■落書きメモ(イギリス・エディンバラ雑感)その1

 このコーナーは、どうしてもイギリスの悪い面の紹介が含まれますので、今現在、すがすがしい気分の人、または、落ち込んでいてすがすがしい気分になりたい人はご覧にならないで下さい。イギリス留学に来る気分がそがれます。(とすると、一体誰が読んでくれるのだろう……。)

補注:軽めの話題を多めにしていく予定です。

 

夕方の学生会館(というより学生Union直営パブ)Potterrow。ライトアップが悪趣味です。


その1: Social Classについて

 

 悲しいかな、イギリスに住むと、否応なしにSocial Class というものを意識させられます。通りすがりの外国人でよかったと思えることがしばしばです。

 例えば、統計学の授業を受け持つ社会学の先生が、「大学教員は、Social Class I のはずなのに、この統計の取り方では、Social Class II に分類されてしまうわ。」 何たる階級意識!唖然……。

 そうなのです。Social Classとは、社会学上の抽象概念ではなく、職業により区分される公式統計上の階級を表す用語なのです。(I, II, IIIN, IIIM, IV, Vの6段階に分類され、その数字が小さいほど非肉体労働かつ高度な知的作業に該当する職業となる。)そして、

とかが、本気で議論されるのです。また、国勢調査にもSocial Classの区分が用いられ、「この郵便番号の地域には、Social Class I が何人、Vが何人住んでいる」という数字が公表されます。この概念そのものが差別だとは誰も言いません。あな恐ろしや。

12 March 2003 (1 Oct 2003 一部修正)


その2:NHS(国民保健サービス)について

 イギリスは、西側諸国ではまれな、完全無料医療制度を堅持しています。とはいえ、タダほど高いものはない!実態の一端をご紹介します。プライベート医にかかることができる海外旅行保険に加入なさるかどうかのご参考になれば幸いです。(海外旅行保険はこちらをどうぞ。)

 NHSは、歴史的経緯から、GP(General Practitioner)と呼ばれる町医者さん(国民はかかりつけのGPを選び、そのGPの患者受け持ちリストに登録します。)と、NHS Trust と呼ばれる大病院の二本立て構造になっています。NHS Trustの病院にかかるには、GPから紹介を受ける必要があります。

2002年8月30日付の新聞「the Scotsman」(スコットランドローカルのQuality Paperです。)によると、スコットランド内で、2002年6月末現在、79,943名の患者さんが手術待ち(前年比11%増)で、平均待ち期間は57日(前年比1週間増)、そのうち、68%(前年は73%)の患者さんは「13週以内には」処置をしてもらえるそうです。日本に帰った方が絶対早いって!

 以下は、スコットランドのローカル話題ではなく、イギリス全土の話題ですが、NHSを巡る無料ゆえの公平性と効率性の矛盾が噴出しています。例えば、

 ちなみに、エディンバラ大学のUniversity Health Centre は、学生の大多数がここに登録していると仮定すると、その規模から推測して「Fundholding GP」です。でも、個人的には、私は判官びいきな性格ですし、このような、大規模なGPを選好するような消費者としてのモラルハザードに加担したくないなぁ……。

 エディンバラ大学のUniversity Health Centreに行ってきました(6 May 2003)。レポートはこちら

参考文献はこちら

18 March 2003

 

 ただし、エディンバラ大学の University Health Centre に GP 登録する場合、妻の体験から判断する限り、上記のネガティブな一般的イメージとは裏腹にかなり良質な治療が受けられるようです。こちらも併せてご参照下さい。このコラムの全面訂正に値する新発見かも。(追記 : 3 Dec 2003)


その3:鉄道について

 サッチャー政権当時、イギリスでは大胆(かつ無情)な国営企業の民営化が推進されましたが、イギリス国鉄が解体されたのは、意外にものちのメイジャー政権になってからのことです。サッチャー首相は鉄道を民営化した場合の現在のような混乱を予想した卓見から鉄道民営化に手を付けなかったのではなく、単に、父親が国鉄OBだったからだという噂が……。

 イギリス国鉄の民営化は日本とは異なった方法で進められました。すなわち、イギリス全土で鉄道施設の保守を行う会社と、旅客列車の運行を行う会社に分けた上下分離方式の民営化です。結果的に、これがあだとなりました。前者の施設保守会社「Railtrack」(2002年10月に「Network Rail」に改組)は利益追求に走り、線路の状態はガタガタ。2000年10月17日に発生したロンドンKings Cross 発 Leeds 行急行列車の大脱線事故は、線路が非常に危険な状態にあることを浮き彫りにしました。イギリス全土で線路の総点検が行われた結果、あちこちで、徐行運転や集中工事が必要なことが判明。事故以来、土・日の運休、徐行による遅れ等でイギリスの鉄道ダイヤは無茶苦茶でした。

 さて、もう一方の旅客会社ですが、日本と違って地域割りとなっておらず、同じ線路を複数の旅客会社の列車が走っています。これはイギリス政府が競争政策を取り入れているからに他なりません。その結果かどうかわかりませんが、イギリスの鉄道運賃体系は、何だか国際線航空運賃の体系に似ています。

 例えば、早割の割引率が非常に高く、割引の種類も非常にバラエティーに富んでおり、自分が本当に一番リーズナブルな切符を買えたのかよく分かりません。正規運賃はものすごく高いです。当日に駅で長距離切符を買うのは、大げさに言うと、空港の航空会社カウンターで当日発の国際線航空券を購入する行為に匹敵します(例えば、Newcastle駅で、エディンバラ行き当日券を買うと何と£34.5!(2003年9月現在))。また、片道運賃と往復運賃はほとんど同額です。

 エディンバラから鉄道旅行をしたい方は、こちらもご覧になって下さい。

 悲しいかな、鉄道ダイヤは大変不正確です。極端な言い方をすれば、遅れずに出発することがあるのが困りものです(一応、定時には駅に着いておかなければ心配)。エディンバラのWaverley Station には、会社別の列車遅延率が表示されており、旧イギリス国鉄の栄光、戦前からの花形列車である「Flying Scotsman」の伝統を受け継ぐGNERの成績が最もよいです。

 私は予算の都合でVirgin Trains をよく利用します。自社列車のもともとの遅延が原因で、後発のはずのGNERの急行列車が先行しているだけなのに、途中駅の手前でよく停車しては、「先行列車が前方の駅に停車のため、ここで停車しております」と、(あたかもGNERのせいで自社列車が遅れているような印象を乗客に与えるような)apologeticなアナウンスを連発することだけはやめてほしい!!

24 March 2003


その4:Middle Class?

 散歩をしていて、Duddingston Golf Course (市内にある広大なゴルフコースです。とても敷居が高い……。)の敷地を切り売りしたと思われる高級住宅街に迷い込んでしまいました。そこで見たものは……超高級建売り住宅。モダンな落ち着いた木目調デザインで、ガレージまで付いている!ごく最近に分譲されたようで、まるでホテルのようにぴかぴかです。ここの住人は、見た感じ普通の家族なのですが、明らかにUpper Middle Classなのでしょうねぇ。

 慌てて抜け出して、よく散歩コースにしているMeadowfield Drive (Arthur's Seat の裏側。地元ネタでごめんなさい)に向かいました(一体どんな遠くまで散歩しているの?という指摘を受けそうですが……)。ここだって相当いい住宅街です。家の並びの前には広大な芝生が広がり、そこには「No Golf Practice」。まさに、ゴルフ禁止の標示をするにふさわしい広さです(ハーフコースぐらい造れそうな広さ)。

 その後、Calton(Waverley Station の北東)の街路を通って帰ってきました。ここはさらにすごい住宅街です。そこを、まさに普段着でMarks and Spencer の袋をぶら下げた親子連れが……。

 う〜ん。Middle Class って何だろう?とさらに分からなくなった一日でした。

14 April 2003


その5:春休みについて

 普通、「イースター休暇」って、イースター(2003年は、4/18(金)〜21(月)だと思いますが自信がありません。)の後なのですか?エディンバラ大学に留学していると、イギリスの常識のようなものが身に付かずに困ることがあります(私はいまだにわかっていません……)。エディンバラ大学の第三学期は4/15(火)から始まりました。私は、当日になって急に大学内が慌ただしくなって新学期が始まったことをようやく知り、慌てたものですが、イングランドに留学中の友人によると、新学期の開始時期が全然違うようです(ということで春学期のエッセイの提出期限も早いので、イングランドの大学に留学経験のある人は、気をつけて下さいね)。
 ちなみに、ロンドン出身の友人は、1月2日が(スコットランドだけの)休日であることを知らず、夜遅くにエディンバラに帰ってきて夕食にありつけず、我が家に駆け込んで日本食を食べて帰りました。

16 April 2003


その6:スコットランドの犯罪発生率について

 20 April 2003 の「Scotland on Sunday」(Scotsmanの日曜版)にスコットランドの犯罪発生率の特集記事がありました。住んでいて、「なるほど」と思う点や意外なデータが……。

 スコットランド中、最悪なのが、グラスゴーの Great Western Road の「G12 8」地域。毎年、住民(2239世帯)の11.05%が空き巣の被害に遭っています。第二位はエディンバラの「EH1 1」地域。1494世帯のうち9.95%が毎年被害に遭っています。でも、「EH1 1」にはエディンバラ大学の大学寮「Mylne's Court」があって、世帯数のうち、かなりの割合は学生のはず。学生寮に空き巣が入ったという話は聞いたことがないので、実質的には、この地域が、最悪の発生率かも。トップ10には、Dundee の「DD1 4」を除き、すべてがGlasgowとEdinburghで占められています。

 ちなみに、エディンバラ市内の空き巣率の高い地域は、いずれも高級住宅地や商業地です(「EH1 1」「EH1 2」「EH3 8」「EH3 6」)。エディンバラ近郊では、Tranentが目をひきます(「EH33 2」。2563世帯中の4.44%)。小高い丘にある、海がきれいに見えるいい町なのですが……。

 記事によると、スコットランド中で最も安全なのが、「KW17 2」の1.49%。「おっ、どこだろう?」と思ったら、オークニー諸島でした。ちょっと住むわけにはいきませんねぇ……。

22 Apr 2003


その7:飲み過ぎです!

 スコットランド産の非常に有名なウィスキー「The Macallan」(マッカラン)を買うと、アンケートが付いてきました。

「On average, how much malt whisky do you drink in a week?」

In a pub/bar  □0-3 a month, □1-2 a week, □3-4 a week, □5-6 a week, □7-8 a week, □9+ a week

At home □0-3 a month, □1-2 a week, □3-4 a week, □5-6 a week, □7-8 a week, □9+ a week

飲み過ぎです!!

※スコットランドではWhiskyの綴りはこれで正しいです。-keyは、アイルランドとアメリカ風の綴り方ですね。

26 Apr 2003

ちなみに、このアンケートには、「どのような他社製品をお飲みですか?」というアンケートも含まれていました。裏を返すと、これらがよく飲まれている銘柄だということ。参考までにご紹介します。私としては、Bowmoreも入れて欲しかった……

Glenfiddich (グレンフィディック)、The Macallan、Highland Park、Glenmorange(グレンモランジー)、Glenlivet、Laphroaig(ラフロイグ)、Lagavulin(ラガヴーリン)

蛇足ですが、私が自分で足を運んで確かめたスコットランド各地のウィスキー専門店を数軒ご紹介します。こちらをどうぞ。
日本へのお土産にウィスキーを購入しようとお考えの方へ:
こちらをどうぞ。


その8:新聞について

 イギリスで最も長寿な統計(すなわち、ず〜っと同じ質問内容を続けている統計)は、「British General Election Study」という統計です。

この中に、「Which paper do you read most often?」という項目があります。1997年の結果を見てみました。

Skip (the question) / not read paper 1432 39.6%
The Express 175 4.8%
The (Scot) Daily Mail 305 8.4%
The(Scot)Mirror/Daily Record 576 15.9%
The Daily Star(Scotland) 38 1.1%
The Sun 436 12.1%
The Daily Telegraph 163 4.5%
The Financial Times 18 0.5%
The Guardian 93 2.6%
The Independent 45 1.2%
The Times 110 3.0%
The Scotsman 41 1.1%
The (Glasgow) Herald 41 1.1%
Aberdeen Press+Journal 47 1.3%
Other Scot/Welsh/regional/local 78 2.2%
Other daily 11 0.3%
More than 1 paper 4 0.1%
Not answered 2 0.1%
Total 3615 100.0%

大衆紙の威力ってすごいですね。「The Guardian」でさえ、回答者の2.6%しか読んでいないというのは意外な数字です。

さて、私が読んでいる「The Scotsman」は……1.1%。エディンバラに住んでいる限り、最も身近な quality paper なのですが。それに、「Edinburgh Evening News」の愛読者って、いわゆる朝刊は読まないのだろうかという疑問も……。

27 Apr 2003


その9:不思議なバス系統について

http://www.edinburgh.gov.uk/CEC/City_Development/Transport_and_Communications/Buses/Frequency_Text.html

 

http://www.silverchoicetravel.co.uk/edin-glas.htm

注:普通はエディンバラ〜ロンドン間長距離バスというとおそらくNational Expressが思い浮かびます。

 

http://www.nationalexpress.com/

 

まだまだ探究は続く。乞うご期待。

28 Apr 2003

PS 面白いバス路線をご存じの方は、メール下さいませ。


その10:確かに悪いのは自分なのですが……

 先日、インターネットでホテルを予約する機会がありました。気に入ったホテルを見つけて、そのホテルのサイトで申し込もうとした際、ちょっと一計を案じ……。インターネットの代理店を探せばもっと安いのではないか?と。

 日本でも「旅の窓口」なんかが有名ですよね。探すと、ありました。1割ちょっと安く予約でき、つかの間の満足をしていると……スケジュールに問題発覚。予約を取り消さねば。

 ホテルに電話し、無事取り消せました。キャンセル料のことも聞いてみたら、予約してすぐだし宿泊日まで間があるので通常は掛からないとのこと。安心していると、一通のメールが。

Our Policies
A credit card is required as a guarantee. If the booking is not cancelled outside of the cancellation notice period, your credit card will be charged with the full amount of the booking. Also all bookings must be secured by a non-refundable deposit of 20.00 per person per two nights. For bookings of longer than two nights, an additional 10.00 per night deposit is required.

Please check the hotel policy carefully.
Your credit card details are required to guarantee your reservation.
Please pay the hotel on checkout.

Cancellations
So that you are not charged a cancellation fee, our hotel policy states that your reservation must be cancelled 10 days prior to arrival.

 どうやら、インターネットの代理店経由で申し込んだことで問題が複雑化したみたいです。この文面、矛盾に満ちているような気がしませんか?もし、「cancellation fee は要らないけれど、non-refundable deposit は返金しません」という意味だったら、欺瞞的な気が……。しかし、それにしても二人で£40のデポジットって高額だなぁ。ただ今、ホテルにメールで問い合わせ中。結果やいかに?

10 May 2003

結果:今回の場合、手数料は一切かかりませんでした。とても親切!


その11:確かに自分が悪いのですが(その2)……つまらない話が続いて申し訳ないです。

 妻の家族がエディンバラに来訪の際、ヒースローで乗り換えに手間取り、こちらが用意したBMIの格安eチケットが無駄になってしまいました。でも、待って?飛行機に乗っていないのだから、refund不可の運賃に含まれている空港税だけは還付を受けられるのでは!?そこで、尋ねてみました。

 HM Customs & Excises は、「Customs & Excise are responsible for collecting Air Passenger Duty from airline companies. Any refund that you are pursuing would need to be directed to BMI.」とのこと。なるほど、変な説得力があります。

 そこで、BMIに確認してみました。何と、返金してくれるとのこと!!それにしても、契約条項を読んでみても一切refundはないような旨が書かれているのに、理詰めで質問したら返金してもらえるのって何だか変ですね。

16 May 2003


その12:ひさびさに重めの話

 エディンバラに住み始めて1年弱。確かに、東京・大阪と比べて自然環境がよく、公共サービスへの不満も全くありません。でも、スコットランドに対する理解が進んできているかと自問してみると、おそらく答えはNoです。むしろ分からないことがだんだん増えてきました。今日は久々に重めの話です。

1.「Strange people」?

 旅行先で、グラスゴーから観光に来ている人々に出会いました。非常に陽気で気さくな人々だったのですが、エディンバラに対するイメージはどうも芳しくないようです。(問)「エディンバラ市民に対する印象を一言で言うと?」(返答)「Strange people!」。(注:グラスゴーとエディンバラはお互い仲が悪いというよく知られた俗説があります。)

 う〜ん。確かに、エディンバラは域内一人当たりGDPがスコットランド平均(全英平均の約9割。ちなみにHighland地方は全英平均の約7割の一人当たりGDPしかない。)より数割も高く、ミドルクラスが都市生活をエンジョイしていますし、主な産業が「金融」と「観光」とあっては、実業のグラスゴーの人たちから見て、エディンバラ市民って一体どんな仕事をして暮らしているのだろう??という疑問を持たれても不思議はないかも知れません。なお、スコットランド全体では白人が人口構成比97%を占める中で、このエディンバラの多国籍性が異国情緒を漂わせるのかも知れません。

2.路上生活者

 エディンバラで路上生活を送っている方数名に出身地を聞いてみたことがあります。このようなことを聞いてみるまでは、私はてっきり、彼らはエディンバラ近隣の景気が低迷した地域の出身の方々ではないかと勝手な誤解をしていたのですが……。5名に尋ねてみると、「Liverpool出身」と答えた一人の女性を除いて、皆エディンバラ出身でした。この街から出たことがあるかどうかは、ちょうど2名ずつで、「イングランドに住んだことがある」人もいました。気の毒なので尋ねることはありませんでしたが、地元で路上生活を送っていることから、おそらく、身寄りを亡くされた、両親が離別なさったなどの気の毒な境遇にあるのだろうなぁという想像がつきます。統計上、エディンバラでは富裕層が形成されている一方、その逆の方々が大勢おられます。路上での彼らの持ち物は毛布一枚。生まれ育った土地で、生産的なことを何一つできずに暮らすというのは本当に苦痛なことであろうと想像します。

3.エディンバラの「裏側」?

 Ian Rankin という犯罪小説作家がいます。彼の一連の小説の舞台はエディンバラで、犯罪小説のジャンルで、スコットランドでは非常に人気を集めている作家です。彼の小説の特徴は(しばしば)実際の事件をモチーフとしたリアリティーです。

 BBCで彼のインタービューがありました。エディンバラ出身の彼は、「エディンバラという街は、表面上きらびやかであるがその裏側は……(the city of fur coats and no knickers)」という意見を持っているようです。実際、Interviewの中で、彼は(犯罪の温床となっていると考えている)ネガティブなイメージを持っている地区を例示していました。確かに、これらの地区のhousing estates(公共住宅)には、落書きで汚れていたりするものもあります。もちろん彼は差別主義的にこのような発言をしたわけではなく、社会問題としての意識を持っているという意味でインタビュー中に述べたに過ぎないのですが。

 定住するわけではない一介の外国人としては、知らなくてもいいことなのかも知れません。しかし、やはり、イギリスの表面だけを見て、本当の留学なのかと自問自答してしまいます。特に、「Policy Studies」という分野を、わざわざスコットランドにやってきて勉強している自分としては……。

22 June 2003


その13:郵便事情

 ここ数ヶ月、非常に郵便事情がよく、東京からの郵便物が最短3日で着いたりします。日本行きの郵便事情は昨年はかなりよかったのですが、最近、なぜか徐々に日数が掛かるようになってきました。ちなみに、クリスマスプレゼントのシーズンになると飛行機に乗せきれない大量の航空郵便物がヒースロー空港に滞貨し日数が掛かるそうなので気をつけて下さいね。

 イギリスの郵便は、Royal Mail plc. という政府全額出資の会社が運営しています。今日の話題はこの郵便会社の効率性とサービスの品質です。

 先日は、ロンドン発エディンバラ行き郵便車(一般の列車に併結され、中で係員が郵便物を棚に仕分けながら走る郵便専用車両。日本でも東北本線・北陸本線などで20年ほど前まで走っていました。)の廃止問題が論議されていました。結局、ノスタルジーに加え、「トラックよりも定時性で優るメリットはある」という理由で予算措置が講じられ、全廃は免れたようです。とはいえ、この出来事がイギリスの郵便公社の非効率性を物語るわけではありません。むしろ、このような廃止論の台頭が合理化の流れを物語っていると積極に解すべきでしょう。

 実際、郵便公社は合理化に努めていると感じます。例えば、郵便局は多くが民間委託で、文房具店・薬局等が受託して、店の一角で営業をしています(最近も近所の郵便局が廃止され、近くの薬局が受託しました)。利用者からすると、営業時間が長いことがありがたいです。また、運転免許証の申請用紙なども交付してくれるので、One-Stopの行政機能を半ば果たしていて大変ありがたいです。

 私は、今のところ紛失の被害にあったことはありません(近所の人が「うちのポストに間違って入っていたよ」と届けて下さることはたまにあります。ひょっとして、うちの郵便受けに誤配郵便物を入れ直してくれる優しいご近所さんが結構いらっしゃるのかも……)。ただし、エディンバラ在住の友人の一人に、日本からEMSで送ってもらった日本米が盗難にあった人がいます。(日本米は高く売りさばけるので気をつけた方がよいとのこと。偽の受け取りサインがしてあったそうです)。受け取りサインを要する配達物であっても郵便受けに入れてあったり、軒先に置き去りにしてあったりするのは、EMS、UPS、DHLなど官民を問わず共通ですので、心配するときりがありませんし、絶対安全確実な輸送方法はありません。予防策は:なくなっても諦めきれない物は送らない。日数には十分余裕を見る。保険を掛けることぐらいでしょうか。

 むしろ困るのが、郵便物が配達されず、集配局で預かってもらっている場合です(例えば、英語学校や仮住まいの大学寮宛てに日本から大きい荷物を送ったものの事務室や寮監が受け取りを拒否した場合)。合理化が進んでいて、エディンバラの集配郵便局はCity Bypassに隣接したかなり郊外に立地しています。車がないと引き取りはほぼ不可能。かといって、イギリスに来てすぐに慣れない電話で再配達をお願いするのもかなり難しいですね。

 さて、あと困りものなのが、この国では住所さえ合っていれば、名義が違っても該当住所に届けられることです。そのためか、銀行のステートメントなどの重要書類には、わざと差し出し元の会社の名前が書いておらず、「if undelivered, please return to xxx.」とだけ記してあることも。私のフラットには、前に住んでいた居住者宛のDM、銀行からのお知らせ(!)、選挙人名簿登録用紙(!。ただしこれにはよく見ると「Mr X or the Tenant」と書いてあった。)、地方裁判所(Sheriff Court)からの通知(!!)等々が次々舞い込みます。また、店じまいをした後の休業店舗の玄関先に、郵便物が山のように散乱しているのもよく見かける光景です。最近、TESCO(スーパーマーケット)から、歴代の居住者宛に何通も同じDMが同時に送られてきて、ちょっとびっくりしました。私個人は、このような誤配郵便物には「Not Known」と朱書きしてポストに戻していますが、皆さんどうしているのでしょうね?

6 July 2003

Waverley Sta.毎日23:30着の郵便専用列車。8両編成です。がんばれ Royal Mail!


その14:ああ、お天気・・・

 スコットランドは非常に気まぐれなお天気です。まれに、スコットランド・北部アイルランドの上空を雨雲を伴う風が大旋回していたりして、そんな天気図を見たときは正直、げんなりします。スコットランド人は、慣れたものでどんな天気でも「lovely weather, isn't it」と挨拶してくれます(当地では「lovely weather」は皮肉の意味に使われることのほうが多いですね。)。

 エディンバラフェスティバルの時期は、結構雨が多いのです。本来ですと、5・6月のほうが季候がよく、観光シーズンとしてお薦めできるのですが、こればっかりは、旅行者の価値観次第ですので何ともコメントできません。冬には、強風が吹き荒れて、傘の骨を折ってしまうことも……。気温は日本の冬よりも高いのですが、体感温度は非常に寒いですねぇ。田舎に行くと、荒天の中、格好良くオイルコートを着込んだ初老のご婦人が元気に犬を連れて歩いていたりして、スコットランド人のたくましさを感じてしまいます。

 なお、深夜12時頃のBBC1の天気予報はなかなか見応えがあります。ヨーロッパで異常気象や悪天候が起こったら、「イギリスだけがひどい天気ではない」と言いたげにとても嬉しそうに解説してくれます。

30 July 2003


その15:スーパーマーケットの価格について

 Scott's Parage Oats というポリッジ(オートミール)がよく売られています。商店で買うと£1.19。パッケージにも目立つ位置に「£1.19」と印刷されています。ところが!
 同じものをSainsbury's で購入すると、£1.40。何とパッケージがほんの微妙に異なっており、「£1.19」の文字が印刷されていません。

 もしも、小売店のマークアップ率を30%と仮定、(想定しにくい控えめな仮定ですが)Sainsbury's と商店は同じ仕入れ値で仕入れているとして、Sainsbury's のマークアップ率は53%にも達します。

 別の例を考えてみたいと思います。スーパーでよく見られる「3 for 2」の文字。「2つ買えば1つおまけします」という意味です。もし、消費者が1つ購入しても3つ購入してもスーパー側は同じ販売益を得ると仮定してみると、マークアップ率は100%。
 同じく、「2 for 1」のofferは、スーパーの販売促進のためであり原価で消費者に提供していると仮定すると、通常販売価格のマークアップ率はやはり100%。これって暴利?

25 Aug 2003


その16: TV Lisenseの怪

 イギリスでは、個人でテレビを持っていると、TV Lisense を申し込まなければなりません。私は、去年(2002年)の11月からこの受信料を払い続けているのですが、少しわかりにくい料金体系なのです。

3種類の支払い方法が選べます。

  1. 年一括払い
  2. 四半期毎の銀行引き落とし(Direct Debit)
  3. 毎月の銀行引き落とし(Direct Debit)

 このうち、2を選択すると年間£5の取扱手数料がかかります。そのため、私は、3を選んで一度は申し込んだのですが、送られてきた請求書をみてびっくり!

11月 £22.4
12月 £22.4
1月 £22.4
2月 £22.4
3月 £22.4
4月 £9.37
5月 £9.37
6月 £9.37
7月 £9.37
8月 £9.37
9月 £9.37
10月 £9.37
£177.59

 なんと最初の5回分の支払いで、年額(2002年当時£112)に達してしまうのです。四半期毎に支払った場合の累積支払金額をグラフで比較してみると一目瞭然。
 おそらく、デポジットのつもりなのでしょうが、パンフレットをいかに丹念に読んでもそのようなことは一切書かれていませんでした。帰国前に、この前払い分がきちんと返金されればよいのでしょうが、今ひとつ信頼が置けなかったので、結局、すこし割高ながら四半期払で契約し直しました。

 今秋(2003年)になって、契約の更新通知が舞い込みました。今年のパンフレットには、毎月払いの場合、最初の5ヶ月でデポジットとして1年分を請求することがきちんと明記されており、腹立ちは収まりました……が、やっぱり変なシステムですね。預かり金として滞留している資金は一体どのように管理されているのでしょうか?

29 Sep 2003 (1 Oct 2003加筆)
TV License から引き落とされたお金の行き先がわかりました。 17 Apr 2004


その17:銀行口座の開設

 普通なら、このような類の話題は「ためしてみよう」のコーナーに入れているのですが、今回はトラブル集ということで、こちらのコーナーで書くことにしました。

 先日、ある銀行で口座の開設申し込みをしました。手続きはなかなか快調でした。翌日になればその開設した口座に入金が可能ということで、まとまった額を入れておきました。ところが……。
 銀行から、「キャッシュカードができました」というレターが来たので引き取りに行ってみたところ、まだ出来ておらず「please come later」とのこと。仕方なしに、翌週金曜日にもう一度訪れると、やっぱり出来ておらず「I'll make another request to the headquarters.」とのこと。翌水曜日以降に再訪するようにお願いされたので、さて今日行ってみますと……。
 何と、私が銀行口座を開設した形跡がコンピュータ上に残っていないとのこと!!驚いて、入金時の領収書を見せて、その額が消えてなくならないように念を押しておきました。一からやりなおしです。10日ほどで銀行からまたレターが届くので、それを持ってキャッシュカードを引き取りに来てほしいとのこと。全く申し訳なさそうな態度が見受けられないのですが、最近、私はこのような態度にはものすごく寛容になってきています。
 ともかく、この国では、消費者が被る時間ロスがタダ同然と見なされていますねぇ。ともかく、銀行といえども作業スケジュールや記録管理を信頼してはいけないことと、証拠を必ず残すことを徹底した方がよいと再認識したこのごろでした。

 追記:トラブル連鎖の法則?? さらにトラブルは続き、やっと手に入れたキャッシュカードをいざ使おうとすると「incorrect PIN number」のエラーが。一連のトラブルの中でセキュリティーのため暗証番号がキャンセルされたそうなのです。誤った番号を平気で教えておいて、「それでは、新しいPIN番号を取り寄せますので、一週間したらまた受け取りに来て下さい。」とはとても悠長ですねぇ。さすがにこれほどトラブルが続くと、この銀行の名称を伏せておく気が失せそうです。 (4 Oct 2003)

 追記:さらにトラブル。町中のATMでカードを使ったら、エラーが起こり機械に自動的に回収されてしまいました。銀行にATMが発行したカードの預かり証を持参したら、「新しいカードなのに……、原因が見あたりませんねぇ」とのこと(注:イギリスでは使用期限の切れたキャッシュカードをATMに入れると自動的に回収されます)。一週間ほどで新しいカードが届くそうです。ここで教訓が一つ。居住する町に支店があるような銀行の口座を開設する方が無難でしょう。また、自分の口座の銀行が設置しているATMを使う方がこのようなトラブルが起こったときには早く対処できそうです。 (2 Nov 2003)

 さらに:「自宅に郵送します」と言われつつ、なかなか届かないので、銀行に問い合わせたら、支店にカードが留め置かれていました。
これほどトラブルが続いたのだから実名を挙げてもいいですよね?Bank of Scotland です。 (7 Nov 2003)

 こちらもどうぞ。

1 Oct 2003


その18:Management School について

 本年度(2003/4)は、私は MSc by Research として勉強をしているのですが、昨年度(2002/3年度)のMSc (taught course) の学習過程で必修科目はほとんど履修してしまったので、今学期に履修する科目がほとんどなくなってしまいました。そこで、担当教官に頼み込んで、Management School の科目を一科目履修して、その単位を私の学科に振り替えてもらえるように手配してもらいました。

 さて、履修を考えた科目は、Management Accounting。交渉過程で Management School のレセプションでは、上級科目ですよと念を押されていたので、内心ビクビクだったのですが……。初日にまとめて配られたコースのレジュメから判断する限り、講義内容はおそらく日商簿記2級程度のCost Accounting (原価計算)です(参考)。つまりscience というよりは art です。おそらく、会計学の前提知識がない学生を対象に1年間ですべてを教えるという授業密度そのものに価値があるのでしょうか、accounting 学科の修士レベルの科目(日本で言うところの「管理会計特論」みたいな科目)とは違うみたいです。コース名だけをみて履修を決めかけた自分がそもそも悪いのですが。結局このコマは、社会人向けに開講されているラテン語に来週からチャレンジすることにしました。これはプラクティカルな授業ではありえませんし(ラテン語というコース名だけをみて、勝手に文法の授業と思いこんではいませんか?実はラテン語会話の授業で、初日に発音規則が説明し終わっていたら更にショックを受けることでしょう。(笑)(By 妻))、こちらには乞うご期待。

 蛇足ですが、教室のつくりが豪華で驚きました。空調は適度だし、椅子は、2時間座っていても全然疲れません!何と専用の自転車置き場まであります(フルタイム学生にはロッカーまで用意されている!!)。さすがは、そもそもの授業料が高いだけあってハード面が非常に充実しています。こういう意味では、一見の価値ありですが、守衛さんが外部からの不審者が来ないか目を光らせている上に、先生は生徒全員の顔写真を携えて講義に臨みます。講義にもぐるときは所定の手続きを踏みましょう(Management School の受付の責任者には、「うちは学費が高いのに、(単価の安い)他学科の学生から差額を徴収できないのよねぇ」と冗談とも本気ともとれる顔つきで言われましたが……。)(ならばためしてみようPart2のネタに頂きましょうか。(By妻:いつも体張ってます))

8 Oct 2003

 補足:MBAコースの人と話す機会がありました。授業内容が基礎的か高等的かどうかは講師の講義スタイルに大きく左右されるそうです。上記の私の雑感はあまり参考にしないで下さい。それにしても、忙しいそうです!(2 Nov)


その19: お札の図柄

 今日は軽めの話題です。Royal Bank of Scotland の 2002 年発行の 5ポンド札は、女王陛下のGolden Jubilee (即位50周年)記念の図柄になっています。

 ところが、上掲の写真から分かるように、女性にとって非常に失礼な図柄です。イギリス的(orスコットランド的)なジョークなのでしょうか?
これほど露骨ではありませんが、イギリスの1,2ペンス玉(5、10ペンス玉は古いものは回収されてしまって見あたりません。1980年頃まで、5ペンス玉の大きさは今の10ペンス玉ぐらいの材質・大きさでした。)を古いものから順に並べていくと、彫刻されている女王陛下の肖像がどんどん年をとってきていることがよくわかります。女王陛下に気の毒ですので、試してみることはあまりお薦めしません。

2 Nov 2003
これもすごいです。 23 Mar 2004


その20(祝):エディンバラの年金生活

 とある理由から私には高齢の友達(70・80歳代のおばあさん)がいます。彼女たちの生活はつつましいです。イギリスの年金支給レベル(参考)はあまり高くありません。

 なかなか生活そのものは楽しそうです。例えば、
・ 「週末に Queensferry に友達と遊びに行くのが今から楽しみ。」とか
・ 「今週末は、88歳の誕生日なのでPerthに一泊旅行に行くの。」とか、
・ 「今日は3時半から刑事コロンボがあるから見逃せないわ。ランチの時間を早めないと……。」
とかです。なかなかつつましいでしょ?私の日常生活とレベルが似ているような……。

 ただ、物質面ではそんなに恵まれているわけではありません。バスは無料で乗れるものの、年金だけでは外食するのは難しいです。Community Centre では近隣住民向けに格安のランチ(スープとパンとか)が提供されていますが、自分で作った方が安くておいしいです。
 例えば、「ええっと。5ポンド40ペンス持っているから、1ポンドは用心のためにこっちのポケットに入れて、残りは、あれとあれを買って……。」 エディンバラは高物価で、この所持金でパン・牛乳・卵を買ったら、もう野菜を買うのにも事欠きそうです。

 エディンバラは自家用車の所有率がヨーロッパで一番だそうです。お年寄りでも車を所有している人は多いのですが(郊外に行くと、おばあさん同士で車に乗っているいるのをよく見かけます。)、車が運転できないほど高齢になり、体力も衰えると生活が不便に感じることでしょう。例えば、ジャガイモ・タマネギの5kgのパックの価格は1kgのパックのたったの2倍程度だったりしますからね。

 高齢者と会話をするのは楽しいです。昔からイギリスの女性は日本の女性より社会進出が進んでいましたから、70代・80代のおばあさんの昔話を聞いても、現在の職業感とそんなに変わりません。まるで昨日まで働いていたみたいに生き生きと語り聞かせてくれますよ。

8 Nov 2003

注: Queensferryはエディンバラ近郊の町、Perthは、バスで1時間半ぐらいです(オーストラリアではありません)。交通弱者のお年寄りにとってはこれでも大旅行です。


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