駄文 参「人間のサガ」

今,僕は「かまど」の中に居る。
とても暗く冷たいのだが,昨日の夕飯の香りが心地よい。
かまどになぜ夕飯の匂いがついているかはいいとして,
現在窮地に陥っている。

「… 出られない」

こうつぶやいたのは,もう36855回目だ。
いい加減飽きてきた。

誰かの足音が聞こえる。

「助けてくれー!」と叫ぼうと思ったが,

   音が反響するので止めた。

そこでこのかまどを叩き壊そうと思ったが,

   音が反響するので止めた。

最終手段としてICBMを使おうと思ったが,

   音が反響するので止めた。

奥の手として………



このような葛藤を繰り返すこと50回,
ずいぶん時間が経ったはずだが,まだ足音が聞こえる。
不思議に思い,かまどを(当然内側から)叩くと,
向こうの人はこのかまどを叩き返した。
そこで,意を決して助けを求めた。

するとその人が言う,

「この化学兵器を使うよろし」

そう言われ,その人が放り込んでくれた化学兵器を使うと,
いとも簡単にかつ音もなく出られた。

「あなたは命の恩人です,あなたの望むものをあげましょう」

自分がそう言ったことに後悔するのは,
そう遠い日のことではなかった。

「じゃあ部室」

「そ,それだけは税理士さんに」

僕はもちろんそう言った。
が,

「俺が税理士だ。
 …とその言葉に魅力を感じてついていってるわけだよ小林中年。」

「へえ,さすがは…ってただのあほやろー!!」

   〜 続劇 〜


「いかがでしたか,人間のサガは恐ろしいものです。
 このようなことに誰がだまされましょうか」

「そこで笑いながら見ているあなた,
 あなたももうすでに毒されているかもしれません。」

「お相手はクモリでした」