……… 割愛 ……………………………………………………………………………………… 学籍の記録に関することで留意したいことが2つあります。1つ目は適応教 室など学校外の施設に通っており,校長が出席と認めた場合は,出席日数の内 数としてその日数と施設名を記録すること,そして2つ目は遅刻や早退の状況 も記録しておくことです。 ……………………………………………………………………………………… 2 指導に関する記録 (1)「各教科の学習の記録」の欄 ○ 観点別学習状況 指導要領に示す各教科の目標に照らして,その実現状況を観点ごとにA, B,Cで評価する。 ……………………………………………………………………………………… その観点と趣旨は前述の「通知」に詳述されています。是非一度見ておいて ください。当たり前のことが当たり前のように書かれています・・・。 ……………………………………………………………………………………… ○ 評 定 指導要領に示す各教科の目標に照らし,その実現状況を総括的に評価す る。1,2,3の3段階。 ……………………………………………………………………………………… 観点別評価は評定を行う場合において基本的な要素となるものであるから, 観点別評価を評定に反映させることになります。この場合,観点別評価をどの ように評定に総括するかの具体的方法については,各学校において工夫しなけ ればならないのです。 学校によっては得点化したり,軽重をつけたり,様々な工夫がなされている ようです。皆さんの学校ではいかがでしょうか? ……………………………………………………………………………………… (2)「総合的な学習の時間の記録」の欄 学習活動及び指導の目標や内容に基づいて定めた評価の観点を記載した 上で,それらの観点のうち,児童の学習状況に顕著な事項がある場合など にその特徴を記入するなど,児童にどのような力がついたかを文章で記述 する。 ○ 学習活動 学習活動は単元名でよいと思います。 ○ 観点 総則に書かれている総合的な学習の2つのねらいなどを踏まえ,各学校 において具体的に定めた目標,内容に基づいて定める。 ……………………………………………………………………………………… 教科のように一律に観点(4観点)を設定するわけにはいかないでしょう。 それは学習活動や目標が各学校・各学年で教師や子どもの思いに基づいて決め られたからです。したがって観点も各学校・各学年で決めるべきであると思い ます。総合的な学習のねらいが「変化の激しい先行き不透明な21世紀を生き きぬくための力(目の前のさまざまな問題に主体的に対応できる力)」である とすると,対人関係能力 意思決定能力 行動選択能力(実践力) 創造的表 現力などが観点として考えられます。 ……………………………………………………………………………………… ○ 評価 観点にしたがって,児童の学習状況に顕著な事項がある場合などにその 特徴を記入するなど,児童にどのような力が身に付いたかを文章で記述す る。 ……………………………………………………………………………………… 一人一人の中に基準をおく,個人内評価の立場から評価することが妥当であ ろうと思われます。達成した成果だけではなく,学習の過程における工夫や協 力,問題解決,主体的な取り組みなど,どのような学習が実践されたかも重視 したいと思います。 ……………………………………………………………………………………… (3)「特別活動の記録」の欄 特別活動における児童の活動について,各内容ごとにその趣旨に照らして 十分満足できる状況にあると判断される場合には,○印を記入する。クラブ 活動については,実施しなかった学年の欄に斜線を引く。 委員会活動については,主として高学年の児童が受け持っているので, 低・中学年については全校的な児童会活動や各種の集会活動における活動の 状況などを評価することになる。 通知には学級活動,児童会活動,クラブ活動,学校行事のそれぞれについて 評価の内容と趣旨が示されています。これは参考になります。 (4)「行動の記録」の欄 各教科,道徳,特別活動,総合的な学習の時間,その他学校生活全般にわ わたって認められる児童の行動について,各項目ごとにその学年別の趣旨に 照らして十分満足できる状況にあると判断される場合には○印を記入する。 この評価は,絶対評価によるものであって,学級の児童を互いに比較した り,あらかじめ○の配分の割合などを決めて評価するものではない。 このことについても通知に「評価項目及びその学年別の趣旨」が書かれてい ます。これも読んでおくと実際に記入する際に役立ちそうです。 (5)「総合所見及び指導上参考になる諸事項」の欄 児童の成長の状況を総合的に捉えるため,以下のような事柄を記入する。 1) 各教科や総合的な学習の時間の学習に関する所見 2) 特別活動に関する事実及び所見 3) 行動に関する所見 4) 児童の特徴・特技,学校内外における奉仕活動,表彰を受けた行為や 活動,知能・学力等について標準化された検査の結果など,指導上参考 となる諸事項 5) 児童の成長の状況に関わる総合的な所見 記入に際しては,児童の優れている展や長所,進歩の状況などを取りあげ ることが基本となるよう留意する。(個人内評価の立場)ただし,努力を要 する点などについても,その後の指導において特に配慮を要するものがあれ ば記入する。 〈所見欄が統合された根拠〉 この欄は従来のいくつかの所見欄を単に統合したものではなく,児童の 可能性などの良さを単一の視点からではなく幅広く把握し,児童が自己実 現を目指している学習や生活を総合的に支援していくことをねらいとして いる。 ……………………………………………………………………………………… 所見については,冒頭に「後の指導に役立つよう,誰にでもあてはまるよう な抽象的な表現は避けて,具体的な事実をとらえて記述しなくてはならないの です」と述べました。以下にその具体例を書きます。 ― 所見の例 ― ○ 理解力に優れており,基礎・基本を確実に身につけている。 (具体性に欠ける) → どの教科にも関心・意欲が高く,学習意欲が旺盛である。特に算数の少 人数指導では生き生きと学習し,苦手であったわり算の筆算を身につけ ることができた。(具体性がある) ○ 礼儀正しく誰にでも親切であり,友達も多い。(具体性に欠ける) → 忘れ物をして困っている友だちに親切にしたり,通学班では下学年の子 の面倒を見てあげるなど,優しく親切なところがあり,学級の誰からも 好かれている。(具体性がある) ○ 主体性があり,様々な活動に主体的に取り組むことができた。 (具体性に欠ける) │ → 係や班の活動で友だちから強く言われた場合でも言いなりになることは せず,自分でよく考えてから正しいと思う行動をとることができた。 (具体性がある) ……………………………………………………………………………………… (6)「出欠の記録」の欄 ○ 備 考 不登校の児童が適応指導教室等学校外の施設において相談・指導を受 け,そのことが当該児童の学校復帰のために適切であると校長が認める 場合には,出席扱いとすることができる。この場合には,出席日数の内 数として出席扱いとした日数及び児童が通所または入所した学校外の施 設名を記入する。 出席停止・忌引き等の日数に関する特記事項,欠席理由の主なもの, 遅刻・早退等の状況,転入学した児童についての前に在学していた学校 における概要等を記入する。 以上でおしまいです。長々とおつきあいありがとうございました。少しはお 役に立ったでしょうか。 |
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| ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ [1]全国的に“おおむね良好”か? 公表された『平成13年度教育課程実施状況調査』の結果 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 文部科学省は12月14日,今年1月・2月に実施した平成13年度教育課 程実施状況調査の結果を発表しました。 その結果を受けて遠山文部科学省大臣は, 「今回の調査結果によれば,平成13年度までの学習指導要領の目標や内容に 照らした児童生徒の学習の状況は,全体としておおむね良好であったと考えま す」とコメントしています。 ここで改めて調査の内容をふり返ってみます。 ● 調査対象学年 小学校 5,6年生 中学校 3年生 ● 対象人数 小学校 21万人 中学校 24万人 ● 実施教科 小学校 国・社・算・理 中学校 国・社・数・理・英 結果について簡単にお知らせします。 ● 設定通過率を上回った教科 〈小学校〉5・6年生とも算数を除く3教科 〈中学校〉1年生:国語 2年生:国語 3年生:国語・社会・理科 ● 設定通過率を下回った教科 〈小学校〉5年生,6年生とも算数 〈中学校〉1・2年生:国語を除く全教科 3年生:数学・英語 ● もっとも通過率の高かった教科 〈小学校〉5年生:国語 6年生:理科 〈中学校〉1・2年生:国語 3年生:国語 ● もっとも通過率の低かった教科 〈小学校〉5・6年生:算数 〈中学校〉1年生:理科 2年生:理科 3年生:英語 数値は省略しましたが,以上の結果いかがでしょうか? 遠山文部科学大臣は次のようなコメントをされております。 ……………………………………………………………………………………… これまで各学校や各教育委員会において学習指導要領のねらいの実現のため に熱心に取り組んでこられたことの成果の現れであると考えます。 しかしながら,調査結果を仔細に見ると,一部に児童生徒の学習の状況が必 ずしも良好とは言えないものも見られたところです。 また,平成5〜7年度に実施した前回の教育課程実施状況調査の結果と比較 すると,義務教育を終える中学校第3学年で低下の傾向は見られず,全体とし て前回と同様の部分も相当程度あったものの,低下した部分が上昇した部分を 上回るなどの状況も見られたところです。 これらのことについては,今後の課題として受け止めたいと思います。 ……………………………………………………………………………………… さらに,同時に学習意識調査も実施されました(結果については割愛しま す)が,これに関しては次のようにコメントされています。 ……………………………………………………………………………………… また,児童生徒の学習に対する意識を見ると,大半が勉強は大切だと考えて おり,また,例えば,理科の勉強を約7割の小学生が好きだと思っていること が判りました。学習に対するこのような積極的な気持ちを心強く思うととも に,これにしっかりと応えていくことが必要であると考えます。 一方,学校外での勉強時間に関する調査結果等を見ると,児童生徒の学習意 欲や学ぶ習慣が必ずしも十分でないことが見受けられ,この点は懸念されると ころです。 さらに、自ら主体的に学ぼうとする意欲を持っていたり,発展的な学習や補 充指導などの工夫をこらした指導を受けていたりする児童生徒ほど,得点が高 いことが確認できました。 ……………………………………………………………………………………… そして,最後に私たち教職員への要望として次のようにいわれております。 ……………………………………………………………………………………… 今回の調査結果を踏まえ,文部科学省としては,更にその詳細な分析を進 め,指導上の問題点等を明らかにし,新しい学習指導要領の下で,児童生徒に 自ら学ぶ意欲を育むとともに,基礎的・基本的な内容を確実に身に付けさせ, 自ら課題を見付け,自ら学び考え,判断し,よりよく問題を解決する力などの 確かな学力を育むための学習指導の改善を一層推進していきたいと考えていま す。 各学校,各教育委員会においても,今回の調査結果を踏まえ,児童生徒の 学力の状況を適切に把握するとともに,習熟度別指導などの指導方法の工夫や 教材の開発など,「わかる授業」の実現等に向けた取組の一層の改善・充実に 努めていただきたいと考えます。 かつてなかったような急速で激しい変化の予想される21世紀に生きるたく ましい日本人を育成する上で,児童生徒に「確かな学力」をしっかりと身に付 けさせることは,欠くべからざることであります。 こうした認識の下,文部科学省としては,引き続き,個に応じた指導の充 実,学習意欲の向上などをねらいとする学力向上アクションプランの実施等を 通じ,指導方法の改善,教員の資質向上,学習環境の整備等の施策を一層推進 してまいります。 学校,家庭,地域,行政等全ての関係者においても,自らの責任を自覚し, 去る1月にお示しした「学びのすすめ」を参考にしつつこれまでの取組を改め て見直すとともに,それぞれの立場でのなお一層のご努力をお願いいたしま す」 ……………………………………………………………………………………… また訳が分からなくなりそうです。振り子はどうやら一方に止まってしまっ たようです。文部相自身が「確かな学力」とはいったい何なのか,「21世紀 に求められる学力」とまったく同義なのか,と「学力」をきちんと定義づけ て,わかりやすく我々に示して欲しいものです。 |
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| ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ [2]イギリスの教育事情 キーワードは「教育水準向上 ナショナルカリキュラム」 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ イギリスでは,1980年代以降進められてきた教育改革が,確かに実を結び始 めている。特に1997年に発足したブレア政権は,21世紀における教育の具体 化を推し進めている。 英国は1960年〜70年頃かなりの経済危機に見舞われていた。人材育成に活路 を求めたが,当時の教育はかなり荒廃しており,経済界を中心に教育改革が叫 ばれるようになった。 これを受けて政府も多額の予算を用意し,学校教育の質的改善を政治課題と してとりあげるに至った。サッチャー首相は「教育改革を地方自治体にまかせ ていたのでは,この状況を脱することはできない」と,政府主導の教育改革を 決断した。この方針はメイジャー政権,ブレア政権へと受け継がれている。 2000年9月,かの有名な「新全国共通教育課程 National Curriculum」が実 施される。以下にこの中身を簡単に紹介する。 この中で重視されているのは 「情報コミュニケーション能力 Information Communications Technology」と 「市民性教育 Citizenship Education」である。 従来イギリスで重視されてきた能力は「読み・書き・計算」であった。ブレ ア政権では,さらに「家庭教育」「夏休みの補習学校」などの積極的な学力向 上に取り組んでいる。 近年,新たな基礎学力として「情報コミュニケーション能力」が重視されて いる。今以上に情報化社会が予測される21世紀にあって,必須の学力ととら えられている。コンピューター活用能力,メディアリテラシーなどが大切とい うわけである。 また,今ひとつ重視されているのが「市民性教育」である。市民性教育は英 国において,これまでクロスカリキュラム(日本の総合的な学習にあたる)の 一つの分野であったが,National Curriculum では必修科目となった。この主 な内容を紹介すると, ・ 責任ある社会的行動 ・ 地域社会への参加 ・ 民主主義社会への知識・理解 となっている。 以上のような改革に取り組んでいるが,やはり評価についてもきちんとした 配慮がなされている。そのために制度化されているものとして「学校監査制度 School Inspection」「教員評価Teacher Appraisal」「優秀教員制度Advanced Skills Teacher」などがあるが,ここでは詳細割愛する。 以上概略を紹介した。何となく我が国の「教科学習」をベースとする基礎・ 基本,そして市民性を養う「総合的な学習」という図式と似ているような気が するのだが・・・。 |
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| ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ [2]戦後の指導要領変遷のあゆみ 昭和22年,26年,33年,43年,52年,平成元年の改訂 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 以前,評価の変遷について掲載したことがあります。その時,指導要領の変 遷についても機を改めて調べてみたいと書いたところ,何人かの方からリクエ ストがありました。遅くなりましたが,以下にまとめてみます。 …………………………………………………………………………………………… 学習指導要領は,戦後の新しい教育をめざして,昭和22年に「教科課程, 教育内容及びその取扱いの基準」として,発表されたことからはじまる。これ 以後,社会の変化に合わせてほぼ10年毎に改訂が行われてきた。 ● 昭和22年の学習指導要領(試案) ・ 戦後の混迷から民主教育への出発 ・ 従来の「修身」を廃止 ・ 「日本歴史」「日本地理」を統合して「社会科」を新設 ・ 「家庭科」を親切…男女が一緒に学習 ・ 「自由研究」を設ける。 ・ 各教科の年間総授業時数と週授業時数を示した。 ● 昭和26年の学習指導要領(試案) ・ 教科を四つの経験領域に分け,教科間の関連を図る。 ※ 教科を,学習の基礎となる教科(国語・算数),社会や自然について の問題解決を図る教科(社会・理科),創造的な表現活動を行う教科 (音楽・図画工作・家庭),健康の保持増進を図る教科(体育)の四つの 経験領域に分けた。 ・ 従来の「教科課程」を「教育課程」と改める。 ・ 毛筆学習は,国語学習の一部として,第4学年から課するようにした。 ・「自由研究」を発展的に解消し,「教科以外の活動の時間」を設ける。 ・ 道徳教育は,学校教育のあらゆる機会に指導すべきであるとした。 ・ 各経験領域に充てる授業時数を,教科の総授業時数に対する比率で示し た。 ● 昭和33年の改訂(教育課程の基準として規定) ・ 経験主義教育を是正し,系統的学習の重視と基礎学力の育成をめざし た。 ・ 学習指導要領は教育課程の基準として文部大臣が公示するものであると した。 ・ 道徳の時間を特設し,道徳教育の徹底を図る。 ・ 基礎学力としての国語,算数の充実と,科学技術教育の向上を図るため に算数,理科の充実を図った。 ・ 各教科の系統性を重視し,目標及び内容の精選と基本的事項の学習に重 点を置いた。 ● 昭和43年の改訂 ・ 調和と統一のある教育課程の編成と実施 ・ 小学校の教育課程を,各教科・道徳・特別活動の三領域と定めた。 ・ 人間形成の上から調和と統一のある教育課程の実現を図った。 ・ 授業時数を,最低時数から標準時数に改めた。 ● 昭和52年の改訂 ・ 児童の学校生活に,ゆとりと充実をもたせた。 ・ 知・徳・体の調和のとれた人間性豊かな児童の育成を図った。 ・ 各教科の基礎的・基本的事項を重視し指導内容を精選し,創造的能力の 育成を図った。 ・ ゆとりと充実した学校生活を実現するために,各教科の標準時数を削減 した。 ・ 各教科等の目標・内容を中核的な事項に止め,学校や教師の創意工夫が できるようにした。 ● 平成元年の改訂 ・ 新しい学力観に立つ教育と個性重視の教育 ・ 教育活動全体を通じて,豊かな心をもち,たくましく生きる人間の育成 を図った。 ・ 基礎・基本の重視と個性教育の推進を図った。 ・ 文化と伝統の尊重と,国際理解の推進を図った。 ・ 低学年に新教科として「生活科」を新設し,社会科・理科を廃止した。 ・ 学級会活動と学級指導を統合して「学級活動」とした。 〈資料出典〉某教材会社HP(どこかわからなくなってしまったのです) |
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| [1]講演記録「共生時代の学校づくりの課題」 〜 学校5日制・新学習指導要領の理念と現実 〜 藤田英典氏〈東京大学大学院教育学研究科教授〉 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 去る12月14日(土)〜15日(日),愛知教育大学を会場として「教員 養成大学・学部等教官研究集会」が開催されました。そこでコメンテーターと して参加された藤田氏の講演を紹介します。ひじょうに力の入った話しっぷり で,同氏が大きな危機感を持っておられることがよく伝わってきました。 ■ テーマ 共生時代の学校づくりの課題 〜 学校5日制・新学習指導要領の理念と現実 〜 1 教育改革の動向と現場の混乱 ○ 教育改革国民会議 ・ 私は次のことには反対した。 教育基本法見直し/学校外部評価制度/学校選択制/チャータースク ール/奉仕活動義務化 ・ 今の教育改革……ゆがんだ改革であり,教師の自信と誇りが失われ る状況。どうすれば自信と誇りを持って教育にあたれるか。 ○ 文部科学省の動き……狼狽の姿が。 ・ ゆとり教育,学校スリム化をめざしたが,批判が出るに及んで「学び のすすめ」 ・ 読書,補習,宿題の奨励→親の不安→塾通い……新たな進学競争と階 層差の拡大 ・ 習熟度別学習,中高一貫,学校選択制……エリート主義と市場的競争 ・ 学校の外部評価……教師の協働性,献身性の低下を招く。学校の序列 化などの危険も。 ・ 当事者評価の実施を(その学校がよくなってもらいたいと願っている 人々による評価) 2 何のため,誰のための教育改革か? ○ 80年代以降の教育改革の背景・理由・目的は2点 1)教育病理への対応→ゆとりと個性スローガン 2)変わる社会への対応→新学力観 これらを政治主導で改革してきた……蓄積してきた3つの専門性(学問 的な専門性・行政的な専門性・教師の専門性)を否定してきた。 ○ 改革の目的(上記の背景・理由・目的)は達成されたか? ・ 教育病理は? 増え続ける不登校,増加に転じた校内暴力・いじめ,学級崩壊,17 歳の犯罪 ・ 中間集団の崩壊と生活圏,教育圏の分断化→コミュニティケアの低下 と崩壊 ・ 少年の犯罪発生率(殺人・強盗)は先進諸国に比較して日本は極小で あるという事実。 →(諸外国)なぜ日本はこれほど低く推移しているのか?それは日本の 教育に秘訣があるのではないだろうか,という問いを立てている。 →(我が国)少年犯罪が一般化,低年齢化してきた。教育制度に問題が あるのではないだろうか,という問いが立てられている。 我が国の問いの立て方は間違っている。 ・ 中卒者,高校中退者の犯罪発生率が極めて高い。難しい状況におかれ ている。様々な困難な状況に囲まれている。このような事実への視点が ない教育改革。 ・ 変わる社会に適応できるか? 学力低下への危惧,不安増大(TIMSSインパクト,PISAインパクト) TIMSSに初めて参加した韓国,シンガポールが好成績……日本だけが 特別ではない。 →文部科学省の対応(学びのすすめ),学校6日制の私立校人気高 →新たなテスト主義の危険(欧米の最近の動き,東京の一斉テスト実 施) →より少ない時間でより多くのこと,より高度なことを。 …できる子はどんどん先へ,できない子はそこそこに,という 動き。スーパーサイエンススクールには予算がつき,習熟度 別指導にはつかないという事実(自治体の予算で) ・ 学校5日制,中高一貫・学校選択制・習熟度別学習などの拡大は何を 意味するか。 エリ−ト育成,安全圏確保の手段 →エリート主義,市場的競争拡大,強者の論理による教育再編成 に。 ・ 地域,現場,地方主導の教育改革が進んできたことは評価できる。 3 共生時代の学校づくりの指針と課題 ○ 3つ学校の役割 ・ 生活の場……子どもたちにとって最も重要な生活の場 安全性,許容性(多様な子どもを受け入れる) ・ 学力形成の場 総合的な学習の考え方は既に教科の中にあった。その考え方を外へ 出した。教科には知識の核があった。総合的な学習には核がないこと が危険。 ・ アイデンティティー形成の場 自分自身を見つめながら将来を決める。 ○ 努力と賞賛のカルチャーの再構築 ・ 名誉の等価性 学ぶ意欲を育てることを「楽しさ」に求めてきた→努力,チャレンジ することを軽視 今までの改革は努力することを組み込まなかった。 努力に対して等しく賞賛する。 ○ 教育改革は未完のプロジェクト 果てがない。息切れするような全力疾走の改革は危険 お金と人手と時間が不可欠 …………………………………………………………………………………………… 以上です。さらに詳しい主張を知りたい方は同氏が紹介された次の著書をお 求めになってはいかがでしょうか。 「市民社会と教育:新時代の教育改革・私案」世織書房 2000 「教育改革:共生時代の学校づくり」岩波新書 1997 |
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| ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ [2]知っていますか?「教育特区」 教育の活性化につながる「教育特区」構想 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 小泉内閣が進めている「構造改革特区構想」をご存じでしょうか。地域の自 発性を最大限尊重する形で規制緩和を進め,我が国の経済と地域の活性化をめ ざすものです。その中に「教育特区構想」という制度があります。これは文部 科学省が担当しています。数多くの申請が出されているようですが,その中か らいくつかを紹介します。 「教育課程・学習指導要領の弾力化」 ・群馬県太田市・埼玉県狭山市・神奈川県横須賀市・東京都千代田区など。 ・狭山市や太田市では,小中高の教科の自由な設定を申請している。 「小中高一貫教育に伴う修業年限の短縮」 ・神奈川県横須賀市など ・小中高一貫校の実現のために,6・3・3制の見直しを求めている自治体 もある。 「学校設置要件の緩和」 ・東京都港区など ・株式会社などによる公設民営方式を提案している自治体もある。 「教員免許状の弾力的運用」などです。 ・それぞれの校種で所有しなければならない免許状の種類の弾力化など 文部科学省は「あまり現行法を盾にせず,超法規的なアイデアを真剣に検討 するぐらいの度量を持って提案を受け入れ,検討してもらいたい。あくまでも 教育の活性化につながる教育特区であって欲しい」とコメントしています。 |
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| ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ [1]日本生活科総合的学習教育学会愛知支部例会の報告 〜 これから求められる学力とは 〜 筑波大:谷川彰英氏らのシンポジウム ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ シンポジウム 「これから求められる学力とは何か」 ◆シンポジスト 広島大:三浦省五(英語) 兵庫教育大:崎谷信也(数学) 鳴門教育大:西園芳信(音楽) 安田女子大:大槻和夫(国語) 筑波大:谷川彰英(生活・社会) ◆司 会 愛知教育大:吉田 淳(理科) 横浜国大:市川 博(社会) ◆シンポジウムの概要 ◇三浦省五氏:広島大(英語) ○英語に関する「学力論」…省略 ○学力とは「自立と共生」のために必要な力 ○「何が,どのくらい,どれくらいの質でできるか」をきちんと見通してお くこと。 ○学力論争…20年,30年先を見通して議論されるべき。 ◇崎谷信也氏:兵教大(数学) ○情報社会から知識社会へ ・P.ドラッガーの主張:ポスト資本主義は経済資源がもはや資本でも土 地でも労働でもなく,知識だけが意味ある資源となる。知識創造に結び つけていく力が知識社会で要求される。 ○第15期中教審第1次答申…自ら科学技術を創造し,新しいフロンティア を開発していくことが求められている。 ○各教科がめざす学力は「思考性」(思考性=思考力+思考的態度) ・思考力の中身は「判断力(発想や構想の能力)」「表現力(工夫し,創 造する能力)」 ・判断力の形成は思考力の形成と軌を一にし,表現活動は思考活動の所産 である。 ・判断力や表現力と密接にかかわる思考性が各教科が協同してめざすこと のできる学力 ○各教科の役割は思考性の育成,そこから知識創造力を養う。 ○従来の「求められる学力を設定し,そこへ導く教育」からの脱却を。 ◇西園芳信氏:鳴教大(音楽) ○音楽に関する「学力論」…省略 ○学力とは,社会を認識し,自己を認識することのできる能力。それは科学 の知のみならず芸術の知(イメージ,感性,直感など)にも基づくもの。 ◇ 大槻和夫氏:安田女子大(国語) ○学力とは ・何かの活動をするときに必要とされる力,何らかの学習活動を学習者が 行うときに必要とされる力,ととりあえず言っておく。 ・誰が求める学力なのか。保護者か,企業か,教師か?大学生が分数がで きれば学力があると言えるのか。無意味な論争 ・佐藤学氏「学力はその人自身が経た履歴でしかない」 ○学力を論ずる新しい枠組…新学力観vs旧学力観を越える枠組はないか。 ・どういう学力観をとるかによって,教科の枠組も変わってくる。 ・京都大の松下氏の主張「学力への活動理論的アプローチ」 ・学習活動の構造は「活動システムモデル」によって描くことができる。 ・活動システムとは「主体・道具・対象・結果・共同体・ルール・分業」 ・主体(学習者)は道具(学習媒介)を媒介として対象(学習材)に働き かけ,結果へと変換するが,それはまた主体が共同体の他のメンバーと 仕事・役割・権力を分担し,明示的・暗黙的なルールを共有しながら共 同体に参加していくことである。 ・これまでの実体学力論を超えて,学力を学習活動と関連づけることがで き,示唆深い。 ・松下理論によれば「学力とはどのような学習活動の中で形成され,表出 される学力なのか」「学習活動の構造とプロセスのどの部分や側面に焦 点をあてているか」「その学習活動を創るのは誰なのか」が問われる。 ○知の公共性(OECDの成人の科学的リテラシーに関する調査:1996) ・参加14カ国の中で最低という結果 ・原発や狂牛病,遺伝子組み換えなど,社会的に大きな影響を与え,社会 的公共的コント ロールが必要な課題への関心が極めて低い。 ・科学や技術の知は受験終了までの一時的な知となっている。学力が生き て働いていない。 ・今後このような問題はますます発展し,公共的なコントロールが必要と なる。 ・総合的な学習では「公共の知」をつける絶好の場である。 ◇ 谷川彰英氏:筑波大(生活・社会) ○現代学校教育の病理 ・10年サイクルで繰り返される教育課程の改訂 ・指導要領の改訂,続いて指導要録の改訂,それに伴い教育課程や評価の 問題。落ち着いた頃には次の改訂に心を奪われる。これを引っ張ってき たジャーナリズム,教育学者や 教師 ○低学力論 ・一定の説得力はある。 ・低学力論で言う学力は「測定学力」に限定されている。一方では正しい 面をついているが,他方では重要な問題を見落としている。 ・学力の3つの側面 「目標学力:こういう力をつけてやりたい」「測定学力:測ることがで きる学力」「潜在学力:内に潜む学力,やる気」 ・潜在学力をいかに育成し,引き出すか。 ○2つの学力観 ・教育=教(教える)+育(育つ:「育てる」ではない) ・教(教える)…教えるべきことは教える ・育(育つ)…教えた結果,育ちがなくてはならない。 ・鉄棒式学力…一定の目標まで到達しなければならない。懸垂のようなも の。 ・雪だるま式学力…しっかりとした核を中心に,どんどんふくらむ学力。 ○総合的な学習の位置づけ ・総則に入ったという事実 教科…国家の規準として枠組みが決められている。 総則に書かれた…学校裁量であり,個人としての資質を育成する場と して扱われている。 「自分さがしの学習」といわれるゆえん。 ・教科は身につかなくても生きていけるが,総合的な学習は学ばねば生き ていけない。(笑) …………………………………………………………………………………………… どのシンポジストの意見も納得できますが,忘れてならないのは「すべて基 礎・基本の学力」なしでは語れないということです。京都大学の田中氏も「知 識・理解や思考・判断がよくないのに関心・意欲・態度だけがよいということ にはならない」といわれています。基礎・基本あっての総合的な学習というの が原則だと考えます。 |
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| ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ [2]]「学力」についてもう一度考える 工藤氏,安彦氏,児島氏の主張を紹介します ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ さまざまな議論がなされている「学力」もう一度考えてみませんか。みなさ んは「学力」について,どのような認識をお持ちでしょうか。毎日どんなこと を考えながら授業をやっていますか?識者の意見を紹介します。 ● 国立教育研究所の工藤文三氏は4つの学力観をあげています。 1)生きて働くことを重視する学力観 学習して得た資質や能力が実際の生活の中で生かされ,その意味におい て有用性があるとする学力観 2)方法的学力観 見方・考え方などのように対象をとらえる観点や方法を重視する学力観 3)生活や経験世界にかかわる知識や能力を重視する学力観 体験的な活動を重視する近年の傾向につながる学力観 4)思考力や判断力,関心・意欲を重視する学力観 平成元年の指導要領改訂以降,今回の改訂にも引き継がれている。 工藤氏はこれらすべてを盛り込んだ学力が重要であるとしています。 ● 早稲田大安彦忠彦氏は「基礎学力」を3つに分類しています。 1)知的技能を基礎学力とする立場 読み・書き・計算のことを指す。現在はコンピュータ技能も含めるべき だという主張もある。 2)意欲(学ぶ力)を基礎学力とする立場 「意欲」が何よりも大事な出発点であり,これなしに学力はあり得ない とする立場 3)思考を基礎学力とする立場 知的技能は思考のための道具とする立場 安彦氏は1)の立場をとっています。さらに詳しく言うなら,「小学校3〜 4年生までの読み・書き・計算の知的技能」と主張しています。 ● 東京学芸大児島邦宏氏は3層構造を主張しています。 1)1層は,これが欠けると日常生活にも支障が出たり,どの教科の学習にも 多大な影響を及ぼす「基礎的生活能力」 2)2層は,指導要領に示された各教科の基礎的基本的な内容 3)3層は,教科等の基礎・基本を総動員して実際場面の問題解決にあたる 「知の総合化,知の実践化」 知識か思考力か,基礎・基本か生きる力か,という2項対立の学力観から 「層的な学力観」への転換を。 以上,3人の識者の学力のとらえ方を紹介しました。それぞれご意見がある ことと思います。大事なことは,日頃の指導にそのことを具現化しようとして いるかどうかです。自分なりに熟読・吟味して自己の主張をもつことです。 〈資料はすべて私の教育記録からです〉 |
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| ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ [2]最新教育情報をお届けします ―愛知県犬山市で全学年30人以下学級― ―構造改革特区(教育特区)― ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ―愛知県犬山市で全学年30人以下学級― 学力低下を防ぐ副教材の作成や少人数授業の実施など,教育改革を進めてい る愛知県犬山市は,市内全小中学校の全学年で1学級30人以下の少人数学級 を実施する方針を固めた。市区町村で常勤講師を独自に採用できるよう,文部 科学省が法改正の準備を進めている規制緩和の動きに対応し,早ければ200 4年度から始める。少人数学級は22府県が特定学年で導入しているが,全学 年の実施は全国で例がない。 犬山市は小学校10校(計133学級)と中学校4校(計56学級)があ り、全学年を30人以下の学級にする場合,試算では新たに44学級が必要と なる。計画では33人の常勤講師を採用。さらに,通常は担任を持たない校務 主任や専科教員の計11人を担任に加え、全学年の導入を実現するとしてい る。 …………………………………………………………………………………………… 意欲的な首長であればこういう具合になるのですね。素晴らしい試みだと思 います。しかし,少し腑に落ちないことがあります。反対意見もあると思いま すが,おらが町だけよければそれでいい,という了見の狭さを感じるのは私だ けでしょうか。国がやらないのだから仕方ないというのはよく分かります。し かし,小中学校は義務教育です。国民のすべてが平等に教育を受ける権利を 持っているはずです。良質の教育を受けようと,犬山市に続々転入してくるか もしれません。そのあたりのことを文部科学省はどう考えているのでしょう か。 私は国にこれを実行して欲しいのです。犬山市の財政も決して豊かではない でしょう。しかし,犬山市の未来のために何が最も重要なのかを考えたとき, 人材育成という答がでたのでしょう。それを受けて予算をやりくりし,大鉈を 振るったことと思います。必ずどこかにしわ寄せがあるはずです。それでも教 育が大切と考えた首長の決断はたたえられるべきでしょう。文部科学省はどう とらえているのでしょうか。 ───────────────────────────────── ―構造改革特区(教育特区)― 特定地域に限り規制緩和などを進める「構造改革特区」という制度があるこ とをご存じでしょうか。これに呼応して全国の自治体などから400件以上の 計画が寄せられたということです。教育関係は18都道府県の自治体などから 44件が提案されました。 この中には6.3制以外の学制による学校の設置(名古屋市),民間資本や NPO(民間非営利団体)が出資したコミュニティースクール、英語による小 中一貫校の設置―などが含まれていいます。 その中から埼玉県新座市の場合を紹介します。 1 学校週5日制を週6日制に変更する。 2 毎週土曜日を「英語の日」として授業を行う。 週6日制にもどすには学校教育法施行規則の改正が必要で,これを「構造改 革特区」に提案するということです。詳細は, 1 市立小中学校全24校で実施する。 2 毎週土曜日の午前中に2〜3時間程度実施する。 3 英語指導助手や外国人らの協力を得る。 4 英語を中心に国際理解を深める授業を展開する。 5 原則として小中学生の全員が参加する。 …………………………………………………………………………………………… 皆さんはどうお考えでしょうか。私は賛成できません。英語力をつけさせよ うというねらいでしょうが,子どもたちにとって休日返上で学習するほど緊急 的な課題なのでしょうか。5日制にしたのは何のためだったのか,もう一度原 点に返って検討すべきではないでしょうか。 子どもたちに今一番つけてやらねばならない力はいったいどんな力なので しょうか。私の考えは前号Vol.49で述べました。 |
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| 「はじめに子どもありき」とは? 東京学芸大 平野朝久氏 ・ 教師は,目標や内容はもちろんのこと,時間・教材など,ことごとく予め 決めてしまう。子どもたちはそれに合わせねばならない。これは「はじめに 教師ありき」である。 ・ 授業計画を立てる際,子どもが何を考え,何を求め,何を感じ・・・・, という実態をもとに考えるべき。 ・「はじめに子どもありき」の「はじめに」は順序を表しているのではなく, 絶えず子どもの事実に立ち返ると言うこと。 ・ 授業は教師の必然性ではなく,子どもの必然性によって展開される。 ・ 学習材は子どもの求めや願いによって決定し,子どもの内から生まれる問 題解決に向けて追究される。 ・ 教師は指導をしてはいけないのか?そうではない。教師をはじめ,子ども の育ちにかかわる人の役割は,子どもの主体的な追究と学びの実現への支援 となるような関わりを持つこと。 ・ 学習を子どもたち自らが創り上げていくことで,多くの学習内容が学習さ れ,さまざまな力がつく。 ・ 子どもたちが一つひとつに意欲的に取り組むことはもちろん,学んだこと はその子どものものとなり,さらに学ぶ力も育つ。 ・ 「はじめに子どもありき」は,教師の子どもたちへの見取りしだいで成否 が決まる。あらためて見取る力を高めることが望まれる。 (「指導と評価」7月号より抜粋,引用) |
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| 既にご存じのことと思いますが,文部科学省が算数の「発展的学習」と「補 充学習」の指導事例集を発表しました。 http://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/houdou/index.htm で全文を読むこ とができます。 矢野初中局長の「まえがき」を引用します。 …………………………………………………………………………………………… 本年4月から,完全学校週5日制が実施されるとともに,2年間の移行措置 を経て,新しい小学校学習指導要領が全面実施されました。 各学校においては,基礎・基本の確実な定着を図り,それを基に,自ら学び 考える力などの「確かな学力」をはぐくむという新しい学習指導要領のねらい を実現するため,子ども一人一人に応じた指導を充実することが求められてい ます。 文部科学省においては,このたび,各学校における個に応じた指導の充実を 図るため,理解や習熟の程度に差が生じやすいと思われる教科における学習を 中心に,発展的な学習や補充的な学習を推進する際の指導上のポイントや指導 体制・指導方法の工夫改善,教材や評価の工夫などに関して,各学校における 取組の参考となる教師用参考資料を刊行することとしました。 各学校におかれては,本書も参考の一つとして活用し,創意工夫を生かした 教育活動を積極的に展開されることを期待いたします。 …………………………………………………………………………………………… どちらも指導事例がかなり詳しく掲載されています。ここまで詳細な事例を 出さなければならないのか,というのが率直な印象。すべてをプリントアウト しましたが,A4で150枚近い枚数になりました。これから中身をじっくり 読もうと思っています。 ところで,新聞報道では「“台形の面積の求め方”“3けた同士の掛け算” などが復活」”とか「批判の強い新指導要領を事実上修正している」などと書 かれていました。「復活」とか「修正」はないでしょう,と言いたいのです。 そんなこと書いたら,また社会が揺れ動きます。以前から指導要領を越える子 については発展的な学習をしてよい,と答申にも書かれています。それを具体 的に事例集を出しただけのことです。新聞報道に腹立たしい思いをしているの は私だけではないでしょう。 あくまでも授業の基本は指導要領です。これは第2の指導要領ではないはず です。今回の事例集は拘束力のあるものではないのです。あくまでも発展的な 学習や補充的な学習の指導資料であるはずです。新聞を読んだ保護者はどう受 け止めるでしょう。「うちの子の学校では3ケタ×3ケタの筆算を授業でやら なかった」などという批判の声が出てきはしないでしょうか。 |
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| ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ [1]「基礎学力」徹底の意義 「読み・書き・計算」の徹底指導への私的コメント ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 百マス計算など,読み・書き・計算の徹底に取り組む学校が増えているよう です。マニュアル本も増刷を重ね,店頭に平積みされています。このこと自体 は私も賛成です。基礎・基本となる知識や技能はぜひとも身につけねばなりま せん。 ここで考えてみたいのは基礎学力の概念です。このことについて,早稲田大 (元名古屋大)の安彦教授は3つの立場が考えられるとしています。 1 「知的技能」を基礎学力とする立場 2 「意欲(学ぶ力)」を基礎学力とする立場 3 「思考」を基礎学力とする立場 の3つです。安彦氏自身の立場としては,1の立場で「学校で共通に育てる べき人間として必要最小限の能力」と規定し,さらに「具体的には小学校3〜 4年生までの読み・書き・計算の知的技能」としています。 ここで考えてみたいのは,1は何のために育てるのかということです。学校 教育,少なくとも義務教育で1を育てるだけで終わってよいのか,ということ です。そうではないと思います。 基本的には安彦氏の論に賛成です。また,Y小学校などの実践も賛成です。 しかしそれだけで終わってはならないのです。私は3へとつながっていく学 習,3へと高めていくことを常に意識しておくべきだと思うのです。私は3を 具体的に「応用力」「類推力」「企画力」「創造力」などととらえています。 国立教育政策研究所の高浦勝義氏は次のように述べています。 「総合的な学習の時間では,子どもたちは現実の社会や自然の場に出て,そこ から自ら問題を見出し,解決を目指す学習をする。その複雑で現実的な問題と の取り組みを通して,自分の生活や生き方について考え,自ら実践する資質や 能力,態度を育てることを目指す。このように実践的,実際的な学習を通し て,最終的に,自己の生き方を考えることができる自立的な生き方や主体的に 生きる力を身につけた人間の育成をねらう」 ここで注目したいのは「子どもたちは現実の社会や自然の場に出て,そこ から自ら問題を見出し,解決を目指す学習をする。その複雑で現実的な問題と の取り組みを通して,自分の生活や生き方について考え,自ら実践する資質や 能力,態度を育てることを目指す」という部分です。 総合的な学習の時間は「思考力(問題解決能力)」を伸ばすことがねらいの 一つにあげられています。いえ,総合的な学習の時間だけに限った問題ではあ りません。どんな学習でも「思考力」は必要です。大げさにいえばひとりの人 間として生きていく上で「思考力」は欠かすことのできない能力なのです。 こういった学習に取り組むには基礎学力が不可欠です。基礎学力は思考力を 育てるための道具とまでは言いませんが,その色合いは強いと思います。 このことについて,東京学芸大児島邦宏教授は「学力の3層構造」とし,次 のように述べています。 ・ 1層は,これが欠けると日常生活にも支障が出たり,どの教科の学習にも 多大な影響を及ぼす「基礎的生活能力」 ・ 2層は,指導要領に示された各教科の基礎的基本的な内容 ・ 3層は,教科等の基礎・基本を総動員して実際場面の問題解決にあたる 「知の総合化,知の実践化」 基礎・基本の徹底の上に立って,学んだ知の活用をはかる。実践化をはかる ことによって課題解決にのぞみ,それぞれの子どものよさや可能性を伸ばし, 困難にもめげず,自分の力で自立して生きていけるように主体性の確立をはか る。〈以上〉 ただ一つ問題があります。「基礎学力と思考力は同時進行で習得することは できない(安彦氏)」ということです。ならば,基礎学力が身についていない と総合的な学習は実践できないということになりそうです。このことに関して は茨城大学の藤井氏が著書「総合学習で育てる学力ストラテジー(明治図書) [3]で紹介」で「基本的な知識・技能が身についていなければ,総合的な学 習の時間を行うことはできないという考え方は,極めて学習能力の形成過程の 論理を無視した非現実的な空論と言わざるを得ない(同書から引用)」と述べ ています。[2]で藤井氏の主張を紹介します。 いずれにしても,新指導要領のメインテーマである「生きる力」を育てるた めに,みなさんも考えてみてはいかがでしょうか。 |
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| ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ [1]東大苅谷氏の学力調査の分析結果 『学力低下』の実態に迫る 月刊誌「論座」6月号より ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 学力低下論の旗頭,東大の苅谷氏が雑誌「論座」で『学力低下』の実態に迫 っています。ちくま新書「教育改革の幻想」でもそうでしたが,氏の論は綿密 な調査結果に基づいており,説得力があります。 本文から引用しながら見てみましょう。 〔注:「論座」の記事概要は佐藤@山形さんの「寸心」から頂きました。〕 …………………………………………………………………………………………… 氏は10年間続いた「新しい学力観」に基づく教育は問題あり,と結論付け ています。 《引用:子どもの意欲や興味関心を大切にしようと,指導より「支援」を重視 してきた「新しい学力観」のもとでの教育は,少なくとも今回の調査で見るか ぎり基礎学力の定着という面で問題がなかったとはいえない。》 と述べ,さらに 《引用:学力が多少低下しても,「生きる力」「自ら学び,自ら考える力」が 育てばよいという見方は,かけ声だけの皮相な議論に聞こえるだろう。》 このことについて,学校は2つのことに責任を持たねばならないとしていま す。それは, 《引用:1 基本的な内容がわかりやすく教えられたのかどうか。》 《引用:2 それを子どもたちがきちんと身につけているかどうか。》 であり,また学校だけでなく,行政サイドに対しても, 《引用:小人数学級の実現など,行政もそれをサポートする義務がある。》 と提言しています。 次に,総合的な学習の時間について, 《引用:基本的な内容が十分に身についていない子どもが増えている実態をふ まえると,子どもの主体性にまかせるばかりの教育は,発展的な内容を含む体 験学習や調べ学習の場において,さらなる格差を拡大しかねない》 と,述べています。私も同感です。私のモットーの第1は「基礎・基本なく して総合なし」です。氏の言う「子どもの主体性にまかせるばかりの教育」に は?がつきます。総合とは教師と子どもたちがともに学ぶものだと思っていま す。「子どもの主体性にまかせるばかりの教育」は言い過ぎではないでしょう か。どの教師も指導すべきは指導していると思います。 《引用:今回見た基礎学力が身についていない子どもたちは,体験学習や調べ 学習への取り組みにおいても,弱いことがわかっている。改革がうまくいかな ければ,そのしわ寄せはこうした子どもに行く。》 そのためにも少人数指導,教育課程の工夫など,基礎・基本の徹底に対応す る策を考えねばならないわけです。加えて,すべての教師が授業改革への認識 を再確認すべきなのです。今までのようにたらたらと授業をしていたのでは必 ず学力は低下するでしょう。教師の意識変革がぜひとも必要です。 |
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| ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ [1]少人数指導の実施にあたって 東京学芸大 教授 児島邦宏氏の論文から ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 現在私も4年生の算数少人数指導に行っています。今は均等2グル ープに分けて,同じ授業をやっています。私のねらいは「習熟度別学 習」にあります。かけ算やわり算の筆算など,最低限の基礎・基本は 全員に習得してほしいと願っています。そのためにあれこれ参考にな りそうな資料を探しています。そんな中から最近読んだ児島氏の書籍 から一部を紹介します。 氏は一人一人を大切にした個別指導が重要な柱であるとし,個別指 導を大切にする意味として,次のように述べています。 ………………………………………………………………………………… 児童が主体的・意欲的に学習に取り組み,積極的に思考を働かせて 理解を深め,学習のねらいを達成できたとき,それは児童自身の深い 達成感と満足感へとつながっていく。教師は日々このような学習の成 立をめざし,指導のさまざまな場面で個々の児童の学習を価値付けた り,方向付けたりして支援している。このような一人一人を大切にし た働きかけこそが個別指導の基本的な姿勢であり,学習指導における 個別指導は,児童一人一人の学習の成立を図ることにそのねらいがあ ると言える。 また,学校は集団での教育を前提としている。その典型的な指導形 態が一斉指導であり,それは学級集団に対して,同じねらい・内容・ 方法・時間をもって指導に当たるスタイルである。しかし,一人一人 の児童は,興味・関心,学習の速度,習熟度,得意な学習の方法など 様々な面において違いをもっている。個別指導を重視していくことは こうした児童の違いを大事にしていくことでもある。 (1) 学習の到達度に応じて個別指導を行う 〇 一斉指導を補う個別指導 学習の到達度に応じて個別指導を行っていく場合,二つの方法 を考えることができる。 一つは一斉指導を補う性質をもつ個別指導である。それぞれの 学級で一斉指導を行い,その後,少人数のグループに分かれて個 別指導を行う。たとえば2クラスを便宜的に3つの少人数グルー プに分けたもので,それぞれのグループには学習の到達度の違う 児童がいる。そこで3名の指導者が個別指導を行っていく。1学 級30人の学級で一斉に指導していた内容を,1グループ20人で個 別指導を中心に指導していくスタイルであり,一人一人の達成度 や習熟度を高めていくためには有効な方法である。 〇 到達度に応じた個別指導 もう一つは,1組,2組それぞれにおいて一斉指導を行ったあ と,学習の到達度を測定し,その結果に基づいて各学級の上位, 中位,下位の児童を集めて少人数のグループを編成していく方法 である。したがって,到達度の違うグループであり,個別指導の 内容も,発展的な学習を行うグループ,習熟を高める学習を行う グループ,一斉指導の補充を行うグループ等に分かれる。実践に あたっては,各グループの学習が効果的に行えるようにあらかじ め教材を準備しておくことが大切である。 なお,この方法は,個々の児童の学習状況に即しており,学習 効果を高める上で有効であるが,到達度をもとにグループを編成 する場面などでは,そのねらいや意図を教師間で共通理解すると ともに,保護者や児童にも,十分な説明と配慮を行っていくこと が必要である。 〇 学力差に応じた個別指導 また,到達度別グループを変形させる形で,学力差を考慮した 少人数グループで個別指導を行うことができる。この場合,学級 での一斉指導を行わずに,少人数グループによる指導から導入す る。しかし,指導に入る前に,その教科の学習内容に対して,児 童がすでにどこまでの学力を身に付けているかを測定し,幾つか のグループに分けておく必要がある。小学校で,学級の枠を越え てこうしたグループ編成を行うのはやや難しい面もある。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ [2]中央教育審議会答申(14年2月21日) 「新しい時代における教養教育の在り方について」 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 大学の教養課程の話かな?と思って読んでみたら,まったく見当は ずれでした。「基礎的学習内容の徹底が重要」「科学技術の功罪を判 断する能力を」など,大学段階に限らない,発達段階に応じた教養教 育を!というのがその内容でした。「幼・少年期における教養教育」 「青年期における教養教育」「成人の教養の涵養」という具合に,そ れぞれの発達段階に応じた教養教育の在り方が答申されています。 その中から「幼・少年期における教養教育」の内容の一部を紹介し ます。 ………………………………………………………………………………… ○ あらゆる教育活動を通じて,変化の激しい社会で生涯にわたって 主体的かつ自律的に学び成長していくための「受容体」とも言うべ き基礎を,子どもたち一人一人に培う必要がある。 ○ とりわけ,家庭や地域の日常生活の中で,子どもたちに古くから 伝わる遊びやことわざ,昔話などを教えたり,地域の伝統的な行事 に親子で参加したり,家庭で年中行事を楽しんだりすることなどを 通じて,伝統的な生活習慣などの「生活文化のかたち」を子どもた ちにしっかりと伝え,あいさつやマナー,善悪の判断基準,基本的 な社会道徳等を身につけさせるとともに,美を感じる心や自然に対 する畏敬の念,豊かな情緒,宗教に対する理解などをはぐくんでい く必要がある。 ○ 具体的な方策として次の5点があげられています。 (1)家庭や地域で子どもたちの豊かな知恵を育てる。 ・家庭のでの日常生活を基本とした教育の充実 ・家庭や地域でのしつけの充実 ・文化施設,社会教育施設の子どもの教養教育の資源としての積 極的な活用 ・地域社会における子どもの居場所づくりの推進 (2)確かな基礎学力を育てる。 ・基礎学力の徹底のためのきめ細やかな指導の充実 ・国語教育や読書指導の充実 ・教育と学習の成果を検証する仕組みづくり (3)学ぶ意欲や態度を育てる。 ・子どもたちの知的好奇心を喚起する取り組みの促進 ・学ぶ進度等に応じた指導の充実 (4)豊かな人間性の基盤をつくる。 ・道徳教育の充実 ・知徳体の調和のとれた育成 (5)教員の力量を高める。 ・教員の研究や自己啓発活動の奨励 ・社会体験研修の大幅な拡充等教員研修の抜本的充実 ・評価等の促進 ………………………………………………………………………………… 文末が「充実」「促進」「活用」「奨励」など,さまざまです。こ れを読みとることで審議会の真意を探ることができそうです。なお, 全文をご覧になりたい方は http://www.mext.go.jp/index.htm の 「トピックス」を開いてみてください。 |
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| ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ [2]「義務教育に競争原理導入を」 関西経済同友会が提言 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 見出しを見たとき,子どもたちの中に競争原理を取り入れるのかと 思いました。ちょっと刺激的な印象を受けましたが,よく読んでみる と教師の中に競争原理を取り入れるという話です。 毎日子どもと直接向かい合っている我々の社会に競争原理がなじむ のでしょうか。ものを売る仕事ではないのです。努力すればそれが直 接「お金」に結びつく企業とは少々色合いが異なります。そのあたり のことを考え直してほしいものです。 教師といえども1人の人間です。お金のためなら何でもやるという 教師がいないとは言えません。教師としての実績と企業マンとしての 実績はちょっと違うと思うのです。 ………………………………………………………………………………… 関西経済同友会の教育社会委員会(委員長、村尾弘毅・UFJ銀行 副頭取)は、公立を含めた小中学校の教育現場に競争原理を導入する ことを柱とする提言をまとめた。教職員や学校同士が競い合うことで 現場が活性化し、国際社会で通用する人材育成が可能になるとしてい る。 提言は、教職員の処遇が、能力にかかわらず一定であることについ て、「事なかれ主義をまん延させ、教員として不適切な人材が存在す る原因」と断じる刺激的な内容。第三者による学校教育のチェック機 関を設け、実績に応じて給与格差をつける給与体系や教員免許の更新 制、期限付き免許制を導入することを求めている。 また、学校間競争を促すためには、公立学校の学区制廃止、他校へ の編入自由化の必要があると提言。子供や保護者が自由に学校を選べ るようになれば、学校ごとの教育理念の明確化、情報公開の促進、保 護者の教育に対する意識の向上につながるとしている。 提言は「企業のマネジメントを参考にしたいとの声は教育現場から も強まっている」と指摘。村尾委員長は「人材の提供などで経済界も 積極的にかかわっていきたい」と教育改革への貢献に意欲を示した。 |
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| ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ [2]「ちゅうでん教育振興助成」 募集中です! 中部電力の教育助成金制度 応募してみては? ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 私の知り合いの学校が一昨年応募し,助成金をいただきました。彼 曰く,「それほどむずかしくなかった。ちょっとがんばれば大丈夫だ よ」と。14年度,総合で校内研究に取り組む学校の先生方,いかが ですか。主催団体の母体は中部電力です。 ………………………………………………………………………………… ■募集期間 平成14年4月8日(月)〜6月28日(金)必着 ■助成の対象 平成14年度の国内の小・中学校で実施される優れた教育上の試み および小・中学生を対象とした教育にかかわる優れた研究や交流が助 成の対象となります。助成件数は、約30件の予定です。 A助成:小中学校における地域再発見のための教育実践 B助成:小中学校における新たな教育実践 C助成:小中学生を対象とした教育に関わる研究及び交流 詳しくはHPを開いてみてください。 ■応募方法 HPから「教育振興助成申込用紙」および「アンケート」をダウン ロードし印刷してください。 必要事項を記入し、所属長(学校長等)の印を押印の上、当財団宛 にご郵送ください。 (締切日:平成14年6月28日(金)必着) なおホームページからの印刷が不都合な場合は、当財団までご連絡 ください。申込用紙を郵送いたします。 「ちゅうでん教育振興」 http://www.chuden-edu.or.jp |
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| ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ [2]限られた「時間」を有効に使うコツ 身につけたい「同時並行処理能力」 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ どんな職業でも言えることでしょうが,私たちは多くの場合複数の 仕事を抱えています。例えば,交通安全教室の原案を立てる,授業研 究の指導案づくり,社会見学の見学先との連絡調整,評価規準の作成 などなど。これら複数の仕事をどうこなしていきますか?「研究授業 があたっているから」と,他の仕事を断る人が時々います。言語道断 です。また,若い教師に,いつまでも学校に残って仕事をしたり,休 日に出勤している人がいます。尋ねると「仕事ができていないから」 と言います。そばで見ていると要領が悪いのです。 私は仕事を進める上で,常に気をつけていることは「優先順位をつ けて同時並行処理する」ということです。抱えている仕事をリストア ップし,優先順位をつけ,1日の仕事時間を割り振ります。例えば今 日の午前中は研究推進委員会への提案事項を,午後から少しPTAの 会計報告を,授業後は評価規準を,研究紀要の原稿はまだ手をつけな くてもいいな,という具合に同時に進行させます。もちろん配分時間 は異なります。 先日「驚異の時間革命77のヒント」という本を買いました。著者は 東京大学卒,司法試験,公認会計士,通訳の資格を持つという黒川康 正氏。現在は黒川康正国際法律会計事務所を開いています。この中に 「優先順位を明確にせよ。これを別言すればやるべきことややりたい ことを片っ端からむやみに虱潰し的にするなということにもなる」 「すべての仕事の重要度が等しいなんてことはまずない」また「重要 度と緊急度はちがう。優先順位を決めるときに判断基準は緊急度では なく重要度である」 次はその具体的手法について。「作業を細分化して時間活用を高め る」「大きな仕事は小さく細分化した上で時間を配分するのが最も効 果的。これを予定になかった空き時間や細切れ時間を使って少しずつ 片づける」「まとまった大きな仕事も事前に細分化しておく。そして その1つずつを順に片づける」というわけです。そうすることで「巨 大な仕事でも最初の1行程だけでも手をつけておけば,全体が見通せ るし,第1安心できる」と述べています。 最後に書名を紹介しておきます。 「驚異の時間革命77のヒント」 黒川康正:著 成美文庫 ¥505(税別) |
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| ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ [1]文部科学省視学官 嶋野道弘氏の講演から ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 2月23日(土),大阪教育大学附属天王寺小において生活科・総 合的学習授業研究会第25回研修会が開かれました。嶋野氏の講演の 概要をお知らせします。 ………………………………………………………………………………… ・ 明治維新時,第2次大戦終了時に次ぐ第3の教育改革。今回の特 徴は「外圧による改革」ではなく,社会の変化に対応するための改 革であること。ハードの改革ではなくソフトの改革であるがゆえに とらえどころがない。 ・ 新指導要領の精神に基づき,地に足のついた実践を。 ・ ゆとりと学力が対立しているようにとらえられているが,それは 的はずれ。ゆとりの中で生きる力を育む。 ・ 新指導要領は学力向上をねらっている。改訂のねらいは「心の教 育と国際理解」など4項目。その中に「自ら学び・・・」「基礎・ 基本の重視」と明記し,その実現のために「特色ある学校づくり」 をしなさい,と謳ってある。 ・「学力」とは知識,理解はもとより,意欲,判断,態度など,学ぶ 意欲をも含むものである。 ・ 内容を減らした分ゆとりができた。そのゆとりで「体験」や「問 題解決学習」を取り入れ,思考力や判断力を身につける学習を推進 してほしい。「ゆとり」はその場を作る。 ・ 学校5日制については平成4年に月1回,7年に月2回と試行を 重ねてきた。20世紀は学校完全依存型であった。21世紀は地域 自立型に。地域は受け皿ではなく,教育風土として自立を。 ・ 教師も自立を。総合的な学習の時間や生活科の学習材となる自分 の身の回りや地域は「応分の姿」しか見せてくれない。無関心なら それなりに,追究している人にはそのように。これを変化させてい くのが「学び」 ・ 生活科の教科書の存在。実践が画一化する懸念がある。教科書が あっても画一化しないことが教師の自立。 ・ 総合的な学習の時間の学習原理は3つ。1つは「子ども中心」子 どもが持っている主体性を引き出しながら授業を組み立てていく。 2つ目は「課題中心」課題に取り組む始めと終わりでの変容。どん な力がついたか。3つ目は「体験と問題解決学習の重視」本やイン ターネットで調べて発表するだけ,また,体験するだけの学習では 学習として成立しない。 ・ 総合的な学習の時間で育つ子の姿,4つ。1つは「思慮深い子が 育つ」問題意識が高まる,断片的な知識がネットワーク化する,さ まざまな角度から物事を見る,自分は世の中のシステムの中で生き ていることに気づく。このような子は「偏見やキャッチフレーズに 惑わされなくなる」2つ目は「現場を科学する子が育つ」漠然とし た見方から分析的な見方ができるようになる。3つ目は「生活の中 に埋め込まれている知を見つけることができる子が育つ」知を見つ け,先人の知恵を知り,未来を拓くことができるようになる。4つ 目は「責任感や判断力のある子が育つ」そしてこれら身についた力 もすべて「学力」である。 ………………………………………………………………………………… 文部科学省は学力を知識・理解のみならず「学ぶ意欲」まで含めて とらえています。これは10年前の「新しい学力観」の時からです。 しかし,大半の保護者は学力イコール知識・理解ととらえているで しょう。このあたりが世論と食い違い,議論を呼んでいるのではない かと思います。このあたりの意識のずれを何とかしなくてはならない でしょう。「学力」とは何か,こういったことが世間に認知されてい ないように思えてなりません。学校がPRしていく必要があるでしょ う。いろいろ手段はありそうです。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ [2]日本体育大学教授 中野重人氏の講演から ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ [1]と同じく,生活科・総合的学習授業研究会第25回研修会での 講演です。以下,そのダイジェストです。 ………………………………………………………………………………… ・ 文部大臣緊急アピールの5つの方策は何を言っているのか。「学 力を付けよう」なのか? ・ 20世紀の学校は横並びの学校。21世紀の学校は「みんなちが ってみんないい」学校。アピールはこれにブレーキをかけているの か?各自の判断を。 ・ ゆとり反対論が巻き起こっている。ゆとりではなく「ゆとりと充 実」充実の部分が欠落して語られている。出された背景をよく読み とってほしい。 ・ 能力差への対策。できない子は伸ばしてきたが「伸びる子」を伸 ばしてきたか。「わからない子がいるんだから」という言葉で「伸 びる子」を伸ばさないできた。 ・ 指導要領は最低基準である。これを越えられない子をどうするか を議論すべきである。 ・ 基礎・基本とは何か。通知票や指導要録に凝縮している。学力と は学校で身につけるべき力すべてを指す。これは通知票の右ページ も左ページもすべて。指導要録の記載事項すべて。 ・ 20世紀は受け入れる力が問われた。21世紀は切り開き,創り 出す力が問われている。 ・ 教育課程の編成は「すべての子どもが元気になる」ように。特色 ある教育課程イコール特色ある学校づくり。地域の支持を。 ………………………………………………………………………………… 最低基準である「新指導要領」をクリアできない子をどうするか, この訴えに大賛成です。安彦氏は「読み・書き・計算は基礎的学力」 と言われています。「学力として,他の部分の基礎となると考えられ る部分と考えられる」とも。学力を身につけるためのベースとなる必 須条件です。 |
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| ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ [2]「今,学ぶことが有用なり」 有田和正氏 「今,学び合う仲間がいますか」嶋野道弘氏 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ どちらも講演で聞いた言葉ですが,厳しい時代を迎える教師にとっ て,核心をついた名言だと思います。私は日頃,教師ほど勉強しなけ ればならない職業はないと思っています。何といっても人様の大事な 子を預かっているのですから。そしてその子の資質,能力を伸ばすと いう責任と義務を担っているのですから。 医者が最新の治療方法を知らないで成り立っていくでしょうか。美 容師が最新のファッションを知らないで店が繁盛するでしょうか。そ れと同じだと思っています。 先日,学校に出入りしている教材屋さんと話をする機会がありまし た。実によく勉強しています。新しい指導要領で教育がどう変わるの かを。どんな内容が削減されたか,評価がどう変わるのか,総合的な 学習の時間とは何なのか等々。東京まで出かけて3泊4日日程の研修 会を受けたり,資料を使って家で勉強したり,とにかく勉強している のです。その辺の教師よりよほどよく理解しています。これがプロで はないでしょうか。 その点我々教師はどうでしょうか。日々研鑽,努力しているでしょ うか。4月からどういう顔をして教壇に立てばいいのでしょうか。 「私は本は読まない」「教育雑誌?1冊も購読していない」と公言す る教師が実際にいるというのが現実です。 とは言うものの,勉強はなかなか一人ではできることではありませ ん。しかし,仲間がいれば話は別です。雑談でさえ勉強になります。 本を紹介し合うこともできます。いろいろな情報も交換することがで きます。コーヒーでも飲みながら井戸端教育談義をするなんて最高に 楽しいひとときです。そういう友人がいれば理想的です。何らかの組 織に属するのも一つの方法ですが,やはり形式的で堅苦しくなってし まいます。学び合うことのできる友人,これは宝物であると思ってい ます。あなたには学び会う仲間がいますか? |
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| ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ [1]子ども中心の教育とは? 奈須正裕氏(立教大助教授)のおはなしから ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 横浜の大岡小研究会で聞いた奈須氏のお話,そして紀要への寄稿か ら要旨を抜粋します。 ………………………………………………………………………………… ・最近のショッキングなできごと2つ 1つは「総合的な学習の時間がなぜやれないのか?」それは教科指 導がきちんとできていないからではないだろうか。総合的な学習の時 間と教科のねらいの違いがきちんと認識されていないところに原因が ありそう。それぞれでの育てたい子ども像を明確に。 2つ目は「なぜドリルばかりやっているのか」日本の子どもたちは 知識もあるし問題も解ける(国際学力比較調査などの結果)。問題と すべきは「意欲」なぜ学ぶかの意味を実感できていない。これこそが 学力向上で問題とすべき。与えるだけのドリルを増強するのは「学ぼ うとする」本人の意向に反して学力低下を増幅している。 ・総合的な学習の時間は子ども中心→だから教師は何もしないでいい と考えている教師がいる。実に哀れ。「子ども中心」とは,子どもの 夢や願いを子どもをとりまく生活現実に依拠しながら,教師から見て も教育的に価値のある内容を,意図的,計画的に実現していく教育。 子どもたちにとって身近で切実な問題を契機に,その自力解決を進 める中で,さまざまな知識や技能はもとより,多様な問題解決の資質 や能力が育っていく。そんな授業やカリキュラムをささえる原理が本 来の子ども中心の教育である。 ・学力低下論やゆとり教育見直し論の多くは,不勉強や誤解,イメー ジの貧困や現場の事情への無理解からきている。基礎基本の重要性が 叫ばれているが,なぜことさら強調するのか理解できない。さらには そのことを論拠に,やたら漢字と計算のドリルばかりやろうとする人 があるが不可解である。基礎・基本イコールドリル学習の図式はおか しい。基礎・基本とは指導要領の全目標・全内容である。知識や理解 や技能だけでなく,関心・意欲・態度や思考・判断も基礎・基本であ る。いままでの授業をいい加減にやってきたから基礎・基本をやろう とするとき,ドリルぐらいしか策が浮かばないのである。 ・正直言って現場の教師は忙しい。空騒ぎにつきあっているひまはな い。何も迷うことはない。目の前の子どもたちと校内の仲間,そして 支援してくれる地域の人たち,その中で信じる確かな教育を,心をお だやかに持って地道に,着実に歩み続けていきさえすればよい。 ・教科書に頼った授業も良いが,この単元は,と思ったら子どもと自 分にあった単元のリデザインをする気構えがほしい。教師が咀嚼(教 材研究と単元構想)して子どもに与える努力を。大岡小の「勘と知 恵,技」の手法は参考になる。 ………………………………………………………………………………… 私の周囲にも実際にいるのです。「総合的な学習の時間は子ども中 心だから教師は口出ししてはいけない」と言っている人が。 坂本忠芳氏は「体験ばかりが重視される学習が,基礎・基本となる べき知識・理解や技能が軽視されるという結果をもたらしている」と 述べ,さらに「このような活動や体験を重視する考え方からすると, 極端にいえば先生は指導してはいけない,じっと子どもたちの様子を 見ていればいい,ということになる」と極論されています。 体験活動であるが故に教師の支援が重要となってくるのです。しか も,支援とは「学習のねらいへ迫れるように導くだけではない。時に は突き放すことも支援」と有田和正氏は述べておられます。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ [2]教育と行政 どうなる教育の独立? ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ある朝,新聞の『わが街の教育 市長の手に』という見出しに目が とまりました。概略を紹介します。 ………………………………………………………………………………… ― わが街の教育 市長の手に ― 「学校中心」から「地域」へ ○○の26市が懇談会発足 市長の立場から教育行政に提案や要望をしていこうというグループ が4日,○○県市長会の中に発足した。 講演に招かれた文部科学省審議官曰く「極めて画期的」と。「教育 を住民の代表者の手に取り戻そう」を合言葉に,県教育委員会の“聖 域”にも提案や要望をしていくことを目指している。 新年度中に改革案を取りまとめ,愛知県などに提言し,県議会や町 村会とも連携し実用的な提案を目指す。 同懇談会は「地域のための教育行政は,住民の代表である市長の手 で行うべきだ」という意見などから,昨年10月,市長会で設立が提 案されたことを受けて。 戦後,日本の教育行政は財源を握る国が方針を打ち出し,地方がな らうのが通例だった。市町村立学校では,教員人事の任命権も県教委 にある。しかし,いじめや学級崩壊などの問題が相次ぎ,一昨年4月 には学校教育法の改正で,教員免許がない人でも校長,教頭に登用可 能になるなど“規制緩和”が進んでいる。 文部科学省審議官は「市長が教育行政に責任を持とうというのは背 景に市民がいるから。その意味でも意義深い」「地域社会,家庭の部 分は霞が関からは見えない。中央集権では学校中心の教育行政しかで きない」「財源も地方に移譲し,国は情報や知恵を出すのが理想」と 訴えた。 ………………………………………………………………………………… 困ったことですね。市長選で「徹底した教育改革を目指します」と 公約した候補者が当選するとどうなるのでしょう。私たちの考えると ころと同じであれば好都合ですが,一般市民向けのウケる改革であれ ばたいへんなことになりそうです。 幸い私の市の市長は「生涯学習都市」を標榜しています。私は賛成 しています。 |
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| ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ [2]基礎・基本とは? ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ [1]の延長になりそうですが,基礎・基本とはいったい何なのか, きちんと定義しておく必要がありそうです。前にも書いたような気が しますが,最近総合的な学習の時間と基礎・基本が相対,もっといえ ば両極,さらにいえば敵対している存在として見なされているような 気がしてならないのです。果たしてそうなのでしょうか。ちょうどそ んなとき東京学芸大の児島邦宏教授の「学力観のとらえ―2項対立か ら層的理解へ―」という文を読みました。氏は「基礎・基本か生きる 力か,読み書きそろばんか考える力か,知識・技能か問題解決力か, という2項対立のとらえ方の下で論議が展開されている。果たして学 力観とはこうしたどちらをとるべきかという図式でとらえうるものな のか」と述べている。 層的なとらえ方として 第1の層「基本的生活能力」つまり,読み書きそろばんです。 第2の層「教科の基礎・基本」つまり,学習指導要領に示された内 容です。これは以前書いた「山極理論」と同一です。 第3の層「生きる力」つまり,自ら学び考える力です。 であり,第2の階層で身につけた基礎・基本を総合化させる場であ ると言うものです。 ここでもう1度「総合的な学習の時間を実践する上で基礎・基本は 欠くことのできないベーシックです。基礎・基本なくして何が総合 ぞ,」と言っておきます。 余談ですが,私は総合には総合の基礎・基本があると思っていま す。これも以前書いたと思いますが,それは有田氏の言われる18の 学習技能があたると考えています。 |
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| ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ [1]遠山文部科学大臣の記者会見に思う ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 皆さん既にご存じかもしれませんが,掲載します。これは文部科学 省のHPからです。 ………………………………………………………………………………… 平成14年1月18日文部科学大臣会見の概要 14.1.18 9:48〜10:18 文部科学省記者会見室 (記者) 昨日の教育委員会連合会で文部科学省としても公式に初めて「学び のすすめ」という学力の低下の防止についての施策を出したと思いま すが、初めて示した意義についてどう考えていらっしゃいますか。学 力低下の不安を払拭する処方箋として伝わっているかについてどのよ うに考えていますか。 (大臣) 4月から新しい学習指導要領が実施されることで、長い間検討され 準備されて、着々と内容が行き渡っていると思います。その考え方を 要約すれば、基本を十分に身に付けさせて、その上で自ら考える力、 自ら判断する力を養わせようという誠にきちんとした哲学を持ってい まして、これは正しいわけでございますが、ともすると今回の新しい 学習指導要領の実施と同時に学校が週5日制になったこともあり、ま た教育内容を厳選したこともあって、授業時間数、教育内容が減った と,どちらかといえば国民、学校関係者の中にもその精神をきちっと 実現しようというよりは、あまりにも「ゆとり」ということにとらわ れた反応、懸念も見られることがあったわけでございます。 そういう国民、社会の各方面の疑問や危機感に答えていくことも必 要であるわけでございますし、今、世界の動きを見ますと各国ともに 真剣に教育改革に取り組んでおりまして、先ほど申した大学改革もそ の例でございますが、初等中等教育についても学力向上を含む本当の 意味での人材育成に国を挙げて取り組んでいる動きがございます。 日本もその一環を占めているわけですが、その力点がもう少し学力 向上に向くべきという現実がございます。先般PISAの調査の結果 がございましたけれども、その中で日本は数学、理科ともに1位、2 位という成績ではあったのですが、必ずしも手放しで喜ぶことはでき ない。かつては断然トップであったものが、今や一群と言いますか上 位というところに落ち着いておりますし、読解力の問題や自分で、家 で学ぶ姿勢においてどうも足りないのではないかということで、宿題 や自分の勉強する時間が各国で最低でございました。 新しい学習指導要領の実施の準備だけではなくて、新しい角度から 確かな学力という視点を取り入れて、その視点を通して新指導要領の 実施の本来的な狙いを実現したいと思ったことが今回のアピールの きっかけでございます。 これまで言ってきたことは、当然、実施していただきたいと思いま すが、そのときに学ぶ習慣や学ぶことの楽しさを身に付けさせる、自 分で意欲的に学ぼうとする気持ちを大事にしていくことも取り入れて 本当の意味で確かな学力を身に付けてもらいたいというわけです。そ のことが、子どもたちの将来にとって力になるのと同時に、日本の将 来にとっても非常に大事なことではないかと思ったので、このコメン トを出した次第です。 ただ、あそこに書いてあることは心ある教員なら既に行っているよ うなことが多いとは思いますが、今回のアピールで示したようなもの も参考にしながら、それぞれの地域、子どもたちの実態に応じていろ いろな方式を考えながら確かな学力の実現に向けてそれぞれ努力して 頂きたいという願いを込めてのアピールでございます。 (記者) 今回のアピールは、好意的に見ているところもありますが、また同 時に「ゆとり」に対して、学力向上に力点が置かれ、方向転換ではで はないかと戸惑いもあるようですが、今後、具体的に学校教育現場に 対してどのような指導していかれますか。 (大臣) 昨日のアピールを見て方向転換と捉えるというのは解せない話でご ざいまして、よく読んでいただければそういう誤解はないと思いま す。これまで積み上げてきた新しい学習指導要領の狙いをしっかり実 施してもらいたいと思っております。ただ、確かな学力という角度か ら今までのいろいろな努力の成果がきちんと出るようにとお示しした わけです。 そして今回お示ししたものは、相当詳しく書き込んでございまし て、今回のアピールで私の考え方を示して、後はそれぞれの地域にお いて工夫を重ねてもらいたいと思っております。もちろん、今回のア ピールの内容について、当方の持っております手段、例えばエル・ ネットでありますとか会議等でお伝えしていきたいと思いますが、こ れ以上詳しくとは考えておりません。 ………………………………………………………………………………… 以上がアピールについての記者会見の全文です。 私は「朝のベーシック学習」の時間や「放課後の補習」には賛成の 立場です。しかし方法論的に考えるべき点がいくつかあります。その 最も大事なポイントは習熟度別学習です。これについては,私のML 仲間の若月さんの学校の取り組みが素晴らしいと思っています。詳し くは http://www.kisnet.or.jp/~biwa/ をご覧ください。 総合的な学習の時間を実践する上で基礎・基本は欠くことのできな いベーシックです。基礎・基本なくして何が総合ぞ,と言っておきま す。遠山大臣も総合的な学習の時間がどうでもいいとは一言も言って おられません。アピールの中でも「基礎・基本を確実に定着し,それ をもとに,自ら学び自ら考える力など,21世紀に通用する生きる力 の育成を目指しています」と明記してあります。 やはり基礎・基本は大事だと思います。 |
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| ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ [1]説明責任 account-ability 「精力的に学級通信を発行しよう」 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 皆さんよく耳にする「説明責任 account-ability」という言葉。 abilityには能力,力量,才能といった意味があります。直訳すると 「説明能力」となります。文字通り「責任」ではなく「能力」かもし れません。「責任」という言葉はきわめて受動的です。そうであって はならないと思います。積極的な発信が望まれます。 それぞれの立場の教師がそれぞれの行為について説明していく必要 があるでしょう。学級担任の立場からも当然アカウントすべきことが 山ほどあります。その方法も多種多様です。近未来的には担任のホー ムページを保護者が読む,というスタイルになるかもしれません。学 級メーリングリストというのもおもしろそうです。 しかし,強くおすすめするのは「学級通信」です。私は頻繁に出し ていました。半ば趣味に走っていた部分もありましたが・・・・。内 容はニュース的なものではなく,担任である私の「思い」を中心にし たものでした。「自分の学級,学年をこうしたい」「今こんなことで 困っています」「この学習ではこういうことを目標として進めます。 ちょっと難しいところなので,少し宿題が多くなるかもしれません」 といったことを数多く書いたことを記憶しています。 子どもの短作文などを主体とした通信,デジカメでとった写真と数 行のコメントだけで終わっている通信,このような通信では説明責任 は果たせません。私は保護者に会うとよくいわれました。「クラスの 様子がよくわかって,読むのが楽しみです」と。 説明責任などというむずかしいことを考えないで,担任としての熱 い思いを堂々と掲載し,保護者に知らせるという学級通信,積極的に 発行してみませんか。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ [2]波紋呼ぶ「遠山発言」 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 遠山発言(毎日新聞:報道)と2002アピール(文部科学省発表)に ついては,皆さんとっくにご承知のことと思います。ついで朝日新聞 の社説でも「系統と体験の間を行きつ戻りつしている」というように 取り上げられました。 私が所属しているML(複数)では,否定的な意見が大勢を占めて います。ある方は総合的な学習の時間を > 子どもたちの意欲を喚起し,学校を勉強(強制されるという意味) > から学習の場へ転換させるために総合的な学習の時間が創られた。 と認識されております。逆行しているという意見です。 確かに「学ぶ楽しさ」を具現するために新設された総合的な学習の 時間が,いつの間にか隅に追いやられたかの感があります。今では基 礎・基本と総合とが相対する存在としてとらえられてるようです。 私の「総合的な学習の時間実践10か条」の第1条は「基礎・基本 をおろそかにする教師は総合を指導する資格なし」となっています。 「基礎・基本なくして何が総合か」というわけです。 基礎・基本が身に付いて初めて総合的な学習の時間は成り立つと考 えます。そのために力が足りないなら朝の基礎学習時間帯をとること もいい,総合的な学習の時間の110時間のうち30時間を基礎基本 に回してもいい,とさえ考えています。そのためにも15分モジュー ル時間割を導入,というわけです。 そもそも,総合的な学習の時間の影が薄くなってきているのは, 我々教師の怠慢が原因と考えています。着実に実践し,それ相応の成 果を上げればこれほど非難を浴びることもないでしょう。そういった 意味からも,文部科学省を非難する前に我々が実践を通して結果をき ちんと出すことが大きなポイントとなっていることを自覚したいもの です。 |
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| ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ [1]学校のリデザイン チャータースクール制度の試み ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 雑誌「悠」1月号に「学校を“リ・デザイン”する」が特集されて います。その中に「チャータースクール」の取り組みがありました。 アメリカでは既に多く開校しているようですが,日本では法的な根 拠がなく,まだ正式に認可されている学校はないとのこと。しかし, 「湘南に新しい公立学校を創り出す会」が正式認可に向け,実践を重 ねているということです。 チャータースクールについて本文では, 「基本的には,教師・保護者らによって申請され,教育委員会の審査 を経て承認されれば特別認可(チャーター)が与えられるという仕組 み。設立された学校の運営は申請者らが行い,児童生徒数などに応じ て公的資金が投入される。教育内容や学校運営などについては,きび しい評価が行われており,経営が成り立たないところや,教育内容に ついて著しく不十分であるところは閉校にされてしまう。一方,カリ キュラムは自由であり,シュタイナー教育を標榜するチャータース クールも多いようだ。」と述べてあります。 この雑誌を読んだあと書店で偶然見つけたのが[3]で紹介する 「子供が個立できる学校―日米チャータースクールの挑戦・最新事情 ―」です。早速購入しました。ここで紹介されているのは「湘南に新 しい公立学校を創り出す会」の実践です。創り出す会がめざしている のは,指導要領にしばられることなく,独自の教育を展開する,とい うことです。本文には「大切なのは,子どもの自己決定を信じるこ と」「自己の動機づけ・自己規制・自助努力の力を引き出すために問 題解決学習法という独自のプログラムを実践している」とあります。 自民党の教育改革実施本部に「チャータースクール構想等研究グ ループ」ができたことで自民党でヒヤリングを受けたり,文部科学省 の公募型研究開発学校制度に応じたりと,前途は明るいようです。 ………………………………………………………………………………… 誰もが感じることであろうと思いますが,基礎・基本の学力はどう するのか,このことが何といっても大きな課題となりそうです。 チャータースクール制度はアメリカで発生しました。きっかけは学 習障害を持つ子への対応です。読んでいるうちに創り出す会のめざす ところも同じかなと思えるところもありますが,日本という土壌に根 ざした独自の教育課程を創り上げることは極めてむずかしいと思いま す。社会の理解を得るにはまだまだむずかしそうです。 |
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| ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ [1]授業を公開すること ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 東京都内の小学校の校長0氏が,ある教育雑誌に次のようなことを 書かれている。 ― 新教育課程実施にともなって,保護者の関心は「基礎・基本の定 着」に向いてくる。その時学校は「学校を開く」ことと合わせて, 「学級の授業公開」が問題となってくる。 従来の特定された日だけでなく,「いつでも自由に。そしてどの 学級も開放」という形での対応が必要である。 授業公開のメリットとして,次のようなことが考えられる。 1.子どもの日常の姿を見せられる。 2.見たい時間帯に見られるので,仕事の合間でも都合がつく。 3.保護者の気になる教科が見られる。 4.通知表で書けない子どもの姿を伝えられる。 公開の形として,学期に1回1週間を考えたい。次の年には2週 間というふうに,段階的に日常化をねらう。 工夫として以下のことを考えたい。 1.保護者向けのわかりやすい指導案を示すことで,教師の学ぶ 機会としたい。 2.アンケートを実施し,保護者の意見を取り入れたい。 3.他の学級を参観することで,教師の力量を(教師が)再認識 する機会としたい。( )は筆者付記。 4.日常性の中で,学校は授業だけで成り立っているのではない ことを(教師が)再認識できる。( )は筆者付記。 最後に,外来者に対する学校の安全性を忘れてはならないことを そえておきたい。 ― ………………………………………………………………………………… 新しい指導要領の実施にともない,基礎・基本が十分に身につくか どうかは,保護者のみならず社会の最大の問題点でしょう。新指導要 領の学習内容が最低基準であるということも注目点です。 保護者の目から見れば,「総合的な学習の時間とかいうわけの分か らない勉強が始まって,教科の勉強が減るというのはどういうことな んだろうか」とか「中学の受験,大丈夫だろうか」ということになり ます。今,学力低下論が沸騰しています。 それを地域や保護者に説明する(と言うよりチェックしてもらう) 一つの方法として,授業を公開するのは有効でしょう。我が校でも月 に1回「学校参観日」と称し,丸1日学校を開放しています。 また,共育(教育)ボランティアと称し,さまざまな活動に保護者 をはじめ,地域の方々の力を借りています。 ちょっとおもしろいのは学芸会での背景画や大道具づくりなどに参 加していることです。リーダーシップを発揮し,子どもたちと一緒に 制作に取り組んでいます。保護者と共に作り上げる学芸会です。 これからの学校は地域と共に育つ学校であるべきです。ありのまま の姿を見ていただき,共に学校を育てていくことが重要な学校経営で はないでしょうか。 |
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| [2]勉強しない教師は ・・・・ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ● 文科省視学官嶋野視学官の講演より 「21世紀の有能性」 ・ 今,学ぶことが有能なり。 ・ 今,学びたいことがありますか。 ・ 今,学び合う仲間がいますか。 ・ 今,自分の有能さを生かせる場がありますか。 ・ 感じ,考え,表現することを日常化させていますか。 ・ 知の油断を招かないように。 ● 教材・授業開発研究所代表有田氏の講演より 「勉強しない教師は失格時代」 ・ 学ぶことは人生最高のぜいたくな遊びである。 ・ 能力はその人の資質とその人をとりまく環境と本人の意欲に よって決まる。 ・ いい授業を見て「あこがれを持つ」 ・ 本や雑誌から学ぶ。 ・ 学びの達人から学ぶ。 ・ グループをつくって学びあう。 ・ 勉強の時間を作る。 ………………………………………………………………………………… いずれも私が今年聞いた講演です。 私は若い頃から,研究会などでよく勉強している先生を見ると単純 にあこがれました。あの先生に受け持ってもらっている子どもたちは 幸せだろうなと。いつか自分もあんなふうな教師になりたいと。もっ と言えば「子どもたちのためにいい授業をしたい」と。 そして,常に新しい情報を取り入れ,自分のものとして,自分の基 礎能力を高め続けたいと思うようになりました。授業を実践するにあ たって「どんな方法がいいかな」「どんな展開がベストだろう」と考 えたとき,ベースとなる基礎能力が少ない人と多い人では,当然結果 に差が出ます。これは直接子どもに結果として結びついてきます。 子どもたちのために,そして自分のために「学び続ける教師」であ りたいと思っています。 |
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