アラビア語を学ぶ−Personal Computer使用の一事例


はじめに

 私がアラビア語を学び始めたのは大学3年生の時(1995年)でした。大学1年生のときに大学の外国事情(中東・北アフリカ)という講義で中東に関心を持つようになった私は2年次で語学科目アラビア語Tを受講したかったのですが、当時は必修教科と重複したため、断念せざるをえませんでした。

 念願かなってアラビア語学習の道に入ってから、5年が過ぎようとしています。大学3年と大学院1年と間をおいて、アラビア語T、Uを受講し、1998年にカイロ大学へ留学しました。現在の私は中級者といったところでしょうか。カイロ時代に辞書片手に専門書を読む水準まで達しましたが、帰国後は通訳ができるなどの上級者へのステップアップを目指して苦闘の日々が続いています。

 私は飽きっぽい性質ですので、ある勉強方法を実践するうちに飽きてしまい、次の方法を探るということがよくありました。語学は根気なのですが、この性格はどうも語学の習得に向いていないようです。ここでは、そうした試行錯誤の中から私が試してみたアラビア語を独学で学ぶ方法について紹介してみたいと思います。

1 基本的なこと

 日本でアラビア語を教えてくれる教育機関としては国公立・私立の各大学やアジア・アフリカ語学院があります。私も大学でアラビア語学習のスタートを切りました。しかし、主に中級者を念頭において、ここでは独学するための方法を検討してみます。 まず、参考書として、私は次のテキストを使用していました。

飯森嘉助、黒柳恒男『アラビア語入門』泰流社、1976年。(現在は大学書林から発行されています)

辞書については、定本ともいうべき辞書があります。

Hans Wehr, A Dictionary of Modern Written Arabic, 3rd Edition, Spoken Language Services, 1976.

 現在のところ、この辞書以上のものは出ていないようです。しかしながら、この辞書はオリジナルのドイツ語版の発刊が1961年であり、新しい語彙に関する不満が残ります。そこで、さしあたり、市販の単語帳を利用するか、自分で辞書を作成しています。また、アラビア語作文、日本語→アラビア語訳には英-アラ辞典のMawlidを使用しています。

2 アラビア語を書く

 Windows2000上でのアラビア語使用に関しては中東調査会の保坂さんがすでに書かれているので、ここでは触れません。ここは苦労話みたいなものです。  私がアラビア語を学び始めた時期は、Windows95がリリースされ、Windowsブーム到来の時期でもありました。その熱にあおられ、1996年の春にノートPCを購入してしまった私が考えたのはPC上でのアラビア語利用でした。すでにこの点でも先駆者はいて、『中東研究』に内藤浩二さんという方が「Windowsにおける多言語処理」という表題でこの問題を研究されていました。その中に紹介され、内藤さんの一押しであったのがUnitypeでした。当時、日本で販売されていなかったので、米国にファックスで注文したのを覚えています。Windowsアプリケーション上でアラビア語を入力できるこの画期的なユーティリティ・ソフトはその後3年間私のPC上で働きつづけました。このユーティリティを私は卒業論文、修士論文で使用し、アラビア語単語帳の作成に使用しました。 最初に述べたようにWindows2000はアラビア語入力に対応するようになりました。これにより、インターネット上の検索、電子メールがアラビア語で書けるようになっています。

Windowsでのアラビア語利用については以下のサイトを参考にしてください。
多言語同時処理室
hosaka shuji & mutsumi  保坂さんのページ

3 アラビア語を読む

 インターネットの普及、とくにアラブ諸国での普及により、現地に行かなくともアラビア語に触れることができるようになっています。以前はアラビア語を画像形式で表示するサイトがほとんどでしたが、最近はWindows Codeのアラビア語によるサイトが主流のようです。これらのサイトはアラビア語表示サポートを加えたMicrosoft社のブラウザソフトInternet Explore 5.0以上でかつOSがWindows98以上であるという制約された条件でのみ閲覧できます。

 ここでは、私がよく行くサイトを紹介します。

新聞社
 どの言語でも新聞は中級者が語彙を広げるのに役に立ちます。アラビア語による新聞社のサイトとしては次のようなサイトが挙げられます。

『アルアフラーム(الأهرام)』紙−エジプトの日刊紙。
『アルグムフーリーヤ(الجمهورية)』紙。−エジプトの政府系新聞。
『アルハヤート(الحيات』)−ロンドンで発行されているレバノン系新聞。


組織・公的機関
 新聞に慣れてきたら次のような組織・公的機関のサイトでもアラビア語を読めます。

エジプト・アラブ共和国外務省−アムール=ムーサー外相の演説、条約、宣言文書などがアラビア語で読める。
Egypt State Information Service
国際連合アラビア語版−アラビア語はれっきとした国連公用語なので、国連にもアラビア語ページがあります。

検索サイト
 上記以外にもいろいろなアラビア語サイトがあるはずです。アラビア語の検索サイトとしては次のようなものがあります。いろいろと探してみましょう。

Ayna.com
Arabia Online
Arab Vista
Konouz.com
al-Jubail's page

4 アラビア語を聴く

 インターネットでは音声・音楽も流通しています。耳からアラビア語を学ぶのに私はアラビア語によるラジオ放送に目をつけました。現在、インターネット上のアラビア語による放送は国際ニュースを中心に10分程度で各ラジオ局のサイトから流されています。ほとんどがReal Audio(拡張子はrmあるいはra)形式で配信されており、これを聴くにはReal Playerが必要です。しかし、PC上で聴くのでは効率も悪く、電話代もかさむので、ポータブルMDにデジタル録音して、通学途中に聴くようにしています。デジタル録音には光デジタル端子を装備したPCが必要になります。

ラジオ、TV
RADIO日本−NHKが行っている短波放送のアラビア語版。日本の国内ニュースがアラビア語で聴くことができます。
アルジャジーラTV−有名なカタルの衛星放送。

 この他にもアラブ諸国のラジオ局サイトはあります。次のサイトで探してみてください。
Arabic Web Index: Arabic Radio and Television

 私はラジオでアラビア語を聴いて、それを書き取るディクテーションという学習方法をやっています。ただ、これは答えがないので、できる限りそのニュースに関する情報を得る必要があると思います。前述のBBCのサイトはアラビア語で最新ニュースの記事もあるので、それを読んでから放送を何度も聴きます。ラジオ日本のサイトは日本の国内ニュースなので新聞を読んでいれば、大体見当がつき、かつここの放送は少しスピードが遅いので聞き取りやすいようです。

5 アラビア語電子辞書


 最後にアラビア語で辞書を創ろうという話です。1で述べたようにアラビア語の辞書は何十年も前のものが定番なので、その欠点を補うためでもあります。私は当初、UNITYPEを使ってExcel形式の辞書を2年間作成していました。しかし、Windows2000の登場により、UNITYPEはほとんど不要になってしまいました。もともとUNITYPEをインストールしていないPCとの互換性がないので、その将来は見えていたのですが。  さて、先述の内藤さんが次のサイトにアラビア語電子辞書の辞書データを公開しておられます。この辞書はPDICというシェアウェア・ソフトが必要です。電子辞書は市販のもの、オンライン利用のものも含め、いろいろありますが、このPDICの最大の利点は自分で単語を登録し、オリジナルの辞書を作ることができるという点にあります。私は現在、Excel辞書からこの辞書への移行を必死で進めております。

アラビア語辞書HP

6 おわりに

 というわけで、パソコンを使ったアラビア語学習(というよりお遊びかも)を紹介してきました。WINDOWS2000のアラビア語対応により、アラブ諸国と我々を隔てる壁は少しだけ低くなったようです。ここで紹介してきたようなことで、私自身もアラビア語を少しでもましなものにしていきたいと思っております。


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