
このページは更新終了
無事PhDも取得できましたので、このページの更新は終了とさせていただきます。PhDに向けての軌跡の一部がこのページには凝縮されてますので、もしかしたらこのページの情報は何方かのお役に立つかもしれません。もしそうなればうれしいですし、そうなる可能性も捨て切れませんのでこのページはこのまま残しておくことにします。
PhDに向けて: その7 Vivaの準備
以外に実は結構誤解している人が多いのがviva。気が向いたら詳細を記述するかもしれませんが、とりあえず以下の鉄則を挙げておくことにします。
1)Vivaのセミナーに出席すべし
2)Mock vivaに参加すべし
3)Mock vivaを実施すべし
1)は、vivaのセミナーが開催されるようであれば、必ず出席して正しい情報を入手しておきましょう、ということ。学生間のうわさだけ信じていてはダメです。カーディフでは年に多分3回ぐらいセミナーがあると思います。早めに受講しておきましょう。これが最重要鉄則です。セミナーで配布される資料には、vivaでありがちな審査員からの質問集であるとか、模範的回答集であるとか、参考になる文献情報などが含まれてます。
カーディフでは年に1回だけ、5月にMock vivaが上演(?)されます。教官たちが候補者や審査員を演じ、良い例悪い例などをみせてくれます。ぜひこれも参加しましょう。またその様子をビデオで収録したものが借りられるハズです。これが鉄則の2です。
鉄則の3。本番の1週間ぐらい前にはmock vivaを同僚に頼んで実施しましょう。審査員役の同僚には論文を事前に渡しておきます。チェアマン役も別の人に頼んで、それらしい雰囲気と手順で実行しましょう。実は私はこのmock vivaではメタメタでした(^^;;
PhDに向けて: その6 スティーブ・ジョブスのスピーチ
アップルコンピューターのCEOであるスティーブ・ジョブス氏のスピーチです。すばらしい内容ですのでぜひ読んでみてください。 You've got to find what you love
日本語訳はここにあります。 スティーブ・ジョブスのスピーチ
PhDに向けて: その5 結局は好きなことをするのがイチバン
「自分の好きなことをヤレ」、これはD師匠の口癖でした。考えてみれば、この一言に全てが集約されてるかもしれません。
大学やスーパーバイザーを選ぶ際、自分の好きなことができるか?、がイチバン重要な指標であると言ってもいいでしょう。
また、自分の好きな研究なら、人から言われなくてもドンドン考えたり発表したりして進めるでしょうし、また、スーパーバイザーをどう使うかも自然に考えるようになるでしょう。何か少しでも成果が出たら、世界に通用するようにさらに鍛えようとさらにドンドン研究と勉強を進めて、ドンドン発表して、ドンドンフィードバックをもらって、さらにドンドン発展していく。
やっぱこれですよ。自分の好きなことをする!
PhDに向けて: その4 リサーチ・クエスチョンと方法論は最重要ファクター
これまで書いてきた内容は全てある仮説を前提にしています。それは、リサーチ・クエスチョンと方法論はすでに確定している、というモノ。
言い換えると、それらがいつまでも定まらない人は、非常にマズイ状況です。例えばデータの入手方法。たくさんの会社を訪問してインタビューを実施してデータを集めるのか、あるいは既存のデータベースにあるデータを活用するのか。天と地ほどの差がありますが、それさえ決まってないようだと、かなり問題。それを決めずして、研究が進むわけありません。研究テーマ以前の問題です。方法論はリサーチ・クエスチョンに依存しますので、まず最初にリサーチ・クエスチョンを明確にすることです。
リサーチ・クエスチョンがグラグラしている人の発表を聴いていると、筋が通ってないし、話が途中で終わっていて、なにをしたいのかわかりにくい内容が多い。落としどころが見えてないのです。
理想的には複数の方法論に精通していると強いです。研究テーマに柔軟にアプローチできますし、考え方に幅と深みがでます。また、多分PhD論文としてまとめるにあたっては、ひとつの方法論のみでは結論に説得力を持たせられない。
とにかく早い段階で確立すること、これは研究を短期で成功させるための重要なファクターです。でも、スーパーバイザーを選定する時点である程度リサーチ・クエスチョンと方法論は固まってるハズ。そういう意味でもPhD課程が始まっているのにまだ確定してない人はかなりマズイです。
これからPhDにアプライする人であれば、まず自分のリサーチ・クエスチョンと方法論を確立しましょう。それからスーパーバイザーを探しましょう。これも急がば回れです。あわててもいいことはありません。
PhDに向けて: その3 波に乗り遅れたら
乗り遅れてもあせることはありません。気にせずマイペースでいくことが重要です。あせってもなにもいいことはありませんし。
とはいえ、PhDコースには普通、在籍年数に上限がありますから、のんびりはしてられないです。なぜ波に乗れなかったか、徹底的に自己分析しましょう。そうでないと、2年目も同じことを繰り返します。論文は、やりかたが悪いといくら時間をかけても書けません。
自己分析するには研究日誌を毎日つけておくことが必要。必須です。日誌からまず、日に何時間研究に費やしているかを客観的に判断します。月曜から金曜においては少なくとも日に8時間は費やしてもいいと思います。それ以下ですと、態度を改める必要があります。
研究をしてますか?勉強ばかりしてませんか?分厚い本と格闘ばかりしていても、新しい知見を得ることは難しいですし、時間がもったいないです。論文もたくさん読みましょう。そして繰り返し読みましょう。読むときは批判的に読みましょう。そして、興味を引かれた論文があれば、それを徹底的に読みこみましょう。なぜこのテーマが重要か?なぜこの仮定を置いたか?なぜこの結論が言えるのか?徹底的に考えましょう。その論文の参考文献を全部あたりましょう。引用は正しくされているか?なぜそこを引用したか?
再現してみることも役立ちます。同じ仮定、同じ方法論で同じ結論に行き着くか?良質な論文についてこの再現作業をしてみることは非常に良いトレーニングになると思います。
そして、別の角度からその論文を考えてみましょう。もし別の仮定を置いたら結論はどう変化するか?別の方法論を使ったらどうなるか?他の論文はどうその論文を引用しているか?そして自分ならどうするか?
そして以上の内容をスーパーバイザーに、詳細に説明しましょう。すると多分、スーパーバイザーはいろいろ突っ込んできます。それにちゃんと答えれるかどうか、で自分の理解のレベルが十分かどうか計ることができます。真剣勝負で挑みましょう。そうでないと、あまり意味がありません
ここまでくれば、自分の研究になりそうなネタがいくつかでできてるハズですが、いかがでしょう。カンファレンス・ペーパーぐらいは書けるでしょう。ここに行きつくまでに必要な能力は、基本的な能力のみです。なにも特殊な能力が問われているわけではありません。つまり、研究が進んでないのは、研究のやりかたに問題があるのです。忙しい、はいいわけにはなりません。
書いてますか?書かないと誰も読んでくれませんし、つまりフィードバックも得られない。また、書くことでロジカルな流れを整理することもできますし、次にやるべき事も見えてきたりします。それに、どうせ書かないといけないのに今書かないのはおかしいです。書くことは、ほぼ考えるという行為に等しいです。研究とは考えることですから、書くという作業はかかせません。
考え、読んで、書いて、整理して、報告・発表してフィードバックをもらう。これの地道な繰り返しです。ただ、あまり目先のことにとらわれたりしていると、知らず知らずの内に重箱の隅で立ち往生してしまう場合もありますから、研究日誌をつけて自分があるべきトラック上を走っているかを常に確認することも重要です。
PhDに向けて: その2 はじめの半年が重要
これぞと思うスーパーバイザーも見つかり、入学が許可されたとします。今日からラボのメンバーです。スーパーバイザーだけでなく、ラボのメンバーはみな勢いがあり活気に満ちてます。さて、どうすれば自分をうまくその流れに乗せることができるでしょうか?
はじめが肝心というのはどこの世界でも同じ。できるだけ早い時期(例えば初日から1週間以内)に、ラボのメンバーの前で自分の研究プロポーザルについてプレゼをすることを勧めます。そうすれば、メンバー全員に自分を知ってもらえるし、その後の活動がなにかとやりやすくなります。
最悪なのは研究において孤立してしまうことです。特に海外の大学では個室が多いので孤立しやすい環境にあります。早めにメンバーと研究者としての関係を作っておきましょう。重要なのは、同僚としての関係は、あなたがよほどの変わり者でないかぎり、全く問題なく1秒でできあがります。重要なのは研究者としての関係です。お間違えなきよう。
ただ肝はやはりスーパーバイザーとの関係です。スーパーバイザーをどうマネージメントするかが重要。受身ではいけません。あなたが彼(女)をうまく使いこなさないといけません。
王道は共著論文を書くことです。カンファレンス・ペーパーでもかまいません。なんらかの形で公になるペーパーを共著しましょう。そうすれば、スーパーバイザーはより真剣にあなたの研究について考えてくれますし、研究者としての能力も理解してくれ、結果としてより適切なフィードバックをもらえるようになります。もちろん双方の研究実績にもなります。いいことずくめです。そして、その過程においてスーパーバイザーと真剣勝負しましょう。そうすることで、自分の能力が高まります。
カンファレンス・ペーパーを共著したらぜひ自分で発表しましょう。本番前にはラボのメンバー相手に発表練習をして、そこでもフィードバックをもらい内容を磨きましょう。本番でもさまざまな人からフィードバックをもらえると期待しましょう。 自分の研究成果を相手に投げかけてフィードバックを返してもらう、これをたくさんやることがよい研究に結びつきます。さらに、研究日誌のようなものをつけて、自分で自分にフィードバックすることも非常に有効だと思います。
研究を始めてから半年後にはカンファレンス・ペーパーぐらいは書き上げておきたいです。理想は3ヶ月以内。1年後じゃ、ちょっと遅いです。最初の1年で波に乗り遅れると、取り返しはつきません。もし乗り遅れたら、しかたありません。腹をくくって、人よりちょっと長くPhDをやることを覚悟し、あせらず急がずコツコツやる。PhDに何を求めているかによりますが、乗り遅れたと自覚した時に多くの人は挫折してしまうのだと思います。
PhD課程の、特に1年目は自分の研究以外にコース・ワークがあったりまたTAやRAをしないといけなかったりします。それらは修行の一部ですから、ぜひ積極的にしっかり身につくようにやりましょう。特にコース・ワークは結果を出すことだけでなく、研究者としての基礎を叩き込むメニューととらえてその過程もきっちりこなしていきましょう。しっかりこなした人とそうでない人は、後で間違いなく差がでてきます。そしてその差はなかなか埋まりません。
もし1年目でうまく波の乗れたら、2年目以降はその調子でいけばいいだけです。よいスーパーバイザーと研究環境に恵まれれば、研究のスピードは不思議なことにドンドン加速します。その結果、うまくいけば2年とか2年半という短期間でPhD論文をまとめることができるかもしれません。ジャーナルに採用されるような論文も書けるかもしれません。この域に達するかどうかは最初の半年にかかってます。「コース・ワークが忙しいから研究ができてない。」などという最低な言い訳はしないように。「寝るのに忙しくて食べてない。」と言ってるに等しいです。
PhDに向けて: その1 どこの大学にするか?
まず重要なのは自分を知ることです。自分のやりたい研究内容を文章化して、研究プロポーザルのようなものを作るといいと思います。研究の動機、対象、研究方法、期待する結果などを整理します。できればその中に、参考文献なども入れるといいでしょう。これを早めに作成しておけば、大学にアプライするときに必要となりますので、より改訂を重ねていいものが提出できると思います。
そして、さらに根源的なこと、PhDに何を求めるか。これは人によってさまざまです。よく考えてみましょう。この答えは自分の胸に秘めておけばいいことですが、大変に重要です。自分を自分でごまかしてると、後悔することになるかもしれません。
PhD課程はある意味修行のようなものです。年齢を重ねつついい意味でも悪い意味でも特殊な荒行(?)をするわけですから、その後の人生の選択の幅は狭まります。つまり、なんらかの覚悟が必要です。
研究プロポーザルの作成過程において自分の考えが固まったら、自分の研究に共鳴してくれそうなスーパーバイザー(荒行の師匠)を世界中から探します。PhDはスーパーバイザーの良し悪しの影響が大きいです。ほとんど全てといってもいいでしょう。今はインターネットがありますから、情報入手はそれほど難しくないですが、師匠を見つけるまで時間はかかるとおもいます。
検索サイトはあまり役立ちません。私は、まず大学を選びました。有名大学である必要はなく、総合大学でその地理的エリアにおいてナンバー1、かつある程度歴史があること、という基準を使いました。この基準を使うと、たとえば米国ではほとんどの州立大学は当てはまります。この条件にあてはまる大学はまず間違いなくある水準以上の蔵書を確保していますし、データベースも充実している可能性が高い。これらは研究するにおいてのインフラですので大変に重要です。この水準も満たさない大学に、理想的なスーパーバイザーがいることはまずありません。
めぼしをつけた大学のサイトから、自分の研究に関連のありそうな学部を調べてみます。関連する研究センターがあればベストです。研究センターがあるということは、それ用に別途予算があるということですので、研究環境がより恵まれていることは間違いないでしょう。
さらに研究者個人のサイトに行って、そこでその人の研究テーマ、論文リスト、プロジェクトなどを見て、その人が自分のスーパーバイザーとして適任かどうかを考えます。ほとんど情報がホームページ上になく更新もされてないようであれば、即パスして次にいきます。そういう人は自分の研究をもとに外部と交流することをあまり積極的にしない(あるいはできない)人ですので、スーパーバイザーとしては魅力に欠けますし、こちらとしても判断ができない。研究能力が高いことはもとより、人脈も豊富なアクティブでオープンな人がスパーバイザーには向いてます。PhDリサーチの成功の可能性を高めてくれます。
めぼしをつけた研究者の研究テーマが大きな意味で自分のそれとマッチしていることが重要です。ピッタリ一致している必要はありません。多少ずれていた方が、興味を持ってくれる場合もありますし。ただし、方法論は一致していることが重要です。ここがずれてると、そのずれが結果的には良い結論をもたらすことも十分に考えられますが、それにしても時間とエネルギーを余計に消費することは間違いないでしょう。
またその人の論文リストをチェックしましょう。まずちゃんと継続して論文を書いているかどうかを確認します。数年前の論文がちらほらあるだけではダメです。また、数はあっても、ただ監修しているだけのようなかかわりかたが読み取れたら、その人は避けた方がいいです。例えば、ほとんどの論文の共著者がその研究者の部下であったり学生であったりすると危険信号です。教授でしかも大学の要職についている人はこの傾向にあります。偉くなればなるほど、政治的な仕事も増えますので、魅力あるスーパーバイザーにはなりえません。そういう人は、スーパーバイザーの上に居ることが理想的です。
論文リストにある共著者が多岐にわたっていれば良いサインです。その人の人脈や知識が広いことを示唆しています。スーパーバイザーの人脈と知識の広さはかなりPhDリサーチのあらゆる場面に影響しますので。
現在進行中のプロジェクトがあるようであれば、それは資金の豊富さと、さまざまな有益で貴重な機会に恵まれる可能性を示唆してます。
ジャーナルの査読情報も重要です。この情報を全ての人が公開しているわけではありませんが、もしその情報があれば非常にポジティブなサインです。
そして、もし可能であればその人の論文を入手して読んでみましょう。そうすればかなり具体的にその人の方法論や考え方がわかるはずです。
以上の基準で探していくと、だいたい英国だとレクチャラー、米国だと準教授か助教授ぐらいの人に行き着くとおもいます。そして必ずしも有名大学に魅力的なスーパーバイザーが居るとは限らないことも理解するでしょう。なかなか見つからない場合も根気よく探しましょう。ここでボタンを掛け違えると、最後まで修正はききませんから。自分の研究プロポーザルを送って、ポジティブな返信が帰ってきたら脈ありですが、必要と思えばアポをとって会いにいくのも手とおもいますし、それぐらいしないといけないでしょう。ただし、いきなりメールでネガティブなことを言う人は少ないということも事実ですので、どう行動を起こすかは冷静に判断します。
これは防ぎようがないですし、常につきまとうことでもありますが、せっかく探し出したスーパーバイザーが別の大学に移ってしまう可能性もあります。最悪なのは自分と入れ違いに出て行ってしまう、というタイミング。入学後1年程度経過していれば、いっしょにつれてってくることはありえます。まぁ、引越しの費用とかコストはかかってしまいますが。とにかくこんなことも起こりうる、ということは理解しておいた方がいいです。自分だけでも研究を進める覚悟は常に必要ですし、入学後はできるだけ早くスーパーバイザーと密に研究して吸収できる部分はどんどん吸収しておきましょう。
現役の学生、しかも同じ研究室の学生に話を聞くのは大変に有意義です。オフィスはどんな環境か、スーパーバイザーの指導はどんな感じか、まただいたい何年ぐらいでPhDをとる学生が多いか、など。
その他判断に有益な情報としては、奨学金の数とその額、RA、TA、などの制度があるかどうか(これは経験を積むという面と資金という面で非常に重要。)、そして数年はそこで暮らすわけですから生活費(住居費)、街(治安、娯楽、食材など)のようすなどを別途調べることも必要です。
カンファレンスは発表が重要
カンファレンスっていろんな人と話す機会という意味でも重要と最近実感しますが、ひとつ鉄則があると思います。それは「カンファレンスは発表してナンボ」。マスターの学生ならいざしらず、PhDあるいはスタッフで発表もしないのにカンファレンスにはるばる来て参加、というのは、だいたい研究のネタがなくて探しに来ている人。ほぼ間違いない。あるいは参加することで、なんとなく安心したい人。究極は単に友達に会いに来た、という人もいるかもしれない。
ただ参加だけでは、「この人は研究に追われて忙しいわけでもなく、さらに発表をしないということは研究成果がない」→「てことは、たいしたことねーなーコイツ」というネガティブな印象を与えているだけです。参加するなら発表しましょう。
Job Talkのポイント
私が所属するセンターの、あるポジションをめぐってのjob talkがありました。候補者は3人。プレゼを聴いて、またその後の審査にも参加して感じた、Job Talkのコツをメモしておきます。
自分がこれまでに解明したことをシンプルなメッセージで明確に伝えると、評価は高いです。その解明したことが重要なことであれば論文に結びついているハズですので、パブリケーションについても適宜言及するとなおよろし。ここのポイントをおさえるのが王道でしょう。ただ、意外にできている人は少ない。
あれもやりましたこれもやりました的な内容は評価が非常に低いです。何を解明したのか、です、審査員が知りたいのは。
研究テーマに一貫性があると評価高し。能動的に研究をしている印象を受けます。実務経験があって、その経験がその一貫した流れにのっていると強力です。
基本的なプレゼ能力を疑われるようなヘタなプレゼは致命的。プレゼが上手いかどうかで意見がわかれることはマズない。よって全員一致で「こいつはヘタクソだ」となります。議論の余地なし。この烙印を押されると這い上がれませんよ。致命的でしょ?
CVを別途提出していても、プレゼにおいてパブリケーションに言及することは重要だと感じました。プレゼの審査員はCVに目を通していません、驚きですが。
パブリケーションですよ、結局。ちなみに英語の論文でないとダメですよ。評価されません、それ以外は。
一流ジャーナルに掲載された論文のみが評価対象になりますが、それら一流ジャーナルは英文ジャーナルである、というのが理由。よって、無名のジャーナルやカンファレンスペーパーがいくらあっても、審査員同士で「このジャーナル、知ってるか?」「いや、知らないなぁ〜」となれば、その実績は残念ながらほとんど意味なしとなってしまうワケ。厳しいっすよ〜
アカデミック・ポジションを得るのは不可能?!
前回、「アカデミック・ポジションを得るには?」と題して書きました。でも、まだまだ甘かったようです。日本での話しで、また分野も全く私のとは異なりますが、とにかく興味のある人は下記サイトを覗いてみてください。あまりの恐ろしさに、私はまだちょこっとしか読んでません。
研究者になるには
大学院生・若手研究者のための部屋
博士の生き方「博士の生き方」ってタイトル、重いなぁ〜。博士って、その後の生き方を考えないといけないんですね。いやはや、なんとも。
こりゃ、ほとんど不可能ってことですよね、アカデミック・ポジションを得るのは。日本に帰れるのかな〜
アカデミック・ポジションを得るには?
意外にもPhDをとるだけが目的の人も結構いらっしゃいます。というのは、特に留学生の多くがそうですが、すでに自国は教員で、PhDを取る為に休職して英国に派遣されてる、ってパターンが多い。マレーシア人はほぼ100%このパターン。私のようにそうでない人は取得後の就職のことも考えて、イロイロ経験や実績を積まないといけません。この世界は慢性的な買い手市場です。少しでも採用の可能性を高めるには具体的に何をしておくべきでしょうか?
経験と聞いた話を総合して重要と思われる事項を独断と偏見で選定しメモしておきます。なお、ここではアカデミック・ポジションの公募で任期期限なしのレクチャラー、あるいはそれ以上のポジションに応募することを前提としてます。
1)カンファレンス・ペーパーを何本(年に1本以上)も出している。
公募に応募しようとする人でカンファレンス・ペーパーを1本も出してない人はまずいないと思いますので、そういう意味でも必須です。1本もないと、基本的研究能力を疑われてもしかたがありません。2)一流ジャーナルに受理されている。
ジャーナルに掲載されることは非常に難しいことですので、受理されていれば非常にインパクト高し! それから、ムダにカンファレンス・ペーパーを書いているわけではない、という証明という意味でも重要。カンファレンス・ペーパーばかり多くてジャーナルに採用されてない人は、一流の研究はできない人と思われてもしかたありません。3)多くのクラスのTAの経験があり、かつ学生からの評判がよい。
アカデミック・ポジションに応募するには、授業経験がほとんどの場合で求められます。せめてTAぐらいしておかないと後で困りますよ〜 とりあえずリサーチ・アソシエイトになれればいいや、という人。リサーチ・アソシエイトは通常授業はしませんから、それこそ今TAしとかないと、後でその次のポジションを狙うときに困ります。4)論文の査読を頼まれるぐらいエキスパートである。
ある分野のエキスパートになると、遅かれ早かれ査読を頼まれます、たとえPhDの学生であろうと。直接どこかのジャーナルから依頼される場合もあるかもしれませんが、多くの場合指導教官から頼まれるというパターンだと思います。査読を実績としてCVに書けるわけではありませんが、査読を頼まれるということは、その分野のエキスパートであると認められている、ということ。そして他人の研究を評価する力量がある、ということ。つまり強力なウリがあるってことです。5)様々な方法論、考え方に熟知し、それらを使った経験もあり、かつ自分なりの考え方を持っている。
「私はこれしかできませんが、これに関しては誰にも負けません」、というのでは多分ダメです。「これしかできません」という人を募集することはまずないから。 「自分なりの考え方」を持っていると、特にインタビューの時に相手に良い印象を与えることができると思います。1)、2)はCVで、3)はCVと推薦状などに情報が記述されると思いますので、書類選考で落とされない為にも1)〜3)は必須と思います。4)5)があればインタビューやプレゼ等に自信を持ってのぞめます。また、5)は2)の実績を伴わないと説得力がありませんよ。
別の言い方をすれば1)と3)のみでは勝ち残れない、ということ。だって、そんな人、世界中にいくらでも居るから。
ちなみに、4)とか5)を磨くためにも、カンファレンスやワークショップに参加して、いろんな人と議論することが大切と思います。
また、昔はPhDはなくても良い時代もあったようですが、今は全く違うと思いますよ。そもそもPhDなくしてはvisaが出ないと思います、今の時代。
どれも簡単ではないし、時間もかかります。しかし、ただただPhD取得のみしか頭にない人と、これらのことを意識している人では研究者としての価値も数年後にはかなり違ってくると思いますが、どうでしょう。
とにもかくにも、アカデミック・ポジションを得るのは非常〜に難しいので、数うてばそのうち当たる、という考えは捨てておくべきと思います。自分より若くて優秀な人で職を同様に探している人は沢山いるのです。数多く応募しようと思っていても、そもそもその数もあまりないかもしれませんし。PhD取得に加え、ここに挙げた5つのポイントをどこまで達成できているか、そして当日のインタビューやプレゼをどれだけうまくこなすか。ここまで徹底的にやって初めてあとを運に任せることができると思います。
常にさらなる上をめざしてがんばっている人にのみ女神は微笑むことは間違いないでしょう。コツコツと行きましょう。
名言
「博士号とは、足の裏についたご飯粒のようなものである。とらないと気持ち悪いが、とったからといって、それが何かの役に立つわけではない。」
(日記の方にあったものですが、あまりに名言なので、ここにも載せておきます。)
Job Talk、その全貌
つい先ほど最後のインタビューが終了しました。今は結果を待っている状況。これまでの軌跡をここにメモしておきたいと思います。
3月1日 就職活動開始の日。何気ないD師匠との会話からそれは始まった。9月ごろにPhD論文を出せそうだ、という話の後。D師匠「で、その後はどうするん?」私「どっかの大学で研究を続けたい。」D師匠「そういえば、今たまたまここで公募してるぞ。」てな感じ。(この日の日記にも簡単な記述あり) とにかくダメモトで応募してみてみよう、そしてあわよくばインタビューまではこぎつければ、たとえダメでも「なにが不足していたか」についてのフィードバックをもらえる、というD師匠の話を聞いて応募を決意。だって、多分100校ぐらいに応募することになると思うけど、フィードバックは早めにもらっておいた方がいいに決まっているし。
3月18日 今日の午後5時が締め切り。必要書類を提出。提出書類は、必要事項を記入したフォーム、カバーレター、CV。これらをemailで。簡単でよろしいなぁ。カバーレターはA4に1枚か2枚ぐらいの分量。かなり時間をかけました。CVは前から使っているものに最近の情報を加えたもの。これはゼロからつくるとすると時間がかかると思う。
4月4日 メールと郵便でインタビューへの招待が届く。ホンマかいな?と半信半疑。まずメールで日の確認をされ、その後正式なレターが郵便で届いた。これで書類選考をパスしたことになります。この時点で何人の候補者に絞り込まれたかはわからない。Xデーは4月14日。このとき、インフォーマル・インタビューとフォーマルインタビューの開始時刻と、15分間のプレゼのタイトルを指示される。プレゼは何時から始まるのか、インタビューは何時に終わるのか、といったことがよくわからない状況。結局それは当日までわからず。インタビューに招待はされたものの、採用されるとは到底思えないので、応募先100校分の空の表を作成し、応募書類発送日、送付内容などを管理できるようにした。100校のうちのまだ1校かと思うと、ちょっと気が遠くなる(^^;;
4月6日 さっそく見つけた求人情報をもとにUSのU大とW大にも応募する。U大は、リサーチのサンプルも要求しているので、ジャーナルに採用されたモノと、ジャーナルに提出済みの2点を送付。なかなか住むにもよさそうな街であることが判明し、U大への興味が高まる。
4月11日 U大より、審査に入った旨の連絡をもらう。W大からは音沙汰無し。
4月12日 なんと、メールにて14日のjob talkの案内が学内に流れた!ということは、いろんな人が聴きに来るということ? で、質問とかわんさかきちゃったりするわけ?
4月13日 インタビュー前日。例によって、プレゼの練習が大嫌いなので、ここまでずるするきてしまった。今日は天気が良かったので、午後、近くの公園にいってプレゼの準備と練習をした。いい気分転換にもなる。
4月14日 当日。いつもより早く8時半ごろにはオフィスに到着。予定では9時20分からインフォーマル・インタビュー。まずは学部長。学部長の秘書の所に時刻どおりいくと、少し待つようにいわれ、今日のスケジュール表を渡される。このときはじめて今日のスケジュールを把握。そしてもう一人候補者がいることも。後でわかったけど、その候補者はすでにPhDをもっていて、ポスドクとして某大学ですでに働いているとのこと。
彼は今まさに学部長のインタビューを受けている最中であった。学部長によるインタビューはほんの10分。彼はテープレコーダーを使っていた。その後、学科長のところへ行くように指示される。そこでは20分ぐらいのインタビュー。
学科長からは、9月から導入される新プログラムの説明を受け、教えてみたい授業の科目、こんな授業スタイルはどうだ?などイロイロ質問される。また、これまでの経歴や現在の研究についても。
終了後、1時間ぐらい時間があく。つぎはプレゼ。開始少し前に、自分のパワーポイント・ファイルをインストールしに会場へ。そこでその候補者とやっとおしゃべり。ライバルといえばライバルだけど、なんか親近感も沸く、不思議な感じ。彼もそう感じているよう。
候補者は他の候補者のプレゼを聞くことはできない。外で待つ。私の番。入室。公平をきす為に、制限時間の15分はきっちり計られる旨を言われる。プレゼ開始。練習したかいあり、きっちり制限時間内にすべてをおさめられた。そして質問がくるかと思えば、誰も質問をしてないけないルールらしい。ずっこける、とはこのこと。これも公平をきすためだそうで。せっかくQ&A用のスライドも作っておいたのに。
会場には司会1人、4人の審査員(シニアレクチャラー1名、レクチャラー3名)、そしてその他聴衆。応援という意味でラボの人達が来てくれました(^^)
その後は昼食。プレゼの時の審査員のうち2人と、今回の候補者2人の4人で。大学の施設のレストランで。ここはいい雰囲気です。またラム肉食べました。そのときの話で、もう一人の候補者は、学科長から9月以降のプログラムや授業のことは質問されていないことを知る。もしかしていけるかも、とちょっと思う。
そして最後はフォーマル・インタビュー。審査員は4人。学部長、学科長に加え、さらに別のデパートメントから2人。全員教授クラス。偶然ですが、そのうちの1人はよく知っている人(^^;;
外部の人からの質問というのは怖い。素朴な質問が一番答えにくいですからね。自分でもメタメタだなぁ、と思いながら答えてました(^^;; だまっているよりはいいかな、と。
(インタビューの内容は、フォーマルもインフォーマルも同じような感じ。リサーチについて、レクチャーについて、これまでの経歴についてなど。この時点ですでにカバーレターを書いているわけだし、かつプレゼも準備しているわけですから、あとは簡潔に言えるよう整理しておくだけでいいと思います。)
今、フォーマル・インタビューが終了して1時間以上経ちます。しかし、まだ連絡がこない。電話でくるのかな?emailかな?D師匠も「まだか?まだか?」
さすがに疲れがでて眠くなってきたし、他の用事もあったので帰ろうかと思っていたら、学科長と廊下でバッタリ。「ちょっと、オフィスに来なさい。」。後ろからその表情をうかがうと、どうもネガティブな感じ。ありゃ、やっぱだめだったか、と思う。
オフィスに入ると「ま、座って。」といいつつ、なんか机の上の、あまり重要には思えない感じの書類を手にしている。こりゃ、だめだったか〜と確信。と、突然、
「おめでとう!」と握手を求めてきた! 採用決定を知った瞬間でした。
時間がかかっていたのは、私をLecturerの中でもどのランクで採用するか、の議論をしていたらしいです。私のポジションはtenureです。来月からさっそく新プログラム立ち上げの準備にかりだされるようです。後日、U大にお断りのメールを送付し、就職活動は終了。
スケジュールの落とし穴
いつPhDを取得できるか、ということはPhD 課程のみなさんは常に気になっている部分と思います。多くの人は、月単位ぐらいのおおまかなスケジュールでゴールを見据えながら研究の進捗を管理していると思います。
ところでPhD論文を書き上げても、必ずしもすぐに学位取得ということではない。PhDを得る最後の関門vivaを突破しないといけません。が、これがくせもの。論文提出してもvivaがいつになるか、すぐわかる例はどうも少ないようです。
私の同僚の例から推測するに、PhD論文提出からvivaまで、半年〜1年待たされるのはよくあるらしい。つまり、たとえ3年で論文を書き上げても、すぐにPhDを取得できるわけではなく、そこからさらにviva待ちで1年かかる場合もある、ということ。どれぐらいの期間待たされるかは、それこそケースバイケースのようですが。
待たされる最大の理由は、どうも外部審査員にあるようですね。分厚い論文を読んでvivaに備えるにはそれぐらい時間がかかるらしい。
3年で全てを終わらすには、2年半以内に書き上げて半年〜1年以内にviva、というパターンを念頭に置いておく必要がありそうです。
こんなことが言えそうです。
なぜ2年半で書き上げる方がvivaまでの期間が短いか? 私の想定に基づいてるだけですので、説明は省略しておきます(^^;; ま、あまり深い意味はありませんが。
- 2年半で書き上げる計画で行けば、結局3年かかる。
- 3年で書き上げる予定で行けば、結局4年かかる。
最後に、これは重要なことですが、小耳にはさんだ程度の情報ですので信憑性についてはよくわかりませんけれども、就職活動において「博士号取得見込み」の候補者と「博士号取得済み」の候補者では、かなり後者の方が有利らしいですね。
となると、viva待ちの期間は就職活動しにくい状況にあることになります。とにかく事を有利に進めるには早め早めが必要なようです。
Publish or Perish はもう始まっている
ちょっと小耳にはさんだ話。日本の大学での教員採用審査の時、日本で博士号をとった人と、海外でとった人とで、どちらが有利か?という話。
ある人(海外のPhD課程在籍中の人)の説。「日本の博士課程にいた人はすでに論文を国内学会などで多数発表しているのが普通。しかし、海外の博士課程にいた人は、出すまでのハードルが高くてなかなか論文はだせていない。よって、教員採用の審査において論文の内容よりは数が重視される傾向が強いとすると、海外組みは不利である。」
私の感想。確かに、日本の博士課程にいれば年に少なくとも2本ぐらいは学会発表するのが普通と思います。国内組みは数をこなしているということには大きく同意。
でも、海外組にあてはめれば、これはカンファレンスに論文を提出して発表することと等価と思います。ほとんどのカンファレンスはアブストラクトでの審査がありますが、さほどその審査が厳しいわけではない(経験談)。よって国内組みが国内でしていることと同様に、海外組みもカンファレンスで論文を発表すればいい。
ということで、国内か海外どちらがどう有利かなんてどうでもよくて、とにかくペーパーを書く、というのが我々のなすべき事だと思います。すでにPublish or Perishは始まっているのです。
でも、論文数なんていうのはワリと客観的な要素だと思いますが、それが採用審査時に重視されるってのは、どの程度なんでしょうね。もっと他の要因も大いに影響しそうですが(^^;;
若手研究者のお経
たまたま、このサイトを見つけました。
以前よりご紹介している酒井 聡樹著「これから論文を書く若者のために」の著者のサイトです。本に書いてある内容にほぼ近いモノがアップされてますので、参考にされてはいかがでしょうか。
このサイトにある「なかなか論文を書けない若者のために」もお勧めです。「論文審査のプロセス」は、まさに今の私の状況(^^;;
ペーパーとして書く
研究成果をメモの状態だけにしておくと、非常によろしくないということを最近実感してます。例えば、
どこかに勘違いが潜んでいるのでよろしくない。メモの状態からペーパーの形式へと最初からキッチリ書いていくと、「あり?」と思うことがしばし。
この勘違いを見つけたら、ある意味チャンス。なぜそう思ってしまったか、そしてそれを超える方法論は?と考えていくと、自分のフィールドが広がる(と思う)。なぜか、私はこのモードになるとめちゃめちゃ入り込んでしまいます。日記を更新してない日はまずこの状態と思って間違いないです(^^;;
また、メモの状態だけでは研究内容の意義が一部しか見えてない場合がありよろしくない。ペーパーにしていく過程において、過去の文献とのつながりがパッと見えるときがあります。このつながりがあるかないかで、研究の重みが違ってくる(と思う)。
やはりゴールデン・ルール「毎日書きなさい。」に行き着きますね(^^;;
ペーパーを書く
カンクン、某ジャーナル、ダブリン(アイルランド)とペーパーを書いてきて思うこと。こうして書き続けているペーパーを最終的にまとめてPhD論文となりますが、問題は、これら個々のペーパーをどんな手順で書いていくか。それは研究の進め方につながります。
D師匠の考えは、まずワーキング・ペーパーとして文章にする。その成果をもとにカンファレンス、ジャーナル等にアプライする、という手順。アプライする時点で全ての研究成果と文章もできているので、非常に堅い方法。
しかしこの場合、ワーキング・ペーパーを書く段階では締め切り日等がないのでついついダラダラとなりがち(と思う)。
一方、これまで私がとってきた方法は、アブストラクトが書ける段階まで進んだ研究についてはすぐにアプライしてしまう(^^;; この時点ですでに結論は私の頭の中では見えているも、形になっているのはメモと過去の参考文献、簡単な計算結果などがあるのみ。アブストラクトが受理されると締め切りまでだいたい2ヶ月。この間に一気に仕上げる、というもの。
D師匠の考えにできるだけ沿うように、と常日頃思ってます(ホント)が、最近思うことが一つ。例えばダブリンの件ですが、締め切り日はせまる、でもいいかげんな内容のペーパーは出せない、という逃げ場のない状況でこそ突破できた壁というのがいくつかありました。
そして、その過程で従来の理論や研究に対する理解も深くなりました。これが、ワーキング・ペーパーだったら、私の性格からして、まずいくつかの壁は突破せずに迂回していたことでしょう(^^;; しかも、かなりの時間をかけて。
こう思うと、私の研究の進め方もあながち悪いものではないのでは?と思ってしまいます。ただ、D師匠には迷惑をかけてると思いますが(^^;; ダブリンの件、最後までD師匠が納得できない部分があって、最後に「I don't know what's going on here, but I trust you.」で決まった部分も(^^;; でも壁を突破したことや理解を深めたおかげで、なぜD師匠が疑問を持っていたか、そしてどう説明すればいいかが今はわかります。
でも当然のことながら、見えていたハズの結論にたどりつかず、アブストラクトとは全く別の結果になってしまう可能性もないとは言えない。こうなっちゃったら、どうすんでしょうね(^^;;
どちらがいいかは、性格もあるかもしれませんね。私の場合、何事も切羽詰るまで何もしないタイプですので(^^;; でも本来はまずワーキングペーパー、そしてカンファレンスやジャーナルへ投稿、の順。これで高い生産性が維持できれば理想的。
研究の方法論とデータとの関係
PhDに限らず、どんなデータをどのように収集するか、は常に頭の痛い問題と思います。私もマスターの時に苦労しました。
マスターの時はアンケートによるデータ収集をしました。これは、自分の研究目的を達成するにはアンケートが必要だったからです。他の選択肢は、あったかもしれませんが、考え付きませんでした。そのとき実感したのは、アンケート調査はハイリスク・ローリターンな調査方法である、ということ。
アンケート調査のハイリスクな点は
1)調査対象の選定、調査依頼、調査票作成など、事前計画に非常に時間がかかる。
2)データ収集にも時間がかかる。
3)時間がかかる割りに回収率が一般に低い。高めようにも限界がある。
4)やっと得られたデータでも、その品質はすぐにはわからない。
にあると思います。つまり、ヘタすると時間だけかかって、なにも得られない、なんてシナリオがかなりな確率で起こりうる。よって、最終的に期待していた結果がでるまでの長期間、研究者はストレスを感じ続けることになります。回収率を考えなくていいという点で、まだインタビューの方がいいかもしれません。しかし、アンケート調査しか方法がなければ、ハイリスクを理解した上で腰をすえてやるしかありません。リアルなビジネスデータを活用する方法もありますよね。 例えば受注データ。何月何日にどこからどれだけのオーダーをもらったか。このようなデータはどの会社も持ってますから、あとはくれるかくれないか、だけが問題となります。このようなデータは実際に実現した事象の記録ですので品質には問題ありません。しいていえば、どれだけの期間のデータがあるかどうか、という点ぐらいでしょう。
どんなデータが必要かは結局のところ研究の方法論によりますので、まず研究の方法論のみ純粋に考えて、 その後でどうデータを採るか、という手順が本来あるべき姿かもしれません。しかし、すでにどこかの大学教授ならいざしらず、まだ修行中の身。そんなリスクは負えません、というのが本音。
PhDに向けて研究の方法論を考えるにあたっては、私は同時に必要となるであろうデータ、その収集方法そして収集可能性も考慮すべきと思います。そしてデータ収集に要する時間も。そうしないと、ヘタするとデータ収集ばかりに時間がかかって生産性は上がらないし、研究してるのか、調査してるだけなのかわからなくなりそうですし。極論ですが、研究者はデータ収集ではなく研究にできるだけ多くの時間を割くべきと思っています。最終的に研究目的、方法論そして使用するデータに矛盾がなければいいのでは、と思いますが、いかがでしょう。
USとUKの違い
これは現時点で思いつく、といったレベルの話ですが。
USのPhD論文とUKのPhD論文を比較すると、章立てというか、話のもってきかたに大きな差があることに気がつきます。USのPhD論文は一言で言えば、ストレート。文献レビュー等の後にすぐ本題に入ります。ここがUKのそれと大きく違う部分かと思いますが、UKではその本題に入るときに、なぜその方法論を使ったかの理由を延々と説明するのが一般的(と思う)。多くは、その方法論の歴史的成り立ちから話を始めてます。
UKのPhD論文にしては比較的ストレートと思うD師匠の論文にしても、制御工学について延々話を展開してます。第二次世界大戦中の研究などにも触れてるぐらい。
歴史的背景ぐらい教養として知っておく必要がある、ということだと思いますが、書く身からするとねぇ(^^;;
PhDをとるための本
UKにはいかにしてPhDをとるか?といった内容の本がよく売られてます。USでは見かけた記憶がありませんが。それぐらいUK でPhDをとることは難しいということかな?
(補足:これら書籍の存在理由として、PhD取得が難しい・難しくないという問題ではなく、UKにはUK固有のPhD論文作成の癖がありそれを知っておく必要がある為、という理解が正しいかと思います。)
ちなみに、UKの友人でPhDをとろうとしてあきらめた人、いっぱいいます(^^;; あと、まだ取れてない人もいっぱい(^^;; 私のオフィスにも、まだ取れてない人がパソコンを使いにたまにやってきます。最近見かけないMなどは、なんかいいソフトがあるとかで、ずーっとリバプールの大学で作業してるとか。どこに滞在してんでしょうね、彼は米国人なんですが。
話をもどすと、私も一冊だけ日本語の本を持ってます。「博士号への道」榊原正幸著。この方は現在東北大学で教鞭をとられてるようですが、UKでPhDを取得するまでの経験を交えて書かれています。経験者のお話は読んでおくと参考になります。特にvivaは質疑の場ではなく議論の場である、という記述にはなにかホッとするものを感じました。
ただ、この本、立ち読みでもいいかもしれません(^^;; 特にすでにPhD過程にいる人にとっては。ん?だけど、UKに居る人は立ち読みしたくても、本屋さんには置いてないか(^^;; 私のでよければいつでもどーぞ。
これが、いわゆる砂時計型(悪い研究方法の例)か?
まぁ、PhDを取ろうとしている人でこんな人はいないと思いますが… ふと砂時計型の例として思いついたので。
例えば、「数社にアンケート送れば、なにか面白いテーマが見つかるだろう。」というパターンは最悪な例として有名(?)。これは決してやってはいけないこと。普通は以下のようなことを考える必要ありと思います。
自分の仮説を確認するには、○○という統計分析で検証する必要がある。そのためには◇◇データが△△個最低となる。よって、◇◇データを得るための質問票を設計し、最低△△個のデータを得るに、回収率を××と想定すると最低何社には調査依頼をしないといけない、ということになる。さらに、回答するにふさわしい人に回答してもらうために、事前に根回し、できれば氏名を特定しておく。
これをやらずして、回収したアンケートをいくら分析しても、でてくる答えが仮に仮説を支持する結果であっても、「それはたまたまでしょ?こんな調査方法でまともなデータが取れてるわけない。」と言われて、ハイ、お終い。もっと最悪なのは、なにもデータから言えない(^^;; こうなると、どこがおかしかったのか疑う先は、調査方法そのものから、分析方法まで全てが考えられる。こんな状況では自分の仮説を検証なんてことは全くの不可能です。
残るのは、徒労感と、調査に協力してくれた企業がこうむった迷惑。最悪なシナリオ。しかも貴重な時間を少なくとも3ヶ月は無駄にするでしょう。これが、砂時計型の前半の部分に対応するのではないかと。つまり、質問票であれやこれや幅広く質問し、得られたデータをあれやこれや分析してみて、結論のようなものを見つけ出すまで絞り込む。そして後半に向けて、得られた結論から話を広げていく。う、確かに最悪。
1年目が大事
これは先輩PhDの方々がよく言っている話。そして私もなるほどと思います。その理由にはいくつかあります。
1つめ。プロ野球でもよく開幕ダッシュが重要と言われます。その理由は開幕ダッシュしておけば、シーズン終盤に向けてのプランを立てやすくなる、つまり采配に選択肢が増えるということですね。例えば、経験の浅い選手を使ってみるとか、ちょっとした冒険ができるようになる。するとまた新たな発見や展開がでてくるかもしれない。余裕がないと、そんな冒険はできないから新たな発見や展開も見つけにくくなる。さらに、余裕がないと長期的展望を考えられないので、最終ゴールを意識した行動がしにくくなる。PhDでも同じようなことが言えるのではないでしょうか。しかし、PhDの開幕ダッシュって、具体的にはなんでしょうね(^^;;
2つめ。1年目は技として身に付けておくべきことがイッパイあります。だから大事。研究者としての最低限の技を身につけ、習熟しないとその後のスパートに影響すると思われます。身に付けるべき技は沢山あります。まず情報を入手する技。情報といっても様々なモノがあります。どのデータベースにどんな情報があって、それらはどんな時にどう使えるのか。単に知っているだけと技となっている人とではかなり生産性に違いがでてくるような気がしてます。スーパーバイザーをいかにうまく使うか、なんてのもこの技に含まれるでしょうね。幸い、カーディフでこの手のセミナーが沢山ありますので、ぜひ活用すべきと思います。
2つめの続き。ストックする技。例えば、レビューで様々な論文を読むと思いますが、それに伴い論文データベースを作成するだけでなく、レビュー内容もメモするなりしてちゃんとストックしておく。すると知識の積み重ねが自然とできてくる。思いついたアイデアなどを書き留めたメモも日付をつけてファイルしておく。スーパーバイザーとの議論もメモで残しておく。そんな積み重ねが重要なのではないでしょうか。
まだ続き。ストックから知を吐き出す技。ストックした情報から知をクリエイトして吐き出さないといけません。例えば、自分の論文データベース(EndNoteなど)からすばやく該当論文にアクセスする必要があります。検索機能を使いますが、キーワードを適切に適宜いれなおすなど、使えるデータベースにしておかないと後で苦労します。さらに論文作成に使うソフトウェア。技化しておかないと、参考文献を読んでいる時間より、マニュアルを読んでる時間の方が長いなんて状況になりかねません。そんな馬鹿なと思われるかもしれませんが、例えば、論文フォーマットを投稿先の指定に合わせるだけでも最初は苦労します。あと、吐き出し先(つまり論文投稿先)をつねに意識しておかないと、研究事態が漫然としたものになりがちですし、さらに貴重な提出タイミングを逸しかねません。これらが技化されれば、論文書きの知的創造部分に集中できるようになるのではないでしょうか。
そして3つめ。PhDというのは、最後の学生生活です。ホントに。これ以上の学生生活は地球上にありません。そして想像ですが、2年目、さらに3年目になればいろいろプレッシャーもかかってきて学生生活を楽しむなんて感じじゃなくなるでしょう。よって比較的余裕のある1年目というのはホントの意味での最後の学生生活を楽しめる期間かもしれません。とはいえ、3年間楽しかった、もう一度やりたい、なんて言ってる人もいますが(^^;;
論文を書くにおいてのポール・アトキンソン教授の法則
「1)執筆スケジュールを立てる 2)トピックを半分に絞る 3)期間を倍にする」
これ、要は当初の内容を全て書こうとすると、思っているより4倍の期間が必要ということ(^^;; でも、ついこないだの論文提出過程を思うと納得できる話。ちなみに、ポールは「毎日書きなさい。」と言ってる人。
ゴールデン・ルール
「毎日書きなさい。」
これは、秋学期の授業で何回も繰り返し言われたこと。とにかく書く、毎日書く。それがPhDへのゴールデン・ルールだと。
実感するのは、思いつきにしてもなんにしても、とにかく書いて文章にしないと他の人(例えばD師匠)から適切なフィードバックはもらえない。また、書くことで自分の頭の中が整理できる、という効果も。
とはいえ、なかなか毎日書けないですけど(^^;;
PhD取得後の就職は日本かUKか、はたまた…
「いつか日本に帰るつもりであれば、帰れるときに帰った方がいい。」
PhD取得が前提となっている話題ですので、なんかちょっと引いてますが(^^;; これは、ある人が別のある人から言われたアドバイス。ある人は米国の大学で研究者として働いていました。が、あるとき日本の大学から採用してもいいという話が。さて、どうするか迷います。米国の大学は、そりゃもう泣く子も黙る超有名大学H。もう数年いればすんごい成果がだせるかもしれない。生活は決して楽ではないが、気に入っている。でも、いつかは日本に帰りたいと思っている。で、そのときに冒頭のようなアドバイスをもらったワケ。結局そのある人は帰国を決意し、日本の某大学で勤務されてます。
ちなみに、アドバイスをした人は過去に同じような状況になり、もう少し帰国は先にしようと考えて日本からの話を断わったそうです。その後、日本から話は全くなしとのこと(^^;;
しかし、早くこんな悩みを持ってみたいもんです(^^;; 私も「いつかは日本に」と思ってますので、今から帰国を前提とした行動も少しは必要かもしれないと思ってます。
しかし、日本からお声がかかる可能性があるのか?
これ、深刻な問題です。私は、日本での専攻はなんと建築(^^;; 現在の研究とは無縁の世界。よって恩師に就職について期待はできませんし、相談すら難しいでしょう。となると自力で、いつか日本からお声がかかるように努力しておかないといけません。なにが今からできるか?
とりあえず今日からはじめた作戦。日本経営工学会という学会がある。ここに入会し、さらに学会誌に論文を投稿することで知名度(?)をあげようという作戦。英文の論文も受け付けてくれるのが幸い。
よい研究の進め方、悪い研究の進め方
「よい研究の進め方はダイヤモンド型、悪い研究の進め方は砂時計型」
これは先日のケンブリッジで得た話。まずダイヤモンド型について。
研究を始めるにあたり、まずある一つの手法・手順を選択し、それらを使ってみる。そして徐々に応用範囲を広げていく。
ある段階まで応用範囲を広げた後、こんどは範囲を絞り込んで深く研究していく。最後はほんのわずかな部分であるが、それが body of knowledgeへの貢献となる。
このプロセスの研究範囲を時系列で図示するとダイヤモンド(ひし型)になるというわけ。以下は悪い方の砂時計型の説明。
とにかくいろいろ調べて、いろいろやってみて、研究範囲を広くとる。そして徐々にいろいろな条件をつけて、範囲を絞り込んでいく。
しかし絞り込んで得られた結果はある狭い範囲しかカーバーしていない。そこで次に、結果に一般性をもたせるという方向性で研究を重ねていく。最後は、研究当初に取り組んだ範囲と同様に広い範囲に言及した結論となる。
このプロセスの研究範囲を時系列で図示すると砂時計のような、真ん中がくびれた型になるというわけ。
砂時計型がいけないのは最後の結論に無理がでてくるからだと思いますが、はたして自分の現在の研究の進め方がどちらなのか、よくわかりません(^^;; まぁダイヤモンドやら砂時計やらの例えが抽象的すぎるというのもありますが。
すくなくとも「まずある一つの手法・手順を選択し、それらを使ってみる。」は妥当なアドバイスではないかと。ちなみにこの点はD師匠もよく言ってます。「まずある一つの手法・手順を選択」する基準は、自分の感性で無理を感じないもの、でいいのではないかと私は思います。どうせとっかかりですから。
研究計画の立て方
「ゴールから逆算しろ!」
これはD師匠のアドバイス。まぁゴールが見えないので苦労するのですが(^^;;
PhD論文については、こうすればゴールがイメージできるのではと思います。自分とできるだけ似た領域で似たような手法を用いて書かれたPhD論文を手元において、常に見れるようにしておく。すると量、範囲、質、深さなど、自分が今後やらなければならない内容がイメージできるようになると思います。それを残された期間と照らし合わせると(^^;; 結構アセリマス、正直。