転写文字を使う理由としていくつかが考えられる。
1. アラビア語のアルファベットを読めない読者のため
2. 手書きの場合を除けば、執筆者がアラビア語を利用できるような環境にない
3. 印刷会社にアラビア文字を印刷できる環境、アラビア語を理解できる人材がいない
しかし、私は転写文字を使わず、アラビア文字を使用すべきであると考えている。まず、アラビア語を理解できない読者が転写文字による音を知ったとしても、どれほどの意味があるのだろうか。他の言語(ロシア語など)でもかつては転写文字を使っていた。またすでにMacintosh、Windowsいずれにおいてもアラビア語を使用できる環境が整いつつある。印刷会社とのやり取りも面倒であるが、指定をしっかり出せば不可能でないと思われる。
転写文字の欠点は他にもある。転写文字は日本国内では一応統一されているが、海外との互換性はない。日本の転写文字はまだましな方である。注の目的として読者にさらなる情報への経路を提供するというサービスが考えられるが、海外の参考文献や注などからは正確な書名が確認できない場合(とくに長母音が不明瞭な場合が多い)が見られる。
また、転写文字を使って、アラビア語文献の参照情報を記す場合、英語の略記号ibid.やop.cit.などが使われてきた。しかし、私の考えではアラビア語の文献を表記するのだから、英語の記号を使用するのもやや奇異な感がする。私の立場は日本語で学術的著作を発表する際に、参照した文献の言語に従って、注や参考文献の情報を記述するということである。要するに、英語を参照したら、英語式、フランス語ならフランス語式でということである。
そこで、ここでは日本語で書かれた学術的著作物においてアラビア語およびアラビア文字を使用する注・参考文献の書き方について考えてみたいと思う。注や参考文献のスタイル自体は学会や発表する媒体等によって異なり、作成者の発表する「場」によってそのスタイルは変わってくるものと思われる。アラビア語の学術的著作を見てもその形式は一貫したものでないのが実状である。したがって、ここで紹介する例はあくまで参考程度のものであると思ってもらいたい。
雑誌論文や所収論文の場合、論文名を二重の丸括弧
で括る。しかし、この記号はWINDOWSでは表現できないようで、ネット上のオンライン論文などを見ていると、""を利用したり、括弧を一切つけないケースもあるようである。私自身は""を利用している。
また、英語のop. cit. 、日本語の前掲書(前掲論文)などに相当する表現はいくつか見られ、統一されていないようである。
例:
| 注 | |
| (1) | .مارلين نصر, التصور القومي العربي في فكر جمال عبد الناصر, 1952-1970: دراسة في علم المفردات و الدلالة, بيروت, مركز دراسات الوحدة العربية, 1981, ص 12 |
| (2) | .المصدرنفسه, ص 14 |
| (3) | .بطرس بطرس غالي, "الناصرية و سياسة مصر الخارجية", السياسة الدولية, العدد 21, يناير 1971, ص 8-27 |
| (4) | .المرجع السابق, ص 12 |
書籍の場合
例:
| 参考文献 |
|
علي هلال, الأمم المتجدة
والوحدة العربية(1945-1982), مركز دراسات الوحدة
العربية,1989.
جسن أبو طالب, عروبة مصر بين التأريخ و السياسة, القاهرة, مركز المحروسة للبحوث و التدريب و المعلومات, 1996. أحمد أحمد يوسف, نزاعات العرب و العرب: 1945-1981, مركز دراسات الوحدة العربية, 1996. |
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