大阪府立泉州救命救急センター


報告者:近畿地方のSさん(6年生)

<病院情報>
病院名:大阪府立泉州救命救急センター
所在地:大阪府泉佐野市りんくう往来北2−24
病床数:30床(ICU 8床、一般病棟 22床)
診療科:三次救急医療施設

<実習情報>
別に実習といった大それたものではなく、見学を募っているわけでもない
です。阪大生が学外実習で来ることはあるそうですが、自ら連絡をしてこ
こへ来たのは私が初めてだったらしいです。私の場合は救命救急志望なの
で、実際の現場を数多く見ておく一環として連絡をとりました。メールを
出すと副所長の松岡先生から返事が来ました。
丸三日間滞在し、当直室を使わせていただきました。当直室には二段ベッ
ドが有って、暗くすると危ないから部屋の電気は点けたままでした。上段
ではおそらく寝れません。コンビニへ一度行く以外は一歩も院外へ出るこ
とはありませんでした。
施設の詳細は http://www.sccmc.izumisano.osaka.jp/

<体験記>
期間・学年:6年の春、3日間
診療科:救命救急
内容・感想:
泉州救命救急センターはそれのみで一つの病院で、いわゆる独立型です。
30床に対してスタッフ医師15名、レジデント医師7名、全職員は100名以上
も居ます。所長の横田先生がかなり気合を入れて設計されたらしく、広々
とした初療室は同一平面で手術室や画像検査室につながり、レントゲン機
器は初療室の天井からぶら下がっていて使い易そうでした。初療室、手術
室、検査、ICU、病棟などあらゆる所に共通のコンピューターがあり、患
者のデータはどこでもモニターでき、全て保存されているらしいです。

見学当日の朝、センターに到着すると事務の方からポケベル(ホットライ
ンが鳴ると"99"と表示される。先生方はPHSを持っておられる)、ICカー
ド(セキュリティの為、どこへ出入りするにも必要)を渡され、医局へ案
内されました。スタッフの臼井先生が来られ、早速グリーンのユニフォー
ムに着替えセンター内を案内していただいていると、血管造影室では未明
に交通事故で flail chest+血気胸+頸損+骨盤骨折 の多発外傷患者がTAE
を受けていました。この患者が一段落した後、ICUで申し送りがあり、ICU
回診、病棟処置となり、手伝ったりしながら夕方になりました。初日二人
目の患者は、鉄製品が頭上から落ちてきて 外傷性クモ膜下出血+頭蓋底骨
折+数箇所の骨折 という方で、ICPモニタを入れる緊急手術を行いました。
見学期間中の他の搬送患者は、溺死(CPAOA)、屋根から転落して 頸損
+肩甲骨骨折、餅を詰まらせCPAOA、陳旧性心筋梗塞でCPAOA、脳出血、そ
の他に何人かです。
ICUではピトレッシンの投与を受けている患者が何人か居て、頭部外傷に
よる尿崩症が多いことを知りました。

基本的には自由に見学する立場なので、ベルが鳴れば初寮室へ出て、オペ
になれば手術室に入り、申し送りや回診に同行し、手の空いている先生と
医局で喋りながら情報を仕入れてました。食事はレジデントの先生が出前
の注文を取りにきてくれました。
スタッフの方々はコメディカルも含め皆が同じ目的のために働いているた
めか、毎日24時間シビアな患者を相手に頑張ってるためか、救命救急セン
ターというこじんまりした病院のためか、雰囲気はなかなか良く、仲が良
さそうでした。
近くには関西国際空港があるので、航空機事故を想定した訓練を定期的に
行っているそうです。海が近いのでライフセーバーや船舶の免許を持って
る先生も多かったです。

三次の重篤な患者だけを受け入れるので、ホットラインが鳴ると慌しくな
り初寮やICUは大変ですが、暇な時は暇なようです。
スタッフの出身は阪大救急医学(特救)が中心で、神戸市立中央市民病院
外科から移られた臼井先生が一人だけ居られました。レジデントは他の病
院で一年以上の経験のある医師を受け入れているそうです。レジデントの
中には救急医を目指しているわけではない人も居るという事です。

スタッフの先生方は、「外傷外科を中心とした救急を本気でやるには阪大
か日本医大に入局するべきだ」とおっしゃってました。前述の臼井先生は
学生時代に日本全国の救命救急センターをバイクで回って「阪大は合わな
かった」そうですが、ある学会で所長の横田先生に出会って、ここへ来た
そうです。
私は他の救命救急センターとしては、阪大・大阪府立千里救命救急センター
・杏林大(以上、阪大系)、川口市立医療センター(日医系)、山口大、
神戸市立中央市民病院を回ってきました。重度外傷患者を自分たちの手で
治療することができるのが本当の救急医だと感じました。

蛇足ですが、救命救急センターでは日々、異状死体が発生します。生と死
について考えたり、突然の死を受け入れられない家族の姿や、死体検案や
検視の実際を多く見ることができ、勉強になりました。

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