ゲルシーケンサーの使用法


ゲルシーケンサー(ABI373S)の使い方を概説する。
(1)ゲル溶液の調製
(2)ゲル板の組み立て
(3)プレートチェック
(4)プレラン
(5)アプライ
の5項目に分けて説明していく。
このテキスト版のプロトコルでは十分に説明できていない点も多いため、実際の使用の前に必ず、ゲルシーケンサーを使用できる人から説明を受けて下さい。


(1)ゲル溶液の調製

ゲル溶液の組成と調製方法は以下の通り。
1)ビーカーにUrea、40% Acrylamid/bis stock soln.、ddH2Oをとり、電子レンジで15秒ほど加熱してスターラーで撹拌。
2)Ureaが融解したら10xTBEを加え、Total volumeまでメスアップ。
3)イオン交換レジン1gを加えて、スターラーで1時間ほど撹拌。
3)0.45〜0.22のフィルターで濾過。遮光のメジュームビン(なければアルミホイルで覆ったメジュームビン)に移し、4℃で保存。

ゲル溶液の調製

34 cm Gel plate

48 cm Gel plate
Urea

25.0g

30.0g
40% Acrylamid/bis stock soln.

5.9ml

6.0ml
10xTBE

5.0ml

6.0ml
ddH2O

(18ml)

(22ml)
Total volume

50ml

60ml
gel concentration

4.75%

4.00%
ゲルの重合
10% APS

250ul

300ul
TEMED

25ul

30ul

10xTBE:
108g Tris base, 55g Boric acid, 20ml 0.5M EDTA(pH8.0)をDDW 1Lに溶かす。
0.22〜0.45のフィルターで濾過して使用。


(2)ゲル板の組み立て

ガラス板1組(プレーンとノッチ)、スペーサー、ゲル・キャスティング・コーム、テープ、クリップを使用する。

1)ガラス板を水(または無蛍光洗剤)でよく洗い、DWでリンスの後、EtOHをかけて乾燥させる。
2)内側を、キムワイプにイソプロパノールをかけてよく磨く。
 プレーンなガラス板は、上下にセンターを示すキズがつけてある面が外側。
 ノッチのガラス板は、ノッチの部分を黒く塗ってある面が外側。パッキン跡がついて水を弾く面が外側。

3)プレーンなガラス板の左右両端にスペーサーを置き、上からノッチのついたガラス板を合わせ、両端と底辺をテープでとめる。
4)ゲル溶液に10% APSとTEMEDを加えて撹拌したものを、組み立てたゲル板の上部スリットから流し込む。
5)泡が入っていないことを確認し、上部スリットにゲル・キャスティング・コームを差し込み、寝かせて静置する。
6)両端のスペーサー、及びゲル・キャスティング・コームのスペーサー部分をクリップでとめ、ゲルが均一になるようにする。
 底辺はスペーサーがないのでクリップをとめない。
7)重合するまで静置する(約3時間
 余ったゲル溶液を一緒に静置しておくと、重合の目安になる。
 重合を待っている時間にシーケンス反応をかけるとよい。


(3)プレートチェック

3-1)ゲル板の洗浄
1)重合したゲル板からクリップとテープとゲル・キャスティング・コームを外し、水(または無蛍光洗剤)でよく洗う。
 底辺などにゲルの屑が残りやすいので、注意して洗う。
 DWでリンスの後、EtOHをかけて乾燥させる。
2)ゲル板の外側を、キムワイプにイソプロパノールをかけてよく磨く。
 実際にレーザーでラベルしたdNTPの蛍光をスキャンするのは、底辺から1/3程度の部分なので、ゲル板の上部2/3についてはとくに念入りに磨く必要はない。

3-2)プレートチェック
1)シーケンサーに放熱板をセットし、センサーを本体と接続してから電源を入れる。
 シーケンサーの起動に数分かかる。一緒に解析用のMac(と必要ならMOドライブ)を立ち上げておく。
2)レーザーガードとlowerチャンバーをセットする。
 34cmのゲル板を使う場合はlowerチャンバーのゲタの部分を奥に、48cmの場合は手前にずらしておく。
3)ゲル板を、プレーンなガラス板が手前になるようにしてシーケンサーにセット、レーザーガードの上から仮止めして本体カバーを閉じる。
 34cmのゲル板を使う場合はlowerチャンバーのゲタの部分の上に、48cmの場合はゲタのが無い部分にゲル板がセットされることになる。
4)プレートチェックを行う。
 MAIN MENU→Start Pre-run→PLATE CHECK→FULL SCAN
5)解析用MacのDataCollectionを立ち上げ、ScanをクリックしてScan画面を呼び出す。
6)Scan画面に4色ベースラインが表示される。
 ベースラインに大きなピークがある場合、もう一度ゲル板の洗浄を行う。
7)ベースラインがフラットなら検出感度の設定を行う。最も下に来ているベースライン(普通なら青色)にマウスのポインタを合わせ、Y軸の値を確認する。
8)Y軸の値が800〜1000になるようにシーケンサーを調製する。調整方法は
 プレートチェック中にMAIN MENU→Calibration→configure→moreを3回押す
 を行い、PMT volutageを変更する画面を呼び出す。
 ベースラインが高すぎる場合はPMTの値を下げ、低すぎる場合は上げる(数値入力→change、で変更可能)。
9)一番下のベースラインを800〜1000になるように設定出来たら、
 MAIN MENU→Abort run でプレートチェックを終了する。


(4)プレラン

4-1)泳動条件の設定
シーケンサーのSetup runを押し、下表を参考に泳動条件を設定する。
34cmと48cmのゲル板で条件が異なることに注意。

34 cm Gel plate

48 cm Gel plate
Watt

32W

40W
Volts

2500V

2800V
Hr

12~14hrs

14~18hrs

4-2)プレラン(プレートチェックからの続き)
1)ゲル板を放熱板とレーザーガードで固定する。
2)泳動するサンプル数に応じたシャークコームをセットする(通常は24ウェルのシャークコームを使用している)。
 シャークコームにも34cmと48cm用がある。見た目では区別が付きにくいので要注意。
 レーンナンバーを書いてある面の右上に.4とプリントされているのが34cm用
                   .3とプリントされているのが48cm用である。
3)upperチャンバーにゴムパッキンを取り付け、シーケンサーにはめ込んでゲル板に密着させる。
 upperチャンバーのネジがゲル板に直接当たらないようにアクリル板をはめ込んでから、upperチャンバーをネジでゲル板に固定する。
4)upperチャンバーとlowerチャンバーに1.8Lの1xTBEを入れる。
 まずゲル板の底辺がバッファーに浸るようにlowerチャンバーに1xTBEを注ぐ。
 残った1xTBEをupperチャンバーに注ぐ。upperチャンバーに黒いラインが引いてあるので、ラインを超えない程度に注ぐ。
5)放熱板、upperチャンバー、lowerチャンバーの電源をシーケンサー本体に差し込む。
 upperチャンバーの電源差し込み口は2箇所ある。どちらか届く方に差せばよい。
6)ゲル板の上下をシリンジを使って洗う(シリンジでチャンバー内の1xTBEを吸って吹き付けてやることで洗浄できる)。
 upperチャンバー側はシャークコームをさして出来たウェル部分に泡がないかを確認しながら洗う。
 lowerチャンバー側も、泡がないかを確認しながら洗う。
7)シャークコームやコードをはさまないように注意しながら本体カバーを閉じる。
8)プレランを行う。
 MAIN MENU→Start Pre-run→PRE-RUN Gel
9)5〜10minしたら
 MAIN MENU→ Abort Run
 でプレランを中止し、サンプルアプライに移る。


(5)アプライ

5-1)サンプルシートの作製
プレラン中に、泳動するサンプルの泳動条件などをサンプルシートに設定する。

1)MacのDataCollectionを呼び出し、EditメニューからSettingsを選択。
 Run length → 泳動時間(シーケンサーのSetup Runで設定した時間を記入する)
 Gel File Name → Gel File
 Sample File Name → 任意(No.など)
 Folder Name → 任意(Lab. Mol. Biol.など)
 Instrument File → 固定
 Cobm Name → 使用したシャークコームを選択(24-well shark cobmなど)
 Primer/Dye Set → シーケンスリアクションに用いたキットにより異なる。
            BigDye Terminatorの場合、34cmのゲル板で泳動するときはDT6%Ac
                          48cmのゲル板で泳動するときはDT4%Ac を選択
 自動解析設定は、Analyze All Samplesのみチェックしておけばよい。
 設定が終わったらOKをクリック
2)FileメニューからNew Sample Sheetを選択。泳動するサンプルをレーンに記入する。
 設定はサンプルシート上でも変更可能。
 サンプル数が少ない場合は1レーンずつ空けて泳動するとよい。
 サンプル数が多い場合でも、空きレーンができる場合は、両端のレーン、ウェルがうまくできなかったレーン、泡が入っているレーン、プレートチェックでピークが出ているレーンなどをブランクレーンとしたほうがよい。

5-2)サンプルアプライ
1)プレランが終わったら本体カバーを開け、シリンジを使ってウェルを洗浄する。
2)サンプルをサンプルシートに従ってアプライする。
3)アプライが終わったら本体カバーを閉じ、
 MAIN MENU→Choose Run→SEQUENCE RUN→FULL SCAN
 で泳動を開始する。
4)サンプル数が多い場合、奇数レーン(または偶数レーン)のみアプライする。
 5〜10minの泳動ののち、Intrupt runを押して泳動を中断して残りのレーンにアプライし、Resume runを押して泳動を再開する。
5)MacのDataCollectionを呼び出し、Collectをクリックする。
 Scan #がカウントし始めるのを確認したら、モニタの電源を落としておしまい。


泳動終了後は・・・?

シーケンサー本体で設定した泳動時間が過ぎると泳動は自動的にストップします。
MacもDataCollectionで設定した泳動時間を過ぎるとデータの取り込みを終了し、解析に移ります。

泳動終了後の解析方法の概説


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