世界に類みないわが国独自の貿易経営形態である総合商社(GENERAL TRADING COMPANY)とは、どのようなものであろうか。わが国貿易振興に、また、アジアをはじめとする世界経済の発展に貢献している総合商社に対する期待が高まっているが、総合商社に対する理解、分析、研究、は必ずしも十分でないように思われる。
総合商社の活動範囲は地球規模に拡大してきており、その機能、業務活動は非常に複雑で多岐にわたっているし、また総合商社は時代の変遷とともに年々その業務形態を自己変革し、新規事業分野への進出や発展を遂げつつある。その総合商社に関する諸問題やその本質を実質的に分析、考察を試みたものが本書である。
ここでは総合商社の業務活動の特徴を抽出し、その概念を明らかにしながら、その歴史的展開を辿り、その機能や役割についての分析を試み、特に総合商社にしか成し得ない特殊貿易(三国間貿易)を取り上げ、その伸張の推移と理由、現況と今後の見通しについての考察をなし、世界経済の円滑なる発展に寄与する総合商社による三国間貿易の拡大は、わが国総合商社に課せられた大きな使命であり、その機能拡充とネットワークをフルに活用して更なる拡大を計り、21世紀への飛躍に備えるべきと提言を行った。
また国際化が進み価値観が多様している現代社会にあって、総合商社がその企業目的に達成することのみに活動しているだけでは、社会との間に諸々の摩擦が生ずるため、常にその社会の動向に関心をもち、社会的責任を重視し、迅速に対処しなければ、企業活動はおろか企業存立そのものにも影響がでてくる。ここに総合商社自らがその理念・行動基準・活動状況を社会一般に知ってもらい理解してもらうための広報戦略の重要性がますます高まってきているとの認識の上で、総合商社の広報活動を徹底的に分析し、その広報戦略がどのようにあるべきか、その目指す方向はどこにあるべきかを論究している。
最後に、総合商社の21世紀における経営戦略と課題について、戦後50年の日本経済の発展とともに成長し、同時に諸々の障害を乗り切っての発展を遂げてきた過程にメスを入れつつ、その経営分析を他産業特に製造業との比較において行うと同時に、総合商社自身の経営指標の近年の推移をも検討した。次いで近年総合商社のリスク増大傾向に対し、リスクマネジメント(危機管理)が如何に行われているか、また行われるべきかについて論じ、総合商社の経営活動が、その環境変化に如何に対応してきているのかを分析し、そこから総合商社の経営上の課題と対応策を論述し、総合商社が21世紀に向けて世界経済の新しい流れや日本経済の現況に対応して、如何なる経営戦略が必要か論及した。
以上
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飛鳥 茂隆
著書「総合商社論」について