制限酵素処理したDNA断片の平滑化

 

制限酵素処理後、生じた突出末端部分を平滑化する方法は2つあります。
突出末端の形状により使い分ける必要があり、必ず突出部分の形状を調べてから平滑化を行ってください。


1)突出部分の相補鎖を埋めて平滑化する

  

Eco RI, Bam HI, Hind IIIなど、3'末端の突出が生じる場合、突出部分の相補鎖を埋めることで平滑化する方法を採ります。
相補鎖部分を埋めるには、Klenow fragmentを用います。
Klenow fragmentは5'→3'末端へのDNA鎖の伸長に強い活性を持つほか、5'末端の突出部分を削る活性も弱く持っています。

 

 

2)突出部分を削って平滑化する

  

Sac IやKpn Iのように、5'末端の突出が生じる場合、突出部分を削ることで平滑化する方法を採ります。
5'末端の突出を削るには、T4 DNA polymeraseを用います。
T4 DNA polymeraseは、前述のKlenow fragmentの1,000倍程度のexonuclease活性を持ちます。


Klenow fragmentを用いた平滑化(反応例)

DNA
Klenow fragment 5
10x Klenow buffer 5
10mM dNTP mix 5
DDW up to 50 ul

37℃で30分間インキュベート。

ボルテックスによる撹拌などで反応停止後、エタ沈やゲルカットでDNAを精製し、以後の実験に用いる。

 

Caution!
Klenow fragmentは弱いながらもexonuclease活性を持つため、反応時間が長くなると末端部分が削れることがある。


T4 DNA polymeraseを用いた平滑化(反応例)

DNA
T4 DNA polymerase 1
10x T4 buffer 5
10mM dNTP mix* 5
DDW up to 50 ul

37℃で5分間インキュベート。

ボルテックスによる撹拌などで反応停止後、エタ沈やゲルカットでDNAを精製し、以後の実験に用いる。

 

Caution!
T4 DNA polymeraseは非常に強いexonuclease活性を持ち、反応時間が長くなると末端部分が余計に削れる、あるいはDNAが無くなることがある。

*実際には、平滑化を行う際に削る部分の末端の塩基だけをdNTP mixの代わりに加えれば良いらしい(だったような。うろ覚え)が、私はめんどくさがりなので毎回dNTP mixを加えている。
 dNTP mixを加えたから平滑化出来ない、ということは無い。詳しいプロトコールは誰か調べて下さい。


平滑化したDNA断片をライゲーションに用いる際には、ベクター側の平滑末端をCIPで脱リン酸化しておく必要があります。
CIP処理がうまくできていないとバックグラウンドが高すぎてライゲーションされたベクターを得るのは難しくなります。
ベクター側と併せて挿入断片側もついでにCIP処理すると、ビックリするくらいライゲーションの効率が落ちます(実話)。

参考文献:TAKARAのカタログ

文責:平滑王


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