ひよ君は4月から養護学校の高等部1年になります。
好きなものはめん類、みかん類など。体はいたって元気です。
ちゃんとお話ができないので、周りの人から見ると何を考えているのかわかりにくいけれども、ひよ君にも好きなこと、嫌いなことがあります。
家族で毎年1回は旅行に行ったせいでしょうか、時々旅行会社から送られてくる、ごちそうや湯けむりのパンフレットを興味深く見ています。
「養護学校の高等部になると、できる限り自力通学をすること
」という規則があるので、ひよ君も先日から自力通学の練習を始めました。これまで9年間バス通学をしてきました。もちろんスクールバスです。学校から20分ぐらい歩いてバス停まで行き、バスに乗ってJRの駅、そこから3駅乗って降りる。ここからはお母さんの車で家に帰る。これが今練習中のコースです。でも今は全区間お母さんの付き添いです。スクールバスが出るまでに、お母さんは学校に着いていて、ひよ君と一緒に歩き始めます。バス停までの道を覚えただろうと思う日まで歩きます。覚えたようなら、お母さんはちょっと心配ですが、ひよ君に任せる事になります。もちろんほかの人も歩いているので、その流れにのったり、周りの人の声を頼りにしながら歩くことになります。
毎日の決まったコースはいいとして、毎日同じではないこと、たとえば近くに女子高生のグループがJRに乗ってきて、
「このチョコレートおいしいよ。 どうぞ!!」などと友達に声をかけたとすると、ひよ君は自分に言われたと思い、敏感に反応したり・・・心配は尽きません。(2003年3月3日)
この春休みはひよ君もかめぽんも卒業だったので、お祝いをかねて塩田温泉に出かけ、男二人で露天風呂に入りました。ひよ君はお風呂は大好きなのですが、露天はあまり行ったことが無く、「お風呂」の声にいそいそ出かけたものの、連れて行かれたところがいつもとは雰囲気の違う、なんか薄暗い場所だったので緊張モードになってしまいました。露天風呂は、その底から泡が出ていて、天井には2本の竹筒があり、湯が落ちてきていました。このへんからは、リラックスモードになったのはいいけれど、タオルも持たずにうろうろして、おとうさんは誰も他の人が来ないことを、ただただ祈るばかりでした。幸い、二人だけの世界の話で終わりました。(2003年4月1日)
新学期が始まってひよ君は毎日バス停まで歩いています。おかあさんが学校からバス停まで一緒に歩いていたことは前にも書きましたが、そろそろひよ君に見つからないように後ろからついていく段階になってきました。(まあ、もちろんひよ君が「ひとりでも歩ける自信ができた。」と言った訳でもないので、親がそうしただけですが・・・)
今日はお母さんが竹やぶに隠れてひよ君を待っていましたが、その前にひよ君は竹やぶを通り過ぎてしまって、いつまで待っても来ない。お母さんはバスの時間が近づいてきたので、バス停まで走っていきました。するとひよ君はちゃんとバス停にいました。心配顔になっていたお母さんは思わず、ほっとしてひよ君の肩をたたいてしまいました。本当はバスに乗るところまで影から見守るつもりだったんですが。(2003年4月21日)
梅雨に入り、雨模様の日も多くなっています。ひよ君はこれまであまり傘をさしたことがなく、使い方も上手ではありません。先日も傘の乗っている水滴を手で触ってみたり、バスがくる前に畳んでしまって、濡れてしまったりしています。いや、バスがくる前に畳むのは、自分が濡れるだけのことですが、ある日バスの降りるときにおかあさんが「傘を忘れないでね。」という意味で「カサ、カサ」と言うと、ひよ君は「傘をさしなさいよ。」と思って・・・バスの中でジャンプ傘が開いてしまいました。ま、優しい運転手さんで叱られなかったんですけど。
また別の日には「ひよ君、はよ歩くかなバスに遅れるで。」と何度も声をかけてくれる親切な友達を、ちょっとうるさく感じたのか、歩かなくなってしまい、後から来て声をかけてくれた別の子を、爪でひっかいてしまいました。その子は少し血も出たようですが、次の日にも声をかけてもらいました。たくさんの親切な友達に支えられて、毎日ひよ君は歩いています。(2003年7月3日)
2学期が始まり、またまたお母さんの迎えの日が再スタートしました。運動会の練習もたけなわの9月下旬のある日、ひよくんは何の理由があったのか、またまた友達に迷惑をかけてしまいました。爪を立ててけがをさせてしまったのです。今回で2度目だっただけに、おかあさんもおとうさんも「もうスクールバスのお世話になろう。」と話し合って、3ヶ月買っていた定期を解約しました。でも次の日に学校の先生から、「今までがんばったのにもったいない。」といわれて、また1か月分の定期を買いなおしました。おかあさんはなんか張り詰めていたものが切れたみたいで、以前に比べると元気がありません。元気が出るのにはもう少し時間がかかりそうです。(2003年10月8日)
もう1年の月日が流れています。ひよくんは今も単独下校を取り組んでいます。学校からバス停までは、もう安心していられるようになりました。さらにバスに乗って、JRの駅まで来ることもできるようになりました。だからお母さんもJRの駅で待つことになっています。本当によくがんばるなあとお父さんは思っています。しかし来年にはこの地域に新設養護学校が開校するので、来春には学校をかわります。お母さんのがんばりもあと長くて半年です。それまでに一度は、JRの駅から電車に乗って、3つ目の駅で降りるということができたらいいなあと思っています。(2004年10月11日)