・FTTHで変わるビジネス&生活
最大100MbpsというFTTHが個々のユーザーまで本格的に普及すれば、これまでとはまったく違った
“ブロードバンド”対応のコンテンツ配信や、新たなネットビジネスが登場すると見られている。
では、これまでの常識を覆す100Mbpsという超高速度で何ができるようになるのか?
言い換えれば、どのようなビジネスモデルで何のコンテンツを配信するのか?
既に一部のコンテンツプロバイダーでは、来たるべき本格的なFTTH時代を見据え、既存のビジネスを変化させ、
あるいは新たなビジネスを起こそうと考え始めた。
・FTTHとは?
FTTHとは「Fiber To The Home」の頭文字を取ったもので、その名の通り、家庭まで光ファイバーケーブルを引くということ。
各家庭までの通信ネットワークをすべて光ファイバーケーブルを使って敷設するということだ。
光ファイバーにはコンピュータ用のデータ、テレビ映像、音声通信(電話)などの情報を流すことが可能で
、高速かつ常時接続のネットワーク環境を手に入れられる。
FTTHの大ざっぱなネットワーク構成は図のようになっている。
家庭まで光ファイバーケーブルで結ばれるという仕組みだ。FTTHに対して、最近、何かと話題のADSLサービスや、
従来からのISDN、アナログ電話(56kbps)はNTT局から家庭までの配線に銅線(メタリックケーブル)を利用している。
なお、FTTHと他のインターネットサービスにおけるネットワーク構成の違いについては、PART3を参照して欲しい。
このFTTHの魅力はズバリ、従来の銅線などを使った通信インフラと比べて桁違いにデータの伝送能力が高いということだ
。実験レベルでは、毎秒約3.3テラビット(テラはギガの1000倍)、商用の光ファイバーでは毎秒16テラビットを実現している。
回線速度は想像を絶するレベルまで進化しているのだ。
・「ラストワンマイル問題」が“夢の超高速化”実現を阻む
技術的に見れば、まさに夢のインフラとも言えるFTTHだが、既設の銅線を使った電話網と比べると、
ケーブルや光/電気信号の変換装置などに多大な投資が必要となる。
また、ケーブルの敷設自体も長期の工事期間と莫大な費用がかかってしまう。
NTTは当初、2005年までに各家庭に現在の電話線(メタリックケーブル)に代えて
光ファイバーケーブルでネットワークを配備するという計画だった。
しかし基幹の光ファイバー網から各家庭までどうやって光ファイバーを引き込むのかという、
「ラストワンマイル問題」に対する具体的な解決策を示せずにおり、実現は厳しいと見る向きも多かった。
実は、基幹の光ファイバー網は既にほぼ完成しているのだ。
NTTによると、基幹ネットワーク(NTTの電話局間などを結ぶ回線など)は100%光ファイバー化され、
さらに「「き線点」のうち約90%までが光ファイバー化されているという。にも関わらず、
誰もが低価格で利用できる高速常時接続としてのFTTHは、これまで具体化されなかった。
・光ファイバー化をネットワークのインフラ整備と位置づけたNTT
その最大の理由は、FTTHの構築コストにある。
元々、NTTは現在の銅線(メタリックケーブル)並みのコストで光ファイバーを各家庭まで張り巡らせるということを
目標として掲げ、そのための新たな技術開発などを進めながらFTTHに取り組んできた。
実は、この「銅線並みのコストでFTTHを実現する」という目標が“曲者”で、
光ファイバー化のコストダウンが進んでいるとはいえ、ハッキリ言ってしまえば現時点ではまだ不可能なのだ。
だから、部分的に非常に強いFTTHのユーザーニーズがあっても、それに対してNTTはダイナミックに動けない。
なぜなら、その時点で部分的にFTTHに対応すると、将来、もっと低コストでFTTHが実現できるようになった場合、
結局、二重投資になりかねないと考えているからだ。
もう一つ大きな要因がある。それは「NTTが光ファイバーをすべてのユーザー、各家庭まで敷設し、
その上で既存の電話も含めた様々なネットワークサービスを提供する」という考え方に“とらわれていた”ことだ。
ライフラインとしての電話サービスをベースにFTTHを考えてきたため、どうしても公共事業的な発想になる。
全体計画で考える体質になる。だから、基幹ネットワークをまず光ファイバー化し、それが終わったら各家庭までの回線を順次、
光化していく。ユーザーニーズという物差しは、プライオリティが低くなるのだ。
分かりやすい例で言うなら、高速道路の整備を見よ。高速道路は国で取り組む整備事業であり、
最初にゴールの青写真が作られ、それを実現するために全体計画の下で進められている。
その結果、交通量が多く渋滞が起きやすい既存の高速道路の拡幅工事などがなかなか進まない一方で 、
開通した真新しい高速道路がガラガラの空き状態という現象が見られる。
ユーザーニーズ・オリエンテッドで高速道路を整備していけば、少なくともこんな歪んだ現象は起きないハズだ。
NTTの話に戻ろう。彼らはFTTHをネットワークのインフラ整備という観点から全体計画の下で進めてきた。
考え方として間違ってはいないが、これでは光ファイバーが銅線並みのコストで敷設できるようにならない限り、
各家庭まで光ファイバーはやって来ない。FTTHの新しいユーザーニーズを発掘し、その将来性を素早く判断して取り組むどころか、
現時点における超高速インターネットに対するユーザーニーズにも応えられなかったわけだ。
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