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農作物と工業製品に対するセーフガードについてのレポート
2001.5.17
191044 北川 浩光
セーフガードとは何か。セーフガードには二種類あり、今回の場合は一般セーフガードである。一般セーフガードとは一九九四年GATT(関税および貿易に関する一般協定)第十九条、セーフガード協定に基づき、輸入急増による国内産業への重大な損害防止のために認められている緊急措置である。対象品目としては農林水産物を含むモノ全般で、発動要件として一、外国における価格の低落、その他予想されなかった事情の変化による輸入の増加があること。二、輸入の増加により、国内産業に重大な損害、又はその恐れが生じていること。三、国民経済上緊急に必要であること、とされている。措置内容は重大な損害を防止し、救済し、構造調整を容易にするために必要な限度内において、関税の引き上げ(関税割当を含む)又は輸入量制限と、二種類ある。発動期間は原則四年以内、延長して最大八年である。暫定措置もとることができ、今回はこれを行った。発動要件は、調査が開始された場合において調査完了前にも十分な証拠により、輸入増加の事実及びこれが国内産業に与える重大な損害等について推定することができ、国民経済上特に必要があること、とされている。措置内容、期間は、関税引き上げ、二〇〇日以内とされている。一般セーフガード発動手続きにおいて、調査は原則一年で、財務大臣、経済産業大臣、農林水産大臣によって行われる。利害関係国との協議が必要で補償措置をとるよう努力しなければならない。輸出国は関税引上げ等による対抗措置をとることができるが、当該措置がセーフガード協定に適合する場合、最初の三年間について対抗措置をとることができない。
日本は暫定措置として、ねぎ、生しいたけ、畳表に対してセーフガードを行った。ねぎの九年度から十一年度における輸入量が2,454トンから22,306トンまで増え、九.一倍もの急激な上昇がみられる。粗収入においても1,545億から1,334億まで減り、十四%の減少である。生しいたけの、九年度から十二年度(推計)、輸入量は26,028トンから42,698トンまで増え、一.六倍増加し、輸入品占拠率は二六%から三九%まで伸びた。粗収入は794億から638億まで減り、所得が150億から60億まで減り六〇%減少した。畳表は、同期、輸入量が8,628千枚から20,645千枚まで増え、二.四倍増加した。輸入品占拠率は二六%から60%まで伸び、国内生産量は四六%減少した。粗収入は303億から131億まで落ち、五七%減少した。
日本政府がセーフガードの発動になかなか踏み込めない点は三つ考えられる。一つめは制度が複雑なことである。三省の合意が必要であり、WTOの条文では業界の被害のことを指し示しているにもかかわらず、日本政府は国民経済ととらえている点である。確かに輸入業者との兼ね合いも考えられるが、ねぎ等に関しては緊急の措置が必要である。二つめは、中国からの対抗措置である。三品の主な輸入先は中国である。中国側は対抗措置の具体的な内容に言及しなかったものの「まだWTOに加盟していないから対抗措置はできる」と、発言した。今、歴史教科書、靖国神社公式参拝、元台湾総統来日と、日中関係が悪化している。セーフガード発動も大きな問題となる。実際、対抗措置らしきことは起きている。日本の輸入こん包用木箱に対する検疫強化である。日本は責任をもって協議を重ね、理解を求めなければならない。三つめは発動後、どうすべきかである。発動して、ねぎ、生しいたけ、畳表の各産業が生き延びたとして、それからどうすべきか。競争力のある品物ができ再生できるのか。工業製品とは違い付加価値のつけにくい農作物である。外国の安い人件費等で作られたものには対抗できないだろう。私は、発動期間中に、貯蓄を促し、他業界へ転換するべきだと、考える。アジア経済という枠組みの産業自由競争の上で、日本のネギ、生しいたけ、畳表を考えるべきだ。
工業製品のタオルはねぎ等と、少し状況が違う。確かに、輸入急増はしている。二〇〇〇年の一月から十一月の前年同期比で十九%の増加で、国内輸入品占拠率が約六四%である。しかし、タオルのセーフガード発動に国内の他業界からの反対の声がある。この輸入急増の背景に、日本のメーカーや商社、大手スーパー等が開発輸入した結果という側面がある。過去四半世紀、日本のメーカー等が人件費、原材料の安さを求めて生産移転し、開発輸入をしてきた。今、人気のユニクロもmaid in Chainで急成長している。消費者団体からも反発が予想される。タオルは工業製品である。安さの魅力に負けない付加価値の高い製品を作る努力をしなければならない。それが競争だし、その開発こそが良質高級品の基礎である。セーフガードの甘い蜜に頼ってはいけない。
大阪の業者団体の例がある。それは「天然タオル」である。つまり、でんぷん糊を使用したタオルである。生産工程で糸の強度を高めるため糊付け作業がある。現行では石油系の化学糊を使用しているが、その糊を落とすとき化学処理や排水時の有害物質除去が必要となっている。しかし、今回、でんぷん糊を使用したタオルを開発。イタリアの繊維業界からヒントを得たそうで、でんぷん糊を使用した場合では、化学処理等の工程が不要で排水による環境への影響がすくないそうだ。環境にやさしい商品で巻き返しを図っている。
五月二一日
アメリカ ヨーロッパ諸国 日本の輸出入の状況
アメリカはプルーム、小麦グルテン、ラム酒はセーフガードしながら、あまった小麦等はどんどん輸出している。一戸当りの農地は日本の一〇〇倍。自給自足のための農業ではなく輸出を前提とした農業である。南北アメリカでFTAを作ろうとしている。
ヨーロッパ諸国はEUの枠組みの中で輸出入をしている。EU内はFTAである。
日本は貿易立国で、工業製品をどんどん輸出しているぶん、輸入になかなかセーフガードをかけられない。シンガポールとFTAをつくろうとしている。
自給率の問題
農業産業をつぶしてしまうのは簡単だが、再生するのは難しい。農地という広さが必要で、一年間かけて作物ができる。戦争が起きたときどうするのか。その点タオルは絶対的生活に必要ではない。工業製品だからすぐできる。
価格弾力性
農作物は価格弾力性が低い。量が少し多くなっただけで価格が大きく下落する。タオル等の工業製品は比較的高い。生産調節ができる。
松村:中国側は、外国の企業に自国の産業を牛耳らさせてよいのか。
北川:あり余っている労働者を雇用してくれ、そこに所得が生まれ、消費、貯蓄し、投 資につながるからよいのでは?
北野先生:毛沢東自国路線 漢民族、自らの力で自らを発展させる。
インド、キューバ、ソ連の失敗
_小平改革開放 国営から民営へ。外資系企業をどんどん受け入れとりあ
えずは自国を発展させる。
五月二八日
1 同じタオル業界に敵がいた。
愛媛県のある市
その市はタオル産業を地場産業として盛り上げていく方針。10社ぐらいあるタオル会社はセーフガードの発動を指示している。しかし、その10社のトップ3の会社は実は中国からの逆輸入しているので、それほど本腰をいれて指示しているわけではなたった。
国際貿易学者は比較優位論のもと、どんどん貿易すべきといっているが、比較優位論の前提である、劣位産業からの失業者は優位産業で雇用できるという条件が、今の世の中、成立しているのか。
2 タオルの付加価値
セーフガードはつなぎである。4年間の後はどうするのか。自助努力が必要。
技術者は中国産の安物と日本産の物とでは、肌触りの違いがわかるが、消費者レベルではぜんぜんわからない。
精一杯の努力ととらえるか、それとも、消費者にわからない程度の努力とちらえるか。
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