I-10から望むUTEP図書館
初代大学長がブータンを訪れた際、ヒマラヤの山中に建つラマ教寺院をみた際、たいそう気に入ったそうな。
その時、学長はすぐさまエルパソの気のない岩山を思いだし、UTEPの建物を全てブータン調にすることに決めた。
そのおかげで、全ての建物が仏教寺院のような屋根をもち、側壁にもモザイクが刻まれている。
ほとんど全ての建物にモザイクが入っている。
建設中の新しい学内アパートもやっぱりブータン調。
マジョリティはメキシコ人
1813年に設立されたこの大学は世界70ヶ国以上から1万7000人以上の学生が通っている。世界70カ国というが、その留学生のほとんどがメキシコ人留学生だ。メキシコ国籍を持つものはなぜかテキサス州民と同じ授業料を払うことができる。
一般的に州立大学はインステイト・トゥイーションとアウト・オブ・ステイト・トゥイーションというのがあって、州民かそれ以外の州からやってきているかによって、授業料におおきな開きがある。
例えば、UTEPの州民の授業料は12単位で約1200ドルにしかすぎないのに、州外からやってきた学生は4000ドルを支払わなければならない。そのため、インステイト扱いにされるメキシコ人留学生が多いのは必然であろう。
メキシコ系の生徒が大部分であるこの大学は当然のことながら、生徒の会話はほとんどスペイン語だ。生徒の中には英語をほとんどはなせない人もいる。一日の半分くらいはスペイン語を聞いて生活している気がする。自分の専攻(中南米研究)のせいもあると思うが、授業でも時々スペイン語で会話している。
キャンパスは南国の雰囲気たっぷり。実際に暑いけど。
一日の暮し
UTEPに通う生徒のほとんどが仕事を持っている。そのため、彼等は授業の時間帯だけ学校にやってきて、授業の終了とともに職場に帰っていく。多くの授業が午前中に行われる為、12時を過ぎると学校はもぬけの殻になってしまう。
また、学校へは路線バスが乗り入れているがほとんどの生徒が車で通学している。UTEPは10もの広い駐車場を持っているが、朝9時以降にいくとキャンパスに近い駐車場は全て満車になっている。そのため、どうしてもリモート・パーキングと呼ばれるキャンパスまで10分ほど歩く遠い駐車場にとめなければならない。
これが山の中にあるリモート・パーキング。キャンパスまでの距
離は中央左にある建物から推測できる。
午前中の休み時間には、教室を移動する生徒でキャンパスは活気あふれる。カフェテリアも昼時ははらぺこの生徒たちで混雑する。ところが、3時にもなるとキャンパスを歩く人はまばらになる。カフェテリアも開店時間は午前11時半から1時半までのわずか2時間。人の一番多い時間帯にしか空いていない。
授業は多い人でも一日3コマ程度。後の残りの時間はほとんどの人が仕事に出かけている。もちろん、勉強をする時間も必要だ。仕事をもちながら大学に通う人は時間のやりくりが大変のようだ。
UTEPの北側は岩山になっている。
駐車場争奪戦
UTEPの一日はやはり駐車場争奪戦から始まるといっても過言はない。
そもそも、90%以上の生徒が車で通うというのにキャンパスに近い駐車場はどれも教師かまたは従業員用で生徒用に割り当てられた駐車場はわずかだ。そこに停められない場合は徒歩にして10分以上も離れたのリモート・パーキングにとめなければならない。それでも、やっぱりどうしてもキャンパスの近くに止めたいという人は少なからず存在する。では、どうすればキャンパスの近くの駐車場に停めれるのだろうか。
方法1:誰よりも先に学校に行く。
まず確実にキャンパス近くに停めれる方法はやはり人がまだ眠っている時間、または家であさご飯を食べている時間に学校にやってくることだ。7:30まではだいたいどの駐車場とめ放題。なにも気にする心配はない。私も時々早起きしたときなどは、学校の図書館などに行く気が沸くので朝早く家を出発し、この幸福に浸る。
方法2:釣り。
ところがどうしても9:30以降の授業になると開講数も多いためどうしてもキャンパス近くの駐車場はいっぱいになってしまう。そうした時に威力を発揮するのがこの「釣り」大作戦だ。
午前10時半。すでにキャンパス近くの駐車場は満車。
まず、ひととおり、駐車場の空きを探してやっぱりないことを確認すると、どこか前の授業の生徒が帰ってきそうなところに車を停める。(ただ、これはあくまでも動物の勘で停める。)授業が終わる時間帯になると何人かの生徒がキャンパスから帰ってくる。その生徒が自分の近くに帰ってくることを祈りつつきょろきょろしながら待つ。もし、自分の近くに乗ったら、釣り大成功。その車のほうにウインカーを出して自分がそこに入ることを周りの「釣り」車にアピール。そして、その車に自分の車を寄せ
「なんぴとたりともその駐車場にいれさせねえ」
ことを主張する。車がでたら、すぐに駐車場に飛び込む。これでなんとか授業に行ける。
でも、一匹も釣れない日もけっこうあるのでそんな時は先生の顔を思い出して冷や汗をかいてしまう。
方法3:追っかけ。
方法3は「釣り」の進化版で、前の授業の生徒が帰ってくる通路またはルート付近に車を停め、駐車場に停めた車に向かう生徒を発見したら、その後を追いかける。どこまでも。そして、車に乗ったらすぐにウインカーを出し、方法2の作業を行う。
所がこれには弱点もある。それは生徒がどこにとめているかわからないことだ。彼等がそのままリモートパーキングに向かう時もあり、そういう時は貴重な時間を失うことになってしまう。
ところがこの弱点を克服する方法がひとつある。駐車場に向かって歩いている人に声をかけ、どこに停めているかを聞いた後、そのまま車に乗せてしまうのだ。生徒の停めているところまで車で運び、その駐車場をそのままいただく。これは、そのひととも少し「こね」ができるので、他の車によこどりされることもない。
「釣り」や「おっかける」だけだと、狙っていた駐車場に前停めていた車が出たすきをねらって割りこみをしてくるとんでもないやつが結構いて、なきをみてしまう。
この場合だと、他の車がすぐにあきらめてくれるので、割り込みされることもない。
方法4:あきらめてリモートパーキングに停める。
実はわたしは「あきらめ派」だ。なんかいちいちこんなプロセスを踏んで歩く距離を稼ぐ自体時間の無駄に感じてしまう。あさから徹夜明けで疲れているときは別だが、いさぎよくリモート・パーキングに停めていつも15分歩いている。結構、こっちのほうが「つり」をしているより時間的に速いことが多い。
でも、家から学校まで車で5分なのに、駐車場から教室まで15分もかかるのがむしょうにはらがたってしょうがないのだが。
NCAAのお荷物UTEPフットボール。
UTEPにはフットボール、バスケットボールをはじめトラックなど、NCAA一部リーグに属するスポーツチームがいくつもある。
とくに男子バスケットボールは特に人気がある。
1966年、UTEPがまだテキサス・ウエスタン・カレッジと呼ばれていたころ、なんと男子大学バスケットボールのナショナル・チャンピオンになってしまった。それ以来、UTEPのバスケットボールは結構強くなったそうだ。今でも必ずカンファレンスでは3位以内に入るし、よくポストシーズンのトーナメント出場校にも選ばれる。
ところで、1966年にチームを率いていたのがドン・ホスキンス監督。彼はその栄光をひきずり、なんと2年前まで監督を続けていた。いつか、過去の栄光を取り戻すことを夢見て。結局、夢は現実の物とはならなかったのだが、よぼよぼのじいさんになるまでNCAAの一部チームの監督を務めることができたのはきっと幸せだったに違いない。最後のシーズンはいつも椅子に座って大声をはりあげていたが、いつもなにか苦しそうだった。
彼の栄光をたたえるため、1万3千人収容、UTEPのバスケットボール用のアリーナは「ドン・ホスキンス・センター」となづけられている。
バスケットボールが行われるドン・ホスキンス・センター。
ところでもうひとつのUTEP運動部の雄、フットボール部は長年「NCAA一部のお荷物」または「おまけチーム」と呼ばれ、毎年、なかずとばずのシ‐ズンを送っていた。ここ十年でシーズンを勝ち越して終わったことはほとんどなく、優勝などまたの夢の夢。一部の強豪チームなどではスタジアムは一も満員、チケットをとるのも難しいが、ここUTEPのスタジアム、「サンボウル」はいつもがらがら、4割も埋まっていない。
UTEP構内にある山をくりぬいて作られたサンボウルスタジアム。
ところが、新監督を迎えた昨年度、UTEPは何を思ったか快進撃を開始する。初戦を昨年度のナショナルチャンピオン、オクラホマ大学相手に落とし、第三戦では強豪テキサスA&M屈した後、まさかの連勝街道を突き進む。市^ズンはじめは今年もまた、だめだと思ったエルパソの人は連勝しはじめたUTEPマイナーズ(チームの名前)に驚きはじめた。シーズン終盤になるとなんとあの5万5千人収容のサンボウルがなんと超満員。長いUTEPの歴史でこれが何と2度目のチケット完売だそうだ。その後も超満員の試合が続く。選手も観客も大興奮し、なんと地元サンボウルでWAC(西部リーグ)優勝を決めてしまう。観客は大興奮し、フィールドに流れ込んでゴールポストによじ登った離、QBを担ぎ上げたり、興奮のるつぼと化していた。今でもそのシーンは鮮明に蘇る。
結局、学校始まって以来2回目になるポストシーズンのボウルゲームにも出場し、エルパソの町は再び興奮に包まれた。
普段、人々の間で「エルパソ民」という感覚はあまりないのだが、このシーズンはまさにエルパソの人が町のフットボールチーム「マイナーズ}を熱狂的に応援し、ひとつになっていた。大阪の阪神タイガースの優勝を思い出させる昨年の出来事だった。
国境関係の授業
土地柄、国境関係の授業は多い。私はラテンアメリカ学国境学専修過程にいることもあって、国境関係の授業ばかりとっている。
例えば、今学期は
国境調査、チカノ(メキシコ系アメリカ人)演劇、ラテンアメリカ哲学といったものをとっている。
国境関係の授業としては、メキシコ、メキシコ系アメリカ人、中米関係の歴史、社会、哲学、文学などが開講されている。特にUTEPには私の所属するラテンアメリカ学とチカノ学を専攻するとこれらの授業をとることになる。
先生もメキシコ系アメリカ人やメキシコ人、中南米出身の人が多い。授業中でもいたるところでスペイン語が使われ、時にはスペイン語でディスカッションが行われたりする。
生徒ももちろんメキシコ系の人が多い。例えば、チカノ演劇、国境調査のクラスでスペイン語が母国語または第一言語でない人は私一人。いつもスペイン語が飛び交っている。教科書も半分がスペイン語で時々苦労することもある。なぜなら、スペイン語でも英語と同じように扱い,わざわざ訳したりしない。2言語がわかるという前提で授業が進んでいく。でも、最近はスペイン語にもすっかりなれてきたと思う。
ただし、これらの授業のみ。もちろん、コンピューターサイエンスなどの他の学科では英語オンリーなので心配なく。
ただ、先生や助手の多くがスペイン語を理解するため、テストをスペイン語で解答してもよいのがとても面白い。
英西バイリンガルを目指そう!
このように、UTEPに通うとアメリカにいながらメキシコの雰囲気を味わうことが出きる。あなたもスペイン語・英語のバイリンガルになりたかったら、エルパソはよいところかもしれない。日本人留学生のなかにも英西両語を話す人は多い。