後悔しない決断をするために
ー留学する前に自問自答すべきことと、私の考え
Q.どうして留学したいのですか?目的ははっきりしていますか?
Q.あなたは将来アメリカで働きたいのですか?それとも日本で働きたいのですか?
Q.日頃から薬学関連の情報に目を通し、自分を高める努力をしていますか?
Q.Pharm.D.コースでの勉強についていけるだけの英語力がありますか?
Q.Pharm.D.コースに通えるだけの十分な資金がありますか?
Q.どうして留学したいのですか?目的ははっきりしていますか?
アメリカ人でも大変なPharm.D.コースでの勉強を、母国語以外の言葉で続けることは、中途半端な意思では気力が持ちません。明確な目的意識をもつことが重要です。
Q.あなたは将来アメリカで働きたいのですか?それとも日本で働きたいのですか?
薬剤師免許をアメリカで取って日本に帰っても、その免許は日本では使えません。日本でのキャリアアップを考えるのであれば、日本で通用する形で、その成果を示さなければなりません。ただ、海外で経験を積むだけでなく、学位も重要になってくるでしょう。また、留学しながらも日本の動向に常にアンテナを張っていなければなりません。
逆に、アメリカで働きたいのであれば、免許が重要なのであり、2千万円もの投資をわざわざすることもないでしょう。
相手の立場になって考えてみてください。英会話ができない国民として有名な日本人を、リスクをおかして合格させる大学側のメリットとはなんでしょう。一人落第すれば、大学側の収益はその分マイナスです。
日本で英会話を習っていたときに、UCバークレー出身の講師に、「アメリカで成功するために重要なことは、日本を理解し、日本を説明できることだ。自分の国を語れない人には、周りも興味を示さない」と言われたことがあります。この言葉は本当に正しかったと、アメリカに来て実感しています。
知り合いが誰もいない、文化の異なる国で、一人で生活していく強さがありますか?これは留学以前の問題です。自信のない人は、海外を一人旅するなり、短期留学するなり、自分を分析してみるとよいでしょう。精神力が勝負です。
Q.日頃から薬学関連の情報に目を通し、自分を高める努力をしていますか?
薬剤師で在り続けるということは、一生勉強をし続けることを選択したことを意味します。日々医学は進歩し、新たな薬剤、治療法は、次から次へとアップデートされています。全てをキャッチアップすることなどできるはずもない情報量ですが、だからこそ、情報を分析できる能力が重要なのです。考えて見てください。長年メスを握っていなかった外科医に、患者は手術を頼みますか?薬剤師も同じことです。薬の知識が不十分な薬剤師が、患者に信頼を得られますか?日本語の薬学情報に目を通さない人が、Pharm.D.コースでの4年間、英語の薬学雑誌、教科書に目を通し続けることができるでしょうか?終わることのない勉強を、私たちは続けていかなければならないのです。
Q.Pharm.D.コースでの勉強についていけるだけの英語力がありますか?
日本人留学生は、どこの学校でも出席率が高く、評判は悪くありません。大学側が心配するのはとにかく英語です。Pharm.D.コースは面接が必ずありますが、日本語で面接するわけではないので、留学生の人物評価を大学側がするのは難しいでしょう。面接で彼らが見ているのは、授業についていける英語力。英語ができれば入学への道のりは近づくことは確かです。
Q.Pharm.D.コースに通えるだけの十分な資金がありますか?
日本の薬剤師が能率的に収入を得るには日本で働くのが一番です。私は働きながら、夜学でPharm.D.コース受験に必要な科目を全て取りました。アメリカに来てしまえば、なるようになるというのは甘い考えです。上手くいけばラッキーですが、計画的ではありません。
私がこちらに来た当時のアメリカは景気がよく、外国人労働力がもてはやされていました。しかし次の年になってものすごい勢いで景気が冷え、さらにテロ以降、アメリカの雇用情勢は回復しないままです。外国人への就労ビザの認可、特にカリフォルニア州ではグリーンカードを持たない外国人の就労は厳しくなっています。
以前は、F1ビザで入国した学生が、表向き学生をしながら、アルバイトをしている姿をよくみかけました。しかし、テロ以降、危機管理が厳しくなり、幽霊学生をするのは難しくなりました。もし移民局に摘発された場合、強制送還および10年間の入国禁止措置が取られます。あせる気持ちは理解できますが、将来成功したときに得られるものを思えば、早まってリスクを犯すのは得策とはいえないでしょう。
私以外にもPharm.D.コースに在籍する日本人が何人かアメリカにいることは、私の知る限り確かなことです。アメリカで薬剤師をしている日本の薬剤師、すでにPharm.D.コースを終えて日本に戻っている薬剤師、情報源は身近なところに意外とあるのです。私は日本にいるとき、アメリカから来た、Pharm.D.コースの教授の講演会にまめに足を運び、直接その教授とお話しして情報収集をしたり、自分をアピールしに行きました。今は日本の各薬学部も、アメリカから客員教授を招いて、いろいろ頑張っているようです。頭で考えをめぐらせることと、実際目で見て、話を聞いて確かめることは全然違います。どこのアメリカの大学も、前もって授業の見学を申し出れば、喜んで引き受けてくれるはずです。病院見学なども同様です。アメリカはやる気のある人にはとてもオープンな国です。積極的に働きかけること、実際に足を動かすことが大事です。人からの情報を当てにしているだけだと、夢の実現も遠のきます。人脈は自分で作るものです。