1. プレートからシングルコロニーをピックし、1.5ml 2xTY(+抗生物質)液体培地で培養する。
2. 培養は37℃、Sチューブで8時間程度。(培養液のOD600値=0.6〜0.8になるように)
3. 100mM IPTGを15ul(最終濃度1mM)加え、続けて3時間培養する。
4. 培養液を1.5mlチューブに移し、5分間氷冷。
5. 4℃、12,000rpmで1分間遠心。その後、アスピレーターで上澄みを除く。
6. 冷蔵しているPBSを50ul加え、大腸菌の塊がなくなるまでボルテックス。
7. (1分間ソニケーション、1分間氷冷)を5回繰り返す。
8. 溶液を0.6mlチューブに移す。(1.5mlチューブでは熱処理ができないため)
9. 2x Laemmli bufを50ul加えてボルテックス。
(SDS-PAGE用のサンプルの場合。Laemmli bufはあらかじめ室温で振盪し、溶解させておく)
10. 99℃で2分間加熱。その後、氷で急冷する。サンプルは-20℃で保存する。
ここに書いた調整方法はあくまで目安です。泣かないためには下の欄も読んで下さい。
Q:ベクターが入っているはずなのにタンパク質が産生されない、もしくは産生量が少ない。
A:コロニーごとに発現量は違う。複数個やってみよう。
同じベクターを組み込んだ大腸菌でも、コロニーごとに発現量が違う。最初、特に形質転換したばかりのものは複数個(最低でも3つ)のコロニーをピックして培養する。当然、ピックしたコロニーは新しい培地にストリークして確保する。その後は、確保した大腸菌から、発現量が多かった、安定していたコロニーを使って実験できる。
Q:IPTGを加えるタイミングは? また、IPTGを加えると生育がおかしくなることがある。
A:大腸菌やベクター、産物によって千差万別。最適値は根性と偶然で探し出せ!
OD600=0.6〜0.8、一度測って記憶しておくのもよい。が、一々測るわけではない。一概には言えないが、ちょっと濁っているかな? というくらいか。試験管を振ったら軽くモヤるくらい。黄色くなってからでは明らかに遅い。
何時間培養すればこの濃度になるのか、というのは場合によって異なる。そのため、終夜培養ではなく、朝イチ培養することをお勧めする。朝から大腸菌を見つめ続け、コレ!と思った瞬間にIPTGを加える。完璧に近い培養コントロールができること請け合い。また、Mチューブを使うと多少は培養速度が速くなる。
IPTGを加えると生育が悪くなる場合は、産物が大腸菌と相性が悪い(毒性を持つなど)ことが考えられる。また、発現量を上げたい場合など、以下の方法が有効な場合がある。
・希釈培養をしてみる。
(1)新しく1.5ml 2xTY(+抗生物質)を入れたSチューブを用意する。
(2)(1)に培養した培養液150mlを加える。
(3)2〜3時間ほど培養し、適切な濃度になったらIPTGを加える。
ちなみに、この技は「培養しすぎてしまった!」という場合にも使える。また、希釈率は1/10でなくともよい。
・抗生物質の量を減らしてみる。
・IPTGを加えてから20℃で6〜9時間、ゆっくりと培養する。
全てに共通するのは「できるだけフレッシュでパワフルな大腸菌を使おう」ということ。
Q:タンパク質の水溶性とかpHは考えなくともよいのか?
A:行き詰まったのなら一考の価値あり。
今まで試したものでは、
(1)PBSで懸濁>DDWで懸濁に変更
(2)サンプルのpHを変えてみる(Tris-HClを使用)
(3)サンプルを遠心(12,000rpmで10分間)して上澄みorペレットのみを使う。
などが効果があった。
Q:ソニケーションの具体的な方法は? また、ソニケーションしても溶液が透明にならない。
A:ソニケーション中はチューブから目を離すな!
基本的に、氷を浮かべた水の上に、1.5mlチューブを差したフローティング板を浮かべるだけ。氷が溶けたら補充する。水の温度に注意しないと、氷は浮いているのだが水は温かいという場合もある。
普通は1回につき1分間のソニケーションだが、30秒という人もいる。回数もそれほど拘泥しなくともよい。少なくとも溶液が望む透明度(これは実物を見てもらうしかない)になれば良い。
水の量は多すぎず、少なすぎず。多すぎるとチューブの底面が高い位置に来てしまい、充分にソニケーションされない。少なすぎると今度はチューブが底に付いてしまい、チューブが破損することもある。
加熱後、または保存していたサンプルを解凍した後などは、30秒ほどソニケーションすると完璧。0.6mlチューブなので、一本一本手で持ってソニケーションする。0.6mlチューブは底面が小さいので、水中で傾け、チューブ全体に超音波を当てるような感じで行う。軽く気泡が立ってくれればOK。
文責:T
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Q:タンパク質の実験が辛くて辛くて仕方がない。何とかラクをしたいのだが。
A:抜け道はないこともない。
自分でリスクを背負って下さい。以下の方法は、これでも大丈夫な場合もあるということです。
(1)o/n IPTG
培養液にピックした大腸菌と同時にIPTGも入れる。そのまま終夜培養。
(2)ソニケーション無視
SDS-PAGEのアプライが非常に面倒になるのでも良ければ、ボルテックスのみでいこう。
(3)冷却無視
どうせ最後に99℃で加熱する。ならばというので、全ての冷却操作を無視する。
文責:T