\documentclass[a4paper,10pt]{jsarticle} \usepackage{amsmath} \usepackage[dvipdfm]{graphicx} \usepackage[dvipdfm]{color} \usepackage{tascmac} \special{pdf: docinfo << /Author (fujino.masato) /Title (to write math in web) /Subject () /Keywords () /Creator (FujinoPress) >>} \title{数学とwebをつなぐもの \\ {\small 〜Links between Math and Web〜}} \author{藤野真聡 \and 笛田宗広} \date{\empty} \begin{document} \maketitle \section{目的} 僕達は普段、ホームページに数式を載せるとき、数式を画像形式にして載せ たり、上付け記号を用いて、\verb| y=ax^2+b | と書いたりしている。しかし もっと簡単で見やすい、よい表記法は無いかと思い、数式の表記法の現状を 実際にWEB上で調べたうえで、これからも数式の表記法として残っていくであろうもの、 または新しく頭角を現してきた方法を検討$\cdot$調査し、今後の数式の表記法を 考えていく。 \section{World Wide Web} 21世紀を迎えた現在、世界をつなぐ World Wide Web(通常 WWW、W3 あるいは単にWebなどと略される) は成長し続けている。 この成長は止まることを知らない。 毎日、多くの情報が蓄積されている。 World Wide Webのそもそもの始まりは1989年に遡る。 CERN (Conseil Europeen pour la Recherche Nucleaire) \footnote{欧州合同素粒子原子核研究機構。現在では、Laboratoire Europeen pour la Physique des Particulesに改名されている。} のTim Berners-Lee氏によって所内の論文閲覧システムとして考え出されたもの が基本となっている。 これが、広く世界に広まったのだ。 一般に使用されるようになったのは、1991年のあたりからだといわれている。 教育もこれからはWebを利用するものになっていくだろう。 いや、利用していかなければならない。 勉強したいと思ったときに学習できるシステムを作っておき、 それで学習できる環境を整えてみてはどうだろうか。 少なくとも、Webはそれくらいのポテンシャルを有していると思われる。 Webの技術に関することは、W3C \footnote{http://www.w3.org/} を参照すればよい。 今回のテーマをまとめる際に参考にした。 特に、HTMLを記述する際は、一度はW3Cに目を通すことを勧める。 ここに、 Web の基準が記されているのだ。 次から具体的にWebに数学を記述する方法を紹介していくことにする。 \section{Webに数学を記述する方法} \subsection{画像} Webで数学を扱うときに、数式やグラフの扱いをどうするかということになる。 そこで、いちばん簡単な解決法としてあみだされたのが、数式やグラフを画像と して扱う方法である。 この画像として扱う方法も二つに大別することができる。 \begin{enumerate} \item ノートを画像 \item 数式のみを画像 \end{enumerate} 1.の方法は、正確には手書きのノートをスキャナでとったり、数式の記述可能な ソフトで編集したものを画像として載せる方法である。 この方法の長所はページを開くと見られるということや、 ブラウザによって、表示に問題が出ないという長所がある。 さらに、手書きのノートも画像にすることができるから、 デジタルな時代にあって、アナログな筆跡を楽しむことができる。 しかし、短所もある。 それは、すべてを画像データとして扱うから容量が大きいということである。 容量が大きいということは、ページを開くのに、 時間がかかるということと同義である。 そして、HTML上で多くの画像を管理するのが厄介である。 また、画像データは編集が容易ではないし、 再利用するのに適していない。 1.の問題を少しでも解決しようとしたのが、 2.の数式のみを画像で扱うという方法である。 2.の方法の特徴は、数式の部分のみを画像で扱うということである。 この方法では、画像で扱う量が減少するため、データの容量自体は小さい。 そして、数式の部分以外はテキストデータは再利用が可能である。 しかし、この方法は1.の方法にも増して画像の管理が厄介になる。 数式データの容量は一つ一つを見れば小さいのだが、数が膨大になっている。 塵も積もれば山となる。 それらを手作業で管理するのは大変である。 また、この方法でも数式の部分は画像データなので再編集や再利用ができない。 なお、数式を画像で扱うもの中に、 LaTeX2HTMLで HTMLを作成しているサイトも見受けられる。 この方法では、\TeX の文書をLaTeX2HTMLというソフトを経由させ、 テキスト部分はテキストデータとして、 数式の部分は画像データとして、自動でHTMLに変換する。 また、同様のソフトにtthというものがある。 このソフトは、数式の部分もできるだけテキストデータとして変換する。 しかし、tthの方は、実用レベルには達していない。 他にも様々なソフトでHTMLに画像を採用している。 例えば、mathmatica や Web Math-ter や Math Noteなどである。 MicrosoftのWORDについてくる数式エディタもこの部類に属する。 \subsection{PDF} 最近では、PDFで情報を載せているサイトは少なくない。 それどころか、この手法をとるサイトはどんどん増えてきている。 PDFとは、 Portable Document File のことで、 Adobe社が開発したファイル形式である。 電子文書をうたい文句としているだけあって、さすがに表示は綺麗である。 文書を開くために、「Adobe Reader」というフリーソフトがいる \footnote{ Abobe Reader と呼ばれるようになったのはver.6からである。 それ以前はAcrobat Readerと呼ばれていた。}。 PDFを見る度に「Adobe Reader」を起動するのは面倒ではある。 しかしながら、このソフトで見る限り、どのパソコンでも同じ表示になる。 PDFファイルを制作するには、 基本的にはAdobe社の開発しているソフトが必要になる。 現在、ワープロのシェアはマイクロソフトのWORDが独占していのだが、 そのデータをPDFに変換するのに、もっとも有名なソフトが「Acrobat」である。 最近ではPDFを作成できるフリーソフトも出はじめたようだ。 PDFファイルは文書に制限をかけることも可能である。 印刷やコピーの禁止や改変の禁止などができる。 また、文書を開くためのパスワードを設定することができる。 \subsection{Math ML} Math MLを採用しているサイトは少ない。 Math MLとは、W3Cが中心になって進めている方法であり、 数式をテキストデータとして扱おうという言語である。 しかし、HTMLのように、人間が覚えて記述できるような言語ではない。 そのように作られていないから当然である。 Math MLを記述するためには、 MYWINGのMath ML編集ソフトが必要になる。 開発されているものの中に、 Amaya \footnote{http://www.w3.org/Amaya/} というものがある。 このAmayaはブラウザであり、エディタでもある。 しかし、現在はまだ、ブラウザとしてもエディタとしても 実用レベルには達していない。 日本語への対応がなされていないのが問題である。 \subsection{mime \TeX} mime \TeX \footnote{http://www.forkosh.com/mimetex.html} とは、ページを表示するときに、CGIをgeneratorとして介する方法である。 つまり、HTMLを置いているサーバのCGIにmime TeXのプログラムをおき、 閲覧者がHTMLを開こうとするときに、サーバーの方で指定れた部分を数式に置き換える この方法は製作者の方は楽なのだが、 利用者の立場から考えると表示が遅いという問題がある。 あと、サーバーに負担を強いることになる。 最近、少しずつ目にする機会が増えてきた方法である。 \subsection{Wiki + mime TeX} ネットで数学をまとめようとするとき、Wikiというシステムを逃す手はないだろう。 Wikiとは、ネットでサイトを編集できるCGIのことである。 このWikiを使用すれば、みんなでコンテンツをつくることが可能になる。 いつでも、どこからでもサイトの内容を更新できるというのが、魅力である。 その反面セキュリティーの問題がある。 しかし、このようなプロジェクトの場合、うまく言っている例が多いようである。 人間の良識も捨てたものではない。 \section{比較}\label{hikaku} \begin{figure}[htbp] \begin{center} \includegraphics[height=7cm,clip]{image.eps} \end{center} \caption{} \label{} \end{figure}% 図からも分かるように、もっとも簡単なtext形式の表記法が$38\%$で1番多かった。 同じくtext形式に近い、html形式の$20\%$を加えると、その使い易さを理由に全体の 半分を超えるほどのダントツさであった。ここで今回の調査で区別した''text''形式と''html''形式であるが、 前者は \verb| y=ax^2+b |といった上付け記号などを用いた表記法で、後者はHTMLのタグを用いて $y = ax ^2 + b$のように表記される方法である。この2つは映り方が違うために区別した。 それに比べ多いであろうと思われた画像形式は$11\%$しかあらず、 \TeX の普及で使われるようになった、\LaTeX 2HTMLを加えても$18\%$と全体の5分の1くらいであった。 そして見やすい表記法の一つであるPDF形式は$22\%$と2番目に多かった。その中でも\TeX からPDFに変換していた人が、$22\%$のうち$19\%$を占めており、いかに数学の世界に\TeX が普及してきたかが分かると思う。 この調査はWEBを閲覧し母集団を100として集計したが、調査領域に偏りがあるにも関わらず、 ほぼ期待通りの結果を得られていると思う。 \section{考察} 数学をネット上に公開するために、 多くの人が様々な手法をとっている。 その方法は千差万別であることを感じた。 現在は、まだ試行錯誤の段階といってよいのかもしれない。 \ref{hikaku}で書いた比較のデータは、 母集団が少なく また個人が調べたものなので偏りがある。 したがって、ネットの実情を正確には表しているとは言えない。 この結果をそのまま信じることは避けた方がよいだろう。 どの手法がどれくらい使われているのかを比較する代わりに、 3で大別した五つのネットに数学を記述する方法が、 これからどのようになっていくのかを予想することを考察にしよう。 HTMLで数式を画像として扱うのは、簡単にできる方法である。 その分だけ利用する人が多い。 しかしながら、再利用ができないという観点から考えると、 データとしての利用価値は低い。 もちろん、著作権の侵害などもからんできて話はややこしくなるのだが。 ただ、そういう人たちこそ、この方法を好むだろう。 画像に電子透かしをいれる技術などがあるからである。 しかし、Web全体の流れとしては、 画像で数式を扱うというのは、とても面倒であるし、 容量も大きくなるから減衰していくと思われる。 案外、数学を手書きするサイトが流行するかもしれないが。 PDFで数学を記述する方法は、これからも少しずつ増えていくだろう。 しかし、爆発的に増えることはないように思われる。 なぜなら、PDFそのものを作成するのが面倒だからである。 そして、PDFを開くのにAdobe Readerを利用するのが面倒だからである。 しかしながら、そういった面倒を差し引いても、 電子文書としての魅力は余りある。 教育機関は、このPDFを好んで使うようになるだろう。 PDFで楽しみなのは、 フリーでPDFを作成できるソフトが出てくることであろうか。 Math ML は、これから主流になると思われる。 少なくとも、W3Cはそのつもりで開発を進めている。 しかしながら、まだまだ実用段階に達していない。 ブラウザの方ではMath MLへの対応は、進んでいるようである。 IEは、 Math Playerをプラグインをすることで閲覧可能になる。 Math MLが広く世の中に広まるため、まだまだ時間が必要であろう。 使いやすいエディターが開発され、 多くの人の手によって文書が書かれるのはいつの日になるのだろうか。 mime \TeX は Math MLが主流になるまでの つなぎの役割を果たしてくれればと期待していた。 しかしながら、期待以上の成果を出しているように思われる。 数多くのサイトがこれを取り入れている。 その内、mime \TeX を導入しているサーバーが増えるかもしれない。 確かに、この手法ではサーバーに与える負担が大きいかもしれないが、 それは、コンピュータの性能が上がることによって解決されていくかもしれない。 Wikiというのは、すばらしいCGIである。 これは、すごい勢いでユーザーが増えている。 このWikiと先ほどのmime \TeX を組み合わせれば、 ネット上にみんなで教科書をつくることだって可能だ。 実際に百科事典を作ろうというプロジェクトなどもあるようである。 Wiki Way の先には素晴らしい世界が待っている気がしてならない。 ネットで数学を記述する際に困難となる数式の扱いを、 現在はどのように対処しているのかを調べてきた。 そして、それらの方法がこれからどのようになっていくのかを考えてきた。 しかし、これからどうなっていくのかは分からない。 もっと素晴らしいものがでてきて、 これらの方法はすべて淘汰されていくことだってないとは言い切れない。 私たちは、それらの流れを見定め、 自分に一番あった方法を選択していく能力が必要となるだろう。 この文書が2004年におけるWeb事情の一端を 記録するものとなれば幸いである。 \end{document}