レポート1

課題  身近な環境問題

ダイオキシン規制


 ダイオキシンは人類が作った史上最強の毒物といわれ、発ガン性、慢性毒性などがある。最近は、環境ホ
ルモン(内分泌かく乱科学部質)の作用が重視され、精子の減少、奇形などの危険性が指摘される。ベトナム
戦争で米軍が使った農薬の枯れ葉剤に含まれ、奇形児などが多く産まれたとされる。欧米では、化学工場の
事故で解体・清掃作業に入った作業員が亡くなったり、イタリア・セベソで起きた農薬工場の爆発事故で、周辺
地域住民がダイオキシンを浴び、住民は疎開したが、女児の出生比率が高くなったり、塩素挫傷といわれる
障害が発生したりした。
 ごみ焼却場からダイオキシンが発生することは、1970年代にスウェーデンの学者が発見、日本でも確認さ
れた。日本は、ごみ焼却場の数が世界一多く、世界一のダイオキシン汚染大国であることが自明だった。しか
し、政府は対策を怠り、ごみ焼却場の規制を本格的に行うようになったのは、97年になってから。ごみ焼却炉
の構造や大きさによって排出量の規制を強化した。ダイオキシンを含む農薬はかなりあったが、農水省は検
査すらせず、「農薬にダイオキシンは存在しない」と否定し続けていた。90年代、除草剤クロルニトロフェン
(CNP)が胆嚢ガンとの因果関係を指摘され、メーカーが生産中止をした後も、「CNPにはダイオキシンは含ま
れていない」と否定した。だが99年、大量のダイオキシンが含まれていたことがメーカー側の調査で明らかに
なった。過去のダイオキシン汚染は、農薬とごみ焼却の複合汚染だ。
 99年7月、ダイオキシン類対策特別措置法が全党一致の議員提案で成立、2000年1月に施工された。@
人が生涯摂取しても健康に影響のない体重1kg・1日当たりの摂取量(=耐容1日摂取量 TDI=Tolerable
Daily Intake)は、4ピコグラム(ピコは1兆分の1)以下とする、A知事は、汚染のひどい地域に対して地域指
定し、総量削減計画をつくり、各事業者に対して総量規制基準を決める、B大気、水質、土壌の環境基準を
設ける、C知事は土壌の環境基準を満たさない地域を対策地域に指定し、対策計画を定める―などが内容。
旧環境庁は、大気の環境基準は1立方メートル当たり0.6ピコグラム、土壌は1g当たり1000ピコグラム、水
質は1リットル当たり1ピコグラムと定めた。これに沿って工場・事業所から出る排出基準を定めるなど、本格
的な態勢が整ったこともあり、国内年間排出量は、97年の約6kgから99年は2.8kgに削減された。
 しかし、欧米諸国を見ると、スウェーデン、ドイツなど80年代後半から対策を進めた国は、年間排出量は数g
とされ、日本とはなお大きな開きがある。新たな排出が削減されても、日本の場合、ポリ塩化ビフェニール
(PCB)が横たわる。旧厚生省の調査によると、PCBを含むトランスやコンデンサーが全国に20万台保管さ
れ、1万台以上が紛失されていることがわかった。PCBにはコプラナーPCBが含まれ、ダイオキシン類の一種
とされる。
 旧厚生省は、大手企業による自主的な化学処理を促進するほか、中小企業の保管分の分解のために予算
をとり、北九州と大阪など全国数ヶ所に処理施設を造る構想を進めるなど、72年にPCBの生産が中止されて
以来、動きが出始めた。しかし、私は施設予定地周辺の住民には情報が少なく、住民と行政、企業の間に信
頼関係を保つリスクコミュニケーションをどう構築するかが課題だと考える。また、かつて汚染され堆積した土
壌や、海や湖沼の底泥の浄化も必要だと考える。


参考文献 朝日キーワード2001 朝日新聞社・編


TOPへ