月刊キムラ別冊
決定!96上半期ギャグランキング
金田一洋一
選考主旨
このランキングは、個別のギャグ(例えば「コマネチ」など)についてランク付けするものではなく、もっと大枠のギャグの「形式」についてランク付けしたものである。学会員諸氏には、このランキングを参考に自分のギャグを見つめ直し、より高度なギャグを提供することで世の中を明るくして下さることを期待する。
総評: どのギャグも基本的には、やる側が楽しそうにやってはならないと思う。「どうです。楽しいでしょう」という雰囲気でやるギャグは押し付けがましいし、「笑ってたまるか」という反感を観客に買われかねないからだ(もちろん、その場面の雰囲気やギャグの意図するところにもよる)。関西芸人が東京で失敗する場合、多くはこれが原因だと思う。芝居というのは、「どうぞ観てください」と観客を劇場に集めるところからすでに押し付けがましい面をもっているので、押し付けがましさには注意したい。とはいえ、あまりにも謙虚な芝居というのも(それはそれでおもしろいかもしれないが)パワーにかけるだろうから、押し付けがましくなく「観客を魅了するためのアピール」を行っていきたい。やはり何事もバランス感覚がポイントだということだろう。
最後に、上の16のギャグを「ベーシック系」「テンション系」「インテリ系」の3つのカテゴリーに分類することで、ギャグ全体を見渡す視点を提供しておこう。
ベーシック系: 物的下ネタ、言語的下ネタ、しゃれ、古典的ズッコケ、ものまね、否定しておいてやる
テンション系: 歌うギャグ、多重人格、アクション・ギャグ、切り返し
インテリ系: つまらないおもしろさ、マニアック・ギャグ、細かいギャグ、なぜそうなる、真面目なおもしろさ、21世紀ギャグ
歴史的に見れば、ギャグは明るく基本的なベーシック系から暗くて応用形のインテリ系へと発展してきている。またその過程で、明るさを保ったままの応用形としてテンション系が生まれている。これら3つのカテゴリーをすべてカバーするようにギャグを選んで芝居を構成すれば、笑いの種類が多用になり、観客に奥深さを感じさせることができるだろう。ただし、目指す舞台の雰囲気によっては、コテコテ感の出てしまうベーシック系ギャグを封印することも必要である。