なぜ今、金融を学ぶか?
「金融論」(堀内)より抜粋
我々の生活の豊かさや経済厚生は、実物的に要因に依存している。我々にとっては、日常の生活において、どのようなサービスを享受できるかが重要であるし、自分自身や自分の子供、孫のためにどのような財・サービスの生産の可能性を将来に持ち越すことが出来るかが重大な関心ごとである。
それにひきかえ、金貨・銀貨の貨幣や銀行の手帳は、それ自体として我々の生活を豊かにするわけでない。ギリシア神話の主人公であるミダス王は、自分が触れるあらゆるものが黄金に変わることを願ったため不幸のどん底に落ち込んだ。これは、たしかにわれわれにとっては重要な教訓である。現代のわれわれが、銀行預金の残高の増減に一喜一憂するのは、銀行預金を用いて購入できる財・サービスを具体的頭の中に思い浮かべるからなのである。
しかしこれらの印象から、貨幣は実物経済を覆うヴェールにすぎないとか、銀行業や金融業という産業は「虚業」であるという判断に飛びつくのは短絡的にすぎる。様々な金融市場の急速な発達や金融業の繁栄が多くの人々の耳目を集める今日ではあるが、それは我々自身がミダス王の如くおろかな振る舞いに身をやつしているとは必ずしも言えないのである。貨幣の存在、銀行制度やその他の複雑な金融制度が、経済の実物的な側面と深く関わり合いを持っており、我々の経済厚生を根本的に規定している。
したがって、われわれがこれらの社会的な仕組みを有効に利用すれば、経済的厚生を大いに高めることができるはずなのである。しかし、われわれがこの便利な仕組みの管理を誤れば、取り返しのつかない災厄を招くことも否定しえない。金融の仕組みは、他のあらゆる社会的仕組み・制度がそうであるように、諸刃の剣なのである。われわれが、より豊で安定した実物経済を営むために、つまり現代のミダス王とならないためには、この諸刃の剣を巧みに利用しなければならない。そのための基本的な知識を身につけることが金融を学ぶ最大の目的である。
ゼミの概要
ゼミとしては、珍しくレクチャー形式を採用しているということもあり、発表をする大変さはないが、扱っているレベルはそれなりに高いと思う。本年度は、不良債権問題という日本人としては興味をどうしても持ってしまうようなタイムリーな話題を扱っている。経済学の手法(インセンティブ問題等のミクロ理論や情報の不完全性の経済学)を用いて分析していて、なかなか興味深い。ちなみに、今年の4月の最初のゼミで扱ったのは、本年度のノーベル賞受賞者の一人Akerlofのレモンプロブレムの論文である。情報の不完全性の議論は、21世紀のリスク選択理論の発達においては、不可避の内容と言われている。また、新しいマクロモデルができる際、情報の不完全性はその一要素として取り入れられるであろうという予測もなされている。したがって、経済学をやってみようという人にとっては非常に楽しめると思う。また、ゼミ中の質問の時間もそれなりに長く、こちらから先生にぶつかっていけばいくらでも答えてくれるゼミである。 金融のゼミということもあって、就職先は金融機関が多いようである。あまりに親しみやすい先生であるため、ゼミ中の討論は、本当に白熱し、十分楽しめると思う。
またうわさによると、先生はテニスフリークでもあり、ゼミ合宿でゼミ生が到着したときにはすでにアップを終えていたらしい。そして、今年のゼミ合宿での先生の腕前を見る限り、うわさは本当であったようである。
ゼミの雰囲気
前述の文章を読む限り、少しかたそうに感じた人もいると思いますが、堀内ゼミはそれほどかたい雰囲気のゼミではありません。まず、LECTURE方式を採用しているので、あまり経済学に今まで興味がない人も自然に問題意識をもつことができるでしょう。たしかに、外からゼミ中の教室を覗くと、授業のような雰囲気がするかもしれませんが、先生の学者離れ?した説明の上手さがあれば、誰でも内容を理解し、あっという間に時間がすぎていくという体験ができると思います。
また、ゼミの終了後は、他のゼミと同様、食事に行ったりし、ゼミ生の仲もまずまずいいと言えるのではないでしょうか?ちなみに、お酒の飲めない人もゼミ長自身が飲めないうちのゼミでは決して強要されることはないので大丈夫です。だからといって、禁酒令が引かれているわけではなく、ゼミ合宿では自爆したものの、お酒には自身ありというゼミ生がいるので、いくらでも一緒に飲めるはずです。