紹介 医療福祉問題研究会とは

   医療・福祉問題研究会は、1980年代の中曽根内閣の「臨調・行革」路線のもとで、医療・福祉の分野が大きな転換期にさしかかった1986年に発足しました。早いもので、今年でもう16年目になります。生活の貧困、異常な長時間労働、福祉施設の不足などの問題が山積みになっているなかで、これらの問題の所在と解決策を明らかにするためには、どうしてももっと学際的な討論が必要であるとして、石川県内の医療関係者、福祉関係者、行政関係職員、大学の研究者、学生など幅広い人々に呼びかけてスタ−トしました。現在、会員は正会員、賛助会員合わせて約170人で、北海道から沖縄まで全国におよんでいます。

  研究会の活動は、研究例会、講演会・シンポジウム、セミナ−の開催、地域調査、研究会誌『医療・福祉研究』の発行などですが、中心は2〜3ケ月ごとに開催している研究例会です。テ−マは会員から提案されたものをもとにして運営委員会で検討して決めています。会員の多様な問題関心を反映してテ−マも広範囲に及びます。最近とりあげたものでは、ドイツ介護保険と在宅介護、小泉「構造改革」と医療抜本改革、虐待・拘束を考える、保育「改革」と福祉・保育の変容、精神科リハビリテ−ションの昨今、支援費制度とはどんな制度か、などです。例会では多面的な検討ができるように工夫するとともに、実態のリアルな把握と新しい分析の視点を獲得できるように努めています。例会に参加して、いろいろな立場から意見が出されて、自分にとって新らしい発見があるという研究会ならではの魅力があります。報告はできるだけその問題の当事者に担当していただくようにしているので、会員以外の方もありますが、最近では会員の発表が多くなっています。

  また、10年以上にわたって地域調査を行っています。石川県が1988年に発表した「石川県保健医療計画」を検討するなかで、過疎地域における医療・福祉の実態をふまえた計画を作り上げることが重要であると考え、1989年から「珠洲市日置地区の医療・福祉実態調査」を実施しています。今年も11月29日から3日間、珠洲市と日置地区の方々から話を聞かせていただく予定です。この調査は、研究会のライフワ−クとでもいうべき活動ですので、ぜひ、本にしてまとめたいと考えています。

  『医療・福祉研究』は、こうした研究会の活動をまとめたものです。これまで13号が刊行され、掲載原稿は総計で320本近くになります。なるべく多くの人たちに書いていただ けるように努力しています。今回の第13号では、「構造改革」の嵐が吹き荒れる今こそ「人権としての社会保障」という旗を掲げる必要があるという決意を込めて、特集「構造改革と人権としての社会保障」が組まれています。つぎの第14号の特集は「国民生活の変容と医療・福祉」(雇用・失業、貧困、家族崩壊、地域崩壊など)の予定です。みなさんの投稿をお待ちしています。

  講師料も原稿料もほとんどない研究会がここまで続いてきたのは、報告や執筆を心よく引き受けてくださった人たちの賜物です。また、社会保障にかんする政府の政策にたいして、なんとかしたいという思いが会員の方々にあり、「この研究会は自分にとって必要である」と評価していただいていることも、その要因であると思います。そして、学生・院生時代に研究会や珠洲調査に参加して、その後、医療関係団体の職員、高齢者施設の職員、社会福祉協議会の職員、大学の教員などになった人もおられ、この研究会の大きな財産になっています。

  いま、これまでの資本蓄積を最優先し社会保障を抑制する政策を見なおし、社会保障を充実していく政策に切り替えていくことが求められています。この研究会の活動が社会保障の充実になんらかの寄与ができれば幸いだと思っています。

                              医療・福祉問題研究会 河野すみ子
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