| 図書紹介 |
| 私学科学生学会の会員がお勧めする文献を紹介します。それぞれの推薦者の個性がよくあらわれた一読の価値がある文献ばかりです。大学で歴史学を学ぶ上で役に立つかと思われますので、興味がございましたらぜひ読んでみてください。 |
| ■廣松渉著『マルクスと歴史の現実』平凡社ライブラリー、1999 |
|
マルクスの哲学は戦後歴史学の基礎となりました。その戦後のマルクス哲学の分野で常に第一線で活躍し続けた人物がこの本の著者であり、多くのマルクス論関連の業績を残しています。本著作はその中でも比較的初心者向けに書かれており、内容はマルクスが革命理論と現実の実践をどのようにして結びつけていったかを、時代を追って記述しています。偉大なる哲学家がどのようにして理論と実践を捉えていたのか、それを私達はどのように読み返すのか、興味深い一冊ですので、宜しければ御一読下さい。(吉岡) |
| ■小林陽一・高橋哲也編『ナショナル・ヒストリーを超えて』東京大学出版会、1998 |
|
「自由主義史観研究会」「新しい歴史教科書をつくる会」というのをご存知でしょうか。かつての日本の戦争を「侵略」と見る歴史観を「自虐史観」であると非難し、“健全なナショナリズム”の復権の為の歴史認識を立ち上げようとしている団体です。今では彼らの手による出版物は書店の歴史コーナーにおいてかなりの部分を占めるようになっています。 |
| ■竹田青嗣著『現代思想の冒険』ちくま文芸文庫、1992 |
| 本書で思想とは、ある時代の「ものの考え方」の一切を単純化し、原型化し、要約したものであり、「ものの考え方」をその最も基本の形に還元し、見直したものであると述べられています。思想は、過去と現在の連続性からなる歴史という巨大な建造物を解読し、それを人間生活の場から疑い、批判し、判断するための道具として重要な意味をもつものであると言えます。なぜなら歴史とは、現在と過去とを主体的にとらえる行為であり、過去は現在から生起する問題から、現在は過去との不断の関係から意味を生じるためです。本書では17世紀から20世紀後半までの思想の流れが整理されています。特に近現代史を学びたい人にお勧めの一冊です。(森口) |
| ■加藤普章著『新版エリア・スタディ入門―地域研究の学び方』昭和堂、2000 |
| この本は一つの研究方法としてとられている地域研究をどのように理解し、勉強をすすめれば良いのかを示したものである。構成としては、第一部では特定の地域や国を取り上げ、その問題を検討し、第二部では人口問題や海外からの現代日本論などを地域研究独自の視点で紹介するというものである。特に第二部は地域研究の応用編と捉え普段関心が向けられない部分に光があてられているので興味深い論文が収録されている。又、付録に各地域の文献リストが載せられている。序章にも書かれているが、『学問は「批判的精神」と「好奇心」から出発する』とあるように、それを養う一つの手段として、本書を読んでみてほしい。(寺岡) |