制限酵素処理


制限酵素処理を行う前に、“切断するDNA量”と“使用する制限酵素のunit数”を知っておく必要がある。

1)切断するDNA量
通常、ミニプレプ後のDNA濃度は1.2〜1.5ug/ul、RNaseA等で精製したあとでは1.0〜1.2ug/ul程度になる。
この濃度に、DNA溶液の容量をかけた値が“切断するDNA量”となる。

2)使用する制限酵素のunit数
unitとは、制限酵素の酵素活性を表す単位で、
「 酵素反応溶液50ul中で、37℃で1時間に1ugのラムダDNAを完全に分解する酵素量」
と定義されている。制限酵素の種類や会社によって異なる。

 


反応例1. 未精製のプラスミドDNA 20ulを制限酵素EcoRIで完全分解したいとき

1)DNA量:1.2x20=24ug
2)制限酵素のunit数:20unit/1ul
 24/20=1.2であるから、プラスミドDNA 20ulをEcoRIで完全分解したいときに必要な制限酵素量は1.2ulとなる。
 実験条件や制限酵素の保存状態などによって活性は低下するため、2〜3倍量加えてもよい。

よって、

プラスミドDNA

制限酵素

10x buffer

100xBSA

DDW

Total

20

4

5

-

21

50ul
で反応させるとよい。

 


反応例2. 精製済みのプラスミドDNA 50ulを制限酵素SpeIで完全分解したいとき

1)DNA量:1.0x30=50ug
2)制限酵素のunit数:10unit/1ul
 50/10=5であるから、プラスミドDNA 50ulをSpeIで完全分解したいときに必要な制限酵素量は5ulとなる。
 実験条件や制限酵素の保存状態などによって活性は低下するため、2〜3倍量加えてもよい。

よって、

プラスミドDNA

制限酵素

10x buffer

100xBSA

DDW

Total

50

15

20

2

113

200ul
で反応させるとよい。

 


反応条件などは実験のたびに異なるので、DNA量と制限酵素のunit数を確認した上で、上記の例などを参考に行うと良い。
なお、以下のような点に注意する。

1)制限酵素の量は反応溶液全体の1/10量以下にとどめる必要がある。
  高グリセロール濃度下では、制限酵素が本来の物ではない認識配列を切断する場合がある。
  unit数が低い場合、必要な制限酵素量が12ulなどになる場合がある。
  こういった場合はTotalのボリュームを200ulなどにあげることで制限酵素量を1/10以下にする(反応例2を参考)。

2)10x bufferの種類に注意する。
  bufferも制限酵素の種類や会社によって異なる。bufferの違いは基本的に含まれる塩の濃度や種類の違いである。
  異なったバッファーを使用しても切れないことはないが、活性が低下する場合が大いにある。

3)制限酵素によっては、BSAを必要とするものがある(BamHI、Spe Iなど)。
  BSAなどの余分なタンパク質を混在させることで制限酵素を安定化させているらしい。

4)ごくまれに、37℃以外の温度で最も活性が高くなるものがある(NEBのSmaIの場合、30℃が最も活性が高い)。

 

参考:2種類の制限酵素で同時に処理する方法(Double digestion)
   制限酵素量を反応溶液全体の1/10量以下にしておけば、同時に2種類の制限酵素で切断することも可能である。
   ただし、2種類の制限酵素が同じ、あるいは近い濃度の10x bufferを必要としている場合に限った方が良いだろう。
   あまりにも10x bufferの濃度が異なるようなら、1種類目の制限酵素処理後にエタ沈し、2種類目の制限酵素処理しなければならない。
   ちなみに私はDouble digestionは行ったことがない。

文責:平滑王


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