オペラ「フィガロの結婚」
全4幕・あらすじ
とき
17世紀
ところ
スペイン、アンダルシア地方
登場人物
アルマヴィーヴァ伯爵・ロジーナ(伯爵夫人)・フィガロ(伯爵の従弟)・スザンナ(伯爵夫人の侍女でフィガロの婚約者)・ケルビーノ(伯爵の小姓)・マルチェリーナ(女中頭)・バルトロ(セビーリアの医師)・バジリオ(音楽教師)・ドン・クルーツィオ(裁判官)・バルバリーナ(小間使い、アントニオの娘)・アントニオ(園丁でスザンナの伯父)
〜大法官アルマヴィーヴァ伯爵の従僕と伯爵夫人の侍女スザンナの結婚式の一日の出来事〜
<第1章>
がらんとした部屋にベッドと大きな背もたれ椅子が無造作におかれている。フィガロとスザンナの結婚式当日。
フィガロは殿様からもらったベッドをどこに置こうかとうきうきして寸法を測っている。スザンナは結婚式でかぶる髪飾りを作っている。二人が新居としてもらったこの部屋は、伯爵の部屋にも伯爵夫人の部屋にも近くて便利と喜んでいるフィガロに、スザンナは伯爵が初夜権を復活させて口説きにくるにも便利だと、とんでもないことを言うものだから伯爵に対する対抗意識が目覚める。二人が去った後、女中頭のマルチェリーナが前夫で医師のバルトロを伴ってやってくる。マルチェリーナはフィガロに金を貸し、返済できない時は結婚するという証文を取っている。そこでフィガロに恨みを持つバルトロと共謀して、結婚式の妨害を企てる。部屋に帰ってきたスザンナにマルチェリーナはいやみを言われ退散する。その後、小姓のケルビーノがやってくる。
庭師アントニオの娘バルバリーナと一緒にいるところを伯爵に見つかり、首になってしまったスザンナに嘆いている。その時、突然伯爵が現れ、ケルビーノがいるとも知らずスザンナを口説き始める。すると今度は、僧侶で音楽医師のバジリオが伯爵を探しにやってくる。伯爵は椅子の陰に、ケルビーノは椅子の上に隠れる。バジリオはケルビーノが伯爵夫人に恋心を持っているのは誰でも知っている、と言うものだから伯爵は飛び出して、真意を確かめようとする。隠れていたケルビーノは見つかり、即刻軍隊行きを命じられる。くさるケルビーノをフィガロは『もう飛ぶまいぞこの蝶々』と歌ってからかいながら幕となる。
<第2章>
豪華で広い伯爵夫人の部屋は2階にある。左に衣裳部屋、正面にはバルコニーを持った大きな窓がある。
伯爵夫人はスザンナから夫の浮気心を聞き、嘆いている。そこにフィガロとスザンナが現れ、伯爵を懲らしめる作戦を練る。つまり、伯爵夫人が浮気をするという偽手紙をバジリオを通して伯爵に渡し嫉妬心をあおる。その現場には夫人に代わって女装させたケルビーノを行かせ、そのどさくさに結婚式を挙げてしまおうという計画だ。いよいよ実行にかかろうと、フィガロはケルビーノをよこす。やって来たケルビーノは、伯爵夫人に「恋の悩み知る君は・・・」とうたう。ところが、ケルビーノに女装させている最中に、手紙を見て嫉妬に狂った伯爵が、狩りから帰ってくる。あわてた夫人はケルビーノを衣裳部屋に隠す。その時、衣裳部屋から大きな物音がし、伯爵は開けろと息巻く。夫人が開けることを拒むものだから、ドアを壊す道具を夫人と共に取りに行き、部屋には外から鍵をかけてしまう。その間に、ケルビーノは2階の窓から飛び降りて逃げ、代わりにスザンナが衣裳部屋に隠れる。伯爵がいよいよ衣裳部屋を開けようとすると、中からスザンナが出てきたからびっくり。思い違いであったと夫人に平謝りし、形勢は逆転する。
ところが庭師のアントニオがやって来て、窓から人間が降ってきたと訴えるものだから、伯爵は疑心暗鬼になるが、居合わせたフィガロの機転でごまかす。
フィガロはなんとか結婚式をと、ことあるごとに迫るが、伯爵はなんとか延期したいと女中頭のマルチェリーナの登場を待つ。やがてフィガロが書いた借金の証文を持って、結婚を迫るマルチェリーナが現れ、再び伯爵が優位になったところで幕となる。
<第3章>
お城の中の儀式用の大広場。
伯爵は、思惑通りに事が進まないいらだちを、「平民は強くなった。妻はもっと強くなった。過ちは誰にもある」と嘆いている。
フィガロの計画がつぶれてしまったので、今度は伯爵夫人自らが計略を練っている。つまりスザンナに伯爵の誘いを受けたように見せかけて、伯爵夫人と入れ替わって懲らしめようとのねらいである。そしてスザンナは伯爵を誘う。心ときめかす伯爵は、幾度もスザンナの言葉を確認する。そして伯爵はスザンナの色好い返事で誘いに乗ろうとするが、フィガロに漏らした言葉「勝ちと決まった」が気になってくる。
いよいよマルチェリーナとの裁判になる。法律家ドン・クルツィオは、フィガロが金を返せぬ時は結婚するという証文を盾に判決を下し、フィガロは絶体絶命の窮地に陥る。そこで、フィガロは自分は貴族の出身で親の許しがいると、とんでもないことを言い出す。乳児の時にさらわれたとの話を問いただしているうちに、若かりし頃のバルトロとマルチェリーナの間に出来た子どもだったことが判明する。そうなると伯爵にとって結婚式を延期する理由がなくなり、親子そろって結婚式をあげることとなる。
伯爵夫人とスザンナは、伯爵にあてた手紙を書いていると、庭師の娘バルバリーナに連れられて大勢の村娘が伯爵夫人に花を持ってくる。その中に、女装したケルビーノが混じって夫人に花を渡す。その時アントニオが女装したケルビーノを見破り、伯爵にばれてしまう。その場は、うまくバルバリーナがとりなす。いよいよ親子そろっての結婚式である。
式の最中スザンナは、伯爵に「今宵、松の木下で」との手紙をこっそりと渡す。もちろん、伯爵夫人の差し金である。伯爵はうきうきし、だれが手紙を渡したのか事情を知らぬフィガロはにやにやしている。やがて大宴会が始まり、幕となる。
<第4章>
真夜中の庭園。左にあずまやがある。
月も星もない真っ暗な夜の庭に、様々な思惑を持った人物が現れる。
スザンナに届けるよう殿様から預かった封印代わりのビンを無くし、バルバリーナがべそをかいている。そこに、フィガロと母となったマルチェリーナがやってくる。そして殿様に手紙を渡したのがスザンナだとわかり、フィガロは愕然とし嫉妬に狂う。
殿様がスザンナと逢い引きするのを見届けようとバジリオ、バルトロを率いてフィガロが現れる。お互いの衣装を取り替えたスザンナと夫人が、フィガロが隠れて様子をうかがっているのを承知で、殿様を心待ちにしているそぶりをみせる。ところがそこに、バルバリーナとの逢い引きでやってきたケルビーノが、スザンナに変装した夫人に言い寄ってくる。そこにスザンナを探しに来た伯爵に見つかり、ケルビーノは大慌てで逃げる。変装した夫人をスザンナと思い込んでいる伯爵は、相手が自分の妻だと気がつかず口説き始める。久しぶりに夫の優しい言葉を聞く夫人。そうとも知らず、いらいらがつのるフィガロ。
スザンナはやきもきしているフィガロをからかうつもりで伯爵夫人を装うが見破られてしまう。事情が分かったフィガロは伯爵が何も知らないことをいいことに、これ見よがしに夫人に化けたスザンナと、愛の告白を演じてみせる。それを見た伯爵は怒り心頭。人を集めて夫人(になりすましたスザンナ)を責め立てる。ところが、スザンナの花嫁衣裳を着た夫人が現れて「もう許されるが良いのでは」と言うものだから、びっくり仰天。この一瞬にすべてを悟った伯爵はひざまづき、許しを請うのである。伯爵夫人は万感の思いで許し、そして夜は明ける。物語は大団円の内に幕となる。
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