《緊急のお知らせ》
根来寺遺跡・大門池保存要望書
平成16年(2004)5月30日
根来寺遺跡(根来寺坊院跡遺跡等)大門池
町立図書館計画の中止に関する要望
和歌山県県知事 木村 良樹 様 和歌山県教育長 小関 洋治 様
岩出町町長 中芝 正幸 様 岩出町教育長 数見 之男 様
呼びかけ人
東京大学教授 榎原 雅治
早稲田大学教授 海老沢 衷
京都大学名誉教授 大山 喬平
和歌山大学教授 海津 一朗
大手前大学助教授 小林 基伸
帝塚山大学教授 小山 靖憲
東京女子大学教授 水藤 真
関西大学名誉教授 薗田 香融
大阪大学教授 平 雅行
大阪市立大学助教授 仁木 宏
中央大学名誉教授 峰岸 純夫
日頃の和歌山県・岩出町の文化振興のためのご尽力に対して、深甚の敬意を表します。
岩出町の町営駐車場予定地出土遺跡等(根来寺の大湯屋遺構と穀屋・庭園付きの坊院)をめぐり、歴史学・考古学の諸団体から保存・活用の要望が出されましたが、日本中世史研究者の私たちといたしましても重大な関心を寄せております。
とりわけ、今年度中に町立図書館用地として埋め立てが計画されている大門池につきましては、根来寺伽藍域と境内都市域との結節点に位置する基幹灌漑施設であるばかりか、1585年の豊臣秀吉根来攻めにおいて根来衆の入水者を出すなど重要な意味をもった根来寺遺跡のランドマークあることが知られています。その成立は、鎌倉時代前期に確実にさかのぼるものであり、中左近池などと並んで、史跡・根来寺遺跡の重要な構成要素にほかなりません。
加えて、この池は根来活断層上に立地しており、図書館用地としては防災上の危険が心配されます。私たち歴史学研究者は、根来寺遺跡の史跡指定にむけて、次の3点を緊急要望し、地域振興と結びついた形の歴史的な景観保護にむけて御尽力をいただきたく、切にお願い申し上げます。
1 岩出町の町立図書館の建設計画を即時中止し、計画を変更すること。
2 大門池等の灌漑システムを明らかにするための学際的な総合調査を早急に実施すること。
3 根来寺遺跡について、国の史跡指定にむけて大門池・中左近池等も含めた保存管理計画を早急に策定すること。
この件についての連絡は、呼びかけ人代表の海津一朗までお願いします。
職場(和歌山大学)073-457-7305ダイレクト 携帯電話 090-3675-3879
<賛同署名>
青山幹哉(南山大学) 伊藤喜良(福島大学) 伊藤一義(東北学院大学) 伊藤俊一(名城大学)
伊藤正敏(歴史家) 家永遵嗣(学習院大学) 池 享(一橋大学) 市沢 哲(神戸大学)
井上 聡(東京大学) 入間田宣夫(東北大学) 遠藤基郎(東京大学) 太田順三(専修大学)
小川弘和(熊本学院大学) 岡野友彦(皇學館大学) 小山田義夫(流通経済大学) 梶木良夫(神戸女子大学)
金井静香(鹿児島大学) 鴨川達夫(東京大学) 川合 康(東京都立大学) 川端泰幸(大谷大学)
菊地大樹(東京大学) 菊池浩幸(関東学院大学) 北爪真佐夫(札幌学院大学名誉教授) 工藤敬一(熊本大学名誉教授)
久留島典子(東京大学) 黒田日出男(立正大学) 小谷利明(八尾市歴史民俗資料館) 小林一岳(明星大学)
坂田 聡(中央大学) 櫻井 彦(宮内庁書寮部) 佐藤和彦(帝京大学) 佐藤泰弘(甲南大学)
鈴木哲雄(北海道教育大学) 関 周一(つくば国際大学) 高橋 修(茨城大学) 高橋 傑(慶応大学)
高橋敏子(東京大学) 高橋典幸(東京大学) 立花京子(歴史家) 田中博美(東京大学)
田村憲美(別府大学) 永井英治(南山大学) 中込律子(学習院大学) 七海雅人(東北福祉大学)
西谷正浩(福岡大学) 馬場正彦(吉川弘文館) 春田直紀(熊本大学) 早島大祐(京都大学)
平瀬直樹(金沢大学) 藤田達生(三重大学) 福田栄次郎(明治大学名誉教授) 藤木久志(立教大学名誉教授)
保立道久(東京大学) 本郷恵子(東京大学) 前田禎彦(神奈川大学) 前川祐一郎(東京大学)
村井章介(東京大学) 柳原敏昭(東北大学) 山田邦明(東京大学) 山田 渉(宮崎大学)
山家浩樹(東京大学) 横井靖仁(花園大学) 吉田早苗(東京大学) 綿貫友子(大阪教育大学)
ほか 大学院生・中世史研究者
総計170名
歴研大会 20659円有徳銭
根来寺・湯屋遺構 現地公開
(和歌山県教育委員会文化財課 武内雅人氏よりの情報)
戦国時代に子院二千数百を擁し、信長・秀吉と武力抗争を行う巨大な宗教勢力であった根来寺の本拠地で、蒸風呂と見られる16世紀の湯屋遺構が2棟発見された。
湯屋遺構は、旧境内の東南端に位置しており、山間に造成された平坦地には湯屋関連の施設だけが造られている。湯屋は沐浴のための重要な宗教儀式の場であり、今回発見された湯屋は、根来寺全体の宗教活動のための施設と考えられる。
弘安9(1286)年に高野山上で勃発した本寺と伝法院(根来寺方)の「大戦」の原因が、「伝法院大湯屋立不之相論」であったというエピソードからも、真言宗・真義真言宗にとって「湯屋」がいかに重要なシンボル的施設であったことが理解できる。この後、高野山と根来寺は本格に袂を分かったのである。
中世の蒸風呂遺構は、西本願寺に現存する(といわれている)ほか、絵巻物には屡々描かれているが、今のところ発掘調査での発見例は、広島県千代田町の万徳院跡しかない。今回の発見は、全国で2例目、近畿では初となるが、この遺構は、多数の子院の宗教的紐帯を具体化する装置で、境内にレイアウトされた大門・大塔・伝法院等と同等の価値を持つ施設と評価でき、既発見の一寺院の施設とは意義の異なるものである。
このように、今回発見された湯屋遺構は、根来寺の歴史及び戦国時代の歴史を理解する上で、欠くことのできない重要な遺構である。また、今回発見の遺構は「ナマコ壁」の外壁構造もよくわかり、構造を復元することができる建築史上の好資料でもある。(武内氏の評価)
イメージ(細部は異論あり) 武内氏作成
日程 2月29日(日) 午前10時から
場所 根来郷土資料館より東(緑化センター方向)へ徒歩約10分
主催 岩出町教育委員会