2002/03/31 研究室便り
皆さんお元気ですか。都立大学から最後の「研究室だより」です。
都立大学も残すところ後数時間になりました。昨日、研究室から段ボール50個を
自宅に運び出しました。4月からは、早稲田大学理工総合研究センターで、日米科学
技術協力事業を中心にして研究を発展させます。また、都立大学の講議も週2コマや
ることになっているので、それほど大きな生活上の変化があるわけではありません。
しかし、これまでに比べれば、自由な時間ははるかに多くなるはずですから、執筆、
スポーツ、趣味を十分楽しむことができるだろうとひそかな期待を抱いています。と
くに、今年中にはダイビング100本を達成する予定で、12月に再度グレートバリアー
リーフに行こうと思っています。
皆さんも知っているように、レーザーとビームの相互作用について、最初の国際
会議を1999年都立大学で開催し、この方面の研究の重要性を世界にアッピールし
ました。そして、その後、ICFA(International Committee of Future Accelerator)
での正式承認を受け、僕とBNLのI. Ben-Zvi教授が共同議長をつとめ、2001年、スト
ーニーブルック大学で第2回目の国際会議を開催しました。これら2回の国際会議が好
評で、今後2年ごとに、日本、アメリカ、ヨーロッパで持ち回り開催しようというこ
とになり、つぎは2003年にイギリスのケンブリッジ大学で開かれることが最近決
まりました。第3回目を成功させるために、もう少し頑張らなければなりませんが、
さらに重要なことは、現在進行中の電子ビームによるレーザーの後方散乱実験を成功
させることです。
実験は、KEKとBNLで進めてきましたが、最近両研究所で大きな発展がありまし
た。1つは、円偏光したレーザーのコンプトン散乱で偏極γ線をはじめて生成したこ
と(KEK)、もうひとつは、プラズマ中でCO2レーザーを輸送することに成功したこと
です。前者では、20ピコ秒という超短パルスγ線の偏極を、透過法という新しい方法
で測定したことで、この結果を今論文にしています。後者では、直径1mmの細管中で
プラズマを発生させ、そこにレーザーと電子ビームを打ち込んで、相互作用距離を飛
躍的に向上させます。これが成功すると、リニアーコライダー偏極陽電子ビームの可
能性が格段に高くなるばかりでなく、世界一高輝度のx線発生が可能となり、夢のX線
顕微鏡の実現が現実のものとなります。BNLではこの実験の成功に向けて、日米の研
究者が一体となってがんばっています。2002年はこの実験の成功を第一目標にしま
す。
3月24日、日刊工業新聞社「著者登場」に『入門・超ひも理論』(PHP研究所)
が写真入りで大きく紹介されました。サラリーマンの間で好評のようで、「ダイヤモ
ンド」誌からも近々インタビューを受けます。引き続き『世界一やさしい超ひも理
論』を執筆中です。
それでは、30年間、皆さんと喜怒哀楽をともにした都立大学ともこれでお別れで
す。これからは皆さんとOB会で語り合えることを楽しみにしています。どうぞ、新し
い目標に挑戦し、夢を実現してきた「高エネルギー魂」をいつまでも持ちつづけてく
ださい。発展と健康を心から祈ります。なお、4月1日からは、メールアドレスがあ
たらしくなります。
平成14年3月31日、午後7:00
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広瀬立成
東京都立大学・理学研究科
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